JP5334292B2 - 複合粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、特定の内部摩擦角を有する原料粉体と高分子化合物とを攪拌して複合粒子を製造する方法に関する。さらに本発明は、かかる方法を用いて製造される複合粒子を含む化粧料に関する。さらに本発明は、特定の内部摩擦角を有する原料粉体を攪拌して粒子を製造する方法に関する。
化粧料へのニーズの多様化に伴い、各化粧成分の開発が進められている。その中でも化粧料用粉体については、その目的に応じた表面処理や複合化が注目されている。
例えば、ファンデーション等のメイクアップ化粧料においては、シミやソバカスをカバーしながらも、素肌感や透明感のある仕上がりを得ることが求められている。このような化粧料を得るため、種々の複合粒子が検討されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
このような複合粒子を製造する方法としては、複数の粒子からなる原料粉体を、例えば(1)高分子化合物溶液と混合してスプレードライする方法、(2)高分子化合物溶液と混合して乾燥させた後、粉砕する方法、及び(3)超臨界二酸化炭素の存在下に高分子化合物と接触させる方法、が挙げられる。
特に前記(3)の方法は、人体に対して有害な有機溶媒を用いないこと、加熱処理を施すことのない簡略な製造工程であること、及び副生物を含まず、凝集が抑制された均一な複合粒子を製造できること、といった利点を有することから、かかる方法は複合粒子を製造する方法として極めて優れている。
特開2002−3744号公報 特開2003−300809号公報 特開2005−298228号公報
本発明者らは、化粧料用粉体のさらなる高機能化を図るべく、多種多様な組成・形状・構造の原料粉体を用いて複合粒子を設計したところ、超臨界二酸化炭素の存在下で製造される複合粒子自体の性能は優れているものの、製造過程でどういうわけか支障を来たすことに遭遇した。特に特定の形状の原料粉体を二酸化炭素の存在下で攪拌する際に、その攪拌自体ができないことがあった。その結果として、所望の複合粒子を効率的に製造できない場合があることが分かった。
従って、本発明の課題は、二酸化炭素の存在下で、特定の形状の原料粉体を攪拌して粒子を製造する方法を提供することにある。さらに本発明の課題は、二酸化炭素の存在下で、かかる原料粉体と高分子化合物とを攪拌して複合粒子を製造する方法を提供することにある。さらに本発明の課題は、超臨界二酸化炭素の存在下で、複合粒子をより効率的に製造する方法を提供することにある。さらに本発明の課題は、かかる製造方法により製造される複合粒子を含む化粧料を提供することにある。
そこで本発明者らは、超臨界二酸化炭素の存在下での複合粒子の製造過程を詳細に検討したところ、原料成分を構成する粒子(原料粉体)の内部摩擦角が20°以上になると、二酸化炭素を容器内に導入する工程において、容器内の充填物の圧密化が急激に生じることを見出した。さらに本発明者らは、かかる圧密化が原因で、容器内での充填物の攪拌に支障を来たすのではと考え、充填物の圧密化が生じないような製造条件を詳細に検討し、本発明を完成させた。
従って、本発明の要旨は、
〔1〕 高分子化合物及び内部摩擦角が20°以上の原料粉体を含む原料を容器に充填する充填工程、並びに
2MPa以上の二酸化炭素の存在下で、該充填工程において充填された原料を該容器内で攪拌する攪拌工程、
を少なくとも含む複合粒子の製造方法であって、
前記二酸化炭素が、
(i)前記充填工程後及び/又は攪拌工程中に、該容器内の圧力が0.7MPa/min以下の割合で上昇するように導入する工程、
(ii)前記充填工程後及び/又は攪拌工程中に、該容器の側部及び/又は底部から導入する工程、並びに
(iii)前記攪拌工程中に、原料との攪拌下で導入する工程、
からなる群より選択される少なくとも一つの導入工程により導入されてなる、複合粒子の製造方法;
〔2〕 前記〔1〕に記載の方法によって製造される複合粒子を含む化粧料;並びに
〔3〕 内部摩擦角が20°以上の原料粉体を含む原料を容器に充填する充填工程、並びに
2MPa以上の二酸化炭素の存在下で、該充填工程において充填された原料を該容器内で攪拌する攪拌工程、
を少なくとも含む粒子の製造方法であって、
前記二酸化炭素が、
(i)前記充填工程後及び/又は攪拌工程中に、該容器内の圧力が0.7MPa/min以下の割合で上昇するように導入する工程、
(ii)前記充填工程後及び/又は攪拌工程中に、該容器の側部及び/又は底部から導入する工程、並びに
(iii)前記攪拌工程中に、原料との攪拌下で導入する工程、
からなる群より選択される少なくとも一つの導入工程により導入されてなる、粒子の製造方法;に関するものである。
本発明の製造方法によれば、圧密化が生じやすい粉体であっても、2MPa以上の二酸化炭素の存在下で、粒子を容易に攪拌することができる。従って、かかる製造方法を利用することにより、原料粉体の組成・形状・構造に左右されることなく、粒子及び複合粒子を効率的に製造することができる。
本発明の製造方法には、複合粒子の製造方法及び粒子の製造方法の二つの態様がある。
(1)本発明の複合粒子の製造方法
本発明の複合粒子の製造方法においては、最初に、例えば複合粒子を構成する成分として、高分子化合物及び原料粉体を容器に充填する工程(充填工程)を実施する。
本発明において、原料粉体は通常、複数の種類の粒子を含有する。
かかる原料粉体としては、例えば、少なくとも
成分(A):平均粒子径が0.5〜500μmであってアスペクト比が5以上の板状粒子、及び
成分(B):平均粒子径が0.001〜0.10μmの微粒子、
を含有することが好ましい。
成分(A)の平均粒子径は1〜100μmであるが、ぎらつきのないキメ細かい仕上がりを得る観点から、その平均粒子径が3〜50μmのものが好ましく、5〜25μmのものがより好ましい。さらに、その表面は、疎水化処理や親水化処理などの表面処理がなされていてもよい。
本明細書において、複合粒子を含めた粒子及び粉体等の平均粒子径とは個数平均粒径のことであり、他に規定がない限り、走査型電子顕微鏡写真(倍率:1000〜25000倍)での短径と長径から算出された二軸平均粒径を粒子径とし、当該粒子10個の平均値を個数平均粒径とする。
成分(A)の板状粒子のアスペクト比は5以上であるが、アスペクト比としては、5〜100の範囲のものが好ましく、7〜70の範囲のものがより好ましい。感触向上の観点から、前記アスペクト比は5以上が好ましく、粉体の破砕を防止する観点から、前記アスペクト比は100以下が好ましい。本明細書においてアスペクト比とは、粒子の厚み方向の長さを1とした時の、平面方向の平均粒子径の比率をいい、例えば、走査型電子顕微鏡写真によって測定することができる。
板状粒子としては、光の透過散乱性を向上させる観点から、その屈折率が1.3〜1.8の範囲のものが好ましい。本明細書において屈折率とは、液浸法によって測定される値をいう。
かかる板状粒子の具体例としては、例えば、シリカ(屈折率1.45)、酸化アルミニウム(屈折率1.76)、硫酸バリウム(屈折率1.64)、ポリエステル樹脂(屈折率1.6〜1.7)、スチレン樹脂(屈折率1.5〜1.6)、ナイロン樹脂(屈折率1.5〜1.6)、エポキシ樹脂(屈折率1.4〜1.7)、フェノール樹脂(屈折率1.6)、シリコーン樹脂(屈折率1.4〜1.6)、アクリル酸樹脂(屈折率1.5)、ポリオレフィン樹脂(屈折率1.5)、フッ素樹脂(屈折率1.3〜1.6)、アミノ酸系粉体等が挙げられ、シリカが好ましい。
