JP2005279334A - 複合化粒子の製造方法 - Google Patents

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JP2005279334A JP2004093457A JP2004093457A JP2005279334A JP 2005279334 A JP2005279334 A JP 2005279334A JP 2004093457 A JP2004093457 A JP 2004093457A JP 2004093457 A JP2004093457 A JP 2004093457A JP 2005279334 A JP2005279334 A JP 2005279334A
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Abstract

【課題】高分子化合物単独粒子を実質的に含まず、個々の粒子の分散状態が良く、表面が滑らかで滑り性の良い、無機粒子表面に高分子化合物が複合化されてなる複合化粒子の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】(1)有機溶剤を溶媒とする高分子化合物の溶液に無機粒子を分散させた分散液を、該有機溶剤の20℃、101.3kPaにおける体積の0.3〜10倍の容積を有する空間を確保して耐圧容器内に充填する工程、(2)耐圧容器内の温度が二酸化炭素の臨界温度以上である条件において、耐圧容器内に二酸化炭素を注入することで高分子化合物と無機粒子とを複合化させる工程、及び(3)耐圧容器から有機溶剤と二酸化炭素との混合物を除去する工程、を含む、複合化粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合化粒子の製造方法に関する。更に詳しくは、化粧品、香粧品、塗料、インク等に使用しうる複合化粒子の製造方法に関する。
粒子表面に高分子化合物を複合化させた複合化粒子を、乾燥粉体として得る方法として、高分子化合物を良溶媒に溶解させた溶液に粒子を分散させておき、そこへ高分子化合物の貧溶媒として液体又は超臨界二酸化炭素を混合することにより高分子化合物を粒子表面に析出させる方法(ガス貧溶媒化法:GAS法)が知られている(特許文献1)。
しかしながら、該方法により複合化粒子を製造すると、主として、複合化させようとする高分子化合物のみからなる粒子(高分子化合物単独粒子)の生成や、複合化粒子同士の凝集が生じ、該方法によっては、高分子化合物単独粒子を実質的に含まず、個々の粒子の分散状態が良好な複合化粒子を製造することは困難であった。
特表2001-504452号公報
本発明は、高分子化合物単独粒子を実質的に含まず、個々の粒子の分散状態が良く、表面が滑らかで滑り性の良い、無機粒子表面に高分子化合物が複合化されてなる複合化粒子の効率的な製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 (1)有機溶剤を溶媒とする高分子化合物の溶液に無機粒子を分散させた分散液を、該有機溶剤の20℃、101.3kPaにおける体積の0.3〜10倍の容積を有する空間を確保して耐圧容器内に充填する工程、
(2)耐圧容器内の温度が二酸化炭素の臨界温度以上である条件において、耐圧容器内に二酸化炭素を注入することで高分子化合物と無機粒子とを複合化させる工程、及び
(3)耐圧容器から有機溶剤と二酸化炭素との混合物を除去する工程、
を含む、複合化粒子の製造方法、並びに
〔2〕 (1)有機溶剤を溶媒とする高分子化合物及び分散剤の溶液に無機粒子を分散させた分散液を耐圧容器内に充填する工程、
(2)耐圧容器内の温度が二酸化炭素の臨界温度以上である条件において、耐圧容器内に二酸化炭素を注入することで高分子化合物と無機粒子とを複合化させる工程、及び
(3)耐圧容器から有機溶剤と二酸化炭素との混合物を除去する工程、
を含む、複合化粒子の製造方法、
に関する。
本発明によれば、個々の粒子の分散状態が良く、表面が滑らかで滑り性の良い、高品質な複合化粒子を得ることができる。
本発明の複合化粒子の製造方法は、大きく2つの態様を有する。
第1の態様は、有機溶剤を溶媒とする高分子化合物の溶液に無機粒子を分散させた分散液を、一定容積を有する空間を確保して耐圧容器内に充填した後、耐圧容器内の温度が二酸化炭素の臨界温度以上である条件において、耐圧容器内に二酸化炭素を注入することで高分子化合物と無機粒子とを複合化させる方法であり、該分散液を耐圧容器内に充填する際に一定の空間容積を確保する点に大きな1つの特徴を有する。
第2の態様は、有機溶剤を溶媒とする高分子化合物及び分散剤の溶液に無機粒子を分散させた分散液を耐圧容器内に充填した後、耐圧容器内の温度が二酸化炭素の臨界温度以上である条件において、耐圧容器内に二酸化炭素を注入することで高分子化合物と無機粒子とを複合化させる方法であり、該分散液が分散剤を含む点に大きな1つの特徴を有する。なお、本態様においては、分散液を耐圧容器内に充填する際に、第1の態様におけるように一定の空間容積を確保することは必ずしも必要とならない。
