JP2005281497A - スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】 良好な電解質特性、耐熱性、機械的強度を有し、電解質の酸処理工程または電解質膜の洗浄工程での重量減少を最小限に抑えることのできるエポキシ樹脂を提供する。
【解決手段】 スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂の製造方法であって、(a)分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物に、活性水素1当量に対し0.1〜0.9当量のアニオン化剤を作用させてアミドイオンを生成する工程、
(b)前記アミドイオンに、アニオン化剤と当量の環状スルトンを作用させて、スルホン酸塩を有するアミン化合物を得る工程、(c)前記スルホン酸塩を有するアミン化合物に残存するアミノ基由来の活性水素に対して、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物を当量作用させ、アミノ基とエポキシ基とを反応させる工程、を有することを特徴とする方法を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂の製造方法であって、(a)分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物に、活性水素1当量に対し0.1〜0.9当量のアニオン化剤を作用させてアミドイオンを生成する工程、
(b)前記アミドイオンに、アニオン化剤と当量の環状スルトンを作用させて、スルホン酸塩を有するアミン化合物を得る工程、(c)前記スルホン酸塩を有するアミン化合物に残存するアミノ基由来の活性水素に対して、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物を当量作用させ、アミノ基とエポキシ基とを反応させる工程、を有することを特徴とする方法を用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は燃料電池、二次電池、湿度センサー、イオンセンサー、ガスセンサー、デシカント剤等、種々の電気化学デバイスにおいて好適に用いられる電解質および電解質膜、並びにこれらを用いた電気化学デバイスに関する。
電解質は、電気脱塩式純水製造装置、二次電池、燃料電池、湿度センサー、イオンセンサー、ガスセンサー、エレクトロクロミック素子、デシカント剤等、種々の電気化学デバイスにおいて用いられ、それらデバイスの性能に最も大きな影響を及ぼす部材の一つである。電解質の中で、イオン交換体として広く使用されているものに、ダイヤイオン(登録商標)(三菱化学(株))に代表されるポリビニルベンゼンスルホン酸類がある。ポリビニルベンゼンスルホン酸類は、ビニルベンゼンスルホン酸、あるいはビニルベンゼンスルホン酸塩の誘導体をラジカル的に重合させて得る場合と、汎用のポリスチレンを高分子反応でスルホン化して得る場合とがある。これらは、安価でイオン交換容量を制御しやすいうえ、繊維状、多孔膜状、ビーズ状と形状を自由に選択できるため、上記技術分野において広範に使用されている。
また、電解質の中で、イオン伝導性材料としては、ポリエチレンオキシドに代表されるポリエーテル類が有用であることも知られている。これらは、分子量などによって粘性を制御でき、各種金属塩をドープすることにより生ずる金属イオン伝導性を応用して、ポリマー電池、各種センサーに応用されている。
さらに、化学的に極めて安定な電解質として、フッ素系高分子電解質が知られている。ナフィオン(登録商標)(デュポン(株))に代表されるフッ素系高分子電解質は、化学的耐性の要求される食塩電解隔膜、燃料電池用プロトン伝導体膜等に応用されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
また、他の高分子電解質としては、主鎖に芳香族を有し、この芳香族にスルホン酸基を結合させた高分子電解質等が知られている(例えば、特許文献5、6参照)。
特開平8−164319号公報(第2ページ)
特開平4−305219号公報(第2ページ)
特開平3−15175号公報(第4ページ)
特開平1−253631号公報(第3ページ)
特開2001−250567号公報(第2ページ)
特開昭63−283707号公報(第1ページ)
ポリビニルベンゼンスルホン酸類は、安価でイオン交換容量を制御しやすいうえ、繊維状、多孔膜状、ビーズ状と形状を自由に選択できるため広範な用途が期待されるが、スルホン酸基の密度を上げようとすると水溶化してしまい、水中で形状を安定化させるために、例えばジビニルベンゼンなど架橋性モノマーを同時に使用しなければならない。しかし、連鎖反応であるラジカル重合反応の進行とともに溶媒に不溶化してしまうため、ゲル状膨潤体またはビーズ状粉体として重合物を得ることは容易であるが、メッシュ状シート、均一な薄膜として成形することは困難であった。そして、電子線誘起グラフト重合法などを用いれば、用途に適した形状の高分子基剤の表面にポリスチレンを化学的に結合させることが可能であり、これをさらにスルホン化することにより布状、多孔膜状、フィルム状のグラフト重合物を比較的容易に得ることができる。しかし、スルホン化反応が求電子置換反応であるため、用いることのできる高分子基剤はポリエチレンなどポリオレフィン系樹脂に制限されるため、耐熱性、機械的強度などを要求される用途には必ずしも満足するものではなかった。
一方、ポリエーテル類は、イオン伝導性などには優れるものの一般にゲル状であり、機械的強度を要求される用途には使用できなかった。
さらに、フッ素系高分子電解質は、化学的耐性、機械強度に優れるが、膨潤等による寸法変化が起こることが知られている。また、これらの高分子を得るための原料であるフッ素系モノマーは、対応するフッ素を水素に置換したモノマーに比べ非常に高価であるため、電気化学デバイスに用いるには制限があった。また製造の過程ではフッ素系化合物に親和性の高いハロゲン系有機溶媒等を使用する必要がある。近年、ハロゲン系化合物の環境への影響が懸念される社会状況であり、こうした製造過程でのハロゲン化合物の環境への漏洩、また製造物の使用後の廃棄過程においても焼却処理などにおける有害なハロゲン含有化合物の環境への放出が無いように配慮する必要が有り、こうした観点で環境負荷の小さい非ハロゲン系化合物の使用が望ましい。
また、芳香族にスルホン酸基を結合させた高分子電解質は、耐熱性があり、膜にした場合の強度が強いものであるが、成膜性が悪いという問題点があった。
さらに、電解質膜の洗浄工程や、電解質膜に所望のイオン電導性を付与するための酸処理工程を行っても、電解質膜の重量減少が少ない膜を得ることが求められる。
本発明の課題は、電気化学デバイスで使用するに充分な電解質特性を示し、かつ用途に応じて充分な耐熱性、機械的強度を有し、環境負荷の大きなフッ素などのハロゲン元素を含まず、製膜性など加工性に優れ充分に安価に製造可能であることに加え、電解質の酸処理工程または電解質膜の洗浄工程での重量減少を最小限に抑え、その結果スルホン酸基量の制御が容易になり、未反応官能基の量を減らすことによって電解質膜の化学的耐性・機械的強度の向上が期待できる高分子(樹脂)電解質、高分子(樹脂)電解質膜の製造方法、および高分子電解質膜を用いた電気化学デバイスを提供することにある。
本発明者らは、アニオン化剤を用いてスルホン酸基を有するエポキシ樹脂を製造することにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂である。
