JP2005275071A - アルカリ現像が可能な感光性樹脂組成物及びその感光性樹脂組成物を用いた感光性無機組成物。 - Google Patents

アルカリ現像が可能な感光性樹脂組成物及びその感光性樹脂組成物を用いた感光性無機組成物。 Download PDF

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Abstract

【課題】 十分な光重合性を有し、解像度の高い焼成パターンが得られ、屈曲性に優れ、基材に対する良好な密着性と優れたアルカリ現像性を備えた感光性樹脂組成物及びその感光性樹脂組成物を用いた感光性無機組成物を提供すること。
【解決手段】 ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とカルボキシル基の双方を導入してなるアルカリ現像が可能な感光性樹脂を必須成分として含有する感光性樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明はアルカリ現像が可能な感光性樹脂組成物及びその感光性樹脂組成物を用いた感光性無機組成物に関するものである。
従来からアルカリ現像が可能な感光性樹脂組成物として各種のものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
すなわち、特許文献1には、バインダーポリマー50質量部、多官能性ラジカル重合性モノマー10〜300質量部およびチオキサントン系色素とアミン化合物からなる光ラジカル発生剤0.1〜10質量部を有する感光性樹脂組成物5質量部に対して金属粉末2〜500質量部を加えてなる感光性樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、導電性金属成分粒子と、カルボキシル基を有するアクリル系主鎖ポリマにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたアクリル系共重合体と、光反応重合性化合物と光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物が開示されている。
特許文献3と特許文献4には、無機粉末と、セルロース骨格の側鎖に重合性二重結合とカルボキシル基を同時にもつセルロース系カルボン酸変性感光性バインダー樹脂と、光反応性モノマーと、光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物が開示されている。
特許文献5には、ポリビニルアルコールにグリオキシル酸を反応させ、ホルマール環にカルボキシル基を導入した変性ポリビニルアセタール樹脂と、光重合開始剤または光架橋剤を含有する感光性樹脂組成物が開示されている。
特開平5−204151号公報 特開平5−67405号公報 特開2000−298336号公報 特開2000−298338号公報 特開平6−192326号公報
しかし、特許文献1〜5に開示された感光性樹脂組成物には、次ぎに説明するような欠点がある。
すなわち、特許文献1に開示された感光性樹脂組成物は、重合性基を同一分子内に含有していないため、光重合性が十分でなく、係る樹脂組成物を焼成してなるパターンの解像度が劣るという欠点がある。また、光重合性が十分でないため、そのようなバインダー樹脂から形成される膜の厚さは非常に薄いものに限られるという欠点がある。
特許文献2〜4に開示された感光性樹脂組成物は、一般に架橋密度が高いので、硬化した膜の硬度は高いが脆いという欠点があり、せん断や屈曲に対して弱いという不都合な点がある。
特許文献5に開示された感光性樹脂組成物は、必要に応じてカルボキシル基を所定量導入する方法ではないため、カルボキシル基量が不足してアルカリ現像液への溶解性を確保することができず、所望のアルカリ現像性を得ることができないことがある。
また、上記の欠点は、セラミック粉末や金属粉末を添加した無機組成物においても同様に、厚膜化にあたっての膜厚が制限されたり、薄膜化した時に脆くその取り扱いが難しく、さらに、アルカリ現像性に劣るなどの欠点があった。
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、十分な光重合性を有し、解像度の高い焼成パターンが得られ、屈曲性に優れ、基材に対する良好な密着性と優れたアルカリ現像性を備えた感光性樹脂組成物及びその感光性樹脂組成物を用いた感光性無機組成物を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の感光性樹脂組成物は、ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とカルボキシル基の双方を導入してなるアルカリ現像が可能な感光性樹脂を必須成分として含有することを特徴としている。
このように、重合性二重結合を同一分子内に有しているため、十分な光重合性を確保することができ、また、水酸基残基に対し、重合性二重結合とカルボキシル基の双方を導入するため、その導入量を調整することにより、所望の架橋度とアルカリ現像性を得ることができる。
また、一般に光硬化性樹脂は架橋密度が高く、そのため硬度は高いが脆くなり、しかも主鎖自体が脆いという欠点がある。そこで、本発明は、主鎖に靱性をもつ官能基を導入することにより、屈曲性を改善することができる。
すなわち、本発明は、柔軟性に優れているポリビニルブチラール樹脂を主鎖とすることにより、屈曲性の良好な被膜を形成する紫外線硬化膜が得られる。ポリビニルブチラール樹脂は、もともとガラスの接着材として用いられているものであり、本発明によれば、特に、ガラスへの良好な密着性を有する紫外線硬化膜を得ることができる。
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物を用いた感光性無機組成物に関するものであるが、多層化された絶縁基板の表面や内部に配線回路層を形成した多層配線基板などの作製に好適に用いられ、例えば、絶縁性のセラミック粉末を含有せしめ、これを成膜し、感光、現像して、所定の絶縁パターンを形成したり、金属粉末を含有せしめて、これを成膜し、感光、現像して所定の回路パターンを形成するのに好適に用いることができる。