成分(A)としては、板状粒子に微粒子を内包したものも好ましい。微粒子を内包させることにより、光透過散乱性の向上といった機能を複合粒子にさらに付与することができ、それによって化粧料用粉体の高機能化を達成することができる。
板状粒子に内包される微粒子としては、無機金属酸化物の粒子であって、平均粒子径が0.01〜0.10μmのものが好ましく、0.01〜0.05μmのものがより好ましい。また、無機金属酸化物の屈折率としては、1.9以上のものが好ましい。このような無機金属酸化物の粒子の平均粒子径は、微粒子を内包する板状粒子の断面を超薄切片法により顕微鏡観察し、上記のような二軸平均粒径として求められる。
かかる無機金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、酸化鉄・酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられ、酸化チタンが好ましい。
このような微粒子の板状粒子中の内包量は、微粒子による所望の効果を発揮させる観点から、板状粒子の5〜50重量%であることが好ましく、板状粒子の10〜40重量%であることが好ましい。
このような微粒子を内包する板状粒子としては、例えば、酸化チタン内包シリカフレーク〔(NTS30K3TA、NPT30K3TA(日本板硝子社製)〕等の市販品、及びこれらをシリコーンやフッ素で表面処理したものを用いることができる。
本発明で用いる成分(A)は、一種類の板状粒子で構成されていてもよく、複数の種類の板状粒子で構成されていてもよい。
本発明で用いる成分(B)は、平均粒子径が0.001〜0.10μmの微粒子である。成分(B)は、キメ細かい仕上がりの観点から、その平均粒子径が0.01〜0.08μmのものが好ましく、0.01〜0.05μmのものがより好ましい。また、成分(B)の屈折率としては、光の透過散乱性を向上させる観点から、1.9以上のものが好ましい。
かかる微粒子としては、所定の平均粒子径を有する無機金属酸化物が好ましく、具体的には、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、酸化鉄・酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられ、酸化亜鉛が好ましい。
本発明で用いる成分(B)は、一種類の微粒子で構成されていてもよく、複数の種類の微粒子で構成されていてもよい。
本発明における原料粉体においては、さらにその他の成分が成分(C)として含まれていてもよい。
成分(C)としては、例えば着色顔料等が挙げられる。原料粉体に着色顔料を含ませることにより、製造される複合粒子に所望の色を与えることができる。
かかる着色顔料の具体例としては、例えば、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、紺青、群青、酸化クロム等が挙げられる。かかる着色顔料は一種類のみを配合してもよく、複数の種類の着色顔料を配合してもよい。得られた複合粒子を用いて肌色のファンデーションを得るためには、酸化鉄を用いることが好ましく、より明るいファンデーションを得るためには、酸化チタンを用いるのが好ましい。
本発明において、成分(C)を用いる場合、成分(C)の平均粒子径は、成分(B)の平均粒子径の10〜100倍の範囲内であることが好ましく、20〜80倍の範囲内であることがより好ましい。成分(B)と成分(C)との平均粒子径がこのような関係にあることにより、複合粒子内で着色顔料が凝集することなく、均一で鮮やかな発色の複合粒子を得ることができる。具体的には、着色顔料の大きさとしては、発色性向上の観点から、その平均粒子径が0.1μmを超え、1.0μm未満のものが好ましく、0.15〜0.9μmのものがより好ましい。
本発明における原料粉体の一つの好ましい態様は、上記のような少なくとも成分(A)及び成分(B)を含有するものである。従って、成分(A)及び成分(B)に加えて上記のような成分(C)が含まれた粉体、さらにはこれらの成分以外の成分が含まれた粉体も、当然のことながら本発明における原料粉体に包含される。
原料粉体における成分(A)及び成分(B)の含有量としては、例えば成分(A)の量が原料粉体の30〜85重量%であり、成分(B)の量が原料粉体の4重量%以上である組み合わせが好ましく、成分(A)の量が原料粉体の50〜82重量%であり、成分(B)の量が原料粉体の5〜25重量%である組み合わせがより好ましく、成分(A)の量が原料粉体の60〜80重量%であり、成分(B)の量が原料粉体の7〜22重量%である組み合わせがさらに好ましい。成分(A)に関して、良好な感触を得る観点から、30重量%以上であることが好ましく、光の透過散乱性を向上させる観点から、85重量%以下であることが好ましい。成分(B)に関して、光の透過散乱性を向上させる観点から、4重量%以上であることが好ましく、良好な感触を得る観点から、25重量%以下であることが好ましい。
さらに原料粉体に成分(C)が含まれる場合、成分(C)の含有量としては、例えば原料粉体の3〜30重量%であることが好ましく、5〜25重量%であることがより好ましく、7〜20重量%であることがさらに好ましい。成分(C)に関して、発色性向上の観点から、3重量%以上であることが好ましく、良好な感触を得る観点から、30重量%以下であることが好ましい。
本発明に用いられる高分子化合物としては、粒子の凝集の抑制、撥水性、感触を向上させる観点から、フッ素系高分子化合物、シリコーン系高分子化合物が好ましい。
フッ素系高分子化合物及び/又はシリコーン系高分子化合物としては、超臨界二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素と助溶媒との混合物に分散又は溶解するものが好ましい。具体的には、親二酸化炭素基である炭化フッ素基又はシリコーン基をその分子内に有する化合物が好ましい。
フッ素系高分子化合物としては、超臨界二酸化炭素中又は超臨界二酸化炭素と助溶媒との混合物中に分散又は溶解するものであればよい。例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキシド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩、フルオロシリコーン、フルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体、パーフルオロポリエーテル、及びポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。フッ素系高分子化合物としては、一種類を単独で用いてもよく、複数の成分を組み合わせて用いてもよい。
フッ素系高分子化合物におけるフッ素原子の含有量は、撥水性、感触の点から、9〜80重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましく、40〜65重量%がさらに好ましい。
