JP2005285999A - Ptcサーミスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 温度上昇に伴う抵抗変化量を十分に大きくできるPTCサーミスタを提供すること。
【解決手段】 互いに対向した状態で配置された一対の電極2,3と、一対の電極2,3の間に配置されたサーミスタ素体1とを有し、サーミスタ素体1は、内部に空隙を有する絶縁性基材と、空隙に充填された樹脂組成物とを有し、樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂と、導電性粒子とを含み、絶縁性基材において、サーミスタ素体1の厚み方向の線膨張係数が、厚み方向に垂直な方向の線膨張係数よりも大きくなっていることを特徴とするPTCサーミスタ。
【選択図】 図1


Description

本発明は、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタに関する。
PTC(Positive Temperature Coefficient:正特性)サーミスタは、互いに対向した状態で配置された一対の電極と、当該一対の電極の間に配置されたサーミスタ素体とを少なくとも備える構成を有している。そして、上記サーミスタ素体は、一定の温度範囲において温度の上昇とともにその抵抗値が急激に増大する「正の抵抗−温度特性」を有している。
PTCサーミスタは、上記の特性を利用して、例えば、自己制御型発熱体、温度センサ、限流素子、過電流保護素子等として、電子機器の回路保護に使用される。このPTCサーミスタには、上記の用途等に使用する観点から、非動作時の室温抵抗値が低く、非動作時の室温抵抗値と動作時の抵抗値との変化量(以下、必要に応じて「抵抗変化量」という)が大きいこと、繰り返し動作させた場合における抵抗値の変化量(使用初期の抵抗値と繰り返し動作させた後の抵抗値との差)が小さいこと、遮断特性に優れること、及び、素子の発熱温度が低いこと、並びに、小型化、軽量化及び低コスト化が図れること等が要求される。
PTCサーミスタは、セラミック材料からなるサーミスタ素体を搭載するタイプのものが一般的であるが、このタイプのPTCサーミスタは、遮断特性に劣り、サーミスタ素体の発熱温度が高く、小型化、軽量化、低コスト化が困難であった。特に、リチウムイオン電池を代表とする電池の過電流保護素子として用いる場合、PTCサーミスタの動作温度は比較的低温(例えば、100℃程度以下、好ましくは80〜95℃程度)であることが望まれているが、上記のタイプのPTCサーミスタはこの動作温度を満足することが困難であった。
そこで、上述の動作温度の低温化等の要求に応えるために、高分子マトリックスと導電性粒子とからなる成形体をサーミスタ素体として備えるタイプの有機質正特性サーミスタ(以下、必要に応じて「P−PTCサーミスタ」という)の検討がなされている。
このようなP−PTCサーミスタとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる高分子マトリックスに、金属やカーボンブラック等の導電性粒子を分散させてなるサーミスタ素体を搭載したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂からなる高分子マトリックスに、炭素繊維、黒鉛繊維、黒鉛層間化合物繊維、金属繊維及びセラミック等の繊維状導電性粒子を分散させてなるサーミスタ素体を搭載したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
これらのP−PTCサーミスタでの抵抗値が所定の温度で急激に増大するのは、サーミスタ素体を構成する高分子マトリックスが、温度の上昇に伴い膨張し、サーミスタ素体中において導電性微粒子により構築された導電経路を切断する作用に起因するものと考えられている。
米国特許第3591526号明細書 米国特許第4966729号明細書
しかしながら、上述した特許文献1及び2に記載されたP−PTCサーミスタは、PTCサーミスタに必須な特性である温度上昇に伴う抵抗変化量の大きさが未だ不十分であり、この抵抗変化量の更なる向上が望まれている。
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、温度上昇に伴う抵抗変化量を十分に大きくできるPTCサーミスタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の発明に係るPTCサーミスタは、互いに対向した状態で配置された一対の電極と、一対の電極の間に配置されたサーミスタ素体とを有し、サーミスタ素体は、内部に空隙を有する絶縁性基材と、空隙に充填された樹脂組成物とを有し、樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂と、導電性粒子とを含み、絶縁性基材において、サーミスタ素体の厚み方向の線膨張係数が、厚み方向に垂直な方向の線膨張係数よりも大きくなっていることを特徴とするものである。
