JP2005281069A - フェライト組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フェライト原料を水等の溶媒と混合してスラリー化し、スラリー状態で原料の配合および粉砕を行う湿式法において、配合・粉砕後のスラリーの乾燥およびフェライト原料の仮焼きを一度に行うことにより、コアロス等の電磁気特性を低下させることなく、フェライト組成物の生産効率の向上および製造コストの低減を図る。
【解決手段】 フェライト原料と溶媒とを含有するフェライトスラリーを準備する工程と、前記フェライトスラリーを、スラリーの状態で、ロータリーキルン内に投入する工程と、前記ロータリーキルン内で、前記スラリー中の溶媒の乾燥・除去、および前記フェライト原料の仮焼きを一度に行う工程とを、有することを特徴とするフェライト組成物の製造方法。
【選択図】 図2




Description

本発明は、フェライト組成物の製造方法に係り、さらに詳しくは、フェライト原料と溶媒とから構成されるフェライトスラリーを乾燥・仮焼きする工程に関する。
通信伝送トランスやスイッチング電源用トランスなどのトランス用のコアとしては、一般にフェライトから構成されるコアが使用されている。これは、フェライトが他の軟磁性金属材料に比べ、高周波数帯域での初透磁率の低下や電力損失の増大が少なく、安価に製造できるためである。
このようなフェライトコアは、まず、各種フェライト原料を配合・粉砕し、仮焼きを行い、仮焼物を得て、次いで、この仮焼物を所定の形状に成形した後に、本焼成することにより製造される。
ここで、上記フェライト原料を配合・粉砕する方法としては、たとえば、フェライト原料を、水等の溶媒を使用してスラリー化し、原料の配合および粉砕をスラリー状態で行う湿式法が挙げられる。この湿式法においては、フェライト原料の配合・粉砕をスラリー状態で行うため、配合・粉砕時における原料の分散性を向上させることができ、原料の均一化を図ることができる。そのため、配合・粉砕を湿式法で行うことにより、フェライトコアの高特性化が可能となる。
しかしながら、上記湿式法においては、配合・粉砕をスラリー状態で行っているため、配合・粉砕を行ったフェライト原料の仮焼きを行う前に、スラリーの乾燥を行う必要がある。そのため、湿式法においては、通常、スプレードライヤー等による噴霧乾燥でスラリーの乾燥を行い乾燥物とし、この乾燥物を各種仮焼き炉を使用して仮焼きし、仮焼物を得ている。ここで、仮焼きを行う際に使用される仮焼き炉としては、トンネル型の焼成炉、バッチ式焼成炉、ロータリーキルン等が使用される。
特に、上記仮焼き炉のなかでも、ロータリーキルンは、原料粉末を高速かつ均一に加熱することができるため、生産効率およびコアの高特性化を図るという観点より好適に用いることができる。なお、特許文献1,2,3,4,5,6および7には、ロータリーキルンの内壁への原料粉末等の付着を防止する方法が、それぞれ開示されている。
特公平2−46877号公報 特公平2−55708号公報 特公平2−55709号公報 特公平2−55710号公報 特公平4−19471号公報 特開2002−81866号公報 特開2003−42668号公報
本発明の目的は、フェライト原料を水等の溶媒と混合してスラリー化し、スラリー状態で原料の配合および粉砕を行う湿式法において、配合・粉砕後のスラリーの乾燥およびフェライト原料の仮焼きを一度に行うことにより、コアロス等の電磁気特性を低下させることなく、生産効率の向上および製造コストの低減が可能なフェライト組成物の製造方法を提供することである。
本発明者等は、フェライト原料と溶媒とを含有するフェライトスラリーを、スラリーの状態で、ロータリーキルン内に投入し、ロータリーキルンを使用して、スラリー中の溶媒の乾燥・除去、およびフェライト原料の仮焼きを一度に行うことにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のフェライト組成物の製造方法は、
