JP2005272796A - セルロースアシレートフィルム、光学補償フィルム、偏光板、及びそれらを用いた画像表示装置 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、光学補償フィルム、偏光板、及びそれらを用いた画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005272796A
JP2005272796A JP2004211641A JP2004211641A JP2005272796A JP 2005272796 A JP2005272796 A JP 2005272796A JP 2004211641 A JP2004211641 A JP 2004211641A JP 2004211641 A JP2004211641 A JP 2004211641A JP 2005272796 A JP2005272796 A JP 2005272796A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
cellulose acylate
group
rth
wavelength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004211641A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Hajime Nakayama
元 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2004211641A priority Critical patent/JP2005272796A/ja
Publication of JP2005272796A publication Critical patent/JP2005272796A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

【課題】環境変化に対して光学的異方性の変化が小さく、環境が変化しても画像表示性能の低下がない画像表示装置が得られるセルロースアシレートフィルムの提供。
【解決手段】セルロースアシレート、波長分散調整剤、重合性化合物及び重合開始剤を含有する、セルロースアシレート組成物を、流延し、光照射して形成されたセルロースアシレートフィルムであって、Reλ及びRthλの、10%RHでの測定値に対する80%RHでの測定値の比が、何れも0.65以上であるセルロースアシレートフィルム。Reλ=(nx−ny)×d Rthλ={(nx+ny)/2−nz}×d[Reλは波長λ(nm)における該フィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λ(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)、nxは面内の遅相軸方向の屈折率、nyは面内の進相軸方向の屈折率、nzは厚み方向の屈折率、dは厚さ。]
【選択図】なし

Description

本発明は、画像表示装置に有用なセルロースアシレートフィルム、それを用いた光学補償フィルム及び偏光板などの光学材料、並びにそれらを用いた液晶表示装置に関し、さらに詳細には、画像表示装置に用いた場合に、環境が変化しても画像表示性能の低下がない、画像表示性能に優れた画像表示装置を得ることができるセルロースアシレートフィルム、それを用いた光学補償フィルム及び偏光板、並びにそれらを用いた液晶表示装置に関するものである。
従来、セルロースアシレートフィルムは、その強靭性と難燃性から写真用支持体や各種光学材料に用いられてきた。特に、近年は画像表示装置(例えば、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマディスプレイ等)用の光学透明フィルムとして多く用いられている。セルロースアシレートフィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学材料として優れており、これまで偏光膜の保護フィルムや、斜め方向から見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられてきた。
液晶表示装置用の部材のひとつである偏光板は、偏光膜の少なくとも片側に、偏光膜の保護フィルムが貼合されることにより形成されている。一般的な偏光膜は、延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムを、ヨウ素又は二色性色素で染色することにより得られる。多くの場合、偏光膜の保護フィルムとしては、PVAに対して直接貼り合わせることができるセルロースアシレートフィルム、中でもトリアセチルセルロースフィルムが用いられている。
偏光板の保護フィルムに用いられるセルロースアシレート自体は、非常に親水的なポリマーであり、様々な疎水化剤を添加して透水度を低下させる方法、更にはセルロースアシレート溶液中に重合性モノマーを含有させて製膜工程で重合してフィルムの湿度に対する機械的強度を改良する方法(特許文献1)等が提案されている。
最近の液晶表示装置は、高精細化がますます進み、偏光板用保護フィルムとして優れた光透過性、光学的な等方性、偏光膜との良好な接着性、優れた平面性、耐久性が求められている。とりわけ、環境条件が変化してもこれらの特性の変化を抑制し、表示画像の視認性及び偏光板の耐久性を改善することが重要となっており、これらの要望に応えられる偏光板用保護フィルムが望まれていた。
更には、表示画像の表示色味の改善が強く要求されるようになっている。
また、偏光膜の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、より光学的に等方性であることが求められている。光学的に等方性にするために、光学フィルムの複屈折と厚みの積で表されるレターデーション値を小さくすることが検討されている。
しかしながら、正面方向のレターデーション(Re)を小さくしたセルロースアシレートフィルムについては従来から種々の提案がなされてきたが、角度によるRe変化が小さい、すなわち膜厚方向のレターデーション(Rth)が小さいセルロースアシレートフィルムは困難であり、セルロースアシレートフィルムの代わりに、ポリカーボネート系フィルムや熱可塑性シクロオレフィン系フィルムを用いて、Reの角度変化の小さい光学透明フィルムとすることが提案されている[例えば、製品としては“ZEONOR”{日本ゼオン(株)製}や、“ARTON”{JSR(株)製}など]。しかし、これらの光学透明フィルムを偏光膜の保護フィルムとして使用する場合、フィルムが疎水的なためにPVAとの貼合性に問題があった。またフィルム面内全体の光学特性が不均一であるという問題もあった。
この解決法として、PVAへの貼合適性に優れるセルロースアシレートフィルムを、より光学的異方性を低下させて改良することが強く望まれている。とりわけ、斜め方向からの表示良化のために、具体的には、セルロースアシレートフィルムの正面のReをほぼゼロとし、またレターデーションの角度変化も小さい(角度を変えて測定してもそのReが変化しない)、すなわちRthもほぼゼロとした、光学的に等方性である光学透明フィルムの開発が要望されている。
セルロースアシレートフィルムの製造において、一般的に製膜性能を良化するため可塑剤と呼ばれる化合物が添加される。可塑剤の種類としては、リン酸トリフェニル、リン酸ビフェニルジフェニルのようなリン酸トリエステル、フタル酸エステル類などが知られている(例えば、非特許文献1)。これら可塑剤の中には、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果を有するものも知られており、例えば、特定の脂肪酸エステル類が開示されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、従来知られているこれらの化合物では、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果は十分とはいえず、より十分に光学的異方性を低下させたセルロースアシレートフィルムが要望されているのが現状である。
特開2002−20410号公報 特開2001−247717号公報 プラスチック材料講座、第17巻、日刊工業新聞社、「繊維素系樹脂」、121頁(昭和45年)
本発明の目的は、画像表示装置に用いた場合に、環境が変化しても画像表示性能の低下がない、画像表示性能に優れた画像表示装置を得ることができるセルロースアシレートフィルムを提供することである。
本発明の他の目的は、優れた特性を有する前記セルロースアセシレートフィルムを用いて得られる光学フィルム(偏光板、光学補償フィルムなど)、及び画像表示装置を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、薄膜でも、環境条件が変動してもフィルムの物理的な特性(機械的強度、耐湿性等)に優れた長尺ロール形態のセルロースアシレートフィルムを提供することである。
本発明者らは、セルロースアシレート(A)に、波長分散調整剤(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含有するセルロースアシレート組成物を溶液流延・光照射して製膜することにより、湿度変化に対する光学的異方性(Re、Rth)の変化度が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
更には、セルロースアシレートフィルムが、上記の波長分散調整剤(B)、及び重合性化合物(C)が重合された化合物を、含有して、フィルムの波長400nmと700nmでのRe、Rthの差ΔRe(nm)(=|Re400−Re700|)及びΔRth(nm)(=|Rth400−Rth700|)を小さくでき、さらには波長分散性をゼロに近づけることができ、波長の変化による色味の変化を抑制できることを見出した。
本発明において波長分散が小さいセルロースアシレートフィルムとしては、ΔRe≦15(nm)で、且つΔRth≦35(nm)であることが好ましい。より好ましくは、ΔRe≦10(nm)で、且つΔRth≦35(nm)であり、さらに好ましくは、ΔRe≦10(nm)で、且つΔRth≦30(nm)であり、ΔRe≦5(nm)で、且つΔRth≦20(nm)であることが特に好ましいことを見出した。
また、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、セルロースアシレートフィルムの、波長400nmにおける正面レターデーション値と、波長700nmにおける正面レターデーション値の差の絶対値|Re400−Re700|、及び波長400nmにおける膜厚方向のレターデーション値と、波長700nmにおける膜厚方向のレターデーション値の差の絶対値|Rth400−Rth700|を減少させ得る化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分100質量部に対して0.01〜30質量部用いることによって、所望の範囲に調整できることを見出した。
さらには、重合性化合物(C)が、波長400nm以上には吸収を持たない化合物であることにより、フィルムの着色が防止されることを見出した。
また、製造の際、波長分散調整剤(B)がセルロースアシレート組成物によく相溶し、作製フィルム中に凝集や析出等による白濁を生じたりすることなく、フィルム全体が均一な光学的な特性を有することを見出した。さらには重合性化合物(C)をセルロースアシレート組成物に含有させ、製膜後に相当する重合体とすることにより、該重合体がフィルム中に均一に分子分散して、フィルムの透湿性を制御し、且つ機械的特性(カール等の平面性、機械的強度等)を良好なものとすることを見出した。
更には、本発明において、セルロースアシレート(A)に異方性低下剤(E)を添加することで、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性をさらに十分に低下させ、Reがゼロで且つRthがゼロに近くするのに有効であることを見出した。さらにセルロースアシレート組成物に、異方性低下剤(E)として、オクタノール−水分配係数(LogP値)が0〜7である化合物を含有させることにより、フィルムが白濁したりすることなく均一な性能が得られることを見出した。
さらに本発明の、光学的異方性が小さく波長分散が小さいセルロースアシレートフィルムに、光学的異方性層を付設させることにより、視野角特性に優れた光学補償フィルムを提供できることを見出した。
かくして本発明は、以下の各構成により、上記目的を達成したものである。
(1)セルロースアシレート(A)、波長分散調整剤(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含有する、セルロースアシレート組成物を、流延し、光照射して形成されたセルロースアシレートフィルムであって、
下記数式(1)及び(2)で定義されるReλ及びRthλが、それぞれ下記数式(3)及び(4)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
数式(1):Reλ=(nx−ny)×d
数式(2):Rthλ={(nx+ny)/2−nz}×d
数式(3):Reλ80/Reλ10≧0.65
数式(4):Rthλ80/Rthλ10≧0.65
[式中、Reλは波長λ(nm)におけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λ(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。またnxは該フィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは該フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは該フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは該フィルムの厚さである。さらにReλ10は、該フィルムの波長λ(nm)における25℃、10%RHでの正面レターデーション値(単位:nm)、Reλ80は該フィルムの波長λ(nm)における25℃、80%RHでの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλ10は該フィルムの波長λ(nm)における25℃、10%RHでの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)、Rthλ80は該フィルムの波長λ(nm)における25℃、80%RHでの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(2)Reλ及びRthλが、それぞれ、下記数式(5)及び(6)を満たす上記(1)に記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(5):ΔRe=|Re400−Re700|≦10
数式(6):ΔRth=|Rth400−Rth700|≦35