ここで、上記絶縁性基材において、サーミスタ素体の厚み方向の線膨張係数が、厚み方向に垂直な方向(以下、必要に応じて「面方向」という)の線膨張係数よりも大きくなっていること、つまり、絶縁性基材が線膨張係数について異方性を有していることは、以下の方法で確認することができる。すなわち、絶縁性基材に、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂樹脂等の温度上昇により膨張する樹脂を含浸させ、熱硬化性樹脂においては適度な温度で硬化した後、熱機械分析装置(TMA)を用いて、厚み方向の線膨張係数と面方向の線膨張係数とを測定し、これらの線膨張係数を比較することにより確認することができる。
かかるPTCサーミスタは、サーミスタ素体として上述した構成のものを備えていることにより、温度上昇に伴う抵抗変化量を十分に大きくすることができる。この抵抗変化量を十分に大きくすることができる理由について、本発明者らは以下のように推察する。まず、サーミスタ素体を構成する樹脂組成物は、温度の上昇に伴って膨張する。このとき、上述した異方性のある絶縁性基材の存在により、サーミスタ素体の面方向への樹脂組成物の膨張が抑制されると考えられる。こうなると、樹脂組成物は、容易に膨張可能な方向、すなわちサーミスタ素体の厚み方向に大きく膨張することとなり、サーミスタ素体中において導電性微粒子により厚み方向に構築された導電経路が容易に切断されることとなる。これにより、第1の発明に係るPTCサーミスタは、温度上昇に伴う抵抗変化量を十分に大きくすることが可能となると考えられる。
また、第1の発明に係るPTCサーミスタにおいて、絶縁性基材は、織布又は不織布であることが好ましい。
織布及び不織布は、線膨張係数について十分な異方性を有しており、その線膨張係数を、サーミスタ素体の面方向よりも厚み方向に十分に大きなものとすることができる。そのため、サーミスタ素体においては、面方向への膨張がより十分に抑制され、その分、厚み方向への膨張がより一層増大することとなる。その結果、PTCサーミスタは、温度上昇に伴う抵抗変化量をより大きくすることができる。
更に、上記織布又は上記不織布は、液晶ポリマーからなる繊維で構成されていることが好ましい。
液晶ポリマーは、紡糸工程において延伸処理を施すことにより、線膨張係数の異方性を示し、繊維の長さ方向の線膨張係数が小さくなる特性を示す。また、昇温時に繊維の長さ方向が収縮する、負の膨張率を持つものもあり、これにより大きな線膨張係数の異方性を示す。したがって、このような液晶ポリマーを用いることにより、サーミスタ素体においては、面方向への膨張がより十分に抑制され、その分、厚み方向への膨張がより一層増大することとなり、PTCサーミスタは、温度上昇に伴う抵抗変化量をより大きくすることができる。
また、第2の発明に係るPTCサーミスタは、互いに対向した状態で配置された一対の電極と、一対の電極の間に配置されたサーミスタ素体とを有し、サーミスタ素体は、該サーミスタ素体の厚み方向に垂直な方向に配向した液晶ポリマーと、導電性粒子とを含むものであることを特徴とするものである。
かかるPTCサーミスタにおいて、上記液晶ポリマーは、熱可塑性樹脂であるとともに、第1の発明に係るPTCサーミスタに使用される絶縁性基材と同様の性質を有していると考えられる。すなわち、液晶ポリマーは、温度の上昇に伴って膨張するが、サーミスタ素体の面方向に配向していることにより、面方向への膨張が抑制され、その分、厚み方向へ大きく膨張することとなると考えられる。したがって、温度の上昇に伴って、サーミスタ素体中において導電性微粒子により厚み方向に構築された導電経路が容易に切断されることとなる。よって、PTCサーミスタは、温度上昇に伴う抵抗変化量を十分に大きくすることが可能となると考えられる。
なお、第2の発明に係るPTCサーミスタにおいて、上記液晶ポリマーがサーミスタ素体の厚み方向に垂直な方向に配向していることは、熱機械分析装置(TMA)を用いて、サーミスタ素体の厚み方向の線膨張係数と面方向の腺膨張係数とを測定し、これらの線膨張係数を比較することにより確認することができる。
更に、第3の発明に係るPTCサーミスタは、互いに対向した状態で配置された一対の電極と、一対の電極の間に配置されたサーミスタ素体とを有し、サーミスタ素体は、内部に空隙を有する絶縁性基材と、空隙に充填された樹脂組成物とを有することを特徴とするものである。
このように、樹脂組成物を絶縁性基材の空隙に充填することにより、サーミスタ素体の面方向への膨張を抑制することができ、厚み方向への膨張を増大させることが可能となる。これにより、サーミスタ素体中において導電性微粒子により厚み方向に構築された導電経路が容易に切断されることとなり、温度上昇に伴う抵抗変化量を十分に大きくすることが可能となると考えられる。
また、第1〜第3の発明に係るPTCサーミスタにおいて、サーミスタ素体は、該サーミスタ素体の厚み方向の線膨張係数をα、厚み方向に垂直な方向の線膨張係数をαとして、(α/α)の値が下記式:
1.5≦(α/α
の条件を満たしていることが好ましい。
ここで、上記(α/α)の値は、以下の方法で算出される。すなわち、熱機械分析装置(TMA)を用いて、サーミスタ素体の厚み方向の線膨張係数αと、面方向の腺膨張係数αとを測定し、このα及びαから(α/α)の値が算出される。
