JP2005276324A - ディスクカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスク状記録媒体に対するディスクアクセスを可能としつつ、カートリッジ本体に加わる力に起因するカートリッジ本体およびディスク状記録媒体の破損や記録再生不良の発生を回避する。
【解決手段】下シェル3および上シェル4を互いに重ね合わせたカートリッジ本体2内にディスク状記録媒体が収容され、下シェル3には、収容されたディスク状記録媒体の中心部領域から少なくとも外縁部領域に亘る帯状の領域を露出させるためのディスクアクセス用開口部15aが下シェル3の外縁部から中心部に亘って形成され、上シェル4には、収容されたディスク状記録媒体とはカートリッジ本体2の厚み方向で重ならない位置において、下シェル3の外縁部に位置するディスクアクセス用開口部15aを跨ぐようにして、上シェル4とは別体に形成された補強部材7a,7bがその内面に固定されている。
【選択図】図1
【解決手段】下シェル3および上シェル4を互いに重ね合わせたカートリッジ本体2内にディスク状記録媒体が収容され、下シェル3には、収容されたディスク状記録媒体の中心部領域から少なくとも外縁部領域に亘る帯状の領域を露出させるためのディスクアクセス用開口部15aが下シェル3の外縁部から中心部に亘って形成され、上シェル4には、収容されたディスク状記録媒体とはカートリッジ本体2の厚み方向で重ならない位置において、下シェル3の外縁部に位置するディスクアクセス用開口部15aを跨ぐようにして、上シェル4とは別体に形成された補強部材7a,7bがその内面に固定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、下シェルおよび上シェルを有するカートリッジ本体内にディスク状記録媒体が収容されて構成されたディスクカートリッジに関するものである。
この種のディスクカートリッジとして、カートリッジ筐体12内(ディスク収納室16)に光ディスク11を収容したディスク記録媒体装置10が特開2003−115181号公報に開示されている。このディスク記録媒体装置10は、同公報の図1に示すように、上シェル13、中シェル14および下シェル15を有するカートリッジ筐体12と、ディスク収納室16に収容される光ディスク11と、中シェル14および下シェル15の間に配設されたシャッタ部材18a,18bとを備えている。この場合、中シェル14は、光ディスク11を載置するためのディスクトレイとして機能すると共に、上シェル13および下シェル15の間に挟み込まれるようにして光ディスク11と共にディスク収納室16に収容される。また、中シェル14は、記録再生装置に対するディスク記録媒体装置10の装填時および排出時において記録再生装置によって上シェル13および下シェル15に対して回転させられることにより、下シェル15における開口部25の一部を開閉する。シャッタ部材18a,18bは、中シェル14によって軸支されると共に、中シェル14の回転に伴って中シェル14に対して回転させられて中シェル14と相俟って下シェル15の開口部25を開閉する。
一方、上シェル13は、全体として浅皿状に形成されると共に、下シェル15を取り付け可能に構成されている。また、下シェル15は、カートリッジ筐体12内の光ディスク11に対するディスクアクセスを可能とする開口部25が形成されて上シェル13に取り付け可能に構成されている。この場合、開口部25は、テーブル用開口部25aおよびヘッド用開口部25b,25bがカートリッジ筐体12の前後方向に連続して形成されている。これにより、カートリッジ筐体12に収容した光ディスク11のセンタ穴11aを挟んで互いに対向する一方の外縁部から他方の外縁部に亘る長方形状の領域を露出させた状態において、テーブル用開口部25aを介して光ディスク11をクランプして回転させつつ、ヘッド用開口部25b,25bを介して同時に2つの光学ヘッドを用いて記録データを記録再生することが可能となっている。
特開2003−115181号公報(第6−14頁、図1)