本発明の製造方法は以上のような特徴的構成を有するが、当該構成をとることにより、高分子化合物単独粒子の生成や複合化粒子同士の凝集が抑制される。従って、本発明によれば、従来法では困難であった、高分子化合物単独粒子を実質的に含まず、個々の粒子の分散状態が良く、表面が滑らかで滑り性の良い、高品質な複合化粒子を効率的に製造することができる。
本発明の製造方法により得られる複合化粒子においては、無機粒子の表面の一部又は全部に、高分子化合物が化学的及び/又は物理的結合力により付着して存在するものと考えられる。当該粒子の構造は後述する実施例に記載する方法により確認することができる。
本発明で用いられる無機粒子としては、有機溶剤、超臨界若しくは亜臨界状態又は液体の二酸化炭素に溶解せず、それらの溶媒の影響によっては、その形状及び形態が変化しない無機粒子であれば、特に限定はない。
無機粒子としては、例えば、タルク、マイカ、酸化チタン、酸化亜鉛、セリサイト、カオリン、ゼオライト、チタン被膜雲母、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、ガラスビーズ、シリカなどの粒子が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。無機粒子は、その表面にシリコーン化合物によるシリコーン処理、フッ素化合物によるフッ素処理などの表面処理が施された粒子であってもよい。
無機粒子の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは0.001〜500μm、より好ましくは0.01〜200μmである。本明細書における平均粒径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。無機粒子としては粒子径が均一なものほど好適である。
本発明で用いられる高分子化合物としては、有機溶剤に溶解するが、超臨界若しくは亜臨界状態又は液体の二酸化炭素には溶解しない高分子化合物であれば、特に限定はない。また、使用する際の高分子化合物の形態は特に限定はなく、その形態としては、例えば、塊状、粒子、粒状などが挙げられる。これらの形態の中では、粒子及び粒状が好ましい。
高分子化合物としては、例えば、以下のものから選択される:
1)ポリアクリル酸若しくはポリメタクリル酸とその誘導体、例えば、ポリメチルメタクリレートなど。
2)セルロース若しくはセルロース誘導体、例えば、エチルセルロース、酢酸セルロースなど。
3)ポリアミド、例えば、ナイロンなど。
4)ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレートなど。
5)ポリエーテル
6)ポリイミド
7)ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど。
8)ポリビニル、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなど。
9)ポリスルホン、例えば、ポリエーテルスルホンなど。
以上の高分子化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明で使用される有機溶剤としては、高分子化合物を溶解しえ、任意の状態にある二酸化炭素と相溶性のあるものであれば、特に限定はない。有機溶剤としては、例えば、以下のものから選択される:
1)ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど。
2)エステル類、例えば、酢酸エチルなど。
3)アルコール類、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノールなど。
4)飽和脂肪族類、例えば、ヘキサン、ヘプタンなど。
5)環状化合物類、例えば、シクロヘキサンなど。
6)芳香族類、例えば、ベンゼン、トルエンなど。
以上の有機溶剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、本発明において使用される分散剤としては、親油性部位と親二酸化炭素性部位とを含む化合物であれば、特に限定はなく、低分子化合物から高分子化合物まで分子量に無関係にいずれのものも使用できる。
該分散剤は、複合化粒子を製造する際、無機粒子の凝集抑制に非常に優れた効果を発揮する。従って、該分散剤を用いることにより、本発明の複合化粒子の平均粒径を微小化でき、また、その滑り性を充分に高めることができる。分散剤によるかかる効果の発現は、第1の態様において一定の空間容積を確保して分散液を耐圧容器内に充填して無機粒子と高分子化合物との複合化を行うのに比べ、より優れたものである。また、そのような効果をより高める観点から、第1の態様と第2の態様との組み合わせ、すなわち、分散剤を分散液に含ませると共に、一定の空間容積を確保して分散液を耐圧容器内に充填して無機粒子と高分子化合物との複合化を行う態様がより好ましい。