かかるPTCサーミスタは、サーミスタ素体の面方向への樹脂組成物の膨張が十分に抑制されており、厚み方向への膨張が十分に増大しているため、温度の上昇に伴って、サーミスタ素体中において導電性微粒子により厚み方向に構築された導電経路がより容易に切断されることとなり、より大きな抵抗変化量を得ることができる。
本発明によれば、温度上昇に伴う抵抗変化量を十分に大きくできるPTCサーミスタを提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明のPTCサーミスタの第1実施形態の基本構成を示す模式断面図である。
図1に示すPTCサーミスタ10は、正の抵抗−温度特性を有するシート状のサーミスタ素体1を備えている。このサーミスタ素体1は、第1の面と当該第1の面に平行な第2の面とを有しており、第1の面上には平板状の電極2が設けられ、第2の面上には平板状の電極3が設けられている。したがって、電極2と電極3とは、互いに対向した状態で配置され、サーミスタ素体1は、電極2と電極3との間に配置されることになる。そして、電極2にはリード4が電気的に接続され、電極3にはリード5が電気的に接続されている。
サーミスタ素体1は、上述した第1の発明に係るPTCサーミスタにおけるサーミスタ素体の構成を有している。以下、このサーミスタ素体1について詳細に説明する。
サーミスタ素体1は、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂と、導電性粒子とを含む樹脂組成物が、空隙を有する絶縁性基材の空隙に充填された構成を有するものである。そして、上記絶縁性基材は、該絶縁性基材におけるサーミスタ素体1の厚み方向の線膨張係数が、厚み方向に垂直な方向(面方向)の線膨張係数よりも大きい異方性のある基材となっている。
ここで、サーミスタ素体1の厚み方向とは、サーミスタ素体1の第1の面又は第2の面に垂直な方向を意味する。また、サーミスタ素体1の厚み方向とは、電極2と電極3との間に印加される電界の方向であると言い換えることもできる。
サーミスタ素体1が上記の構成を有するものであると、温度の上昇によって樹脂組成物が膨張する際に、上記絶縁性基材の存在により、樹脂組成物は、サーミスタ素体1の面方向への膨張が抑制され、厚み方向に大きく膨張することとなる。したがって、PTCサーミスタ10は、温度の上昇に伴って、サーミスタ素体1中において導電性微粒子により厚み方向に構築された導電経路が容易に切断されることとなり、抵抗変化量を十分に大きくすることができる。
まず、サーミスタ素体1を構成する樹脂組成物について説明する。樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂と、導電性粒子とを含むものである。
ここで、上記熱硬化性樹脂としては、従来、サーミスタ素体に用いられている熱硬化性樹脂を特に制限なく使用することができる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、より十分な抵抗変化量及び耐熱性が得られることから、エポキシ樹脂が好ましい。
このような熱硬化性樹脂の分子量は、重量平均分子量Mwが300〜10000であることが好ましい。これらの熱硬化性樹脂は1種のみを用いても2種以上を併用してもよく、異なる種類の熱硬化性樹脂同士が架橋された構造を有するものを用いてもよい。
PTCサーミスタ10において、サーミスタ素体1の樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含む場合には、後述する熱可塑性樹脂を含むPTCサーミスタ10と比較して、より優れた耐熱性を得ることができる。
また、上記熱可塑性樹脂としては、従来、サーミスタ素体に用いられている熱可塑性樹脂を特に制限なく使用することができるが、本発明の効果をより十分に得る観点から、結晶性ポリマーを使用することが好ましい。
この熱可塑性樹脂の融点は、動作時の熱可塑性樹脂の融解による流動、素体の変形などを防止するために、70〜200℃であることが好ましい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、(1)ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)、(2)少なくとも1種のオレフィン(例えばエチレン、プロピレン)と、少なくとも1種の極性基を含有するオレフィン性不飽和モノマ−に基づく繰り返し単位で構成されたコポリマ−(例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマ−)、(3)ハロゲン化ビニルおよびビニリデンポリマ−(例えば、ポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド)、(4)ポリアミド(例えば12−ナイロン)、(5)ポリスチレン、(6)ポリアクリロニトリル、(7)熱可塑性エラストマ−、(8)ポリエチレンオキサイド、ポリアセタ−ル、(9)熱可塑性変性セルロ−ス、(10)ポリスルホン類、(11)ポリメチル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。
