JP2005272958A - 真空脱ガス装置の利用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、操業中に脱ガス槽内の付着地金を広範囲に、かつ極低炭素鋼の脱炭精錬時間に影響を与えることなく除去可能な真空脱ガス装置の利用方法を提供することを目的としている。
【解決手段】一次脱炭精錬炉から取鍋へ出鋼した溶鋼を収容し、溶製目標である中・低炭素鋼及び極低炭素鋼の両方を多数チャージ毎で交互に切り替えて再度精錬する真空脱ガス装置の使用方法を改良した。中・低炭素鋼の溶製に際し、一次脱炭精錬炉からリムド状態で溶鋼を取鍋に出鋼し、該溶鋼を真空脱ガス装置で真空脱炭すると共に、該真空脱ガス装置に挿入した酸素吹き用ランスを介して該真空槽内の溶鋼浴面上の空間部に酸素ガスを吹き込んで、浴内発生COガスを二次燃焼させて真空槽内の付着地金を溶解してから、溶鋼の脱酸、成分調整する溶製のチャージを少なくとも複数回行い、その後に極低炭素鋼の溶製を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、真空脱ガス装置の利用方法に係わり、詳しくは、溶鋼の真空脱ガス装置、とりわけRH式真空脱ガス装置を用いて溶鋼を精錬する際に、溶鋼の溶製スケジュールを変更することなく、また、コストの増大を招くことなく、真空脱ガス槽内壁への付着地金を極力小量に維持可能にする技術に関する。
優れた加工性を要求される自動車用鋼板や缶用鋼板の素材には、加工性に悪影響を与える鋼中の炭索(記号:C)の含有率を0.0050mass%以下に低減した所謂「極低炭素鋼」が利用される。このような極低炭素鋼は、現在、転炉や電気炉等の所謂「一次脱炭精錬炉」を用いた大気圧下での脱炭精錬では、要求される炭素含有域まで脱炭することが困難であるため、一次脱炭精錬炉から出鋼された溶鋼を、さらにRH式脱ガス装置やDH式脱ガス装置に代表される真空脱ガス装置の脱ガス槽にセットし、酸素吹精あるいは真空下での仕上げ脱炭処理(二次精錬という)を行って、溶製されている。
このような真空脱炭処理で極低炭素鋼を溶製するに際しては、従来より二つの問題がある。一つ目は、当該極低炭素鋼を溶製する際の初期の脱炭時(まだ溶鋼中のC含有量が数百ppmと高い段階)に激しいスプラッシュ(溶鋼の飛沫)が発生し、それが真空槽の内壁等に付着して所謂「付着地金」となり、極低炭域にまで脱炭が進行した際に該真空槽内の溶鋼中に落下して、該溶鋼のC含有量を上昇させる。つまり、結果的に脱炭不良が生じるのである。
もう一つの問題は、上記のようにして真空槽内に付着した地金が、真空槽に設けられている投入シュートを介して合金材(副原料)を溶鋼へ投入する際の障害(具体的には、合金材が棚状にせり出した地金上に落下し、溶鋼中に入らない等)となったり、あるいは真空槽の上部から真空槽内の溶鋼の環流状態等を観察するために設けられているテレビカメラの視野を塞いで、監視を困難にしてしまうことである。
そのため、従来から、真空脱ガス槽の内壁に付着した地金を除去する種々の方法が提案されている。それらは大別すると、真空脱ガス装置が溶鋼の精錬を行っていない時に地金の除去作業を行う方法(休止又は待機時間中の地金除去)と、真空脱ガス装置が溶鋼の精錬を行っている途上で地金の除去を行う方法(操業中の地金除去)がある。
前者の例としては、真空脱ガス槽の上方からランス(長尺の円筒体)を挿入し、該ランスを介して槽内の付着地金に向けて酸素ガスを吹き付け、溶解除去する方法(例えば、特許文献1参照)、真空脱ガス槽の上方から酸素ガス及び燃料を吹き込めるバーナー方式のランスを真空槽内に挿入し、酸素ガスあるいは火炎を付着地金に向けて噴射して、溶解除去する方法(特許文献2参照)がある。ところが、これらの方法は、いずれも真空脱ガス装置の操業の合間に実施しなければならず、処理後の溶鋼を次々と連続鋳造する場合(「連々鋳」という)には、操業間の時間的余裕が短いので、実質上、利用できないという欠点がある。