分散剤における親油性部位としては、飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基又は芳香族基の炭化水素部分が例示される。また、親二酸化炭素性部位としては、水素原子がフッ素原子で置換された飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基若しくは芳香族基の炭化水素部分、シロキサン結合を有する部分、カルボニル基を有する部分、エーテル結合を有する部分、又はエステル結合(-COO-)を有する部分が例示される。なお、本明細書において親二酸化炭素性部位とは、分散剤たる化合物中、二酸化炭素との相互作用が大きく、親和性が大きい性質を有する部位をいう。
上記の特徴を有する分散剤の具体例としては、アクリルシリコーン、アクリルアルキルシリコーン、フッ素系高分子化合物、シリコーン系高分子化合物、フッ素化エーテル等が挙げられる。
アクリルシリコーンとしては、例えば、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーが挙げられ、アクリルアルキルシリコーンとしては、例えば(アクリル酸アルキル/アクリル酸ステアリル/アクリル酸ジメチコン)コポリマーが挙げられる。
フッ素系高分子化合物としては、フッ素原子を有する高分子化合物であればよい。フッ素系高分子化合物中のフッ素原子の重量組成比は、9〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは40〜65重量%であることが望ましい。例えば、フルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体、及びフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル−長鎖アルキル(メタ)アクリレート共重合体が挙げられる。
シリコーン系高分子化合物としては、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリエーテル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、シリコーン変性アクリル樹脂、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体などが挙げられる。
フッ素化エーテルとはパーフルオロアルキル基とアルキル基がエーテル結合で結合した化合物である。例えば、2−(パーフルオロへキシル)エチル1,3−ジメチルブチルエーテルなどが挙げられる。
以上の分散剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、高級とは、炭素数で、通常、6以上をいう。
第1の態様においては、工程(1)において、有機溶剤を溶媒とする高分子化合物の溶液に無機粒子を分散させた分散液を、該有機溶剤の20℃、101.3kPa(すなわち、常温・常圧)における体積の0.3〜10倍の容積を有する空間を確保して耐圧容器内に充填する。
高分子化合物の溶液は、有機溶剤に高分子化合物を公知の方法により溶解させることで得られる。該溶液中の高分子化合物の含有量としては、特に限定されるものではないが、後述のようにして分散液を調製した際に、無機粒子1重量部に対して、高分子化合物が、好ましくは0.001〜1000重量部、より好ましくは0.002〜200重量部、さらに好ましくは0.002〜200重量部含まれ得る量であるのが望ましい。
無機粒子の分散液は、前記溶液に無機粒子を公知の方法により分散させることで得られる。該分散液中の無機粒子の含有量としては、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.1〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。
次いで、無機粒子の分散液を前記の通りの一定の空間容積を確保して耐圧容器内に充填する。
耐圧容器内への分散液の充填は、あらかじめ分散液を調製し、それを該容器に移送して行っても良いし、該容器内で分散液を調製して行っても良い。耐圧容器内へ分散液を充填する際には、無機粒子の沈降などを防ぎ分散状態を維持するために攪拌を行うことが好ましい。凝集抑制などの観点より、攪拌は、耐圧容器への分散液の充填後、二酸化炭素の注入が終了するまで継続することが好ましい。
本発明で使用される耐圧容器としては、密閉系とでき、使用する温度及び圧力に耐え得るものであれば限定されるものではない。例えば、ステンレス製等の公知の容器が使用される。また、分散液の撹拌のための撹拌機構を備えたものが好ましい。
分散液は、分散液の溶媒である有機溶剤の20℃、101.3kPaにおける体積の0.3〜10倍の容積を有する空間を確保して耐圧容器内に充填するわけであるが、これは、充填する分散液の体積に加え、分散液に含まれる有機溶剤の全量の常温・常圧での体積の0.3〜10倍の体積を有するものを充填可能な内容積を有する耐圧容器に分散液を充填することで達成される。
本発明における高分子化合物と無機粒子との複合化は、高分子化合物を溶解している有機溶剤が、超臨界状態又は亜臨界状態にある二酸化炭素と混ざりあうことにより膨張し、良溶媒から貧溶媒に変化する際に、高分子化合物が無機粒子の表面に析出して生ずるものと考えられる。