より具体的には、(1)高密度ポリエチレン[例えば、商品名:ハイゼックス2100JP(三井化学社製)、Marlex6003(フィリップ社製)等]、(2)低密度ポリエチレン[例えば、商品名:LC500(日本ポリケム社製)、DYMH−1(ユニオン−カ−バイド社製)等]、(3)中密度ポリエチレン[例えば、商品名:2604M(ガルフ社製)等]、(4)エチレン−エチルアクリレ−トコポリマ−[例えば、商品名:DPD6169(ユニオン−カ−バイド社製)等]、(5)エチレン−アクリル酸コポリマ−[例えば、商品名:EAA455(ダウケミカル社製)等]、(6)ヘキサフルオエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマ−[例えば、商品名:FEP100(デュポン社製)等]、(7)ポリビニリデンフルオライド[例えば、商品名:Kynar461(ペンバルト社製)等]等が挙げられる。
このような熱可塑性樹脂の分子量は重量平均分子量Mwが10000〜5000000であることが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は1種のみを用いても2種以上を併用してもよく、異なる種類の熱可塑性樹脂同士が架橋された構造を有するものを用いてもよい。
PTCサーミスタ10において、サーミスタ素体1の樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含む場合には、上述した熱硬化性樹脂を含むPTCサーミスタ10と比較して、温度上昇に伴う抵抗変化量をより大きくすることができる。
なお、PTCサーミスタ10において、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを組み合わせて用いてもよい。
また、上記導電性粒子は、膨張前のサーミスタ素体1中において、該サーミスタ素体1の厚み方向に導電経路を構築する粒子である。そして、温度の上昇に伴ってサーミスタ素体1は膨張し、所定の温度でこの導電経路が切断されてPTCサーミスタ10の抵抗値が急激に増大することとなる。
このような導電性粒子としては、例えば、金属粉、カーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも金属粉が好ましい。この金属粉は、ニッケルを主成分とするものであることが好ましく、具体的には、ニッケルからなるフィラメント状の粒子であることが好ましい。また、金属粉は、10〜1000個程度の粒子(平均粒子径100〜2000nm)が鎖状に連なったフィラメント状の構造であることが好ましい。
このような金属粉の平均一次粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5〜4.0μm程度である。これらのうち、平均一次粒径は1.0〜4.0μmが最も好ましい。この平均一次粒径はフィッシュー・サブシーブ法で測定したものである。
サーミスタ素体1において、樹脂組成物中の導電性粒子の含有量は、樹脂組成物全量を基準として20〜80質量%であることが好ましい。これにより、非動作時の室温抵抗値を十分に低くすること、大きな抵抗変化量を得ること、及び、素子抵抗のバラツキを十分に減少させることができる。
これに対して、樹脂組成物中の導電性粒子の含有量が20質量%未満であると、非動作時の室温抵抗値を十分低くすることが困難となる傾向がある。一方、導電性粒子の含有量が80質量%を超えると、含有量が上記範囲である場合と比較して、大きな抵抗変化量が得られにくくなる傾向があり、また、不均一な混合になることから、PTCサーミスタ10の素子抵抗にバラツキが生じやすくなる傾向がある。
サーミスタ素体1における樹脂組成物は、上記熱硬化性樹脂及び/又は上記熱可塑性樹脂と、上記導電性粒子とを少なくとも含むものであるが、樹脂組成物は、これら以外の材料を更に含んでいてもよい。すなわち、樹脂組成物は、例えば、低分子有機化合物等を更に含んでいてもよい。
サーミスタ素体1に低分子有機化合物を含有させると、PTCサーミスタ10の抵抗−温度特性曲線にあらわれるヒステリシスが低減され、それにより温度上昇に伴う抵抗変化量を増大させる効果が得られるため好ましい。また、この場合、サーミスタ素体1に含まれる低分子有機化合物は、結晶性ポリマーであることが好ましい。また、低分子有機化合物の分子量は100〜2000であることが好ましい。更に、低分子有機化合物は、20〜30℃において固体の状態をとるものであるものが好ましい。
低分子有機化合物の具体例としては、例えば、ワックス、油脂、脂肪酸、高級アルコ−ル等から選択されるものである。これらの低分子有機化合物は、市販されており、市販品をそのまま用いることもできる。低分子有機化合物は、これらのうち、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
より具体的には、ワックスとしては、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックスをはじめとする植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックスのような天然ワックス等がある。油脂としては、脂肪または固体脂と称されるもの)などが挙げられる。
