JP2005273085A - 芯鞘型ポリエステル複合繊維およびその製造方法 - Google Patents

芯鞘型ポリエステル複合繊維およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 吸湿性、接触冷感性および制電性に優れ、更にアルカリ減量処理による芯成分の溶出を抑制でき、かつ深色化可能でブラックフォーマル用途にも好適な芯鞘型ポリエステル複合繊維を提供する。
【解決手段】 芯成分がポリエーテルエステル化合物を10重量%以上70重量%以下含むポリエステル、鞘成分が平均一次粒子径が0.02μm以上0.1μm以下のコロイダルシリカを0.4重量%以上5重量%以下含むポリエステルであり、鞘成分比率が20重量%以上50重量%以下であることを特徴とする芯鞘型ポリエステル複合繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸湿性、接触冷感性、および制電性に優れ、更には深色化可能でブラックフォーマル用途にも好適なポリエステル繊維に関する。
従来よりポリエステル繊維は、強度、耐薬品性、耐熱性などに優れるため、衣料用途、産業資材用途などに幅広く使用されてきた。しかし天然繊維に比べ疎水性であることから、夏場などの発汗しやすい環境下で肌着などに使用した場合の着用不快感や、冬場などの低温低湿度下で静電気起因の電撃による着用不快感を惹起するものであった。そこでこれまでにも吸湿性繊維および制電性繊維は鋭意検討され種々提案されている。
例えば制電性繊維としては、親水性ポリマーであるポリアルキレングリコールや有機または無機のイオン性化合物をポリエステルに練り込んだ繊維、または導電性粒子、特に導電性カーボンブラックを練り込んだ繊維が挙げられる。
しかし親水性ポリマーであるポリアルキレングリコールや有機または無機のイオン性化合物をポリエステルに練り込んだ繊維は、アルカリ処理、染色などの加工時に親水性成分が溶出または分解し、繊維強度が低下しやすいため、芯鞘型複合繊維の芯部に親水性成分を含有させ、鞘比率を高くすることにより親水性成分を十分に閉じ込めない限り、十分な物性を有する布帛が得られないが、鞘比率を高くすると吸湿性、接触冷感性、制電性が損なわれるという問題を有していた。
また導電性粒子、特に導電性カーボンブラックを練り込んだ繊維では制電性は付与できたとしても吸湿効果は期待できなかった。
また吸湿性繊維としては、常湿度下で吸湿率が10%以上の吸湿性樹脂を芯部とし、それを鞘部であるポリエステルで覆った芯鞘型複合繊維が特開平2−99612号公報に提案されている。しかし、この方法では染色などの熱水処理時に芯部と鞘部の水膨潤差により鞘部に歪みがかかって繊維表面にひび割れが生じ、高次工程でのトラブルを生じやすい等の問題があった。
また、親水性化合物を共重合した吸湿性に優れた共重合ポリエステルならびに該共重合ポリエステルを用いた吸湿性に優れた繊維が提案されている(特許文献1)。しかし共重合ポリエステルを繊維形成性重合体にブレンドする際、単純にチップブレンドするだけでは満足できる吸湿性を発現せず、また展開用途を拡げるためにはドライ感を向上させる必要があった。
これらを鑑み、特許文献1記載の共重合ポリエステルを繊維形成性重合体にブレンドする際、共重合ポリエステルの分散径を小さくし、かつ繊維を太細化することにより、接触冷感とタッチ感の相乗効果によるドライ感が付与された吸湿性ポリエステル繊維が提案されている(特許文献2)。しかしながら該繊維は、アルカリ処理、染色などの熱水処理を施した際、繊維強度が低下しやすいという問題を有していた。
また表面に特定のサイズの微細凹凸を有した深色繊維については、コロイダルシリカ等の不活性微粒子を練り込んで製糸した後の任意の工程で繊維表面をアルカリ水溶液等で溶解深色させて得られた繊維が提案されている。
更には制電性と深色性の両方を有する繊維として、親水性ポリマーの練り込みによる制電性と微細凹凸による深色発現性を併せ持つ繊維も提案されている(例えば特許文献3、4)。しかし特許文献3、4は、芯鞘型複合繊維の芯部に親水性成分を含有させることによる吸湿性付与とアルカリ処理で繊維表面の微細凹凸を発現させることによる深色化を同時に狙ったものであるが、親水性成分としてポリアルキレングリコール系親水性ポリマーを練り込んでいるため、アルカリ処理時に親水性ポリマーの溶出や分解が起こり繊維強度が低下しやすく、また芯成分と鞘成分が界面剥離しやすいので、鞘比率を50重量%〜95重量%程度まで高くする必要があり、吸湿性、接触冷感性、制電性を十分に発揮できないものであった。
特開平8−198954号公報(請求項1〜3、請求項8) 特開2003−213524号公報(請求項1) 特開昭61−160476号公報(請求項1) 特開平4−146268号公報(請求項1)
