JP2005281086A - 複合体型混合導電体及びその製造方法 - Google Patents

複合体型混合導電体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 GdがドープされたCeOをCo及びFeとともに結晶粒が粗大化しない温度域で焼成するプロセスによりGDC/MFOを製造するにあたって、酸素イオン導電体相(GDC)の組成ずれに起因する酸素透過特性の劣化を抑制するとともに、異相生成をより低減する。
【解決手段】 Ce1−XGd2−X/2(ただし、0<X<0.5)の組成式で表されるGdがドープされた酸化セリウムから構成される酸素イオン導電体相と、MFe4-δ(ただし、M=Mn、Co及びNiの1種又は2種以上、y<2)の組成式で表されるスピネル型Fe複合酸化物から構成される電子導電体相とを含み、それぞれの相が焼成により結合した複合体型混合導電体は、酸素透過特性が高く、かつ異相の生成が抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素イオン、電子混合導電性及び酸素透過機能を有する、更に詳しくは、燃料電池の電極材料、空気からの酸素分離又は天然ガスの部分酸化に供される酸素透過膜として好適に使用され得る複合体型混合導電体に関する。
燃料電池に必要な水素を製造する手法として、メタン(CH)を主成分とする天然ガス改質が最も現実的かつ効率的と考えられている。天然ガス改質の方法としては、従来より、以下の反応式(1)による水蒸気改質法が知られている。この水蒸気改質法によれば、以下の反応式(2)によるシフト反応を利用することにより1モルのメタンから4モルの水素を製造することが可能である。ところが、水蒸気改質法においては、(1)の反応時に200kJ/mol程度の大きな吸熱を伴う。したがって、定常運転に到るまでの起動時間が長くかかり、かつ反応を維持するために大量の熱を供給する必要がある。
CH+HO→CO+3H…(1)
CO+HO→CO+H…(2)
水素の製造方法としては、水蒸気改質法の他に、以下の式(3)の反応式による部分酸化法も知られている。部分酸化法は、上記シフト反応を用いることにより1モルのメタンから3モルの水素を製造することができる。また、式(3)の反応は36kJ/mol程度の発熱反応であり、エネルギー効率、起動性の観点から望ましい天然ガスの改質方法と言える。ところが、部分酸化法は、酸化剤として空気を用いると水素が窒素との混合ガスとして生成されるためその濃度が低い。酸化剤として純酸素を用いると水素濃度が低くなるということはないがコストが高くなる等の問題があるため、水蒸気改質法に比べて注目の度合いが小さかった。
CH+1/2O→CO+2H…(3)
ところが、部分酸化法に酸素透過性のセラミックスを用いると以上の問題点が解消される。つまり、酸素イオンと電子のみが伝導できる混合導電体としての酸素透過性セラミックスを挟んで、その一方の側に空気、他方の側に天然ガスを供給することにより、純酸素が天然ガス側に供給され、メタン側で部分酸化反応が引き起こされる。
この混合導電体としては、従来、単相型ペロブスカイト型構造酸化物を中心に開発が進められてきたが、近時、複合体型の混合導電体も着目されている。複合体型混合導電体は、酸素イオン導電体相と電子導電体相の複相から構成されるものである。複合体型混合導電体は、酸素イオン導電体と電子導電体を個別に選択できるため材料の選択範囲が広く、かつ見掛けの混合導電性を両者の体積比率で制御しうるという利点がある。一方で、酸素の吸収・放出に寄与する場所が酸素分子、酸素イオン導電体及び電子導電体の3相が共存する3重点に限られるため、結晶組織を微細にすることが望まれる。また、酸素イオン導電体と電子導電体との間で化学反応が起こり、その界面に酸素イオン及び電子の移動を阻害する絶縁相が形成されないことが要求される。
以上の特性を備えた複合体型混合導電体として、非特許文献1には、Gdがドープされた酸化セリウムを酸素イオン導電体相とし、スピネル型Fe複合酸化物を電子導電体相とするセラミックス焼成体が開示されている。このセラミックス焼成体は、典型的には、酸素イオン導電体相がCe0.8Gd0.21.9から構成され、電子導電体相がMFe(M=Co、Mn)から構成される。この複合体型混合導電体をGDC/MFOと言うことがある。
Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.756 2003 Materials Research Society "Preparation and Oxygen Permeability of Gd-Doped Ceria and Spinel-Type Ferrite Composites" 米国特許第3330697号公報
非特許文献1に開示される複合体型混合導電体は、Ce0.8Gd0.22−δ−MFe(M=Co、Mn)混合組成物をペッチーニ法(詳しくは特許文献1)により作製している。液相法に属するペッチーニ法によれば、分子レベルでの各構成元素の混合状態に優れる混合粉末を得ることができる。そのため、1300℃という比較的低温度における焼成によりGdがドープされた焼成体を得ることができる。
しかし、ペッチーニ法のために用意される生原料は、Ce(NO・6HO、Gd(NO・5HO、Co(NO・6HO、Mn(NO・6HO、Fe(NO・9HOであり、更にキレート錯体配位子として無水クエン酸、重合剤としてエチレングリコールが必要である。このようにペッチーニ法は、特別な出発原料等が必要な液相法であることから、生産性、コストの観点からすると、より実用的な製造方法の登場が期待されている。
また、焼成体の組織を微細にするために、より低温度で焼成できることが望ましい。
GDC/MFOを得る際の原料として酸化物粉末を用いることは、前述したペッチーニ法のような液相法に比べて生産性に優れ、かつコスト的にも有利である。出発原料となり得るCeO、Gd、Co、Feは、セラミックスの原料として、容易に入手することができるからである。CeO、Gd、Co、Feを原料粉末として混合し、その後焼成することにより、GDCとMFOを生成させることができる。ところが、本発明者等の検討によると、GDCを得る、つまりGdをCeO中に十分にドープさせるためには1600℃程度の高温度域での焼成が必要となる。しかし、このような高温度域での焼成を行なうと、結晶粒子が異常に成長してしまい、複合体型混合導電体として要求される結晶粒の微細化という要求を満足することができない。一方で、微細結晶粒が得られる程度の温度で焼成を行なうと、GdをCeO中に十分にドープさせることができず、また緻密化が不十分である。さらに、CeO、Gd、Co、Feを原料粉末とした場合に、GDC、MFO以外の異相の生成が顕著に観察された。
そこで本発明者等は、Co及びFeとともに焼成する前に、GdをCeOにドープさせ、しかる後にGdがドープされたCeOをCo及びFeとともに結晶粒が粗大化しない温度域で焼成するプロセスによりGDC/MFOの製造を試みた。その結果、得られたGDC/MFOは、微細な結晶組織を有する緻密な焼成体から構成され、かつ異相の発生を低減することができた。しかも、ペッチーニ法による従来のGDC/MFOと同等又はそれ以上の酸素透過特性を得ることができた。
ところが、この方法によって製造された複合体型混合導電体は、イオン導電体相(GDC)が所望する組成からずれて製造されることが確認された。この組成ずれは、酸素透過特性に悪影響を与える。また、異相の生成が組成ずれの一要因と解されるため、位相生成をより低減できることが望まれる。
そこで本発明は、GdをCeOにドープさせ、しかる後にGdがドープされたCeOをCo及びFeとともに結晶粒が粗大化しない温度域で焼成するプロセスによりGDC/MFOを製造するにあたって、酸素イオン導電体相(GDC)の組成ずれに起因する酸素透過特性の劣化を抑制するとともに、異相生成をより低減することを目的とする。
本発明が対象とする複合体型混合導電体を構成する電子導電体相の化学量論組成はMFeであるが、Feの量を化学量論組成よりも低い値としたところ、化学量論組成を採用した場合に比べて酸素透過特性が向上することが判明した。そしてこのようにして得られた複合体型混合導電体は、異相であるGdFeOが極めて低減されていることが確認された。したがって本発明は、Ce1−XGd2−X/2(ただし、0<X<0.5)の組成式で表されるGdがドープされた酸化セリウムから構成される酸素イオン導電体相と、MFe4-δ(ただし、M=Mn、Co及びNiの1種又は2種以上、y<2)の組成式で表されるスピネル型Fe複合酸化物から構成される電子導電体相とを含み、それぞれの相が焼成により結合したことを特徴とする複合体型混合導電体を提供する。
