JP2005279807A - 凸凹パターンの形成方法および凸凹パターン形成用部材 - Google Patents

凸凹パターンの形成方法および凸凹パターン形成用部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 大面積かつ段差のある基板上にもダストを発生させることなく凸凹パターンを形成する方法を提供する。
【解決手段】 一主面上に粒子層を備えるシート状基材を、該粒子層が形成された主面側を接触させて基板上に積層する工程と、基板上からシート状基材を除去して、粒子層を基板上に残置する工程と、微粒子層をエッチングマスクとして基板表面をエッチングして、基板表面に微細な凸凹パターンを形成する工程とを具備することを特徴とする凸凹パターン形成方法とこれに用いるパターン形成部材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、凸凹パターンの形成方法、および凸凹パターン形成用部材に関する。
電子素子の製造において、1μm程度以下の微細なピッチで実質的に周期的に形成した凸凹パターンを用いることが提案されている。例えば、発光ダイオード(LED)の発光面や、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの各種光学デバイスの透光面にサブμmスケールの凸凹パターンを形成することによって、輝度や透過率の向上が期待できる。
これまでの凸凹パターンは、半導体の微細加工に用いられるフォトリソグラフィー工程によって作製してきた。しかし、ピッチが1μm程度以下の微細パターンになると、高価な露光装置や複雑なプロセスが必要となり、製造コストが非常に高くなってしまう。また、数10cm四方といった大面積の基板上に高いスループットで微細凸凹パターンを形成することは難しい。
こうした微細凸凹パターンを比較的低コストで作製する手法として、微粒子の単粒子層をエッチングマスクとして下地基板をドライエッチング加工する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ところが単粒子層を形成する際に、微粒子が飛散しやすく、クリーンルーム内やドライエッチング装置のチャンバー内を汚染してしまう恐れがある。
基板上に微細凸凹パターンを形成する他の手法として、ナノインプリント法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。この方法においては、凸凹パターンが形成された原盤を基板上の薄膜に押し付けることによって、薄膜に凸凹パターンが刻印される。刻印された薄膜をマスクとして基板をエッチングすることで、基板表面に凸凹パターンを転写することができる。しかし、基板の反りを補正するために、原盤は非常に高い圧力で薄膜に押し付ける必要がある。そのため、大面積を一括で刻印することが難しい。
米国特許第4407695号 米国特許第5772905号
上述のように、粒子によって単粒子層を形成する方法では、製造工程における汚染の問題があった。また、ナノインプリント法では大面積を一括で刻印することが難しいなどの問題があった。
本発明は、上記事情を鑑みて、ダストの発生を抑制しつつ、大面積基板上にも凸凹パターンを形成する方法を提供することを目的とする。また本発明は、上記の凸凹パターン形成方法において用いる凸凹パターン形成用部材を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、粒子層を一主面上に備えるシート状基材を、粒子層が形成された主面側を接触させて基板上に積層する工程と、基板上から前記シート状基材を除去して、粒子層を基板上に残置する工程と、粒子層をエッチングマスクとして基板表面をエッチングして基板表面に微細な凸凹パターンを形成する工程とを具備することを特徴とする凸凹パターン形成方法を提供する。
また、本発明の別の態様では、一主面を備えるシート状基材と、シート状基材の少なくとも一方の主面上に形成された粒子層と、シート状基材と粒子層間に形成された、シート状基材のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を持つ熱軟化性層と、シート状基材と粒子層間に形成された、Si、Alから選択される少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする耐エッチング層と、を備えることを特徴とする凸凹パターン形成用部材を提供する。