フッ素系高分子化合物の中では、フルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体、及びフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル−長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、二酸化炭素への分散・溶解のし易さの観点から好ましい。また、炭素数4以上のパーフルオロアルキル基、ポリフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、及びこの化合物と炭素数8〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が、二酸化炭素への分散・溶解のし易さの観点から最も好ましい。
フッ素系高分子化合物の重量平均分子量としては、複合粉体をより強固に被覆し、かつ25℃において固体である観点から、3,000〜500,000の範囲が好ましく、5,000〜300,000の範囲がより好ましい。
シリコーン系高分子化合物としては、超臨界二酸化炭素中又は超臨界二酸化炭素と助溶媒との混合物中に分散又は溶解するものであればよい。
シリコーン系高分子化合物としては、例えば、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、及び以下に示される変性シリコーンとして、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリエーテル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、シリコーン変性アクリル樹脂等が挙げられる。変性シリコーンが、二酸化炭素への分散・溶解のし易さの観点から好ましい。
より好ましくは、オルガノポリシロキサンの分子鎖の末端及び/又は側鎖に、式(I):
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を示し;X-は四級アンモニウム塩の対イオンを示し、例えばCl-及びBr-等のハロゲンイオン、並びにCH3SO4 -及びCH3CH2SO4 -等の硫酸エステルイオン等が挙げられる)
で表わされる基、又は
式(II):
(式中、R1、R2及びX-は前記と同じである)
で表わされる基を介して、
式(III):
(式中、R3は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を示し、nは2又は3を示す)
で表わされる繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)の分子鎖が結合してなるジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体が望ましい。
前記重合体において、当該ポリ(N−アシルアルキレンイミン)の分子鎖とオルガノポリシロキサンの分子鎖との重量比は1/50〜50/1が好ましく、
当該共重合体の重量平均分子量が500〜500,000の範囲であるところのシリコーン系高分子化合物が、二酸化炭素へ分散・溶解しやすい観点から、より好ましい。
例えば、式(I)中のR1及びR2がそれぞれ水素原子であり、X-がCH3CH2SO4 -であり、式(III)中のR3がCH2CH3であり、nが2であるポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体が挙げられる。
シリコーン系高分子化合物の重量平均分子量としては、より強固に被覆する観点から、500〜500,000の範囲が好ましく、1,000〜300,000の範囲がより好ましい。
高分子化合物が、超臨界二酸化炭素又は液化二酸化炭素の存在下で、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の少なくとも一つの成分に吸着される性質を有するものである場合、超臨界二酸化炭素又は液化二酸化炭素を容器内から排出する際の高分子化合物の容器内からの漏出、高分子化合物の単体粒子の形成、及び高分子化合物の容器壁面等への析出や付着が抑制されるため、かかる性質を有する高分子化合物がより好ましい。かかる高分子化合物の具体例としては、例えば、上記ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体が挙げられる。
そのような性質を有する高分子化合物は、超臨界二酸化炭素又は液化二酸化炭素に溶解又は分散すると共に、成分を構成する粒子表面への吸着が始まり、しかも溶解又は分散する温度又は圧力を保持して溶解度の変化がない条件下においても、粒子の表面への吸着が進行するものと考えられる。
原料粉体及び高分子化合物の攪拌に用いる容器の形状や大きさには限定がなく、超臨界二酸化炭素の使用時の温度及び圧力に耐え得るものであればよい。例えば、容器の大きさとしては、内容量が10mL〜300Lのものが好ましい。さらにはバルブ等の排気機構を有していることが好ましい。超臨界二酸化炭素中で原料粉体及び高分子化合物の溶解又は分散を行うため、容器は、攪拌機構を有するものが好ましい。かかる容器の代表例としては、オートクレーブ、耐圧セル等が挙げられる。
高分子化合物の配合量としては、次の関係を満たすことが好ましい。即ち、内部摩擦角が20°以上の原料粉体100重量部に対して、高分子化合物を0.1〜20重量部配合することが好ましく、0.3〜15重量部配合することがより好ましく、0.5〜10重量部配合することがさらに好ましい。複合粒子を形成させる観点から、0.1重量部以上配合することが好ましく、良好な感触を得る観点から、20重量部以下配合することが好ましい。なお、原料粉体の表面をできるだけ均一に覆う観点から、高分子化合物は超臨界二酸化炭素に溶解していることが好ましい。
容器の内容量と原料粉体及び高分子化合物の量との関係としては、容器内での攪拌に支障を来たさない程度であればよい。例えば、容器の内容量1リットルに対して、これらの成分の合計量として50〜500gが好ましい。
充填工程においては、原料粉体に加えて、高分子化合物を容器内に充填する。後の攪拌工程において、かかる高分子化合物によって、原料粉体を構成する各成分の表面の一部又は全部が被覆されることになる。その結果、これらの各成分の構造をより強固にし、かつ複合粒子同士の凝集が抑制され、複合粒子の撥水性、感触を向上させることができる。なお、本明細書において、当該高分子化合物は原料粉体を構成しない。
なお、充填工程の前に、予め原料粉体を混合する工程(予備混合工程)を設けてもよい。かかる工程を設けることによって、原料粉体を構成する粒子の凝集物をより少なくすることができるため、好ましい。
各成分を予備混合する際には、一般に用いられている、容器回転型、固定容器型、流体運動型の混合機を用いることができる。高速流動型混合機は高いせん断力を有するので好ましい。
予備混合工程での混合条件としては、例えば目視にて各成分の凝集物が存在しないことが確認できる程度の条件であればよい。例えば、混合時間としては、5〜1000分間が好ましい。また、攪拌羽根を具備する混合機を用いる場合、攪拌羽根先端の移動速度が5〜50m/sであることが好ましい。
なお、高分子化合物の添加は予備混合工程では行われず、充填工程において実施される。
本明細書において、原料粉体の内部摩擦角は、攪拌のための容器内に原料粉体を充填する時点で測定される内部摩擦角である。即ち、予備混合工程を設けない場合は、攪拌のための容器内に原料粉体を充填する時点の原料粉体の集合物の内部摩擦角であり、上記の予備混合工程を設ける場合は、予備混合工程を終えた時点の混合物の内部摩擦角である。