[式中、Re400は波長400(nm)におけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Re700は波長700(nm)における該フィルムの正面レターデーション値(単位:nm);Rth400は波長400(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)、Rth700は波長700(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(3)セルロースアシレート組成物における波長分散調整剤(B)が、セルロースアシレートフィルムの|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を減少させうる、波長200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物から選ばれる少なくとも1種であり、該波長分散調整剤(B)が、セルロースアシレート固形分100質量部に対して0.01〜30質量部含有される上記(1)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(4)重合性化合物(C)が、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも1種の重合性基を含有する、波長400nm以上には吸収を持たない化合物である上記(1)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(5)重合性化合物(C)が、多環式脂肪族炭化水素構造を含有する化合物である上記(4)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(6)セルロースアシレート組成物がさらに、セルロースアシレートフィルムのReλ及びRthλを低下させうる、オクタノール−水分配係数(LogP値)が0〜7である異方性低下剤(E)を少なくとも1種含有し、その含有量がセルロースアシレート固形分100質量部に対して0.01〜30質量部の範囲である上記(1)又は(3)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(7)セルロースアシレート(A)が、下記数式(7)及び(8)を同時に満足する範囲にある請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(7):2.3≦SA'+SB'≦3.0
数式(8):0≦SA'≦3.0
(式中、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。)
(8)セルロースアシレートフィルムの60℃、95%RH・24hrの透湿度が、400g/m2・24hr以上2000g/m2・24hr以下である上記(1)〜(7)の何れかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(9)セルロースアシレートフィルムの、25℃、80%RHの平衡含水率が4.0%以下である上記(1)〜(8)記載の何れかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(10)セルロースアシレートフィルムが、長さ100〜5000m及び幅0.7〜2.0mの長尺品であって、フィルムの膜厚が10〜120μmで、その膜厚変動幅が±3%以内であり、且つ幅方向のカールが−7/m〜+7/mである上記(1)〜(9)の何れかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(11)セルロースアシレートフィルムを、80℃、90%RHの条件下に48時間静置した場合の、該フィルムの質量変化が5質量%以下である上記(1)〜(10)の何れかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(12)セルロースアシレートフィルムを、60℃、95%RHの条件下に24時間静置した場合の該フィルムの寸度変化、及び90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合の該フィルムの寸度変化が、何れも5%以下である上記(1)〜(11)の何れかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(13)上記(1)〜(12)の何れかに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、セルロースアシレート(A)、波長分散調整剤(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する工程(流延工程)と、上記流延工程により形成された皮膜に光照射を行う光照射工程とを有することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
(14)上記(1)〜(12)の何れかに記載のセルロースアシレートフィルムに、Re630=0〜200nmで、且つ|Rth630|=0〜300nmの光学異方性層を積層してなることを特徴とする光学補償フィルム。
(15)偏光膜の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が上記(1)〜(12)の何れか1項に記載のセルロースフィルムであることを特徴とする偏光板。
(16)視認側保護フィルム上に反射防止膜が設けられた上記(15)に記載の偏光板。
(17)上記(1)〜(12)に記載のセルロースアシレートフィルム、上記(14)に記載の光学補償フィルム、上記(15)〜(16)に記載の偏光板、の少なくとも何れかを用いたことを特徴とする画像表示装置。
(18)TN、STN、IPS、VA及びOCBの何れかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置である上記(17)に記載の画像表示装置。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、環境変化に対して光学的異方性(Re、Rth)の変化が小さいものであり、且つ光学的異方性(Re、Rth)の波長分散が小さく、更には実質的に光学的等方性であり、耐湿性、機械的特性に優れており、しかも生産性に優れ低コスト化が可能なものである。
更に、本発明のセルロースアセシレートフィルムを用いて得られる光学フィルム(本発明の偏光板、光学補償フィルムなど)は、環境変化に対しての光学的特性が安定で耐久性に優れており、さらにまた本発明の画像表示装置は、本発明のセルロースアセシレートフィルム又は光学フィルムを配置したものであり、環境変化に対しての表示画像の品位が安定で耐久性に優れたものである。
光学的異方性の耐湿度変化が抑制され、波長分散が小さい本発明のセルロースアシレートフィルムを、偏光板の保護フィルムとして用いることによって、偏光板の光学特性を向上させることができる。また、光学的異方性が小さく且つ光学的異方性の耐湿度変化が抑制され、波長分散が小さい、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムの支持体として用いると、光学補償フィルムそのものの光学性能を引き出すことができる。これらの偏光板や光学補償フィルムを液晶表示装置に用いることによって、コントラストを改善することができ、及び色味を改良することができ、更に耐湿性の向上を図ることができる。
<セルロースアシレートフィルム>
以下、本発明のセルロースアシレートフィルムについて詳細に説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレート(A)、波長分散調整剤(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含有するセルロースアシレート組成物を、流延し、光照射して形成されるものである。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その厚さが好ましくは10〜120μm、より好ましくは20〜120μm、さらに好ましくは30〜100μm、最も好ましくは30〜80μmである。また、フィルムの膜厚変動幅は、好ましくは±3%以内であり、さらに好ましくは±2.5%以内、もっとも好ましくは±1.5%以内である。この変動内であれば、該セルロースアシレートフィルムを反射防止フィルムの支持体として用いるとき、支持体厚みの変動幅が反射防止性に実質上影響を及ぼさない良好なものとなる。
膜厚変動幅を±3%以内とするには、(1)セルロースアシレートを低分子量体とする、(2)フィルム形成用のセルロースアシレートを主成分とする組成物を、有機溶媒に溶解した溶液(ドープ溶液)を流延する際の、濃度及び粘度を調節する、(3)乾燥工程において、膜表面の乾燥温度、乾燥風を用いる場合のその風量、風向等を調節すること等が有効である。溶解工程、流延工程及び乾燥工程は後述する製造方法の欄で説明する。
また本発明のセルロースアシレートフィルムは、長さ100〜5000mで、幅0.7〜2m、さらには0.7〜1.5mの長尺ロール形態であることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの厚さを上記範囲とすることによって、反射防止フィルム、偏光板保護フィルム及び画像表示装置を薄くして軽量化を可能にし、また透過率を高めてコントラストや表示輝度を改善するなどの良好な光学特性が安定して得られると共に、長尺で幅広なセルロースアシレートフィルムを、皺などの問題を生じることなくハンドリング性よく取り扱うことができる。
[カール]
本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−7/m〜+7/mであることが好ましい。本発明の、長尺で広幅のセルロースアシレートフィルムに対して、後述する表面処理、ラビング処理の実施、配向膜、光学異方性層の設置などを行う際に、透明フィルムの幅方向のカール値が前述の範囲内であると、フィルムのハンドリングが良好になり、フィルムの切断が起きなくなる。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触して発塵したり、フィルム上への異物付着が生じたりしなくなり、光学フィルムとしての点欠陥や、塗布スジの頻度を許容値の範囲内とすることができる。さらにカールを上述の範囲とすることで、光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができるので好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
以上のように本発明のセルロースアシレートフィルムは、長さ100〜5000m及び幅0.7〜2.0mの長尺品であって、フィルムの膜厚が10〜120μmで、その膜厚変動幅が±3%以内であり、且つ幅方向のカールが−7/m〜+7/mであるのが好ましい。
〔セルロースアシレート組成物〕
[セルロースアシレート(A)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、セルロースエステルを原料としてなるものである。該セルロースエステルの原料のセルロースとしては、綿花リンター、ケナフ、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。
本発明においては、セルロースからエステル化してセルロースアシレートを作製するが、上記のセルロースがそのまま利用できる訳ではなく、本発明におけるセルロースは、リンター、ケナフ、パルプを精製して用いられる。
本発明においてセルロースアシレートとは、セルロースの水酸基がアセチル基やアシル基で置換されてなるカルボン酸エステルのことであり、該アシル基の総炭素数が2〜22であるものをいう。
本発明のセルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が、下記数式(7)及び(8)を同時に満足するものが、溶解性の点で好ましい。
数式(7):2.3≦SA'+SB'≦3.0
数式(8):0≦SA'≦3.0
ここで、SA’はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB’はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。なお、SAはセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基を表し、SBはセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基を表す。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(各位それぞれ100%のエステル化は置換度1)を意味する。本発明では、SAとSBの置換度の総和(SA’+SB’)は、より好ましくは2.6〜3.0であり、特に好ましくは2.80〜3.00である。また、SAの置換度(SA')はより好ましくは1.2〜3.0であり、特には2.0〜3.0である。また、SBの置換度(SB')はより好ましくは0〜0.8であり、特には0〜0.6である。
なお上記の置換度SA’及びSB’は、セルロースの水酸基を置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族アシル基でも芳香族アシル基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、シクロアルキルカルボニルエステル、又は芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基(SB)としては、プロピオニル、ブタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、シクロヘキサンカルボニル、アダマンタンカルボニル、フェニルアセチル、ベンゾイル、アクリロイル、メタクロイル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、好ましいSBは、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、アクリロイル、メタクロイル、シクロヘキサンカルボニル、アダマンタンカルボニル、フェニルアセチル、シンナモイルなどである。
上記セルロースアシレートは、セルロースの低級脂肪酸エステルであるのがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースエステルとしてはセルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロース及びトリアセチルセルロースなどが挙げられる。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることも好ましい。
上記のセルロースの水酸基を置換するアシル置換基が、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合には、その全置換度が2.50〜3.00のとき、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させることができるので、全置換度をこの範囲とすることが好ましい。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、更に好ましくは2.65〜3.00である。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であるのが好ましく、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が該上限値以下であれば、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなりすぎて、流延によるフィルム作製が困難になるなどの不具合が生じることがなく、該下限値以上であれば、作製したフィルムの強度が低下するなどの不都合が生じないので、上述の範囲内とするのが好ましい。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。また特開平9−95538号公報にも詳細に記載されている。
またセルロースアシレートの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価することができ、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜5.0であることが好ましく、1.0〜3.0であることがさらに好ましく、1.0〜2.0であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。
本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)7〜12頁に詳細に記載されている。
上記セルロースアシレートは、その使用に際して、それぞれ単独で、又は異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[波長分散調整剤(B)]
