JP2005273353A - 復帰機構付き免震基礎構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】拘束梁によって転倒を防止した低摩擦免震装置において、有効性のある復帰機構を提供する。
【解決手段】基礎Bに連動する基台6上に水平方向に移動可能に上部構造Gの荷重を支持する可動台9が載置され、該基台の上面には内周面が傾斜面をなし底面が平坦面を保持する広がり面を有する鍋状凹部6が形成され、該鍋状凹部に小球状の多数の転動子48が密実に一層を保って充填され、前記可動台は該転動子上に移動域を存して載置される。更に、基台6と可動台9との間に球面凹部30を有する反力体とロックピンとの押圧当接による球面作用をもって復帰する復帰機構3が配される。復帰機構3は地震時に無負荷状態を採る。
【選択図】図1

Description

この発明は、上部構造と下部構造との間に介装され、上部構造の荷重を支持するとともに地震動等の強制振動に対して上部構造の揺れを低減し免震する基礎構造いわゆる免震基礎構造に関し、更に詳しくは、建造物、機械又は床構造等の上部構造に適用され、該上部構造を支持するとともに地震時における振動を吸収する機能を果たす免震基礎構造に関する。
免震基礎構造に使用される免震支持装置として、現在一般に、ゴム板と鋼薄板とを交互に積層してなる積層ゴム体を主体とし、適宜該積層ゴム体に鉛プラグの封入される積層ゴム支承が採用されているが、このものは比較的大きな載荷能力を発揮し、弾性復帰作用を有する利点があるものの、上部構造の変位に追従して一体的にせん断変形を受けるので、支持面積が変化し、不安定性を免れない。また、ゴム弾性に依存するので、地震動に対する敏感な応答性が得られない。
一方、すべり或いは転がり機能を有する免震支持装置では、地震動に対する敏感な応答性が得られるが、その移動に伴う敏感性から構造物に不安定性をもたらし、上部構造の転倒モーメントを受け易いという欠点がある。
そこで、本発明者は先に、特願2002−197491(以下「先行技術」という)において、従来の免震基礎構造の欠点を解消する新規な免震基礎技術(装置及び方法)を提案した。
すなわち、該先行技術における免震支持装置は、次の構成を採る。
「基礎又は地盤等の下部構造に連動する基台系と、該基台系に水平移動を許容して設置される可動台系とからなり、建造物、機械又は床構造等の上部構造が前記可動台系に直接もしくは該可動台系に載置される支持台系を介して連動する免震支持装置において、
前記基台系は、剛性体の基台と、前記基台に対称を保って立設される少なくとも2本の柱部材と、前記柱部材の上部において該柱部材間に剛性を保って架け渡される拘束梁とからなり、
前記可動台系は、前記基台の上面にすべり面を介してすべり可能に剛性体の可動台が載置され、該可動台には前記柱部材をすべり方向に移動間隙を存して受け入れる拘束孔が開設され、かつ該可動台の上面は前記拘束梁との当接によってすべり方向への移動のみが許容されて拘束され、
前記柱部材と可動台との間にはばね材を主体とする復帰機構が介装されてなる、ことを特徴とする。」
また、該先行技術における免震支持方法は、次の構成を採る。
「基礎又は地盤等の下部構造に連動する基台系と、該基台系に水平移動を許容して設置される可動台系とからなり、建造物、機械又は床構造等の上部構造が前記可動台系に直接もしくは該可動台系に載置される支持台系を介して連動する免震支持装置をもって上部構造を免震支持する方法において、
前記基台系は、剛性体の基台と、前記基台に対称を保って立設される1又は2以上柱部材と、前記柱部材の上部において剛性を有し該柱部材より張設される拘束梁とからなり、
前記可動台系は、前記基台の上面にすべり面を介してすべり可能に剛性体の可動台が載置され、該可動台には、前記柱部材をすべり方向に移動間隙を存して受け入れる拘束孔が開設され、
前記柱部材と可動台との間にはばね材を主体とする復帰機構が介装され、
地震動に伴い前記基台と前記可動台とをすべり変位させ、前記可動台の上面を拘束梁によってすべり変位のみを許容して拘束してなる、ことを特徴とする。」(先行技術の作用)
常時において、上部構造Gの荷重は支持台、可動台、基台を介して下部構造Bに伝達され、支持される。本免震支持装置における支持面はすべり面であって、広い支持面を有し、かつ剛性体よりなるものであり、大きな載荷能力を有する。 このとき、風荷重が上部構造Gに作用したとしても、復帰機構に予圧縮が導入されているときには予圧縮力により移動は阻止される。
地震等の強制振動力が作用したとき、本免震支持装置は基台と可動台とのすべり面において上下の接続が切れており、下部構造B及び基台に生起する地震動は上部構造Gに殆ど伝播されない。
この間、上部構造Gと下部構造Bとの相対変位は、上部構造Gの荷重は可動台を介して基台に広い面積で支持されつつ、柱部材と拘束孔との間、及び拘束梁と拘束溝との間の所定の遊隙で吸収される。また、上部構造Gと下部構造Bとの相対変位は、水平面の全方向に生じるが、柱部材及び拘束梁回りの遊隙はこの変位を許容し、拘束することはない。そして、各柱部材に配された復帰機構により0点(初期)位置に速やかに復帰させられる。
