JP2005281841A - 高耐食鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【要 約】
【課 題】 耐候性鋼の耐食性をさらに向上して流れさびの発生を抑制できる安価な高耐食鋼を製造する方法を提供する。
【解決手段】 C:0.01〜0.20質量%,Si:0.05〜0.80質量%,Mn: 0.1〜3.0 質量%,P: 0.005〜0.1 質量%,S:0.01質量%以下,Al:0.08質量%以下,Ni:0.04〜4.0 質量%を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼材を加熱し、次いで圧延した後、酸洗を施して鋼材の表面のスケールを除去する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、屋外の鋼構造物に使用される耐候性鋼の製造方法に関するものであり、特に耐食性を著しく向上して流れさびの発生を抑制する耐候性鋼(以下、高耐食鋼という)の製造方法に関するものである。
屋外の鋼構造物(たとえば橋梁等)に広く利用される耐候性鋼は、P,Cu,Cr,Ni等の合金元素を添加して、大気中での耐食性を改善している。屋外における鋼材の腐食の原因は、いうまでもなく酸素と水である。耐候性鋼は酸素や水を通し難いさび(以下、保護性さびという)を表面に形成し、鋼材が酸素や水に接触するのを抑制することによって、腐食の進行が抑えられる。保護性さびの形成には数年を要するが、保護性さびが形成された後は腐食の進行が顕著に鈍くなるので、耐候性鋼には防錆塗料を塗布する必要はない。
一方、通常の鋼材を使用した鋼構造物では防錆塗料を塗布しなければならず、しかも風雨に曝されることによって防錆塗料の被膜が劣化するので、定期的に塗り替えを行なう必要がある。
耐候性鋼を使用した鋼構造物では防錆塗料の塗布あるいは定期的な塗り替えは必要ないので、鋼構造物の維持コストを削減できる。
しかしながら、保護性さびが形成されるまでの数年間は腐食防止の効果が劣るので、耐候性鋼の表面や周囲に流れ落ちたような外観を呈するさび(以下、流れさびという)が現われる。流れさびは、鋼構造物としての景観を損ねるばかりでなく、環境汚染の原因にもなるという問題がある。そこで、流れさびの発生を抑制するための技術が種々検討されている。
たとえば特開平6-136557号公報には、硫酸クロム水溶液あるいは硫酸銅水溶液を鋼材に塗布して乾燥させた後、さらに有機樹脂を被覆する表面処理法が提案されている。また特開平8-13158 号公報には、アルミニウムを含む水溶液を鋼材に塗布して乾燥させた後、さらに有機樹脂を被覆する表面処理法が提案されている。さらに特開2000-212682 号公報には、P,Cu,Ni,Cr,Mo,Bを1種以上含有させて流れさびを抑制する技術が提案されている。
しかしながら、特開平6-136557号公報や特開平8-13158 号公報に開示された技術では、水溶液や樹脂を多量に消費するので、表面処理コストが上昇する。特開2000-212682 号公報に開示された技術では、比較的高価な合金元素を使用するので、鋼材の原料コストが上昇する。
特開平6-136557号公報 特開平8-13158 号公報 特開2000-212682 号公報
本発明は、従来の技術が抱えている上記のような問題点に鑑み、耐候性鋼の耐食性をさらに向上して流れさびの発生を抑制できる安価な高耐食鋼を製造する方法を提供することを目的とする。
耐候性鋼の耐食性を一層向上させて流れさびの発生量を低減するためには、耐候性鋼に合金元素を適宜選択して添加することが有効である。しかしながら耐候性鋼に添加する合金元素は比較的高価であるから、その合金元素の添加量を増加すると原料コストの上昇を招く。