また、予備混合工程の有無に関わらず、内部摩擦角の測定対象は原料粉体であるので、原料粉体に高分子化合物が添加されたものは、内部摩擦角の測定対象とはならない。
本明細書において、原料粉体の内部摩擦角は、例えば次のように測定して得られる値である。
即ち、測定装置としては、粉体層せん断力測定装置(NS−S200型:ナノシーズ社製)を用いる。
具体的な測定条件としては、常温で粉体10〜15gをSUS製セルに充填する。押し込み加重の設定値を40Nとし、100秒後に横摺りを開始させる。横摺り開始時の押し込み加重をセルの断面積で除した値を垂直応力σ(N/cm2)とし、横摺り後に測定されるせん断力の最大値をセルの断面積で除した値をせん断応力τ(N/cm2)とする。次に押し込み加重の設定値を60Nとし、垂直応力σおよびせん断応力τを同様に測定する。さらに押し込み加重の設定値を80Nとして垂直応力σおよびせん断応力τを測定する。以上の3つの条件において得られる垂直応力σを横軸に、せん断応力τを縦軸にプロットし、最小二乗法を用いて得られる近似直線の傾き(度)を内部摩擦角とする。
上記の充填工程に続いて、二酸化炭素を容器内に導入する工程(導入工程)を実施する。本工程で導入される二酸化炭素の状態は超臨界状態ではなく、気体又は液体であり、気体と液体の共存状態であっても良い。本工程では、充填された原料粉体及び高分子化合物(「原料」と称する)が圧密化しない条件で二酸化炭素を容器内に導入すればよい。かかる条件を達成できる具体的な態様としては、例えば次の工程が挙げられる:
(i)充填工程後及び/又は攪拌工程中に、容器内の圧力が0.7MPa/min以下の割合で上昇するように導入する工程、
(ii)充填工程後及び/又は攪拌工程中に、容器の側部及び/又は底部から導入する工程、並びに
(iii)攪拌工程中に、原料との攪拌下で導入する工程、
からなる群より選択される少なくとも一つの導入工程により、二酸化炭素を導入する工程である。
上記導入工程前の容器内の圧力は周囲の大気圧程度であり、導入工程後の容器内の圧力は2〜7MPaの範囲が好ましく、2.5〜6.5MPaの範囲がより好ましく、3〜6MPaの範囲がさらに好ましい。
なお、本工程における容器内の温度条件としては、後の工程である混合工程での条件に速やかに移行できる観点から、304〜373Kの範囲が好ましく、308〜353Kの範囲がより好ましい。
(i)の工程においては、比較的ゆるやかな導入速度で容器内に二酸化炭素を導入することにより、圧密化を防止することができる。本工程は、容器の上部に設けられた導入口から導入される二酸化炭素による、充填物を押さえ込む力を弱めることを意図した工程である。
具体的には、容器内の圧力が好ましくは0.7MPa/min以下の割合で上昇するように、より好ましくは0.005〜0.6MPa/minの割合で上昇するように、さらに好ましくは0.01〜0.5MPa/minの割合で上昇するように、二酸化炭素を容器内に導入する。ここで、攪拌操作の効率化を図る観点から、0.01MPa/min以上の割合で圧力を上昇させることが好ましく、原料粉体等の圧密化を防止する観点から、0.7MPa/min以下の割合で圧力を上昇させることが好ましい。
工程(i)は、充填工程後及び/又は攪拌工程中に実施することができる。あるいは、工程(i)中において二酸化炭素の導入を一時停止して容器内の原料粉体等の攪拌を行い、原料粉体等の圧密化をさらに緩和してもよく、又は工程(i)後に、容器内の原料粉体等を攪拌することにより、原料粉体等の圧密化をさらに緩和してもよい。
(ii)の工程においては、容器の側部及び/又は底部から二酸化炭素を容器内に導入することにより、圧密化を防止することができる。本工程は、容器の側部及び/又は底部に設けられた導入口から導入される二酸化炭素により、充填された原料粉体等を容器内で舞い上がらせることを意図した工程である。
なお、本工程における二酸化炭素の導入速度は、(i)の工程のそれよりも速くすることができる。具体的には、容器内の圧力が好ましくは0.005〜5.0MPa/minの割合で上昇するように、より好ましくは0.01〜3.0MPa/minの割合で上昇するように、二酸化炭素を容器内に導入する。ここで、攪拌操作の効率化を図る観点から、0.01MPa/min以上の割合で圧力を上昇させることが好ましく、原料粉体等の圧密化を防止する観点から、5.0MPa/min以下の割合で圧力を上昇させることが好ましい。
工程(ii)は、充填工程後及び/又は攪拌工程中に実施することができる。あるいは、工程(i)中において二酸化炭素の導入を一時停止して容器内の原料粉体等の攪拌を行い、原料粉体等の圧密化をさらに緩和してもよく、又は工程(i)後に、容器内の原料粉体等を攪拌することにより、原料粉体等の圧密化をさらに緩和してもよい。
(iii)の工程においては、原料粉体の攪拌下で二酸化炭素を容器内に導入することにより、圧密化を防止することができる。本工程は、攪拌によって常に原料粉体等が動いている状態のままで二酸化炭素を導入することにより、充填物を容器内で舞い上がらせることを意図した工程である。
かかる工程を実施するためには、例えば磁気攪拌式攪拌羽根を具備する容器を用いて、高分子化合物及び原料粉体を充填中又は充填後に攪拌羽根を動かしながら二酸化炭素を容器内に導入すればよい。
なお、本工程における二酸化炭素の導入速度は、(i)の工程のそれよりも速くすることができる。具体的には、容器内の圧力が好ましくは0.01〜5.0MPa/minの割合で上昇するように、より好ましくは0.01〜3.0MPa/minの割合で上昇するように、二酸化炭素を容器内に導入する。
ここで、攪拌操作の効率化を図る観点から、0.01MPa/min以上の割合で圧力を上昇させることが好ましく、原料粉体等の圧密化を防止する観点から、5.0MPa/min以下の割合で圧力を上昇させることが好ましい。
上記の工程(i)〜(iii)からなる群より選択される工程の少なくとも一つの工程を含む導入工程を実施することによって、原料粉体、又は原料粉体及び高分子化合物の圧密化の防止が実現できる。かかる工程(i)〜(iii)は単独で導入工程を構成してもよく、複数の工程が組み合わさって導入工程を構成してもよい。
なお、本明細書において、原料粉体、又は原料粉体及び高分子化合物の「圧密化」とは、容器内に充填された原料粉体等の層が圧縮され、内部摩擦が大きくなる現象をいい、簡易には、導入工程の実施前の原料粉体等の層の体積と、実施後のそれとの変化を目視にて観察し、実施後の原料粉体等の層の体積が見掛け上減少した場合を圧密化されたと判断することができる。原料粉体等が圧密化された場合、結果的に攪拌工程が実施できなくなる場合がある。
上記の導入工程に続いて、2MPa以上の二酸化炭素の存在下で、内部摩擦角が20°以上の原料粉体を容器内で攪拌する工程(攪拌工程)を実施する。
攪拌工程における容器内の圧力としては、2MPa以上であればよく、好ましくは上記の導入工程にて設定した最終的な圧力以上の圧力であればよい。
導入工程にて設定した最終的な容器内の圧力から、さらに容器内の圧力を上昇させて、攪拌工程を実施してもよい。そのためには、例えば気体の二酸化炭素を加圧して、当該容器内に導入すればよい。この時、二酸化炭素の密度差が原料粉体の層の圧密化に及ぼす影響は極めて少ないと考えられるため、二酸化炭素の導入速度は特に限定されないが、例えば容器内の圧力が0.5〜100MPa/minの割合で上昇する程度が好ましく、1.0〜50MPa/minの割合で上昇する程度がより好ましい。