本発明の感光性無機組成物における感光性樹脂組成物は、適度の架橋密度を有しており、必要に応じて粘度調整のための有機溶剤を配合し、これをもって成膜し、感光、現像することによって、高精度のパターンを形成することができる。
本発明によれば、次ぎのような効果が得られる。
(1)請求項1〜5記載の発明によれば、十分な光重合性を有し、解像度の高いパターンが得られ、屈曲性に優れ、基材に対する良好な密着性と優れたアルカリ現像性を備えた感光性樹脂組成物を提供することができる。
(2)請求項6記載の発明によれば、特に、適度の柔軟性と靱性を備えた感光性樹脂組成物を提供することができる。
(3)請求項7〜9記載の発明によれば、薄層化しても、屈曲性に優れるために取り扱いが容易であり、アルカリ現像性に優れ、高精度のパターンを形成することのできる感光性無機組成物を提供することができる。
すなわち、本発明の要旨は、ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とカルボキシル基の双方を導入してなるアルカリ現像が可能な感光性樹脂を必須成分として含有する感光性樹脂組成物にある。
重合性二重結合は、水酸基への定量的な反応性をもつという理由により、ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物にて導入されたものであるのが好ましく、カルボキシル基は、上記と同様に、水酸基への定量的な反応性をもつという理由により、ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、酸無水物の付加反応により導入されたものであるのが好ましい。
特に、本発明の感光性樹脂組成物は、分子量が4000〜100000で、水酸基が15〜50mol%、アセチル基が10mol%未満、ブチラール化度もしくはアセタール化度が50〜80mol%(合計で100mol%)のポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂に対し、0.1〜10.0mEq/gの重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物を付加反応することにより側鎖へ重合性二重結合を導入し、0.5〜10.0mEq/gの酸無水物を開環によりハーフエステル化することによって側鎖へカルボキシル基を導入したものを好ましく用いることができる。
分子量が4000未満のものは、ポリビニルブチラール(アセタール)樹脂の本来持っている強靱な樹脂物性を発現しにくいという点から好ましくなく、100000を超えるものは樹脂組成物としての粘度が高すぎて取り扱いが困難であるという点から好ましくない。なお、この分子量は、重量平均分子量をいう。
また、水酸基が15mol%未満のものは、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物の反応サイトが少なく、光重合性が低下するという点から好ましくなく、50mol%を超えるものは、有機溶剤への溶解性の点から好ましくない。
また、アセチル基が10mol%以上のものは、鹸化して得られるべき水酸基量が低下するという点から好ましくない。
さらに、ブチラール化度もしくはアセタール化度が50mol%未満のものは、ポリビニルブチラール(アセタール)樹脂の持つ柔軟性が得られないという点から好ましくなく、80mol%を超えるものは、実際には合成できない。
また、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物の導入量が0.1mEq/g未満の場合、 光重合性が低下し、10.0mEq/gを超えると、 架橋密度が高くなりすぎ、柔軟性を失って基材との密着性の良好な硬化物を得ることができなくなる。
また、カルボキシル基の導入量が0.5mEq/g 未満の場合、アルカリ水溶液による溶解性が低下し、アルカリ現像性が著しく低下するので好ましくない。一方、カルボキシル基の導入量が10.0mEq/g を超えると、樹脂の耐水性が低下し、硬化した印刷パターンの膨潤が起こり、アルカリ現像時の解像度が低下する。
また、カルボキシル基の導入に用いることができる酸無水物は、分子内に2個以上のカルボキシル基を持つ化合物の脱水物であり、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水イタコン酸、無水クロレンド酸等を挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートまたは3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートを用いることができる。
重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物としては、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いることができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタアクリレートを総称する用語である。
光反応性重合化合物は希釈剤兼架橋剤として用いられるが,通常の紫外線硬化樹脂組成物として用いられているものであれば、いずれも使用することができる。例示するなら、C1〜C18のアルキル(メタ)アクリレート、C1〜C8のアルコールエチレンオキサイド誘導体(メタ)アクリレート、C1〜C18の(アルキル)フェノールエチレンオキサイド誘導体(メタ)アクリレート、C2〜C9のジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド誘導体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド誘導体ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド誘導体トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を用いることができるが、これらに限定するものではない。
