JP2005279950A - 溶液製膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶液製膜方法におけるポリマーフィルムのスリキズやシワ、側端部カール等の面状故障を抑制する。
【解決手段】 溶媒を含んだ状態でバンド27から剥離したポリマーフィルム31を、気体で支持し、その気体を搬送方向へ流すことにより、テンター装置17へ搬送する。気体は搬送台38の上流またはフィルム支持面側から供給されて、その供給方向はフィルム31の面に平行とする。そして第1及び第2の堰46,47を設けることにより気体をせき止める。ポリマーフィルムの幅W1と、剥離位置P1からテンター装置17までの距離L1とに対して、搬送台38の搬送方向における長さL2は、W1/2≦L2≦L1を満たすものとする。これにより、フィルム31にはスリキズやシワ、空気の吹き付け跡、側端部のカール等の面状故障が発生せず、良好な製品を得ることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、溶液製膜方法に関するものである。特に、偏光板や光学補償フィルム、液晶表示装置等の光学分野を用途とするフィルムを製造するための溶液製膜方法に関するものである。
光学用途としては、例えば、偏光板や光学補償フィルム、液晶表示装置等があり、これらに使われるポリマーフィルムに対しては、生産性の向上、つまり製膜速度のアップが図られている。これは、上記の光学製品の需要の拡大とコストダウンに対する強い要望とによるものである。また、上記のような光学用途においては、高機能化及び多機能化に対する要求が大きく、それに対応するために、ポリマーフィルムの薄膜化が図られている。
光学用途に用いられる各種のポリマーフィルムは、一般には流延ダイを用いてドープを支持体上に流延させ、これを支持体から剥ぎ取った後、乾燥工程を経て巻き取ることにより製造されている。これは、溶液製膜方法と呼ばれている代表的なフィルムの製造方法である。
この溶液製膜方法では、ポリマーフィルムの平面性や機械的強度、光学特性等を改良するために、ポリマーフィルムの幅規制及び延伸を行うテンター装置を乾燥工程に設けることが一般的となっている。支持体からポリマーフィルムを剥離した後から、テンター装置に至る搬送過程を、以降の説明においては渡り部と称することとする。
図5は従来の渡り部におけるフィルム搬送を示している。渡り部101には、複数のローラ102が設けられている。これらのローラ102は、駆動または非駆動のローラであり、必要に応じて適宜選択される。ただし、これらのローラ102のうち、最も上流に位置するローラは駆動ローラとされる場合が多い。これらのローラ102の各設置位置は、渡り部において必要なフィルム搬送距離や、製造スペースの制約、ラップ角の設定等に応じて適宜決められる。ここでは、ラップ角とは、フィルムのローラに対する巻きかけ中心角をいう。
支持体としてのバンド106は、バックアップローラ107に巻きかけられており、バックアップローラ107がモータ(図示なし)により所定の回転速度となるように駆動される。バックアップローラ107の回転によりバンド106は連続搬送される。フィルム103は、溶媒を含んだ状態でバンド106から剥ぎ取られる。この剥ぎ取りは、通常は、ローラ102のうち最も上流のものに巻きかけられて、この最上流のローラ102の駆動等による走行方向下流側からの張力によりなされる。
この渡り部101においては、フィルム103にスリキズやシワ等が発生したり、さらに、フィルム103の側端部ではカール等が発生することがある。スリキズやシワ等は、ローラ102との接触によるものである。また、側端部カールは、剥離後におけるフィルム103からの溶媒の蒸発量と蒸発速度との表裏差によるものである。つまり、フィルム103の剥離面は、反剥離面に比べて、剥離時には溶媒含有量が多く、剥離後には蒸発速度が大きいということである。これらの変形は、いわゆる面状故障(以下の説明において、これをフィルム故障と称することもある)と呼ばれるものであり、溶媒含有率が高い場合に、特に顕著に発生しやすい。このような面状故障は製品としての品質を低下させるのはもちろんのこと、この面状故障が原因となって、製造工程におけるフィルム搬送性を低下させてしまい、製造ラインを停止せざるを得ない事態を招くこともある。
そこで、渡り部における上記の面状故障を抑制するために、フィルムを無接触で搬送する方法がある。無接触搬送方法としては、例えば、フィルムの両側縁部を固定してその間隔を所定間隔に保ちつつ搬送する方法(例えば、特許文献1参照)や、溶媒含有率が所定の値のときにだけフィルムの巾方向に張力を付与しながら搬送する方法(例えば、特許文献2参照)等がある。また、剥離ロール直後からテンター導入口までの少なくとも反剥離面側に関しては、接触式搬送ローラを用いずに、無接触搬送手段を用い、側端部のみキャタピラまたはニップローラにより保持し、同区間において搬送ローラを用いる場合には、反剥離面側に接触する搬送ローラを3本以下とし、無接触搬送方法としては風を吹き付けることによりフィルムを浮上させる方法(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
特開昭62−115035号公報(第5−8頁、第2図) 特開平11−48271号公報(第3−4頁、第1図) 特開2001−277267号公報(第7−8頁、第3図)
しかしながら、上記の方法は、いずれも、上述したようなスリキズやシワ、側端部のカール等の発生を防止できるものではない。特に、製造するフィルムの厚みが小さい場合には効果がない。例えば、フィルムの幅方向に張力を与える方法は、フィルムの自己収縮を防ぐことはできるが、ツレやシワやスリキズ、カール等に対する効果は十分ではない。そして、エアーでフィルムを浮上させる無接触搬送手段を用いる方法では、浮上させるに必要な風量が大きいために、溶媒を含有して軟らかいポリマーフィルムに、風の吹き付け跡がついてしまうという問題がある。例えば、特許文献3で提案されている方法では、円筒型のヘッダもしくはエアフロータ等の浮上手段により、フィルムの上と下とからの送風を交互に行い、この風により、フィルムをローラから浮上させているが、この方法によると、フィルムに当てた風が上記の浮上手段の上流または下流に逃げてしまうために、実際には、フィルムに対し垂直に、かつ風量を大きくする必要がある。このため、吹きムラが生じたり、吹き付け跡がフィルムに付いてしまうという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、渡り部においてフィルムに発生するスリキズやシワ、側端部のカール等の面状故障を抑制し、製膜速度を向上させてフィルムの薄膜化を図ることができる溶液製膜方法を提供することを目的とする。