ところが、従来のディスク記録媒体装置10には、以下の問題点がある。すなわち、このディスク記録媒体装置10では、カートリッジ筐体12内の光ディスク11に対して2つの光学ヘッドを同時に用いて記録データを記録再生するために、センタ穴11aを挟んで互いに対向する一方の外縁部から他方の外縁部に亘る帯状(長方形状)の領域を露出可能な開口部25が下シェル15に形成されている。この場合、この種のディスク記録媒体装置10(ディスクカートリッジ)としては、例えば、鞄などに収容して携帯する際に加わる外力や記録再生装置に装填する際に加わる力などに起因してカートリッジ筐体12が変形してカートリッジ筐体12または光ディスク11の破損を招く事態や、記録再生装置内でカートリッジ筐体12が変形して(歪んで)記録再生不良が生じる事態を回避するために、カートリッジ筐体12がある程度の剛性を有している必要がある。一方、中シェル14およびシャッタ部材18a,18bが上シェル13および下シェル15のいずれにも固定されていないため、中シェル14およびシャッタ部材18a,18bによってカートリッジ筐体12の剛性を高めることが困難となっている。したがって、その厚み方向で開口部25と重なる部位においては、カートリッジ筐体12の剛性に寄与する部材が上シェル13しか存在しないため、従来のディスク記録媒体装置10には、カートリッジ筐体12を折り曲げようとする力や捻れさせようとする力に対して非常に弱い結果、カートリッジ筐体12自体や光ディスク11の破損、および記録再生不良を招くおそれがあるという問題点が存在する。
この場合、上シェル13を例えばガラス繊維入り樹脂等で成形して上シェル13単体の剛性を高めることにより、カートリッジ筐体12全体としての剛性を高める構成を採用することも考えられる。しかし、この構成を採用した場合、ガラス繊維入り樹脂等が透過性を有していないため、上シェル13を透してカートリッジ筐体12内の光ディスク11を視認することができなくなる。このため、カートリッジ筐体12の美観が損ねられると共に、カートリッジ筐体12に対して採用可能なデザインが極く狭い範囲内(カートリッジ筐体12内の光ディスク11を視認できないデザイン)に限られてしまう。また、上シェル13を十分に厚くして上シェル13単体の剛性を高めることにより、カートリッジ筐体12全体としての剛性を高める構成を採用することも考えられる。ところが、この構成を採用した場合、上シェル13を厚くした分だけカートリッジ筐体12が全体として厚くなるため、ディスク記録媒体装置10に対して規定されているサイズの規格を満たすのが困難となるおそれがある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、ディスク状記録媒体に対するディスクアクセスを可能としつつ、カートリッジ本体に加わる力に起因するカートリッジ本体およびディスク状記録媒体の破損や記録再生不良の発生を回避し得るディスクカートリッジを提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく本発明に係るディスクカートリッジは、下シェルおよび上シェルを互いに重ね合わせたカートリッジ本体内にディスク状記録媒体が収容され、前記下シェルには、前記収容されたディスク状記録媒体の中心部領域から少なくとも外縁部領域に亘る帯状の領域を露出させるためのディスクアクセス用開口部が当該下シェルの外縁部から中心部に亘って形成され、前記上シェルには、前記収容されたディスク状記録媒体とは前記カートリッジ本体の厚み方向で重ならない位置において、前記下シェルの前記外縁部に位置する前記ディスクアクセス用開口部を跨ぐようにして、当該上シェルとは別体に形成された補強部材がその内面に固定されている。
また、本発明に係るディスクカートリッジは、前記ディスクアクセス用開口部が前記下シェルの前記外縁部から前記中心部を挟んで対向する他の外縁部に亘って形成されている。
さらに、本発明に係るディスクカートリッジは、前記補強部材が金属で形成されている。
また、本発明に係るディスクカートリッジは、前記補強部材が繊維強化樹脂で形成されている。
さらに、本発明に係るディスクカートリッジは、前記補強部材が前記上シェルにかしめ固定されている。
また、本発明に係るディスクカートリッジは、前記補強部材が平板状に形成されて、その板面が前記上シェルにおける天板の板面に対して平行となるように当該上シェルに固定されている。