そこで本発明者らは、腐食現象が鋼材の金属相(以下、地鉄という)と酸素や水との化学反応であることに着目した。つまり、地鉄の表面で酸素や水と接触することによって腐食が進行することを考慮すると、地鉄の表面近傍にて合金元素を濃化させることによって、腐食の進行を抑制できる。しかも地鉄全体で合金元素を濃化するのではなく、表面近傍のみ濃化させるので、合金元素の使用量を削減(すなわち原料コストを削減)できる。
このような観点から本発明者らは、地鉄の表面近傍にて濃化させる合金元素として、鋼材の耐食性を高める作用を有するNiに着目し、そのNiを濃化させる技術について鋭意検討した。すなわち、通常の環境における流れさびの発生を抑制するためには、Niの他にも、P,Cu,Cr,Mo,Bが有効であるが、塩分が飛来する地域における耐食性を高めるためにはNiが最も有効である。
そこで本発明者らは、Niを 2.9質量%含有する鋼スラブ(厚さ 210mm)を1120℃で2時間加熱した後、圧延して鋼板(厚さ20mm)とし、その鋼板の断面をEPMA分析した。その結果の代表的な例を図1に示す。地鉄の表面近傍にはNiが濃化した領域(以下、Ni濃化層という)が認められる。このNi濃化層の厚さは5μm程度であり、Ni濃化層中の最大Ni濃度は地鉄の約5倍となっている。
つまり、Niを含有する鋼材を加熱すると、表面にスケールと呼ばれるFe酸化物が生成する一方で、地鉄の表面近傍にNiが濃化する。ここでは鋼材を構成する金属相を、スケールと区別して地鉄と記す。その際、Niはスケールに濃化するのではなく、表面近傍の地鉄内に残留してNi濃化層を形成する。したがって耐候性鋼に添加されるNiを地鉄の表面近傍で濃化させてNi濃化層を形成し、鋼構造物として使用するときにもNi濃化層を残存させることによって、耐候性鋼の耐食性を一層高めることができる。
なお、地鉄の表面近傍とは、地鉄表面から1000μm以内をいうものとする。あまり表面から離れても、耐食性の向上に効果はない。また、Ni濃化層とは、母材内部のNi含有量の 1.2倍以上となる層をいうものとする。
ところが従来の耐候性鋼は、その製造工程でショットブラスト処理を施し、表面のスケールを除去した耐候性鋼を使用している。これは、鋼構造物として使用する際に、表面にムラのない均一な保護性さびを形成するための処置である。ショットブラスト処理では、通常、直径約1mmの鋼球を吹き付けるので、スケールを除去した後の地鉄表面の粗度はRmax で約60μmとなる。したがって厚さ5μm程度のNi濃化層は、ショットブラスト処理によって、スケールとともに除去されてしまう。
本発明を適用して高耐食鋼を製造するにあたって、表面のスケールを除去する一方で、地鉄の表面近傍にNi濃化層を残存させる必要がある。ところが、ショットブラストや切削等の機械的な手段では、スケールとともにNi濃化層も取り除かれるのは避けられない。そこで化学的な手段を用いてスケールのみを除去する。すなわち、酸洗を施すことによって化学的にスケールのみを除去し、かつ地鉄の表面近傍にNi濃化層を残存させることが可能である。酸洗液は特定の成分濃度に限定する必要はないが、一般的に広く使用されている塩酸水溶液が好ましい。
また、酸洗液にインヒビターを添加することによって、酸洗による地鉄の溶出を防止してNi濃化層を残存させることができる。
本発明は以上のような知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、C:0.01〜0.20質量%,Si:0.05〜0.80質量%,Mn: 0.1〜3.0 質量%,P: 0.005〜0.1 質量%,S:0.01質量%以下,Al:0.08質量%以下,Ni:0.04〜4.0 質量%を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼材を加熱し、次いで圧延した後、酸洗を施して鋼材の表面のスケールを除去する高耐食鋼の製造方法である。