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜50の炭化水素鎖を、または、エーテル結合、水酸基、アミノ基、若しくはイミン結合、を有する炭素数1〜50の炭化水素鎖を、R3は、炭素数3または4の炭化水素鎖を、Mは、水素またはアルカリ金属原子を示す。)
本発明は、下記一般式(2)で表される構造を有することを特徴とする、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂である。
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、炭素数1〜50の炭化水素鎖を、または、エーテル結合、水酸基、アミノ基、若しくはイミン結合、を有する炭素数1〜50の炭化水素鎖を、R3は、炭素数3または4の炭化水素鎖を、Mは、アルカリ金属原子を示す。)
本発明は、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂の製造方法であって、(a)分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物に、活性水素1当量に対し0.1〜0.9当量のアニオン化剤を作用させてアミドイオンを生成する工程、(b)前記アミドイオンに、アニオン化剤と当量の環状スルトンを作用させて、スルホン酸塩を有するアミン化合物を得る工程、(c)前記スルホン酸塩を有するアミン化合物に残存するアミノ基由来の活性水素に対して、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物を当量作用させ、アミノ基とエポキシ基とを反応させる工程、を有することを特徴とする方法である。
本発明は、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂の製造方法であって、(a)分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物に、活性水素1当量に対し0.1〜0.9当量のアニオン化剤を作用させてアミドイオンを生成する工程、(b)前記アミドイオンに、アニオン化剤と当量の環状スルトンを作用させて、スルホン酸塩を有するアミン化合物を得る工程、(c)前記スルホン酸塩を有するアミン化合物に、分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物をさらに添加する工程、(d)系内に存在するアミノ基由来の活性水素に対して、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物を当量作用させ、アミノ基とエポキシ基とを反応させる工程、を有することを特徴とする方法である。
本発明は、上記の方法により製造されたスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂を、酸で処理することを特徴とする、遊離酸であるスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂の製造方法である。
本発明は、上記の遊離酸であるスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂を、リチウムイオンを含む溶液に浸蹟することを特徴とする、リチウム塩のスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂の製造方法である。
本発明は、上記の方法により製造される、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂である。
本発明は、上記の方法により製造される、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質である。
本発明は、上記の方法により製造される、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質膜である。
本発明は、上記のスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂、上記のスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質、または上記のスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質膜、を用いることを特徴とする電気化学デバイスである。
本発明によれば原料組成を制御することにより目的の用途に適した性状の膜を簡便且つ安価に製造でき、電解質膜のコンディショニング等における重量減少を抑制できることから工程の簡略化を図れる。また、膨潤度が低く電極への接合性、密着性が安定することが期待でき、さらに電解質特性、機械的強度および耐酸化性においても性能向上が期待できる。加えて本発明による樹脂電解質膜はその化学構造中にハロゲン元素を共有結合で導入していないので、廃棄等による環境負荷のリスクを低減できる。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明によれば、アミン化合物に適当なアニオン化剤を作用させ、アミド・アニオン種としたのち、環状スルトンを作用させることにより、アミノスルホン酸誘導体を生成させることができる。そして、このときのスルホン酸部位は、アミド・アニオンの対カチオンとのスルホン酸塩となっているため、つづいてエポキシ化合物を加えた際、エポキシ基とアミノ基との反応が阻害されることなしに、定量的に反応が進行して三次元架橋構造を形成することとなり、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂が得られることとなる。このとき、エポキシ樹脂中に存在するスルホン酸基は、アミド・アニオンの対カチオンとの塩となったままであるが、これを酸処理することにより容易に遊離のスルホン酸とすることができ、プロトン電導性の電解質を得ることが可能となる。さらに、遊離のスルホン酸を任意の塩にすることにより、所望のイオン電導性を付与することが可能となる。
本発明によれば、アミン化合物に適当なアニオン化剤を作用させ、アミド・アニオン種としたのち、環状スルトンを作用させることにより、アミノスルホン酸誘導体を生成させることができる。そして、このときのスルホン酸部位は、アミド・アニオンの対カチオンとのスルホン酸塩となっているため、つづいてエポキシ化合物を加えた際、エポキシ基とアミノ基との反応が阻害されることなしに、定量的に反応が進行して三次元架橋構造を形成することとなり、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂が得られることとなる。このとき、エポキシ樹脂中に存在するスルホン酸基は、アミド・アニオンの対カチオンとの塩となったままであるが、これを酸処理することにより容易に遊離のスルホン酸とすることができ、プロトン電導性の電解質を得ることが可能となる。さらに、遊離のスルホン酸を任意の塩にすることにより、所望のイオン電導性を付与することが可能となる。
ここで、二級アミンおよび一級アミンを有するアミン化合物を用いた際の反応スキームを、反応式1および反応式2にそれぞれ示した。アミン化合物一分子中に二級アミン、および/または一級アミンを複数個持っていても良いが、一般にアニオン化後の中間体の反応溶媒中での溶解性があまり高くないため、本発明で目的とする未反応官能基を減らすためには、一分子中のアミドアニオンの生成が1ないし2程度であることが望ましい。