本発明では、溶媒を含むポリマーフィルムを支持体から剥離する剥離工程と、前記剥離工程から搬送される前記ポリマーフィルムをテンター装置で乾燥するテンター乾燥工程とを有する溶液製膜方法において、ポリマーフィルムを、気体または液体により支持するとともに、この気体または液体を前記搬送の方向へ流すことにより、剥離工程からテンター乾燥工程へポリマーフィルムが搬送されることを特徴として構成されている。
前記気体または液体を搬送方向に沿って移動させる搬送手段によりポリマーフィルムを搬送することが好ましく、気体または液体の少なくとも一部が、ポリマーフィルムの面に対して平行に供給されることが好ましい。そして、前記搬送手段が、前記気体または液体の少なくとも一部を供給するための供給部を有し、この供給部が、前記搬送手段の上流部、または、前記搬送手段の前記ポリマーフィルムを支持する面側に備えられることが好ましい。
前記ポリマーフィルムの幅をW1とし、前記剥離の位置からテンター装置の導入口までの搬送距離をL1とするとき、ポリマーフィルムの搬送方向における前記搬送手段の長さL2が、(W1/2)≦L2≦L1を満たすことが好ましい。また、搬送手段が、気体または液体をせき止めるための第1の堰を、前記ポリマーフィルムを支持する面の両側端部に有し、第1の堰の高さが、ポリマーフィルム幅方向における中央部の前記搬送手段の支持面からの高さよりも大きいことが好ましい。また、搬送手段が、ポリマーフィルムを支持する面の上流端部と下流端部とに前記気体または液体をせき止めるための第2の堰を有し、ポリマーフィルムを第2の堰に非接触で搬送することが好ましい。
ポリマーフィルムを支持体から剥離するための剥離ローラを用い、この剥離ローラが、ポリマーフィルムの側端部のみと接触することが好ましい。さらに、剥離ローラと、この剥離ローラと対をなして前記ポリマーフィルムを挟み込むニップローラとにより前記ポリマーフィルムを挟み込みながら前記剥離することが好ましい。
前記ポリマーフィルムの幅方向における中央部の厚みをt1とし、側端部の厚みをt2とするとき、前記t1とt2とが、1.1×t1≦t2≦2.0×t1を満たすことが好ましい。
また、ポリマーフィルムの支持体からの剥離面側に板状物を設け、板状物とポリマーフィルムとの面を互いに平行とし、板状物と前記ポリマーフィルムとの間に、気体を流入して搬送方向に流すことにより気体の流体層を形成することが好ましい。そして、気体の少なくとも一部を流入するための流入手段により、ポリマーフィルムの面に平行して前記気体を流入させることがより好ましい。
前記搬送手段と前記板状物とは、ポリマーフィルムを間に介して20mm以下の距離とすることが好ましい。そして、本発明は、剥離時におけるポリマーフィルムの溶媒含有量が、80重量%以上200重量%以下であるときに特に有効である。
本発明の溶液製膜方法により、渡り部においてポリマーフィルムに発生するスリキズやシワ、側端部のカール等の面状故障を抑制することができる。そして、製膜速度を向上させてポリマーフィルムの薄膜化を図ることができる。
本発明について、図を参照しながら以下に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施様態に限定されるものではない。図1は、本発明を実施した溶液製膜方法の概略を示す工程図である。溶液製膜設備10は、ドープ11が供給されるリザーブタンク12と、送液用ポンプ15と、流延装置16と、テンター装置17と、ローラ乾燥装置21と、巻き取り装置22とを有する。流延装置16は、流延ダイ25a,25bと、バックアップローラ26により支持されながら搬送される支持体としてのバンド27とを有している。また、バンド27の下流には、バンド27よりフィルム31を剥ぎ取るための剥ぎ取りローラ32が備えられる。テンター装置17の上流のローラ33は、テンター装置17にフィルム31を安定的に導入するために必要に応じて設置される。さらに、これらのローラ32,33は、駆動あるいは非駆動のいずれにするかについて適宜決められる。なお、流延装置16とテンター装置17との間を、渡り部34と以降称する。
ドープ11は、リザーブタンク12から送液ポンプ15により2つの流延ダイ25a,25bに送られる。流延ダイ25aは、ドープ11を、バンド27上に流延し、流延ダイ25bは、流延ダイ25aにより流延された流延膜の両側端部上のみに流延する。つまり、本実施形態においては、フィルム31の両側端部のみを逐次流延としている。バンド27は、回転駆動するバックアップローラ26により連続搬送され、これにより、ドープ11は連続的に流延される。流延されたドープは、バンド27上で自己支持性をもったところで、フィルム31として剥ぎ取られる。この剥ぎ取りは、渡り部34における最上流に位置する剥ぎ取りローラ32にフィルム31が巻きかけられ、このローラ32の回転により連続的に行われることもあるし、その他の剥ぎ取り手段等により、フィルム31の搬送方向にバンド27の下流から張力をかけることにより連続的に行われることもある。剥ぎ取られたフィルム31は、渡り部34を経て、テンター装置17へ送られる。なお、渡り部34については後に別の図面を参照しながら詳細に述べるものとし、図1においては詳細の図示を略す。
テンター装置17においては、フィルム31は、幅を規制され、かつ、延伸されながら乾燥される。テンター装置17では、テンタークリップ(図示せず)が、フィルム31の両側端部を保持しながらテンター軌道(図示せず)に従って走行し、このテンタークリップの走行によりフィルム31は搬送される。テンタークリップの代わりにピンクリップ等を用いる場合もある。そして、テンタークリップは、コントローラ(図示せず)により開閉を自動制御され、この開閉によりフィルム31の保持と保持解除とを行う。フィルム31を保持したテンタークリップは、テンター装置17の内部で走行し、その出口付近の所定の保持解除点に到達すると保持部を開放してフィルム31の保持を解除するように自動制御される。