更にまた、この変位において、上部構造Gに連動する可動台はその上面が拘束梁により押圧拘束され、該可動台の上揚力を封じ、上部構造Gに生じる転倒モーメントを阻止する。
(先行技術の効果)
この先行技術によれば、地震動に対し基台と可動台とのすべり面をもって上部構造を下部構造の振動から遮断し、かつ、そのすべり面は広い支持面をなすばかりでなく、水平状をなすので地震動による変位中においても上部構造に何ら悪影響(例えば縦振動)を与えることなく、かつ広い支持面を保持したまま有効に支持する。また、本免震支持装置は全体が剛性体よりなるので、支持面においても高い載荷能力を有し、小型化が図れる。
そして、地震動の変位は、本免震支持装置において所定の移動空間を保持することにより水平面の全方向に対処できる。
特に留意すべきは、本免震支持装置では、地震動の変位においても、上部構造に連動する可動台はその上面が拘束梁により均等に押圧拘束され、該可動台の上揚力を封じ、上部構造に生じる転倒モーメントを阻止し、免震機能とともに上揚力の阻止機能を共有する極めて有用なものとなっている。
また、本免震支持装置内の復帰機構により、減衰機能を発揮し、地震変位中においても速やかに初期位置に復帰することができるが、該復帰機構に予圧縮力を導入することにより、容易にトリガー機能を持たせることができる。
しかしながら、当該先行技術によれば、復帰機構のばね弾性の影響を受け、解析への不確定要因を与え、解析が複雑化するものである。
特開2004−36833公報
本発明は先行技術を更に発展させたものであり、復帰機構の改善とともに、復帰性の改善を図ることを目的とする。
併せて、転がり性の改善もなすことも他の目的とする。
本発明の免震基礎構造は上記目的を達成するため、以下の構成を採る。
第1番目の発明の免震基礎構造(以下、第1発明という)は、請求項1に記載のとおり、基礎又は地盤等の下部構造に連動する基台系と;該基台系に水平移動を許容して設置され、建造物、機械又は床構造等の上部構造に連動する可動台系と;からなる免震基礎構造において、
前記基台系は、剛性体の基台と、前記基台に立設固定される複数の柱部材と、前記柱部材の上部において該柱部材間に剛性を保って架け渡される拘束梁とからなり、
前記可動台系は、前記基台の上面に水平方向に移動可能に上部構造の荷重を支持する剛性体の可動台が載置され、該可動台は前記拘束梁の下面に当接する反力受材を有し、
前記基台の上面には内周面が傾斜面をなし底面が平滑面を保持する広がり面を有する鍋状凹部が形成されるとともに、該鍋状凹部に小球状の多数の転動子が密実に一層を保って充填され、
前記可動台の下面は平滑状をなし、該転動子上に移動域を存して載置され、
前記基台系と可動台系との間には、前記柱部材又は前記拘束梁の上部より突出し、上下方向へ進退動するとともに常時は上方へ一定負荷をもって押圧されるロックピンと、前記可動台系に固定され、前記ロックピンと中心を一致して下に開く球面凹部を有する反力体と、からなり、前記ロックピンは地震動の検知により負荷が外れ、地震動の停止の検知により上方へ負荷される復帰機構が介装されてなる、ことを特徴とする。
この第1発明は、「転がり支持態様」の免震基礎構造を示す。
以下の実施形態では、本発明の一実施形態としての免震支持装置を示すが、本発明は個々の装置に限定解釈されるものではなく、構造として把握されるべきである。
ここに、「反力受材」は以下の実施形態では可動台箱を採るが、当該態様に限定されない。
本発明において、
1)ロックピンは強風作用時において一定負荷で作動し、地震動の検知により負荷が外れること、
2)ロックピンの負荷は地震動の停止後の再始動時が通常時より大きくされること、
は適宜実施される。
また、上記構成において、
1)鍋状凹部の広がり面は円形であり、可動台はその水平断面形状が円形であり、全方向に移動可能であること、
2)鍋状凹部の広がり面は矩形であり、可動台はその水平断面形状が矩形であり、その余裕空間に付き、一方向への移動可能であること、
3)反力受材は可動台から張設される突設部材であること、
4)鍋状凹部の内周面は、一定半径の曲率面に形成されてなること、
は適宜採択される選択的事項である。
(作用)
(A) 常時
常時において、上部構造の荷重は可動台、転動子及び基台を介して下部構造に伝達され、支持される。本免震支持装置における支持面は可動台の下面が転がり層を構成する多数の小球(転動子)を介して広い支持面を有し、かつ転がり層は剛性体よりなるものであり、大きな載荷能力を有する。
復帰機構においては、ロックピンは反力体の球面凹部の頂点に当接する状態を採っており、何らの偏倚力を与えない。この状態で強風が作用したとき、ロックピンに押圧力が負荷され、可動台は不動状態を静止させ、ひいては上部構造を不動状態とし、風荷重に対抗する。
(B) 地震時
地震時において、地盤が強制振動力を受けると、基礎は一体に振動するが、上部構造は基台と可動台との転がり層を介して転がりが生じる(換言すれば、上部構造と下部構造との間に相対変位が生じる)。
すなわち、地震の発生とともにロックピンの負荷が解かれることにより、基台と可動台との自由移動を許すことになる。
(B-1) 転がり機構の動作・挙動