本発明の一態様によれば、ダストの発生を抑制し、大面積基板上に凸凹パターンを形成することが可能となる。また、本発明の他の態様によれば、凸凹パターンの形成にあたりダストの発生を抑制する凸凹パターン形成用部材が提供される。これらの発明によれば、段差のある基板表面にも欠陥のない略均一な粒子層を形成することも可能となる。
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施の形態や実施例を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、参照する各図は発明の説明とその理解を促すための模式図であり、図面表示の便宜上、形状や寸法、比等は実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態について、図1の断面模式図を参照しつつ説明する。
まず、凸凹パターンの形成に先立って、凸凹パターン形成用部材を準備する。微細凸凹パターン形成用部材は、シート状基材の一主面上に粒子層が形成されている。シート状基材と粒子層との間に、熱軟化性層と、Si、Alから選択される少なくとも一種の元素を含有する耐エッチング層とを有するものが好ましい。さらには基板と凸凹パターン形成用部材とを接着するための接着層を微粒子層上に有するものが好ましい。
図1に示すように、凸凹パターン形成用部材は、シート状基材1とこの上に順次形成された熱軟化性層2、耐エッチング層3、微粒子4がバインダー5に包埋された実質的に単層の微粒子層6、接着層7を備える。但し、図1では粒子として回転半径が1μm以下、0.05μmから0.5μm程度の微粒子を示している。また、微粒子層6は実質的に単層の微粒子層を例に説明する。本発明における粒子、粒子層は、この例に限られない。粒子の回転半径については、粒子は平均回転半径が1μm以下のものを表し、光学素子の反射防止構造や回折格子構造などを形成する場合には、例えば0.1から0.4μm程度のものが良い。ここで平均回転半径とは、無作為に抽出した100個の粒子を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、あるいは透過型電子顕微鏡で撮影して、得られた個々の粒子の投影像の回転半径の平均値である。回転半径は、理化学辞典第5版(岩波書店)を参照することができる。
凸凹パターンとは、加工により基板表面に形成された突起あるいはホール群が1μm程度以下の周期で配列したパターンである。凸凹パターンは、突起の集合パターン、あるいはホールの集合パターンということもできる。突起の高さ、あるいはホールの深さは特に限定されないが、周期の1〜1000%程度である。ここで、周期とは、一定の距離で突起あるいはホールが繰り返し存在する様をいい、隣接する突起あるいはホールの例えば中心間距離が一様(但し、製造プロセスのばらつきを含む)であることを指す。
シート状基材1は支持体であり、微細凸凹パターン形成用部材の引っ張り強度を確保する働きがある。その材料は特に限定されず、アルミニウムや銅などの金属や有機高分子などが用いられる。可撓性に優れることから、有機高分子が好ましい。可撓性シート状基材を用いることにより、反りのある基板にも高圧で加圧することなく微細凸凹パターン形成用部材を密着させることができる。さらには酸素ガスを用いたドライエッチングにより除去しやすいことから、SiやAlなどの原子を含まず、酸素原子の含有量の高い有機高分子が良い。シート状基材を構成する有機高分子としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル類、ポリイミド類、ポリアミド類などが例示される。なかでも比較的安価で、ある程度の耐熱性も有することから、PETが優れている。
シート状基材1の厚さは特に限定されないが、約0.5μm以上約30μm以下の範囲であることが好ましく、さらには約1μm以上約10μm以下の範囲内であることがより好ましい。シート状基材1の厚さが薄すぎると、裂けたり、しわが寄りやすく、取り扱いが難しい。またシート状基材の厚さが厚すぎると、ドライエッチングなどによる除去が難しくなる上、凸凹パターンを基板に積層した際に熱応力などにより剥離しやすくなる。