テンター装置17のフィルム31は、支持あるいは搬送用のローラ32により次工程であるローラ乾燥装置21へ送られて、ここで複数のローラ21aにより支持あるいは搬送されながら十分に乾燥された後、両側端部をカッタ22aにより切断除去されて製品として巻き取られる。
次に、図2及び図3を用いて本発明の第1の実施様態を説明する。図2は渡り部34の斜視図であり、図3は側面図であるが、図2においては、煩雑性を避けるためにフィルム31の剥離面側に設置した部材については図示を省略している。渡り部34には、剥ぎ取りローラ32と、ニップローラ37と、搬送台38と、給気台41とが備えられている。剥ぎ取りローラ32は駆動ローラとなっており、モータとコントローラとが備えられている。ニップローラ37にはコントローラが備えられている。ただし、図示の煩雑化を避けるために、剥ぎ取りローラ32のモータ及びコントローラと、ニップローラ37のコントローラとは図示を略す。剥ぎ取りローラ32とニップローラ37とは、フィルム31の側端部に接触するようにフィルム31の両側端部に設置される。そして、剥ぎ取りローラ32とニップローラ37とは対になってフィルム31の側端部を挟み込みながらフィルム31を搬送する。
搬送台38は、台本体39と後述する堰46,67とを有している。搬送台38には、空気を流出するために、その第1の流出部としての給気孔42が台本体39に備えられ、第2の流出部としての給気ダクト43が台本体39の上流に備えられている。台本体39の上部から外部への空気の流出を抑制するために、台本体39の給気孔42のある面(以降、給気面と称する。)には堰が設けられ、ここでは両側端部の堰を第1堰46とし、搬送台の上流端部及び下流端部の堰を第2堰47と称するものとする。給気ダクト43は、給気口43aから空気を流出する。給気孔42は、図2では説明の明示性を図るため実際より個々を大きく図示している。搬送台38は、給気面がフィルム31側を向くように設置される。給気ダクト43は、搬送台38の上流側に備えられている。そして、搬送台38にはコントローラ51が接続されており、コントローラ51は、台本体39及び給気ダクト43の内部に備えられている各送風部(図示なし)を制御して、給気孔42と給気口43aとからの給気の風量と風圧及び温度をそれぞれ独立して調節する。
給気台41は、第1及び第2の堰とを有していない他は、搬送台38と同じ構造とされており、第1の空気流出部としての多数の給気孔(図示せず)と第2の空気流出部としての給気ダクト53とを有している。給気台41は、給気孔のある面(以降、給気面と称する。)がフィルム31側に向くように設置され、給気ダクト53は給気台41の上流に備えられている。そして、給気台41は、コントローラ54と接続しており、コントローラ54が、給気孔と給気ダクト53とからの給気の風量及び温度をそれぞれ制御する。
図2及び図3に示すように、本発明において、バンド27から剥離したフィルム31の幅を符号W1とする。そして、バンド27からフィルム31が剥離される位置を剥離位置P1として、剥離位置P1からテンター装置17までの搬送距離をL1とし、台本体39上部の2つの第2堰の距離を符号L2とする。
本実施形態では、バンド27の上のポリマーフィルム31は、剥ぎ取りローラ32に巻きかけられ、剥ぎ取りローラ32とニップローラ37とに挟み込まれ、両ローラ32,37の回転により搬送方向へ張力をかけられることにより、剥離位置P1でバンド27から連続的に剥ぎ取られる。このとき、剥ぎ取りローラ32は、コントローラにより制御されるモータによって回転速度が制御される。ニップローラ37はコントローラによりフィルム31及び剥ぎ取りローラ32に対する押しつけ圧力を制御される。また、剥ぎ取りローラ32におけるラップ角は、剥ぎ取りローラ32の位置を調整することで所定の値となるように調節される。
このように、フィルム31は、側端部のみを保持される。そして、剥ぎ取りローラ32とニップローラ37とに接触した部分は、後の工程で切断除去する。フィルム31の製品部となる部分は両ローラ32,37に接触しないため、過度な摩擦によるツレ、シワ等の面状故障を抑制する効果が向上する他に、フィルム面へのキズの発生の抑制効果が向上する。本実施形態では、フィルム31の両端を保持するために、剥ぎ取りローラ32とニップローラ37とを両側端部に設けているが、これに限定されるものではない。例えば、保持するための側端部が中央部よりも径が大きいコンケーブローラや段状ローラを剥ぎ取りローラ32の代わりに用いることにより、同様の効果を得ることができる。なお、剥ぎ取りローラ32上でフィルム31に面状故障が発生しないと確認される場合には、剥ぎ取りローラを、長手方向の長さがフィルム31の幅よりも大きく外径が一定のローラに代えて剥ぎ取りを実施してもよい。
そして、ポリマーフィルム31は、剥ぎ取りローラ32とニップローラ37とにより、搬送台38と給気台41とのそれぞれの給気面の間に送り込まれる。搬送台38の給気孔42と給気ダクト43とからは、所定の風量及び温度の給気がなされている。ここで、台本体39の給気面の給気孔42は、給気が上向きで搬送方向に傾きをもって吹き出すように、台本体内部から表面に傾きをもって形成されている。給気孔42からの給気方向は、搬送方向に傾いているほど好ましい。また、給気ダクト43の給気口43aにより、フィルム31と第2堰との間から空気が入りフィルム搬送方向へその空気が流れるように給気がなされる。そして、給気孔42と給気ダクト43から出された空気は、その大部分が第2の堰47のうち下流側のものとフィルム31との間から外部へと流出される。