可動台の下面に接する転がり層の転動子は、小球であるので可動台を多点で支持し、かつ可動台の移動とともに該転動子自体も転動し、極めて小さな動摩擦性を発揮し、可動台の移動は円滑になされる。
可動台が移動するとき、該可動台の下面に接する転がり層を構成する転動子も転がり移動をなし、可動台とともに移動し、その方向の転動子は鍋状凹部の周縁の傾斜面に押し上げられ、盛り上がる。当該押し上げられた転動子は直ちに傾斜によりこぼれ落ち、あるいは両側方向に広がり、転がり層に戻される。
また、反対側においては、空隙部分を生じるが周辺の転動子並びに周縁の傾斜面に積み上げられている転動子により直ちに空隙部分を埋める。あるいは上記した戻されてきた転動子によっても空隙部分は埋められる。
可動台が逆方向に移動するとき、上記した状態とは逆となる。
可動台は揺動運動をなし、これに伴い転がり機構も上述のことを繰り返す。
この動作中、可動台は鍋状金具の平板部のみで移動をなし、上下動作の変位は生じない。
(B-2)
転がりによって生じる上部構造と下部構造との変位差は、許容量に近くなったとき、適宜に配されたストッパーにより移動が規制される。
この移動において、上部構造に連動する可動台の反力受材は拘束梁との当接により可動台系の上揚力は拘束され、上部構造に生じる転倒モーメントを阻止する。
(C) 復帰作用
地震動が止むと、各免震支持装置の復帰機構のロックピンに再び上方への押圧力を与え、ロックピンが反力体の球面凹部の頂点より偏倚するとき、ロックピンの押圧力を受けて反力体はその反力により頂点位置に変位し、定位置状態に戻る。
第2番目の発明の免震基礎構造(以下「第2発明」という)は、請求項2に記載のとおり、基礎又は地盤等の下部構造に連動する基台系と;該基台系に水平移動を許容して設置され、建造物、機械又は床構造等の上部構造に連動する可動台系と;からなる免震基礎構造において、
前記基台系は、剛性体の基台と、前記基台に立設固定される複数の柱部材と、前記柱部材の上部において該柱部材間に剛性を保って架け渡される拘束梁とからなり、
前記可動台系は、前記基台の上面に水平方向に移動可能に上部構造の荷重を支持する剛性体の可動台が載置され、該可動台は前記拘束梁の下面に当接する反力受材を有し、
前記可動台の下面は平滑状をなし、前記基台の上面の平滑面上に移動域を存してすべり自在とされ、
前記基台系と可動台系との間には、前記柱部材又は前記拘束梁の上部より突出し、上下方向へ進退動するとともに常時は上方へ一定負荷をもって押圧されるロックピンと、前記可動台系に固定され、前記ロックピンと中心を一致して下に開く球面凹部を有する反力体と、からなり、前記ロックピンは地震動の検知により負荷が外れ、地震動の停止の検知により上方へ負荷される復帰機構が介装されてなる、ことを特徴とする。
この第2発明は、「すべり支持態様」の免震基礎構造を示す。
すなわち、第1発明のころがり支持機構に替えて、すべり支持機構としたものである。従って、その作用もころがり支持機能以外は同等である。
ここに、「反力受材」の態様は第1発明に準じるが、第1発明と同様に当該態様に限定されない。
本発明において、
1)ロックピンは強風作用時において一定負荷で作動し、地震動の検知により負荷が外れること、
2)ロックピンの負荷は地震動の停止後の再始動時が通常時より大きくされること、
は適宜実施される。
また、上記構成において、
1)可動台の下面及び該可動台の下面が当接する基台の上面の広がり面は円形であり、可動台はその水平断面形状が円形であり、全方向に移動可能であること、
2)可動台の下面及び該可動台の下面が当接する基台の上面の広がり面は矩形であり、可動台はその水平断面形状が矩形であり、その余裕空間に付き、一方向への移動可能であること、
3)反力受材は可動台から張設される突設部材であること、
は適宜採択される選択的事項である。
(作用)
(A) 常時
常時において、上部構造の荷重は可動台、すべり面及び基台を介して下部構造に伝達され、支持される。本免震支持装置における支持面は可動台の下面のすべり面を介して広い支持面を有し、大きな載荷能力を有する。
復帰機構においては、ロックピンは反力体の球面凹部の頂点に当接する状態を採っており、何らの偏倚力を与えない。この状態で強風が作用したとき、ロックピンに押圧力が負荷され、可動台は不動状態を静止させ、ひいては上部構造を不動状態とし、風荷重に対抗する。
(B) 地震時
地震時において、地盤が強制振動力を受けると、基礎は一体に振動するが、上部構造は基台と可動台とのすべり面を介してすべり移動が生じる(換言すれば、上部構造と下部構造との間に相対変位が生じる)。
すなわち、地震の発生とともにロックピンの負荷が解かれることにより、基台と可動台との自由移動を許すことになる。
(B-1)
すべり移動によって生じる上部構造と下部構造との変位差は、許容量に近くなったとき、適宜に配されたストッパーにより移動が規制される。
この移動において、上部構造に連動する可動台の反力受材は拘束梁との当接により可動台系の上揚力は拘束され、上部構造に生じる転倒モーメントを阻止する。
(C) 復帰作用
地震動が止むと、各免震支持装置の復帰機構のロックピンに再び上方への押圧力を与え、ロックピンが反力体の球面凹部の頂点より偏倚するとき、ロックピンの押圧力を受けて反力体はその反力により頂点位置に変位し、定位置状態に戻る。
