JP5228353B2 - 複合型混合導電体 - Google Patents

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Description

本発明は、複合型混合導電体、より詳しくは酸素透過膜として用いられる複合型混合導電体に関する。
水素は、石油精製、アンモニア合成、メタノール合成等に使用される化学工業の基幹原料である。また、近年では、水素を燃料とする燃料電池が、エネルギーの利用効率が高く、しかも有害物質を殆ど排出しない点で、省エネルギーや環境保護の観点から注目されている。そのため、水素の需要は年々大きくなっており、このような要求に応えるべく、水素を効率よく製造するための方法が検討されている。
水素の製造方法の一つとして、燃料である天然ガス中の炭化水素(例えば、メタン)の酸化を部分的に生じさせて水素を発生させる部分酸化改質反応が知られている。この方法は、発熱反応であるためエネルギー効率が良く、起動時間も短いといった利点を有することから、水素の生成に関しては効率の良い方法であると言える。しかし、この部分酸化改質反応においては、高濃度の水素を得るために、純度の高い酸素を用いる必要がある。そのため、高純度の酸素を準備するための複雑な工程が必要であり、またそのためにコストが高くなる等、酸素を準備する段階に改良の余地があった。
このような状況下、下記特許文献1には、酸素イオン導電相がガドリニウム添加セリウム酸化物からなり、電子導電相がスピネル型Fe複合酸化物からなる複合体型混合導電体が開示されている。また、下記特許文献2には、希土類元素添加セリウム酸化物からなる酸素イオン伝導相と、ペロブスカイト型複合酸化物からなる電子伝導相とを含む複合酸化物イオン混合伝導体組成物が開示されている。これらの複合型混合導電体(複合酸化物イオン混合伝導体組成物)は、酸素イオンと電子を同時に移動させることによって空気から酸素を分離する酸素透過膜として機能するため、これを用いることで部分酸化改質反応に用いる酸素を容易に製造することが可能となる。
国際公開第2003/084894号パンフレット 特開2005−281077号公報
上述したような複合型混合導電体からなる酸素透過膜は、通常、酸素の製造において800〜1000℃程度の温度で使用される。ところが、従来の酸素透過膜は、このような温度で長時間使用を続けると、膜中でボイドが発生したり、空気側で異相が析出したりして経時的な劣化が生じ、その酸素透過能が徐々に低下し易い傾向にあった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、経時劣化が少ない酸素透過膜を形成し得る複合型混合導電体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らが従来の複合型混合導電体からなる酸素透過膜において経時的な劣化が生じ易い原因について詳細に検討を行ったところ、従来の酸素透過膜では、使用時の高温により膜中で陽イオン拡散が生じており、これが膜中のボイドや異相の発生の一つの原因となっていた。このような知見に基づき、本発明者らは、複合型混合導電体を、高温条件でも陽イオン拡散が生じ難い緻密な構造を形成し得る組成とすることで、酸素透過膜とした場合の経時劣化を抑制できるようになることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の複合型混合導電体は、Ce−Re−O系の組成(但し、ReはGd及びSmのうちいずれかの希土類元素である)を有する複合酸化物からなる酸素イオン伝導相と、Re−M−O系の組成(但し、ReはCe及びY以外の希土類元素であり、Mは、V、Nb、Ta、Cr、Co、Fe、Mn、Al及びInのうちのいずれか1種の金属元素である)を有するペロブスカイト型の複合酸化物からなる電子伝導相とを有し、酸素イオン伝導相を構成する結晶粒と、電子伝導相を構成する結晶粒とが均一に分散されるとともに、これらの結晶粒同士が焼結によって結合された構造を有しており、電子伝導相の体積比率が、15〜50体積%であることを特徴とする。
本発明の複合型混合導電体は、上記特定の組成を有する酸素イオン伝導相と電子伝導相とが組み合わされたものであるため、酸素透過膜を形成した場合に優れた酸素透過能を発揮し得るものである。また、酸素イオン伝導相及び電子伝導相の両方が希土類元素を含む組成を有していることから、全く異種の金属がそれぞれに含まれる場合に比して、これらの両相間での陽イオンの拡散が生じ難い。