これにより、フィルム31は、流体としての空気にフィルムは支持されるとともに、その空気が搬送方向に流れることによりテンター装置17へと搬送される。搬送台38とフィルム31との間には、空気が搬送方向に流れる流体層となって存在するように、台本体39と給気ダクト43とからのそれぞれの風量及び風圧とを調整することにより、両方の給気のバランスをとる。例えば、台本体39の給気角度の傾きが小さいとき、つまりフィルム31の面に対する給気孔42からの吹き付け角度が垂直に近いほど、給気ダクト43からの風量または風圧を大きくする必要がある。フィルム31は面全体で、流体層に支持され、また、その流体層が、面に対して垂直ではなく平行であるので、フィルム31に対する面状故障が抑制されるとともに、安定した搬送が可能となる。そして、ローラを用いずに搬送することができるので、接触によるスリキズやシワも抑制することができる。なお、この流体層の厚みは、フィルム31を支持するとともに搬送することが出来るために必要十分な厚みであればよく、限定されるものではない。また、例えばローラ表面から風により浮上させてそのローラを複数用いて搬送させる方法は、ローラ間に空気が逃げてしまうが、これに対して本発明では、供給した空気を搬送方向に連続した流体層として形成してフィルム31を搬送するので、空気の逃げが少なく、結果として必要とする風量及び風圧を少なくても十分な搬送エネルギーを得ることができる。
本実施形態においては、台本体39の給気面は多孔板としており、これにより、フィルム31の面に対する風圧の均一化を図っている。ただし、本発明は、給気面の構造に関して、多孔板に限定されるものではなく、例えば、幅方向に長いスリットを、搬送方向に多数有している板としてもよい。このようなスリット型式は、フィルム31の巾方向に均一な風を送ることができる意味で有効である。また、本実施形態においては、給気面の給気孔を円形としているが、本発明は給気孔に関して円形孔に限定されるものではなく、例えば角形孔とされてもよい。
フィルム31の支持力とテンター装置17への搬送力とを得るために、搬送台38の搬送方向における長さが、フィルム31の幅W1と剥離位置P1からテンター装置導入口までの距離L1に対して、(W1)/2以上L1以下とすることが好ましい。本実施形態においては、搬送台38による支持及び搬送区間が、2つの第2堰47の間の距離であるので、上記第2堰47間の距離L2を搬送台38の搬送方向における長さと見なしている。第2堰47間の距離L2が(W1)/2未満であると、フィルム31を支持するに十分な流体層を台本体39とフィルム31との間に形成することが難しい。
そして、給気孔42と給気ダクト43とからの給気は、フィルム31が2つの第2堰47に非接触となるに十分な風量に調整されて、これによりフィルム31が第2堰47に接触して面状故障や搬送故障となることを抑制する。そして、第2堰47のうち下流側のものとフィルム31との間は風が抜けるための隙間となる。このようにして空気は、上流側から供給され下流側から抜けることにより、空気の流れを安定的に搬送方向とすることができる。
そして、第1堰46とフィルム31との間からも空気はもれることがあるが、ここからのもれ量ができるだけ少なくなるように、両側端部に備えられた2つの第1堰46が位置決めされることが好ましい。そのため、本実施形態では、給気により支持されたフィルム31の幅方向における中央部の高さが、第1堰46の高さよりも低くなるように、給気の風量と風圧とが制御されている。さらに、2つの第1堰46の間隔は、フィルム31の幅W1よりも大きくしているが、搬送中のフィルム31と2つの第1堰の向かい合った面とが接触しない程度の隙間の間隔とすることが好ましい。第1堰46とフィルム31との位置関係を上記のようにすることにより、フィルム31に対する空気の圧力を所定の圧力にまで高めることが容易になる。
以上のように、第1堰46と第2堰47とは、ともに、フィルムを支持する範囲に給気をせき止めるために、そのエネルギーは有効に搬送するために利用される。したがって、給気の風量を小さくしても十分な搬送エネルギーを得ることができる。
本実施形態においては、フィルム31が後工程で側端部を切断除去されて製品とされるが、搬送台38の幅は、フィルム31の製品となる部分の幅よりも10mm以上500mm以内の範囲で大きい。この製品部の幅とは、カッタ22a(図1参照)により切断除去された側端部をのぞいて、中央部として巻き取られるときの幅を意味する。ただし、ここでは第1堰46を設けているので、実際の支持及び搬送幅である両第1堰46間の距離を搬送台38の幅と見なしている。両第1堰46間の距離と、フィルムの製品となる部分の幅との差が10mm未満であると、フィルム31が第1堰に接触してしまって面状故障が発生することが多い。また、その差が500mmよりも大きい場合には、フィルム31と第1堰46との間から空気が過剰に抜けてしまい、搬送台38における支持及び搬送ができなくなる場合がある。
本発明においては、搬送台38の幅は上記の範囲に限定されるものではない。フィルム31の幅W1よりも幅が小さい搬送台38を用いて、フィルム31の支持が不安定と判断されるときには、支持ローラを搬送台の側縁近傍等に配し、この支持ローラによりフィルム31の側端部を支持することにより、支持及び搬送の安定化を向上させることができる。また、支持ローラと対をなしてフィルム側端部を挟み込むためのニップローラを新たに設けることにより、支持及び搬送の安定を、より確実にすることができる。
なお、本発明では、フィルム31の中央部の厚みをt1とし、切断除去される側端部の厚みをt2とするとき、t1とt2とが1.1×t1≦t2≦2.0×t1を満たすことが好ましい。これを満たすために、本発明では、図1を用いて説明したように、側端部のみを逐次流延とした。これにより、フィルム31の幅方向における中央部下方にある空気がフィルム31と搬送台38との間から外部へ逃げにくくなり、フィルム31を支持、搬送するための流体層の形成がより容易になる。1.0×t1≦t2<1.1×t1とすると、流体層の形成のし易さに関しては効果がなく、側端部が下からの風圧によりカールしてしまうことがある。また、2.0×t1<t2とすると、バンド27に剥離残しが付着したままということがある。