第1発明の免震基礎構造によれば、地震動に対し基台と可動台とは転がり機構を介して上部構造を下部構造の振動から遮断し、かつ、その転がり層は多点支持面をもって可動台を円滑に移動自在に支持し、可動台の横方向変位は水平状態を保持する。従って、地震動による変位中においても上部構造に何ら悪影響(例えば縦振動)を与えることがない。また、本免震支持装置はすべての部材が剛性体よりなるので、支持面においても高い載荷能力を有し、小型化が図れる。
そして、地震動の変位は、本免震基礎構造において所定の移動空間を保持することにより水平面の全方向に対処できる。
また、第2発明の免震基礎構造によっても、そのすべり面を介するすべり作用により、地震動による変位中においても上部構造に何ら悪影響(例えば縦振動)を与えることがない。そして、地震動の変位は、本免震支持装置において所定の移動空間を保持することにより水平面の全方向に対処できる。
留意すべきは、本免震基礎構造では、復帰機構は格別の作用をなし、そのロックピンと反力体の球面凹部との当接作用により、常時では何らの偏倚力を与えず、強風が作用したときロックピンに押圧力が負荷され、上部構造を不動状態とし、風荷重に対抗する。また、地震のとき、ロックピンの負荷が解かれることにより、基台と可動台との自由移動を許すことになる。そして、地震動が止むと、再びロックピンに負荷を与え、定位置状態に復帰させる。
更に、地震動の変位においても、上部構造に連動する可動台系は可動台箱の下面板の上面が拘束梁により拘束され、該可動台系の上揚力が封じられ、上部構造に生じる転倒モーメントを阻止し、免震機能とともに上揚力の阻止機能を共有する極めて有用なものとなっている。
本免震基礎構造によれば、復帰機構にばねを使用することなく、ばねを介する外力の入力がなく、地盤(下部構造)と上部構造とは振動的に絶縁したものとなっており、極言すれば地震動の加速度入力はゼロとみなされ、上部構造には揺れは殆ど生起されない。
本発明の免震基礎構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図8は本免震基礎構造の一実施形態としての免震支持装置を示す。すなわち、図1〜図3は本免震基礎構造の全体構成を示し、図4〜図8は各部分構成を示す。
本免震支持装置Sは、上部構造Gと下部構造Bとに介装設置され、上部構造Gの荷重を支持し、下部構造Bに伝達するとともに地震等の強制振動力より生起される上部構造Gの揺れに対して免震作用をなす。
図1〜図3に示すように、本実施形態の免震支持装置Sは、基礎又は地盤の下部構造Bに連動する基台系1と、該基台系1に所定の水平移動を許容して拘束される上部構造Gに連動する可動台系2とを含み、該基台系1と可動台系2とに介装される本発明に特有の復帰機構3を含む。
また、本免震支持装置Sは、前記基台系1に前記可動台系2が本発明特有の転がり機構4を介して載置されてなる。
更に詳細には、基台系1は、上面に所定の凹部6aが形成された実質的に四角板状の基台6と、該基台6に立設される4本の柱部材7と、該柱部材7の上部において該柱部材7間に剛性を保って架け渡される拘束梁8とからなる。また、可動台系2は、基台1の凹部6aの底面上に転がり機構4を介して転動移動可能に載置される可動台9と、該可動台9に一体に固設され基台系1に連動する反力受材としての可動台枠10とからなる。該可動台枠10は種々の構造態様を採りうるものであり、本実施形態ではその一態様を示す。
復帰機構3は、この基台系1と可動台系2との間にあって、柱部材7の上部と可動台枠10との間に設置される。
なお、基台6は地盤に設置された下部構造Bに埋設設置されるが、基台6を地盤中に打ち込まれた基礎杭12に直接的に固設する態様も採りうる。また、可動台枠10の上面には載置板14が固設され、上部構造Gに連動される。
以下、各部の細部構造に付いて説明する。
基台系1
基台系1は基台6と柱部材7と拘束梁8とからなり、固定系を構成する。
(基台6)
基台6は、上面に上方に開く凹部6aが形成され、全体としてコンクリート製をもって形成される。凹部6aには後記するとおり転がり機構4特にはその鍋状金具47が設置されるが、該凹部6aをもって鍋状金具47を兼ねることができる。この場合、その周壁部は傾斜面もしくは曲率面に形成される。
更に、基台6の上面には直円状の開口をもつ蓋枠15が固設され、その内周面16は可動台9の水平移動を一定範囲内に規制する。換言すればストッパー作用をなす。
(柱部材7)
柱部材7は、鋼製の円柱体よりなり、その基部のアンカー部17を基台6中に埋設して基台6の4か所に立設される。4本の柱部材7は互いに正四角形状の角部に配される。
(拘束梁8)
拘束梁8は、鋼製の四角断面梁材をなし、柱部材7の上部において該柱部材7間に剛結されるとともに同一水準を保って架け渡される。
拘束梁8の柱部材7への結合は、柱部材7の上部に被嵌される継手(図示せず)を介してもしくは溶接等により直接的に固定される。拘束梁8の下面8aは平坦面とされる。
上記の柱部材7及び拘束梁8には本実施形態では復帰機構が内蔵されるものであり、内蔵空間を存して所要の強度を保持する。
可動台系2