分散液を耐圧容器内に充填する際に確保する空間は、有機溶剤の膨張に要する膨張空間に相当する。耐圧容器の内容積に比べ充填する分散液の量が少なすぎる場合には膨張空間が過大になり、高分子化合物単独粒子が発生しやすくなる。この高分子化合物単独粒子の発生は、所定量の高分子化合物が無機粒子に複合化することを妨げるほか、該粒子の複合化粒子の表面への付着が生じ粒子表面を粗くする。その結果、粉体の滑り性を低下させ、ひいては使用感の悪化につながる。
以上の点を考慮し、第1の態様においては、膨張空間の容積としては、有機溶剤の所定の体積の10倍以下であり、好ましくは3倍以下である。
一方、膨張空間が過小の場合には、二酸化炭素注入量が小さいため、液相(有機溶剤)膨張が不充分になり、溶媒の貧溶媒化が不充分となる。このため、有機溶剤からの高分子化合物の析出が充分に行えず、高分子化合物を介した粒子同士の癒着による凝集が著しく進行し、分散状態が良好な粉体を得ることが困難となる。また、回収した複合化粒子を後工程においてさらに所望により解砕してもよいが、その場合、凝集の程度が小さいほど、解砕に要する負荷が低減されるため好ましい。
以上の点を考慮し、第1の態様においては、膨張空間の容積としては、有機溶剤の所定の体積の0.3倍以上であり、好ましくは0.5倍以上である。
すなわち、膨張空間の容積としては、有機溶剤の所定の体積の0.3〜10倍であり、好ましくは0.5〜3倍である。
所定量の分散液を耐圧容器に充填し終えた時点で耐圧容器を密閉する。
一方、第2の態様においては、工程(1)において、有機溶剤を溶媒とする高分子化合物及び分散剤の溶液に無機粒子を分散させた分散液を耐圧容器内に充填する。
該溶液の調製は、前記する分散剤をさらに有機溶剤に溶解させること以外は、第1の態様の場合と同様にして行うことができる。該溶液中の高分子化合物の好適な含有量範囲も同様である。
分散剤の有機溶剤への溶解は公知の方法に従って行うことができる。該溶液中の分散剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、無機粒子の分散液を調製した際に、無機粒子1重量部に対して、分散剤が、好ましくは0.0000001〜1000重量部、より好ましくは0.0000002〜200重量部、更に好ましくは0.0000002〜2重量部含まれ得る量であるのが望ましい。
無機粒子の分散液は、以上のような溶液を用いること以外、第1の態様の場合と同様にして調製することができる。該分散液中の無機粒子の好適な含有量範囲も同様である。
次いで、得られた無機粒子の分散液を前記するような耐圧容器内に所定量充填し、充填終了後、該容器を密閉する。なお、耐圧容器内への分散液の充填の方法は、第2の態様においては第1の態様におけるような一定の空間容積を確保する必要性がないことを除き、第1の態様の場合と同様である。分散液の耐圧容器内への充填量は、二酸化炭素を所定量注入可能な空間が確保される限り、特に限定されるものではない。
以降の工程は、本発明の第1の態様と第2の態様で差はないため、以下の説明は両態様に適用される。
工程(2)においては、耐圧容器内の温度が二酸化炭素の臨界温度以上である条件において、耐圧容器内に二酸化炭素を注入することで高分子化合物と無機粒子とを複合化させる。
なお、本明細書において、亜臨界状態とは、温度が二酸化炭素の臨界温度以上であるか、または圧力が二酸化炭素の臨界圧力以上である状態を指す。また、超臨界状態とは、温度と圧力が共に二酸化炭素の臨界温度及び臨界圧力以上である状態を指す。よって、本発明の複合化粒子の製造方法の工程(2)においては、少なくとも二酸化炭素が亜臨界状態となる条件で高分子化合物と無機粒子とを複合化させることになる。得られる複合化粒子の凝集、又は高分子単独粒子の生成を充分に抑制する観点から、耐圧容器内の圧力がさらに二酸化炭素の臨界圧力以上の条件(有機溶剤が気化している場合には、二酸化炭素の分圧が臨界圧力以上の条件)、すなわち、二酸化炭素が超臨界状態となる条件で高分子化合物と無機粒子とを複合化させるのが好ましい。
耐圧容器内への二酸化炭素の注入は、該容器に二酸化炭素のガスボンベ等を接続して行えばよい。耐圧容器内の超臨界条件への調節は、二酸化炭素が注入される該容器内の温度・圧力を調節することにより行うことができる。該調節は、該容器内を二酸化炭素の臨界温度(31℃)以上に維持するようにし、そこに二酸化炭素を注入し、該容器内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力(7.2MPa)以上に達した時点で注入を停止することにより行うのが簡便であり好ましい。
耐圧容器内の温度としては、二酸化炭素の臨界温度以上であればよいが、高分子化合物の有機溶剤への充分な溶解性の確保をも考慮して決定するのが好ましい。当該温度としては、通常、40℃以上が好ましく、また、温度の上限としては、高分子化合物の有機溶剤への溶解性又は容器内の全圧力を考慮して、200℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。
このように温度調節された耐圧容器内に二酸化炭素を注入し、二酸化炭素と分散液を混合接触させながら任意に所定の圧力まで昇圧する。注入する二酸化炭素は、気体、超臨界状態、亜臨界状態のいずれの状態にあるものであっても良い。
二酸化炭素の注入終了時点の耐圧容器内の圧力としては、7.2MPa以上が好ましく、7.4MPa以上がより好ましく、10MPaがさらに好ましく、また、圧力の上限としては、設備上の制限より、好ましくは35MPa以下、より好ましくは30MPa以下である。