光重合開始剤は、露光部を硬化させるための重合を開始するために添加されるものであり、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、ベンジルケタール類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アセトフェノン類、フェニルホスフィンオキシド類、チオキサントン類やその誘導体等が挙げられる。
また、必要に応じ、アミノ安息香酸類や色素等の増感助剤を併用することができる。
また、基材へ塗工するのに好適な粘度に調整するため、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びこれらの酢酸エステル、ペンタンジオールアルキルエーテル、その他、芳香族系、アルコール系、エステル系、ケトン系等の有機溶剤を適正量添加することができる。
上記した本発明の感光性樹脂と、光反応性重合化合物と、光重合開始剤の配合比率は、感光性樹脂が30〜90質量部で、光反応性重合化合物が5〜70質量部で、光重合開始剤が1〜10質量部であるのが好ましい。これらの成分限定理由は下記のとおりである。
感光性樹脂が30質量部未満では、架橋密度が上がりすぎ,硬化物が脆性を持つだけでなく、ブチラール系樹脂の持つ柔軟性や靭性が得られなくなる。感光性樹脂が90質量部を超えると、架橋密度の低下から硬化度が低下する。
光反応性重合化合物が5質量部未満の場合、架橋密度の低下から硬化度が低下し、70質量部を超えると架橋密度が上がりすぎ,硬化物が脆性を持つようになる。
光重合開始剤が1質量部未満の場合、硬化に必要なフリーラジカルの発生が不足するため、硬化不良を起こし、10質量部を超えると、系の溶解度以上となり、重合開始剤が結晶として析出する等の不具合が生じるのみならず、重合開始剤自身の光に対する隠ぺい力のため,かえって硬化を阻害する。
また、有機溶剤を添加する場合、上記配合の感光性樹脂、光反応性重合化合物および光重合開始剤に対する有機溶剤の添加量は0.1〜30質量部であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。有機溶剤が30質量部を超えると、流動性過多により基材上に所望の厚さの塗膜を形成することができなくなる。
無機粉末としては、Si、Pb、B、P、Zn、Al、Ca、Mg、Ba、Na、K、Li、Ti、NdおよびZrの酸化物、窒化物、炭化物から選択される無機物粉末の少なくとも1種類を使用することができる。例えば、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、マグネシア(MgO)、ムライト(3Al23・2SiO2)、アノーサイト(CaO・Al23・2SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、セルジアン(BaO・Al23・2SiO2)、スピネル(MgO・Al23)、コーディライト(5SiO2・2Al23・2MgO)、クリノエンスタタイト(MgO・SiO2)、BaTiO3、MgTiO3、CaTiO3、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si34)、炭化珪素(SiC)などのセラミック粉末を使用することができる。
さらに、無機粉末として、B23・Bi23系、PbO・B23系、PbO・SiO2 系、PbO・B23・SiO2系、PbO・Al23・SiO2系、ZnO・PbO・B23系、ZnO・B23系、SiO2・B23・BaO系、SiO2・B23・ZnO系、CaO・B23系、CaO・B23・SiO2系、CaO・PbO・SiO2系、CaO・PbO・B23・SiO2系、MgO・B23系、MgO・B23・SiO2系、MgO・PbO・SiO2系、MgO・PbO・B23・SiO2系、SiO2・B23・R2O系(Rはアルカリ金属で、Li、NaまたはK)、Nd25・TiO2・SiO2系、SnO・ZnO・P25系、SiO2・BaO・Al23系、SiO2・B23系、SiO2・B23・Al23系、SiO2・Al23・アルカリ土類酸化物系のガラスの1種類もしくは2種類以上を含有するものを使用することができる。
さらに、無機粉末としては、金属粉末を用いることもできる。例えば、Ag、Cu、Au、W、Mo、Mn、Cr、Tiの群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
セラミック配線基板などの形成において、絶縁層を形成する場合には、上記の無機粉末の中でも、特に、(1)Al23、AlN、Si34、SiCを主成分とする焼成温度が1100℃以上のセラミック材料、(2)金属酸化物による混合物からなる1100℃以下、特に、1050℃以下で焼成される低温焼成セラミック材料、(3)ガラス粉末、あるいはガラス粉末とセラミックフィラー粉末との混合物からなる1100℃以下、特に、1050℃以下で焼成される低温焼成セラミック材料の群から選ばれる少なくとも1種が好適に選択される。
用いられる(2)の混合物としては、BaO−TiO2系、CaO−TiO2系、MgO−TiO2系等のセラミック材料が用いられ、これらのセラミック材料に、SiO2、Bi23、CuO、Li2O、B23等の助剤を適宜添加したものが用いられる。(3)のガラス組成物としては、少なくともSiO2を含み、Al23、B23、ZnO、PbO、CuO、SnO2、P25、アルカリ金属(RI)酸化物、アルカリ土類金属(RII)酸化物のうちの少なくとも1種以上を含有したものであって、具体的には、SiO2・B23・(RI)2O系、SiO2・BaO・Al23・(RII)O系、SiO2・B23・Al23・(RII)O系、SiO2・Al23・(RII)O系、さらにはこれらの系にZnO、PbO、Pb、ZrO2、TiO2等を配合した組成物が挙げられる。