本発明の複合体型混合導電体によれば、GdFeO (111)相/(Ce1−XGd2−X/2相(200)+MFe4-δ相(220)+GdFeO(111)相)により求められるGdFeO相のX線回折ピークの積分強度比を1.1%以下にすることができる。
以上の本発明による複合体型混合導電体は、Gdがドープされた酸化セリウム粉末と、スピネル型Fe複合酸化物を生成しうる組成物粉末との混合物からなる所定形状の成形体を得る工程と、成形体を焼成する工程と、を備え、組成物粉末は、MFe4-δ(ただし、M=Mn、Co及びNiの1種又は2種以上、y<2)の組成を満足する本発明の複合体型混合導電体の製造方法により得ることができる。
本発明の複合体型混合導電体の製造方法において、複合体型混合導電体は、Ce1−XGd2−X/2(ただし、0<X<0.5)の組成式で表されるGdがドープされた酸化セリウムからなる酸素イオン導電体相と、MFe4-δ(ただし、M=Mn、Co及びNiの1種又は2種以上、y<2)の組成式で表されるスピネル型Fe複合酸化物からなる電子導電体相を含むことになる。
以上説明したように、本発明によれば、電子導電体相の化学量論組成であるMFeよりもFeの量を低い値とすることにより、酸素透過量を向上させ、かつ異相の生成量を低減することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明により得られる複合体型混合導電体は、酸素イオン導電体相が組成式:Ce1−xGd2−x/2(ただし、0<x<0.5)で表されるガドリニウム(Gd)がドープされた酸化セリウム(CeO)から構成される。この酸素イオン導電体相は、蛍石型面心立方晶の結晶構造を示す。上記組成式において、xが0.5以上になると、結晶構造がMn型体心立方晶となる。したがって、本発明では、xを0.5未満とする。望ましいxの値は0.1〜0.3である。
また、本発明により得られる複合体型混合導電体は、電子導電体相が組成式:MFe4-δ(ただし、M=Mn、Co及びNiの1種又は2種以上、y<2)で表されるスピネル型Fe複合酸化物から構成される。ここで、非特許文献1にも記載されているように、スピネル型Fe複合酸化物から構成される電子導電体相は、MFe(M=Co、Mn)を化学量論組成とする。ところが、後述するように、原料をMFeとなるように配合すると、得られた複合体型混合導電体に含まれる酸素イオン導電体相は配合時の組成とは異なる組成を示すことが確認された。なお、組成式:MFe4-δ中のδはyの値に応じてOの量が変動することを意味している。
ここで、酸素イオン導電体相を構成するGdをドープした酸化セリウムは、それ単体でCe0.8Gd0.2の組成を有する場合に電気導電率がピークとなり、酸素透過量が高くなると考えられている。そのため、非特許文献1に示すように、酸素イオン導電体相についての配合組成をCe0.8Gd0.2とする。ところが、電子導電体相の原料をMFeとなるように配合して複合体型混合導電体を作製すると、図3に示すように、酸素イオン導電体相の格子定数がCe0.8Gd0.2の格子定数(点線で示す)と大きくずれてしまう。このことは、酸素イオン導電体相の少なくとも一部がCe0.8Gd0.2とずれた組成となっていることを示している。なお、図3は、酸素イオン導電体相の配合組成をCe0.8Gd0.2とし後述する実施例1と同様にして作製された複合体型混合導電体の焼成温度と酸素イオン導電体相の格子定数の関係を示すグラフである。
高い酸素透過特性を確保するためには、酸素イオン導電体相がCe0.8Gd0.2又はその近傍の組成を示すことが必要であるが、図3に示すように組成ずれを起こした電子導電体相が存在すると、酸素透過特性が低下してしまう。これに対して、MFe4-δのyをy<2と、化学量論組成よりもFeを低くした組成物を原料とすることにより、酸素透過特性が向上することを本発明者らは確認した。ただし、例えば、CoFe4-δの場合、yが小さくなりすぎると、異相としてのCoOが生成する傾向にある。酸素透過特性及び異相としてのCoOの生成を抑制する観点から、yは1.5〜1.98、さらには1.8〜1.98の範囲とすることが望ましい。