耐圧容器内の圧力を、連続相である有機溶剤と二酸化炭素の混合流体が均一相を形成するように設定することで、得られる複合化粒子の凝集、又は高分子単独粒子の生成を充分に抑制することができる。耐圧容器内の条件を上記したような好適な温度・圧力条件とすることで、そのような設定が可能である。
耐圧容器内の二酸化炭素が亜臨界又は超臨界状態に達したか否かは、該容器内の温度及び圧力を、例えば、備え付けの温度計・圧力計で確認することにより判定することができる。
二酸化炭素の注入速度としては、特に限定はないが、不均一な複合化を抑制するという観点より、注入を開始してから所望の設定圧力に達するまで(すなわち、注入終了まで)の時間が、好ましくは5分間以上、より好ましくは10分間以上、更に好ましくは20分間以上、また、良好な生産性を確保する観点より、好ましくは10時間以下、より好ましくは2時間以下となるような注入速度に調節するのが望ましい。
高分子化合物の無機粒子への複合化は、二酸化炭素が臨界状態又は亜臨界状態になるのと相前後して開始されるものと考えられる。二酸化炭素の注入により耐圧容器内の圧力が所定の圧力に達した後、耐圧容器内をかかる条件下に維持する時間としては、特に限定されないが、通常、1〜180分間が好ましく、10〜120分間がより好ましい。かかる維持の間に高分子化合物と無機粒子とが複合化してなる複合化粒子が形成される。
工程(3)においては、耐圧容器から有機溶剤と二酸化炭素との混合物を除去する。
耐圧容器からの有機溶剤と二酸化炭素との混合物の除去は、使用された耐圧容器の排出機構を利用して、例えば、排出バルブを開放することにより徐々に行うのが好ましい。その際、耐圧容器内の圧力を一段階又は二段階以上で徐々に低下させて差し支えないが、耐圧容器内において有機溶剤が液相を形成せず、しかも有機溶剤と二酸化炭素とが均一相を形成した状態を維持しながら、該混合物の除去を行うことでより凝集の少ない複合化粒子を得ることができる。よって、該混合物を耐圧容器から排出させる際に二酸化炭素の注入を併用し、二酸化炭素の超臨界状態又は亜臨界状態を維持しながら該混合物の除去を行うのがより好ましい。その場合、耐圧容器内の有機溶剤が完全に除去され、該容器内が二酸化炭素に置き換わった時点で、二酸化炭素の注入を停止し、耐圧容器内の圧力を一段階又は二段階以上で徐々に低下させる。大気圧になった時点で耐圧容器を開放し、該容器内より複合化粒子を回収する。なお、回収した複合化粒子は、さらに解砕して使用することが可能である。耐圧容器内の圧力を低下させる際の耐圧容器内の温度としては、二酸化炭素による液相形成を抑制する観点から、二酸化炭素の沸点以上であるのが好ましい。
以上により所望の複合化粒子が得られるが、当該粒子は、無機粒子の表面の一部又は全部に高分子化合物が付着した、凝集が抑制され、かつ表面が滑らかで滑り性の良い複合化粒子である。当該粒子の平均粒径としては、特に限定されるものではないが、感触向上あるいは任意の解砕工程における負担軽減の観点から、好ましくは0.001〜1000μm、より好ましくは0.01〜400μmである。当該平均粒径は、本発明の製造方法において、例えば、有機溶剤、高分子化合物、無機粒子の仕込量、分散剤の種類と仕込量等を調節することで適宜調整することができる。
本発明の製造方法により調製された複合化粒子は、例えば、化粧品、香粧品、塗料、インク等に好適使用される。
以下、実施例等で調製した試料の物性測定方法又は評価方法をまとめて示す。
(1)平均粒径測定方法
試料と0.1重量%非イオン系界面活性剤水溶液(商品名「エマルゲンA-60(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル)」、花王(株)製)を1:400(重量比)の割合で混合し、1分間超音波処理(45kHz)したものを測定試料とする。この測定試料をレーザー回折式粒度測定装置LA−910(堀場製作所製)による測定に供し、平均粒径(体積基準)を求める。
(2)滑り性評価方法
専門パネラー1名が試料適量を手に取り、顔面皮膚に塗布し、ざらつきと延びを官能評価する。
〔評価基準〕
×: ざらつきがあり、延びが悪い
○: ざらつきがなく、延びが良い
◎: ざらつきがなく、延びが非常によい
(3)高分子化合物単独粒子の有無の評価方法
試料を走査型電子顕微鏡(キーエンス社製)(以下、SEMという)で観察し、高分子化合物単独粒子の有無を以下の評価基準に従って評価する。なお、高分子化合物単独粒子は、SEM観察により目視で判別できる。
〔評価基準〕
×: 高分子化合物単独粒子が見られる
○: 高分子化合物単独粒子が実質的に見られない
◎: 高分子化合物単独粒子が見られない
以下の実施例1〜8及び比較例2〜3において使用した装置の一例を図1に示す。該装置は、二酸化炭素ボンベ1、フィルター2、冷却器3、供給ポンプ4、逆止弁5、恒温水槽6、ヒーター7、攪拌翼8、耐圧容器9、ヒーター10、トラップ11、フィルター12、ガス流量計13、モーターM、バルブV−1、圧力調整弁V−2、バルブV−3、バルブV−4、排気弁V−5、圧力計P−1、圧力計P−2、並びに圧力計P−3を備えてなる。該装置の各構成単位は、図1に示されるような位置関係では配設されており、適宜配管を介して連結されている。