また、ガラスとしては、焼成処理することによっても非晶質ガラスであるもの、また焼成処理によって、アルカリ金属シリケート、クォーツ、クリストバライト、コージェライト、ムライト、エンスタタイト、アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ディオプサイド、イルメナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタライトやその置換誘導体の結晶を少なくとも1種を析出する結晶化ガラスが好適に用いられる。
また、(3)におけるセラミックフィラーとしては、Al23、SiO2(クォーツ、クリストバライト、トリジマイト)、フォルステライト、コージェライト、ムライト、ZrO2、エンスタタイト、スピネル、マグネシア、AlN、Si34、SiC、MgTiO3、CaTiO3などのチタン酸塩の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、ガラス20〜80質量%、フィラー20〜80質量%の割合で混合されることが望ましい。
一方、セラミック配線基板などの形成において配線導体層は、前記絶縁層と同時焼成して形成するために、絶縁層の焼成温度に応じて種々組み合わせられ、例えば、絶縁層が前記(1)の場合、タングステン、モリブデン、マンガンなどの群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする金属材料が好適に用いられ、また、低抵抗化のために、銅などと混合してもよい。絶縁層が前記(2)(3)の低温焼成セラミック材料を用いる場合、Cu、Ag、Au、Alの群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする低抵抗の導体材料が好適に用いられる。
配線基板を形成する上では、上記(2)(3)の低温焼成セラミック材料によって形成することが望ましい。これは、フィラー成分を変更することで任意の誘電率に制御することが可能であり、また、低抵抗導体を用いることができるために、配線や線路などを低損失の低抵抗導体によって形成できるからである。また、高強度化をも目的とする場合には、Al23、窒化珪素を主成分とするセラミック材料によって形成することが望ましい。
無機粉末と、感光性樹脂組成物との比率は、無機粉末は70〜95質量%で、感光性樹脂組成物は5〜30質量%であることが望ましい。かかる比率とすることによって、かかる無機組成物を焼成した場合に、緻密な焼結体が得られ、かつ焼成時の収縮が小さく、高寸法精度の焼結体を得ることができる。また、無機組成物をグリーンシートなどに薄層化した場合においても、シートが脆くならず、クラック等の欠陥の発生を抑制することができる。特に、無機粉末が75〜90質量部、感光性樹脂組成物が10〜25質量部であることが特に望ましい。
無機粉末の粒子径は、感光性樹脂組成物を用いて作製しようとするグリーンシートなどの厚みや焼成後の収縮率などを考慮して選択されるが、0.1〜10μmの粒径のものが好ましい。粒径をこの範囲とすることによって、スラリーのゲル化や凝集粒の発生を抑制するとともに、焼成後の収縮率が小さく、微細なパターンを高精度で形成することができる。
上記組成の無機粉末と感光性無機組成物の混合物をボールミル、ロールミルあるいはアトライタで、例えば20〜48時間粉砕・混合し、スラリーを作製する。スラリーの粘度を調整するために、必要に応じて有機溶剤を添加することができる。スラリーは、例えば、ドクターブレード法を用いて、ポリエステルフィルム上に所定の厚さ(1〜100μm)に成形する。この時、粉末の調合と成形作業は、紫外線を遮断できるところで行う必要がある。そうしなければ、グリーンシートが紫外線によって硬化してしまい、本発明の効果を発揮できるシートが得られない。次いで、50〜80℃で溶剤を蒸発させ、このシートを所定の形状に切断する。
続いて、得られたセラミックグリーンシートをフォトマスクパターンを用いて露光・現像し、必要に応じてビアホールを形成した後、そのビアホールに導体ペーストを充填してビアホール内に層間接続用のビア導体を形成する。また、必要に応じてシート表面に所定の導体、絶縁体、あるいは抵抗体パターンを印刷する。このようにして得られたグリーンシートを多数枚積み重ね、所定の温度と圧力の下で圧着して多層基板からなるグリーンシートを得る。
セラミックグリーンシートは、通常のフォトマスクを用いて露光されるが、この際に使用される光源としては紫外線、電子線、X線などを挙げることができる。この中では、紫外線が好ましく、露光条件は、グリーンシートの厚みによって異なるが、5〜500mJ/cm2 の積算露光量で露光を行うのが好ましい。
アルカリ現像時のアルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液のような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。アルカリ水溶液の濃度は、0.5〜5質量%、より好ましくは0.3〜3質量%である。アルカリ濃度が低すぎれば、未露光部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、露光部を腐食させる恐れがある。
次ぎに、上記セラミック多層基板を焼成炉で焼成し、有機物を分解・蒸発させるとともに、基板の焼結化を図る。特に、低温焼成用セラミック多層基板の場合、800〜1000℃で焼成する。
本発明の感光性無機組成物によって形成されるグリーンシートの厚みは、1〜100μmであり、好ましくは、10〜50μmである。100μmを超えると、紫外線の露光に対して十分透過せず、光硬化の効果が期待できない。1μm未満のものは薄すぎて取り扱いが難しくなる。そこで、セラミックグリーンシートの厚みを10〜50μmとすることにより、光硬化が十分で、取り扱いが容易であるという利点が得られる。
なお、本発明の特性を損なわない範囲で、可塑剤や安定剤や基材への濡れ性を改善する界面活性剤、その他、酸化防止剤、分散剤等を添加することができる。