本発明により得られる複合体型混合導電体は、酸素イオン導電体相を構成するGDC結晶粒と電子導電体相を構成するMFO結晶粒が焼成により結合された組織を有する。GDC結晶粒及びMFO結晶粒は、ともに平均粒径が1μm以下、さらには0.5μm以下であることが望ましい。前述したように、複合体型混合導電体においては、酸素の吸収・放出に寄与する場所が、酸素分子、酸素イオン導電体及び電子導電体の3相が共存する3重点に限られる。そのため、高い酸素透過量を得るために微細な結晶組織が要求されるからである。
複合体型混合導電体中における酸素イオン導電体相と電子導電体相は、電子導電体相が5〜40体積%の範囲で存在することが望ましい。5体積%未満ではパーコレーションの観点から電子導電体相のネットワーク形成が困難であり、また、40体積%を超えると、一般に、電気導電率は電子導電体>>酸素イオン導電体の関係にあるためにイオン伝導が不足するからである。電子導電体相は、望ましくは10〜30体積%、さらに望ましくは15〜25体積%とする。
非特許文献1には、GDC/MFOには、酸素イオン導電体相と電子導電体相以外に、ペロブスカイト型構造のGdFeOの生成が報告されているが、本発明によれば、GdFeOの生成を1.1%以下(X線回折パターンの各ピークの積分強度比)に抑制することができる。この積分強度比は、以下の式により求めることができる。
GdFeO (111)相/(Ce1−XGd2−X/2相(200)+MFe4-δ相(220)+GdFeO(111)相)
次に、本発明による複合体型混合導電体の好適な製造方法について説明する。
はじめに、図1に示すフローチャートに基づいて、本実施の形態による製造工程概略を説明する。
図1に示すように、酸素イオン導電体相生成のための出発原料としてCeO粉末及びGd粉末を用意する。また、電子導電体相生成のための出発原料としてCo粉末及びFe粉末を用意する。
CeO粉末及びGd粉末、並びにCo粉末及びFe粉末は、各々混合・粉砕される。混合・粉砕は、公知の機器、例えばボールミルにより行なうことができる。
なお、ここでは酸素イオン導電体相生成のための出発原料としてCeO粉末及びGd粉末、電子導電体相生成のための出発原料としてCo粉末及びFe粉末と酸化物粉末を用意した。しかし、これは一例であり、酸化物以外の炭酸塩粉末を用いることもできる。
CeO粉末及びGd粉末からなる混合粉末は、次いで、合成処理に供される。この合成処理は、上記混合粉末を所定の温度に加熱保持することにより、GdをCeOにドープさせることによりGDCを生成する処理である。このGDCを得るための合成処理は、本発明の最も特徴的な事項である。この合成処理は、後に行なう焼成に先立って行われるため、仮焼きということができる。
合成処理における加熱温度は、1500〜1700℃の範囲で適宜選択される。1500℃未満ではGDCの生成が不十分である。一方、合成処理のみを目的とするのであれば、加熱温度の上限に制限を設ける理由はないが、必要以上の温度の加熱はエネルギーの浪費になることから、本発明においては加熱温度の上限を1700℃とすることを推奨する。具体的な加熱温度は、処理に供される粉末の粒度、あるいは得たいGDCの組成等によって適宜調整すればよい。例えば、得たいGDCの組成が同一であっても、処理に供される粉末の粒度が小さければ相体的に低めの温度、逆に処理に供される粉末の粒度が大きければ相体的に高めの温度で加熱する必要がある。
一方で、Co粉末及びFe粉末からなる混合粉末も合成処理に供される。この合成処理は、上記混合粉末を所定の温度に加熱保持することにより、CFOを生成する処理である。なお、図1では元素MとしてCoを用いているため、MFOをCFOと表記している。
この合成処理における加熱温度は、600〜1000℃の範囲から適宜選択される。600℃未満の温度では合成反応が十分に進行せず、また1000℃を超えると粒成長を促し、焼結を進めるからである。また、加熱保持時間は、0.5〜5hrの範囲とすればよい。後述するように、CFO生成のための合成処理は、本発明において任意である。