本発明に係るディスクカートリッジによれば、上シェルとは別体に形成した補強部材をディスク状記録媒体に対してカートリッジ本体の厚み方向で重ならない位置においてディスクアクセス用開口部を跨ぐようにして上シェルの内面に固定したことにより、カートリッジ本体に対して外力が加わった際におけるカートリッジ本体自体およびディスク状記録媒体の破損や、これらの破損に起因する記録再生不良の発生を十分に回避し得る高い剛性を有するカートリッジ本体を備えたディスクカートリッジを提供することができる。この場合、ディスク状記録媒体に対してカートリッジ本体の厚み方向で重ならない位置に補強部材を固定したことにより、カートリッジ本体内で遊動したディスク状記録媒体が補強部材に接触して傷付く事態を回避することができるため、ディスク状記録媒体の傷付きに起因する記録再生不良の発生を回避することができる。また、上シェルとは別体に形成した補強部材を上シェルの内面に固定する構成を採用したことにより、例えば、透過性を有する樹脂材料(この例では、ポリカーボネート)で上シェルを形成すると共に、折り曲げや捻れなどに強い高い剛性の部材(金属や繊維強化樹脂等)で補強部材を形成して上シェルに固定することができるため、上シェルを透してのディスク状記録媒体に対する十分な視認性を確保して各種のデザインを採用可能としつつ、カートリッジ本体の剛性を十分に高めることができる。
また、本発明に係るディスクカートリッジによれば、下シェルの外縁部から中心部を挟んで対向する他の外縁部に亘って形成されたディスクアクセス用開口部を跨ぐようにして補強部材を固定したことにより、2つの光学ヘッドを同時に用いてディスク状記録媒体に対する記録再生を実行可能としつつ、外力が加わった際におけるカートリッジ本体自体およびディスク状記録媒体の破損や記録再生不良の発生を十分に回避し得る高い剛性を有するカートリッジ本体を備えたディスクカートリッジを提供することができる。
さらに、本発明に係るディスクカートリッジによれば、補強部材を金属で形成したことにより、カートリッジ本体全体としての厚みをそれほど厚くすることなく、カートリッジ本体自体およびディスク状記録媒体の破損や、ディスク状記録媒体についての記録再生不良の発生を十分に回避し得る高い剛性を有するカートリッジ本体を備えたディスクカートリッジを提供することができる。
また、本発明に係るディスクカートリッジによれば、補強部材を繊維強化樹脂(いわゆるフィラー樹脂)で形成したことにより、補強部材が例えば金属材料製の補強部材と比較して軽量のため、カートリッジ本体の剛性を高めつつ、ディスクカートリッジ全体としての軽量化を図ることができる。
さらに、本発明に係るディスクカートリッジによれば、上シェルに補強部材をかしめ固定したことにより、例えば、ねじ止め等による固定方法を採用した構成と比較して短時間でしかも容易に補強部材を固定することができると共に、接着剤等によって固定する構成とは異なり、揮発した成分がディスク状記録媒体の表面等に付着する事態を回避することができる。したがって、付着物に起因する記録再生エラーの発生を回避しつつ、ディスクカートリッジの製造コストを十分に低下させることができる。
また、本発明に係るディスクカートリッジによれば、補強部材を平板状に形成すると共にその板面が上シェルにおける天板の板面に対して平行となるように固定したことにより、記録再生装置における光学ヘッドの移動を阻害することなく、高い剛性を有するカートリッジ本体を備えたディスクカートリッジを提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るディスクカートリッジの最良の形態について説明する。
最初に、ディスクカートリッジ1の構成について、図面を参照して説明する。
図1,2に示すディスクカートリッジ1は、各種記録データの記録および再生が可能に構成されたカートリッジ式の情報記録媒体であって、カートリッジ本体2、ディスクトレイ5およびシャッタ部材6などを備えて光ディスク10を収納可能に構成されている。なお、図2では、本発明についての理解を容易とするために、その厚み方向のサイズを誇張して厚く図示している。この場合、光ディスク10は、一例として、片面仕様の書き換え型のディスク状記録媒体であって、図2に示すように、その中心部には、記録再生装置にクランプさせるための直径15mm程度の中心孔10aが形成されている。この光ディスク10は、カートリッジ本体2の上シェル4に取り付けられた円板状のクランピングプレート10bが記録再生装置によって下シェル3側に引き寄せられることによって記録再生装置にクランプされる。一方、図1,2に示すように、カートリッジ本体2は、互いに嵌合可能に、つまり重ね合わせが可能に形成された下シェル3および上シェル4を備えている。