フェライト原料と溶媒とを含有するフェライトスラリーを準備する工程と、
前記フェライトスラリーを、スラリーの状態で、ロータリーキルン内に投入する工程と、
前記ロータリーキルン内で、前記スラリー中の溶媒の乾燥・除去、および前記フェライト原料の仮焼きを一度に行う工程とを、
有することを特徴とする。
従来の湿式法においては、配合・粉砕後の乾燥および仮焼きを、スプレードライヤー等を使用したスラリーの乾燥工程と、各種仮焼き炉を使用した仮焼き工程との2つの別々の工程により行っていた。これに対して、本発明では、フェライトスラリーを、あらかじめ乾燥させることなく、スラリーの状態でロータリーキルンに直接投入し、スラリー中の溶媒の乾燥・除去とフェライト原料の仮焼きとを、ロータリーキルンを使用して一度に行う。そのため、本発明によると、生産効率の向上や製造コストの低減が可能となる。
本発明に係るフェライト組成物の製造方法において、好ましくは、
前記フェライトスラリーを投入する工程におけるスラリーの投入方法が、ロータリーキルン内へ直接液下投入する方法、
あるいは、ロータリーキルン内へ噴霧投入する方法である。
本発明に係るフェライト組成物の製造方法において、好ましくは、
前記ロータリーキルンが、前記ロータリーキルンの内壁の付着物の除去を行うための可動羽根を有する。
本発明においては、ロータリーキルン内に可動羽根を設け、この可動羽根を使用し、スラリーや原料等がロータリーキルン内壁へ付着することを防止することが好ましい。このようにすることにより、生産効率や生産歩留まりの向上を図ることが可能となる。
本発明に係るフェライト組成物の製造方法において、好ましくは、
前記ロータリーキルン内を、少なくとも2つのゾーンに分け、
投入側である乾燥ゾーンの温度を、出口側である仮焼ゾーンの温度よりも低い温度とする。
本発明においては、少なくとも、ロータリーキルン内を乾燥ゾーンと仮焼ゾーンの2つのゾーンに分けることが好ましいが、必要に応じて、乾燥ゾーンを温度の異なる2つ以上のゾーンに分けることも可能であり、同様に、仮焼ゾーンについても、温度の異なる2つ以上のゾーンに分けることも可能である。
本発明に係るフェライト組成物の製造方法において、好ましくは、
前記乾燥ゾーンの温度を、前記仮焼ゾーンの温度よりも、50〜500℃、より好ましくは100〜400℃低い温度とする。
本発明に係るフェライト組成物の製造方法において、好ましくは、
前記乾燥ゾーンの温度が、400〜900℃であり、より好ましくは、500〜800℃である。
本発明に係るフェライト組成物の製造方法において、好ましくは、
前記仮焼ゾーンの温度が、800〜1100℃であり、より好ましくは、850〜950℃である。
本発明に係るフェライト組成物の製造方法において、好ましくは、
前記溶媒を乾燥・除去する際に、乾燥・除去される溶媒を、ロータリーキルン内から排ガスとして排出する。
本発明に係るフェライト組成物は、上記いずれかの方法により製造される。
なお、本発明において、フェライト組成物は、上記いずれかの方法により製造され、少なくとも仮焼きを行っているフェライト組成物であれば良く、たとえば、本焼成の有無や具体的形状については特に限定されない。
また、本発明のフェライト組成物は、成形および本焼成をすることにより、たとえば、コイル用やトランス用のコアとして使用することができる。
本発明によると、フェライト組成物の製造方法において、配合・粉砕後のフェライトスラリーを、スラリーの状態でロータリーキルンに直接投入し、スラリー中の溶媒の乾燥・除去とフェライト原料の仮焼きとを、ロータリーキルンを使用して一度に行うため、コアロス等の電磁気特性を低下させることなく、生産効率の向上および製造コストの低減が可能となる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るフェライトコアの斜視図、