熱軟化性層2はシート状基材1よりも低いガラス転移温度を有し、基板に積層する際の加熱により軟化して基板の凸凹を吸収する。熱軟化性層2としては、シート状基材よりもガラス転移温度が低い熱軟化性有機高分子からなるものが例示される。酸素ガスを用いたドライエッチングにより除去しやすいことから、SiやAlなどの原子を含まず、酸素原子の含有量の高い有機高分子が良い。熱軟化性層2を形成する有機高分子としては、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド類、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリスチレンおよびポリ(α―メチルスチレン)などのポリスチレン誘導体、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂などが例示される。必要に応じてフタル酸エステル類などの可塑剤を添加してもよい。熱軟化性層2のガラス転移温度は、シート状基材1のガラス転移温度よりも、好ましくは5℃以上、さらに望ましくは10℃以上低いのがよい。あまり熱軟化性層2とシート状基材1のガラス転移温度が接近していると、熱軟化性層2を充分軟化させることが難しい。熱軟化性層2およびシート状基材1のガラス転移温度は、熱軟化性層2およびシート状基材1を形成している材料物質の、示差走査熱量測定(DSC)により測定した値を用いることができる。
測定は測定規格:
ISO 11357-1 1997 Plastics -- Differential scanning calorimetry (DSC) -- Part 1: General principles
ISO 11357-2 1999 Plastics -- Differential scanning calorimetry (DSC) -- Part 2: Determination of glass transition temperature; P-310
に準拠して行なうことが望まれる。
熱軟化性層2の層厚は特に限定されないが、基板表面の凸凹を充分吸収可能な厚さとする。一般的には約0.1μm以上約10μm以下の範囲内であることが好ましく、さらには約0.5μm以上約5μm以下の範囲内であることがより好ましい。熱軟化性層2の厚さが薄すぎると、基板表面の凸凹を充分に吸収できず、基板との密着性が低下する。また熱軟化性層2の厚さが厚すぎると、ドライエッチングなどによる除去が難しくなる上、凸凹パターンを基板に積層した際に剥離しやすくなる。
耐エッチング層3は、シート状基材1をエッチングにより除去する際に、一旦耐エッチング層3でエッチングを停止させることにより、エッチングむらを防止するために用いる。耐エッチング層3はシート状基材1と熱軟化性層2の間に挿入されていてもかまわない。しかしながら熱軟化性層2と微粒子層4の間に挿入された方が、よりエッチングむらが起きにくく好ましい。
耐エッチング層3としては、酸素ガスなどによるリアクティブイオンエッチングに対する耐性を有するSi、Alから選択される少なくとも1種の元素を含有するものが良く、シリカやアルミニウムからなるものが例示される。シリカやアルミニウムからなる耐エッチング層は、蒸着法により容易に形成することができる。またシリカからなる耐エッチング層は、ゾルゲル法などにより形成したり、ポリシラザンなどのシリカ前駆体を塗布するなどして形成してもよい。
耐エッチング層3の層厚は特に限定されないが、約1nm以上約100nm以下の範囲内であることが好ましく、さらには約5nm以上約20nm以下の範囲内であることがより好ましい。耐エッチング層3の厚さが薄すぎると、エッチングを停止させる効果が充分でなく、エッチングのムラが生じやすい。また耐エッチング層3の厚さが厚すぎると、ドライエッチングなどによる除去が難しくなる。
微粒子層6は、微粒子4が実質的に単層に配列した層であり、好ましくはバインダー5によって包埋されている。また、図1に示されるように微粒子4の大半がバインダー5中に没した状態であってもよいし、バインダー5中に完全に埋め込まれた状態であってもよい。またバインダー自体が接着性を有する場合は、接着層7を設けなくともよい。
微粒子4の外観上の形状は特に限定されず、用途に応じて、球状、多面体状、棒状などの微粒子を用いることができる。シート状基材1上に高い充填密度で配列させるためには、球状で真円度が高く、粒子径分布が狭いことが望ましい。この際に、球状微粒子4の粒子径は、形成しようとする微細凸凹パターンのピッチと同じにするのが良い。
微粒子4の材料は、後述する基板表面に微細凸凹パターンを形成する際のエッチング条件に応じて選択するのが良い。微粒子を構成する材料としては、エッチング耐性に優れている材料、あるいは逆にエッチングされやすい材料が好ましい。また微粒子がバインダーによって包埋されている場合、エッチング耐性に優れた微粒子を用いる際には、バインダーはエッチングされやすい材料からなるものを用いるのがよい。対してエッチングされやすい微粒子を用いる際には、バインダーはエッチング耐性に優れた材料からなるものを選択するのがよい。