可動台系2は可動台9と可動台枠10とからなり、該可動台枠10に載置板14が直接的に固設して、もしくは上下動緩衝手段(図11に示す。)を介して設置される。
(可動台9)
可動台9は、鋼製の一定径の円柱状をなす。該可動台9は十分に大きな径をなし大きな載荷力を発揮するとともに、その下面9aは平滑面をなし、基台6の上面の凹部6aの転がり機構4に水平を保って転がり移動可能に載置される。該可動台9の下縁部9bは丸みを有するが、必須ではない。
(可動台枠10)
可動台枠10は、鋼製の下面板20、上面板21、側面板22より剛性の四角箱状体をなし、可動台9に一体に固設される。
下面板20は、方形(本実施形態では正方形)で、所定の厚さの平板体をなし、中央に大径の円孔24が開設され、可動台9と中心を一致して定位置状態を採る。かつ、所定位置に4つの円形状の孔すなわち拘束孔25が開設される。該下面板20の各拘束孔25の中心は定位置状態で柱部材7の中心と一致する。また、該下面板20の上面20aは平滑面とされ、拘束梁8の下面8aに当接する。
上面板21は、下面板20と同一外形方形状をなし、所定の厚さを有する。該上面板21は可動台9の上面に載置され、取付けボルト27をもって強固に固定される。
側面板22は、所定の厚さと高さを有し、下面板20と上面板21との周縁間に配され、それら板状体20,21を取付けボルト28をもって所定の間隔をもって一体化をなす。その空間は拘束梁8及び復帰機構の反力体を収納する高さを保持すれば足りるが、若干の余裕高さを有する。
可動台枠10が可動台9に定位置に固定されたとき、可動台枠10の下面すなわち下面板20の下面は基台6(もしくは蓋枠15)との上面と若干の空隙を保持する。
復帰機構3(図4、図5参照)
復帰機構3は、本発明に特有の構成を採り、固定台系1の柱部材7と可動台系2の上面板21との間に介装される。
詳しくは、該復帰機構3は、上面板21に固設されるとともに下方に開く球面凹部30を有する反力体31と、柱部材7に内蔵された油圧機構Uをもって上下動可能に上方へ押し出されるロックピン32とを主体とする。球面凹部30は所定の曲率をもって形成される。該曲率は通常は一定半径であるが、変曲率の曲面(例えば、放物曲面、クロソイド曲面)であってもよく、どの球面凹部30も同一曲率を採る。該曲面は精確に仕上げられる。更に、すべてのロックピン32は定位置で球面凹部30の頂点に位置する。ロックピン32は一定径の剛性体(金属)よりなり、上端32aは半球体をなし、その曲面をもって球面凹部30に点接触する。
ロックピン32が反力体31の球面凹部30の頂点すなわち中心に所定の力で押圧されているとき、反力体31は水平方向へ不動状態を採る(水平変位しない)。
ロックピン32が球面凹部30の頂点より偏位していると、ロックピン32の押圧作用により反力体31は変位動作を起こす。
油圧機構Uは、柱部材7内に油圧室33が形成され、該油圧室33内に配される戻しばね34をもってロックピン32を上方へ付勢し、油圧室33内に作動油を導出入する導孔35を有する。柱部材7及び拘束梁8にはロックピン32の出入する出入孔37,38が形成される。出入孔37にはシール材(Oリング)39が配され、作動油を密封する。
しかして、この油圧機構Uは、流体通路41を介して外部の油圧制御部Pに導かれる。
この制御部Pの一構成例を図5に示す。
図において、42は電磁駆動式の三方弁であり、駆動信号を受けて弁体42が回動され、作動流体の導通並びに開放動作をなす。
先ず、風圧系(P1)は、風圧検出器43、油圧モータ44及びこの三方弁42よりなり、所定以上の風速があると、風圧検出器43はこの風圧を検知して三方弁42を導通状態となし、油圧モータ44からの作動流体を流体通路41を介して油圧機構Uに送る。これにより、ロックピン32は負荷状態となる。
常時においては、三方弁42は開放状態を採り、油圧機構Uの圧力は無負荷となり、ロックピン32は戻しばね34によって上方に付勢されている。あるいは、低圧力で負荷される。
地震系(P2)は、地震検知器45及び該三方弁42よりなり、地震が発生すると地震検知器45はこの地震を検知し、強風時においても三方弁42を開放状態にし、油圧機構Uの圧力を開放する。これにより、ロックピン32は負荷が解かれる。
地震動が収まると、この状態を検知して三方弁42を導通状態となし、油圧モータ44からの作動流体を流体通路41を介して油圧機構Uに送る。これにより、ロックピン32は負荷状態となる。
転がり機構4
転がり機構4は、更に本発明に特有の構成を採り、基台6の上面の凹部6aと可動台9の下面9aとの間に介装設置される。
詳しくは、該転がり機構4は、基台6の凹部6a内に装入設置される鋼製の鍋状金具47と、該鍋状金具47に密実に敷設される多数の小球状の転動子48とを主体とし、更には、可動台9の下面9a及びその下縁部9b、基台6のストッパー16を含む。上記した多数の転動子48は鍋状金具47内に一層に敷き並べられ「転がり層」を形成する。
以下、 更に本転がり機構4の構成要素に付き詳述する。
鍋状金具47は、平底部47Aと周縁部47Bとから浅底の円筒鍋状をなし、所定厚さの鋼板をもって形成され、 周縁部47Bを残してその余の平底部47Aは平坦な円板面をなす。平底部47Aの径Φ1は、 上方の可動台9の下面9aの径Φ2よりも十分に大きくされ、可動台9の全方向への移動を確保する。該鍋状金具47の周縁部47Bは、本実施形態では一定半径の曲面に形成されるが、その余の形状(例えば、傾斜面)を除外するものではない。