下シェル3は、図3に示すように、一対の下シェル本体11a,11bを備えて、一例として、ポリカーボネート(または、ABS樹脂等)を用いて射出成形されている。具体的には、下シェル3(下シェル本体11a,11b)は、底板12aと、底板12aの外縁部に立設されてカートリッジ本体2の側面部分を構成する側壁12bと、カートリッジ本体2内にディスク収容部を形成する隔壁12cとを備えている。この下シェル3は、上シェル4に嵌合させた状態(上シェル4と一体化させた状態)において、両下シェル本体11a,11bにおける底板12a,12aの間にディスクアクセス用開口部(以下、「開口部」ともいう)15aが形成されるように構成されている。この場合、開口部15aは、記録データの記録再生時において、カートリッジ本体2内の光ディスク10に対するディスクアクセス(記録再生装置によるクランプや、光学ヘッドを介してのレーザービームの照射等)が可能となるようにその開口領域が規定されている。
具体的には、図3に示すように、開口部15aは、下シェル3の一方の外縁部から中心部を挟んで対向する他方の外縁部に亘って形成されている。これにより、開口部15aは、カートリッジ本体2内に収容された状態の光ディスク10における中心孔10aの周囲を含む中心部領域A1を挟んで互いに対向する一対の外縁部領域A2,A2の間に亘る帯状領域A(本発明における「中心部領域から少なくとも外縁部領域に亘る帯状の領域」の一例)を露出可能な形状および大きさとなっている。この構成により、このディスクカートリッジ1では、2つの光学ヘッドを同時に用いて光ディスク10に対する記録データの記録および再生を行うことが可能となっている。また、両下シェル本体11a,11bの各底板12aには、シャッタ部材6のスリット52(図11参照)に挿入されて、後述するようにディスクトレイ5の回転に伴ってシャッタ部材6をスライドさせるための凸部13がそれぞれ立設されている。
上シェル4は、図4に示すように、天板22aと、天板22aの外縁部に立設されて下シェル3の側壁12bと相俟ってカートリッジ本体2の側面部分を構成する側壁22bと、下シェル3の隔壁12cと相俟ってカートリッジ本体2内にディスク収容部を形成する隔壁22cとを備えて、一例として、透過性を有するポリカーボネートを用いて射出成形されている。また、図2に示すように、上シェル4の中央部には、リング状の取付け部材10cによってクランピングプレート10bが取り付けられている。この場合、クランピングプレート10bは、上シェル4に対して回転可能で、天板22aに対する接離方向で僅かに移動可能に取り付けられている。さらに、図5に示すように、上シェル4の天板22aには、一対の補強部材7a,7bが固定されている。
この場合、補強部材7a,7bは、図6に示すように、一例として、厚みが1.5mm程度のステンレス板(本発明における金属の一例)を所定形状に打ち抜いて平板状に形成されている。この補強部材7a,7bには、図6,7に示すように(図7では、補強部材7aのみを図示している)、上シェル4に形成されたかしめ固定用の固定用凸部23,23を挿通させるための挿通孔31,31が形成されている。また、挿通孔31の口縁部には、固定用凸部23の先端部をかしめ処理する際に形成される頭部23a(図7参照)の突出を回避するための円形凹部32が形成されている。この場合、このディスクカートリッジ1では、補強部材7a,7bを上シェル4にかしめ固定する構成を採用することで、例えばねじ止めする構成と比較して、短時間でしかも容易に補強部材7a,7bを上シェル4に固定することが可能となっている。また、補強部材7a,7bを接着剤によって固定する構成とは異なり、接着剤が乾燥する際に揮発した成分が光ディスク10の表面等に付着する事態が回避されると共に、乾燥を完了するまで放置する必要がないため、カートリッジ本体2を短時間で組み立てることが可能となっている。