さらに、本実施形態では、給気台41を設け、給気台41の給気孔からと給気ダクト53の給気口53aとから給気をしている。そして台本体41aの給気面は搬送するフィルムと平行となるように設置されている。給気台41の給気孔は、搬送台38の給気孔42と同様に、搬送方向側に傾きをもったフィルム方向に吹き出されるように、台本体41a内部から表面に傾きをもって形成されている。給気ダクト53からは、台本体41aとフィルム31との間に、フィルム31の搬送方向にできるだけ平行となるように給気がなされる。つまり、台本体41aの給気面とフィルムとの間に流体層を形成する。このように、給気孔と給気ダクト53からの空気の流れが、フィルム31の面に対する垂直風でなくフィルム31と台本体41とにほぼ平行とすることにより、フィルムの面状の荒れが抑制される。そして、この空気がフィルム31と台本体41aとの間に流体層として存在し、この流体層の圧力の調節、つまり風量を調節することにより、搬送台側の流体層圧力により押し上げられているフィルム31を非接触で押さえつける。これにより、フィルムの側端部が剥離面側にカールすることが抑制され、また搬送台38の上方の所定の位置で支持及び搬送することがより確実にできるようになるので、スリキズやシワ等の抑制効果がさらに高まる。
本実施形態においては、フィルム31の上部には、給気孔を有する給気台41を設けたがこれに限定されない。例えば、台本体41aの代わりに板状物を設け、その板状物の上流に本実施形態と同様の給気ダクト53を設けてこの給気ダクト53のみから給気する等により、板状物とフィルム31との間に、搬送方向に流れる流体層を形成することができればよく、効果が得られる。また、搬送台38も給気台41と同様に、台本体の代わりに板状物を設け、その板状物の上流に本実施形態と同様の給気ダクト43を設けてこの給気ダクト43のみから給気し、板状物とフィルム31との間に、搬送横行に流れる流体層を形成しても効果が得られる。また、搬送台38からの給気については、本実施形態のように台本体39の給気孔42と給気ダクト43からの給気とを組み合わせてもよいし、フィルム31を支持するとともに搬送することができる流体層を形成することができればいずれか一方からの給気でもよい。そして、給気台41からの給気については、搬送台38による支持及び搬送が良好であるときには、実施せずともよい。
フィルム31は搬送台38と非接触で搬送されるが、フィルム31の安定した支持と搬送とをなし得るために、搬送台38と給気台41との距離L3は3mm以上20mm以下とすることが好ましい。これにより、フィルム31は搬送台38と接触することなく、安定的にテンター装置17へと搬送される。搬送台38と給気台41との距離L3を3mm未満とすると、フィルム31に関して搬送台38側と給気台41側との圧力バランスの調整が困難となり、フィルム31が搬送台38または給気台41へ接触しやすくなり、面状故障を発生する恐れがある。一方、搬送台38と給気台41との距離L3を20mmより大きくすると、搬送力が低下する。
搬送台38と給気台41とからの給気は所定の温度に調整される。給気の温度は、必要に応じて、フィルム31の幅や搬送方向において変化させてもよい。給気の温度を所定の温度に設定することにより、フィルム31の乾燥状態を制御することができる。
なお、搬送台38と給気台41との給気ダクト43,53は、搬送台38及び給気台41とにそれぞれ取り付け自在のものでもよいし、同様の機能を担うものであれば搬送台338もしくは給気台41として予め一体型とされていてもよい。あるいは、搬送台38、給気台41とは独立して設置するものであってもよい。
本発明は、バンド27からの剥離時におけるフィルム31の溶媒含有率に依存するものではないが、この溶媒含有率が80重量%以上200重量%以下のときに、特に大きな効果が得られる。ただし、この溶媒含有率(単位;重量%)は、剥離直後のフィルム31をサンプリングし、サンプリング時におけるサンプルフィルムの重量をx(g)とし、このサンプルフィルムの乾燥後の重量をy(g)とするとき、{(x−y)/y}×100により求められる値である。
図4は、渡り部の斜視図であり、本発明の第2の実施様態を示している。本図4は第1における渡り部34に相当するが、図2及び図3に示す渡り部と区別するために、渡り部の符号を61として示す。なお、前記実施形態と同じ部材については同じ符号を付し、説明を略す。第1本実施形態において、渡り部61には、剥ぎ取りローラ32と、ニップローラ37と、さらに搬送台62とが備えられている。
搬送台62は、台本体65と、堰66とを有している。両側の堰は上流部及び下流部の堰よりも高くなっている。搬送台62には、液体を堰内に流入するために、その第1の流入部としての給液孔67が台本体65の上部に備えられ、第2の流入部としての給液口68が堰66のうち上流側のものに備えられている。また、堰66のうち下流側のものには液を堰外へ流出するための集液口71が設けられている。給液孔67及び給液口68と、集液口71とは、ポンプを内蔵したコントローラ72を介して、送液ラインにより接続される。なお、給液孔67は、図4では図示の明快性を図るため実際より個々を大きく図示しており、また、図示の煩雑性を避けるために堰内に滞留する液体については図示を略している。コントローラ72は、集液口からの液の回収速度と、給液孔67及び給液口68への送液速度とを調節する。
本実施形態においても、前実施形態と同じように、本発明において、バンド27から剥離したフィルム31の幅を符号W1とする。そして、バンド27からフィルム31が剥離される位置を剥離位置P1とし、剥離位置P1からテンター装置17までの搬送距離をL1(図3参照)とし、台本体65上部の堰のうち上流のものと下流のものとの距離を符号L2とする。
本実施形態では、前実施形態と同様に、バンド27の上のポリマーフィルム31は、剥ぎ取りローラ32に巻きかけられ、剥ぎ取りローラ32とニップローラ37とに挟み込まれ、両ローラ32,37の回転により搬送方向へ張力をかけられることにより、剥離位置P1でバンド27から連続的に剥ぎ取られる。そして、ポリマーフィルム31は、剥ぎ取りローラ32とニップローラ37とにより、搬送台62に送り込まれる。搬送台62の給液孔67と給気口68とから堰66の内部には、所定の流量で給液がなされている。ここで、台本体65の給液面の給気孔42は、給液が上向きで搬送方向に傾きをもって吹き出すように、傾きをもつ短管状として台本体内部に形成されている。そして、給液孔67と給液口68とから出された液体は、集液口71から送液ラインを通ってコントローラにより再び給液孔67または給液口68へと送られる。