以下に本発明の好ましい実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更と修正が可能である。
1.本発明の感光性樹脂組成物の合成例
(1)感光性ブチラール樹脂組成物1
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールI(表1
参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。本明細書において、「PEG#400」とは、数平均分子量が約400のポリエチレングリコールをいう。
これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを16.1g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm-1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
続いて、無水コハク酸を40g添加し、100〜110℃で3時間撹拌を継続した。反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、1860cm-1の酸無水物環に帰属される吸収の消失と、同時に現れる1740cm-1のカルボン酸の会合に帰属される吸収により確認した。
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアセトフェノン系のもの)を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物1を得た。
(2)感光性ブチラール樹脂組成物2
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールII(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
これに空気を導入しながらメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.1g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、滴定法にて、イソシアネート基が消失することにより確認した。
続いて、無水フタル酸を29.6g添加し、100〜110℃で3時間撹拌を継続した。反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、1860cm-1の酸無水物環に帰属される吸収の消失と、同時に現れる1740cm-1のカルボン酸の会合に帰属される吸収により確認した。
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物2を得た。
(3)感光性ブチラール樹脂組成物3
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、トリメチロールプロパンエチレンオキシド6モル付加体のトリアクリレート50gとフェノキシエチルアクリレート30gとトルエン20gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールIII (表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを32.0g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm-1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
続いて、無水トリメリット酸を19.2g添加し、100〜110℃で3時間撹拌を継続した。反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、1860cm-1の酸無水物環に帰属される吸収の消失と、同時に現れる1740cm-1のカルボン酸の会合に帰属される吸収により確認した。
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー651(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアセトフェノン系のもの)を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物3を得た。
(4)感光性ブチラール樹脂組成物4
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、トリエチレングリコールジアクリレート50gとフェノキシエチルアクリレート30gとトルエン20gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールIV(表1参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれら化合物を溶解した。
これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを64.0g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm-1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
続いて、無水イタコン酸を67.2g添加し、100〜110℃で3時間撹拌を継続した。反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、1860cm-1の酸無水物環に帰属される吸収の消失と、同時に現れる1740cm-1のカルボン酸の会合に帰属される吸収により確認した。
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアセトフェノン系のもの)を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物4を得た。