上記セルロースアシレート組成物に含有される上記波長分散調整剤(B)は、セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる成分である。本発明の発明者らが鋭意検討した結果、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、セルロースアシレートフィルムの、波長400nmにおける正面レターデーション値と、波長700nmにおける正面レターデーション値の差の絶対値|Re400−Re700|、及び波長400nmにおける膜厚方向のレターデーション値と、波長700nmにおける膜厚方向のレターデーション値の差の絶対値|Rth400−Rth700|を減少させ得る化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分100質量部に対して0.01〜30質量部用いることによってセルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を所望の範囲に調整できることを見出した。すなわち、上記波長分散調整剤(B)としては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、セルロースアシレートフィルムの|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を減少させ得る化合物が好ましい。
このような波長分散調整剤(B)の作用は、つまびらかではないが、以下のようなものであると考えられる。
セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は、一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。従って、相対的に小さい短波長側のRe、Rthを大きくすることによって波長分散を平滑にすることが好ましい。
一方、200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は、この紫外領域の短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。このような化合物がセルロースアシレートフィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe、Rthの波長分散が、吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きくなるものと想定される。
従って上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe、Rthの波長分散が、短波長側で大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調整することができる。そして、このためには波長分散を調整する化合物は、セルロースアシレートに十分均一に相溶することが好ましい。上記波長分散調整剤(B)の紫外領域の吸収帯範囲は、上述のように200〜400nmが好ましく、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置では、より少ない電力で輝度を高めるに、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが好ましい。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を減少させる上記波長分散調整剤(B)をセルロースアシレートフィルムに添加する場合、得られるフィルムの分光透過率が優れていることが好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、且つ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることが好ましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤(B)は、セルロースアシレートフィルム作製の、ドープ溶液流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。揮散性の観点から、波長分散調整剤(B)の分子量は250〜1000であることが好ましい。より好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
(添加量)
本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤(B)の添加量は、前記のとおりセルロースアシレート固形分100質量部に対して、0.01〜30質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましく、0.2〜10質量部であることが特に好ましい。
(添加方法)
またこれら波長分散調整剤(B)は、単独で用いても、2種以上の化合物を任意の比で混合して用いてもよい。またこれら波長分散調整剤(B)を添加する時期は、ドープ溶液作製工程中の何れであってもよく、ドープ溶液調製工程の最後に行ってもよい。
(波長分散調整剤の具体例)
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤(B)の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(1)で示されるものが本発明の波長分散調整剤(B)として好ましく用いられる。
一般式(1):
1−Q2−OH
(式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環、Q2は芳香族環を表す。また−OH基は、Q2で表される芳香族環に直接結合し、好ましくは含窒素芳香族へテロ環Q1の隣接位置に置換される。)
1で表される含窒素芳香族へテロ環は、好ましくは5〜7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5〜6員の含窒素芳香族ヘテロ環である。具体的には、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等が挙げられる。Q1として更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールである。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は、更に置換基を有してもよく、置換基としては、後述の置換基T1を挙げることができる。また置換基が複数ある場合には、それぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
2で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。特に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として、好ましくは窒素原子又は硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として、好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
2であらわされる芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q2は更に置換基を有してもよく、そのような置換基としては、後述の置換基T1が好ましい。
置換基T1としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなど)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなど)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなど)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなど)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなど)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなど)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなど)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなど)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなど)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなど)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなど)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなど)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなど)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなど)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなど)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなど)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなど)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなど)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなど)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなど)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなど)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなど)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなど)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が2つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(1)として、好ましくは下記一般式(1−1)で表される化合物である。
一般式(1−1):
Figure 2005272796
上記一般式(1−1)において、R11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は、それぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、これら置換基としては、前述の置換基T1を挙げることができる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
11及びR13として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子又は炭素1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、最も好ましくは炭素数4〜12のアルキル基である。
12及びR14として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子又は炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子又はメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
15及びR18として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子又は炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子又はメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
16及びR17として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子又はハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子又は塩素原子である。
一般式(1)として特に好ましくは、一般式(1−1)において、R12、R14、R15及びR18が何れも水素原子を表す化合物が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は、特開平5−98242号公報、同7−101943号公報等に記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以下のものを含まずに本発明のセルロースアシレートフィルムを作製した場合、該化合物の保留性の点で有利であり、好ましい。
また本発明に用いられる波長分散調整剤(B)の一つであるベンゾフェノン系化合物としては、下記一般式(2)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(2):
Figure 2005272796
上記一般式(2)において、Q21及びQ22はそれぞれ独立して芳香族環を表す。X21は、NR21、酸素原子又は硫黄原子を表し、R21は水素原子又は置換基を表す。また、−X21H基はQ22で表される芳香族環に直接結合し、好ましくは、芳香族環Q22に結合するカルボニル基に隣接して置換される。
上記Q21及びQ22で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
21及びQ22で表される芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。特に好ましくはベンゼン環である。
21及びQ22で表される芳香族ヘテロ環として、好ましくは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子の何れかを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、前記一般式(1)中のQ2で例示のヘテロ環と同様のものが挙げられる。
21及びQ22であらわされる芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換又は無置換のベンゼン環である。
21及びQ22は更に置換基を有してもよく、このような置換基としては、前記した置換基T1と同様のものが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含まないものであることが好ましい。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
21は、NR21、酸素原子又は硫黄原子を表し、好ましくはNR21又は酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。またR21は水素原子又は置換基を表し、置換基としては、前記置換基T1と同様のものを挙げることができる。R21として、好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。
一般式(2)として、好ましくは、下記一般式(2−1)で表される化合物である。
一般式(2−1):
Figure 2005272796
上記一般式(2−1)中、R21,R22,R23,R24,R25,R26,R27,R28及びR29は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表し、置換基としては、前述の置換基T1と同様のものを挙げることができる。またこれらの置換基は、更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