後者の例としては、極低炭素鋼の真空脱炭精錬時に、脱炭反応(→CO)によって発生するCOガスを真空脱ガス槽内(フリーボードと称し、溶鋼浴面上の炉内空間)で所謂「二次燃焼」させ、その熱によって真空脱ガス槽内の付着地金を溶解するか、あるいは真空脱ガス槽の内壁温度を高めて地金の付着自体を予防する方法が知られている。なお、この地金の溶解除去や付着自体を予防する方法としては、真空脱ガス槽の下部に固定的に配置した酸素吹き込み口を介して酸素ガスを吹き込む方法(特許文献3参照)、真空脱ガス槽下部に固定的に配置した多孔物質(体)を介して酸素ガスを吹き込む方法(特許文献4参照)、真空脱ガス槽の上方から酸素吹き用ランスを挿入し、その先端から酸素ガスを吹き込む方法(特許文献5参照)、真空脱ガス装置で低炭素鋼を精錬する際にリムド処理を起こさせて、それによって溶鋼到達位置(レベル)直上に付着した地金を溶解・除去した後に、極低炭素鋼の精錬を行う方法(特許文献6参照)が開示されている。
しかしながら、特許文献3記載の方法では、酸素吹き込みロ近傍の地金だけしか溶解できないので、真空脱ガス槽内の上方に付着し、合金材の投入や槽内の観察の支障になる地金の除去には、十分な効果を上げることができない。また、特許文献4記載の方法では、多孔物質を使用するので、真空脱ガス槽内壁面の一定の範囲にわたって地金の除去や付着防止が期待できるが、合金材の投入や槽内の観察の支障になる真空脱ガス槽の上方に付着した地金まで除去しようとすると、ほとんど内壁の全面に多孔物質を配置しなくてはならず、設備や耐火物の費用がかさむ上、真空脱ガス槽自体の耐熱性にも悪影響を与え、槽の寿命が短くなるという問題がある。さらに、特許文献5記載の方法は、昇降可能なランスを使用して酸素ガスを吹き込むので、付着地金を溶解する範囲をコントロールできる利点がある。しかしながら、この方法では、極低炭素鋼の精錬を行っている時に地金の溶解を行うので、C濃度の高い地金が真空脱ガス槽内の溶鋼中に落下することが避けられず、溶鋼中のC濃度が上昇し、脱炭精錬に要する時間が延びてしまうという問題があった。加えて、特許文献6記載の方法では、真空脱ガス槽の溶鋼到達位置(レベル)直上に付着した地金は除去できるが、合金材の投入や槽内の観察の支障になる真空脱ガス槽の上方に付着した地金まで除去できないという問題があった。
実開平04−114544号公報 特開平07−268445号公報 特開昭54−024205号公報 特開平08−337811号公報 特開平08−073925号公報 特開2003−171716号公報
上述したように、真空脱ガス装置の休止又は待機時間中の地金除去方法は、前記「連々鋳」を前提とする操業に対応できない。また、操業中の地金除去方法においても、地金の除去できる範囲が限られたり、溶解除去した地金に起因して極低炭素鋼の脱炭精錬時間が延長するという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑み、操業中に脱ガス槽内の付着地金を広範囲に、かつ極低炭素鋼の脱炭精錬時間に影響を与えることなく除去可能な真空脱ガス装置の利用方法を提供することを目的としている。
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
すなわち、本発明は、一次脱炭精錬炉から取鍋へ出鋼した溶鋼を収容し、溶製目標である中・低炭素鋼及び極低炭素鋼の両方を多数チャージ毎で交互に切り替えて再度精錬する真空脱ガス装置の使用方法であって、まず、中・低炭素鋼の溶製に際し、一次脱炭精錬炉からリムド状態で溶鋼を取鍋に出鋼し、該溶鋼を前記真空脱ガス装置で真空脱炭すると共に、該真空脱ガス装置に挿入した酸素吹き用ランスを介して該真空槽内の溶鋼浴面上の空間部に酸素ガスを吹き込んで、浴内発生COガスを二次燃焼させて真空槽内の付着地金を溶解してから、溶鋼の脱酸、成分調整する溶製のチャージを少なくとも複数回行い、その後に極低炭素鋼の溶製を行うことを特徴とする真空脱ガス装置の利用方法である。