図2は本発明の一実施形態に係る乾燥・仮焼き工程を説明するための図、
図3(A)、(B)は本発明の一実施形態に係るスラリーを投入する方法を示す図、
図4(A)は本発明に係るフェライト組成物の製造方法を示す工程図、図4(B)は従来のフェライト組成物の製造方法を示す工程図、
図5(A)は本発明の一実施形態に係る可動羽根の斜視図、図5(B)は断面図、
図6(A)〜(D)は本発明のその他の実施形態に係る可動羽根の断面図および斜視図である。
本実施形態のフェライトコアとしては、図1に示したトロイダル型のフェライトコア1のような閉磁路構造のものや、EE型のような開磁路構造のものを例示することができる。フェライトコアの形状はこれらの形状に限定されず、適宜選択することができる。
フェライトコア1
本発明の一実施形態に係るフェライトコア1は、本発明の製造方法により製造されるフェライト組成物から構成される。
上記フェライト組成物としては、特に限定されないが、Mn−Zn系のフェライト、Ni−Zn系のフェライト、Cu−Zn系、Ni−Cu−Zn系のフェライト等が例示される。
本実施形態のフェライトコア1は、フェライト原料と溶媒とを混合してフェライトスラリーを作製し、フェライト原料の配合・粉砕をスラリー状態で行い、次いで、スラリーの乾燥およびフェライト原料の仮焼きを行い、仮焼物を所定の形状に成形した後、焼成を行うことにより製造される。
以下、本実施形態のフェライトコア1の製造方法について説明する。
まず、出発原料として、フェライトコア1を形成することになるフェライト原料を準備する。
フェライト原料としては、特に限定されないが、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化銅、酸化ニッケル等が使用でき、また、必要に応じて、副成分として種々の化合物を添加することができる。
次いで、用意した各フェライト原料を秤量し、焼成後の最終組成において、所望の組成となるように調整し、調整したフェライト原料と溶媒とを混合することにより、フェライトスラリーを作製する。
上記溶媒としては、特に限定されないが、たとえば、水、有機溶媒、アンモニア水溶液等が使用でき、配合・粉砕時のフェライト原料の分散性、製造コストの低減、低環境負荷の低減等の観点より、水を使用することが好ましい。
上記フェライトスラリー中のフェライト原料の含有量は、配合・粉砕時の分散性が確保可能な量とすれば良く、特に限定されないが、フェライトスラリー全体に対して、40〜80重量%とすることが好ましく、より好ましくは、60〜70重量%とする。フェライトスラリー中のフェライト原料の含有量が少過ぎると生産効率が低下する傾向にある。また、含有量が多過ぎると、配合・粉砕時におけるフェライト原料の分散性が低下する傾向にある。
また、フェライトスラリーには、必要に応じて分散剤を添加することも可能である。フェライトスラリーに分散剤を添加することにより、分散性を低下させることなく、スラリー中のフェライト原料の含有量を多くすることが可能となり、生産効率の向上を図ることができる。分散剤の添加量は、フェライトスラリー全体に対して、0.1〜1.0重量%程度とする。
次いで、上記にて得られたフェライトスラリーを使用し、スラリー状態で、フェライト原料の配合・粉砕を行う。フェライト原料の配合・粉砕は、ボールミルやアトライターなどの配合粉砕機を使用して行うことができる。本実施形態においては、フェライト原料の配合・粉砕を、スラリー状態で行うため、配合・粉砕時における原料の分散性を向上させることができ、原料の均一化を図ることができる。
次いで、配合・粉砕を行ったフェライトスラリーを図2に示すようなロータリーキルン10を使用して、スラリー中の溶媒の乾燥・除去、およびフェライト原料の仮焼きを行う。
図2は、本実施形態に係るロータリーキルン10の断面概略図、およびロータリーキルン10にスラリーを投入するためのスラリー投入装置20の断面概略図を示している。