本発明は、吸湿性、接触冷感性および制電性に優れ、更に深色化可能でブラックフォーマル用途にも好適なポリエステル繊維を目標とするものであり、上記従来技術では実現していない。本発明では芯鞘型複合繊維の芯成分に、親水性成分としてポリエーテルエステル化合物、詳しくはポリアルキレングリコール系親水性成分をポリエステル成分に共重合させたポリマーを含有させ、アルカリ処理、染色などの加工時の溶出を抑えることにより、鞘比率を低くすることを可能とし、これによる吸湿性、接触冷感性、制電性を向上すると共に、鞘成分に特定のコロイダルシリカを含有させることによりアルカリ処理時に繊維表面に微細凹凸を発現させ、深色化を可能とする。
本発明は上記課題を解決するため次の構成を有する。即ち、芯成分がポリエチレングリコールが20重量%以上90重量%以下共重合したポリエーテルエステル化合物を10重量%以上70重量%以下含むポリエステル、鞘成分が平均一次粒子径が0.02μm以上0.1μm以下のコロイダルシリカを0.4重量%以上5重量%以下含むポリエステルであり、鞘成分比率が20重量%以上50重量%以下であることを特徴とする芯鞘型ポリエステル複合繊維を提供する。
本発明により、吸湿性、接触冷感性および制電性に優れ、更にアルカリ減量処理による芯成分の溶出を抑制でき、かつ深色化可能でブラックフォーマル用途にも好適な芯鞘型ポリエステル複合繊維を得ることができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の芯鞘型ポリエステル複合繊維は、芯成分にポリエーテルエステル化合物を10重量%以上70重量%以下含有させることにより、吸湿性、接触冷感性および制電性を付与する。
ポリエーテルエステル化合物とは同一分子鎖内にエーテル結合とエステル結合を有する共重合体であり、より具体的にはジカルボン酸成分とジオール成分からなるポリエステル成分とポリアルキレングリコールからなるポリエーテル成分の共重合体である。ポリエステルのジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等を用いることができる。またジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等を用いることができる。
また本発明の効果を損なわない範囲で、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能カルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの如きポリオールを用いても良い。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ポリヘキサメチレンオキシドグリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドまたはテトラヒドロフランとのランダムまたはブロック共重合体等を用いることができ、特にポリエチレングリコールが好ましい。
ポリエチレングリコールの共重合比率は20重量%以上90重量%以下で、より好ましくは30重量%以上70重量%以下である。共重合比率が20重量%未満では、吸湿性、接触冷感性および制電性が不十分になりやすいので好ましくなく、共重合比率が90%を越えると安定して製糸することが難しくなりやすいので好ましくない。
ポリエチレングリコールの数平均分子量は2000以上8000以下が好ましい。数平均分子量が2000以上であると、耐熱性が良好で好ましい。数平均分子量8000以下であると、製糸性が良好となり好ましい。より好ましくは3000以上7000以下である。
芯成分のポリエーテルエステル化合物以外の主成分はポリエステルであれば特に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート等を適宜使用することができる。なかでも機械的性質、成形性等のバランスを考慮すれば、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
ポリエーテルエステル化合物の製造方法としては、公知の方法を適用することができ、例えばジメチルテレフタル酸とエチレングリコールを用いてエステル交換反応を行った後、ポリエチレングリコールを加えて、高温減圧下で共重合させるなどの方法を適用することができる。
ポリエーテルエステル化合物の含有比率は全芯成分に対して10重量%以上70重量%以下である。含有比率が10重量%未満であると、吸湿性、接触冷感性および制電性が不十分になりやすいので好ましくなく、含有比率が70%を越えると安定して製糸することが難しくなりやすいので好ましくない。