また、微粒子4をパターンとして残す場合には、微粒子4は実質的に単層であることが好ましい。逆に、微粒子4に隣接するバインダーをパターンとして残す場合には、微粒子4は複数層あってもよい。
粒子径分布は、下記式(1)で定義され、好ましくは0.8〜1.0の範囲内であり、より好ましくは0.9〜1.0の範囲である。
粒子径分布=個数平均粒子径/体積平均粒子径 (1)
ここで、個数平均粒子径とは、無作為に抽出した100個の微粒子の直径を測定した平均値である。体積平均粒子径とは、微粒子を真球とみなし無作為に抽出した100個の微粒子の直径から合計体積を算出し、小さい体積の微粒子から累積していき、その累積体積が合計体積の50%となった微粒子の直径である。具体的には平均粒子径は、微粒子を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、あるいは透過型電子顕微鏡で撮影して投影像を得、それを画像解析することにより得られる。
また真円度は、下記数式(2)で定義され、球状粒子の真円度は80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
真円度(%)=(4πA/B2 )×100 (2)
ここで、Aは微粒子の投影面積、Bは微粒子の周囲長である。
真円度は、微粒子を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、あるいは透過型電子顕微鏡などで撮影して投影像を得、それを画像解析することにより得られた微粒子の投影面積、および微粒子の周囲長から算出することができる。
微粒子4を構成する材料は特に限定されず、有機材料、無機材料、あるいは有機−無機複合材料を用いることができる。有機材料としてはポリスチレン誘導体、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ノボラック樹脂などの有機高分子材料などが例示される。無機材料としては、金、銀、白金、パラジウム、銅、鉄などの金属材料や、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの金属酸化物、窒化シリコン、窒化アルミニウムなど金属窒化物、その他、炭化ケイ素などを含む各種セラミックス材料、炭素材料などが例示される。微粒子4は、単一の材料で構成される必要はなく、例えばコア−シェル型の微粒子や、内部にさらに微細な微粒子が分散した微粒子などでもよい。
酸素含有ガスを用いたリアクティブイオンエッチングに対して、シリカ、アルミナ、酸化チタン、およびシリコーン樹脂などからなる微粒子は優れたエッチング耐性を有する。こうした微粒子には、ポリ(α−メチルスチレン)などのポリスチレン誘導体、アクリル樹脂、およびノボラック樹脂などのSiやAlなどの原子を含有しない有機高分子からなるエッチングされやすいバインダーを組み合わせるのがよい。
また、同様の酸素含有ガスを用いたリアクティブイオンエッチングに対して、ポリスチレンとその誘導体、アクリル樹脂、およびノボラック樹脂などのSiやAlなどの原子を含有しない有機高分子からなる微粒子はエッチングされやすい。よってこうした微粒子には、エッチング耐性に優れたシリコーン樹脂などの含ケイ素有機高分子からなるバインダーを組み合わせるのがよい。
バインダー5の材料は特に限定されないが、熱軟化性の有機高分子からなることが好ましい。熱軟化性の有機高分子としては、ポリスチレンやポリ(α−メチルスチレン)などのポリスチレン誘導体、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ノボラック樹脂などが例示される。またポリシルセスキオキサン類などを用いてもよい。バインダーとして、微粒子よりも充分小さなシリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニアなどからなるフィラーを含有したものを用いてもよい。
微粒子層6の形成方法は特に限定されない。大面積の微粒子層を高いスループットで形成できることから、次に述べる方法を用いるのが好ましい。