図2に示すように、ロータリーキルン10は耐火材を内張りした横型円筒炉であり、円筒状の外部炉心管12、およびその内部に耐腐食性の内部炉心管14を有している。内部炉心管14は、内加熱方式あるいは外加熱方式により加熱可能となっており、内部炉心管14を加熱することにより、炉内にて処理物の熱処理を行うことができる。
また、内部炉心管14は、円筒軸を中心として回転可能となっており、内部炉心管14が回転することにより、投入側端部14aより投入された処理物が、傾斜角θにより形成された下り斜面を下っていき、出口側端部14bから排出される構造となっている。
まず、フェライトスラリーをロータリーキルン10内に投入する。
フェライトスラリーの投入は、投入側端部14a側より、スラリー投入装置20を用いて行う。スラリーを投入する際に使用するスラリー投入装置20としては、特に限定されないが、たとえば、図3(A)に示すようなスラリーを直接液下するような装置が使用できる。また、あるいは、図3(B)に示すような、ポンプの圧力により、スラリーを噴霧投入する構造を有するような装置を使用することも可能である。
次いで、ロータリーキルン10内で、スラリー中の溶媒の乾燥・除去およびフェライト原料の仮焼きを行い、仮焼物を得る。
本実施形態では、ロータリーキルン10を、図2に示すように投入側端部14a側を乾燥ゾーンとし、出口側端部14b側を仮焼ゾーンとし、ロータリーキルン10内を2つの異なるゾーンに分けて、溶媒の乾燥およびフェライト原料の仮焼きを行う。すなわち、フェライトスラリー中の溶媒を、乾燥ゾーンにて乾燥・除去し、次いで、仮焼ゾーンにて、溶媒の乾燥・除去により得られたフェライト原料を仮焼きする。
乾燥ゾーンの温度は、仮焼ゾーンの温度よりも低い温度とすることが好ましく、より好ましくは、乾燥ゾーンの温度は、仮焼ゾーンの温度よりも50〜500℃、さらに好ましくは100〜400℃低い温度とする。乾燥ゾーンの温度を仮焼ゾーンの温度よりも低い温度とすることにより、溶媒の乾燥とフェライト原料の仮焼き反応とが同時に起こることを防止することができ、結果として、仮焼き反応を均一に進行させることができる。
乾燥ゾーンの温度は、400〜900℃とすることが好ましく、より好ましくは500〜800℃とする。本実施形態においては、上記乾燥ゾーンの温度は、乾燥ゾーンの実際の温度(測定温度)を意味している。乾燥ゾーンでは、スラリー中の溶媒の乾燥・除去は、溶媒を加熱により気化させることにより行うため、乾燥ゾーンの実際の温度(測定温度)は、溶媒の気化熱の影響で設定温度よりも低くなる場合がある。そのため、本実施形態では、設定温度と溶媒の気化熱による熱の移動との定常状態における温度、すなわち実際の温度(測定温度)を、上記範囲とする。
乾燥ゾーンの温度が、低過ぎると溶媒の乾燥が不十分となる傾向にある。乾燥ゾーンの温度が、高過ぎると溶媒の乾燥とフェライト原料の仮焼き反応とが同時に起こってしまうため、仮焼き反応が不均一に起こってしまい、フェライトコアとした時の特性が低下してしまう傾向にある。
本実施形態においては、図2に示すように乾燥ゾーンを温度の異なる第1乾燥ゾーンと第2乾燥ゾーンとに、さらに分けることが好ましい。第1乾燥ゾーンおよび第2乾燥ゾーンの温度については、特に限定されないが、第1乾燥ゾーンの温度を第2乾燥ゾーンの温度よりも低い温度とする。第1乾燥ゾーンの温度を第2乾燥ゾーンの温度よりも低い温度とすることにより、フェライト化反応を均一に進行させることができる。
仮焼ゾーンの温度は、800〜1100℃とすることが好ましく、より好ましくは850〜950℃とする。仮焼きは、原料の熱分解、成分の均質化、フェライトの生成、焼結による超微粉の消失と適度の粒子サイズへの粒成長を起こさせ、原料混合物を後工程に適した形態に変換するために行われる。仮焼ゾーンの温度が、低過ぎると、仮焼きが不十分となる傾向にある。仮焼ゾーンの温度が、高過ぎると、フェライト化反応が進み過ぎ、本焼成時に特性が劣化してしまう傾向にある。