ワックスや油脂の成分は、炭化水素(具体的には、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素等)、脂肪酸(具体的には、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素の脂肪酸等)、脂肪酸エステル(具体的には、炭素数20以上の飽和脂肪酸とメチルアルコール等の低級アルコールとから得られる飽和脂肪酸のメチルエステル等)、脂肪酸アミド(具体的には、炭素数10以下の飽和脂肪酸第1アミドやオレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド等)、脂肪族アミン(具体的には、炭素数16以上の脂肪族第1アミン)、高級アルコール(具体的には、炭素数16以上のn−アルキルアルコール)などが挙げられる。
更に具体的には、低分子有機化合物として、例えば、パラフィンワックス(例えば、テトラコサンC2450;融点(mp)49〜52℃、ヘキサトリアコンタンC3674;mp73℃、商品名HNP−10(日本精蝋社製);mp75℃、HNP−3(日本精蝋社製);mp66℃など)、マイクロクリスタリンワックス(例えば、商品名Hi−Mic−1080(日本精蝋社製);mp83℃、Hi−Mic−1045(日本精蝋社製);mp70℃、Hi−Mic2045(日本精蝋社製);mp64℃、Hi−Mic3090(日本精蝋社製);mp89℃、セラッタ104(日本石油精製社製);mp96℃、155マイクロワックス(日本石油精製社製);mp70℃など)、脂肪酸(例えば、ベヘン酸(日本精化社製);mp81℃、ステアリン酸(日本精化社製);mp72℃、パルミチン酸(日本精化社製);mp64℃など)、脂肪酸エステル(例えば、アラキン酸メチルエステル(東京化成社製);mp48℃など)、脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド(日本精化社製);mp76℃)がある。この低分子有機化合物は、動作温度等によって1種あるいは2種以上を選択して用いることができる。
次に、サーミスタ素体1を構成する絶縁性基材について説明する。
上記絶縁性基材は、内部に空隙を有する基材であって、その空隙に上記樹脂組成物を充填することが可能な絶縁性を有する基材である。そして、絶縁性基材は、該絶縁性基材におけるサーミスタ素体1の厚み方向の線膨張係数が、厚み方向に垂直な方向(面方向)の線膨張係数よりも大きい異方性のある基材である。
かかる絶縁性基材としては、上記の役割を果たすことが可能なものであれば特に制限されず、例えば、織布、不織布、連続多孔質体等が挙げられる。これらの中でも、線膨張係数について優れた異方性を有しており、本発明の効果がより十分に得られることから、織布及び不織布が好ましい。
絶縁性基材として織布又は不織布を用いる場合、これらはサーミスタ素体1の面方向に繊維が配向したものとなっている。ここで、繊維の配向方向については、顕微鏡等の倍率が10倍以上の拡大鏡を使用することにより、容易に確認することができる。
上記織布を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及び液晶ポリマー等の有機物からなる有機物繊維、並びに、ガラス等の無機物からなる無機物繊維が挙げられる。
また、上記不織布を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、パルプ及び液晶ポリマー等の有機物からなる有機物繊維、並びに、ガラス等の無機物からなる無機物繊維が挙げられる。
これらの中でも、織布及び不織布を構成する繊維は、液晶ポリマーからなる繊維であることが好ましい。
かかる液晶ポリマーとして具体的には、例えば、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリアミド等が挙げられる。これらの液晶ポリマーは1種のみを用いても2種以上を併用してもよく、異なる種類の液晶ポリマー同士が架橋された構造を有するものを用いてもよい。
この液晶ポリマーの融点は、動作時の液晶ポリマーの融解等を防止するために、200〜350℃であることが好ましい。
このような液晶ポリマーからなる織布又は不織布を絶縁性基材として用いることにより、サーミスタ素体1は、より十分な線膨張係数の異方性を示すことができる。これにより、PTCサーミスタは、温度上昇に伴う抵抗変化量をより大きくすることができる。
また、サーミスタ素体1中の上記絶縁性基材の含有量は、サーミスタ素体1全量(絶縁性基材と樹脂組成物との合計量)を基準として、20〜80質量%であることが好ましい。絶縁性基材の含有量が上記下限値未満であると、線膨張係数の異方性が小さくなる傾向があり、含有量が上記上限値を超えると、導電性フィラーの含有量が低下し、非動作時の室温抵抗値が上昇する傾向がある。
以上説明したサーミスタ素体1は、該サーミスタ素体1の厚み方向の線膨張係数をα、厚み方向に垂直な方向の線膨張係数をαとして、(α/α)の値が下記式:
1.5≦(α/α
の条件を満たしていることが好ましい。