鞘成分は平均一次粒子径が0.02μm以上0.1μm以下のコロイダルシリカを0.4重量%以上5重量%以下含むポリエステルである。
本発明におけるコロイダルシリカとは、ケイ素酸化物を主成分とし、単粒子状で存在する微粒子が水または単価のアルコール類またはジオール類またはこれらの混合物を分散媒としてコロイドとして存在するもののことを言う。
コロイダルシリカの平均一次粒子径0.02μm未満では、コロイダルシリカ粒子が凝集しやすく、安定した製糸を行うのに支障を来しやすいので好ましくない。平均一次粒子径が0.10μmを越えると、アルカリ処理後に形成される繊維表面のボイドサイズが大きくなり、繊維表面反射光を十分に抑制できず、十分な深色化効果が得られないばかりか、繊維強度も著しく低下しやすいので好ましくない。更にコロイダルシリカ微粒子が大きすぎると、ガイド類の摩耗が起こりやすく、糸質の安定性が損なわれたり、工業生産上の問題も発生しやすい。
コロイダルシリカを含有するポリエステルの主成分であるポリエステルは、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート等を適宜使用することができる。なかでも機械的性質、成形性等のバランスを考慮すれば、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
コロイダルシリカをポリマー中に添加する方法としては、コロイダルシリカをエチレングリコールによく分散させたスラリーで添加する方法が好ましい。スラリーの添加時期はポリエステルのエステル化あるいはエステル交換反応、重縮合反応のいずれの時期でも良く適宜選択可能である。
また鞘成分のポリエステルにポリアルキレングリコールを適量共重合させることにより、深色性を向上させることも可能である。共重合比率は1.0重量%以上4重量%以下が好ましい。共重合比率が1.0重量%以上とすると深色性向上効果が得られやすく好ましい。共重合比率が4重量%以下であると、耐光性、耐熱性の点で好ましい。ポリアルキレングリコールの数平均分子量は400以上5000以下であることが、発色性、耐光性の点で好ましい。
鞘成分比率は20重量%以上35重量%以下である。鞘成分比率は糸断面の拡大観察および芯/鞘各成分の比重から測定・計算することができる。芯鞘の界面が不明瞭な場合には、芯成分と鞘成分の染着性の違いを利用し、染色後の糸断面を拡大観察するなどの方法を適宜行う。鞘成分比率が20重量%未満では、アルカリ処理時に鞘割れにより芯成分の溶出が起こりやすいので好ましくない。鞘成分比率が35重量%を越えると、吸湿性、接触冷感性が低下しやすいので好ましくない。
芯鞘型複合繊維の製造方法としては、公知の方法を適用することができ、芯成分、鞘成分それぞれ別々に溶融したものを芯鞘型複合繊維用口金パックに導入し、吐出、繊維化すれば良い。芯成分として、ポリエステルにポリエーテルエステル化合物を混合させる方法としては、各々のチップを混合したものを溶融紡糸する方法、ポリエステルとポリエーテルエステル化合物を混練したチップを溶融紡糸する方法、ポリエステルとポリエーテル化合物を別々に溶融し静止混練子(ハイミキサー)等によりメルトブレンドして紡糸する方法などを適用することができるが、製糸性、吸湿性向上のためにはポリエーテルエステル化合物の分散径を均一かつ微細、好ましくは2.0μm以下、更に好ましくは1.5μm以下にすることが望まれるので、5段以上、好ましくは10段以上の多段静止混練子によるメルトブレンドが特に好ましい。なおここで言うポリエーテルエステル化合物の分散径は、繊維断面をオスミウム酸で染色し、TEM写真撮影することで確認することができる。
紡糸時の芯成分と鞘成分の吐出量比率は、後のアルカリ減量処理の際の減量率を考慮して設定するが、鞘成分比率は25重量%以上50重量%以下となるように調整するのが好ましい。鞘成分比率が25重量%以上では、減量率を高くしても芯成分の溶出や繊維強度の低下が起こりにくくなるため、減量率を低くする必要がなく、繊維表面の微細凹凸を十分に発現させることができるので好ましい。鞘成分比率が50重量%以下であると、芯成分比率が低くなりすぎず吸湿性などの芯成分由来の各種特性の発現効率が良好であり、コストがかかる高減量をしなくても良いため好ましい。
本発明の芯鞘型ポリエステル複合繊維は、その表面に繊維円周方向の幅が0.05μm以上1.0μm以下の微細凹部を有する。微細凹部の幅が0.05μm以上であると、染色した際の深色性と鮮明性の効果が十分となるため好ましい。微細凹部の幅が1.0μm以下であると、可視光線の表面反射率が高くならず、色がくすんだり、白っぽくなることがなく、深色化効果を十分に発現することができるので好ましい。