本発明の高耐食鋼の製造方法では、鋼材が、前記した組成に加えてCu: 0.1〜1.0 質量%,Mo:0.05〜0.5 質量%およびCr: 0.1〜1.0 質量%のうちの1種または2種以上を含有することが好ましい。さらに地鉄が、前記した組成に加えてNb: 0.005〜0.1 質量%,Ti: 0.005〜0.1 質量%およびV: 0.005〜0.1 質量%のうちの1種または2種以上を含有することが好ましい。
本発明によれば、地鉄の表面近傍にNi濃化層を形成して耐食性を著しく向上させ、流れさびの発生を抑制できる安価な高耐食鋼を製造することができる。しかも本発明を適用して製造した高耐食鋼は、流れさびの発生を抑制して鋼構造物の優れた景観を維持できるので、防錆塗料を塗布する必要はなく、鋼構造物の維持コストを削減できる。
まず本発明を適用する鋼材の成分を限定した理由について説明する。
C:0.01〜0.20質量%
Cは、高耐食鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度を得るためには0.01質量%以上含有させる必要がある。一方、0.20質量%を超えると、高耐食鋼の靭性が劣化する。したがって鋼材中のCは、0.01〜0.20質量%の範囲内を満足する必要がある。
Si:0.05〜0.80質量%
Siは、溶鋼の溶製段階で脱酸剤として作用し、かつ高耐食鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度を得るためには0.05質量%以上含有させる必要がある。一方、0.80質量%を超えると、高耐食鋼の靭性および溶接性が劣化する。したがって鋼材中のSiは、0.05〜0.80質量%の範囲内を満足する必要がある。
Mn: 0.1〜3.0 質量%
Mnは、高耐食鋼の強度と靭性を増加させる元素であり、所望の強度を得るためには 0.1質量%以上含有させる必要がある。一方、 3.0質量%を超えると、高耐食鋼の靭性および溶接性が劣化する。したがって鋼材中のMnは、 0.1〜3.0 質量%の範囲内を満足する必要がある。
P: 0.005〜0.1 質量%
Pは、保護性さびを緻密化し、高耐食鋼の耐食性を向上させる元素である。P含有量が 0.005質量%未満では、その効果は得られない。一方、 0.1質量%を超えると、高耐食鋼の靭性が劣化する。したがって鋼材中のPは、 0.005〜0.1 質量%の範囲内を満足する必要がある。
S:0.01質量%以下
Sは、溶鋼の溶製段階で不可避的に混入する不純物であり、高耐食鋼の耐食性,靭性,溶接性を劣化させる元素である。そのため、鋼材中のSは0.01質量%以下とする。
Al:0.08質量%以下
Alは、溶鋼の溶製段階で脱酸剤として作用する元素であるが、高耐食鋼の靭性を劣化させるばかりでなく、溶接金属へも移行して溶接継手の靭性を劣化させる。そのため、鋼材中のAlは0.08質量%以下とする。
Ni:0.04〜4.0 質量%
Niは、本発明の高耐食鋼の添加元素のうちで最も重要な元素である。Niは、鋼電位を上昇させ、高耐食鋼の耐食性を向上させる。しかも保護性さび中にイオンとして溶出することによって、さび粒を微細にし、保護性さびの形成を促進する。そして塩化物イオンが保護性さびを透過して地鉄に到達するのを抑制する。その結果、鋼構造物として大気中に暴露された初期段階で、流れさびの発生を抑制する。しかも、塩分が飛来する地域における耐食性を高めることができる。この作用は、Ni含有量が増加するほど顕著に発揮される。しかしNiを過剰に(すなわち 4.0質量%を超えて)添加しても、流れさびの抑制効果の増大は期待できず、むしろNi消費量の増加による原料コストの上昇を招く。
既に説明した通り、Niを含有する耐候性鋼を加熱すると、地鉄の表面近傍にNi濃化層が形成される。Niは、スケールに濃化するのではなく、表面近傍の地鉄内に濃化する。このときNi濃化層のNi含有量は、地鉄のNi含有量の約5倍である。
本発明者らの研究によれば、Ni濃化層が流れさびの発生を抑制するためには、Ni濃化層のNi含有量は最大値で 0.2質量%以上とすることが好ましい。したがって地鉄のNi含有量は0.04質量%以上とする必要がある。つまり鋼材中のNiは、0.04〜4.0 質量%の範囲内を満足する必要がある。