この場合、前記中炭素鋼、低炭素鋼及び極低炭素鋼の炭素含有量を、それぞれ0.30〜0.10質量%、0.10未満〜0.010質量%及び0.010質量%未満とするのが良い。また、前記真空脱ガス装置としてRH真空脱ガス装置を用いたり、あるいは前記酸素吹き用ランスの先端と前記真空槽内の溶鋼浴面との距離を5m以上とし、酸素吹き速度を0.08m3(標準状態)/(min・ton−steel)以上とするのが好ましい。
本発明によれば、真空脱ガス槽内の付着地金の除去を、真空脱ガス処理時間内に行うので、時間的ロスを減らすことができる。また、地金の除去範囲も真空脱ガス槽内の溶鋼浴面直上や酸素吹き込みロの近傍に限られず、広い範囲で除去が可能となる。さらに、地金除去処理を極低炭素鋼の精錬時ではなく、それに先立つ中炭素鋼や低炭素鋼の精錬時に行うので、極低炭素鋼中への溶解地金によるカーボン・ピツクアップの問題がない。加えて、リムド処理を行う中・低炭素鋼では、一次脱炭精錬炉からの出鋼時の溶鋼中Cが高くできることと、リムド処理時のカーボン脱酸により、鋼中の酸素(記号:O)が低くなり、脱酸剤の原単位が低下でき、また脱酸生成物の生成量も低減できるので、非金属介在物の形成も低減できるという副次効果もある。
以下、発明をなすに至った経緯をまじえ、本発明の最良の実施形態を説明する。
本発明の対象である真空脱ガス装置は、RH式真空脱ガス装置、DH式真空脱ガス装置、あるいはこれに類似した装置等、所謂「溶鋼吸い上げ式」の真空脱ガス装置である。ここで、「溶鋼吸い上げ式」とは、下方に1本または複数本の浸漬部を持ち、上方には真空排気設備へと繋がる排気ダクトを有する中空の真空脱ガス槽を用い、取鍋に保持された溶鋼に上記浸漬部を浸漬し、真空脱ガス槽内を真空排気することで、真空脱ガス槽内に溶鋼の一部を吸い上げて脱ガス精錬する方式のことである。このような吸い上げ式真空脱ガス装置では、精錬効率を高め、かつ溶鋼成分の不均一をなくすために、取鍋内の溶鋼と真空脱ガス槽内の溶鋼とが円滑に循環することが必要であり、そのような要求に最も好適に適合するのが、RH式真空脱ガス装置であることから、このRH式真空脱ガス装置が世界中の多くの鉄鋼生産設備において採用されている。本発明も、RH式真空脱ガス装置を用いて実施することが好ましい。
まず、発明者は、現在行われている真空脱ガス装置の利用方法を見直すことにした。一般に、製鋼工場では、極低炭素鋼のみを製造することはなく、低炭素鋼や中炭素鋼も製造される。そこで、この点に着目し、地金の溶解・除去を極低炭素鋼の精錬時ではなく、低炭素鋼や中炭素鋼の精錬時に行うのが良いと考えた。その理由は、以下の通りである。
極低炭素鋼を真空脱ガス装置で精錬している最中に、該装置の付着地金の除去を行う前記特許文献3〜5にような方法では、溶解した地金中のCによって、取鍋内溶鋼のCが再び増大して、脱炭処理に要する時間が延長してしまうからである。極低炭素鋼は、通常の定義ではCが質量濃度で100ppm未満であるが、実際に優れた加工性を具備する鋼板として実用されているものは、20ppm以下が主流であるので、わずかの地金からのCピックアップでも、目標成分外れになる可能性が高いからでもある(例えば、200トンの溶鋼を精錬している時に、C含有量が0.05mass%の地金が1トン溶解して溶鋼中に人ったとすれば、2.5ppmのCピックアップとなり、これは、目標C含有量の1割以上の値となる)。
これに対して、一般に、低炭素鋼は、C含有量が0.01mass%以上、0、10mass%未満、中炭素鋼は、0.10mass%以上、0.30mass%未満であるので、上記のような2.5ppm(=0.00025mass%)程度のCピックアップは分析誤差の範囲以下であり、成分はずれを引き起こすという問題はまったくない。