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜50の炭化水素鎖を、または、エーテル結合、水酸基、アミノ基、若しくはイミン結合、を有する炭素数1〜50の炭化水素鎖を、Nuは水素アニオン、炭素アニオンまたは窒素アニオンを有する求核性基を、Mはアルカリ金属原子を、nは3または4の整数を、R3は炭素数3または4の炭化水素鎖を示す。)
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜50の炭化水素鎖を、または、エーテル結合、水酸基、アミノ基、若しくはイミン結合、を有する炭素数1〜50の炭化水素鎖を、Nuは水素アニオン、炭素アニオンまたは窒素アニオンを有する求核性基を、Mはアルカリ金属原子を、nは3または4の整数を、R3は炭素数3または4の炭化水素鎖を示す。)
本発明で使用される分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物は、アニオン化試剤によりアニオン化が可能であり、つづいて環状スルトンとの反応によりアミン残基を有するスルホン酸塩誘導体としたのち、エポキシ化合物を加えた際エポキシ環の開環反応が進行し、さらに目的の電気化学デバイスに用いるに充分なイオン伝導性、使用環境に耐えうる熱的特性・機械的特性を提供できれば特に制限はないが、具体的には次に例示されたものが本発明において使用可能である。
式(3)〜(5)または(6)(A1は炭素原子数2〜20の炭化水素基、または炭素原子数4〜20の炭化水素鎖中に1つ以上のエーテル結合を有する基。)で示されるアミン化合物、
式(7)、(8)(a1は2〜18の整数を、A2は炭素原子数2〜18の炭化水素基を、あるいは炭化水素鎖中に1つ以上のエーテル結合を有する基を示す。)、(9)または(10)で示される、分子内にアミノ基由来の活性水素を3有するアミン化合物、
式(11)(a1は2〜18の整数を示す。)、(12)、(13)(a2は1〜10000の整数を示す。)、(14)または(15)(m1は1〜100の整数を、a3は3〜18の整数を示す。)で示される、分子内にアミノ基由来の活性水素を4有するアミン化合物、
式(16)(a4は2〜100の整数を示す。)、(17)、(18)(x,y,zは、それぞれ独立に1〜20の整数を示す。)、(19)(a5は2〜1000の整数を、A3は水素またはメチル基を示す。)、(20)(a6,a7,a8,a9は、それぞれ独立に1〜20の整数を示す。)で示される、分子内にアミノ基由来の活性水を5以上有するアミン化合物、などが例示され、電解質特性、耐熱性、機械的特性および生産性などを制御するために、これらのアミン化合物を2種類以上同時に用いても良い。
本発明で用いられるアニオン化剤としては、アミノ基の水素を引き抜いてアニオン化できるものであれば特に制限はないが、例えばn−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、水素化ナトリウム、水素化リチウムなどのアニオン化試薬及びこれらを無水有機溶媒で希釈調製した溶液を用いることができる。
アニオン化の際に用いられる反応溶媒は、原料化合物が反応温度において液体であり、アニオン化とその後続く環状スルトンとの反応に支障がなければ用いなくても良いが、原料が固体の場合や、反応の均一性を向上させる必要のあるときは、適宜反応溶媒を用いることができる。この場合の反応溶媒としては、アニオン化に支障が無い程度に乾燥しており、アニオン化試剤あるいはアニオン化後のアミン誘導体と反応しにくいものであれば特に制限はないが、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシドなどの乾燥溶媒を挙げることができ、これらは、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
用いるアニオン化剤の量としては、アミン化合物の活性水素数、アニオン化後生成するアミドイオンの溶解性、後の工程のエポキシ化合物との反応性や、エポキシ化合物との反応によって生成するマトリックスの性状等を考慮して適宜決定されることとなる。例えば、アミン化合物に存在するアミノ基由来の活性水素1当量に対して、0.1〜0.9当量のアニオン化剤を作用させることが挙げられる。または、アミノ基由来の活性水素数が2の時はアミン化合物のモル量の1/2を超えない量、アミノ基由来の活性水素数が3以上の場合、一分子内のアニオン化種の数が2を越えないようにすることが望ましい。
アニオン化の際の反応温度としては、アニオン化剤、原料およびアニオン化されたアミン誘導体の溶解性や安定性を考慮して適宜決定されるが、通常−100℃から150℃、好ましくは−80℃から120℃でアニオン化を行うことができる。通常、数分から数十時間、アミン化合物のアニオン化を行い、その後アニオン化剤と当量の環状スルトンを、通常−80℃から50℃程度の温度で加えて数分から数時間撹拌すると、スルホン酸塩を有するアミン化合物を得ることができる。
本発明で使用される環状スルトン化合物は、アニオン化されたアミン化合物のアミドイオンが環状スルトンに作用し開環反応が進行してスルホン酸塩が生成すれば特に制限はないが、具体的には実用上入手の容易な式(21)および(22)で示されるものが使用可能である。
この際に用いる環状スルトンの量としては、上述のように、用いたアニオン化剤と当量であることが好ましい。
上記により得られたスルホン酸塩を有するアミン化合物のアミノ基由来の活性水素数と当量のエポキシ化合物を加えて架橋反応を行うことにより、本発明のスルホン酸基を有するエポキシ樹脂を製造することができる。
本発明で使用される分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物は、目的の電気化学デバイスに用いるに充分なイオン伝導性、使用環境に耐えうる熱的特性・機械的特性を提供できれば特に制限はないが、具体的には以下で例示されたものが本発明において使用可能である。
式(23)から(28)で示される、2官能性エポキシ化合物、
式(29)、(30)(b1およびb2は1〜1000の整数を示す。)で示される、2官能性エポキシ化合物、
式(31)、(32)、(33)で示される、2官能性エポキシ化合物、
式(34)、(35)(B1、B2、B3、B4は、それぞれ独立に−O−、−C(=O)O−、−NHC(=O)O−または−OC(=O)O−から選ばれる2価の連結基を、B5は−H、−CH3または−OCH3のいずれかの置換基を示す。)で示される、2官能性エポキシ化合物、
式(36)(B6、B7は、それぞれ独立に−O−、−C(=O)O−、−NHC(=O)O−または−OC(=O)O−から選ばれる2価の連結基を、B8およびB9は、それぞれ独立に−H、−CH3または−OCH3のいずれかの置換基を、b3およびb4は、それぞれ独立に0−4の整数を、B10は単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−NHC(=O)−、−NH−、−N=N−、−CH=N−、−CH=CH−、−C(CN)=N−、−C≡C−、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2
CH2CH2−、−C(CH3)2−または一般式−O−(CH2)m−O−、−O−(CH2CH2O)n−(mは2〜12の整数を、nは1〜5の整数を)のいずれかの2価の連結基を示す。)で示される、2官能性エポキシ化合物、
式(37)(b5は1〜100の整数を示す。)で示される、2官能性エポキシ化合物、