攪拌工程における容器内の二酸化炭素の状態としては、気体であってもよく、液体であってもよく、気体と液体の共存状態であってもよく、又は超臨界状態であってもよい。ここで、超臨界二酸化炭素とは、臨界温度(Tc)以上の温度でかつ臨界圧力(Pc)以上の圧力の状態の二酸化炭素をいう。
容器内での原料粉体、又は高分子化合物と原料粉体との攪拌は、例えば磁気伝達式攪拌子、又は磁気伝達式攪拌翼を回転させることにより実施することができる。
攪拌工程における容器内の温度としては、後の工程である混合工程での条件に速やかに移行できる観点から、304〜373Kの範囲が好ましく、308〜353Kの範囲がより好ましい。さらに攪拌工程における攪拌時間としては、圧密化した粉体層を崩壊させる観点から、0.1秒〜600秒の範囲が好ましく、1秒〜60秒の範囲がより好ましい。
このようにして、原料粉体及び高分子化合物の圧密化が生じることなく、攪拌された粉体を製造する方法が提供される。
このような本発明の方法によって得られる粒子は、各成分が均一に混合した状態であり、例えば目視によってその状態を確認することができる。また、製造された粒子は圧密化が生じていないので、かかる粒子を用いることで、複合粒子を効率的に製造することができる。
本発明の複合粒子の製造方法においては、このような粒子を、次いで超臨界二酸化炭素の存在下で、さらに混合する工程(混合工程)を実施する。
二酸化炭素は、一般に無毒であり、その臨界温度が304.2Kである。超臨界二酸化炭素とは、臨界温度(Tc)以上の温度でかつ臨界圧力(Pc)以上の圧力の状態の二酸化炭素をいい、臨界点近傍の超臨界二酸化炭素は、わずかな圧力変化によって密度が急変するという性質を有する。
より具体的には、二酸化炭素の圧力及び/又は温度を高めると、二酸化炭素の密度が急増するため、溶質がフッ素系高分子化合物及び/又はシリコーン系高分子化合物である場合、溶質の二酸化炭素に対する溶解度が急激に増加し、逆に二酸化炭素の圧力及び/又は温度を低下させると、溶質の二酸化炭素に対する溶解度を急激に低下させることができる。従って、圧力及び/又は温度の操作のみで、成分(A)の板状粒子表面上への溶質の沈積、並びに溶質と二酸化炭素との分離が可能となる。
また、二酸化炭素中に粒子が存在し、溶質が粒子表面上に吸着される性質を有する物質である場合、温度及び/又は圧力が一定であっても溶質が二酸化炭素中に溶解又は分散した時点で、溶質が粒子表面上に吸着することになる。溶質を粒子表面に均一に存在させる観点から、二酸化炭素に溶解する溶質が好ましい。
超臨界二酸化炭素と、原料粉体と高分子化合物とを接触させる際の温度、及び超臨界二酸化炭素と、粒子と粒子表面上に吸着される性質を有する物質を接触させる際の温度は、接触後の超臨界二酸化炭素の除去や、減圧を効率的に行う観点から、308〜373Kであるのが好ましく、313〜353Kがより好ましい。容器内の温度を所望の温度とするには、容器に具備されたヒーターや温度調節器を適宜設定すればよい。
また、減圧を開始するときの超臨界二酸化炭素の初期圧力は、超臨界二酸化炭素の減圧を効率的に行う観点から、好ましくは7.2〜50MPa、より好ましくは10〜40MPaである。
攪拌工程で到達した容器内の圧力から、二酸化炭素が超臨界状態となる圧力(例えば上記初期圧力)ま
で、容器内の圧力を上昇させるためには、例えば気体の二酸化炭素を加圧して、当該容器内に導入すればよい。この時の二酸化炭素の導入速度としては、例えば容器内の圧力が0.5〜100MPa/minの割合で上昇する程度が好ましく、1.0〜50MPa/minの割合で上昇する程度がより好ましい。
また、接触の際には容器内に備えられた攪拌羽根を回転させること等により、上記各成分を攪拌することが好ましい。上記各成分を接触させる時間としては、高分子化合物を含む粉体原料を効果的に混合させる観点から、5〜500分の範囲が好ましく、10〜300分の範囲がより好ましい。
なお、本発明において、減圧とは、超臨界二酸化炭素又は二酸化炭素の圧力を低下させることをいう。
上記のように、超臨界二酸化炭素を用いた場合には、比較的低温で操作を行うことができるため、操作が容易であるとともに、二酸化炭素は無毒で危険性がなくかつ安価であるので、製造コストを削減することができる。
このようにして、容器内において、原料粉体及び高分子化合物(好ましくは当該原料粉体表面上に吸着される性質を有する高分子化合物)と、超臨界二酸化炭素との混合物(以下、「混合物A」という)が得られる。
超臨界二酸化炭素と高分子化合物との混合物は、温度、圧力等の条件によっては、透明となる場合がある。このように透明となる混合物は、凝集が少なく、形成される高分子化合物の被膜も均一となるので好ましい。
次に、得られた混合物Aから、超臨界二酸化炭素を除去する工程(除去工程)を実施する。
超臨界二酸化炭素の除去は、例えば、容器内で混合物Aを製造した後、容器に備えられている排気バルブ等を開放して二酸化炭素を排出する方法、容器内で混合物Aを製造した後、混合物Aを二酸化炭素とともに当該容器外に排出する方法等が挙げられる。混合物Aから二酸化炭素を除去する際に、本発明の複合粒子が形成される。
前者の方法によれば、排気バルブ等を開放した際に、容器内が減圧され、成分(A)の表面に高分子化合物が析出し、成分(A)の表面の一部又は全部を高分子化合物が被覆することになる。この析出の際に、成分(A)の表面近傍に存在する混合物Aの残りの成分も一緒に取り込まれ、結果的に成分(A)の表面に付着する。その結果、本発明の複合粒子を、溶媒を含有しない状態で容器内で製造することができる。製造された複合粒子を容器内から取り出す際には、容器内の圧力を大気圧程度まで減圧することが好ましい。容器内の圧力が、混合物Aが製造された時点から大気圧程度に達する時点までに要する時間は、得られる複合粒子の粒径や、高分子化合物の被覆の膜厚の制御、及び副生粒子の抑制の観点から、2秒間〜600分間が好ましく、5秒間〜360分間がより好ましい。減圧する方法は特に限定されないが、減圧時の断熱膨張作用により温度低下が生じるため、二酸化炭素の臨界温度以上を維持することが好ましい。このことにより、二酸化炭素の液化を防ぎ、液体で起こりがちな毛管現象による複合粒子同士の凝集を防止することができる。
また、後者の方法によれば、容器内の混合物Aを、例えばノズル等を介して容器外に排出させる。この際、ノズル等の出口付近で瞬時に二酸化炭素を分離除去できるとともに、凝集のない複合粒子を製造することができる。容器外に混合物Aを排出させる方法としては、混合物Aを、ノズル等を介して噴出させる方法等が挙げられる。排出させる条件は、特に限定されないが、ノズルの流入部での温度が臨界温度以上、圧力が臨界圧力以上であることが、二酸化炭素を超臨界状態で維持する観点から好ましい。
また、混合物Aにおける成分(A)〜(C)の合計含量は、特に限定されないが、混合物A中での分散性を良くする観点から、混合物Aの0.01〜70重量%が好ましく、0.1〜50重量%がより好ましい。
なお、高分子化合物が超臨界二酸化炭素に溶解又は分散しにくい場合には、助溶媒を超臨界二酸化炭素に混合してもよい。このことにより、高分子化合物を超臨界二酸化炭素に溶解又は分散させやすくすることができる。助溶媒の使用量としては、例えば超臨界二酸化炭素100重量部に対して0.01〜50重量部が好ましく、0.05〜40重量部がより好ましい。