まず、バインダー5を塗布したシート状基材1上に微粒子分散液を塗布して多粒子層を形成する。バインダー5を加熱により軟化させて最下層の微粒子層のみをバインダー層中に包埋させる。その後に余分の微粒子を洗い落とすことによって、バインダー層中に包埋された単層の微粒子層を得ることができる。
接着層7の材料は特に限定されないが、熱軟化性の有機高分子がよく、例えば熱可塑性有機高分子、B−ステージ化されるなどした熱硬化性有機高分子、あるいは粘着性の有機高分子などが好ましい。接着層7の層厚は特に限定されないが、基板表面との接着強度を充分確保可能な厚さとする。一般的には約0.02μm以上約1μm以下の範囲内であることが好ましく、さらには約0.05μm以上約0.5μm以下の範囲内であることがより好ましい。接着層7の厚さが薄すぎると、基板との接着強度が充分でない。また接着層7の厚さが厚すぎると、基板表面をエッチングしにくくなる。接着層7の材料はバインダー5の材料と類似のエッチング耐性を有するものが良い。例えばバインダー5の材料が、酸素含有ガスを用いたリアクティブイオンエッチングによってエッチングされやすいSiやAlなどの原子を含有しない有機高分子の場合、接着層7としてSiやAlなどの原子を含有しない、ポリ(α−メチルスチレン)などのポリスチレン誘導体、アクリル樹脂、およびノボラック樹脂などの有機高分子を用いるのがよい。対してバインダー5の材料が、酸素含有ガスを用いたリアクティブイオンエッチングによってエッチングされにくいSiやAlなどの原子を含有する有機高分子の場合、接着層7としてもSiやAlなどの原子を含有する有機高分子を用いるのがよい。こうした有機高分子としては、シリコーン樹脂などの含ケイ素有機高分子などがよい。 次に、本実施形態の凸凹パターン形成用部材を用いた凸凹パターンの形成方法について、図2(a),(b)の断面模式図を参照しつつ説明する。
その表面に凸凹パターンを形成する予定の基板8上に、図2(a)に示すように微粒子層6が形成された面を近接させて、微細凸凹パターン形成用部材10を基板8上に積層する。
基板8は凸凹パターンを形成する基板であれば特に限定されず、有機材料からなる基板や無機材料からなる基板、あるいは有機材料と無機材料の複合材料からなる基板等を必要に応じて用いることができる。有機材料からなる基板としては例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂などの高分子材料からなる基板を用いることができる。また無機材料からなる基板としては例えば、ガラス基板、カーボン基板、シリコン基板、GaPやGaAsなどの化合物半導体の基板、アルミナや窒化ケイ素などのセラミックス基板などを用いることができる。また有機材料と無機材料の複合材料からなる基板としては例えば、ガラスクロスにエポキシ樹脂などを含浸した繊維強化プラスチックス基板などを用いることができる。
基板8に凸凹パターン形成用部材10を積層する方法は特に限定されない。例えば、加熱などした加圧ロールを用いて両者をラミネートしてもよいし、基板8と微細凸凹パターン形成用部材10の間を減圧して密着させてもよい。また、積層時に凸凹パターン形成用部材10を加熱することにより、基板との密着性を向上させることができる。特に、凸凹パターン形成用部材10に熱軟化性層2を設けた場合、基板の凸凹を吸収する効果が大きい。図2(a)において、凸凹パターン形成用部材10は、接着層7を有しているが、かならずしも接着層7を凸凹パターン形成用部材10に設ける必要はない。基板8上に接着層を形成し、形成した接着層上に凸凹パターン形成用部材を積層してもよい。
凸凹パターン形成用部材10を基板8上に積層した後、図2(b)に示すように微細凸凹パターン形成用部材のシート状基材1を除去して、微粒子層6を基板8上に転写する。図2(b)においては、シート状基材1とともに熱軟化性層2も除去した状態を示している。
ここで、シート状基材1を除去する方法は特に限定されない。単に剥がし取ってもよいし、溶媒により溶出させてもよい。剥がし取る場合には、シート状基材1と微粒子層6との間にガス発生層を挿入して、ガス発生層に光照射や加熱処理などしてガスを発生させ、発生したガスによりシート状基材1を自己剥離させてもよい。ガス発生層としては、アジド化合物などを含有するものがよく、ガス発生層が熱軟化性層2を兼ねていてもよい。溶出させる場合には、シート状基材としてポリビニルアルコール誘導体などの水溶性高分子からなるものを用い、水に溶出させるのがよい。またウェットエッチング法やドライエッチング法などによるエッチングにより除去してもよい。例えばアルミニウムや銅などからなるシート状基材は、酸によるエッチングにより除去することができる。