21,R23,R24,R25,R26,R28及びR29として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子又は炭素1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子又はメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
22として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20の置換基を含むアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基又はヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
27として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20の置換基を含むアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基又はヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基又は水素原子である。
一般式(2−1)において、特に好ましくは、式中のR21、R23及びR24の何れもが水素原子で、且つR22がアルコキシ基又はアリールオキシ基である化合物が挙げられる。
一般式(2)であらわされる化合物は、特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
また本発明に用いられる波長分散調整剤(B)の一つである、シアノ基を含む化合物としては、一般式(3)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(3):
Figure 2005272796
上記一般式(3)中、Q31及びQ32は、それぞれ独立して芳香族環を表す。X31及びX32は水素原子又は置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基又は芳香族ヘテロ環を表す。
31及びQ32であらわされる芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。特に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として、好ましくは窒素原子又は硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、前記一般式(1)中のヘテロ環と同様のものが挙げられる。
31及びQ32であらわされる芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
31及びQ32は、更に置換基を有してもよく、前記一般式(1)中の置換基T1と同様のものが挙げられる。
31及びX32は水素原子又は置換基を表し、少なくともどちらか1つは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基又は芳香族ヘテロ環を表す。X31及びX32で表される置換基は、前述の置換基T1と同様のものを挙げることができる。また、X31及びX32で表される置換基は、更に他の置換基によって置換されてもよく、X31及びX32はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
31及びX32として、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基又は芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基又は芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基又はカルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基又はアルコキシカルボニル基{−C(=O)OR30(R30は:炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又はこれらを組み合せたもの)}である。
一般式(3)として好ましくは下記一般式(3−1)で表される化合物である。
一般式(3−1):
Figure 2005272796
上記一般式(3−1)中、R311,R312,R313,R314,R315,R316,R317,R318,R319及びR320は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表し、置換基としては、前述の置換基T1と同様のものを挙げることができる。またこれらの置換基は、更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。X31及びX32は、一般式(3)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
311,R312,R314,R315,R316,R317,R319及びR320として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子又は炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子又はメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
313及びR318として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20の置換基を含むアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基又はヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(3)として、より好ましくは、下記一般式(3−2)で表される化合物である。
一般式(3−2):
Figure 2005272796
上記一般式(3−2)中、R313及びR318は、前記一般式(3−1)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。またX32は水素原子、又は置換基を表し、置換基としては、前述の置換基T1と同様のものを挙げることができ、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X32として、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基又は芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基又は芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基又はカルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基又はアルコキシカルボニル基{−C(=O)OR30(R30は:炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又はこれらを組み合せたもの)}である。
一般式(3)として、更に好ましくは、一般式(3−3)で表される化合物である。
一般式(3−3):
Figure 2005272796
上記一般式(3−2)中、R313及びR318は一般式(3−1)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R31は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
31として、好ましくは、R313及びR318が両方とも水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。また、R313及びR318の少なくとも何れかが水素以外の場合には、好ましいR31としては、炭素数20以下の炭素数のアルキル基であって、且つ一般式(3−3)で表される化合物の分子量が300以上となるようなアルキル基であることが好ましい。
本発明一般式(3)で表される化合物は、“Jounal of American Chemical Society”,63巻、3452頁(1941年)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。なお具体例中、Phはフェニル基を表す。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
[重合性化合物(C)]
本発明でセルロースアシレート組成物に用いられる前記重合性化合物(C)としては、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基から選ばれる少なくとも1種の重合性基を含有し、且つ波長400nm以上に吸収を持たない化合物(以下、ラジカル重合性基を含有する化合物を「ラジカル重合性モノマー」ということがあり、カチオン重合性基を含有する化合物を「カチオン重合性モノマー」ということがある)が好ましい。重合性化合物(C)は、具体的にはラジカル重合性モノマー又はカチオン重合性モノマーであり、モノマー、オリゴマーの何れであってもよい。
{ラジカル重合性モノマー(C1)}
上記ラジカル重合性モノマー(C1)としては、具体的には、例えば下記一般式(4−1)で表されるモノマーが挙げられる。
一般式(4−1)
Figure 2005272796
一般式(4−1)中、V41は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHCO−、−SO2−、−CO−、−CON(Q41)−、−SO2N(Q41)−又はフェニレン基(以下フェニレン基をPhで表すこともある。ただしPhは1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン基を含む)を表す。ここで、Q41は水素原子又は炭素数1〜8の、置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、フロロベンジル基、メチルベンジル基、シクロヘキシルメチル基、2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。V41の好ましい態様として、−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−が挙げられる。
41及びa42は同じでも異なってもよく、水素原子、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)又は−CH2COOR410基(R410はアルキル基を表す。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)を表す。
41は、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表す。脂肪族基としては、炭素数1〜22の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
これらの中で、炭素数1〜18の直鎖状、炭素原子数3〜18の分岐状、並びに炭素原子数5〜16の環状の脂肪族基がより好ましい。
かかる脂肪族基は置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。
非金属原子団の具体的な例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、−OH基、−OR411、−SR411、−COR411、−COOR411、−OCOR411、−SO2411、−NHCONHR411、−N(R412)COR411、−N(R412)SO2411、−N(R413)(R414)、−CON(R413)(R414)、−SO2N(R413)(R414)、−P(=O)(R415)(R416)、−OP(=O)(R415)(R416)、−Si(R417)(R418)(R419)、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基(アリール環としては、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子の何れかを少なくとも1個含有する単環式もしくは多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
上記のアルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の脂肪族基に導入し得る基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記R411は、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜18のアリール基、又は複素環基を表す。R411における脂肪族基は前記R41で表される脂肪族基と同義である。R411におけるアリール基としては、前記R41で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記R41で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。R412は、水素原子又はR411基と同様のものを表す。
前記R413及びR414は、それぞれ独立に、水素原子、又はR411と同様のものを表し、R413とR414とは互いに結合して、N原子を含有する5員又は6員の環を形成してもよい。
前記R415及びR416は、それぞれ独立に、−OH、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜14のアリール基、又は−OR411を表す。R415及びR416における脂肪族基は前記R41で表される脂肪族基と同義である。R415及びR416におけるアリール基としては、前記R41で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記R41で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。但し、かかる極性置換基において、R415及びR416の双方が−OHで表されることはない。
前記R417、R418及びR419は、それぞれ独立に、炭素数1〜22の炭化水素基又は−OR420を表すが、これらの置換基の内少なくとも1つは炭化水素基を表す。炭化水素基は前記R41で示される脂肪族基及びアリール基と同様のものを表し、−OR420は前記−OR411と同様の内容を表す。
前記式(4−1)におけるR41で表されるアリール基としては、前記R41で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。また、かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、前記R41で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
また前記式(4−1)におけるR41で表される複素環基としては、前記R41で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示した複素環基と同様のものが挙げられる。また、かかる複素環基は更に置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、前記R41で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
ラジカル重合性モノマー(C1)としては、脂環式脂肪族炭化水素構造を有する波長400nm以上に吸収を持たない化合物(以下、「多環式脂肪族炭化水素化合物」ということがある)を使用することもまた好適な態様である。このような脂環式脂肪族炭化水素化合物としては、下記一般式(4−2)で表される脂環式炭化水素基を含有するモノマーが挙げられる。
一般式(4−2):
Figure 2005272796
一般式(4−2)中、a41、a42及びV41はそれぞれ前記一般式(4−1)におけるa41、a42及びV41と同義である。