(5)感光性ブチラール樹脂組成物5
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールI(表1
参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
これに空気を導入しながらアリルグリシジルエーテルを12.9g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm-1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
続いて、無水マレイン酸を19.6g添加し、100〜110℃で3時間撹拌を継続した。反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、1860cm-1の酸無水物環に帰属される吸収の消失と、同時に現れる1740cm-1のカルボン酸の会合に帰属される吸収により確認した。
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー651を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物5を得た。
(6)感光性ブチラール樹脂組成物6
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、PEG#400ジアクリレート70gとイソボルニルアクリレート30gとを仕込み、撹拌しながらポリビニルブチラールI(表1
参照)100.0gを徐々に添加し、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
これに空気を導入しながら3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートを22.2g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま95〜100℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm-1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
続いて、無水フタル酸を88.8g添加し、100〜110℃で3時間撹拌を継続した。反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、1860cm-1の酸無水物環に帰属される吸収の消失と、同時に現れる1740cm-1のカルボン酸の会合に帰属される吸収により確認した。
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369を10.0g添加し、溶解させて感光性ブチラール樹脂組成物6を得た。
Figure 2005275071
2.比較例の樹脂組成物の合成例
(1)比較例樹脂組成物1
三菱レイヨン社製のカルボン酸含有アクリル系共重合体「PB−383」(固形分30重量%溶液、酸価176のもの)300gと、トリメチロールプロパントリアクリレート30gと、トリエチレングリコールジアクリレート70gと、光重合開始剤である「イルガキュアー651」10gとを混合し、約60℃に昇温して溶解し、比較例の樹脂組成物1を得た。
(2)比較例樹脂組成物2
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた500mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、トリエチレングリコールジメタクリレート80gと、三菱レイヨン社製のカルボン酸含有アクリル系共重合体「PB−383」300gとを仕込み、これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを14.8g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま90〜95℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm-1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369を10.0g添加し、溶解させて比較例の樹脂組成物2を得た。
(3)比較例樹脂組成物3
撹拌器、コンデンサー、空気導入管および温度計を取り付けた1000mlのセパラブルフラスコにハイドロキノンを0.005gと、以下の化学式1で表されるカルボン酸変性セルロース誘導体I(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、信越化学工業社製、表2参照)90gと、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート210.0gを仕込み、70℃まで昇温してこれらの化合物を溶解した。
これに空気を導入しながらグリシジルメタアクリレートを16.1g仕込み、90℃まで昇温した。そのまま90〜95℃で5時間撹拌を継続し、反応終了は、赤外分光分析による赤外スペクトルの分析結果より、820cm-1のオキシラン環に帰属される吸収の消失により確認した。
反応終了後、光重合開始剤であるイルガキュアー369を10.0g添加し、溶解させて比較例の樹脂組成物3を得た。
Figure 2005275071
(化学式1において、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CR2COOH(R2は、炭素数2〜4のアルキル基、フェニル基もしくはシクロヘキシル基を表す)、C36OHまたは−COCH3を表し、各R1は同じでも異なっていてもよく、グルコースユニットあたり少なくとも0.1モルの−CR2COOHを含む)
Figure 2005275071
3.樹脂組成物の特性の評価
以上のようにして得られた各樹脂組成物の諸特性を以下のように評価した。
(1)ガラス基板上への樹脂組成物の印刷と解像度の評価