転動子48は、剛性(鋼製)の小球体よりなり、いわゆるボールベアリングが使用され、鍋状金具47の底面に密実に層状に敷き並べられ、転がり層を形成する。該転がり層は少なくとも鍋状金具47の平底部47Aの全体に及び、 更には本実施形態では鍋状金具47の周縁部47Bにも及んでいる。 しかして、該転動子48は極めて小さな動摩擦係数(具体値としては0.015)を示す。
可動台9はその下面9aを転動子48上に載置され、転がり層上を低摩擦で移動する。該可動台9の下縁部9bは丸みを持たせ、 転動子48上の移動の際にはひっかかりとはならない。
鍋状金物47の平底部47Aの径Φ1と可動台9の下面9aの径Φ2との差(Φ1−Φ2)だけ可動台9は水平に自由に動くことになるが、 それ以上の移動は可動台9の本体の側面が基台6のストッパー面16に当接して阻止される。
載置板14・上部構造G
載置板14は、四角形状の所定厚さの鋼板よりなり、可動台枠10の上面に載置され、取付けボルト27をもって一体に固設される。該載置板14を介して上部構造Gが構築されるが、場合によっては載置板14を省略し、上部構造Gを可動台9もしくは可動台枠10上に構築することは可能である。該載置板14にアンカー材50が植設され、該アンカー材50を介して鉄筋コンクリート柱51が構築される。
該載置板14上に鉄骨柱が構築される場合には、載置板14にボルトが植設され、ナットをもって鉄骨柱を固設する態様を採ることは自由である。
諸元
本実施形態の免震支持装置Sの諸元の一例を示す。
鍋状金物47は、差し渡し径が900mm、深さが100mm、平底部の径が700mm、周縁部の曲率半径が100mmを採る。
転動子48は、径が10mmの鋼球であり、6300個使用される。
柱部材7は、径が50mmを採る。
可動台9は、本体の径が400mmを採る。
可動台枠10は、一辺が1m500mmを採り、その拘束孔25の径は400mmを採る。
しかして、免震支持装置Sは±100mmの可動域を保持する。
(本免震支持装置Sの組立て)
上記構成よりなる本免震支持装置Sの製作は次の手順による。
(1) 基台6を設置するとともに柱部材7を立設する。柱部材7は油圧機構Uを内臓するものであり、同時にその配管もなされる。
(2) 基台6の凹部6aに鍋状金具47を設置し、該鍋状金具47内に転動子48を全面に敷設する。
(3) 蓋枠15を設置固定する。
(4) 可動台9を転がり層上に配する。
(5) 可動台枠10の下面板20を、該下面板20の円孔25を可動台9に嵌装させ、また拘束孔24を柱部材7に嵌装させて設置する。
(6) 柱部材7間に拘束梁8を設置する。
(7) 下面板20に側面板22、上面板21を取り付け、可動台枠10を取付けボルト28をもって組み立てる。このとき、復帰機構3の反力体31を設置する。
(8) 載置板14を可動台枠10上に配し、取付けボルト27をもって可動台9へ一体に取り付ける。
叙上の免震支持装置Sでは、その基台6、可動台9、可動台枠10に付き、所定厚さの一体性部材で形成する例を示したが、それらを所定厚さの板状体の積層をもって形成することがなされる。
図8に免震支持装置Sの積層構造態様を示す。
すなわち、基台6Aは複数の鋼板を積み重ね、縦ボルト・ビスをもって一体化し、上部に凹部6aを形成する。凹部6a内には鍋状金具47、転動子48が配される。蓋枠15Aは一枚の鋼板よりなる。
可動台9Aは多数の鋼板を積み重ね、縦ボルト・ビスをもって一体化してなる。
図示しないが、可動台枠10も鋼板の積層構造によることができる。
(本免震支持装置Sの取付け・配置)
本免震支持装置Sは、中層規模の鉄筋コンクリートもしくは鉄骨造の建造物Gに対して次のように配され、取り付けられる。
図9にその取付け・配置を示す。すなわち、地盤Eに対して適宜の基礎杭Kが打設され、該基礎杭Kの頭部をコンクリート基礎Bをもって剛結する。このコンクリート基礎B上に本免震支持装置Sの基台6がアンカーボルト等の適宜の固定手段を介して水準を保って設置される。しかる後、上述した手順で本免震支持装置Sを組み立てる。
免震支持装置Sは、基礎Bに対称を保って均等に配される。4箇所を最少とするが、中層規模の建造物においては、それ以上の多数の免震支持装置Sが配される。本免震支持装置Sにあっては1基当たりの支持能力が高いので、比較的少なくてもよい。
免震支持装置Sの定位置において、各復帰機構3のロックピン32は上方への付勢力を受け、反力体31の球面凹部30の頂点に当接する状態を採る。
(本免震支持装置Sの作用)
本免震支持装置Sは建造物すなわち上部構造Gとコンクリート基礎すなわち下部構造Bとの間に介装され、上部構造Gの荷重を支持し、下部構造Bひいては地盤Eに該荷重を伝達するとともに、地震動に対する免震作用を発揮する。
(A) 常時
常時において、上部構造Gの荷重は、載置台14、可動台9、転がり層及び基台6を介して下部構造Bに伝達され、支持される。本免震支持装置Sにおける支持面は可動台9の下面9aが転がり層の多数の小球(転動子)48を介して広い支持面を有し、かつ転がり層は剛性体よりなるものであり、大きな載荷能力を有する。