なお、本実施形態においては、ロータリーキルン10内で溶媒を乾燥することにより得られる仮焼物は、不定形の粒子となるため、従来のように顆粒化した場合と比較して、ロータリーキルン10内における滞留時間を長くすることが可能となる。そのため、乾燥ゾーンの温度を上述のように、比較的低い温度にすることができ、結果として製造コストの低減を図ることが可能となる。
内部炉心管14の回転速度は、5〜30rpmとすることが好ましく、より好ましくは10〜20rpmとする。回転速度が小さすぎると内部炉心管14の内壁にフェライトスラリー等が付着してしまい、生産効率が低下する傾向にあり、回転速度が大きすぎると、ロータリーキルン10内における滞留時間が短くなり、仮焼きが不十分となる傾向にある。
外部炉心管12および内部炉心管14の傾斜角θは、0.5〜5°とすることが好ましく、より好ましくは2〜3°とする。傾斜角θが小さすぎると、処理速度が低下し、生産効率が低下する傾向にあり、傾斜角θが大きすぎると、乾燥あるいは仮焼きが不十分となる傾向にある。
本実施形態においては、内部炉心管14内に、内部炉心管14の内壁への付着物の除去を行うための可動羽根16を形成する。可動羽根16は、円筒軸を中心として回転可能となっており、内部炉心管14の内壁に付着したフェライトスラリーや、乾燥状態が不十分であるフェライト原料、あるいは乾燥されたフェライト原料等を掻き落とすような構造となっている。可動羽根16は、内部炉心管14の内壁の付着物を除去することが可能な構造を有していれば良いが、本実施形態では、図5(A)に示すような中心軸に対して3方の羽根を有する可動羽根を使用する。
さらに、本実施形態においては、内部炉心管14内に、出口側端部14b側から強制的に空気を送りこみ、投入側端部14a側より、溶媒の気化により発生するガスや仮焼きにより発生する反応ガスを、強制的に排気することが好ましい。ガスの排気を行う方法としては、特に限定されないが、たとえば、サイクロン式の集塵装置やスクラバー等の湿式集塵装置を使用する方法が挙げられる。
従来においては、図4(B)に示すように、配合・粉砕を行ったフェライトスラリーについて、スプレードライヤー等を使用して、乾燥・造粒を行った後に、ロータリーキルン等の各種仮焼き炉を使用して仮焼きを行っていた。また、従来においては、乾燥物を、顆粒や粉の状態でロータリーキルン等の仮焼き炉に投入し、仮焼きを行っていた。これに対して、本発明では、配合・粉砕を行ったフェライトスラリーを、スラリーの状態で、ロータリーキルン内に投入し、ロータリーキルン内で、スラリー中の溶媒の乾燥・除去、およびフェライト原料の仮焼きを一度に行う。そのため、本発明によれば、水等の溶媒を使用してスラリー化し、原料の配合および粉砕をスラリー状態で行う湿式法において、フェライトコアとした時の特性を低下させることなく、工程数の削減を行うことができ、生産効率の向上および製造コストの低減を図ることが可能となる。
次いで、上記にて得られた仮焼物に、必要に応じて秤量した副成分を添加し、粉砕を行い、粉砕材料を得る。粉砕は、仮焼物の凝集をくずして適度の焼結性を有する粉体を製造するために行われる。仮焼物が大きい塊を形成しているときには、粗粉砕を行ってからボールミルやアトライターなどを用いて湿式粉砕を行う。
次いで、粉砕材料の造粒(顆粒)を行い、造粒物を得る。造粒は、粉砕材料を適度な大きさの凝集粒子とし、成形に適した形態に変換するために行われる。こうした造粒法としては、たとえば、加圧造粒法やスプレードライ法などが挙げられる。スプレードライ法は、粉砕材料に、ポリビニルアルコールなどの通常用いられる結合剤を加えた後、スプレードライヤー中で霧化し、乾燥する方法である。