実施例1〜8及び比較例2〜3における各操作手段は該装置の各構成単位に相当する。
実施例1
ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと表す、MP−2200:綜研化学製、分子量150万)1.2gをアセトン(密度0.79g/mL)100mLに溶解させた溶液に、タルク(平均粒径11.2μm、KK−500S:山口雲母製)4.0gを分散させた分散液を作製した。この分散液を耐圧容器9(800mL)に充填し密封した。このとき耐圧容器9内の空間は分散液中のアセトン体積の6.95倍であった。この耐圧容器9を40℃の恒温水槽6に浸漬し攪拌を開始した後30分間放置した。
その後耐圧容器9の低部より供給ポンプ4を用いて二酸化炭素を注入し、耐圧容器9内の圧力を15MPaまで30分間で昇圧した。15MPaに到達後、攪拌を停止し10分間静置した後、耐圧容器9上部の排気弁V−5を徐々に開放し、二酸化炭素とアセトンの混合気体の排出を開始した。この間も二酸化炭素の注入を継続し、耐圧容器9内圧力を圧力調整弁V−2を用いて15MPaに保持した。二酸化炭素の総排気量が1mに達した時点で二酸化炭素の注入を停止し、排気のみ継続した。耐圧容器9内の圧力が大気圧になった後、耐圧容器9を開放し、複合化粒子を回収した。
回収した複合化粒子をSEMで観察したところ、粒子と粒子が点接触し空隙率の高い、凝集の少ない構造が見られた。高分子化合物粒子が単独で凝集した粒子は実質的に観察されず、複合化粒子の表面は滑らかであった。また、この複合化粒子の平均粒径は35.7μmであった。官能評価における滑り性は良好であった。
実施例2
エチルセルロース(N−4:HERCULES製)1.2gをエタノール(密度0.79g/mL)100mLに溶解させた溶液にタルク(KK−500S:山口雲母製)4.0gを分散させた分散液を作製した。この分散液を耐圧容器9(800mL)に充填し密封した。このとき耐圧容器9内の空間は分散液中のアセトン体積の6.95倍であった。この耐圧容器9を40℃の恒温水槽6に浸漬し攪拌を開始した後30分間放置した。
その後、実施例1と同じ方法で複合化粒子を製造した。
回収した複合化粒子をSEMで観察したところ、粒子と粒子が点接触し空隙率の高い、凝集の少ない構造が見られた。高分子化合物粒子が単独で凝集した粒子は実質的に観察されず、複合化粒子の表面は滑らかであった。また、この複合化粒子の平均粒径は28.0μmであった。官能評価における滑り性は良好であった。
実施例3
ポリビニルアルコール(ゴーセファイマーL−5407:日本合成化学工業(株)製)1.2gを酢酸エチル(密度0.91g/mL)100mLに溶解させた溶液にタルク(KK−500S:山口雲母製)4.0gを分散させた分散液を作製した。この分散液を耐圧容器9(800mL)に充填し密封した。このとき耐圧容器9内の空間は分散液中のアセトン体積の6.95倍であった。この耐圧容器9を40℃の恒温水槽6に浸漬し攪拌を開始した後30分間放置した。
その後、実施例1と同じ方法で複合化粒子を製造した。
回収した複合化粒子をSEMで観察したところ、粒子と粒子が点接触し空隙率の高い、凝集の少ない構造が見られた。高分子化合物粒子が単独で凝集した粒子は実質的に観察されず、複合化粒子の表面は滑らかであった。また、この複合化粒子の平均粒径は24.6μmであった。官能評価における滑り性は良好であった。
実施例4
PMMA(MP−2200:綜研化学製)2.4gをアセトン200mLに溶解させた溶液にタルク(KK−500S:山口雲母製)8.0gを分散させた分散液を作製した。この分散液を耐圧容器9(800mL)に充填し密封した。このとき耐圧容器9内の空間は分散液中のアセトン体積の2.95倍であった。この耐圧容器9を40℃の恒温水槽6に浸漬し攪拌を開始した後30分間放置した。
その後、実施例1と同じ方法で、但し、二酸化炭素の総排気量を2mとして複合化粒子を製造した。
回収した複合化粒子をSEMで観察したところ、粒子と粒子が点接触し空隙率の高い、凝集の少ない構造が見られた。高分子化合物粒子が単独で凝集した粒子は観察されず、複合化粒子の表面は実施例1よりも滑らかであった。倍率5000倍のSEM像を図2に示す。また、この複合化粒子の平均粒径は39.6μmであった。官能評価におけるざらつきはなく、滑り性は非常に良好であった。
実施例5
PMMA(MP−2200:綜研化学製)4.8gをアセトン400mLに溶解させた溶液にタルク(KK−500S:山口雲母製)16.0gを分散させた分散液を作成した。この分散液を耐圧容器9(800mL)に充填し密封した。このとき耐圧容器9内の空間は分散液中のアセトン体積の0.95倍であった。この耐圧容器9を40℃の恒温水槽6に浸漬し攪拌を開始した後30分放置した。
その後、実施例1と同じ方法で、但し、二酸化炭素の総排気量を2mとして複合化粒子を製造した。
回収した複合化粒子をSEMで観察したところ、粒子と粒子が点接触し空隙率の高い、凝集の少ない構造が見られた。高分子化合物粒子が単独で凝集した粒子は観察されず、複合化粒子の表面は実施例1よりも滑らかであった。また、この複合化粒子の平均粒径は50.1μmであった。粒径は実施例4で得られた複合化粒子よりもやや大きいものの、官能評価におけるざらつきはなく、滑り性は非常に良好であった。