また、復帰機構3においては、ロックピン32は反力体31の球面凹部30の頂点に当接する状態を採っており、何らの偏倚力を与えない。
この状態で強風が作用したとき、別途配された風圧検出器43からの信号によりロックピン32に押圧力が負荷され、可動台9は不動状態を待機し、ひいては上部構造Gを不動状態とし、風荷重に対抗する。
(B) 地震時
地震時において、地盤Eが強制振動力を受けると、基礎Bは一体に振動するが、上部構造Gは基台6と可動台9との転がり層を介して転がり作用が生じる(換言すれば、上部構造Gと下部構造Bとの間に相対変位が生じる)。
すなわち、地震の発生とともに地震検知器45からの信号により油圧機構Uの圧力が開放され、ロックピン32の負荷が解かれることにより、基台6と可動台9との自由移動を許すことになる。
(B-1) 転がり機構4の動作・挙動
可動台9の下面9aに接する転がり層の転動子48は、小球であるので可動台9を多点で支持し、かつ可動台9の移動とともに該転動子48自体も転動し、極めて小さな動摩擦性を発揮し、可動台9の移動は円滑になされる。
可動台9が移動するとき(A方向、図7参照)、該可動台9の下面9aに接する転がり層を構成する転動子48も転がり移動をなし、可動台9とともに移動し、その方向の転動子48は鍋状金具47の周縁部47Bに押し上げられ、盛り上がる。当該押し上げられた転動子48は直ちに周縁部47Bの曲面によりこぼれ落ち、あるいは両側方向に広がり、転がり層に戻される。
また、可動台9の反対側(B方向、図7参照)においては、転がり層には空隙部分を生じるが周辺の転動子48並びに周縁部47Bに積み上げられている転動子48により直ちに空隙部分を埋める。あるいは上記したA方向から戻されてきた転動子48によっても空隙部分は埋められる。
可動台9が逆方向(B方向)に移動するとき、上記した状態とは逆となる。
すなわち、B方向側の転動子48は盛り上がり、反対方向(A方向)側は生じた空隙部分に周辺の転動子48は直ちにこれを埋める。
可動台9は揺動運動をなし、これに伴い転がり機構4も上述のことを繰り返す。 この動作中、可動台9は鍋状金具47の平底部47Aのみで移動をなし、上下動作の変位は生じない。
(B-2)
転がりによって生じる上部構造Gと下部構造Bとの変位差は、許容量に近くなったとき可動台9はストッパー16により当接し、移動が規制される。
この移動において、上部構造Gに連動する可動台枠10の下面板20は拘束梁8との当接により可動台系2の上揚力は拘束され、上部構造Gに生じる転倒モーメントを阻止する。
(C) 復帰作用
地震動が止むと、この状態(地震動の停止)を検知して、制御部Pを介して油圧機構Uが作動し、各免震支持装置Sの復帰機構3のロックピン32が油圧圧力により上方への押圧力を受ける。ロックピン32が反力体31の球面凹部30の頂点より偏倚するとき、ロックピン32の押圧力を受けて反力体31はその反力により頂点位置に変位し、定位置状態に戻る。これにより、上部構造Gも初期の定位置に復帰する。
図10は、この動作を示す。すなわち、ロックピン32は上方へ一定の圧力pを受け、該ロックピン32の上端32aと球面凹部30との当接により、反力体31はロックピン32側へ変位力を受け、両者(反力体31及びロックピン32)の中心が合致する状態で停止する。
以上において、復帰機構3は、少なくとも強風時及び地震の終了時で油圧作動すればよく、地震時には無負荷となる。復帰機構3が常時において低負荷で作動する場合には、強風時及び地震の終了時の油圧作動はより大きな圧力値に設定される。
(本免震支持装置Sの効果)
本免震支持装置Sによれば、地震動に対し基台6と可動台9とは転がり機構4を介して上部構造Gを下部構造Bの振動から遮断し、かつ、その転がり層は多点支持面をもって可動台9を円滑に移動自在に支持し、該可動台9の変位は鍋状金具47の平底部47Aのみでなされるので可動台9の横方向変位は水平状態を保持する。従って、地震動による変位中においても上部構造Gに何ら悪影響(例えば縦振動)を与えることがない。また、本免震支持装置Sはすべての部材が剛性体よりなるので、支持面においても高い載荷能力を有し、小型化が図れる。
そして、地震動の変位は、本免震支持装置Sにおいて所定の移動空間を保持することにより水平面の全方向に対処できる。
特に留意すべきは、本免震支持装置Sでは、復帰機構3は格別の作用をなし、そのロックピン32と反力体31の球面凹部30との当接作用により、常時では何らの偏倚力を与えず、強風が作用したときロックピン32に押圧力が負荷され、上部構造Gを不動状態とし、風荷重に対抗する。また、地震のとき、油圧機構Uの圧力が開放され、ロックピン32の負荷が解かれることにより、基台6と可動台9との自由移動を許すことになる。そして、地震動が止むと、再びロックピン32に上方への負荷を与え、定位置状態に復帰させる。
更に本免震支持装置Sでは、地震動の変位においても、上部構造Gに連動する可動台系2は可動台枠10の下面板20の上面が拘束梁8により拘束され、該可動台系2の上揚力が封じられ、上部構造Gに生じる転倒モーメントを阻止し、免震機能とともに上揚力の阻止機能を共有する極めて有用なものとなっている。