次いで、造粒物を所定形状に成形し、成形体を得る。造粒物の成形としては、たとえば、乾式成形、湿式成形、押出成形などが挙げられる。乾式成形法は、造粒物を、金型に充填して圧縮加圧(プレス)することにより行う成形法である。成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよい。
次いで、成形体の本焼成を行い、フェライト焼結体を得る。本焼成は、多くの空隙を含んでいる成形体の粉体粒子間に、融点以下の温度で粉体が凝着する焼結を起こさせ、緻密な焼結体を得るために行われる。本実施形態においては、本焼成の高温保持工程における安定温度(焼成温度)を好ましくは、1250〜1350℃、昇温速度:50〜300℃/hr、焼成時間:2〜8時間程度、焼成雰囲気:酸素濃度を制御した雰囲気とする。
このような工程を経て、本実施形態に係るフェライトコア1は製造される。
このようなフェライトコア1は、所定径の導線を所定回数巻回することによりコイル用のコアや、トランス用のコアとして使用される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明の製造方法により製造されるフェライトコアの具体的形状は図1に示すものに限定されず、種々の形状を採用し得る。
また、内部炉心管14の内壁の付着物を除去するための可動羽根16として、中心軸に対して3方の羽根を有する可動羽根を例示したが、たとえば、図6(A)〜(C)に示すようなそれぞれ中心軸に対して4方、5方および6方の羽根を有するような可動羽根や、図6(D)に示すような螺旋状の羽根を有する可動羽根を使用することも可能である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
まず、出発原料として、フェライト原料を用意し、フェライト原料と純水とを撹拌・混合し、次いで、配合粉砕機を使用して配合・粉砕を行い、フェライトスラリーを作製した。本実施例においては、フェライトスラリー中のフェライト原料の含有量は、フェライトスラリー全体に対して、50重量%となるように調整した。
次いで、得られたフェライトスラリーを図3(A)に示すようなスラリーを直接液下する構造を有するスラリー投入装置を使用して、図2に示すロータリーキルン10に、スラリー状態で投入し、ロータリーキルン10で、スラリー中の溶媒の乾燥およびフェライト原料の仮焼きを行い、仮焼物を得た。得られた仮焼物について、走査型電子顕微鏡(SEM)による外観観察、かさ密度の測定、および比表面積の測定を行った。得られた結果を、それぞれ表1に示す。
溶媒の乾燥およびフェライト原料の仮焼きは、管径200mm、炉長3500mmの外部炉心管12を有するロータリーキルン10を使用して行った。内部炉心管14の加熱は、外加熱方式により行い、設定温度を、入口部(第1乾燥ゾーン):800℃、中心部(第2乾燥ゾーン)800℃、出口部(仮焼ゾーン)950℃とした。なお、本実施例においては、内部炉心管14の温度のうち、入口部の実際の温度(測定温度)は、スラリー中の溶媒の気化熱の影響により、設定温度よりも低くなる傾向にあり、入口部(第1乾燥ゾーン)の実際の温度(測定温度)は、600℃であった。また、中心部(第2乾燥ゾーン)の実際の温度(測定温度)は、設定温度と同じ温度である800℃であった。この理由としては、入口部では、溶媒の乾燥が充分に進行していないため、気化する溶媒の量が多くなり、溶媒の気化熱の影響が大きくなる一方で、中心部では、溶媒の乾燥がほぼ完了しており、気化する溶媒の量が微小であったためと考えられる。
その他のロータリーキルンの運転条件としては、傾斜角θを4°、炉心管の回転速度を20rpmとし、可動羽根16として、図5に示すような中心軸に対し3本の羽根が放射状に延びている撹拌羽根を使用した。
次いで、上記乾燥および仮焼きにより得られた仮焼物に、組成調整のために、微量添加物を配合し、微粉砕を行い、微粉砕材料を得た。次いで、微粉砕材料にバインダとしてPVAを加え、顆粒化し、顆粒を図1に示すようなトロイダル形状に加圧成形して、焼成を行うことにより、トロイダル形状を有するフェライトコア試料を作製した。