これにより、フィルム31は、流体としての液体に支持されるとともに、その液体が搬送方向に流れることによりテンター装置17へと搬送される。搬送台62とフィルム31との間には、液体が搬送方向に流れる流体層となって存在するように、台本体65からの液量と給液口68からの液量とを所定の値に調整することにより両液量のバランスをとる。例えば、給液孔67からの給液角度の傾きが小さいとき、つまりフィルム31の面に対する吹き付け角度が垂直に近いほど、給液口68からの液量または給液圧力を大きくする必要がある。フィルム31は面全体で、流体層に支持され、また、その流体層が、面に対して垂直ではなく平行であるので、フィルム31の面状故障が抑制されるとともに、安定した搬送が可能となる。そして、搬送方向に流れる流体として液体を用いるときには、フィルムは反剥離面が支持される。反剥離面は剥離面よりも溶媒含有率が低いが、流体を液体とすることにより、この両面における溶媒含有率の差が小さくなり側端部のカールが抑制される。そして、本方法によるとローラ等での支持を必要とせず、スリキズやシワ等の面状故障を抑制することができる。なお、フィルム31は必ずしも液面上に浮いている必要なはく、液内に浸漬した状態でもよい。つまりフィルム31と搬送台62との間に流体層が介在していれば、フィルム31の浮上位置について本発明は限定されるものではない。また、フィルム31は、図4に示すように、搬送方向にたるみをもった状態でもよい。
液体としては、ドープの溶媒と同じ化合物を用いている。溶媒が混合物であるときには、主溶媒を流体としての液体に用いることが好ましい。これにより、フィルムの内部で溶媒の分布に差があっても、液体との親和性が部位によってばらつくことがなく、側端部のカールを抑制することができる。また、溶媒の常圧における沸点をBPとするとき、液体の温度は、10℃以上(BP−5)℃以下程度の温度に保つことが好ましい。(BP−5)℃より高くすると、フィルムの剛性や弾性が減退して搬送が不可能になることがあったり、テンター装置17への導入が不可能になる。また、10℃より低くすると、テンター装置における乾燥負荷が所定の状態よりも大きくなるとともに、このテンター装置において急激な温度変化により発泡する等の問題がある。
ところで、フィルム31には、多くの場合、可塑剤等の添加剤を含有させることが多い。そして、このような添加剤は、剥離時におけるフィルム内では分布が均一ではなく、剥離面に比べて反剥離面側に偏在していることが多い。本発明では、本実施形態に示すように流体を液体とすると、液体とフィルムが接触している間に、添加剤が液体側に移行し、フィルム内部における添加剤分布が均一となるので好ましい。そして、その均一化効果は、液体として、ドープの溶媒もしくは溶媒成分を用いたときに特に著しい。
本実施形態においては、台本体65の給液面は多孔板としており、これにより、フィルム31の面に対する液圧の均一化を図っている。ただし、本発明は、給液面の構造に関して、多孔板に限定されるものではなく、例えば、巾方向に長いスリットを、搬送方向に多数有している板としてもよい。このようなスリット型式は、フィルム31の巾方向に均一な液を送ることができる意味で有効である。また、本実施形態においては、給液面の給液孔を円形としているが、本発明は給液孔に関して円形孔に限定されるものではなく、例えば角形孔とされてもよい。
フィルム31の支持力とテンター装置17への搬送力とを得るために、搬送台61の搬送方向における長さは、前実施形態と同様に、フィルム31の幅W1と剥離位置P1からテンター装置導入口までの距離L1に対して、(W1)/2以上L1以下とすることが好ましい。本実施形態においては、搬送台61による支持及び搬送区間が、堰66内部であるので、上記堰66内の搬送方向における距離L2を搬送台61の搬送方向における長さと見なしている。距離L2が(W1)/2未満であると、フィルム31を支持するに十分な流体層を台本体65とフィルム31との間に形成することが難しい。
そして、給液孔67と給液口68とからの給液は、フィルム31が堰66に非接触となるに十分な流量に調整されて、面状故障となることを抑制する。そして、本実施形態では、液体により支持されたフィルム31の巾方向における中央部の高さが、堰66のうち両側のものよりも低くなるように、給液の流量及び液圧が制御されている。さらに、この側端の堰66の間隔は、フィルム31の幅W1よりも大きいが、搬送中のフィルム31と接触しない程度の間隔とすることが好ましい。
本実施形態においては、フィルム31が後工程で側端部を切断除去されて製品が得られるが、搬送台61の幅は、フィルム31の幅よりも10mm以上500mm以内の範囲で大きい幅とされている。ただし、ここでは堰46を設けているので、実際の支持及び搬送幅である両側の堰66間の距離を搬送台61の幅と見なしている。両側の堰66間の距離と、フィルム31の製品となる部分の幅との差が10mm未満であると、フィルム31が堰に接触してしまって面状故障が発生することがある。また、その差が500mmよりも大きい場合には、必要とする液量が多くなるとともに、それに応じて送液動力も大きくする必要があり、不効率である。
なお、本発明では、フィルム31の中央部の厚みをt1とし、切断除去される側端部の厚みをt2とするとき、t1とt2とが1.1×t1≦t2≦2.0×t1を満たすことが好ましい。これを満たすために、本発明では、図1を用いて説明したように、側端部のみを逐次流延とした。これにより、フィルム31の幅方向における中央部下方にある液体がフィルム31と搬送台61との間から外へ逃げにくくなり、フィルム31を支持、搬送するための流体層の形成がより容易になる。1.0×t1≦t2<1.1×t1とすると、流体層の形成のし易さに関しては効果がなく、また、2.0×t1<t2とすると、バンド27に剥離残しが付着したままということがある。