助溶媒としては、極性溶媒が好ましい。極性溶媒の中では、人体にほとんど無害と考えられていることから、アルコール及び水が好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール及び1−プロパノールが好ましく、中でもエタノールがより好ましい。
このようにして、複合粒子を製造する本発明の方法が提供される。超臨界二酸化炭素を用いる本発明の方法は、有機溶媒や樹脂エマルジョンを使用する方法とは異なり、複合粒子同士の凝集も少なく、しかも熱処理等による脱溶媒操作を行う必要がないので、処理工程数を削減することができ、製造効率に非常に優れている。
(2)本発明の複合粒子
本発明の複合粒子は、少なくとも成分(A)、成分(B)及び高分子化合物で構成され、必要に応じて成分(C)等のその他の成分がさらに加わって構成される複合粒子である。即ち、本発明の複合粒子とは、高分子化合物により、他の成分(成分(A)及び成分(B)、必要に応じてさらに成分(C))の一部又は全部が被覆されて一体化された粒子をいう。
ここで、被覆されて一体化された粒子の構造としては、より具体的には:
成分(A)の表面に、成分(B)(及び必要に応じて成分(C))が、高分子化合物を介して付着している構造;並びに
成分(A)の表面に、成分(B)(及び必要に応じて成分(C))が付着し、それらの一部又は全部を高分子化合物が被覆している構造、
等が挙げられ、本明細書においてはこれらのいずれの構造でもよい。
このように、本発明の複合粒子は、その表面の一部又は全部が高分子化合物によって被覆されているため、複合粒子同士の凝集が少なく、撥水性が高い。また、ぎらつきが少なく、きめ細かく、透明感が高く、素肌感に優れており、また、手に触れた感触においてざらつき感がない。そのために、本発明の複合粒子を化粧料に適用することには、利点が多い。かかる本発明の複合粒子は、本発明の製造方法によって得ることができる。
得られた複合粒子の平均粒子径は、粒子としての取り扱いやすさの観点から、0.1〜1000μmであるのが好ましく、0.5〜500μmであるのがより好ましく、5〜50μmであるのがさらに好ましい。
なお、得られた複合粒子には、適宜、粉砕、解砕等の操作を施してもよい。
本発明の複合粒子は、成分(A)〜(C)及び高分子化合物以外の成分を1種類以上含有していても良い。かかる成分としては、例えば、安定化剤、着色剤、紫外線防御剤等が挙げられる。これらの成分は、超臨界二酸化炭素に溶解又は分散させることにより、複合粒子に含有させることができる。
(3)本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記のようにして得られる複合粒子を含有するものである。複合粒子は、仕上がり、感触の面で当該複合粒子の効果を発現させる観点から、化粧料の全組成中に0.01〜95重量%含有するのが好ましく、5〜70重量%含有するのがより好ましい。
本発明の化粧料は、複合粒子以外に、通常の化粧料に用いられる成分を含有することができる。かかる成分としては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化チタン、ゼオライト、硫酸バリウム等の無機粉体や、着色顔料、パール光沢顔料等の粉体;ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、ワセリン等の炭化水素類;リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル油;キャンデリラワックス、ホホバ油、オリーブ油等の植物油脂;シクロメチコン、ジメチコン等のシリコーン油;セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸;グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類;非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤;エタノール等の低級アルコール類;カーボポール等の増粘剤;メトキシケイヒ酸オクチル等の紫外線吸収剤;防腐剤、抗酸化剤、色素、保湿剤、美白剤、血行促進剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等の薬効成分、香料などが挙げられる。
本発明の化粧料は、例えばディスパー、ホモミキサー、コンビミックス、アジホモミキサー、ヘンシェルミキサー、レトロミキサー、ホバートミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、ナウターミキサー、ロッキングミキサー等を用いて常法に従って製造することができ、例えば、ファンデーション、粉おしろい、固形おしろい、化粧下地、アイシャドー、口紅、頬紅、アイブロウ、保湿クリーム、UV防御クリーム、美白クリーム、化粧水、乳液、洗顔料、パック剤等の各種化粧料とすることができる。ファンデーション、粉おしろい、固形おしろい、化粧下地、アイシャドー、口紅、頬紅、アイブロウ等のメイクアップ化粧料として好適である。
(4)本発明の粒子の製造方法
本発明の粒子の製造方法においては、最初に、例えば粒子を構成する成分として、上記の原料粉体を容器に充填する工程(充填工程)を実施する。本発明の粒子の製造方法においては、上記の高分子化合物を充填しないこと以外は、本発明の複合粒子の製造方法と同じ工程、数値範囲及びその他の諸条件を採用することができる。例えば、充填工程の前に、必要に応じて予備混合工程を実施することもできる。
実施例1
〔予備混合工程〕
最初に次のような予備混合を行った。
酸化亜鉛〔平均粒子径約0.01μm:堺化学社製〕340g、黄酸化鉄〔平均粒子径約0.35μm:チタン工業社製〕53g、酸化鉄・酸化チタン焼結物〔平均粒子径約0.24μm:日興リカ社製〕41g、酸化チタン〔平均粒子径約0.31μm:石原産業社製〕80g、及び酸化チタン内包シリカフレーク〔製品名NTS30K3TA:平均粒子径約10μm:日本板硝子社製〕1319gを、内容量10Lのヘンシェルミキサー〔三井鉱山社製〕にて、1072r/minで56分間かけて均質に混合した。このようにして、全体が均質に混合された予備混合粉を得た。
ここで用いた酸化チタン内包シリカフレークに関して、アスペクト比は10であった。
なお、上記の粒子の粒子径、屈折率及びアスペクト比は、次のようにして測定した。
粒子径:走査型電子顕微鏡写真(倍率:1000〜25000倍)での短径と長径から算出された二軸平均粒径を粒子径とし、当該粒子10個の平均値を個数平均粒径とした。
屈折率:JIS K7142「プラスチックの屈折率測定方法」のうち、B法(顕微鏡を用いる液浸法(ベッケ線法))によって測定した。但し、JIS K7142で使用される浸液に代えて、島津デバイス製造社製「接触液」を使用し、浸液の温度が15〜20℃の条件で測定した。顕微鏡は、偏光顕微鏡「オプチフォト」(ニコン社製)を使用した。
アスペクト比:走査型電子顕微鏡写真(倍率:1000〜25000倍)での厚みを粒子厚みとし、上記粒子径を粒子厚みで除した値をアスペクト比とした。
このようにして得られた予備混合粉について、粉体層せん断力測定装置(NS−S200型:ナノシーズ社製)を用いてその内部摩擦角を測定した。その結果、上記予備混合粉の内部摩擦角は29.5°であった。