また、このディスクカートリッジ1では、上シェル4に対して下シェル本体11a,11b(下シェル3)を嵌合させた状態(重ね合わせた状態)で下シェル本体11a,11b間に形成される開口部15aを下シェル3の外縁部と重なる位置において跨ぎ、かつ、カートリッジ本体2内に収容されている光ディスク10に対してディスクカートリッジ1の厚み方向で重ならない位置に補強部材7a,7bが固定されている。具体的には、図3,8,9に示すように、補強部材7a,7bは、カートリッジ本体2の装填方向の前端側および後端側において開口部15aを跨ぐようにして、ディスクカートリッジ1の外側に位置する端面がカートリッジ本体2の側面と面一となるようにそれぞれ固定されている。これにより、補強部材7a,7bの存在に起因しての上シェル4を透しての光ディスク10に対する視認性の低下が回避されている。なお、図3では、開口部15aと補強部材7a,7bとの位置関係についての理解を容易とするために、組立て完了状態におけるカートリッジ本体2の補強部材7a,7bの位置を破線で図示している。
ディスクトレイ5は、図10に示すように、下シェル3の両下シェル本体11a,11bの間に形成される開口部15aとほぼ同じ幅の開口部5aが形成された円板状の底板41と、底板41の外縁部に立設された側壁42とで光ディスク10を載置可能な浅皿状に形成されて、図2に示すように、光ディスク10と共にカートリッジ本体2内に回動可能に収容されている。この場合、図10に示すように、底板41の下面(同図において手前側の面)には、シャッタ部材6を軸支するための凸部43,43が立設されている。また、側壁42には、記録再生装置におけるシャッタ開閉手段(図示せず)が噛合可能な噛合用歯部44が形成されている。なお、同図では、噛合用歯部44における各歯の図示を省略している。このディスクトレイ5は、常態においては、ロック部材8(図1参照)によってカートリッジ本体2に対する回動が規制されている。シャッタ部材6は、図11に示すように、その一端部にディスクトレイ5の凸部43が挿通可能な孔51が形成されると共に、その他端部側に下シェル3の凸部13が挿通可能なスリット52が形成されて、図2に示すように、下シェル3とディスクトレイ5との間に挟み込まれるようにしてカートリッジ本体2内に収容されている。
次に、ディスクカートリッジ1の使用方法について、図面を参照して説明する。
このディスクカートリッジ1では、図1に示すように、記録再生装置から取り外されている状態のときには、下シェル3の開口部15aが、ディスクトレイ5とシャッタ部材6とによって閉塞されている。一方、ディスクカートリッジ1を記録再生装置に装填した際には、ディスクカートリッジ1が記録再生装置によって矢印Iの向きで装置内部に引き込まれる。なお、同図では下シェル3を上向きした状態を図示しているが、実際の使用に際しては、上シェル4を上向きにした状態で記録再生装置に装填する。この際には、記録再生装置のシャッタ開閉手段によってディスクトレイ5が回動させられ、これにより、シャッタ部材6がディスクトレイ5に対して回転させられて開口部15aが開口される。
具体的には、まず、シャッタ開閉手段がロック部材8に当接することにより、ロック部材8がカートリッジ本体2に対して回動させられてディスクトレイ5の回動が許容される。次に、ディスクカートリッジ1が記録再生装置内にさらに引き込まれた際には、シャッタ開閉手段がディスクトレイ5の噛合用歯部44に噛合して、この状態でディスクカートリッジ1がさらに引き込まれることによってディスクトレイ5が図1に示す矢印B1の向きでカートリッジ本体2に対して回動させられる。この際には、ディスクトレイ5の回動に伴ってシャッタ部材6が孔51(ディスクトレイ5の凸部43)を中心として回動(スライド)させられる。次いで、ディスクカートリッジ1が記録再生装置内にさらに引き込まれた際には、下シェル3の開口部15aとディスクトレイ5の開口部5aとがディスクカートリッジ1の厚み方向において重ね合わされると共に、シャッタ部材6,6が回動させられて開口部5a上から移動させられる。これにより、光ディスク10の領域Aが露出して、カートリッジ本体2の外部からの光ディスク10に対するディスクアクセスが可能な状態となる。この後、記録再生装置によってクランピングプレート10bが磁気的に引き寄せられて中心孔10aの口縁部(中心部領域A1)がクランプされ、開口部15aを介してのレーザービームの照射(記録データの記録または再生)が実行される。