また、図示は省略するが、前実施形態と同様に、給気台41(図3参照)を、フィルムに関して搬送台61とは反対側に設け給気をすることも好ましい。これにより、この空気がフィルム31と台本体との間に流体層として存在し、この流体層の圧力の調節、つまり風量を調節することにより、搬送台側の流体層圧力により押し上げられているフィルム31を非接触で押さえつけ、搬送台61の上方の所定の位置で支持及び搬送することがより確実にできるようになる。また、このとき、搬送台61と給気台との距離L3は5mm以上20mm以下とすることが好ましい。これにより、フィルム31は搬送台61と接触することなく、安定的にテンター装置17へと搬送される。搬送台38と給気台との距離L3を5mm未満とすると、フィルム31に関して搬送台61側の液圧と給気台41側の気圧とのバランスの調整が困難となり、フィルム31が搬送台61または給気台へ接触しやすくなり、面状故障を発生する恐れがある。一方、搬送台61と給気台との距離L3を20mmより大きくすると、搬送力が低下する。
前実施形態と同様に本実施形態においても、バンド27からの剥離時におけるフィルム31の溶媒含有率が80重量%以上200重量%以下のときに、特に大きな支持及び搬送効果が得られる。ただし、この溶媒含有率(単位;重量%)は、剥離直後のフィルム31をサンプリングし、サンプリング時におけるサンプルフィルムの重量をx(g)とし、このサンプルフィルムの乾燥後の重量をy(g)とするとき、{(x−y)/y}×100により求められる値である。
このように、渡り部において、フィルムを搬送方向に流れる流体により搬送させることにより、スリキズやツレやシワ、側端部のカール等を防止することができる。さらに、ローラでフィルム全体を支持するのではなく、側端部のみで支持することにより、摩擦による面状故障をより抑制することができる。そして、流体層による搬送と側端部のみのローラ搬送とを組み合わせることにより、従来の複数のローラによる搬送で見られたローラ汚染による面状故障を抑制することができるとともに、フィルム内部における添加剤の偏在を防止し、添加剤分布の均一化を図ることができる。
また、本発明におけるフィルムとしては、セルロースアシレートフィルムが好ましく、中でも、セルローストリアセテートフィルムがもっとも好ましいが、これに限定されるものではない。つまり、フィルムの主成分となるポリマーあるいはその前駆体が溶媒を用いることによりドープとなることができるものであればよい。例えば、ポリエチレン(PE)等の各種ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)等を挙げることができる。なお、ポリイミドの場合には、その前駆体であるポリアミック酸の溶液を流延して、これを加熱乾燥することにより溶媒を除去し、架橋させてポリイミドのフィルムとする。セルローストリアセテートの場合には、その原料が綿花リンタのものと木材パルプのものがあり、いずれか一方を単独で使用してもよいし、また、両者を混合したものでもよい。
さらに、フィルムを単層構造とする場合のみならず、逐次流延方式や共流延方式を用いた積層構造とする場合に対しても有効である。積層構造とする場合も、支持体から剥離したときに、溶媒含有率が概ね80%〜200%のように高く、そしてこのときのフィルム厚みが全層で40μm以上80μm以下の場合に特に有効である。
本発明では、フィルム化に使用されるドープの溶媒として、公知の各種溶媒を用いることができる。例えば各種ハロゲン化炭化水素の他、アルコール、エーテル、エステル、ケトンなどを単独あるいは複数混合して使用することができる。
さらに、本発明においては、フィルムの中に各種添加剤を適宜含有させてもよい。添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤、染料、光学的異方性化合物、マット剤等が一般的である。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例9は、実施例1に対する比較実験として実施したものである。
図1に示すような溶液製膜設備10にて、セルローストリアセテートフィルムを作製した。流延に供したドープ11の固形分と溶媒との各処方は以下に示す。
(固形分)
・セルローストリアセテート(原料:木材パルプ、酢化度62%) 20重量部
・トリフェニルフォスフェート(TPP)とビフェニルジフェニルフォスフェート(BDP)との重量比2:1の混合物 2.2重量部
・(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン 0.4重量部
・シリカ 0.05重量部
(溶媒)
・ジクロロメタン 64重量部
・メタノール 16重量部
・n−ブタノール 0.4重量部
製膜速度は80m/分である。剥ぎ取りローラ32は、外周面が平滑なフラットローラである。渡り部34には、図2に示すように搬送台38を設け、給気孔42aから空気を流出させた。そして、フィルム31の上方には給気台41を設けず、また、給気ダクト43も設けなかった。剥離時における溶媒含有率は150重量%であった。なお、剥離位置からテンター装置17までの距離L1は2000mmとし、フィルムの幅W1は1300mm、第2堰47を取り付けるための両取り付け位置の間の距離L2は700mmである。ただし、台本体39には第1堰46と第2堰47とは設けられていない。
渡り部34を経たフィルム31をテンター装置17で幅規制しながら乾燥させ、さらにローラ乾燥装置21で乾燥させた後、側端部を切断除去し巻きとった。得られた製品フィルム31の厚みは40μmであり、幅は1475mmであった。
本実施例1で得られたフィルム31についての面状を目視で観察し、評価した。面状評価とは、スリキズとシワと側端部のカール、切断の有無についての評価であり、その結果については表1に示す。表1では、上記の各面状故障が全く確認されずに非常に良好なものを◎◎とし、面状故障が確認されずに良好なものを◎とし、ほとんど確認されなかったものを○とし、確認されても製品として問題がないと判断される程度のものを△とし、製品性状を満足できない面状故障が確認されたものを×とした。
Figure 2005279950
給気台41を設置して、フィルム上面からも給気した他は、実施例1と同様に実施した。本実施例の結果は表1に示す通りである。
給気ダクト43をさらに設けた他は、実施例2と同様に実施した。本実施例の結果は表1に示す通りである。