(α/α)の値が上記式を満たすようなサーミスタ素体1を用いることにより、PTCサーミスタ10は、サーミスタ素体1の面方向への樹脂組成物の膨張が十分に抑制されており、厚み方向への膨張が十分に増大しているため、温度の上昇に伴って、サーミスタ素体中において導電性微粒子により厚み方向に構築された導電経路がより容易に切断されることとなり、より大きな抵抗変化量を得ることができる。
次に、上述したサーミスタ素体1及びPTCサーミスタ10の製造方法の好適な一例について説明する。まず、サーミスタ素体1の製造方法について説明する。
サーミスタ素体1を製造する場合、まず、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂と、導電性粒子とを少なくとも含む樹脂組成物含有液を以下の手順で調製する。
はじめに、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂を、予め乾燥処理を施した導電性粒子を加え、例えばミル等の撹拌手段を用いて撹拌混合することにより、樹脂組成物含有液を調製する。このとき、熱可塑樹脂を用いる場合には、撹拌混合とともに熱処理を行ってもよい。この熱処理は混練(溶融混練)と呼ばれるものである。熱処理の温度は、熱可塑性樹脂の融点以上の温度であることが好ましく、熱可塑性樹脂の融点に対して5〜40℃以上高い温度であることがより好ましい。また、樹脂として主に熱硬化性樹脂を用いる場合には、これらを溶解可能な溶媒中で溶解させてから導電性粒子と混合できる。また、熱硬化性樹脂を用いる場合には、硬化時間短縮及び低温硬化の目的で、樹脂組成物含有液中に硬化促進剤を含有させてもよい。
上述した混練の作業は、公知の混練技術を使用すればよく、ニ−ダ、押し出し機、ミル、ディスパー等の撹拌手段で、例えば、10〜120分程度行えばよい。
次に、絶縁性基材を用意する。この絶縁性基材としては、市販の織布、不織布を使用することができるが、例えば、不織布の場合には、以下の方法により製造されたものを使用することができる。
すなわち、(1)素材となる繊維を水中で分散させ、ワイヤー上でシートを成形し、このシートをプレスすることにより脱水し、ドライヤー等で残存する水分を除去する湿式法、(2)熱可塑性樹脂を溶融紡糸する方法であって、紡糸ノズルの出口に高温高圧の空気流を吹き出すことにより繊維を延伸及び開繊し、捕集ネットコンベア(ドラム)上に繊維を集積させてシート化するメルトブロー法、等により製造された不織布を使用することができる。
これらの製造方法により製造された不織布は、線膨張係数について十分な異方性を有しているため好ましい。なお、このような不織布の異方性は、先に説明した熱機械分析装置(TMA)を用いた確認方法以外に、例えば、顕微鏡等で繊維の堆積方向を観察することで確認することが可能である。また、織布の場合にも上記と同様の方法で異方性を確認することができる。このような絶縁性基材は、予めサーミスタ素体として要求される大きさに成形されたものを用いてもよい。
次に、調製した樹脂組成物含有液中に上記絶縁性基材を浸漬することにより、絶縁性基材の空隙に樹脂組成物含有液を含浸する。その後、樹脂組成物含有液を含む絶縁性基材を乾燥させることにより、樹脂組成物が絶縁性基材の空隙に充填されたシート状のプリプレグを得る。そして、必要に応じて複数枚のプリプレグを積層して積層体を構成し、これをサーミスタ素体1とする。
なお、1枚のプリプレグを用いる場合には、このプリプレグ単独でサーミスタ素体1となる。また、サーミスタ素体1は、所望の大きさに切断して用いてもよい。
また、サーミスタ素体1の製造方法は、上記の方法に限定されず、例えば、以下の方法によっても製造することができる。
すなわち、(1)PTCサーミスタ10を構成する電極2又は電極3上に上記樹脂組成物含有液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜上に上記絶縁性基材を配置して加熱加圧処理を施す方法、(2)樹脂組成物をシート状に成形し、このシート状の樹脂組成物と上記絶縁性基材とを重ね合わせて加熱加圧処理を施す方法、等によりサーミスタ素体1を作製してもよい。
以上のようにしてサーミスタ素体1を作製した後、このサーミスタ素体1を用いてPTCサーミスタ10を製造する。
ここで、サーミスタ素体1を使用してPTCサーミスタ10を製造する方法としては、公知のサーミスタの製造技術を適用することができる。すなわち、用意した電極2と電極3との間にサーミスタ素体1を配置して加熱加圧処理を施し、リード4を電極2に電気的に接続し、電極3にリード5を電気的に接続してサーミスタ10を完成する。
(第2実施形態)
次に、本発明によるPTCサーミスタの第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るPTCサーミスタは、サーミスタ素体が以下のように構成されていること以外は、第1実施形態に係るPTCサーミスタ10と同様の構成を有している。
すなわち、第2実施形態におけるサーミスタ素体は、該サーミスタ素体の厚み方向に垂直な方向に配向した液晶ポリマーと、導電性粒子とを含むものである。
ここで、上記液晶ポリマーとしては、例えば、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリアミド等が挙げられる。これらの液晶ポリマーは1種のみを用いても2種以上を併用してもよく、異なる種類の液晶ポリマー同士が架橋された構造を有するものを用いてもよい。