またNi濃化層の厚さは、3μm以上とする必要がある。その理由は、Ni濃化層が3μm未満では、鋼構造物を建設する際にNi濃化層に疵が生じて地鉄が暴露され、その結果、耐食性が低下するからである。一方、Ni濃化層の厚さが 500μmを超えても、流れさびの抑制効果の増大は期待できず、むしろ加熱処理時間等の増加による製造コストの上昇を招く。したがってNi濃化層の厚さは、3〜500 μmとするのが好ましい。
本発明を適用する鋼材では、C,Si,Mn,P,S,Niに加えて、必要に応じて下記の元素を添加しても良い。
Cu: 0.1〜1.0 質量%
Cuは、さび粒を微細にすることによって保護性さびを早期に形成する。このことによって流れさびの発生を抑制する作用を有する元素である。鋼材中のCu含有量が 0.1質量%未満では、その効果は十分に得られない。一方、 1.0質量%を超えると、高耐食鋼の製造工程における熱間加工性が損なわれるばかりでなく、流れさびの抑制効果の増大は期待できず、むしろCu消費量の増加による原料コストの上昇を招く。したがって鋼材中にCuを添加する場合は、 0.1〜1.0 質量%の範囲内が好ましい。
Mo:0.05〜0.5 質量%
Moは、さび層中でモリブデン酸イオンを形成することによって、塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。その結果、鋼構造物として大気中に暴露された初期段階で、流れさびの発生を抑制する。しかも、塩分が飛来する地域における耐食性を一層高めることができる。鋼材中のMo含有量が0.05質量%未満では、その効果は十分に得られない。一方、 0.5質量%を超えると、高耐食鋼の製造工程における熱間加工性が損なわれるばかりでなく、流れさびの抑制効果の増大は期待できず、むしろMo消費量の増加による原料コストの上昇を招く。したがって鋼材中にMoを添加する場合は、0.05〜0.5 質量%の範囲内が好ましい。
Cr: 0.1〜1.0 質量%
Crは、さび粒を微細にすることによって保護性さびを早期に形成する。このことによって流れさびの発生を抑制する作用を有する元素である。鋼材中のCr含有量が 0.1質量%未満では、その効果は十分に得られない。一方、 1.0質量%を超えても、流れさびの抑制効果の増大は期待できず、むしろCr消費量の増加による原料コストの上昇を招く。したがって鋼材中にCrを添加する場合は、 0.1〜1.0 質量%の範囲内が好ましい。
Nb: 0.005〜0.1 質量%,Ti: 0.005〜0.1 質量%,V: 0.005〜0.1 質量%
Nb,Ti,Vは、鋼材の強度を増加させる元素であり、必要に応じ1種または2種以上を添加できる。Nb,Ti,Vは、いずれも 0.005質量%以上の含有で効果が認められるが、それぞれ 0.1質量%を超えて含有しても効果は飽和する。このためNb,Ti,Vのいずれも 0.005〜0.1 質量%とするのが好ましい。
次に、本発明の高耐食鋼の製造方法を説明する。
所定の組成を有する溶鋼を、転炉法,電気炉法等の従来から知られている技術で溶製した後、連続鋳造法あるいは造塊法で鋼材(たとえば鋼スラブ等)を製造する。なお溶鋼の溶製段階では、転炉法,電気炉法等の脱炭を主体とする精錬(いわゆる1次精錬)の後で、真空脱ガス法等の脱ガスを主体とする精錬技術(いわゆる2次精錬)を適宜組み合わせて使用しても良い。
次いで、鋼材を 900〜1200℃に加熱し、さらに熱間圧延を施して所定の形状の鋼材(すなわち鋼板,形鋼等)とした後、空冷または加速冷却によって冷却する。
このようにして製造した所定の形状を有する高耐食鋼は、表面にスケールが生成しているので、酸洗を施して化学的にスケールのみを除去する。酸洗液は、希塩酸(すなわち塩酸の水溶液),希硫酸(すなわち硫酸の水溶液),希リン酸(すなわちリン酸の水溶液)等の従来から知られているものが使用できる。ただし、酸洗の効率やスケールの溶解特性を考慮すると、希塩酸を使用するのが好ましい。