さらに、本発明の複合型混合導電体は、上記の特定の構成を有する酸素イオン伝導相及び電子伝導相からなることから、その製造時に、実用時の温度に比べて大幅に高い温度で焼成を行うことができる。そのため、かかる複合型混合導電体は、緻密な複合構造を有するものとなり、実用時の温度程度では陽イオン拡散を生じ難くなっていると考えられる。
これに対し、上記特許文献1では、電子伝導相がスピネル型Fe複合酸化物からなるため、その結晶構造を形成するために焼成温度を高くできず、また、特許文献2では、電子伝導相がストロンチウムを必ず含み、これが緻密化温度を下げる効果を有することから、焼成温度を高くすることができない。したがって、これらの複合型混合導電体は、その製造時に実用温度と比べてそれほど高くない温度で焼成することが必要であり、その結果、使用時の高温条件において陽イオン拡散が生じ易くなっていたものと考えられる。
上記本発明の複合型混合導電体においては、酸素イオン伝導相に含まれる希土類元素と、電子伝導相に含まれる希土類元素とが同一の元素であると好ましい。
このように酸素イオン伝導相と電子伝導相とが同一の希土類元素を含有していることで、従来の複合型混合導電体では、異なる相に含まれている異種の金属同士等によって、所望とする相以外の相(異相)が形成され易くなっているところ、本発明ではかかる異相が形成され難い。したがって、本発明の複合型混合導電体から得られる酸素透過膜は、長期使用によっても異相の発生が少なく、それに基づく劣化が生じ難いものとなる。また、上記本発明の複合型混合導電体は、その製造時の焼成においても異相の形成が少ないことから焼成温度を一層高くすることができ、これによっても陽イオンの拡散が生じ難いものとなり得ると考えられる。
本発明の複合型混合導電体におけるReで表される元素としては、Sm、Nd、Gd、La及びYからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素が好ましい。これらの希土類元素は、本発明の複合型混合導電体において、優れた酸素透過能を付与することができるほか、上記のような要因に基づく経時劣化を更に良好に抑制することができる。
さらに、本発明の複合型混合導電体は、電子伝導相の体積比率が30体積%以下であると好ましい。このような比率で酸素イオン伝導相と電子伝導相を有する混合導電体は、酸素イオンの移動が極めて良好に生じ、優れた酸素透過能を有することができる。
本発明によれば、経時劣化が少ない酸素透過膜を形成し得る複合型混合導電体を提供することが可能となる。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
好適な実施形態に係る複合型混合導電体は、Ce−Re−O系の組成(但し、Reは希土類元素である)を有する複合酸化物からなる酸素イオン伝導相と、Re−M−O系の組成(但し、Reは希土類元素であり、Mは、V、Nb、Ta、Cr、Co、Fe、Mn、Al、Ga及びInのうちのいずれか1種の金属元素である)を有するペロブスカイト型の複合酸化物からなる電子伝導相とを有する。
酸素イオン伝導相を構成する複合酸化物としては、具体的には、一般式Ce1−xRe2−δで表されるものが挙げられる。この一般式中、xは0〜0.5であり、0.05〜0.3であると好ましい。また、δは組成式全体の電荷が中性となるように選択される値である。希土類元素としては、Sm、Nd、Gd及びLaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素が好ましく、Gd又はSmがより好ましく、Smが特に好ましい。この複合酸化物は、蛍石型面心立方晶の結晶構造を有すると好ましい。
また、電子伝導相を構成する複合酸化物としては、一般式ReMOで表されるものが挙げられる。希土類元素としては、イオン伝導相を構成する複合酸化物に含まれる希土類元素と同様の元素が挙げられ、イオン伝導相の複合酸化物における希土類元素と同一の元素であると特に好ましい。また、Mで表される金属元素としては、Mn、Fe、Co等が好ましい。
上記のような酸素イオン伝導相及び電子伝導相を有する複合型混合導電体においては、酸素イオン伝導相を構成する結晶粒と、電子伝導相を構成する結晶粒とが均一に分散されるとともに、結晶粒同士が焼結によって結合された構造を有する。複合型混合導電体におけるこれらの結晶粒の平均粒径は、1μm以下であると好ましく、0.5μm以下であるとより好ましい。複合型混合導電体がこのような緻密な複合構造を有することで、陽イオン拡散が抑制されて劣化が生じ難くなるほか、酸素の透過に寄与するサイトを多数有するようになって、優れた酸素透過能が得られるようになる。