(他の態様)
図10に載置板の他の態様を示す。
本態様では縦振動による吸振機能を有する。
この吸振機能付き載置板14Aは、上部部材53と下部部材54とこれらの部材53,54間に介装される吸振機構(脚部材55、コイルばね56)とからなる。
本態様によれば、下部構造Bから伝達される縦振動はコイルばね56により吸収され、上部部材53を介して上部構造Gへの伝達を阻止することとなる。
しかして、免震床、嫌振動性の精密機械台にこの構造は好適なものとして適用される。更には小規模建造物への適用もなされる。
(更に他の態様)
本発明は叙上の実施形態に限定されない。
叙上の実施形態では、可動台系2は可動台9に可動台枠10を固設し、下面板20の上面を拘束梁8に拘束してなるが、可動台9より上面が平滑な腕部材を延設し、該腕部材の上面を拘束梁8にて押圧する態様も採り得る。
更に、復帰機構3は固定台系1と可動台系2との間に適宜介装される。すなわち、柱部材を避け、拘束梁8への設置を除外するものではない。この場合においても、対称を保って配されることは勿論である。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。
1)本実施形態では復帰機構3を油圧機構としたが、空気圧機構とすることは自由である。従って、油圧モータ44は空気圧縮機に代替される。
2)図5に示す復帰機構3の制御部Pの構成は一例示であって、同等の作用を奏するものであれば他の制御系を適用することを妨げない。
本発明の一実施形態の免震支持装置の全体構成を示す鉛直断面図(図2の1−1線断面図)。 同じく本免震支持装置の全体構成を示す水平断面図(図1の2−2線断面図)。 図2の3−3線断面図。 復帰機構の詳細図。 ロック制御部の概念図。 図1の部分(転がり機構)拡大図。 転がり機構の平面構成図。 本免震支持装置の他の構成例を示す図。 本免震支持装置の配置例を示す図。 復帰機構の作動要領を示す図。 縦振動吸収機構を示す構成例図。
符号の説明
S…免震支持装置、1…基台系、2…可動台系、3…復帰機構、4…転がり機構、6…基台、6a…鍋状凹部、7…柱部材、8…拘束梁、9…可動台、10…可動台枠、30…球面凹部、31…反力体、32…ロックピン、47…鍋状金具、48…転動子

Claims (4)

  1. 基礎又は地盤等の下部構造に連動する基台系と;該基台系に水平移動を許容して設置され、建造物、機械又は床構造等の上部構造に連動する可動台系と;からなる免震基礎構造において、
    前記基台系は、剛性体の基台と、前記基台に立設固定される複数の柱部材と、前記柱部材の上部において該柱部材間に剛性を保って架け渡される拘束梁とからなり、
    前記可動台系は、前記基台の上面に水平方向に移動可能に上部構造の荷重を支持する剛性体の可動台が載置され、該可動台は前記拘束梁の下面に当接する反力受材を有し、
    前記基台の上面には内周面が傾斜面をなし底面が平滑面を保持する広がり面を有する鍋状凹部が形成されるとともに、該鍋状凹部に小球状の多数の転動子が密実に一層を保って充填され、
    前記可動台の下面は平滑状をなし、該転動子上に移動域を存して載置され、
    前記基台系と可動台系との間には、前記柱部材又は前記拘束梁の上部より突出し、上下方向へ進退動するとともに常時は上方へ一定負荷をもって押圧されるロックピンと、前記可動台系に固定され、前記ロックピンと中心を一致して下に開く球面凹部を有する反力体とからなり、前記ロックピンは地震動の検知により負荷が外れ、地震動の停止の検知により上方へ負荷される復帰機構が介装されてなる、
    ことを特徴とする免震基礎構造。
  2. 基礎又は地盤等の下部構造に連動する基台系と;該基台系に水平移動を許容して設置され、建造物、機械又は床構造等の上部構造に連動する可動台系と;からなる免震基礎構造において、
    前記基台系は、剛性体の基台と、前記基台に立設固定される複数の柱部材と、前記柱部材の上部において該柱部材間に剛性を保って架け渡される拘束梁とからなり、
    前記可動台系は、前記基台の上面に水平方向に移動可能に上部構造の荷重を支持する剛性体の可動台が載置され、該可動台は前記拘束梁の下面に当接する反力受材を有し、
    前記可動台の下面は平滑状をなし、前記基台の上面の平滑面上に移動域を存してすべり自在とされ、
    前記基台系と可動台系との間には、前記柱部材又は前記拘束梁の上部より突出し、上下方向へ進退動するとともに常時は上方へ一定負荷をもって押圧されるロックピンと、前記可動台系に固定され、前記ロックピンと中心を一致して下に開く球面凹部を有する反力体とからなり、前記ロックピンは地震動の検知により負荷が外れ、地震動の停止の検知により上方へ負荷される復帰機構が介装されてなる、
    ことを特徴とする免震基礎構造。
  3. ロックピンは強風作用時において一定負荷で作動し、地震動の検知により負荷が外れる請求項1又は2のいずれかに記載の免震基礎構造。
  4. ロックピンの負荷は地震動の停止後の再始動時が通常時より大きくされる請求項1又は2のいずれかに記載の免震基礎構造。

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