また、酸洗液にインヒビターを添加することによって、酸洗による地鉄の溶出を防止してNi濃化層を残存させることができる。インヒビターは、地鉄の成分や酸洗液の種類等に応じて適宜選択して使用する。
転炉を用いて表1に示す成分の溶鋼を溶製し、さらに連続鋳造法によって厚さ 210mmの鋼スラブとした。表1の鋼番号1〜11は、いずれも本発明を適用する鋼材の成分範囲を満足する。これらの鋼材(すなわち鋼スラブ)を1120℃に加熱した後、熱間圧延を行ない厚さ20mm,幅2500mmの鋼板とした。こうして得られた高耐食鋼板に酸洗処理を施し、表面のスケールを除去した。酸洗液は希塩酸を使用した。これを発明例とする。
Figure 2005281841
一方、比較例として、発明例と同様に製造した高耐食鋼板にショットブラスト処理を施し、表面のスケールを除去した。
発明例と比較例について、Ni濃化層中のNi含有量(質量%),Ni濃化層の厚さ(μm),流れさびの発生量(μg/cm2 )を調査した。
Ni濃化層中のNi含有量,Ni濃化層の厚さを調査する際には、スケールを除去した各高耐食鋼板の表層部から分析試験片(10mm×10mm)を採取し、EPMA分析を行なった。Ni濃化層中のNi含有量の最大値を表2に示す。なおNi濃化層中のNi含有量の最大値は、母材内部のNi含有量(質量%)×Ni濃化層の最大Ni検出強度×母材内部の平均Ni検出強度により算出した。また、Ni含有量が母材内部の 1.2倍以上の領域の厚さ(すなわちNi濃化層の厚さ)を表2に示す。
流れさびの発生量の調査にあたっては、各高耐食鋼板から鋼板表面を含む腐食試験片(厚さ5mm,幅50mm,長さ100mm )を採取し、海水散布試験を行なった。海水散布試験は、腐食試験片に海水を1時間ずつ週2回散布する試験である。海水散布試験を1ケ月間行ない、腐食試験片から発生した流れさびをポリタンクに収容し、原子吸光光度法でFe2+の質量を測定した。表2には、腐食試験片1cm2 あたりの値に換算して示す。
Figure 2005281841
表2から明らかなように、発明例(鋼記号1B〜11B )では、高耐食鋼板の表面近傍にNi濃化層が形成されている。一方、比較例(鋼記号1A〜11A )では、高耐食鋼板の表面近傍にNi濃化層は存在しない。
さらに各高耐食鋼板の流れさびの発生量について、鋼番号が同一の発明例と比較例を比較すると、同一成分の鋼板であるにも関わらず、発明例の方が流れさびの発生量が低減している。
このことから、Ni濃化層の存在が、流れさびの発生量を低減する上で、多大な効果を発揮することが分かる。
Fe,Ni,Oの濃度分布を示すグラフである。

Claims (3)

  1. C:0.01〜0.20質量%、Si:0.05〜0.80質量%、Mn: 0.1〜3.0 質量%、P: 0.005〜0.1 質量%、S:0.01質量%以下、Al:0.08質量%以下、Ni:0.04〜4.0 質量%を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼材を加熱し、次いで圧延した後、酸洗を施して前記鋼材の表面のスケールを除去することを特徴とする高耐食鋼の製造方法。
  2. 前記鋼材が、前記組成に加えてCu: 0.1〜1.0 質量%、Mo:0.05〜0.5 質量%およびCr: 0.1〜1.0 質量%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高耐食鋼の製造方法。
  3. 前記鋼材が、前記組成に加えてNb: 0.005〜0.1 質量%、Ti: 0.005〜0.1 質量%およびV: 0.005〜0.1 質量%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高耐食鋼の製造方法。
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