また、一般の製鋼工場では、極低炭素鋼の精錬を数チャージ(ヒートともいう)から20チャージ程度連続させたら、低炭素鋼あるいは中炭素鋼の精錬を数チャージから20チャージ程度行う操業を繰り返しているので、低炭素鋼あるいは中炭素鋼の精錬時に真空脱ガス槽内の地金を溶解しておけば、次のチャンスでの数ヒートから20ヒート程度の極低炭素鋼の精錬期間は、付着地金の溶解・除去を行わずとも、付着地金が合金材の投入や、槽内観察の支障にならない。そこで、発明者は、この低炭素鋼あるいは中炭素鋼の溶製時に付着地金の溶解・除去行うことを、本発明の第一の要件にしたのである。
本来、低炭素鋼あるいは中炭素鋼では、極低炭素鋼のように、真空脱ガス装置で脱炭する必要はない。なぜならば、実用的な低炭素鋼の鋼中C濃度は0.05mass%程度であり、この程度のC濃度には転炉等の一次脱炭精錬炉での精錬で十分に脱炭できるからである。そのため、低炭素鋼あるいは中炭素鋼の溶製で真空脱ガス装置を利用するのは、別の理由からである。つまり、真空脱ガス装置には、単に溶鋼のC濃度を下げるだけではなく、鋼の性質に有害な影響を与えるHやO等の成分低減、Al23等の脱酸生成物の分離除去、合金成分の正確な調整等の機能を有している。したがって、高品質の鋼を製造している製鋼工場では、中炭素鋼あるいは低炭素鋼の溶製においても、その大部分は、品質上の要求から真空脱ガス処理がされている。
このような中炭素鋼や低炭素鋼の真空脱ガス精錬は、通常、一次脱炭精錬炉から取鍋に出鋼する際に脱酸剤としてAlを投入して鋼中のOをAl23として脱酸処理する。したがって、この溶鋼を真空脱ガス装置で真空処理してもC+O→COの反応が生じないのでCOガスの発生はなく、ランスから酸素を供給してもこれを二次燃焼することができない。そこで、本発明では、真空脱ガス槽内地金の除去を行うチャージの低炭素鋼あるいは中炭素鋼には、一次脱炭精錬炉から脱酸することなく取鍋に出鋼する(リムド出鋼という)ことを第二の要件とした。
次に、付着地金の具体的な溶解・除去は、上記リムド出鋼した溶鋼を真空脱ガス装置に導いて、真空脱炭してC+O→COの反応によってCOガスを発生させる一方で、真空脱ガス装置の真空槽内に挿入した酸素上吹きランスを介して該真空槽内の空間に酸素を吹き込んでCO+1/2O2→CO2の反応によって二次燃焼させ、その熱によって真空槽内に付着した地金を溶解する処理とする。これを本発明では、第三の要件とする。なお、一次脱炭精錬炉を出鋼する時の溶鋼中C濃度は、この引き続き行う真空脱炭において低下する分を見込んで、目標値より高めにしておくのが良い。例えば、溶鋼の目標C濃度が0.04mass%の低炭素鋼の場合には、一次脱炭精錬炉である転炉出鋼時の溶鋼中C濃度を0.05mass%程度にしておくと良い。
そして、上記地金溶解の処理をした後、低炭素鋼あるいは中炭素鋼の溶鋼には、Al等の脱酸剤を添加して脱酸し、必要に応じて他の成分調整して精錬を終了することを本発明の第四の要件とし、その後に極低炭素を溶製する第五の要件を加えて、本発明を完成させたのである。
このような本発明で、中炭素鋼や低炭素鋼を真空脱ガス装置で真空脱炭処理を行うと、次のような副次的な効果も得られる。すなわち、転炉を出鋼する際のC濃度が通常の場合よりも高いので、これと平衡する鋼中のO含有量は逆に、通常の場合より低くなる。さらに、この溶鋼を真空脱ガス装置で真空脱炭するので、所謂「カーポン脱酸」により、鋼中のOは、より一層低下する。したがって、この脱酸に要するAl等の脱酸剤の原単位が、通常の場合よりも少なくすることができる上に、生成するAl23等の脱酸生成物の量も、通常の場合よりも少なくなる。このため得られる溶鋼の清浄度が高くなり、鋼製品の脱酸生成物系の非金属介在物に起因する欠陥も低減できる。