式(38)(x、y、zは、それぞれ独立に1〜20の整数を示す。)、(39)、(40)(B11、B12、B13は、それぞれ独立に−O−、−C(=O)O−、−NHC(=O)O−または−OC(=O)O−から選ばれる2価の連結基を示す。)、(41)(B14、B15、B16は、それぞれ独立に−O−、−C(=O)O−、−NHC(=O)O−または−OC(=O)O−から選ばれる2価の連結基を示す。)または(42)で示される、3官能性エポキシ化合物、
式(43)(B17は、メチレンまたは一般式(45)、(46)
(式中、b6は1〜3の整数を、b7は0〜2の整数を、b8は0〜4の整数を示す。)、で示される2価の連結基を示す。)または(44)で示される、4官能性エポキシ化合物、などが例示され、電解質特性、耐熱性、機械的特性および生産性などを制御するために、これらのエポキシ化合物を2種類以上同時に用いても良い。
CH2CH2−、−C(CH3)2−または一般式−O−(CH2)m−O−、−O−(CH2CH2O)n−(mは2〜12の整数を、nは1〜5の整数を)のいずれかの2価の連結基を示す。)で示される、2官能性エポキシ化合物、
さらに、多価のエポキシ化合物として、例えば特開昭61−247720号公報、特開昭61−246219号公報、特開昭63−10613号公報などで示された、多官能型エポキシ樹脂を単独、あるいはこれらのエポキシ化合物と合わせて用いてもよい。
なお、これら例示されたエポキシ化合物は市販されているものをそのまま、あるいは精製して用いることができるが、勿論、市販されていないものについては合成して本発明に用いることができる。
上述のように、上記の工程により得られたスルホン酸塩を有するアミン化合物に残存するアミノ基由来の活性水素に対して、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物を当量作用させて、架橋反応を行うことにより、本発明のスルホン酸基を有するエポキシ樹脂を製造することができる。また、得られるエポキシ樹脂は、スルホン酸基を有するために、電解質としての性質を有するものとなる。
なお、ここで得られるスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂は、一般式(1)または(2)で表される構造を分子内に有すると考えられる。
なお、ここで得られるスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂は、一般式(1)または(2)で表される構造を分子内に有すると考えられる。
また、エポキシ化合物は、必ずしもスルホン酸塩を有するアミン誘導体とのみ反応させるのではなく、用途に適した膜の性状を得るために、(3)〜(20)で例示されるような分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物を、上記の工程により得られたスルホン酸塩を有するアミン化合物と混合したものと反応させてもよい。即ち、上記の工程により得られたスルホン酸塩を有するとアミン化合物に、分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物をさらに添加し、系内に存在するアミノ基由来の活性水素に対して、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物を当量作用させ、アミノ基とエポキシ基とを反応させることもできる。さらに、分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物と分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物とを別途反応させてから、スルホン酸塩を有するアミン誘導体と混合しても良い。
エポキシ化合物による架橋工程においては、反応の均一性を高めるために通常エポキシ化合物に溶解性を示す有機溶媒が用いられる。この際に用いることのできる有機溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどを例示できる。さらにこれらの有機溶媒を2種以上混合して、または水を混合して使用することもできる。
なお、この架橋反応を行う際に、硬化前に製膜することによりエポキシ樹脂電解質膜を得ることができることとなる。
この場合の反応条件としては、架橋反応が進行し硬化前に製膜できるものであれば特に制限はないが、通常0℃から150℃の温度範囲で数分から十数時間反応させた後、製膜する。製膜方法としては、用途に適した膜の性状が得られれば特に制限はないが、例えば溶媒キャスト法、スピンコート法、転写法、印刷法など公知の方法を用いることができる。また圧延、延伸などの機械的処理と組み合わせて製膜することもできる。
この場合の反応条件としては、架橋反応が進行し硬化前に製膜できるものであれば特に制限はないが、通常0℃から150℃の温度範囲で数分から十数時間反応させた後、製膜する。製膜方法としては、用途に適した膜の性状が得られれば特に制限はないが、例えば溶媒キャスト法、スピンコート法、転写法、印刷法など公知の方法を用いることができる。また圧延、延伸などの機械的処理と組み合わせて製膜することもできる。
製膜後得られるスルホン酸塩を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質膜は、用途に応じてM+イオンを別の化学種に変換することができる。例えば、プロトン伝導性を付与させるには、該樹脂電解質膜を酸を含む溶液に浸蹟し、膜中のスルホン酸塩を遊離のスルホン酸へと変換することによって達成できる。このときの酸を含む溶液である変換処理剤は、膜中に遊離のスルホン酸基を生成できるものであれば特に制限はないが、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素、沃化水素、リン酸などの無機酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フルオロ酢酸、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸などの有機酸、またはメチル硫酸、ジメチル硫酸などの化合物を用いることができるが、取り扱いの容易さ、安価である点を考慮すると硫酸または塩酸を用いるのが望ましい。このときの溶媒としては、膜を傷めずに変換処理剤が作用できれば特に制限はないが、水、アルコール(C1〜C4)、酢酸、アセトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシドなどを単独で、あるいはこれらを2種類以上混合して用いることができる。変換処理は、変換処理剤を上記溶媒に混合した溶液に膜を接触できれば特に制限なく、処理温度は例えば0℃から150℃程度の範囲で溶媒の種類に応じて、また膜への影響を考慮して適宜決定することができる。
さらに、リチウムイオン伝導性を付与するためには、先に述べたスルホン酸塩を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質膜のM+イオン種がリチウムイオンであった場合においても、リチウムイオンのドープ量を制御するために、あるいは後述の洗浄工程を経るために、上述の遊離のスルホン酸へと変換した樹脂電解質膜にリチウムイオンをドープすることによって達成できる。実用的なリチウムイオン輸率を実現するには、該エポキシ樹脂を合成する際用いるエポキシ化合物またはアミン化合物としてエーテル結合を多数含むものを用い、該エポキシ樹脂の性状としては柔軟なゲル状電解質となるように、組成を制御すればよい。リチウムイオンのドープ方法等については例えば「高密度リチウム二次電池」(1998年、テクノシステムズ)に記載の公知な方法を用いればよい。