以上の各樹脂組成物をソーダガラス基板上にフィルムアプリケーターを用いて200μmの厚さで塗布後、70℃の熱風式乾燥機で20分間乾燥し、図1に示す櫛型パターンのフォトマスクを載せて、ウシオ電機社製の超高圧水銀灯平行光露光機を用いて、400mJ/cm2 の紫外線を露光した。図1において、Lはライン幅、Sはスペースを示し、図1 (a)はライン幅とスペースがともに50μmの櫛型パターン、図1(b)はライン幅とスペースがともに40μmの櫛型パターン、図1(c)はライン幅とスペースがともに30μmの櫛型パターン、図1(d)はライン幅とスペースがともに20μmの櫛型パターン、図1(e)はライン幅とスペースがともに10μmの櫛型パターンである。
次いで、液温30℃、濃度0.5質量%のNa2CO3水溶液を用いて、シャワー圧3kgf/cm2 (0.29MPa)でシャワリングし(アルカリ現像し)、流水にて洗浄後に乾燥することによって評価基板を得た。
この評価基板の解像度を光学顕微鏡により、どの厚さのライン幅とスペースの細線パターンまで良好な形状を示しているかを観察した。その結果(良好な形状であることを観察できたライン幅とスペースの数値:μm)を以下の表3に示す。表3において、ライン幅とスペースの数値が小さいほど、解像度が優れていることを示す。
(2)PET(ポリエチレンテレフタレート)上への樹脂組成物の印刷と転写性の評価
以上の各樹脂組成物をPETフィルム上にフィルムアプリケーターを用いて200μmの厚さで塗布後、70℃の熱風式乾燥機で20分間乾燥し、図1に示す櫛型パターンのフォトマスクを載せて、ウシオ電機社製の超高圧水銀灯平行光露光機を用いて、400mJ/cm2 の紫外線を露光した。
次いで、液温30℃、濃度0.5質量%のNa2CO3水溶液を用いて、シャワー圧3kgf/cm2 (0.29MPa)でシャワリングし(アルカリ現像し)、流水にて洗浄後に乾燥した。
さらに、所定のパターンが印刷されたPETフィルムをソーダガラス基板上に載せて、70℃の転写温度と100kgf/cm2 (9.8MPa)の転写圧力で5分間かけて熱転写した後、室温まで冷却し、そのPETフィルムをガラス基板から引き剥がした。その熱転写により当初の印刷パターンをガラス基板に転写できた比率(転写比率)により転写性を評価した。その転写比率の数値を以下の表3に示す。転写比率が100%とは、当初の印刷パターンの欠け等が全くなく、完全に転写できたことを示す。転写比率の数値が小さくなるほど、当初の印刷パターンの欠け等が見られ、うまく転写できなかったことを表す。
(3)PET上への樹脂組成物の印刷と屈曲性の評価
以上の各樹脂組成物をPETフィルム上にフィルムアプリケーターを用いて200μmの厚さで塗布後、70℃の熱風式乾燥機で20分間乾燥し、図1に示す櫛型パターンのフォトマスクを載せて、ウシオ電機社製の超高圧水銀灯平行光露光機を用いて、400mJ/cm2 の紫外線を露光した。
得られた硬化フィルムを直径2mmの棒を中心として180゜屈曲し、割れやひび割れの発生の有無を確認した。割れやひび割れの発生が認められなかったものに「○」、割れやひび割れの発生が認められたものに「×」の記号を付して、表3に示す。
(4)ガラス基板上への樹脂組成物の印刷と剥離性の評価
以上の各樹脂組成物をソーダガラス基板上にフィルムアプリケーターを用いて200μmの厚さで塗布後、70℃の熱風式乾燥機で20分間乾燥し、図1に示す櫛型パターンのフォトマスクを載せて、ウシオ電機社製の超高圧水銀灯平行光露光機を用いて、400mJ/cm2 の紫外線を露光した。
得られた硬化フィルムにカッターナイフにて、図2に示すような斜めの切り込み1を施し、切り込み1を施した上からセロテープを押し付け、次いでそのセロテープを剥離し、4つのセクションa、b、c、dの中でセロテープに付着して剥離することなく残った硬化フィルムセクションの数を「α」とし、以下の表3には、当初のセクション数4を分母して、分数(α/4)の形で表示する。
Figure 2005275071
表3に示すように、本発明の実施例である感光性ブチラール樹脂組成物1〜6は、解像度、転写性および屈曲性に優れ、ガラスへの良好な密着性を有していることが分かる。
一方、比較例の樹脂組成物は、解像度、転写性および屈曲性が不良で、ガラスへの密着性が良くないことが分かる。
4.感光性無機組成物の合成例
(無機組成物1)
無機粉末として、平均粒径が1μmのMgTiO3−CaTiO3の組成物95質量%と、SiO2−B23−BaO系ガラス粉末5質量%とからなるセラミック混合粉末を用い、これに前記感光性樹脂組成物を加えて無機組成物を形成し、これに有機溶剤としてトルエンとエタノールとを1対1の質量比で混合し、さらに可塑剤(フタル酸ジブチル)、分散剤(リン酸エステル)を混合し、これを直径が5mmのZrO2 ボールとともに振動型ミル 内に投入し、セラミック粉末をボールミルにより分散させてセラミックスラリーを調製した。
(無機組成物2)
無機粉末として、平均粒径が1.5μmの銀粉末に、前記感光性樹脂組成物を加えて無機組成物を形成し、これに有機溶剤として2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート(TMPDO)を混合し、さらに、可塑剤、分散剤を混合し、3本ロールミルにより混練してAgペーストを調製した。
なお、上記無機組成物1、2における感光性樹脂組成物としては、前記感光性ブチラール樹脂組成物1〜6、比較例の樹脂組成物1〜3を用いた。各成分の配合比は、表4の通りである。
Figure 2005275071
5.感光性無機組成物1の特性の評価
上記無機組成物1のセラミックスラリーをドクターブレード法を用いて、図3に示すように、キャリヤフィルム2上に塗布後、70℃の熱風乾燥機で20分間乾燥し、厚みが150μmのセラミックグリーンシート3を得た。4は離型層である。このセラミックグリーンシートに対して、樹脂組成物の場合と同様に、図1に示す櫛型パターンのフォトマスクを載せて、ウシオ電機社製の超高圧水銀灯平行光露光機を用いて、100mJ/cm2 の 紫外線を露光した後、液温30℃、濃度0.5質量%のNa2CO3水溶液を用いて、シャワー圧3kgf/cm2 (0.29MPa)でシャワリングし(アルカリ現像し)、流水にて洗浄後に乾燥することによって評価シートを得た。