微粒子層6がシート状基材1と一緒に剥がれてしまうといった不具合がおきにくいことから、ドライエッチング法による除去が好ましい。ドライエッチング法としては、酸素含有ガスを用いたリアクティブイオンエッチング法が好ましい。酸素含有ガスを用いる場合、SiやAlなどの原子を含有しない有機高分子からなるエッチングされやすいシート状基材1を用いるのがよい。
基板8上に転写された微粒子層6はバインダー5と接着層7によって基板8に固着している。よって微粒子層6の微粒子4が飛散してダストの原因となることはない。
耐エッチング層3を設置することにより、エッチングの進行が微粒子層6上で一旦停止するため、エッチングのムラが生じにくくなる。必要に応じて、エッチング条件を変更するなどして耐エッチング層3を除去した後、微粒子層6をエッチングマスクとして、基板8表面に凸凹パターンを形成する。
エッチング耐性のある微粒子を用いれば、図3(a)の断面模式図に示すような微粒子部分が凸形状となったナノ突起17の集合パターンを形成することができる。対して微粒子よりもエッチング耐性のあるバインダー5を用いれば、図3(b)の断面模式図に示すような微粒子部分が凹形状となったナノホール18の集合パターンを形成することができる。ナノ突起群を形成する場合、基板8表面をエッチングする前に、図3(c)の断面模式図に示すように、バインダー5を除去してもよい。あるいは図3(d)の断面模式図に示すように異方性エッチングにより、微粒子4下のバインダー5'および接着層7'だけを選択的に残してもよい。微粒子4下のバインダー5'および接着層7'を選択的に残すことにより、エッチング中の微粒子4の飛散をより抑制しやすくなる。さらには微粒子4の粒子径を等方性エッチングなどにより小さくして、突起の大きさを小さくしてもよい。
以上説明したように、本実施形態にかかる微細凸凹パターン形成方法においては、微粒子層が既に形成された微細凸凹パターン形成用部材を加工対象の基板上に貼り付ける。このため、微粒子分散液を塗布などして基板上に微粒子層を形成する手法と比較して、スループットが高い上、微粒子の飛散に起因したダストの発生がない。
また、既に単層の微粒子層6が形成された凸凹パターン形成用部材を基板上に貼り付けるため、基板にサブμmから数μm程度の段差があっても欠陥の少ない微細凸凹パターンを形成することができる。
また、電子素子が作り込まれた基板上に凸凹を形成しようとすると、従来のナノインプロント法では高圧でデバイスが損傷する恐れがあるが、本実施の形態によれば脆い基板上や、デバイスが作り込まれた基板上にも微細凸凹パターンを形成することが可能である。
また、本実施形態の微細凸凹パターン形成用部材によれば、エッチングむらを防止できる上、凸凹のある基板上にも良好な微細凸凹パターンを形成することが可能である。
本実施の形態は、高輝度LED、ELディスプレイなどの光学デバイス、高密度磁気記録装置などの電子デバイス、生体親和性材料などの生体関連材料、DNA分画カラムなどの分離媒体、各種センサーなどの微細凸凹パターンの作製に好適に用いることができる。
以下、本実施の形態に関わる実施例を説明する。
(実施例1)
実施例1では微細凸凹パターン形成用部材を用いて、基板表面に微細凸凹パターンを形成した。まず、微細凸凹パターン形成用部材を作製した。
シート状基材1として厚さ約4μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートを用い、このPETシート上に熱軟化性層2として層厚約1μmのポリ(iso―ブチルメタクリレート)層を形成した。熱軟化性層2は、シート状基材1表面にポリ(iso―ブチルメタクリレート)溶液をドクターブレード法により塗布することにより形成した。
熱軟化性層2上に耐エッチング層として、層厚約50nmのシリカ層を蒸着法により形成した。シリカ層表面を疎水化処理した後、ポリ(α―メチルスチレン)溶液をドクターブレード法により塗布して、層厚約75nmのバインダー層5を形成した。
バインダー層5上にシリカ微粒子のイソプロピルアルコール分散液(扶桑化学工業株式会社製、商品名:高純度オルガノゾル クォートロンPL−30−IPA、平均粒子径:0.3μm、微粒子含有率:30wt%に、イソプロピルアルコールを加えて5倍に希釈したもの)をドクターブレード法により塗布して、シリカ微粒子の多層の微粒子層を形成した。