繊維表面に微細凹部を発現させる方法としては、アルカリ減量処理を採用することができ、減量率は微細凹部のサイズや繊維強度、布帛の風合いのバランスを鑑み、適宜調整することができるが、減量率は5重量%以上25重量%以下が好ましく、さらには10重量%以上20重量%以下がより好ましい。減量率5重量%以上では、繊維両面の微細凹部を十分に発現させることができるので好ましく、減量率25重量%以下では、コストの点および芯成分の溶出や繊維強度の低下が起こりにくい点から好ましい。
微細凹部の発現した繊維からなる布帛は、次いで染色加工を行うことにより、良好な深色性を発現し、特に黒色に染色した場合に、芯成分による吸湿性、接触冷感性、制電性も加えて、ブラックフォーマルに好適な素材となる。
以下本発明を実施例により、更に詳細に説明する。なお実施例中の各特性値は次の方法によって求めた。
(1)吸湿率(MR)
原糸をカセ取りして60℃で12時間真空下で乾燥し、乾燥後の重量をおよそ1gとし、20℃×65%RHあるいは30℃×90%RHの雰囲気下、恒温恒湿器(タバイ製PR−2G)中に24時間放置後の重量との重量変化から、次式により算出した。
吸湿率MR(%)=(吸湿後の重量−乾燥後の重量)/乾燥後の重量×100
(2)吸湿率差(ΔMR)
20℃×65%RH条件下および30℃×90%RH条件下の吸湿率をそれぞれMR1、MR2とし、次式により算出した。
吸湿率差ΔMR(%)=MR2―MR1
ここで吸湿率差ΔMRは衣服着用時の衣服内の湿気を外気に放出することにより快適性を得るためのドライビングフォースであり、軽〜中作業あるいは軽〜中運動を行った際の30℃×90%RHに代表される衣服内温度と20℃×65%RHに代表される外気温湿度との吸湿率差である。
本発明では吸湿性評価の尺度としてこのΔMRを用いるが、ΔMRは大きければ大きいほど吸湿性が高く着用時の快適性が良好であることを意味する。実用上の着用快適性を得るためには繊維としてΔMRは1%以上が良い。
(3)接触冷感性(qmax)
実施例および比較例に記載の筒編み、アルカリ減量および染色した布帛に対し、カトーテック(株)製のサーモラボ2型測定器を用い、室温20℃、湿度65%RHの部屋で、BT−Boxを30℃に調節し、十分調湿したサンプルの上にBT−Box(圧力10g/cm2)をのせ、10℃の温度差での単位面積当たりの熱流束を測定した。本測定方法においてqmaxが0.110(W/cm2)以上を合格レベルと判断した。
(4)制電性(原糸の比抵抗値)
フィラメント糸を束ねて2222dtexとし、弱アニオン系洗剤を用い、十分に精錬して油剤などを除いた後、20℃、43%RHの状態で24時間放置後、その両端の抵抗を測定することによって比抵抗(Ω・cm)を求めた。本測定方法において比抵抗が150×108(Ω・cm)以下を合格レベルと判断した。
(5)黒発色性
実施例および比較例に記載の筒編み、アルカリ減量および染色した布帛に対し、測色計(ミノルタ社製CM−3700D)によりL値を3回測定し、平均値を求めた。本測定方法においてL値が12以下であれば良好な黒発色性を有すると言える。
(6)繊維破断強度
テンシロンUTM−III−100型(オリエンティック社製)を用い、試料長5cm、引張速度40cm/分で測定した。繊維の破断時の最大強力を該繊維の繊度で除した値である。
(7)繊維強度保持率
上記繊維破断強度をアルカリ減量前後の繊維で測定し、それぞれT1、T2とし、次式により算出し、繊維強度保持率70%以上を許容レベルと判断した。
繊維強度保持率(%)=T2/T1×100
(8)紡糸操業性
紡糸中の糸切れ回数から判断し、特優:○○、優:○、良:△、不良:×、の4段階評価した。
(9)微細凹部幅の測定
走査型電子顕微鏡(SEM)により7000倍で5本の単糸表面写真を撮影し、それぞれからランダムに30ヶ所選定し、繊維円周方向の凹部の幅を測定、この平均値で評価した。
(10)減量率
得られた原糸を筒編みとし、アルカリ減量前の前後の編地の重量を測定し、減量前後の編地の重量差を減量前の重量で除した値に100を乗じた値とした。
実施例1
A.ポリエーテルエステル化合物の製造
ジメチルテレフタル酸194部、エチレングリコール48部、およびテトラブチルチタネート0.1部を加え、140〜230℃でメタノールを抽出しつつエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.08部のエチレングリコール溶液および数平均分子量4000のポリエチレングリコール128部、抗酸化剤としてIrganox 1010(チバガイギー社製)0.2部、消泡剤としてシリコーン0.2部、およびテトラブチルチタネート0.1部を加え、1.0mmHgの減圧下280℃の条件下4時間重合を行いポリエーテルエステル化合物(共重合ポリエステル)を得た。共重合体のポリエチレングリコール比率は約20重量%であった。