なお、本発明では、上記のような地金の溶解除去の操業は、全ての低炭素鋼や中炭素鋼の精錬チャージにおいて行う必要はなく、真空脱ガス槽内の地金の付着状況に応じて適宜行えば良い。図2に、極低炭素鋼の精錬に入る前の地金の溶解・除去処理の回数と、真空脱ガス槽内の地金付着率(上方の観察窓からITVで観察した視野内の地金による閉塞面積率)との関係を示す。この図2より、好ましくは、極低炭素鋼の溶製に切り替える前の2チャージ以上について上記の地金溶解・除去を行うのが良いことが明らかである。
また、本発明では、真空脱ガス槽内でCOガスの二次燃焼を行うための酸素の供給は、真空脱ガス槽の上部から挿入した酸素吹き用ランスを用いて行う。このランスは、極低炭素鋼の精錬の際には、真空脱ガス槽内の溶鋼表面に酸素を吹き付けて、脱炭によって不足した溶鋼中の酸素を補うためのランスと同じ物を使用するのが良い。そして、極低炭素鋼の酸素吹精脱炭の際には、その酸素の補給効果を高めるために、例えば3m以下の比較的低いランス高さ(ランスの先端から溶鋼浴面までの距離)であるのに対して、低炭素鋼あるいは中炭素鋼の溶製時の地金除去では、5m以上のランス高さとするのが好ましい。これは、二次燃焼によって生じた熱を、真空脱ガス槽の壁面に広く伝えるためである。なお、RH脱ガス装置は、処理する溶鋼の量に応じて、その寸法に差があるが、現在一貫製鉄所で主流となっている、150トンから350トンのヒートサイズの溶鋼を処理するRH真空脱ガス装置は、その内径には差があっても高さにはほとんど差がなく、したがって、このようなヒートサイズのRH真空脱ガス装置では、上記した5m以上のランス高さとすることで、十分に真空脱ガス槽の内壁に熱を伝えることができる。これより低いランス高さの場合、酸素の一部は、脱炭反応に消費される比率が高くなり、二次燃焼比率が低くなる。このため地金の溶解が不十分となったり、溶鋼の温度降下が大きくなるからである。
また、酸素ガスの流量も酸素が脱炭反応に使用されるか、二次燃焼に使用されるかに関係する。現在一貫製鉄所で主流となっている150トンから350トンのヒートサイズの溶鋼を処理するRH真空脱ガス装置では、0.08m3(標準状態)/(min・ton−steel)以上の酸素流量の場合に,概ね温度降下を低減できて好ましい。そこで、本発明でも、その流量を適用するのが好ましい。図3には、酸素流量及び地金溶解時のランス高さと、真空脱炭時の温度降下量との関係を示すが、ランス高さが5m以上で、且つ酸素流量が0.08m3(標準状態)/(min・ton−steel)以上で,温度降下を著しく低減できることが明らかである。
さらに、図4には、酸素流量、地金溶解時のランス高さと二次燃焼率(真空脱ガス槽からの排気に含まれるCOガス濃度(体積%)とCO2ガス濃度(体積%)の合計に占めるCO2ガス濃度(体積%)の比率)との関係を示すが、ランス高さが5m以上で、且つ酸素流量が30m3(標準状態)/(min・ton−steel)以上で、二次燃焼率が80%以上となり、地金の溶解が促進できることが明らかである。
ヒートサイズ300トンのRH式真空脱ガス装置を用いて、本発明に係る真空脱ガス装置の利用方法を適用した操業を行い、従来の操業と比較した。これらの操業に用いたRH式真空脱ガス装置1の模式図を図1に示す。真空脱ガス槽2の上方から酸素吹き用ランス3が挿入できるようになっている。
本発明例では、極低炭素鋼の溶製を行う前の4チャージの低炭素鋼の溶製において、図5に示すパターンの操業を行って地金の溶解・除去を行った。すなわち、転炉でリムド出鋼(出鋼時の溶鋼中C濃度:0.050mass%、出鋼温度:1623℃)した取鍋4内の溶鋼をRH式真空脱ガス装置1に導き、真空処理を開始した(図5には、RHSと記載)。溶鋼5はリムド状態であるので、槽2内の減圧開始と同時に真空脱炭が始まった(図5中にリムド処理と標記)。そして、真空脱ガス槽2内のCOガス濃度が高まった時点で酸素吹き用ランス3を介して酸素ガス8を吹き込んで炉内発生COの二次燃焼を行った。その際のランス高さは、5.5mであり、酸素流量は40m3(標準状態)/min、すなわち0.133m3(標準状態)/(min・ton−steel)とした。この操業の後に、同じRH式真空脱ガス装置1を用いて、引き続き極低炭素鋼の溶製を行った。