膜中からの不純物等の溶離が電気デバイスの性能に悪影響を及ぼす恐れがある場合には、該樹脂電解質膜を洗浄してその用途に供することができる。前述の遊離のスルホン酸を生成させるための変換処理をそのまま洗浄処理として利用することが可能であり、あるいは水、アルコール(C1〜C4)、アセトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの溶媒に浸蹟して不純物等を溶出させることが可能である。その上でさらに樹脂電解質を蒸留水で数時間から数日煮沸処理して洗浄を完結することが望ましい。
なお、本発明により、酸処理工程や洗浄工程を行っても、電解質膜の重量減少が少ない膜が得られるのは、以下の理由によるものと考えられる。即ち、アニオン化剤を用いずにアミノ基に環状スルトン化合物を作用させた場合には、スルホン酸のアミン塩が生成し、そのためにつづくエポキシ化合物との反応においてアミノ基とエポキシ基との反応が阻害される恐れがある。結果として未反応の原料化合物、あるいは三次元的架橋反応によって充分に樹脂マトリックス中に固定されていない成分が、電解質膜を酸処理することによって遊離のスルホン酸を電解質膜中に生成させる工程、あるいは膜の洗浄工程で流出し、これらの工程の前後で比較的大きな重量減少を示すものと推察される。
一方、本発明のように、アミン化合物に適当なアニオン化剤を作用させ、アミド・アニオン種としたのち、環状スルトンを作用させることにより、アミノスルホン酸誘導体を生成させることができることとなる。そして、このときのスルホン酸部位は、アミド・アニオンの対カチオンとのスルホン酸塩となっているため、つづいてエポキシ化合物を加えた際、エポキシ基とアミノ基との反応が阻害されることなしに、定量的に反応が進行して三次元架橋構造を形成することとなり、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂が得られることとなる。このとき、エポキシ樹脂中に存在するスルホン酸基は、アミド・アニオンの対カチオンとの塩となったままであるが、これを酸処理することにより容易に遊離のスルホン酸とすることができ、プロトン電導性の電解質を得ることが可能となる。さらに、遊離のスルホン酸を任意の塩にすることにより、所望のイオン電導性を付与することが可能となる。また、スルホン酸基を有するエポキシ樹脂を酸処理あるいは洗浄処理に供するにあたって、未反応成分、あるいは充分にマトリックス中に固定されていない成分の流出を抑制することが可能となるものと考えられる。
次に本発明の実施例を示すが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
まず、本発明の実施例として開示されるスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質膜を作製するために用いた原料のアミン化合物の化学構造と略号を表1に、それより誘導されるスルホン酸塩を有するアミン誘導体および環状スルトンの化学構造と略号を表2に、およびエポキシ化合物の化学構造と略号を表3にそれぞれ示す。
まず、本発明の実施例として開示されるスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質膜を作製するために用いた原料のアミン化合物の化学構造と略号を表1に、それより誘導されるスルホン酸塩を有するアミン誘導体および環状スルトンの化学構造と略号を表2に、およびエポキシ化合物の化学構造と略号を表3にそれぞれ示す。
<製造例1:S−1の合成>
アルゴン雰囲気下、0.30g(1.24mmol)のA−1をTHF4mlに溶解し、氷浴にて冷却した後、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)0.78ml(1.24mmol)をゆっくり滴下し30分間撹拌した。その後15分かけて室温にしたのち、0.11ml(1.24mmol)のS−4を滴下しさらに30分間撹拌した。溶媒を留去し、無色粉末のS−1を0.45g(収率:99%)得た。
1H−NMR,δ(ppm,DMSO−d6,400MHz):0.85(3H,t,CH3,J=7.02Hz),1.23(26H,s,CH2),1.38(2H,m,CH2),1.63(1H,quin,CH2,J=7.31Hz),1.70(1H,m,CH2),2.35(2H,t,CH2,J=7.75Hz),2.43(1H,m,CH2),2.58(1H,m,CH2).
アルゴン雰囲気下、0.30g(1.24mmol)のA−1をTHF4mlに溶解し、氷浴にて冷却した後、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)0.78ml(1.24mmol)をゆっくり滴下し30分間撹拌した。その後15分かけて室温にしたのち、0.11ml(1.24mmol)のS−4を滴下しさらに30分間撹拌した。溶媒を留去し、無色粉末のS−1を0.45g(収率:99%)得た。
1H−NMR,δ(ppm,DMSO−d6,400MHz):0.85(3H,t,CH3,J=7.02Hz),1.23(26H,s,CH2),1.38(2H,m,CH2),1.63(1H,quin,CH2,J=7.31Hz),1.70(1H,m,CH2),2.35(2H,t,CH2,J=7.75Hz),2.43(1H,m,CH2),2.58(1H,m,CH2).
<製造例2:S−2の合成>
アルゴン雰囲気下、0.13ml(1.0mmol)のA−2をTHF2mlに溶解し−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)0.63ml(1.0mmol)をゆっくり滴下しそのまま1時間撹拌した。そこへ、THF1mlに溶解した0.088ml(1.0mmol)のS−4を5分間かけて滴下し、さらに30分間撹拌した。室温に戻しながら30分撹拌を続けた後、エーテルを過剰に加え沈澱物をろ過した。60℃で真空乾燥し、無色粉末のS−2を0.18g(68%)得た。
1H−NMR,δ(ppm,D2O,400MHz):1.97(2H,quin,CH2,J=7.6Hz),2.75(2H,t,CH2,J=7.2Hz),2.91(2H,t,CH2,J=7.6Hz),3.35(2H,t,CH2,J=7.2Hz),3.43(2H,t,CH2,J=7.6Hz),6.78(1H,t,Ph,J=7.2Hz),6.88(2H,d,Ph,J=8.8Hz),7.30(2H,d×d,Ph,J=7.2,8.8Hz).
アルゴン雰囲気下、0.13ml(1.0mmol)のA−2をTHF2mlに溶解し−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)0.63ml(1.0mmol)をゆっくり滴下しそのまま1時間撹拌した。そこへ、THF1mlに溶解した0.088ml(1.0mmol)のS−4を5分間かけて滴下し、さらに30分間撹拌した。室温に戻しながら30分撹拌を続けた後、エーテルを過剰に加え沈澱物をろ過した。60℃で真空乾燥し、無色粉末のS−2を0.18g(68%)得た。
1H−NMR,δ(ppm,D2O,400MHz):1.97(2H,quin,CH2,J=7.6Hz),2.75(2H,t,CH2,J=7.2Hz),2.91(2H,t,CH2,J=7.6Hz),3.35(2H,t,CH2,J=7.2Hz),3.43(2H,t,CH2,J=7.6Hz),6.78(1H,t,Ph,J=7.2Hz),6.88(2H,d,Ph,J=8.8Hz),7.30(2H,d×d,Ph,J=7.2,8.8Hz).