この液晶ポリマーの融点は、動作時の液晶ポリマーの融解による流動、素体の変形などを防止するために、200〜350℃であることが好ましい。
この液晶ポリマーは、熱可塑性樹脂であるとともに、第1実施形態における絶縁性基材と同様に、サーミスタ素体の厚み方向の線膨張係数が面方向の線膨張係数よりも大きい異方性を有している。そのため、液晶ポリマーは、温度の上昇に伴って膨張するが、サーミスタ素体の面方向への膨張が抑制され、その分、厚み方向へ大きく膨張することとなる。したがって、温度の上昇に伴って、サーミスタ素体中において導電性微粒子により厚み方向に構築された導電経路が容易に切断されることとなり、十分に大きな抵抗変化量を有するPTCサーミスタを得ることができる。
第2実施形態におけるサーミスタ素体中の液晶ポリマーの含有量は、サーミスタ素体全量を基準として50〜90質量%であることが好ましい。液晶ポリマーの含有量が上記下限値未満であると、導電性フィラーの含有量が低下し、非動作時の室温抵抗値が高くなる傾向があり、含有量が上記上限値を超えると、大きな抵抗変化量が得られにくくなる傾向がある。
また、第2実施形態におけるサーミスタ素体を構成する上記導電性粒子は、第1実施形態において説明した導電性粒子と同様のものが用いられる。
第2実施形態におけるサーミスタ素体は、上記液晶ポリマーと、上記導電性粒子とを少なくとも含むとともに、これら以外の材料を更に含んでいてもよい。すなわち、サーミスタ素体は、例えば、低分子有機化合物等を更に含んでいてもよい。かかる材料としては、第1実施形態における樹脂組成物中に必要に応じて添加される材料と同様のものを用いることができる。
これらの中でも、第2実施形態におけるサーミスタ素体に低分子有機化合物を含有させることが好ましい。これにより、PTCサーミスタの抵抗−温度特性曲線にあらわれるヒステリシスが低減され、それにより温度上昇に伴う抵抗変化量を増大させる効果が得られる。
本実施形態のPTCサーミスタは、サーミスタ素体が以下の方法で製造されること以外は、第1実施形態のPTCサーミスタ10と同様にして製造される。
すなわち、はじめに、液晶ポリマーに予め乾燥処理を施した導電性粒子を加え、例えばミル等の撹拌手段を用いて撹拌混合することにより混合物を得る。
次に、得られた混練物を成形し、シート状の成形体(サーミスタ素体)を得る。より具体的には、上記混練物に対してロ−ル成形やプレス成形等の成形処理を施し、所定の厚みのシ−ト形状とすることにより、液晶ポリマーがサーミスタ素子の面方向に配向したシート状の成形体を得ることができる。また、シート化した成形体を、所定の大きさにシャ−リングしてもよい。
こうして、第2実施形態におけるサーミスタ素体の作製を完了する。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
熱硬化性樹脂としてジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名:HP−7200H、エポキシ当量:280)100質量部と、硬化剤としてビフェニル骨格含有ノボラックフェノール樹脂(明和化成社製、商品名:MEH−7851−3H、水酸基当量:223)80質量部と、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール1質量部と、からなる混合物に、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を加えて撹拌混合することにより、固形分65質量%のエポキシ樹脂ワニスを調製した。
このエポキシ樹脂ワニスに、導電性粒子としてニッケル粉(INCO製、商品名:type255)を加えて撹拌混合することにより、固形分全量を基準としたときのニッケル粉の含有率が80質量%である樹脂組成物含有液を得た。
得られた樹脂組成物含有液を、メルトブローン法にて面方向に繊維が配向するように作製された全芳香族ポリエステル不織布(クラレ社製、商品名:ベクルス、厚み:40μm)に含浸し、乾燥することにより、樹脂組成物60質量%が不織布40質量%の空隙に充填された縦500mm、横500mm、厚み50μmのプリプレグを得た。
このプリプレグ10枚を積層して厚み500μmのサーミスタ素体とし、このサーミスタ素体の両面に、縦520mm、横520mm、厚み25μmのニッケル箔を配置して積層体を得た。そして、この積層体を、温度170℃、圧力4MPaで100分間加熱加圧し、厚み500μmのPTCサーミスタを得た。
[比較例1]
実施例1と同様の手順で固形分65質量%のエポキシ樹脂ワニスを調製した。このエポキシ樹脂ワニスに、導電性粒子として実施例1で使用したものと同様のニッケル粉を加えて撹拌混合することにより、固形分全量を基準としたときのニッケル粉の含有率が70質量%である樹脂組成物含有液を得た。
得られた樹脂組成物含有液を、縦500mm、横500mm、厚み25μmのニッケル箔上に塗布し、乾燥することにより、厚み500μmのサーミスタ素体をニッケル箔上に形成した。このサーミスタ素体上に、上記と同様のニッケル箔を配置し、温度170℃、圧力0.5MPaで100分間加熱加圧し、厚み500μmのPTCサーミスタを得た。