40は、炭素数5〜30個の環状構造脂環式脂肪族炭化水素構造を構成する炭化水素基であり、単環式、多環式、架橋環式、スピロ環式等を含む複数の脂肪族炭化水素からなる環状構造が挙げられる。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。
特に好ましい態様は、多環式、架橋式或はスピロ環式から選ばれる脂肪族炭化水素構造が挙げられる。好ましくは炭素数6〜25のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(4−1)のR41及び一般式(4−2)のR40における脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。特に、一般式(4−2)のR40において、(305)〜(350)の構造例が好ましい。また、下記構造例において、共役しない位置に二重結合を含有してもよい。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
また、これらの脂環式炭化水素基は、少なくとも1種の置換基を有していてもよい。脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、アシル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の具体的な内容は、前記一般式(4−1)中のR41で例示したと同一の内容のものが挙げられる。
41は、式(4−2)における−V41−と−R40とを連結する基を表し、直接結合又は総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子又は珪素原子に結合する水素原子を除く)を表す。好ましくは、直接結合又は総原子数1〜12の連結基を表す。但し、R40が単環式脂肪族基の場合は、L41は直接結合ではなく、総原子数が1〜12の連結基であることが好ましく、更には総原子数1〜8の連結基であることが好ましい。
41における連結基としては、炭素原子−炭素原子結合(単結合又は二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。例えば、原子団としては下記のものが挙げられる。
Figure 2005272796
ここで、z41、z42はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。z43、z44はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トリル基等)等を示す。z45は水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、z44と同様のもの等)等を示す
{カチオン重合性モノマー(C2)}
次に、カチオン重合性モノマー(C2)について説明する。
本発明に用いられるカチオン重合性モノマー(C2)は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下、活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる化合物の何れもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。本発明ではカチオン重合性モノマー(C2)のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性モノマー(C2)の具体例としては、エポキシ基含有の化合物(脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂等)(エポキシ化合物)、環状エーテル又は環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、ビニルオキシ基含有のビニルエーテル化合物、エポキシ化合物とラクトンとの反応によって得られるスピロオルソエステル化合物、エチレン性不飽和炭化水素化合物(ビニル炭化水素化合物)等を挙げることができる。またこれら各種の化合物の構造中には、前記ラジカル重合性モノマー(C1)における化合物と同様の多環式脂肪族炭化水素構造を有していてもよい。このような多環式脂肪族炭化水素構造の具体例としては、前記一般式(4−2)におけるR40として例示された多環式脂肪族炭化水素構造を挙げることができる。
上記した中でも、本発明では、カチオン重合性モノマー(C2)として、エポキシ化合物、ビニルオキシ基含有の化合物(以下「ビニルオキシ化合物」とも称する)が好ましく用いられ、中でも1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物、1分子中に2個以上のビニルオキシ基を有するポリビニルオキシ化合物、及び1分子中に少なくともエポキシ基とビニルオキシ基をそれぞれ一個以上有する化合物がより好ましく用いられる。特にカチオン重合性モノマーとしては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する脂環式ポリエポキシ化合物を含有するエポキシ化合物の混合物であって、該脂環式ポリエポキシ化合物の含有量が、該混合物の全質量に基づいて30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であるエポキシ化合物の混合物を用いると、カチオン重合速度、厚膜硬化性、解像度、紫外線透過性などが一層良好になり、しかも樹脂組成物の粘度が低くなって製膜が円滑に行われるようになる。
上記した脂環式エポキシ樹脂としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、又は不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキシド又はシクロペンテンオキシド含有化合物などを挙げることができる。
また、上記した脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。信越化学工業(株)製の“K−62−722”や東芝シリコーン(株)製の“UV9300”等のエポキシシリコーン、“Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry”,第28巻、497頁(1990年)に記載されているシリコーン含有エポキシ化合物のような多官能エポキシ化合物を挙げることができる。
また、上記した芳香族エポキシ樹脂としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価もしくは多価フェノール又は、そのアルキレンオキシド付加体のモノもしくはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらの芳香族エポキシ樹脂として、例えば、特開平11−242101号公報段落番号[0084]〜[0086]記載の化合物、特開平8−277320号公報段落番号[0016]〜[0029]記載の化合物、特開平10−158385号公報段落番号[0044]〜[0046]記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物が好ましく、特に脂環式エポキシ化合物が好ましい。本発明では、上記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
オキセタニル基を含有する化合物としては、分子中に含有されるオキセタニル基の数は1〜10、好ましくは1〜4である。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。
具体的には、例えば特開2000−239309号公報段落番号[0024]〜[0025]に記載の化合物、J.V. Crivelloら著、“J.M.S. PUREAPPL. CHEM.”, A30、173〜187頁(1993年)に記載の珪素含有のオキセタン化合物等が挙げられる。
ビシクロオルトエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物等を挙げることができる。
ビニル炭化水素化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等のスチレン化合物、ビニルシクロヘキサン、ビニルビシクロヘプテン等のビニル基置換脂環炭化水素化合物、前記ラジカル重合性モノマー(C1)の欄で記載の化合物(V41が−O−に相当の化合物)、2−メタクリロイルオキシエチルビニルエーテル、2−アクリロイルオキシエチルビニルエーテル等のアルケニルビニルエーテル化合物、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のカチオン重合性窒素含有化合物、ブタンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−ベンゼンジメタノールジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、サゾルシノールジビニルエーテル等の多官能ビニル化合物、“Journal of PolymerScience: Part A: Polymer Chemistry”,32巻、2895頁(1994年)に記載されているプロペニル化合物、“Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry”,33巻、2493頁(1995年)に記載されているアルコキシアレン化合物、“Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry”,34巻、1015頁(1996年)に記載されているビニル化合物、“Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry”,34巻、2051頁(1996年)に記載されているイソプロペニル化合物等を挙げることができる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ−又はトリビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明では、上記したカチオン重合性モノマー(C2)の1種又は2種以上を用いることが好ましく、特に上述のように、ビニルエーテル類、エポキシ化合物やオキセタン化合物におけるオキシラン構造を有するものが、光重合反応性や重合体の膜特性が良好になる点で好ましい。
2種以上用いる場合には、1分子中に2個以上のカチオン重合性基を有する多官能性化合物を全モノマー中30質量%以上の割合で用いるのが好ましい。
{一官能性マクロモノマー(C3)}
本発明においては、上記の重合性化合物(C)と共に、重合体主鎖の片末端に重合性基を有し、且つ質量平均分子量が1×103〜2×104の繰り返し単位からなる一官能性マクロモノマー(C3)を併用することも好ましい。
一官能性マクロモノマー(C3)は、重合性モノマー(C)と共重合反応し、クシ型ブロック共重合体を形成するものであることが好ましい。
本発明に供される一官能性マクロモノマー(C3)の質量平均分子量は、好ましくは1×103〜1.5×104であり、より好ましくは3×103〜1×104である。この範囲において、一官能性マクロモノマー(C3)と重合性モノマー(C)との共重合反応が充分に進行する。また形成されたブロック重合体の、一官能性マクロモノマー(C3)に由来するクシ部のポリマー鎖長による、高分子鎖同士の絡み合い効果が充分に発現し、よりいっそうの膜強度向上などが可能となる。
上記の一官能性マクロモノマー(C3)のうち、重合性基としてビニル基を有するものとしては、下記一般式(5)の化合物を挙げることができる。
一般式(5):
Figure 2005272796
式中、U51は重合性基を含有する官能基を表し、L51はU51と繰り返し単位[ ]とを連結する連結基又は単結合を表す。繰り返し単位[ ]は、前記のラジカル重合性モノマー(C)に相当する重合体成分を表し、V51、R50、a51、及びa52は、それぞれ、一般式(4−1)のV41、R41、a41、及びa42とそれぞれ同様の内容を表す。
一官能性マクロモノマー(C3)の一例を示す上記一般式(5)中、U51はラジカル重合性基又はカチオン重合性基を表すのが好ましい。
具体的には、U51がラジカル重合性基の場合は、下記一般式(5−1)で表される官能基が挙げられる。
一般式(5−1):
Figure 2005272796
一般式(5−1)中、a53、a54、V52は、それぞれ、一般式(4−1)中のa41、a42、V41と同様の内容を表す。
51がカチオン重合性基を表す場合、カチオン重合性基は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下、活性エネルギー線を照射したときに、重合反応及び/又は架橋反応を生ずる重合性基を含有する官能基が挙げられる。代表例としては、エポキシ基、環状エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル化合物、ビニルオキソ基等が挙げられる。より具体的には、上記のカチオン重合性モノマー(C2)で例示したと同様のものが挙げられる。
51は、前記のとおりU51と繰り返し単位[ ]とを連結する連結基又は単結合を表すが、該連結基は、総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子又は珪素原子に結合する水素原子を除く)である。好ましいL51は、単結合又は総原子数1〜18の連結基である。
51における連結基としては、炭素原子−炭素原子結合(単結合又は二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、珪素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。例えば、原子団としては、前記の一般式(4−2)中の「L41」の具体例と同一のもの、及び下記のものが挙げられる。
Figure 2005272796
なお上記式において、z51はL41の連結基の具体例中のz45と同様の基を表す。
以下に、一般式(5)における連結基L51で示される部分の具体例を示す。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
但し、上記一般式(L−1)〜(L−19)において、各記号は次のものを表す。
z;−H,−Ci2i+1(i=1〜4の整数),−CH2−Ph
p;0又は1、m1;1〜12の整数、m2;2〜3の整数
n1;2〜12の整数、n2;2〜4の整数
一般式(5)で示される繰り返し単位[ ]中のR50は、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表し、更に好ましくは、R50が−L52−R51で表される置換基が挙げられる。L52、R51は、前記の一般式(4−2)におけるL41、R40と同義である。
また、本発明の一官能性マクロモノマー(C3)は、繰り返し単位[ ]の成分として、上記の成分以外に他の成分を含有してもよい。
他の成分として、繰り返し単位に相当する単量体としては、例えば、ビニルシクロアルカン類(ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン等);スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルベンゼンカルボン酸、クロロメチルスチレン、メトキシカルボニルスチレン、メトキシメチルスチレン、ビニルベンゼンカルボキシアミド、ビニルベンゼンスルホンアミド等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、イタコン酸の環状酸無水物;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;重合性二重結合基含有のヘテロ環化合物(具体的には、例えば高分子学会編「高分子データハンドブック−基礎編−」、175〜184頁、培風舘1986年刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルオキサゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニルモルホリン等)等が挙げられる。