<製造例3: S−3の合成>
アルゴン雰囲気下、0.312g(2.68mmol)のA−3をTHF(脱水)10mlに溶解し、氷浴下、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)1.68ml(2.68mmol)をゆっくり滴下しそのまま30分間撹拌した。室温に戻した後、0.327g(2.68mmol)のS−4を加えて30分間撹拌した。溶媒を減圧留去したところ、無色粉末のS−3を0.649g(99%)得た。
1H−NMR,δ(ppm,D2O,400MHz):1.34(4H,m,CH2),1.49(4H,m,CH2),1.94(2H,m,CH2),2.70(4H,m,CH2),2.93(2H,t,CH2,J=8.0Hz).
アルゴン雰囲気下、0.312g(2.68mmol)のA−3をTHF(脱水)10mlに溶解し、氷浴下、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)1.68ml(2.68mmol)をゆっくり滴下しそのまま30分間撹拌した。室温に戻した後、0.327g(2.68mmol)のS−4を加えて30分間撹拌した。溶媒を減圧留去したところ、無色粉末のS−3を0.649g(99%)得た。
1H−NMR,δ(ppm,D2O,400MHz):1.34(4H,m,CH2),1.49(4H,m,CH2),1.94(2H,m,CH2),2.70(4H,m,CH2),2.93(2H,t,CH2,J=8.0Hz).
<実施例1>
アルゴン雰囲気下、0.044g(0.38mmol)のA−3および製造例1で示した方法で合成された0.15g(0.75mmol)のS−1をDMF(脱水)2mlに溶解した。ここへDMF0.5mlに溶解した0.28g(0.14mmol)のE−1を加えて80℃で4時間撹拌した。さらにDMF0.5mlに溶解した0.28g(0.61mmol)のE−2を加えて80℃で15分間撹拌した。反応溶液をDMF(脱水)2mlで希釈した後、この反応溶液5mlをガラス板(10cmx10cm)上にキャストした。60℃で一晩、120℃で6時間加熱処理を行ったところ、しなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を110℃で一晩真空乾燥したときの重量を、W0とした。次に、この膜を1mol/lの硫酸水溶液に浸蹟して1時間煮沸、続いて純水に浸蹟して1時間煮沸し、さらに110℃で一晩真空乾燥したときの重量をW1とした。煮沸処理による重量変化率ΔW=(W1−W0)/W0x100(%)を求めたところ、−1.5%であった。
なお、スルホン酸リチウム塩が100%スルホン酸に変換したと仮定してその重量減少分を差し引くと、ΔWは−0.9%となった。
アルゴン雰囲気下、0.044g(0.38mmol)のA−3および製造例1で示した方法で合成された0.15g(0.75mmol)のS−1をDMF(脱水)2mlに溶解した。ここへDMF0.5mlに溶解した0.28g(0.14mmol)のE−1を加えて80℃で4時間撹拌した。さらにDMF0.5mlに溶解した0.28g(0.61mmol)のE−2を加えて80℃で15分間撹拌した。反応溶液をDMF(脱水)2mlで希釈した後、この反応溶液5mlをガラス板(10cmx10cm)上にキャストした。60℃で一晩、120℃で6時間加熱処理を行ったところ、しなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を110℃で一晩真空乾燥したときの重量を、W0とした。次に、この膜を1mol/lの硫酸水溶液に浸蹟して1時間煮沸、続いて純水に浸蹟して1時間煮沸し、さらに110℃で一晩真空乾燥したときの重量をW1とした。煮沸処理による重量変化率ΔW=(W1−W0)/W0x100(%)を求めたところ、−1.5%であった。
なお、スルホン酸リチウム塩が100%スルホン酸に変換したと仮定してその重量減少分を差し引くと、ΔWは−0.9%となった。
<実施例2>
アルゴン雰囲気下、0.21g(0.11mmol)のE−1、0.016g(0.14mmol)のA−3および製造例2で示した方法で合成された0.15g(0.57mmol)のS−2をDMF(脱水)0.8mlに溶解し、80℃で4時間攪拌した。そこへ、DMF0.5mlに溶解した0.21g(0.46mmol)のE−2を加え80℃で10分間攪拌した後、DMF1.3mlで希釈した。この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストした。60℃で一晩、120℃で6時間加熱処理を行ったところ、しなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、−0.5%であった。なお、スルホン酸リチウム塩が100%スルホン酸に変換したと仮定してその重量減少分を差し引くと、ΔWは+0.1%となった。
アルゴン雰囲気下、0.21g(0.11mmol)のE−1、0.016g(0.14mmol)のA−3および製造例2で示した方法で合成された0.15g(0.57mmol)のS−2をDMF(脱水)0.8mlに溶解し、80℃で4時間攪拌した。そこへ、DMF0.5mlに溶解した0.21g(0.46mmol)のE−2を加え80℃で10分間攪拌した後、DMF1.3mlで希釈した。この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストした。60℃で一晩、120℃で6時間加熱処理を行ったところ、しなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、−0.5%であった。なお、スルホン酸リチウム塩が100%スルホン酸に変換したと仮定してその重量減少分を差し引くと、ΔWは+0.1%となった。
<実施例3>
アルゴン雰囲気下、0.058g(0.40mmol)のA−4および製造例1で示した方法で合成された0.16g(0.79mmol)のS−1をDMF(脱水)2mlに溶解した。さらにDMF1mlに溶解した0.54g(1.58mmol)のE−3を加えて80℃で2時間撹拌した。次にDMF(脱水)3mlで希釈した後、この反応液5mlをガラス板(10cmx10cm)上にキャストした。60℃で一晩、100℃で6時間加熱処理を行ったところ、しなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な方法で煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、+6.4%であった。なお、スルホン酸リチウム塩が100%スルホン酸に変換したと仮定してその重量減少分を差し引くと、ΔWは+7.0%となった。
アルゴン雰囲気下、0.058g(0.40mmol)のA−4および製造例1で示した方法で合成された0.16g(0.79mmol)のS−1をDMF(脱水)2mlに溶解した。さらにDMF1mlに溶解した0.54g(1.58mmol)のE−3を加えて80℃で2時間撹拌した。次にDMF(脱水)3mlで希釈した後、この反応液5mlをガラス板(10cmx10cm)上にキャストした。60℃で一晩、100℃で6時間加熱処理を行ったところ、しなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な方法で煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、+6.4%であった。なお、スルホン酸リチウム塩が100%スルホン酸に変換したと仮定してその重量減少分を差し引くと、ΔWは+7.0%となった。
<実施例4>
アルゴン雰囲気下、0.27g(0.80mmol)のE−3、0.024ml(0.16mmol)のA−4および製造例2で示した方法で合成された0.079g(0.32mmol)のS−2をDMF(脱水)1.3mlに溶解し80℃で2時間攪拌した後、DMF1.3mlで希釈し、この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストした。60℃で一晩、100度で6時間加熱処理を行ったところ、しなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、0.0%であった。なお、スルホン酸リチウム塩が100%スルホン酸に変換したと仮定してその重量減少分を差し引くと、ΔWは+0.6%となった。