合成処理により得られたGDC及びCFOは各々粉砕される。粉砕は、例えばボールミルを用いることができる。粉砕は、GDC及びCFOともに、平均粒径が0.1〜1.0μmの範囲になるように行なうのが望ましい。なお、各々の粉砕を行なわずに、混合後に粉砕することもできる。
粉砕されたGDC及びCFOは、所定の配合比となるように混合されるとともに粉砕される。この混合・粉砕もボールミルを用いることができる。
混合・粉砕された粉末は、次いで、顆粒に造粒される。顆粒への造粒は、例えば、粉砕粉末にバインダを添加した後に、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥することにより得ることができる。また、オシレート法により粉砕粉末を顆粒に造粒することもできる。
顆粒に造粒されたGDC及びMFOからなる混合粉末は、次いで、所定形状に成形される。成形の形状は、GDC/MFOとして最終的に得たい形状を想定して設定される。
得られた成形体は、成形体中に含まれるバインダを除去(脱バインダ)した後に焼成に供される。なお、脱バインダは、使用するバインダの種類により、その分解温度に応じて適宜選択される。例えばバインダにPVA(ポリビニールアルコール)を用いた場合、大気中、500〜700℃の温度範囲に0.5〜3hr程度保持すればよい。
焼成は大気中で行なうことができる。加熱温度は1100〜1300℃の範囲から選択される。1100℃未満では緻密な焼成体を得ることができず、逆に1300℃を超えると結晶粒が粗大化する。本発明においては、GDCあるいはさらにCFOを予め生成しておくというプロセスを採用することにより、後述する実施例にも示すように、より低温の焼成温度で高い焼成密度を得ることを可能にした。加熱保持の時間は、0.1〜10hrの範囲とすることが望ましい。
以上では、電子導電体相を構成するためのCo及びFeを合成処理する形態について説明した。しかし本発明は、Co及びFeを合成処理することなく、図2に示すように、Co粉末及びFe粉末を、粉砕されたGDC粉末と混合・粉砕することができる。
酸素イオン導電体相用の酸化物原料であるCeOとGdを所定の混合比となるように秤量し、ボールミルで湿式混合した。混合物を乾燥して得られた粉末をペレット状に成形し、電気炉にて1600℃で2時間保持する合成処理を行なうことにより、酸素イオン導電体相形成用のCe0.8Gd0.21.9組成物を得た。これを粉砕し、平均粒径(D50)=0.3μmの酸素イオン導電体相用粉末を得た。なお、平均粒径(D50)は、マイクロトラック粒子径分布装置9320HRA(X−100)によって測定した。
電子導電体相の酸化物原料であるCoとFeを所定の混合比となるように秤量し、ボールミルで湿式混合した。混合物を乾燥して得られた粉末を電気炉にて700℃で2時間保持する合成処理を行なうことにより、電子導電体相用のCoFe4-δ(y=1,1.5,1.7,1.8,1.9,1.95,2,2.05)組成物を得た。これを粉砕し、平均粒径(D50)=0.4μmの電子導電体相用粉末を得た。
以上で得られた酸素イオン導電体相用粉末と電子導電体相用粉末を80:20の配合比(モル比)でボールミルにより湿式混合した。それを乾燥して得られた粉末に対してPVA(ポリビニルアルコール)10wt%水溶液を6wt%添加して、乳鉢で混ぜ合わせ顆粒を得た。得られた顆粒を油圧式ハンドプレスにてφ25mm×1mmのペレット状の成形体を得た。得られた成形体を600℃、2時間、大気中で脱バインダ処理をした後、1000〜1450℃、3時間、大気中で焼成し、複合体型混合導電体を得た。
前述したように、GDC/MFOには、ペロブスカイト型構造のGdFeO(GFO)が異相として生成されることがある。この異相は、生成しないか又は生成量が低減されることが望ましい。そこで、以上で得られた複合体型混合導電体について、X線回折装置RINT2500(株式会社リガク製)により得られた回折パターン中の各ピークの積分強度比を求めた。表1にGDC−CFO複合体型混合導電体中のGdFeO(111)相/(Ce1−XGd2−X/2相(200)+MFe4-δ相(220)+GdFeO(111)相)の積分強度比を示す。表1から明らかなようにCFO相組成のFe量を減少したことに伴い、異相であるGFO生成量が減少した。特にCFO相組成のFe量xを1.9以下にすると異相生成量を1%以下に抑えることができる。また、表1には焼成温度、相対密度、平均結晶粒径を示すが、1200℃程度の焼成温度で、緻密かつ微細な組織が得られることがわかる。