これら繰り返し単位成分は、ビニルシクロアルカン類、スチレン及びその誘導体(ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ハロゲン置換スチレン、メトキシスチレン、メトキシカルボニルスチレン等)の場合は、全繰り返し単位成分中の50質量%以下、それ以外の繰り返し単位成分の場合は、30質量%以下で含有されることが好ましい。
マクロモノマー(C3)の、重合体主鎖の片末端のみに重合性基を導入する方法としては、ラジカル重合性基を導入する場合、従来公知のラジカル重合(例えばiniferter法等)、アニオン重合もしくはカチオン重合によって得られるリビングポリマーの末端に種々の二重結合基を含有する試薬を反応させるか、又はこのリビングポリマーの末端に、特定の反応性基(例えば−OH、−COOH、−SO3H、−NH3、−SH、−PO32、−NCO、−NCS、エポキシ基、チオエポキシ基、イミノ基、COCl、−SO2Cl等)を含有した試薬を反応させた後、高分子反応により重合性二重結合基を導入する方法(イオン重合法による方法)、或いは分子中に上記特定の反応性基を含有する重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用いてラジカル重合させた後、重合体主鎖の片末端にのみ結合した特定の反応性基を利用して高分子反応を行うことにより重合性二重結合基を導入する方法等の合成法などが挙げられる。
具体的には、大津隆行、「高分子」33巻(3号)222頁(1984年);P.Dreyfuss & R.P. Quirk,"Encycl. Polym. Sci. Eng.”,7巻551頁(1987年);中條善樹、山下雄也「染料と薬品」30巻232頁(1985年);上田明、永井進「化学と工業」60巻57頁(1986年);P.F. Rempp & E.Franta,"Advances in Polymer Science",58巻1頁(1984年);伊藤浩一、「高分子加工」35巻262頁(1986年);V.Percec,"Applied Polymer Science",285巻97頁(1984年)等の総説及びそれに引用の文献等に記載の方法に従って重合性二重結合基を導入することができる。
また、カチオン重合性基を片末端にのみ導入する方法としては、上記のラジカル重合性基を導入する場合に挙げた重合開始剤又は連鎖移動剤の置換基中に、予めカチオン重合性基を含有した化合物を用いて合成する方法が挙げられる。
重合性化合物(C)の総量は、セルロースアシレート組成物の固形分量全量中0.1質量%〜55質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.5質量%〜30質量%である。
マクロモノマー(C3)を併用する場合の使用量は、全重合性化合物(C)の総量中1質量%〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは3質量%〜50質量%、特に好ましくは5質量%〜40質量%の範囲であるのがよい。
更には、重合性化合物(C)として、ラジカル重合性モノマー(C1)とカチオン重合性モノマー(C2)とを併用する場合には、その使用割合は必ずしも限定されないが、ラジカル重合性モノマー(C1)/カチオン重合性モノマー(C2)=(5/95)〜(95/5)(質量比)の範囲であることが好ましい。より好ましくは(10/90)〜(90/10)(質量比)の範囲であり、更に好ましくは(20/80)〜(80/20)(質量比)の範囲であるのがよい。
この範囲にあっては、セルロースアシレートドープ組成物の粘度、反応速度が好ましい範囲となり、得られる製膜フィルムの力学的特性にも優れ、点欠陥などのない極めて均一な表面状態のフィルムが得られる。さらに80μm以下の薄膜であっても、膜の強度が良好なフィルムが得られるので好ましい。
[重合開始剤(D)]
次に、本発明のセルロースアシレート組成物に用いられる重合開始剤(D)について詳述する。
{光重合開始剤(D1)}
上記の重合開始剤(D)としては、光照射により、ラジカルもしくは酸を発生する光重合開始剤(D1)が挙げられる。本発明において用いられる光重合開始剤(D1)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、取り扱いを白灯下で実施することができる。
まず、光重合開始剤D1として用いることができる、光照射によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤(ラジカル発生化合物)(D11)について詳述する。
{ラジカル重合開始剤(D11)}
本発明において好適に用いられるラジカル重合開始剤(D11)は、光照射によりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。
公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることができる。また、ラジカル重合開始剤(D11)は、単独又は2種以上を併用して用いることができる。
ラジカル重合開始剤(D11)としては、例えば、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン化合物等が挙げられる。
上記有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、米国特許第3,905,815号明細書、特開昭63−298339号公報、M.P. Hutt,“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”,1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物及びs−トリアジン化合物が挙げられる。
また他の有機ハロゲン化合物の例として、特開平5−27830号公報段落番号[0039]〜[0048]記載のケトン類、スルフィド類、スルホン類、窒素原子含有の複素環類等が挙げられる。
前記のカルボニル化合物としては、例えば、「最新 UV硬化技術」60〜62頁{(株)技術情報協会刊、1991年}、特開平8−134404号公報段落番号[0015]〜[0016]、同11−217518号公報段落番号[0029]〜[0031]に記載の化合物等が挙げられ、アセトフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体、ベンジルジメチルケタール、アシルホスフィンオキシド等が挙げられる。
前記有機過酸化化合物としては、例えば、特開2001−139663号公報段落番号[0019]に記載の化合物等が挙げられる。
前記メタロセン化合物としては、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
前記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各公報/明細書記載の種々の化合物等が挙げられる。
前記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz, Martin,“Rad Tech'98. Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩化合物があげられ、また例えば、前記特開2002−116539号公報の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。
他の有機ホウ素化合物として、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
前記スルホン化合物としては、特開平5−239015号公報に記載の化合物等、前記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報に記載の一般式(II)及び一般式(III)で示される化合物等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤(D11)は、1種のみを添加しても、2種以上を併用してもよい。添加量としては、ラジカル重合性化合物(C)100質量部に対して0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜25質量部、特に好ましくは1〜20質量部の範囲で添加することができる。この範囲において、ドープ組成物の経時安定性が問題なく高い重合性となる。
{カチオン重合開始剤(D12)}
次に、光照射により酸を発生して光重合開始剤(D1)として用いることができるカチオン重合開始剤(酸発生剤)(D12)について詳述する。
カチオン重合開始剤(D12)としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、又はマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。
また、カチオン重合開始剤(D12)として、例えば、有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物が挙げられる。有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物のこれらの具体例は、前記ラジカル重合開始剤(D11)の記載と同様のものが挙げられる。
本発明において、特に好適に用いられるカチオン重合開始剤(D12)としては、オニウム化合物が挙げられ、オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号公報段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号[0035]に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号公報の段落番号[0010]〜[0011]に記載のジアリールヨードニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号[0017]に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号[0030]〜[0033]に記載のオニウム塩等が挙げられる。
カチオン重合開始剤(D12)の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号[0059]〜[0062]に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤(D12)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのカチオン重合開始剤(D12)は、全重合性化合物(C)の全質量100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは0.5〜20質量部、特に好ましくは1〜15質量部の割合で添加することができる。添加量を上記範囲内とすることにより、ドープ組成物の安定性、重合反応性等が向上するので好ましい。
本発明において用いられるセルロースアシレート組成物は、上記重合性化合物(C)(ラジカル重合性モノマー及びカチオン重合性モノマー)100質量部に対して、ラジカル重合開始剤(D11)を0.5〜10質量部及びカチオン重合開始剤(D12)を1〜10質量部の割合で含有していることが好ましい。より好ましくは、ラジカル重合開始剤(D11)を1〜5質量部、及びカチオン重合開始剤(D12)を2〜6質量部の割合で含有する。
紫外線照射により重合反応を行う場合には、本発明におけるセルロースアシレート組成物には、従来公知の紫外線分光増感剤、化学増感剤を併用してもよい。例えばミヒラーズケトン、アミノ酸(グリシンなど)、有機アミン(ブチルアミン、ジブチルアミンなど)等が挙げられる。
また、近赤外線照射により重合反応を行う場合には、近赤外線分光増感剤を併用することが好ましい。
併用する近赤外線分光増感剤は、700nm以上の波長域の少なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であればよく、分子吸光係数が10000以上の値を有する化合物が好ましい。また、420nm〜700nmの可視光波長域に吸収の谷があり、光学的に透明であることがより好ましい。近赤外線分光増感剤は、近赤外線吸収顔料及び近赤外線吸収染料として知られる種々の顔料及び染料を用いることができる。その中でも、従来公知の近赤外線吸収剤を用いることが好ましい。
顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている赤外吸収性の微粒子顔料が利用できる。
染料としては、市販の染料及び文献(例えば、「化学工業」1986年5月号45〜51頁の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990年){(株)シーエムシー発行}等に記載されている公知の染料が利用できる。
近赤外線分光増感剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、その使用量は、セルロースアシレート組成物の全固形分中、0.01〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、更に1〜8質量%であることが好ましい。
[異方性低下剤(E)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、更に光学的異方性を低下させる異方性低下剤(E)を含有することが好ましい。フィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向することを抑制することができる化合物である異方性低下剤(E)を用いることにより、光学的異方性を十分に低下させてReがゼロ及びRthをゼロに近くすることが可能となり、フィルムの光学的な等方性が向上する。このためには光学的異方性低下剤(E)はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが好ましい。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が好ましい。
(LogP値)
そして異方性低下剤(E)は、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制して、光学異方性を低下させる化合物であるが、更にオクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物であることが好ましい。化合物のlogP値が7以下であれば、セルロースアシレートとの相溶性が乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じるなどの不都合が生じないので好ましく、logP値が0以上であれば、親水性が高すぎてセルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させるなどの不具合を生じさせないので、化合物のlogP値はこの範囲内にあることが好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS Z−7260−107(2000)に記載のフラスコ震盪法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法又は経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法[“J.Chem. Inf. Comput. Sci.”,27巻21頁(1987年)];Viswanadhan’s fragmentation法[“J.Chem. Inf. Comput. Sci.”,29巻163頁(1989年)];Broto’s fragmentation法[“Eur. J.Med. Chem.−Chim. Theor.”,19巻71頁(1984年)]などが好ましく用いられるが、中でもCrippen’s fragmentation法がより好ましい。ある化合物のlogPの値が、測定方法又は計算方法により異なる場合に、該化合物が上記の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。