アルゴン雰囲気下、0.27g(0.80mmol)のE−3、0.024ml(0.16mmol)のA−4および製造例2で示した方法で合成された0.079g(0.32mmol)のS−2をDMF(脱水)1.3mlに溶解し80℃で2時間攪拌した後、DMF1.3mlで希釈し、この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストした。60℃で一晩、100度で6時間加熱処理を行ったところ、しなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、0.0%であった。なお、スルホン酸リチウム塩が100%スルホン酸に変換したと仮定してその重量減少分を差し引くと、ΔWは+0.6%となった。
<実施例5>
アルゴン雰囲気下、製造例3で示した方法で合成された0.649g(2.67mmol)のS−3をDMF4mlおよび水0.2mlの混合溶媒に溶解した。ここへDMF1mlに溶解した1.00g(0.513mmol)のE−1を加えて80℃で4時間撹拌した。さらにDMF2mlに溶解した1.00g(2.17mmol)のE−2を加えて80℃で30分間撹拌した。反応溶液をDMF6mlで希釈した後、この反応溶液5mlをガラス板(10cmx10cm)上にキャストした。60℃で一晩、120℃で6時間加熱処理を行ったところ、しなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な方法で煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、−1.6%であった。なお、スルホン酸リチウム塩が100%スルホン酸に変換したと仮定してその重量減少分を差し引くと、ΔWは−1.0%となった。
アルゴン雰囲気下、製造例3で示した方法で合成された0.649g(2.67mmol)のS−3をDMF4mlおよび水0.2mlの混合溶媒に溶解した。ここへDMF1mlに溶解した1.00g(0.513mmol)のE−1を加えて80℃で4時間撹拌した。さらにDMF2mlに溶解した1.00g(2.17mmol)のE−2を加えて80℃で30分間撹拌した。反応溶液をDMF6mlで希釈した後、この反応溶液5mlをガラス板(10cmx10cm)上にキャストした。60℃で一晩、120℃で6時間加熱処理を行ったところ、しなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な方法で煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、−1.6%であった。なお、スルホン酸リチウム塩が100%スルホン酸に変換したと仮定してその重量減少分を差し引くと、ΔWは−1.0%となった。
<比較例1>
アルゴン雰囲気下、0.18g(0.75mmol)のA−1および0.044g(0.38mmol)のA−3をDMF(脱水)2mlに溶解した。ここへDMF0.5mlに溶解した0.28g(0.14mmol)のE−1を加えて80℃で4時間撹拌した。これにDMF0.5mlに溶解した0.28g(0.61mmol)のE−2を加えて80℃で15分間撹拌した。DMF2mlで希釈したのち、室温で0.09g(0.75mmol)のS−4を加えて5分間撹拌し、この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストした。60℃で一晩、120度で6時間加熱処理を行ったところ柔軟な膜を得た。
この膜を実施例1と同様な方法で煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、−3.9%であった。
アルゴン雰囲気下、0.18g(0.75mmol)のA−1および0.044g(0.38mmol)のA−3をDMF(脱水)2mlに溶解した。ここへDMF0.5mlに溶解した0.28g(0.14mmol)のE−1を加えて80℃で4時間撹拌した。これにDMF0.5mlに溶解した0.28g(0.61mmol)のE−2を加えて80℃で15分間撹拌した。DMF2mlで希釈したのち、室温で0.09g(0.75mmol)のS−4を加えて5分間撹拌し、この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストした。60℃で一晩、120度で6時間加熱処理を行ったところ柔軟な膜を得た。
この膜を実施例1と同様な方法で煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、−3.9%であった。
<比較例2>
アルゴン雰囲気下、0.28g(0.14mmol)のE−1、0.10g(0.75mmol)のA−2および0.022g(0.19mmol)のA−3をDMF(脱水)2.5mlに溶解し、80℃で4時間撹拌した。そこへ、DMF0.5mlに溶解した0.28g(0.61mmol)のE−2を加え80℃で10分間撹拌した。DMF2.0mlを加えて反応液を希釈したのち室温に冷却し、さらに0.09g(0.75mmol)のS−4を加えて5分間撹拌した。この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストし、60℃で一晩、120℃で6時間加熱処理を行ったところしなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な方法で煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、−4.6%であった。
アルゴン雰囲気下、0.28g(0.14mmol)のE−1、0.10g(0.75mmol)のA−2および0.022g(0.19mmol)のA−3をDMF(脱水)2.5mlに溶解し、80℃で4時間撹拌した。そこへ、DMF0.5mlに溶解した0.28g(0.61mmol)のE−2を加え80℃で10分間撹拌した。DMF2.0mlを加えて反応液を希釈したのち室温に冷却し、さらに0.09g(0.75mmol)のS−4を加えて5分間撹拌した。この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストし、60℃で一晩、120℃で6時間加熱処理を行ったところしなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な方法で煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、−4.6%であった。
<比較例3>
アルゴン雰囲気下、0.19g(0.79mmol)のA−1および0.058g(0.40mmol)のA−4をDMF(脱水)2mlに溶解した。ここへDMF1mlに溶解した0.54g(1.58mmol)のE−3を加えて80℃で2時間撹拌した。DMF3mlで希釈し、室温で0.09g(0.75mmol)のS−4を加えて5分間撹拌した。この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストし、60℃で一晩、100℃で6時間加熱処理を行ったところ、硬くて脆い膜となり、ガラス板から剥離することができなかった。
アルゴン雰囲気下、0.19g(0.79mmol)のA−1および0.058g(0.40mmol)のA−4をDMF(脱水)2mlに溶解した。ここへDMF1mlに溶解した0.54g(1.58mmol)のE−3を加えて80℃で2時間撹拌した。DMF3mlで希釈し、室温で0.09g(0.75mmol)のS−4を加えて5分間撹拌した。この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストし、60℃で一晩、100℃で6時間加熱処理を行ったところ、硬くて脆い膜となり、ガラス板から剥離することができなかった。
<比較例4>
アルゴン雰囲気下、0.54g(1.58mmol)のE−3、0.086g(0.16mmol)のA−2および0.046g(0.32mmol)のA−4をDMF(脱水)3mlに溶解し80℃で2時間攪拌した。DMF3mlで希釈し、室温で0.09g(0.75mmol)のS−4を加えて5分間撹拌した。この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストし、60℃で一晩、100℃で6時間加熱処理を行ったところ、硬くて脆い膜となり、ガラス板から剥離することができなかった。