Figure 2005281086
次に、以上で得られた複合体型混合導電体の酸素透過特性を測定した。
酸素透過特性の測定は以下のようにして行なわれた。図4に示すように、測定される試料S(複合体型混合導電体)を境界として、一方の側を大気室1、他方の側を燃料ガス室2とし、大気室1に供給管3を介して高温の空気(Air)を、また燃料ガス室2には供給管4を介してHeガスを導入する。試料Sと燃料ガス室2との間にはホウケイ酸ガラスのリング5が挟まれており、このガラスリング5が1000℃で溶融、凝固することにより試料Sと燃料ガス室2は密着される。この結果、試料Sにより大気室1と燃料ガス室2は隔離されるとともに燃料ガス室2は封止される。測定中に試料Sは、周囲に配設されているヒータ6により所定温度に加熱される。この温度を測定温度という。なお、ガラスリング5の溶融、凝固は測定に先立ち行われ、その後、ガラスリング5は600〜1000℃の測定温度範囲にわたって燃料ガス室2を封止するシールとして機能する。大気室1側から試料Sを透過して燃料ガス室2側に流入した酸素の量をガスクロマト装置7及び4重極型ガス質量分析装置8により分析し、単位時間当りの単位面積当りの透過酸素分子数(jO)を求めた。
酸素透過量の測定結果を表2に示す。表2に示すように、x、つまりCFO相組成のFe量の減少に伴い、酸素透過量が増加することがわかった。なお、表2中の「@1000℃」等は測定温度を示している。
Figure 2005281086
本実施の形態による製造工程概略を示すフローチャートである。 本実施の形態による他の製造工程概略を示すフローチャートである。 複合体型混合導電体の焼成温度と酸素イオン導電体相の格子定数の関係を示すグラフある。 酸素透過特性の測定装置概要を示す図である。
符号の説明
1…大気室、2…燃料ガス室、3,4…供給管、5…ガラスリング、6…ヒータ、7…ガスクロマト装置、8…4重極型ガス質量分析装置、S…試料

Claims (4)

  1. Ce1−XGd2−X/2(ただし、0<X<0.5)の組成式で表されるGdがドープされた酸化セリウムから構成される酸素イオン導電体相と、
    MFe4-δ(ただし、M=Mn、Co及びNiの1種又は2種以上、y<2)の組成式で表されるスピネル型Fe複合酸化物から構成される電子導電体相とを含み、それぞれの相が焼成により結合したことを特徴とする複合体型混合導電体。
  2. GdFeO(111)相/(Ce1−XGd2−X/2相(200)+MFe4-δ相(220)+GdFeO (111)相)により求められるGdFeO相のX線回折ピークの積分強度比が1.1%以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合体型混合導電体。
  3. Gdがドープされた酸化セリウム粉末と、スピネル型Fe複合酸化物を生成しうる組成物粉末との混合物からなる所定形状の成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼成する工程と、を備え、
    前記組成物粉末は、MFe4-δ(ただし、M=Mn、Co及びNiの1種又は2種以上、y<2)の組成を満足することを特徴とする複合体型混合導電体の製造方法。
  4. 前記複合体型混合導電体は、
    Ce1−XGd2−X/2(ただし、0<X<0.5)の組成式で表されるGdがドープされた酸化セリウムからなる酸素イオン導電体相と、
    MFe4-δ(ただし、M=Mn、Co及びNiの1種又は2種以上、y<2)の組成式で表されるスピネル型Fe複合酸化物からなる電子導電体相を含む、
    ことを特徴とする請求項3に記載の複合体型混合導電体の製造方法。
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