この場合、図8,9に示すように、このディスクカートリッジ1では、補強部材7a,7bが上シェル4の天板22aに固定されているため、補強部材7a,7bの表面(同図における下面)が光ディスク10の表面(下面)よりも高い位置に位置させられている。したがって、記録再生装置における光学ヘッドの移動(カートリッジ本体2の側方からの矢印S1,S2の向きでの移動)が補強部材7a,7bによって阻害される事態が回避される。一方、記録データの記録再生を完了したディスクカートリッジ1を記録再生装置から取り出す際には、記録再生装置のシャッタ開閉手段によってディスクトレイ5が図1に示す矢印B2の向きで回動させられると共に、その回動に伴ってシャッタ部材6が回動させられて、ディスクトレイ5およびシャッタ部材6,6によって開口部15aが閉塞される。これにより、カートリッジ本体2、ディスクトレイ5およびシャッタ部材6,6によってカートリッジ本体2内の光ディスク10が保護される。
また、この状態(開口部15aが閉塞された状態)のディスクカートリッジ1を例えば鞄に入れて携帯する際には、上シェル4に固定された補強部材7a,7bによってカートリッジ本体2の変形が阻止される。具体的には、このディスクカートリッジ1では、前述したように、補強部材7a,7bが、上シェル4に嵌合させた状態の下シェル3における開口部15aを跨ぐようにして上シェル4の天板22aに固定されている。したがって、別個独立した下シェル本体11a,11bで構成されている下シェル3を採用しているにも拘わらず、天板22aに固定した補強部材7によって上シェル4単体の剛性が十分に高められている。この結果、カートリッジ本体2全体としての剛性が従来のディスク記録媒体装置10におけるカートリッジ筐体12よりも十分に高められている。このため、このディスクカートリッジ1を鞄などに入れて携帯した際において、カートリッジ本体2に対して折り曲げようとする外力や捻れさせようとする外力が加わったとしても、カートリッジ本体2の変形(折れ曲がりや捻れ)が回避されると共に、記録再生装置内での記録再生不良の発生が回避される。
また、下シェル3および上シェル4とは別体にステンレス板で形成した補強部材7a,7bが十分に薄厚のため、カートリッジ本体2全体としての厚みをそれほど厚くすることなく、その剛性が十分に高められている。さらに、補強部材7a,7bがカートリッジ本体2内の光ディスク10に対してディスクカートリッジ1の厚み方向で重ならない位置に固定されているため、例えばディスクカートリッジ1を落下したり、カートリッジ本体2を変形させたりしたとしても、カートリッジ本体2内において光ディスク10と補強部材7a,7bとが接触する事態が回避される。
このように、このディスクカートリッジ1によれば、上シェル4とは別体に形成した補強部材7a,7bを開口部15aを跨ぐようにして上シェル4の内面に固定したことにより、カートリッジ本体2に対して外力が加わった際におけるカートリッジ本体2自体および光ディスク10の破損や、これらの破損に起因する記録再生不良の発生を十分に回避し得る高い剛性を有するカートリッジ本体2を備えたディスクカートリッジ1を提供することができる。この場合、光ディスク10に対してカートリッジ本体2の厚み方向で重ならない位置に補強部材7a,7bを固定したことにより、カートリッジ本体2内で遊動した光ディスク10が補強部材7a,7bに接触して傷付く事態を回避することができるため、光ディスク10の傷付きに起因する記録再生不良の発生を回避することができる。また、上シェル4とは別体に形成した補強部材7a,7bを天板22aに固定する構成を採用したことにより、例えば、透過性を有する樹脂材料(この例では、ポリカーボネート)で上シェル4を形成すると共に、折り曲げや捻れなどに強い高い剛性の部材(この例では、ステンレス鋼)で補強部材7a,7bを形成して上シェル4に固定することができるため、上シェル4を透しての光ディスク10に対する十分な視認性を確保して各種のデザインを採用可能としつつ、カートリッジ本体2の剛性を十分に高めることができる。