また、複合型混合導電体においては、電子伝導相の体積比率が、全体積中、30体積%以下であると好ましく、27体積%以下であるとより好ましい。この電子伝導相の体積比率が30体積%以下であると、酸素透過膜を形成した場合に優れた酸素透過能が得られ易い。ただし、電子伝導相の体積比率が小さすぎると、酸素イオンの移動に伴う電子移動が生じ難くなるため、十分な酸素透過能が得られなくなる場合がある。したがって、このような不都合を避ける観点からは、電子伝導相の体積比率は10体積%以上とすることが好ましい。
次に、上記の構成を有する複合型混合導電体の製造方法の好適な実施形態について説明する。
まず、酸素イオン導電相を形成するための複合酸化物は、次のようにして調製する。すなわち、まず、イオン伝導相の原料であるCe酸化物(例えばCeO)と希土類元素の酸化物(Smの場合、例えばSm)とを、所望の組成の複合酸化物が得られる混合比となるように秤量し、これらをボールミル等を用いて混合する。この際、水を添加してもよい。
次に、得られた混合物を乾燥して得られた粉末を、ペレット状に成形してから、電気炉等を用いて1500〜1700℃程度で熱処理する。熱処理温度は、複合酸化物が確実に得られ、しかも焼結が進行しない程度の条件を選択することが好ましい。この熱処理により、Ce及び希土類元素を含有する複合酸化物が得られる。そして、熱処理後のペレットを粉砕することにより、酸素イオン伝導相形成用の複合酸化物の粉末を得る。この際、緻密な構造を有する複合型混合導電体が得られるように、粉末の比表面積が20m/g以上となるようにすることが好ましく、30m/g以上となるようにすることがより好ましい。
また、電子伝導相を形成するための複合酸化物は、電子伝導相の原料である希土類元素の酸化物(Smの場合、例えばSm)と、金属元素の酸化物(Feの場合、例えばFe)とを用い、酸素イオン導電相用の複合酸化物と同様に、混合、乾燥及び熱処理を行うことにより得ることができる。その後、焼結体を粉砕することで、電子伝導相形成用の複合酸化物の粉末が得られる。熱処理温度は、800〜1000℃程度とすることが好ましい。また、得られた複合酸化物の粉末の比表面積が10m/g以上であると好ましく、20m/g以上であるとより好ましい。
複合型混合導電体の製造においては、次いで、酸素イオン伝導相形成用の複合酸化物の粉末と、電子伝導相形成用の複合酸化物の粉末とを、焼成後に上述したような好適な体積比率が得られるような所定の混合比となるように秤量する。それから、これらを混合して、ボールミル等を用いて混合する。この際、水を添加してもよい。混合後の混合物を乾燥して粉末を得た後、この粉末に所定のバインダーを加え、これらを混合して造粒し、顆粒を得る。それから、得られた顆粒をプレス成形等により成形して、焼成に適したペレット形状等に加工する。
その後、ペレットを熱処理してバインダーを除去した後、更に温度を上げて焼成を行うことによりペレットを焼結させる。これにより、酸素イオン伝導相及び電子伝導相を有する複合型混合導電体が得られる。焼成温度は、1300〜1500℃とすることが好ましく、1400〜1500℃とすることがより好ましい。また、焼成時間は、1〜5時間とすることが好ましい。上記のような焼成温度で焼成を行うことにより、緻密な複合構造を有する複合型混合導電体が得られる。また、この焼成温度は、酸素透過膜が通常使用される温度(800〜1000℃程度)と比べて大幅に高いため、このような焼成温度で焼結された複合型混合導電体は、酸素透過膜の実用温度程度では陽イオンの拡散を極めて生じ難いものとなる。
上述した製造方法によって得られた複合型混合導電体は、例えば、焼成により得られた焼結体を切断、研磨等することによって酸素透過膜を形成することができる。
以下、本実施形態の複合型混合導電体を部分酸化改質反応に用いる酸素透過膜に適用した例について説明する。図1は、好適な実施形態の酸素透過膜の断面構成を模式的に示す図である。図示されるように、酸素透過膜1は、酸素透過層2と、この酸素透過層2上に形成された触媒層3とからなる積層構造を有している。