L2を750mmとした他は、実施例3と同様に実施した。本実施例の結果は表1に示す通りである。
第1堰46を設けた他は、実施例2と同様に実施した。本実施例の結果は表1に示す通りである。
第2堰47を設けた他は、実施例5と同様に実施した。本実施例の結果は表1に示す通りである。
L2を750mmとした。また、フィルム側端部幅とほぼ同じ長さを有する1対の短軸ローラを、剥ぎ取りローラ32に代えて用い、フィルムの側端部を支持して剥ぎ取りを実施した他は、実施例6と同様に実施した。本実施例の結果は表1に示す通りである。
給気台41の代わりに板状物を設け、その板状物の上流側に給気ダクト53を設けてフィルム31と板状物との間に給気した他は、実施例3と同様に実施した。本実施例の結果は表1に示す通りである。
図5に示すようなローラ搬送を用いて渡り部101をフィルム搬送させた。本実施例の結果は表1に示す通りである。
これら実施例1〜9の結果、本発明により、渡り部においてポリマーフィルムに発生するスリキズやシワ、側端部のカール等の面状故障を抑制することができることがわかる。そして、製膜速度を向上させてポリマーフィルムの薄膜化を図ることができることがわかる。
本発明は、溶液製膜によりポリマー溶液からフィルムを製造する際に生じるスリキズやツレ、シワ、側端部のカール等の面状故障を抑制することができるので、偏光板の保護フィルムや液晶表示装置等の光学分野に用いられる各種フィルムの他に、80μm以下の薄いフィルムの製造方法として大いに役立つ。
本発明を実施した溶液製膜設備の概略図である。 本発明を実施した溶液製膜工程の渡り部の斜視図である。 本発明を実施した溶液製膜工程の渡り部の側面図である。 別の実施形態の渡り部を示す斜視図である。 従来の渡り部を示す概略図である。
符号の説明
10 溶液製膜設備
16 流延装置
17 テンター装置
25a,b 流延ダイ
27 バンド
31 フィルム
32 剥ぎ取りローラ
34 渡り部
37 ニップローラ
38 搬送台
39 搬送台本体
41 給気台
41a 給気台本体
43 給気ダクト
46 第1堰
47 第2堰
51 コントローラ
53 給気ダクト
54 コントローラ
61 渡り部
62 搬送台
65 搬送台本体
66 堰
67 給液孔
68 給液口
71 集液口

Claims (13)

  1. 溶媒を含むポリマーフィルムを支持体から剥離する剥離工程と、
    前記剥離工程から搬送される前記ポリマーフィルムをテンター装置で乾燥するテンター乾燥工程とを有する溶液製膜方法において、
    前記ポリマーフィルムを気体または液体により支持するとともに、前記気体または液体を前記搬送の方向へ流すことにより、前記剥離工程から前記テンター乾燥工程へ前記ポリマーフィルムを搬送することを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記気体または液体を前記搬送方向に沿って移動させる搬送手段により前記ポリマーフィルムを搬送することを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
  3. 前記気体または液体の少なくとも一部が、前記ポリマーフィルムの面に対して平行に供給されることを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜方法。
  4. 前記搬送手段が、前記気体または液体の少なくとも一部を供給するための供給部を有し、
    前記供給部が、前記搬送手段の上流部、または、前記搬送手段の前記ポリマーフィルムを支持する面側に備えられることを特徴とする請求項2または3記載の溶液製膜方法。
  5. 前記ポリマーフィルムの幅をW1とし、前記剥離の位置から前記テンター装置の導入口までの搬送距離をL1とするとき、
    前記ポリマーフィルムの搬送方向における前記搬送手段の長さL2が、(W1/2)≦L2≦L1を満たすことを特徴とする請求項2ないし4いずれかひとつ記載の溶液製膜方法。
  6. 前記搬送手段が、前記気体または液体をせき止めるための第1の堰を、前記ポリマーフィルムを支持する面の両側端部に有し、
    前記第1の堰の高さが、前記ポリマーフィルム幅方向における中央部の前記搬送手段の支持面からの高さよりも大きいことを特徴とする請求項2ないし5いずれかひとつ記載の溶液製膜方法。
  7. 前記搬送手段が、前記ポリマーフィルムを支持する面の上流端部と下流端部とに前記気体または液体をせき止めるための第2の堰を有し、
    前記ポリマーフィルムを前記第2の堰に非接触で搬送することを特徴とする請求項2ないし6いずれかひとつ記載の溶液製膜方法。
  8. 前記ポリマーフィルムを前記支持体から前記剥離するための剥離ローラを用い、
    前記剥離ローラが、前記ポリマーフィルムの側端部のみと接触することを特徴とする請求項1ないし7いずれかひとつ記載の溶液製膜方法。
  9. 前記ポリマーフィルムの幅方向における中央部の厚みをt1とし、側端部の厚みをt2とするとき、前記t1とt2とが、1.1×t1≦t2≦2.0×t1を満たすことを特徴とする請求項1ないし8いずれかひとつ記載の溶液製膜方法。
  10. 前記ポリマーフィルムの前記支持体からの剥離面側に板状物を設け、
    前記板状物と前記ポリマーフィルムとの面を互いに平行とし、
    前記板状物と前記ポリマーフィルムとの間に、気体を流入して搬送方向に流すことにより気体の流体層を形成することを特徴とする請求項1ないし9いずれかひとつ記載の溶液製膜方法。
  11. 前記気体の少なくとも一部を流入するための流入手段により、前記ポリマーフィルムの面に平行して前記気体を流入させることを特徴とする請求項10記載の溶液製膜方法。
  12. 前記搬送手段と前記板状物とが、前記ポリマーフィルムを間に介して20mm以下の距離とすることを特徴とする請求項10または11記載の溶液製膜方法。
  13. 前記剥離時における前記ポリマーフィルムの溶媒含有量が、80重量%以上200重量%以下であることを特徴とする請求項1ないし12いずれかひとつ記載の溶液製膜方法。
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