実施例6
PMMA(MP−2200:綜研化学製)7.0gをアセトン580mLに溶解させた溶液にタルク(KK−500S:山口雲母製)23.0gを分散させた分散液を作製した。この分散液を耐圧容器9(800mL)に充填し密封した。このとき耐圧容器9内の空間は分散液中のアセトン体積の0.32倍であった。この耐圧容器9を40℃の恒温水槽6に浸漬し攪拌を開始した後30分間放置した。
その後、耐圧容器9の低部より供給ポンプ4を用いて二酸化炭素を注入し、耐圧容器9内の圧力を26MPaまで昇圧した。26MPaに到達後、攪拌を停止し10分間静置した後、耐圧容器9上部の排気弁V−5を徐々に開放し、二酸化炭素とアセトンの混合気体の排出を開始した。この間も二酸化炭素の注入を継続し、耐圧容器9内圧力を26MPaに保持した。二酸化炭素の総排気量が2mに達した時点で二酸化炭素の注入を停止し、排気のみ継続した。耐圧容器9内の圧力が大気圧になった後、耐圧容器9を開放し、複合化粒子を回収した。
回収した複合化粒子をSEMで観察したところ、粒子と粒子が点接触し空隙率の高い、凝集の少ない構造が見られた。高分子化合物粒子が単独で凝集した粒子は観察されず、複合化粒子の表面は実施例1よりも滑らかであった。また、この複合化粒子の平均粒径は70.4μmであった。粒径は実施例5で得られた複合化粒子よりもやや大きいものの、官能評価におけるざらつきはなく、滑り性は非常に良好であった。
比較例1(溶剤蒸発法)
PMMA(MP−2200:綜研化学製)1.2gをアセトン100mLに溶解させた溶液にタルク(KK−500S:山口雲母製)4.0gを分散させた分散液をセパラフラスコ(内容積500mL)中で作製し、三日月翼を用いて600rpmで攪拌した。この分散液に対し室温(20℃)下、エタノール100mLを、滴下ロートを用いて30分間で滴下した。その後、分散液を真空濾過し、濾紙上のケークを室温下で真空乾燥したところ、濾過ケークが融着により固化した板状の塊が生成し、粉体は得られなかった。この板状の塊をコーヒーミルで解砕することにより粉体を得た。高分子化合物が単独で凝集した粒子は実質的に観察されなかった。得られた粉体の平均粒径は247μmであった。解砕によって得られた粒子について官能評価を行ったところ、ざらつきがあり、滑らかに延びなかった。
比較例2
PMMA(MP−2200:綜研化学製)0.8gをアセトン70mLに溶解させた溶液にタルク(KK−500S:山口雲母製)2.8gを分散させた分散液を作製した。この分散液を耐圧容器9(800mL)に充填し密封した。このとき耐圧容器9内の空間は分散液中のアセトン体積の10.38倍であった。この耐圧容器9を40℃の恒温水槽6に浸漬し攪拌を開始した後30分間放置した。
その後耐圧容器9の低部より供給ポンプ4を用いて二酸化炭素を注入し、耐圧容器9内の圧力を15MPaまで30分間で昇圧した。15MPaに到達後、攪拌を停止し10分間静置した後、耐圧容器9上部の排気弁V−5を徐々に開放し、二酸化炭素とアセトンの混合気体の排出を開始した。この間も二酸化炭素の注入を継続し、耐圧容器9内圧力を圧力調整弁V−2を用いて15MPaに保持した。二酸化炭素の総排気量が2mに達した時点で二酸化炭素の注入を停止し、排気のみ継続した。耐圧容器9内の圧力が大気圧になった後、耐圧容器9を開放し、複合化粒子を回収した。
回収した複合化粒子をSEMで観察したところ、PMMA単独の微粒子が観察され、また、複合化粒子の表面にPMMAの凝集粒子が付着して粒子表面が凸凹になっていた。倍率5000倍のSEM像を図3に示す。
また、この複合化粒子の平均粒径は38.2μmであった。滑り性の官能評価では、粒子のざらつきが感じられ、延びが悪かった。
実施例7
PMMA(MP−2200:綜研化学製)1.2gとアクリルシリコーン(KP−541:信越シリコーン製)0.3gをアセトン100mLに溶解させた溶液にタルク(KK−500S:山口雲母製)4.0gを分散させた分散液を作製した。この分散液を耐圧容器9(800mL)に充填し密封した。このとき耐圧容器9の空間は分散液中のアセトン体積の6.95倍であった。この耐圧容器9を40℃の恒温水槽6に浸漬し攪拌を開始した後30分間放置した。
その後、実施例1と同じ方法で複合化粒子を製造した。
回収した複合化粒子をSEMで観察したところ、粒子と粒子が点接触し空隙率の高い、凝集の少ない構造が見られた。高分子化合物粒子が単独で凝集した粒子は観察されず、複合化粒子の表面は滑らかであった。また、この複合化粒子の平均粒径は17.5μmであり、凝集が殆ど見られなかった。官能評価におけるざらつきはなく、滑り性は非常に良好であった。
実施例8
PMMA(MP−2200:綜研化学製)1.2gとポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体0.3gをアセトン100mLに溶解させた溶液にタルク(KK−500S:山口雲母製)4.0gを分散させた分散液を作製した。この分散液を耐圧容器9(800mL)に充填し密封した。このとき耐圧容器9内の空間は分散液中のアセトン体積の6.95倍であった。この耐圧容器9を40℃の恒温水槽6に浸漬し攪拌を開始した後30分間放置した。