その結果、極低炭素鋼溶製時の槽内地金付着率を20%以下に保つことができ、脱炭速度定数(溶鋼中のCの変化を一次の速度式−d[%C]/dt=Kc・[%C]に従うと仮定した場合の定数Kc)は、図6に示すように、0.20〜0.25(1/s)と高位に安定した。
従来例としては、極低炭素鋼の溶製を行う前の低炭素鋼の溶製において、地金溶解を行わない通常のキルド処理(アルミ脱酸処理)を行った。すなわち、転炉でキルド出鋼(出鋼時の鋼中C濃度:0.041mass%、出鋼温度:1615℃)した取鍋内の溶鋼をRH式真空脱ガス装置に導き、キルド処理した。この操業の後に、同じRH式真空脱ガス装置設備を用いて極低炭素鋼の溶製を行った。極低炭素鋼の溶製においては、酸素吹精脱炭と合わせて上吹ランス高さを3〜4mに調整して、前記二次燃焼させて付着地金の溶解除去を試みた。この場合、付着地金の溶解は不十分であり、極低炭素鋼溶製時の槽内地金付着率は20%を超えていた。さらに、脱炭速度定数Kcは、0.13〜0.24(1/s)と大きくばらついた(図6参照)。
本発明を実施するRH式真空脱ガス装置の縦断面を示す図である。 極低炭素鋼の溶製前の付着地金の溶解・除去処理の回数と、真空脱ガス槽内の地金付着率との関係を示す図である。 酸素ガス流量及び付着地金の溶解・除去時における酸素吹き用ランスの高さと、真空脱炭時の温度降下量との関係を示す図である。 酸素ガス流量、付着地金の溶解・除去時における酸素吹き用ランスの高さと、二次燃焼率との関係を示す図である。 極低炭素鋼の溶製を行う前の数チャージの低炭素鋼の溶製において、付着地金の溶解・除去を行った操業条件のパターンを示す図である。 極低炭素鋼の脱炭速度に及ぼす真空脱ガス槽の付着地金の溶解・除去の実施あり、なしの影響を示す図である。
符号の説明
1 RH真空脱ガス装置
2 真空脱ガス槽
3 酸素吹き用ランス
4 取鍋
5 溶鋼
6 付着地金
7 排気ダクト
8 酸素ガス(気流)

Claims (4)

  1. 一次脱炭精錬炉から取鍋へ出鋼した溶鋼を収容し、溶製目標である中・低炭素鋼及び極低炭素鋼の両方を多数チャージ毎で交互に切り替えて再度精錬する真空脱ガス装置の使用方法であって、
    まず、中・低炭素鋼の溶製に際し、一次脱炭精錬炉からリムド状態で溶鋼を取鍋に出鋼し、該溶鋼を前記真空脱ガス装置で真空脱炭すると共に、該真空脱ガス装置に挿入した酸素吹き用ランスを介して該真空槽内の溶鋼浴面上の空間部に酸素ガスを吹き込んで、浴内発生COガスを二次燃焼させて真空槽内の付着地金を溶解してから、溶鋼の脱酸、成分調整する溶製のチャージを少なくとも複数回行い、その後に極低炭素鋼の溶製を行うことを特徴とする真空脱ガス装置の利用方法。
  2. 前記中炭素鋼、低炭素鋼及び極低炭素鋼の炭素含有量を、それぞれ0.30〜0.10質量%、0.10未満〜0.010質量%及び0.010質量%未満とすることを特徴とする請求項1記載の真空脱ガス装置の利用方法。
  3. 前記真空脱ガス装置としてRH真空脱ガス装置を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の真空脱ガス装置の利用方法。
  4. 前記酸素吹き用ランスの先端と前記真空槽内の溶鋼浴面との距離を5m以上とし、酸素吹き速度を0.08m3(標準状態)/(min・ton−steel)以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の真空脱ガス装置の利用方法。



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