次いで、フェライトコア試料についてコアロス(Pcv)の測定を行った。コアロスの測定は、トロイダル形状のフェライトコア試料について、1次巻線および2次巻線を5回ずつ巻回することによりトランス試料を作製し、岩崎通信機(株)製 BH−アナライザ(SY−8217)を使用して行った。測定条件は、励磁磁束密度200mT、周波数100kHz、測定温度100℃のとした。得られた結果を、表1に示す。
実施例2
乾燥・仮焼きを行う際のロータリーキルンの傾斜角を2°とした以外は、実施例1と同様にして乾燥・仮焼きを行い、実施例1と同様にして、仮焼物およびフェライトコア試料を作製し、実施例1と同様の測定を行い、仮焼物およびフェライトコア試料の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例3
フェライト原料、純水および分散剤を準備し、これらを撹拌・混合し、次いで、配合粉砕機を使用して配合・粉砕を行うことにより実施例3のフェライトスラリーを作製した。本実施例においては、フェライトスラリー中のフェライト原料および分散剤の含有量は、フェライトスラリー全体に対して、それぞれ、64.9%、0.5%とした。
次いで、得られたフェライトスラリーを使用し、ロータリーキルンの運転条件を表1に示す各条件とした以外は、実施例1と同様にして、乾燥・仮焼きを行い、仮焼物およびフェライトコア試料を作製し、実施例1と同様の測定を行い、仮焼物およびフェライトコア試料の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
参考例1
フェライト原料、純水および分散剤を準備し、これらを撹拌・混合し、次いで、配合粉砕機を使用して配合・粉砕を行うことにより参考例1のフェライトスラリーを作製した。本実施例においては、フェライトスラリー中のフェライト原料および分散剤の含有量は、フェライトスラリー全体に対して、それぞれ、66.0%、0.5%とした。
次いで、得られたフェライトスラリーを使用し、ロータリーキルンの運転条件を表1に示す各条件とした以外は、実施例1と同様にして、乾燥・仮焼きを行い、仮焼物およびフェライトコア試料を作製し、実施例1と同様の測定を行い、仮焼物およびフェライトコア試料の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例1
フェライト原料、純水および分散剤を準備し、これらを撹拌・混合し、次いで、配合粉砕機を使用して配合・粉砕を行うことにより比較例1のフェライトスラリーを作製した。本実施例においては、フェライトスラリー中のフェライト原料および分散剤の含有量は、フェライトスラリー全体に対して、それぞれ、66.0%、0.5%とした。
次いで、フェライトスラリーをスプレードライヤーを使用して、乾燥温度を300℃として、噴霧乾燥および造粒を行い、造粒物を得た。次いで、得られた造粒物を実施例1と同じロータリーキルンを使用し、投入部、中心部および出口部の全ての設定温度を950℃として仮焼きを行った。なお、その他のロータリーキルンの運転条件としては、傾斜角θを2°、炉心管の回転速度を20rpmとし、図5に示すような中心軸に対し3本の羽根が放射状に延びている撹拌羽根を使用した。
次いで、得られた仮焼物を使用し、実施例1と同様にして、トロイダル形状を有するフェライトコア試料を作製し、実施例1と同様の測定を行い、仮焼物およびフェライトコア試料の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
Figure 2005281069
評価1
表1より、実施例1〜3は、従来の製造方法である比較例1と比較して、フェライトコアの特性として重要な特性であるコアロスの値が、同等程度となる良好な結果となった。なかでも、実施例2,3は、比較例1よりもコアロスの値が低くなり、特に実施例3は、コアロスの値が408W/kgとなり、良好な結果となった。また、実施例1〜3は、造粒を行っていないため、得られた仮焼物の形状は不定形となったが、顆粒化された比較例1の仮焼物と同等程度のかさ密度を有しており、成形および焼成する際に、特に問題を生じることは無かった。