この酸素透過膜1における酸素透過層2は、上述した実施形態の複合型混合導電体から構成され、酸素透過能を有する酸素透過膜として実質的に機能する。また、触媒層3は、例えば、所定の担持体の表面に金属等の触媒成分が付着した構成を有し、部分酸化改質反応を促進する。
このような酸素透過膜1を用いて部分酸化改質反応を行う場合は、例えば、酸素透過膜1の酸素透過層2側に空気を流すとともに、触媒層3側にメタン等の燃料ガスを流す。この状態において、酸素透過層2の空気側で空気中の酸素が酸素イオン化する。この酸素イオンは、酸素透過層2の酸素分圧勾配の高い空気側から低い燃料ガス側へと移送される。酸素透過層2中を伝導した酸素イオンは、触媒層3側において酸素イオン同士の結合を生じて酸素分子となるか、燃料ガス等と反応して電子を放出する。このようにして、空気側に存在する空気中の酸素が、酸素透過層2を透過して燃料ガス側で燃料ガスとの部分酸化改質反応に供される。
以上、酸素透過膜として用いられる本発明の複合型混合導電体の好適な実施形態について説明したが、上述した複合型混合導電体は、酸素イオン伝導相と電子伝導相の両方が希土類元素を含む組成を有していることから、酸素透過膜として高温に晒された場合であっても、陽イオンの拡散を生じ難い。
また、この複合型混合導電体は、上記の両相が製造時における高温焼結を阻害する成分や結晶構造を有していないことから、その製造時に実用温度に比して十分に高い焼成温度を採用することができる。そして、複合型混合導電体は、高い温度で焼結されることで、緻密な複合構造を有するようになり、酸素透過膜としての実用温度程度では陽イオン拡散を生じ難いものとなる。
さらに、複合型混合導電体は、特に好適な場合、酸素イオン伝導相と電子伝導相の両方が同一の希土類元素を含むため、これらの両相の成分同士による異相の形成も生じ難い。したがって、異相の形成による経時的な劣化も少ないものとなる。
このように、本実施形態の複合型混合導電体は、酸素透過膜として長時間使用した場合であっても、経時的な劣化が小さく、優れた酸素透過能を維持することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[複合型混合導電体の製造]
(実施例1〜15、比較例1〜6)
まず、酸素イオン伝導相の原料として、当該酸素イオン伝導相の組成に含まれる各金属元素の酸化物を、それぞれ所定の組成の複合酸化物が得られるように秤量し、これらをボールミルで24時間水混合した。次いで、この混合物を乾燥して得られた粉末をペレット状に成形した後、電気炉にて1600℃で熱処理した。これにより、酸素イオン伝導体を得た。そして、焼成後のペレットを粉砕して、比表面積30m/g前後の酸素イオン伝導体の粉末を調製した。
また、電子伝導相の原料として、当該電子伝導相の組成に含まれる各金属元素の酸化物を、それぞれ所定の組成の複合酸化物が得られるように秤量して、ボールミルで8時間水混合した。これを乾燥して得られた粉末を、電気炉にて800〜1000℃で熱処理した。これにより、電子伝導体を得た。これを粉砕して、比表面積20m/g前後の電子伝導体粉末を得た。
次いで、上記で得られた酸素イオン伝導体粉末と電子伝導体粉末とを、所望の組成が得られるようにそれぞれ秤量した後、これらをボールミルを用いて水混合した。これを乾燥して得られた粉末に、ポリビニルアルコール(PVA)の10重量%水溶液を約6重量%となるように添加し、これを乳鉢で混ぜ合わせて顆粒を得た。得られた顆粒を油圧式ハンドプレスでφ25mm×約1mmのペレット状に成形した後、この成形体に対し、600℃、2時間、大気中で脱バインダー処理を行った。そして、成形体を、表1に示す焼成温度で3時間、大気中で焼成した。これにより、酸素イオン伝導体からなる酸素イオン伝導相、及び電子伝導体からなる電子伝導相を有し、表1に示す組成をそれぞれ有する実施例1〜15及び比較例1〜6の複合型混合導電体を得た。
なお、下記表1中、SDC15は、Ce0.85Sm0.152ーδを示し、GDC15はCe0.85Gd0.152ーδを示す。そして、表中の組成の表記において、例えば、「SDC15−15vol%SmFeO」は、酸素イオン伝導相の組成がSDC15であり、電子伝導相の組成がSmFeOであり、SmFeOの体積比率が15体積%であることを意味している。
[特性評価]
(部分酸化改質反応による劣化の評価)
実施例1〜15及び比較例1〜6の複合型混合導電体をそれぞれ用いて、図2に示す部分酸化改質装置を作製し、以下に示すようにして、各複合型混合導電体を部分酸化改質反応の酸素透過膜として用いた場合の劣化の程度を評価した。