(異方性低下剤の物性)
異方性低下剤(E)は、芳香族基を含有してもよいし、含有しなくてもよい。また異方性低下剤(E)は、好ましくは、25℃で液体であるか又は融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか又は融点が25〜200℃の固体である。また異方性低下剤(E)は、セルロースアシレートフィルム作製時のドープ溶液の流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。異方性低下剤(E)の分子量は150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
異方性低下剤(E)の添加量は、セルロースアシレート100質量部の0.01〜30質量部であることが好ましく、1〜25質量部であることがより好ましく、5〜20質量部であることが特に好ましい。また異方性低下剤(E)は、単独で用いても、2種以上の化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
異方性低下剤(E)を添加する時期は、ドープ溶液の作製工程中の何れの時期であってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
セルロースアシレートフィルムの、少なくとも一方の側の表面から、全膜厚の10%までの部分における異方性低下剤(E)の平均含有率は、該セルロースアシレートフィルムの厚み方向の、中央部における該異方性低下剤の平均含有率の80〜99%となるように配合するのが好ましい。該異方低下剤(E)の存在量は、例えば特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより、表面及び中心部の異方性低下剤量を測定して求めることができる。
以下に本発明で好ましく用いられる、異方低下剤(E)の具体例を示すが、本発明はこれら化合物に限定されるものではない。
(イ)オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である、置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族アルコールのリン酸トリエステル:例えば、メチルジエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、1−アダマンチルジヘキシルホスフェート、2−エチルオキシカルボニルエチルホスフェート。
(ロ)オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である、1価もしくは多価のカルボン酸エステル化合物:
カルボン酸としては、例えば、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、シクロへキセンカルボン酸等の不飽和脂肪酸;シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、ノルボルネンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸等の脂環式環カルボン酸)、炭素数2〜22の直鎖又は側鎖を有する多価脂肪族カルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、アセチレンジカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸、メバロン酸、クエン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸等)、芳香族カルボン酸(例えば、ベンゼンカルボン酸、ベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、べンゼンテトラカルボン酸、トルイル酸、ナフトエ酸等)等があげられる。
エステル残基としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪族基(例えば、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、エイコシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンチル、アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル等;アルケニル基としては、例えば、アリル、ブテニル、ヘキセニル、オクテニル、オレイル、シクロペンテニイル、シクロヘキセニル等;アルキニル基としては、例えば、プロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等)、炭素数6〜14の芳香族基(例えば、フェニル、ナフチル、アントラニル、インデニル、ビフェニレニル等)が挙げられる。これらの脂肪族基及び芳香族基は置換基を有してもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基、活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ又はアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシ又はアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル又はアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、4級窒素原子含有ヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
(ハ)エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基又はカルバモイル基の少なくとも1種で置換された、酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を含有する5又は6員環の複素環化合物:
ヘテロ環構造としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、チアン、ピロリジン、ピペリジン、インドリン、イソインドリン、クロマン、イソクロマン、テトラヒドロ−2−フラノン、テトラヒドロ−2−ピロン、4−ブタンラクタム、6−ヘキサノラクタムなどを挙げることができる。
また、上記のヘテロ原子を含んで構成される5又は6員環は、ラクトン構造又はラクタム構造、すなわち、上記のヘテロ原子の隣接炭素にオキソ基を有する環状エステル又は環状アミド構造を含む。このような環状エステル又は環状アミド構造の例としては、2−ピロリドン、2−ピペリドン、5−ペンタノリド、6−ヘキサノリドを挙げることができる。
エステル基としては、好ましくは炭素数が1〜20、さらに好ましくは炭素数が1〜16、特に好ましくは、炭素数が1〜12であり、例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、ペンチルカルボニルオキシ、ヘキシルカルボニルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、ヘプチルカルボニルオキシ、ノニルカルボニルオキシ、ウンデシルカルボニルオキシ、ベンジルカルボニルオキシ、ナフタレンカルボニルオキシ、アダマンタンカルボニルオキシ等が例示できる。
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数が1〜20、さらに好ましくは炭素数が1〜16、特に好ましくは、炭素数が1〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、1−エチルプロピルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、3,7−ジメチル−3−オクチルオキシカルボニル、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシカルボニル、2,4−ジメチルペンチル−3−オキシカルボニル、アダマンタンオキシカルボニル、ジシクロペンタジエニルオキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル等が例示できる。
アミド基としては、好ましくは炭素数が1〜20、さらに好ましくは炭素数が1〜16、特に好ましくは、炭素数が1〜12であり、例えば、アセタミド、エチルカルボキサミド、プロピルカルボキサミド、ブチルカルボキサミド、ペンチルカルボキサミド、ヘキシルカルボキサミド、シクロヘキシルカルボキサミド、ヘプチルカルボキサミド、オクチルカルボキサミド、アダマンタンカルボキサミド、ノニルカルボキサミド、ドデシルカルボキサミド、ペンタカルボキサミド、ヘキサデシルカルボキサミドなどが例示できる。
カルバモイル基としては、好ましくは炭素数が1〜20、さらに好ましくは炭素数が1〜16、特に好ましくは、炭素数が1〜12であり、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル、ペンチルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル、オクチルカルバモイル、ヘプチルカルバモイル、オクチルカルバモイル、アダマンタンカルバモイル、デシルカルバモイル、ドデシルカルバモイル、テトラデシルカルバモイル、ヘキサデシルカルバモイルなどが例示できる。
(ニ)多価アルコールエステル化合物:多エステル化合物は、モノカルボン酸との多エステル化体である。脂肪族ポリオール類としては、その価数は2〜20のものが好ましい。より好ましくは2〜10ものが挙げられる。
脂肪族ポリオールの具体的な化合物として、炭素数2〜8のアルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)、ヒドロキシ基を3個以上含有する炭素数3〜18のアルカン類(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、トリグリセリン、ジペンタエリスリトール、シクロヘキサントリオール、シクロヘキサントリメタノール、イノシトール等)が挙げられる。
ポリアルキレンオキシポリオール類としては、上記のような同じアルキレンジオール同士が結合していても異なるアルキレンジオールが互いに結合していてもよいが、同じアルキレンジオール同士が結合したポリアルキレンポリオールがより好ましい。何れの場合もの結合数は3〜10が好ましい。より好ましくは3〜5である。具体的にはジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジ(オキシエチレン−オキシプロピレン)等が挙げられる。
モノカルボン酸としては、前記のカルボン酸エステル化合物に記載のモノカルボン酸と同様の内容のものが挙げられる。
糖類アルコールとして、例えば、高分子学会高分子実験学編集委員会編「天然高分子」第二章{共立出版(株)、1984年刊}、小田良平等編「近代工業化学22、天然物工業化学II」{(株)朝倉書店、1967年刊}等に記載の多価アルコール合物が挙げられる。遊離のアルデヒド基やケトン基を持たない還元性を示さない糖類が好ましい。グルコース、スクロース、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体及び糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類され、何れも本発明に好適に用いられる。トレハロース型少糖類には、サッカロースやトレハロースがあり、配糖体としては、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体などが挙げられる。また糖アルコールとしてはD,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−ガラクチット、D,L−タリット、ズリシット及びアロズルシットなどが挙げられる。更に二糖類の水素添加で得られるマルチトール及びオリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)も好適に用いられる。
(ホ)下記一般式(6)で示される、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である環状リン酸エステル化合物:
一般式(6):
Figure 2005272796
上記一般式(6)において、R61、R62及びR63は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数が1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル等)であることが好ましく、R61、R62及びR63の少なくとも1つ以上が炭素原子数1〜3のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル等)であることが特に好ましい。X61は、単結合、−O−、−CO−、アルキレン基(好ましくは炭素原子数1〜6、より好ましくは1〜3のもの、例えばメチレン、エチレン、プロピレン)又はアリーレン基(好ましくは炭素原子数6〜24、より好ましくは6〜12のもの。例えば、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン)から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基であることが好ましく、−O−、アルキレン基又はアリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基であることが特に好ましい。Y61は、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数2〜25、より好ましくは2〜20のもの。例えば、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、シクロヘキシル、ジシクロヘキシル、アダマンチル)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜24、より好ましくは6〜18のもの。例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル)又はアラルキル基(好ましくは炭素原子数7〜30、より好ましくは7〜20のもの。例え、ベンジル、クレジル、t−ブチルフェニル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル等)であることが好ましく、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であることが特に好ましい。−X61−Y61の組み合わせとしては、−X61−Y61の総炭素数が0〜40であることが好ましく、1〜30であることがさらに好ましく、1〜25であることが最も好ましい。
これら一般式(6)で表される化合物の好ましい例を以下に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
(ヘ)下記の一般式(7)で示される、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7であるスルホンアミド化合物:
一般式(7):
Figure 2005272796
上記一般式(7)において、R71はアルキル基又はアリール基を表し、R72及びR73は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。また、R71、R72及びR73の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基及びスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基及びスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。R71とR72が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(7)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