[比較例2]
熱硬化性樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名:EPICLON850、エポキシ当量:190)100質量部と、硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸(大日本インキ化学工業社製、商品名:B570、酸無水物当量:168)88質量部と、からなる混合物に、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を加えて撹拌混合することにより、固形分65質量%のエポキシ樹脂ワニスを調製した。
このエポキシ樹脂ワニスに、導電性粒子として実施例1で使用したものと同様のニッケル粉を加えて撹拌混合することにより、固形分全量を基準としたときのニッケル粉の含有率が65質量%である樹脂組成物含有液を得た。
得られた樹脂組成物含有液を、縦500mm、横500mm、厚み25μmのニッケル箔上に塗布し、乾燥することにより、厚み500μmのサーミスタ素体をニッケル箔上に形成した。このサーミスタ素体上に、上記と同様のニッケル箔を配置し、温度170℃、圧力0.5MPaで100分間加熱加圧し、厚み500μmのPTCサーミスタを得た。
(特性評価試験)
実施例1及び比較例1〜2で得られたPTCサーミスタについて、マルチメータを用いた4端子法により、25℃での初期抵抗値を測定した。その結果を表1に示す。
また、実施例1及び比較例1〜2で得られたPTCサーミスタについて、初期抵抗値からの抵抗変化量を調べるために、昇温速度2℃/分で25℃から200℃まで昇温した時の最大抵抗値を、マルチメータを用いた4端子法により測定した。なお、耐熱性を評価するために、上記と同じ昇温速度で200℃から260℃まで昇温し、25℃まで自然冷却した後(260℃ピークリフロー後)のPTCサーミスタのサーミスタ素体に、クラック等の異常が発生していないかを観察した。これらの結果を表1に示す。
また、実施例1及び比較例1〜2で得られたPTCサーミスタのガラス転移点を表1に示す。
Figure 2005285999
表1に示した結果から明らかなように、実施例1のPTCサーミスタは、比較例1〜2のPTCサーミスタと比較して、最大抵抗率が飛躍的に向上しており、温度上昇に伴う抵抗変化量が十分に大きくなっていることが確認された。また、実施例1のPTCサーミスタは、260℃ピークリフロー後のサーミスタ素体にクラック等の異常が生じていないことから、十分な耐熱性を有していることが確認された。以上より、本発明のPTCサーミスタは、温度上昇に伴う抵抗変化量を十分に大きくすることができることが確認された。
本発明のPTCサーミスタの第1実施形態の基本構成を示す模式断面図である。
符号の説明
1…サーミスタ素体、2…電極、3…電極、4…リード線、5…リード線、10…PTCサーミスタ。

Claims (6)

  1. 互いに対向した状態で配置された一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたサーミスタ素体とを有し、
    前記サーミスタ素体は、内部に空隙を有する絶縁性基材と、前記空隙に充填された樹脂組成物とを有し、
    前記樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂と、導電性粒子とを含み、
    前記絶縁性基材において、前記サーミスタ素体の厚み方向の線膨張係数が、前記厚み方向に垂直な方向の線膨張係数よりも大きくなっていることを特徴とするPTCサーミスタ。
  2. 前記絶縁性基材は、織布又は不織布であることを特徴とする請求項1記載のPTCサーミスタ。
  3. 前記織布又は前記不織布は、液晶ポリマーからなる繊維で構成されていることを特徴とする請求項2記載のPTCサーミスタ。
  4. 互いに対向した状態で配置された一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたサーミスタ素体とを有し、
    前記サーミスタ素体は、該サーミスタ素体の厚み方向に垂直な方向に配向した液晶ポリマーと、導電性粒子とを含むものであることを特徴とするPTCサーミスタ。
  5. 互いに対向した状態で配置された一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたサーミスタ素体とを有し、
    前記サーミスタ素体は、内部に空隙を有する絶縁性基材と、前記空隙に充填された樹脂組成物とを有することを特徴とするPTCサーミスタ。
  6. 前記サーミスタ素体は、該サーミスタ素体の厚み方向の線膨張係数をα、前記厚み方向に垂直な方向の線膨張係数をαとして、(α/α)の値が下記式:
    1.5≦(α/α
    の条件を満たしていることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のPTCサーミスタ。
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