多層の微粒子層を形成した後、125℃で1分間加熱してバインダー5を軟化させ、最下層の単層の微粒子層6のみをバインダー5中に埋め込んだ。埋め込み後、約25℃の純水中で約10分間超音波洗浄して、バインダー5中に包埋されていない余分な微粒子を洗い落とした。
走査型電子顕微鏡(SEM)観察の結果、バインダー5中に粒子径の三分の二程度が埋め込まれた微粒子4からなる単層の微粒子層6が形成されていた。
形成した単層の微粒子層6上にフェノール樹脂のメタノール溶液を塗布し、層厚0.5μmのフェノール樹脂層からなる接着層7を形成した。
作製した微細凸凹パターン形成用部材を、表面に高さ約0.3μmの段差を形成したGaP基板上に積層し、真空下、約150℃で加熱しながら約1000Paの圧力で加圧した。加圧後、微細凸凹パターン形成用部材は、GaP基板に完全に密着して貼り付いていた。
貼付けた後、酸素ガスを用いたリアクティブイオンエッチングによりシート状基材1と熱軟化性層2を除去した。除去後のSEM観察の結果、エッチングむらなどの不具合がほとんど生じていないことが確認できた。
以上の操作により、凸凹パターン形成用部材の微粒子層がGaP基板上に転写された。転写された微粒子層6は接着層7とバインダー層5によりGaP基板に固着しており、飛散することはなかった。
次に転写された微粒子層6をエッチングマスクとして用い、GaP基板表面をリアクティブイオンエッチングにより加工した。
まず、CF4ガスを用いたリアクティブイオンエッチングによりシリカ層を除去した。エッチングは、圧力が約10mTorr、流量が約30sccm、進行波が約100Wの条件で、1分間行なった。
次にバインダー層のポリ(α−メチルスチレン)と接着層のフェノール樹脂層を、酸素ガスを用いたリアクティブイオンエッチングにより除去した。このエッチングは、圧力が約10mTorr、流量が約30sccm、進行波が約100Wの条件で、3分間行なった。
エッチング後の表面をSEM観察したところ、シリカ微粒子は球形のまま残り、シリカ微粒子の直下以外の領域で露出していたバインダー層5と接着層7はほとんど消失していた。シリカ微粒子4直下にはバインダー層5と接着層7が残存し、シリカ微粒子4はGaP基板と固着された状態であった。
次に、残存したシリカ微粒子をエッチングマスクとして、BCl2/Cl2混合ガスを用いたリアクティブイオンエッチングによりGaP基板表面をエッチングした。エッチングは、圧力約5mTorr、BCl2の流量が5sccm、Cl2の流量が20sccm、ICP約100W、バイアス約100Wの条件で、1分間行なった。
エッチング後の基板表面をSEM観察したところ、GaP基板表面には直径約0.25μm、高さ0.3μmのGaPの突起が、約0.3μmのピッチで無数に形成されていた。またあらかじめGaP基板表面に形成してあった段差周辺にも、GaPの突起が均一に形成されていた。
本発明の第一の実施形態にかかる凸凹パターン形成用部材を示す断面模式図。 第一の実施形態にかかる凸凹パターン形成方法を説明するための断面模式図。 図2に続いて凸凹パターンの形成方法を説明するための断面模式図。
符号の説明
1…シート状基材
2…熱軟化性層
3…耐エッチング層
4…微粒子
5…バインダー
6…微粒子層
7…接着層
8…基板
10…微細凸凹パターン形成用部材
17・・・ナノ突起
18…ナノホール
5’…微粒子下に残存するバインダー
7’…微粒子下に残存する接着層

Claims (2)

  1. 粒子層を一主面上に備えるシート状基材を前記粒子層が形成された主面側を基板に接触させて前記基板上に積層する工程と、
    前記基板上から前記シート状基材を除去して、前記粒子層を前記基板上に残置する工程と、
    前記粒子層をエッチングマスクとして前記基板表面をエッチングして、前記基板表面に微細な凸凹パターンを形成する工程とを具備することを特徴とする凸凹パターン形成方法。
  2. 一主面を備えるシート状基材と、
    前記シート状基材の少なくとも一方の主面上に形成された粒子層と、
    前記シート状基材と前記粒子層間に形成された、前記シート状基材のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を持つ熱軟化性層と、
    前記シート状基材と前記粒子層間に形成された、Si、Alから選択される少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする耐エッチング層と、を備えることを特徴とする凸凹パターン形成用部材。
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