図2に示す部分酸化改質反応装置100は、酸素透過層2及び触媒層3が積層された酸素透過膜1を挟んで酸素透過層2側に空気導入室10、触媒層3側にメタンガス導入室20を有する。この部分酸化改質反応装置100においては、酸素透過膜1における酸素透過層2が、上述した各実施例又は比較例の複合型混合導電体からそれぞれ形成され、触媒層3が、Ce0.9Pr0.12−δ−10重量%NiOから形成されている。酸素透過層2を構成する各複合型混合導電体としては、あらかじめ鏡面研磨したものを用いた。
部分酸化改質反応装置100を用いた部分酸化改質反応は、空気導入室10に空気(Air)を、メタンガス導入室20にメタンガス(CH)をそれぞれ導入し、空気導入室10に導入された空気から酸素のみを酸素透過膜1を透過させ、これをメタンガス導入室20にてメタンガスと反応させることで行った。この部分酸化改質反応は、1000℃で100時間行った。
部分酸化改質反応後の各酸素透過膜の劣化の程度を評価した結果は、表1に示す。表1中、A〜Cの評価基準は、以下に示す通りとした。
A:酸素透過速度の劣化が5%未満であり、且つ、クラックや変質等の物理的な変化が認められなかった。
B:酸素透過速度の劣化が5%以上であったか、クラックや変質等の物理的な変化が認められた。
C:部分酸化改質反応中に膜の気密性が保てない状態となった。
Figure 0005228353
表1より、酸素イオン伝導相及び電子伝導相の両方に希土類元素を含み、しかも、電子伝導相がペロブスカイト型の複合酸化物によって構成される実施例1〜15の複合型混合導電体は、電子伝導相に希土類元素を含まず(比較例1〜6)、また、電子伝導相がペロブスカイト型の複合酸化物でなかった(比較例1〜4)複合型混合導電体に比して、高い焼成温度を適用でき、さらに、酸素透過膜として長時間使用した場合の劣化が少ないことが確認された。
[酸素透過能の評価]
実施例1〜3で得られた複合型混合導電体をそれぞれ用いた部分酸化改質反応装置(図2)を用いて同様に部分酸化改質反応を行い、これらの複合型混合導電体からなる酸素透過膜による酸素透過能の評価を行った。評価は、部分酸化改質反応によるメタンガス導入室20側のガス成分の変化を、4重極型ガス質量分析装置を用いて分析し、これにより部分酸化改質反応に供された酸素の量を算出し、得られた結果から酸素透過膜1の単位面積あたりの透過酸素速度(mol・cm−2・s−1)を導き出すことにより行った。この数値が大きいほど、酸素透過膜1(すなわち複合型混合導電体)の酸素透過能が高いことを意味する。
Figure 0005228353
表2より、実施例1〜3の複合型混合導電体によれば、十分に優れた酸素透過能を有する酸素透過膜を形成できることが確認された。
好適な実施形態の酸素透過膜の断面構成を模式的に示す図である。 実施例で用いた部分酸化改質反応装置の構成を概略的に示す図である。
符号の説明
1…酸素透過膜、2…酸素透過層、3…触媒層。

Claims (4)

  1. Ce−Re−O系の組成(但し、ReはGd及びSmのうちいずれかの希土類元素である)を有する複合酸化物からなる酸素イオン伝導相と、
    Re−M−O系の組成(但し、ReはCe及びY以外の希土類元素であり、Mは、V、Nb、Ta、Cr、Co、Fe、Mn、Al及びInのうちのいずれか1種の金属元素である)を有するペロブスカイト型の複合酸化物からなる電子伝導相と、を有し、
    前記酸素イオン伝導相を構成する結晶粒と、前記電子伝導相を構成する結晶粒とが均一に分散されるとともに、これらの結晶粒同士が焼結によって結合された構造を有しており、
    前記電子伝導相の体積比率が、15〜50体積%である、
    ことを特徴とする複合型混合導電体。
  2. 前記酸素イオン伝導相に含まれる希土類元素と、前記電子伝導相に含まれる希土類元素と、が同一の元素である、請求項1記載の複合型混合導電体。
  3. 前記Re−M−O系の組成における前記Reが、Sm、Nd、Gd、La及びYからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である、請求項1記載の複合型混合導電体。
  4. 前記電子伝導相の体積比率が30体積%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合型混合導電体。
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