B.コロイダルシリカ含有ポリエステルの製造
ジメチルテレフタル酸100重量部と、平均一次粒子径0.04μmのコロイダルシリカを濃度で10重量%含有し十分に撹拌したエチレングリコールスラリー75重量部、反応触媒として酢酸マグネシウム0.05重量部および酸化アンチモン0.04部をエステル交換缶に仕込み、窒素雰囲気下で150℃から250℃に徐々に加熱し、生成するメタノールを抽出しつつエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチルを0.05重量部添加し、次いで徐々に減圧しつつ280℃まで昇温して2時間重合し、コロイダルシリカ含有ポリエステルを得た。シリカ含有量は生成ポリエステルに対して1.0重量%であった。
C.芯鞘複合糸の製造
ポリエーテルエステル化合物チップとポリエチレンテレフタレートチップを別々に溶融し、10段の静止混練子を組み込んだパックからポリエーテルエステル化合物のブレンド比率が35重量%となるように吐出させ芯成分とし、コロイダルシリカ含有ポリエステルチップを鞘成分として鞘成分比率が40重量%となるように溶融紡糸し、更に3.0倍に延伸し、44dtex/12fの芯鞘複合糸を得た。
D.特性評価
得られた芯鞘複合糸をFAX編機にて筒編みにし、3%水酸化ナトリウム水溶液で60分間処理して減量率20%の編物とした。次いで同編物をDiaix Black BG-FS(三菱化成社製、分散染料)15%owf水分散液により、浴比1:30、130℃で60分間染色した。
得られた製品の性能(吸湿性、接触冷感性、制電性、黒発色性および紡糸操業性)を表1に示した。
実施例2
ポリエチレン投入量を調整し、共重合体のポリエチレングリコール比率を約30重量%にする以外は実施例1と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
実施例3
ポリエチレン投入量を調整し、共重合体のポリエチレングリコール比率を約70重量%にする以外は実施例1と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
実施例4
ポリエチレン投入量を調整し、共重合体のポリエチレングリコール比率を約90重量%にする以外は実施例1と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
比較例1
ポリエチレン投入量を調整し、共重合体のポリエチレングリコール比率を約10重量%にする以外は実施例1と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
比較例2
ポリエチレン投入量を調整し、共重合体のポリエチレングリコール比率を約95重量%にする以外は実施例1と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
実施例5
数平均分子量2000のポリエチレングリコールを用いる以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
実施例6
数平均分子量6000のポリエチレングリコールを用いる以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
実施例7
数平均分子量8000のポリエチレングリコールを用いる以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
実施例8
ポリエーテルエステル化合物のブレンド比率を10重量%にする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
実施例9
ポリエーテルエステル化合物のブレンド比率を70重量%にする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
比較例3
ポリエーテルエステル化合物のブレンド比率を5重量%にする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
比較例4
ポリエーテルエステル化合物のブレンド比率を80重量%にする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表1に示した。
Figure 2005273085
実施例10
コロイダルシリカの含有率を0.4重量%にした以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
実施例11
コロイダルシリカの含有率を2.5重量%にした以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