また、下シェル3の外縁部から中心部を挟んで対向する他の外縁部に亘って形成された開口部15aを跨ぐようにして部材7a,7bを固定したことにより、2つの光学ヘッドを同時に用いて光ディスク10に対する記録再生を実行可能としつつ、外力が加わった際におけるカートリッジ本体2自体および光ディスク10の破損や記録再生不良の発生を十分に回避し得る高い剛性を有するカートリッジ本体2を備えたディスクカートリッジ1を提供することができる。
さらに、このディスクカートリッジ1によれば、補強部材7a,7bを金属(この例では、ステンレス鋼)で形成したことにより、カートリッジ本体全体としての厚みをそれほど厚くすることなく、言い替えればディスクカートリッジ1に対して規定されたサイズについての規格を満たしつつ、カートリッジ本体2自体および光ディスク10の破損や、光ディスク10についての記録再生不良の発生を十分に回避し得る高い剛性を有するカートリッジ本体2を備えたディスクカートリッジ1を提供することができる。
また、ディスクカートリッジ1によれば、上シェル4に補強部材7a,7bをかしめ固定したことにより、例えば、ねじ止め等による固定方法を採用した構成と比較して短時間でしかも容易に補強部材7a,7bを固定することができると共に、接着剤等によって固定する構成とは異なり、揮発した成分が光ディスク10の表面等に付着する事態を回避することができる。したがって、付着物に起因する記録再生エラーの発生を回避しつつ、ディスクカートリッジ1の製造コストを十分に低下させることができる。
さらに、ディスクカートリッジ1によれば、補強部材7a,7bを平板状に形成すると共にその板面が上シェル4における天板22aの板面に対して平行となるように固定したことにより、記録再生装置における光学ヘッドの移動を阻害することなく、高い剛性を有するカートリッジ本体2を備えたディスクカートリッジ1を提供することができる。
なお、本発明は、上記した構成に限定されない。例えば、本発明におけるディスク状記録媒体としては、上記した書き換え型の光ディスク10に限定されず、再生専用タイプの光ディスクや、追記型の光ディスクなどの各種の光ディスクが含まれるばかりでなく、光磁気ディスクや磁気ディスクも含まれる。さらに、上記の構成では、ステンレス板によって補強部材7a,7bを形成しているが、本発明における補強部材の材質はこれに限定されず、ガラス繊維入り樹脂およびカーボン繊維入り樹脂等の繊維強化樹脂や、ステンレス以外の各種金属材料など(一例として、マグネシウム合金)を用いることができる。この場合、例えば図12に示すディスクカートリッジ1Aのように、繊維強化樹脂を用いて形成した補強部材7cを上シェル4に固定する構成では、補強部材7cがステンレス等の金属材料と比較して軽量のため、カートリッジ本体2の剛性を高めつつ、ディスクカートリッジ1A全体としての軽量化を図ることができる。
また、上記のディスクカートリッジ1では、平板状の補強部材7a,7bをその板面が天板22aの板面に対して平行となるように上シェル4に固定する構成が採用されているが、補強部材7a,7bの形状、および上シェル4に対する取付姿勢等はこれに限定されない。例えば、図13に示すディスクカートリッジ1Bのように、断面コ字状に形成した補強部材7dや、断面L字状に形成した補強部材(図示せず)を上シェル4に固定する構成を採用することで、上シェル4の剛性を一層高めることができる。また、図14に示すディスクカートリッジ1Cのように、平板状に形成した補強部材7eをその板面が上シェル4の側壁22bと平行となるように固定する構成を採用することもできる。この構成によれば、上記の断面コ字状の補強部材7dや断面L字状の補強部材を採用した構成と同様にして、上シェル4の剛性を一層高めることができる。
また、前述したディスクカートリッジ1では、別個独立した下シェル本体11a,11bを有する下シェル3を備えてカートリッジ本体2が構成されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、図15に示すディスクカートリッジ1Dのように、連結部11c,11dによって下シェル本体11a,11bを一体的に連結した下シェル3Aを採用してカートリッジ本体2Aを構成することもできる。さらに、本発明におけるディスクアクセス用開口部の開口形状は、上記の例のようにカートリッジ本体2の前後方向に長い長方形形状の開口形状に限定されるものではなく、カートリッジ本体の左右方向に長い長方形形状の開口形状や、方形形状のカートリッジ本体における対角線方向に長い長方形形状の開口形状であってもよい。