この結果より、本発明によると、ロータリーキルンを使用して、乾燥・仮焼きを一度に行うことにより、コアロス等の電磁気特性を低下させることなく、工程数を削減することができ、生産効率の向上および製造コストの低減が可能となることが確認できた。
評価2
表1より、乾燥ゾーンである入口部および中心部の温度を、仮焼ゾーンである出口部の温度よりも低くなるようにして、乾燥および仮焼きを行った実施例1〜3は、乾燥ゾーンである中心部と、仮焼ゾーンである出口部とを同じ温度とした参考例1と、比較してコアロスが低くなる結果となった。
この結果より、乾燥ゾーンの温度は、仮焼ゾーンの温度より低く設定することが好ましく、乾燥ゾーンの温度を仮焼ゾーンの温度より50〜500℃程度低くすることが好ましいということが確認できた。
図1は本発明の一実施形態に係るフェライトコアの斜視図である。 図2は本発明の一実施形態に係る乾燥・仮焼き工程を説明するための図である。 図3(A)、(B)は本発明の一実施形態に係るスラリーを投入する方法を示す図である。 図4(A)は本発明に係るフェライト組成物の製造方法を示す工程図、図4(B)は従来のフェライト組成物の製造方法を示す工程図である。 図5(A)は本発明の一実施形態に係る可動羽根の斜視図、図5(B)は断面図である。 図6(A)〜(D)は本発明のその他の実施形態に係る可動羽根の断面図および斜視図である。
符号の説明
1… フェライトコア
10… ロータリーキルン
12… 外部炉心管
14… 内部炉心管
14a… 投入側端部
14b… 出口側端部
16… 可動羽根
20… スラリー投入装置

Claims (9)

  1. フェライト原料と溶媒とを含有するフェライトスラリーを準備する工程と、
    前記フェライトスラリーを、スラリーの状態で、ロータリーキルン内に投入する工程と、
    前記ロータリーキルン内で、前記スラリー中の溶媒の乾燥・除去、および前記フェライト原料の仮焼きを一度に行う工程とを、
    有することを特徴とするフェライト組成物の製造方法。
  2. 前記フェライトスラリーを投入する工程におけるスラリーの投入方法が、ロータリーキルン内へ直接液下投入する方法である請求項1に記載のフェライト組成物の製造方法。
  3. 前記フェライトスラリーを投入する工程におけるスラリーの投入方法が、ロータリーキルン内へ噴霧投入する方法である請求項1に記載のフェライト組成物の製造方法。
  4. 前記ロータリーキルンが、前記ロータリーキルンの内壁の付着物の除去を行うための可動羽根を有する請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト組成物の製造方法。
  5. 前記ロータリーキルン内を、少なくとも2つのゾーンに分け、
    投入側である乾燥ゾーンの温度を、出口側である仮焼ゾーンの温度よりも低い温度とする請求項1〜4のいずれかに記載のフェライト組成物の製造方法。
  6. 前記乾燥ゾーンの温度を、前記仮焼ゾーンの温度よりも、50〜500℃低い温度とする請求項5に記載にフェライト組成物の製造方法。
  7. 前記乾燥ゾーンの温度が、400〜900℃である請求項5または6に記載のフェライト組成物の製造方法。
  8. 前記仮焼ゾーンの温度が、800〜1100℃である請求項5〜7のいずれかに記載のフェライト組成物の製造方法。
  9. 前記溶媒を乾燥・除去する際に、乾燥・除去される溶媒を、ロータリーキルン内から排ガスとして排出する請求項1〜8に記載のフェライト組成物の製造方法。
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