アルゴン雰囲気下、0.54g(1.58mmol)のE−3、0.086g(0.16mmol)のA−2および0.046g(0.32mmol)のA−4をDMF(脱水)3mlに溶解し80℃で2時間攪拌した。DMF3mlで希釈し、室温で0.09g(0.75mmol)のS−4を加えて5分間撹拌した。この反応液2.5mlをガラス板(10cmx5cm)上にキャストし、60℃で一晩、100℃で6時間加熱処理を行ったところ、硬くて脆い膜となり、ガラス板から剥離することができなかった。
<比較例5>
アルゴン雰囲気下、0.50g(4.30mmol)のA−3をDMF(脱水)3mlに溶解し、そこへDMF2mlに溶解した1.61g(0.83mmol)のE−1を加え80℃で4時間撹拌した。さらにDMF4mlに溶解した1.61g(3.48mmol)のE−2を加え80℃で15分間撹拌した。室温に冷却し、0.53g(4.30mmol)のS−4を加えて10分間撹拌した。DMF(脱水)9mlを加えて反応液を希釈した後、この反応液4.5mlをガラス板(10cmx10cm)上にキャストし、60℃で一晩、120℃で6時間加熱処理を行ったところしなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な方法で煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、−3.9%であった。
アルゴン雰囲気下、0.50g(4.30mmol)のA−3をDMF(脱水)3mlに溶解し、そこへDMF2mlに溶解した1.61g(0.83mmol)のE−1を加え80℃で4時間撹拌した。さらにDMF4mlに溶解した1.61g(3.48mmol)のE−2を加え80℃で15分間撹拌した。室温に冷却し、0.53g(4.30mmol)のS−4を加えて10分間撹拌した。DMF(脱水)9mlを加えて反応液を希釈した後、この反応液4.5mlをガラス板(10cmx10cm)上にキャストし、60℃で一晩、120℃で6時間加熱処理を行ったところしなやか且つ丈夫な膜が得られた。
この膜を実施例1と同様な方法で煮沸処理を行ったところ、煮沸処理での重量変化率ΔWは、−3.9%であった。
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4、および実施例5と比較例5は膜の作製方法が異なるものの、各原料成分の含量がそれぞれ同じである。表4に煮沸処理による重量変化をまとめたが、このように本発明で作製されたスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質膜は、一般的な膜のコンディショニングに用いられる煮沸処理時における重量減少を抑制できることがわかる。
<参考例>
本発明によれば煮沸処理における重量減少を抑制できるが、これは即ち三次元架橋構造が発達し、またスルホン酸基がマトリックス中に共有結合によってしっかりと固定されていることを示す。こうした特長は電解質膜として諸性質に反映される。
一例として表5に熱物性、機械的強度および酸化劣化挙動に関する参考値を示す。
本発明によれば煮沸処理における重量減少を抑制できるが、これは即ち三次元架橋構造が発達し、またスルホン酸基がマトリックス中に共有結合によってしっかりと固定されていることを示す。こうした特長は電解質膜として諸性質に反映される。
一例として表5に熱物性、機械的強度および酸化劣化挙動に関する参考値を示す。
表5に示した結果から、電気デバイスへの応用を考えると、膨潤度が低く電極への接合性、密着性が安定することが期待でき、さらに電解質特性、機械的強度および耐酸化性においても性能向上が期待できる。
Claims (10)
- スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂の製造方法であって、
(a)分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物に、活性水素1当量に対し0.1〜0.9当量のアニオン化剤を作用させてアミドイオンを生成する工程、
(b)前記アミドイオンに、アニオン化剤と当量の環状スルトンを作用させて、スルホン酸塩を有するアミン化合物を得る工程、
(c)前記スルホン酸塩を有するアミン化合物に残存するアミノ基由来の活性水素に対して、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物を当量作用させ、アミノ基とエポキシ基とを反応させる工程、
を有することを特徴とする方法。 - スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂の製造方法であって、
(a)分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物に、活性水素1当量に対し0.1〜0.9当量のアニオン化剤を作用させてアミドイオンを生成する工程、
(b)前記アミドイオンに、アニオン化剤と当量の環状スルトンを作用させて、スルホン酸塩を有するアミン化合物を得る工程、
(c)前記スルホン酸塩を有するアミン化合物に、分子内にアミノ基由来の活性水素を2つ以上有するアミン化合物をさらに添加する工程、
(d)系内に存在するアミノ基由来の活性水素に対して、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物を当量作用させ、アミノ基とエポキシ基とを反応させる工程、
を有することを特徴とする方法。 - 請求項3または4に記載の方法により製造されたスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂を、酸で処理することを特徴とする、遊離酸であるスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂の製造方法。
- 請求項5に記載の遊離酸であるスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂を、リチウムイオンを含む溶液に浸蹟することを特徴とする、リチウム塩のスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂の製造方法。
- 請求項3〜6のいずれかに記載の方法により製造される、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂。
- 請求項3〜6のいずれかに記載の方法により製造される、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質。
- 請求項3〜6のいずれかに記載の方法により製造される、スルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質膜。
- 請求項1、2若しくは7に記載のスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂、請求項8に記載のスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質、または請求項9に記載のスルホン酸基を有するアミン硬化型エポキシ樹脂電解質膜、を用いることを特徴とする電気化学デバイス。
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KR100956652B1 (ko) | 2007-12-28 | 2010-05-10 | 연세대학교 산학협력단 | 가교 고분자 전해질막, 가교 고분자 전해질막의 제조방법및 그 전해질막을 포함하는 연료전지 |
WO2012132243A1 (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-04 | キヤノン株式会社 | イオン導電性樹脂、および電子写真用導電性部材 |
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-
2004
- 2004-03-30 JP JP2004097652A patent/JP2005281497A/ja not_active Withdrawn
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