また、本発明に係るディスクカートリッジとしては、2つの光学ヘッドを同時に用いた記録再生が可能なタイプに限定されず、図16に示すディスクカートリッジ1Eのように、単一の光学ヘッドを用いた記録再生が可能なディスクアクセス用開口部15bが形成された下シェル3Bを有するカートリッジ本体2Bを備えて構成されたタイプのものが含まれる。この場合、このディスクカートリッジ1Eでは、カートリッジ本体2Bに収容された光ディスク10の中心部領域A1から一の方向側の外縁部領域A2に亘る帯状領域を露出させることができるようにディスクアクセス用開口部15bの形状および大きさが規定されて、このディスクアクセス用開口部15bを跨ぐようにして補強部材7aが上シェル4の内面に固定されている。したがって、上記したディスクカートリッジ1と同様にして、カートリッジ本体2Bに対して外力が加わった際におけるカートリッジ本体2B自体および光ディスク10の破損や、これらの破損に起因する記録再生不良の発生を十分に回避し得る高い剛性を有するカートリッジ本体2Bを備えたディスクカートリッジ1Eを提供することができる。
さらに、上シェルに対する補強部材の固定方法は、上記したディスクカートリッジ1のようなかしめ固定に限定されず、ねじ止め、接着固定および溶着固定などの各種の固定方法を採用することができる。また、上シェルに形成した係止用爪によって補強部材を係止して固定する構成(図示せず)や、例えば金属材料で形成した補強部材を上シェル4の成形時にインサートする(インサート成形する)構成(図示せず)を採用することもできる。
1,1A〜1E ディスクカートリッジ
2,2A,2B カートリッジ本体
3,3A,3B 下シェル
4 上シェル
7a〜7e 補強部材
10 光ディスク
10a 中心孔
11a,11b 下シェル本体
11c,11d 連結部
12a 底板
15a,15b ディスクアクセス用開口部
22a 天板
22b 側壁
23 固定用凸部
23a 頭部
31 挿通孔
32 円形凹部
A 帯状領域
A1 中心部領域
A2 外縁部領域
2,2A,2B カートリッジ本体
3,3A,3B 下シェル
4 上シェル
7a〜7e 補強部材
10 光ディスク
10a 中心孔
11a,11b 下シェル本体
11c,11d 連結部
12a 底板
15a,15b ディスクアクセス用開口部
22a 天板
22b 側壁
23 固定用凸部
23a 頭部
31 挿通孔
32 円形凹部
A 帯状領域
A1 中心部領域
A2 外縁部領域
Claims (6)
- 下シェルおよび上シェルを互いに重ね合わせたカートリッジ本体内にディスク状記録媒体が収容され、
前記下シェルには、前記収容されたディスク状記録媒体の中心部領域から少なくとも外縁部領域に亘る帯状の領域を露出させるためのディスクアクセス用開口部が当該下シェルの外縁部から中心部に亘って形成され、
前記上シェルには、前記収容されたディスク状記録媒体とは前記カートリッジ本体の厚み方向で重ならない位置において、前記下シェルの前記外縁部に位置する前記ディスクアクセス用開口部を跨ぐようにして、当該上シェルとは別体に形成された補強部材がその内面に固定されているディスクカートリッジ。 - 前記ディスクアクセス用開口部は、前記下シェルの前記外縁部から前記中心部を挟んで対向する他の外縁部に亘って形成されている請求項1記載のディスクカートリッジ。
- 前記補強部材は、金属で形成されている請求項1または2記載のディスクカートリッジ。
- 前記補強部材は、繊維強化樹脂で形成されている請求項1または2記載のディスクカートリッジ。
- 前記補強部材は、前記上シェルにかしめ固定されている請求項1から4のいずれかに記載のディスクカートリッジ。
- 前記補強部材は、平板状に形成されて、その板面が前記上シェルにおける天板の板面に対して平行となるように当該上シェルに固定されている請求項1から5のいずれかに記載のディスクカートリッジ。
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