得られた評価シートに対して、光学顕微鏡(×100)により解像度を評価し、その結果を表5に記載した。
次ぎに、別のセラミックグリーンシートに対して、樹脂組成物の場合と同様に、ウシオ電機社製の超高圧水銀灯平行光露光機を用いて、直径が150μmのビアをビア中心間距離300μmで離間させて10×10個のマトリックス状に配置したフォトマスクを用いて、上記と同様に、露光、現像、洗浄処理を行い、100mJ/cm2 の紫外線を露光し た後、得られた硬化フィルムを直径2mmの棒を中心として180゜屈曲し、シートおよびビア形成付近での割れやひび割れの発生の有無を確認し、その結果を表5に記載した。
さらに、上記の硬化フィルムを液温30℃、濃度0.5質量%のNa2CO3水溶液を用いて、シャワー圧3kgf/cm2 (0.29MPa)でシャワリングし(アルカリ現像し)、流水にて洗浄後に乾燥することによって、積層用シートを作製した。複数の積層用シートを作製し、それぞれPETフィルムを剥離して積層し、この後、プレス機を用いて、プレス圧100kgf/cm2 (9.8MPa)で、温度70℃にて2分間プレスを行い、積層体を圧着した。
その後、大気中300℃で4時間脱バインダ処理した後、900℃大気中で6時間焼成を行い、焼成体を得た。焼成体の吸水率をアルキメデス法により測定し、その結果を表5に記載した。また、積層体を破断して、破断面を走査型電子顕微鏡(×1000)で観察することにより、層間のデラミネーションの有無を確認し、その結果を表5に記載した。
6.感光性無機組成物2(金属材料)の特性の評価
上記無機組成物2のAgペーストをスクリーン印刷によりキャリヤフィルム上に塗布後、70℃の熱風乾燥機で20分間乾燥し、厚みが50μmのAg層を形成した。このAg層に対して、樹脂組成物の場合と同様に、図1に示す櫛型パターンのフォトマスクを載せて、ウシオ電機社製の超高圧水銀灯平行光露光機を用いて、100mJ/cm2 の紫外線を 露光した後、液温30℃、濃度0.5質量%のNa2CO3水溶液を用いて、シャワー圧3kgf/cm2 (0.29MPa)でシャワリングし(アルカリ現像し)、流水にて洗浄後に 乾燥し、櫛型のAgパターンを形成した。
そして、キャリヤフィルム上に形成された櫛型パターンを、前記セラミック混合粉末を用いて作製した厚さ200μmのセラミックグリーンシートの表面に転写した。転写後の櫛型パターンについて、パターンの断線、ひびの発生の有無を観察し、断線、ひびの発生のない解像度について評価を行い、結果を表5に記載した。
Figure 2005275071
表5から、作製した無機組成物1による評価シートは、解像度がL/S=30/30μm以下と良好であり、また、硬化フィルムは、ビア形成部分でも割れやひび割れが生じにくく、靱性及び柔軟性の高いシートであることが分かる。さらに、焼成における感光性樹脂組成物の熱分解性も良好であるため、得られた焼成体は、吸水率が0.011%以下の低い値を示す緻密体であり、また、層間のデラミネーションも生じないことが分かる。
また、無機組成物2によるシートの解像度も上記と同様に、解像度がL/S=30/30μm以下のレベルまで、割れやひび割れの発生のない金属パターンを形成することができた。
露光時に用いたフォトマスクパターンの平面図である。 樹脂組成物のガラス基板に対するは剥離性の試験方法を説明する図である。 グリーンシートに電極パターンを形成する方法を説明する図である。
符号の説明
1 切り込み
2 キャリヤフィルム
3 セラミックグリーンシート
4 離型層

Claims (9)

  1. ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とカルボキシル基の双方を導入してなるアルカリ現像が可能な感光性樹脂を必須成分として含有する感光性樹脂組成物。
  2. 重合性二重結合が、ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物もしくは重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物にて導入されたものである請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. カルボキシル基が、ポリビニルブチラール樹脂もしくはポリビニルアセタール樹脂の水酸基残基に対し、酸無水物の付加反応により導入されたものである請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  4. 重合性二重結合とオキシラン基を分子中に含む化合物が、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートまたは3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートである請求項2記載の感光性樹脂組成物。
  5. 重合性二重結合とイソシアネート基を分子中に含む化合物が、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートである請求項2記載の感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1記載の感光性樹脂30〜90質量部と、光反応性重合化合物5〜70質量部と、光重合開始剤1〜10質量部を含有する感光性樹脂組成物。
  7. 無機粉末と、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物とを含有する感光性無機組成物。
  8. 無機粉末として、絶縁性セラミック粉末を含有する請求項7記載の感光性無機組成物。
  9. 無機粉末として、金属粉末を含有する請求項7記載の感光性無機組成物。
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