次いで、図1に示される構造の装置を用いて、上記の予備混合粉と高分子化合物との攪拌を超臨界状態の二酸化炭素中で実施した。
〔充填工程〕
オートクレーブ10〔内容量8L:東洋高圧社製:攪拌羽根の最大トルク2Nm〕内に、予備混合粉1280gと、シリコーン系高分子化合物〔(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体(重量平均分子量:1×105)〕26gとを充填した。なお、上記共重合体の分子構造は、以下の式(IV)で表されるものであった。
(式中、p:q:r=270:0.3:0.1であり、x=12である)
充填後、ボンベ1よりフィルター2を通して二酸化炭素ガス又は液化二酸化炭素内のゴミを除去した後、クーラー5から−5℃に制御された冷媒が通液されているコンデンサー3で二酸化炭素を凝縮し、その後ポンプヘッドが冷却された昇圧ポンプ4で昇圧した。昇圧時の圧力を圧力計6aにより測定した。なお、安全性を確保するために、圧力計6aの下流部には、安全弁7aを配設した。圧力の調整は保圧弁V−1で行った。
バルブV−2を開放することで、二酸化炭素を予熱器8を通して所定の温度まで予熱し、バルブV−3を介して安全弁7bが付属するオートクレーブ10に導入した。オートクレーブの温度は320Kとした。
〔導入工程〕
上記の予備混合粉等を充填した後、オートクレーブ10内の圧力が4MPaに達するまで、0.015MPa/minの割合でその圧力が上昇するように、二酸化炭素をオートクレーブ10内に導入した。
〔攪拌工程〕
次いで、攪拌速度を20r/min、攪拌時間を30秒、オートクレーブ温度を320Kとして、オートクレーブ10内の各成分の攪拌を行った。
次いで、昇圧ポンプ4を設定して、二酸化炭素をさらに高い圧力でオートクレーブ10内に導入した。即ち、オートクレーブ10内の圧力が25MPaに達するまで、2.9MPa/minの割合でその圧力が上昇するように、二酸化炭素をオートクレーブ10内に導入した。それと同時に、カートリッジヒーター12を使用し、温度調節器13によりオートクレーブ10内の温度調節を行い、温度計11及び圧力計6bにより、オートクレーブ10内の温度及び圧力をそれぞれ338K及び25MPaに調節した。このようにして、オートクレーブ10内の二酸化炭素を超臨界状態とした。
〔混合工程〕
この条件下で攪拌機9の攪拌羽根を攪拌速度270r/minで回転させ、0.5時間溶解・分散操作を行い、均質な混合物を得た。
〔除去工程〕
次いで、排気バルブV−4を徐々に開放し、排気ライン15(内径2.5mm)より排気し、10分間で減圧を行った。この時断熱膨張作用により容器内温度が低下するが、容器内温度が313K以下にならないように減圧を行った。また、排気ラインの凍結を防ぐために、ヒーター14により加熱した。また、排気ライン15から若干漏出してくる複合粒子に関しては、バグフィルター16で捕捉した。
オートクレーブ10内の容器圧を大気圧まで減圧した後、オートクレーブ10内から複合粒子17として、複合粒子Aを得た。オートクレーブ10内は複合化粒子17のみであり、充填された高分子化合物は残存していなかった。複合粒子の凝集物もなかった。
得られた複合粒子を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率3000倍で観察した。その結果、図2で示されるように板状粒子上に他の粒子が良好に分散して存在する複合粒子を確認することができた。また、目視の結果、彩度に優れた複合粒子であることが分かった。
実施例2
酸化亜鉛以外は実施例1と同じ原料を用いて、次のようにして予備混合を行った。
酸化亜鉛〔製品名SA−ZnO−510:平均粒子径約0.01μm:住友大阪セメント社製〕275g、黄酸化鉄55g、酸化鉄・酸化チタン焼結物43g、酸化チタン84g、及び酸化チタン内包シリカフレーク1377gを、内容量10Lのヘンシェルミキサーに投入し、1072r/minで55.8分間かけて均質に混合した。このようにして、全体が均質に混合された予備混合粉を得た。
このようにして得られた予備混合粉について、その内部摩擦角を測定したところ、この予備混合粉の内部摩擦角は22.4°であった。
次いで、実施例1で用いたものと同じ装置を用いて、上記の予備混合粉1280gと、実施例1で用いたものと同じ高分子化合物26gとの攪拌を、超臨界状態の二酸化炭素中で実施した。この時の攪拌条件については、オートクレーブ10内の圧力が4MPaに達するまでの圧力上昇の割合を0.63MPa/minとしたこと以外は、実施例1と同じ条件とした。
二酸化炭素を超臨界状態とした状態で0.5時間の溶解・分散操作を行った結果、均質な混合物として、複合粒子Bを得た。
実施例3
実施例2と同じ原料を用いて、次のようにして予備混合を行った。
酸化チタン内包シリカフレーク63.83kgと酸化亜鉛12.77kgを、内容量300Lのヘンシェルミキサーにて、900r/minで120分間かけて均質に混合した。次いで、黄酸化鉄2.55kg、酸化鉄・酸化チタン焼結物1.97kg、酸化チタン3.89kgを追加して、300r/minで180分間かけて均質に混合した。このようにして、全体が均質に混合された予備混合粉を得た。
このようにして得られた予備混合粉について、その内部摩擦角を測定したところ、この予備混合粉の内部摩擦角は21.4°であった。
次いで、図1に示される構造の装置を用いて、上記の予備混合粉16kgと、実施例1で用いたものと同じ高分子化合物0.267kgとの攪拌を、超臨界状態の二酸化炭素中で実施した。この時の攪拌条件については、オートクレーブ10の内容量を100Lとし、オートクレーブ10内の圧力が4MPaに達するまでの圧力上昇の割合を0.163MPa/minとしたこと以外は、実施例1と同じ条件とした。
二酸化炭素を超臨界状態とした状態で1.0時間の溶解・分散操作を行った結果、均質な混合物として、複合粒子Cを得た。
実施例4
実施例2と同じ原料を用いて、次のようにして予備混合を行った。
酸化チタン内包シリカフレーク63.83kgと酸化亜鉛12.77kgを、内容量300Lのヘンシェルミキサーにて、900r/minで120分間かけて均質に混合した。次いで、黄酸化鉄2.55kg、酸化鉄・酸化チタン焼結物1.97kg、酸化チタン3.89kgを追加して、300r/minで180分間かけて均質に混合した。このようにして、全体が均質に混合された予備混合粉を得た。
このようにして得られた予備混合粉について、その内部摩擦角を測定したところ、この予備混合粉の内部摩擦角は22.9°であった。
次いで、実施例3で用いたものと同じ装置を用いて、上記の予備混合粉16kgと実施例1で用いたものと同じ高分子化合物0.267kgとの攪拌を、超臨界状態の二酸化炭素中で実施した。この時の攪拌条件については、オートクレーブ10の内容量を100Lとし、オートクレーブ10内の圧力が4MPaに達するまでの圧力上昇の割合を0.150MPa/minとしたこと以外は、実施例1と同じ条件とした。
二酸化炭素を超臨界状態とした状態で1.0時間の溶解・分散操作を行った結果、均質な混合物として、複合粒子Dを得た。
比較例1
実施例1で得られた予備混合粉を用いて、次のような条件で当該予備混合粉と高分子化合物との攪拌を試みた。