その後、実施例1と同じ方法で複合化粒子を製造した。
回収した複合化粒子をSEMで観察したところ、粒子と粒子が点接触し空隙率の高い、凝集の少ない構造が見られた。高分子化合物粒子が単独で凝集した粒子は観察されず、複合化粒子の表面は滑らかであった。また、この複合化粒子の平均粒径は17.8μmであり、凝集が殆ど見られなかった。官能評価におけるざらつきはなく、滑り性は非常に良好であった。
比較例3
PMMA(MP−2200:綜研化学製)7.8gをアセトン650mLに溶解させた溶液にタルク(KK−500S:山口雲母製)26.0gを分散させた分散液を作製した。この分散液を耐圧容器9(800mL)に充填し密封した。このとき耐圧容器9内の空間は分散液中のアセトン体積の0.19倍であった。この耐圧容器9を40℃の恒温水槽6に浸漬し攪拌を開始した後30分間放置した。
その後、耐圧容器9の低部より供給ポンプ4を用いて二酸化炭素を注入し、耐圧容器9内の圧力を28MPaまで昇圧した。28MPaに到達後、攪拌を停止し10分間静置した後、耐圧容器9上部の排気弁V−5を徐々に開放し、二酸化炭素とアセトンの混合気体の排出を開始した。この間も二酸化炭素の注入を継続し、耐圧容器9内圧力を28MPaに保持した。二酸化炭素の総排気量が2mに達した時点で二酸化炭素の注入を停止し、排気のみ継続した。耐圧容器9内の圧力が大気圧になった後、耐圧容器9を開放したところ、全体が凝集し一体化した塊となっており、粉体は得られなかった。
実施例1〜8及び比較例1〜3の結果をまとめて表1に示す。表中、空間容積とは分散液を耐圧容器9に充填した際の該耐圧容器9中の空間の容積を分散液中の有機溶剤の体積の倍率で示したものである。比較例3については「高分子化合物単独粒子の発生」及び「粉体の滑り性」の評価ができなかったため評価結果には「−」と記す。
Figure 2005279334
実施例1〜8によれば、比較例1〜3と比較して、高分子化合物単独粒子を実質的に含まず、個々の粒子の分散状態が良く、表面が滑らかで滑り性の良い複合化粒子が効率的に得られることが分かる。特に、実施例7と8に示されるように、分散液に分散剤を含ませた場合、複合化粒子の平均粒径がより小さくなることが分かる。当該複合化粒子は、分散性及び滑り性の点でより優れたものである。
本発明によれば、例えば、化粧品、香粧品、塗料、インク等に好適に使用しうる高品質の複合化粒子を提供することができる。
本発明において使用され得る装置の一例を示す概略説明図である。 実施例4で得られた複合化粒子のSEM像(5000倍)である。 比較例2で得られた複合化粒子のSEM像(5000倍)である。
符号の説明
1 二酸化炭素ボンベ
2 フィルター
3 冷却器
4 供給ポンプ
5 逆止弁
6 恒温水槽
7 ヒーター
8 攪拌翼
9 耐圧容器
10 ヒーター
11 トラップ
12 フィルター
13 ガス流量計
M モーター
V−1 バルブ
V−2 圧力調整弁
V−3 バルブ
V−4 バルブ
V−5 排気弁
P−1 圧力計
P−2 圧力計
P−3 圧力計

Claims (5)

  1. (1)有機溶剤を溶媒とする高分子化合物の溶液に無機粒子を分散させた分散液を、該有機溶剤の20℃、101.3kPaにおける体積の0.3〜10倍の容積を有する空間を確保して耐圧容器内に充填する工程、
    (2)耐圧容器内の温度が二酸化炭素の臨界温度以上である条件において、耐圧容器内に二酸化炭素を注入することで高分子化合物と無機粒子とを複合化させる工程、及び
    (3)耐圧容器から有機溶剤と二酸化炭素との混合物を除去する工程、
    を含む、複合化粒子の製造方法。
  2. (1)有機溶剤を溶媒とする高分子化合物及び分散剤の溶液に無機粒子を分散させた分散液を耐圧容器内に充填する工程、
    (2)耐圧容器内の温度が二酸化炭素の臨界温度以上である条件において、耐圧容器内に二酸化炭素を注入することで高分子化合物と無機粒子とを複合化させる工程、及び
    (3)耐圧容器から有機溶剤と二酸化炭素との混合物を除去する工程、
    を含む、複合化粒子の製造方法。
  3. 工程(2)において、耐圧容器内の圧力が二酸化炭素の臨界圧力以上である条件において高分子化合物と無機粒子とを複合化させる、請求項1又は2記載の複合化粒子の製造方法。
  4. 分散剤が、親油性部位と親二酸化炭素性部位とを含む化合物である、請求項2又は3記載の複合化粒子の製造方法。
  5. 親油性部位が、飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基又は芳香族基の炭化水素部分であり、かつ親二酸化炭素性部位が、水素原子がフッ素原子で置換された飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基若しくは芳香族基の炭化水素部分、シロキサン結合を有する部分、カルボニル基を有する部分、エーテル結合を有する部分、又はエステル結合(-COO-)を有する部分である、請求項4記載の複合化粒子の製造方法。
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