実施例12
コロイダルシリカの含有率を5重量%にした以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
比較例5
コロイダルシリカの含有率を0.1重量%にした以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
比較例6
コロイダルシリカの含有率を6重量%にした以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
実施例13
コロイダルシリカの平均一次粒子径を0.02μmにする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
実施例14
コロイダルシリカの平均一次粒子径を0.10μmにする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
比較例7
コロイダルシリカの平均一次粒子径を0.01μmにする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
比較例8
コロイダルシリカの平均一次粒子径を0.15μmにする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
実施例15
製糸時の鞘比率を25重量%とし、減量率を5重量%とする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
実施例16
製糸時の鞘比率を30重量%とし、減量率を10重量%とする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
実施例17
減量率を10重量%とする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
実施例18
減量率を25重量%とする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
実施例19
製糸時の鞘比率を50重量%とし、減量率を25重量%とする以外は実施例2と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
実施例20
静止混練子を5段とした以外は実施例1と同じ方法で芯鞘複合糸を製造し、物性評価した。評価結果を表2に示した。
Figure 2005273085
本発明の芯鞘型ポリエステル複合繊維は、衣料用途、特にブラックフォーマル用途に好ましく用いることができる。

Claims (7)

  1. 芯成分がポリエーテルエステル化合物を10重量%以上70重量%以下含むポリエステル、鞘成分が平均一次粒子径が0.02μm以上0.1μm以下のコロイダルシリカを0.4重量%以上5重量%以下含むポリエステルであり、鞘成分比率が20重量%以上50重量%以下であることを特徴とする芯鞘型ポリエステル複合繊維
  2. 繊維表面に、繊維円周方向の幅が0.05μm以上1.0μm以下の微細凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の芯鞘型ポリエステル複合繊維。
  3. ポリエーテルエステル化合物がポリエチレングリコールが20重量%以上90重量%以下共重合した共重合ポリエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の芯鞘型ポリエステル複合繊維。
  4. 芯成分中のポリエーテルエステル化合物の繊維横断面における分散径が2.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の芯鞘型ポリエステル複合繊維。
  5. ポリエーテルエステル化合物を10重量%以上70重量%以下含有させたポリエステルを芯成分とし、平均一次粒子径が0.02μm以上0.1μm以下のコロイダルシリカを0.4重量%以上5重量%以下含むポリエステルを鞘成分として、鞘成分比率が25重量%以上50重量%以下の範囲になるように複合紡糸し、鞘成分に対して可溶性あるいは分解性を有する溶剤で繊維表面から5重量%以上25重量%以下溶解侵食し微細凹凸を形成させることを特徴とする芯鞘型ポリエステル複合繊維の製造方法。
  6. ポリエーテルエステル化合物をベースポリマーに混合する際、両成分を別々に溶融し、静止混練子で溶融ブレンドすることを特徴とする請求項5記載の芯鞘型ポリエステル複合繊維の製造方法。
  7. 静止混練子が5段以上の多段静止混練子であることを特徴とする請求項6に記載の芯鞘型ポリエステル複合繊維の製造方法。
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