即ち、実施例1で用いたものと同じ装置、上記の予備混合粉1280g、実施例1で用いたものと同じ高分子化合物26gを用いた。オートクレーブ10内の圧力が4MPaに達するまでの圧力上昇の割合を1.00MPa/minとしたこと以外は、実施例1と同じ条件で攪拌を試みた。
オートクレーブ10内の二酸化炭素を超臨界状態とした後、攪拌機9の攪拌羽根を回転させようとしたが、回転できなかった。そこで別途同じ操作を行い、オートクレーブ10内の圧力が4MPaに達した後の充填物を確認したところ、当該充填物は固く圧密化していた。このことから、固く圧密化した充填物のせいで、攪拌機9の攪拌羽根が回転できなかったものと判断した。
比較例2
酸化亜鉛以外は実施例1と同じ原料を用いて、次のようにして予備混合を行った。
酸化亜鉛〔平均粒子径約0.02μm:住友大阪セメント社製〕275g、黄酸化鉄55g、酸化鉄・酸化チタン焼結物43g、酸化チタン84g、及び酸化チタン内包シリカフレーク1377gを、内容量10Lのヘンシェルミキサーに投入し、1072r/minで55.8分間かけて均質に混合した。このようにして、全体が均質に混合された予備混合粉を得た。
このようにして得られた予備混合粉について、その内部摩擦角を測定したところ、この予備混合粉の内部摩擦角は24.3°であった。
次いで、この予備混合粉を用いて、次のような条件で当該予備混合粉と高分子化合物との攪拌を試みた。
即ち、実施例1で用いたものと同じ装置、上記の予備混合粉1280g、実施例1で用いたものと同じ高分子化合物26gを用いた。オートクレーブ10内の圧力が4MPaに達するまでの圧力上昇の割合を0.83MPa/minとしたこと以外は、実施例1と同じ条件で攪拌を試みた。
オートクレーブ10内の二酸化炭素を超臨界状態とした後、攪拌機9の攪拌羽根を回転させようとしたが、回転できなかった。そこで別途同じ操作を行い、オートクレーブ10内の圧力が4MPaに達した後の充填物を確認したところ、当該充填物は固く圧密化していた。このことから、固く圧密化した充填物のせいで、攪拌機9の攪拌羽根が回転できなかったものと判断した。
比較例3
微粒子酸化チタン〔平均粒子径約10μm:テイカ社製〕275g、黄酸化鉄55g、酸化鉄・酸化チタン焼結物43g、酸化チタン84g、及び合成マイカ〔製品名PDM10−L:平均粒子径約10μm、アスペクト比60:トピー工業社製〕1376gを、内容量10Lのヘンシェルミキサーにて、2130r/minで51分間かけて均質に混合した。このようにして、全体が均質に混合された予備混合粉を得た。
このようにして得られた予備混合粉について、その内部摩擦角を測定したところ、この予備混合粉の内部摩擦角は19.3°であった。
次いで、実施例1で用いたものと同じ装置を用いて、上記の予備混合粉1280gと実施例1で用いたものと同じ高分子化合物26gとの攪拌を、超臨界状態の二酸化炭素中で実施した。この時の攪拌条件については、オートクレーブ10内の圧力が4MPaに達するまでの圧力上昇の割合を2.56MPa/minとしたこと以外は、実施例1と同じ条件とした。
二酸化炭素を超臨界状態とした状態で0.5時間の溶解・分散操作を行った結果、均質な混合物を得た。
上記のように、内部摩擦角が20°以上の予備混合粉(原料粉体)を用いた場合、容器内の充填物はより圧密化されやすい傾向にあることが分かった。オートクレーブ内に予備混合粉を充填後、当該オートクレーブ内に二酸化炭素を導入する際に、圧密化が生じれば、その後の超臨界状態での二酸化炭素中での攪拌に支障を来たし、実質的に攪拌を実施することができないことが分かった。
実施例に示されるように、内部摩擦角が20°以上の予備混合粉であっても、二酸化炭素を緩やかに導入する、具体的にはオートクレーブ内の圧力上昇の割合を0.7MPa/min以下となるように二酸化炭素を導入することによって、予備混合粉の攪拌を実施できることが分かった。
一方比較例3に示されるように、内部摩擦角が20°未満の予備混合粉では、二酸化炭素の導入速度が高くても攪拌に影響しないことが分かった。
実施例5
表1に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
(製法)
成分(1)〜(11)を混合し、粉砕機にて粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、成分(12)〜(17)を80℃に混合溶解したものを加えて均一混合した。再び粉砕してふるいを通し、これを金皿に圧縮成型して、パウダーファンデーションを得た。得られたファンデーションの使用感は非常に優れていた。
実施例等で用いた装置の一実施態様を示す概略説明図である。 実施例1で得られた複合粒子の走査顕微鏡写真(倍率3000倍)を示す図である。
符号の説明
1 ボンベ
2 フィルター
3 コンデンサー
4 昇圧ポンプ
5 クーラー
6a 圧力計
6b 圧力計
7a 安全弁
7b 安全弁
8 予熱器
9 攪拌機
10 オートクレーブ
11 温度計
12 カートリッジヒーター
13 温度調節器
14 ヒーター
15 排気ライン
16 バグフィルター
17 複合粒子
V−1 保圧弁
V−2 バルブ
V−3 バルブ
V−4 排気バルブ

Claims (8)

  1. 高分子化合物及び内部摩擦角が20°以上の原料粉体を含む原料を容器に充填する充填工程、並びに
    2MPa以上の二酸化炭素の存在下で、該充填工程において充填された原料を該容器内で攪拌する攪拌工程、
    を少なくとも含む複合粒子の製造方法であって、
    前記二酸化炭素が、前記充填工程後及び/又は攪拌工程中に、該容器内の圧力が0.7MPa/min以下の割合で上昇するように導入する導入工程により導入されてなる、複合粒子の製造方法。
  2. 前記原料粉体が、少なくとも
    成分(A):平均粒子径が1〜100μmであってアスペクト比が5以上の板状粒子、及び
    成分(B):平均粒子径が0.001〜0.10μmの微粒子、
    を含有する、請求項1に記載の方法。
  3. 原料粉体における、成分(A)の含有量が30〜85重量%であり、成分(B)の含有量が4重量%以上である、請求項2に記載の方法。
  4. 配合される高分子化合物の量が、原料粉体100重量部に対して0.1〜20重量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によって製造される複合粒子を含む化粧料。
  6. 内部摩擦角が20°以上の原料粉体を含む原料を容器に充填する充填工程、並びに
    2MPa以上の二酸化炭素の存在下で、該充填工程において充填された原料を該容器内で攪拌する攪拌工程、
    を少なくとも含む粒子の製造方法であって、
    前記二酸化炭素が、前記充填工程後及び/又は攪拌工程中に、該容器内の圧力が0.7MPa/min以下の割合で上昇するように導入する導入工程により導入されてなる、粒子の製造方法。
  7. 前記原料粉体が、少なくとも
    成分(A):平均粒子径が1〜100μmであってアスペクト比が5以上の板状粒子、及び
    成分(B):平均粒子径が0.001〜0.10μmの微粒子、
    を含有する、請求項6に記載の方法。
  8. 原料粉体における、成分(A)の含有量が30〜85重量%であり、成分(B)の含有量が4重量%以上である、請求項7に記載の方法。
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