(ト)下記の一般式(8)で示される、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物:
一般式(8):
Figure 2005272796
上記一般式(8)中、X81はホウ素(B)、C−R84(R84は水素原子又は置換基を表す)、窒素(N)、リン(P)又はP=Oを表す。R81、R82及びR83は、それぞれ独立に、アリール基(例えば、フェニル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基)、又は複素環基(例えば、4−ピリジル基)を表し、これらのアリール基、シクロアルキル基及び複素環基は、それぞれ環上に置換基を有していてもよい。R81とR82が互いに結合して環を形成していてもよい。
81、R82及びR83が、無置換もしくは置換されたフェニル基であるのが特に好ましい。
以下に一般式(8)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。なお、以下の化学式においてR811〜R815、R821〜R825及びR831〜R835は、それぞれ上述したR81、R82及びR83と同じである。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
上記の各化合物の他に、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パラストリン酸などのアビエチン酸誘導体等の多環構造のカルボン酸化合物、スルホン化合物類(例えばジフェニルスルホン、フェニルトリルスルホン、ヘキシルフェニルスルホン等)、分子量が10000以下のビスフェノール誘導体(この範囲であれば単量体でもよいし、オリゴマー、ポリマーでもよい)が挙げられる。ビスフェノール誘導体は、他のポリマーとの共重合体でもよいし、末端に反応性置換基が修飾されていてもよい。
以下にこれら化合物の化学式を示すが、特にこれらに限定されるものではない。なお、ビスフェノール誘導体の下記具体例中で、R841〜R844は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。e、f、gは繰り返し単位を表し、特に限定はしないが、1〜100の整数が好ましく、1〜20の整数がさらに好ましい。
Figure 2005272796
[他の添加剤]
更に、本発明におけるセルロースアシレート組成物には、各調製工程において用途に応じた他の種々の添加剤{例えば、微粒子、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、光学異方性コントロール剤、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等}を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。
これらの添加剤の添加する時期は、ドープ溶液作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ溶液調製工程の最後に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。上記の紫外線吸収剤を含めてこれらの詳細は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)16〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
これらの添加剤の使用量は、セルロースアシレート全組成物中、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
[微粒子]
本発明では、セルロースアシレートフィルムの耐傷性や搬送性を良好に保持するためにセルロースアシレート組成物に微粒子を添加するのが好ましい。それらは、マット剤、ブロッキング防止剤又はキシミ防止剤と称されて従来から利用されている。それらは、前述の機能を呈する素材であれば特に限定されない。
これらの微粒子の好ましい具体例は、無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは珪素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであり、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できるので二酸化珪素が特に好ましい。
また、表面処理された無機微粒子もセルロースアシレート中への分散性が良好となり好ましい。処理法としては、例えば、特開昭54−57562号公報に記載の方法が挙げられる。粒子としては、例えば、特開2001−151936号公報に記載のものが挙げられる。
有機化合物としては、例えば、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、なかでも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂のなかでも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましい。
これらの微粒子をセルロースアシレート溶液へ添加する場合は、特にその方法は限定されず、何れ方法でも所望のセルロースアシレート溶液を得ることができれば問題ない。例えば、セルロースアシレートと溶媒を混合する段階で微粒子を含有させてもよいし、セルロースアシレートと溶媒で混合溶液を作製した後に微粒子を添加してもよい。更にはドープ溶液を流延する直前に添加混合する、いわゆる直前添加方法を採用してもよく、その混合にはスクリュー式混練がオンラインで設置して用いられる。微粒子の混合は、微粒子それ自身を添加してもよいが、微粒子を予め溶媒やバインダー(好ましくはセルロースアシレート)を用いて分散しておいたり、場合によっては分散して安定化した分散液として用いたりすることも好ましい態様である。
これらの微粒子の一次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、好ましくは3〜200nmが好ましい。より好ましくは5〜100nmであり、更に好ましくは5〜80nmでる。
セルロースアシレートに対する微粒子の添加量は、セルロースアシレート100質量部に対して、微粒子は0.01〜0.3質量部が好ましく、0.05〜0.2質量部がさらに好ましい。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
次に、セルロースアシレート組成物においてセルロースアシレートを溶解して溶液を調製する有機溶媒について記述する。
用いられる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3〜12のケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報明細書中の段落番号[0020]、同11−60807号公報明細書中の段落番号[0037]等に記載の化合物)等が挙げられる。
エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及びCOO−)の何れかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、何れかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。具体的には、例えば前記の公技番号2001−1745の12頁〜16頁に詳細の化合物が挙げられる。
特に、本発明では、溶媒は2種類以上の有機溶媒を混合して用いることが好ましく、特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる3種類以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子数3〜4のケトンもしくは炭素原子数3〜4のエステル、又はその混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数5〜7のケトン類又はアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒が沸点30〜170℃のアルコール又は沸点30〜170℃の炭化水素から選ばれることが好ましい。特に、酢酸エステルを20〜90質量%、ケトン類を5〜60質量%、アルコール類を5〜30質量%の混合比(合計量100質量%)で用いることがセルロースアシレートの溶解性の点から好ましい。
また上記有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を含まない非ハロゲン系有機溶媒系が特に好ましい。技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。なお「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアシレートフィルムから、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。
本発明に使用しうる有機溶媒は具体的には、例えば特開2002−146043号公報の段落番号[0021]〜[0025]、特開2002−146045号公報の段落番号[0016]〜[0021]等に記載の溶媒系の例が挙げられる。
本発明におけるセルロースアシレート組成物の溶液において、セルロースアシレートの濃度は、溶液全量中10〜30質量%、さらには13〜27質量%、特には15〜25質量%とするのが好ましい。
これらの濃度となるようにする方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように調整してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に、後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、何れの方法で本発明で用いられるセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
〔セルロースアシレートフィルムの製造方法〕
次に、本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法について述べる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造は、セルロースアシレート(A)、波長分散調整剤(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含有する、セルロースアシレート組成物の溶液(ドープ溶液)を流延する流延工程と、流延工程により形成された皮膜に光照射を行う光照射工程とを行うことにより実施できる。更に、本発明においては、流延工程の前にセルロースアシレート組成物を溶解させてドープ溶液を作製する溶解工程を行う。
[溶解工程]
溶解工程における溶解方法は特に限定されず、室温で溶解させてもよく、さらには冷却溶解法又は高温溶解方法、さらにはこれらを組み合わせで溶解させてもよい。本発明におけるドープ溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、濾過の各工程に関しては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)22〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
得られるドープ溶液の透明度としては85%以上であることが望ましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることが望ましい。この範囲の透明度があれば、セルロースアシレート溶液に含まれる各種の添加剤が十分に溶解していることが確認できる。
具体的なドープ溶液の透明度は、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計“UV−3150”{(株)島津製作所製}を用いて550nmの吸光度を測定することにより求められる。この際、溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
[流延工程及び光照射工程]
次に、得られたドープ溶液を用いてフィルムを製造する。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルロースアシレートフィルム製造に供する流延工程と光照射工程を含む製造方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。
すなわち、流延工程は、溶解機(釜)から調製されたドープ溶液(セルロースアシレートを含む溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープ溶液に含まれている泡を脱泡して最終調整をする。次いで、最終調整したドープ溶液をドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープ溶液を加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延させ、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られたウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取ることにより行われる。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。
また、光照射工程は、ドープ溶液を流延してから乾燥が終了するまでの間の任意の場所で行えばよいが、特にドープ膜が支持体上にあるときに光照射することが好ましい。光照射の光源は、紫外線光域又は近赤外線光のものであれば何れでもよく、紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられ、これら波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源を、マルチビーム化照射する方法等を採用することができる。また近赤外光光源としては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプ等が挙げられ、これら波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源を、マルチビーム化照射する方法等を採用することができる。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行うことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1〜100mW/cm2程度が好ましく、ドープ膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程でのドープ膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、ドープ膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
また、光照射工程終了後には乾燥工程を行い、フィルムを乾燥させることが好ましい。乾燥は、セルロースアシレートフィルムにおける残留溶媒量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で行うことが好ましい。残存溶剤量は、より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
さらに流延工程では、流延方向(縦方向)等の一方向のみの1軸延伸、又は流延方向及び他の方向(横方向)の2軸延伸等が行われることが好ましい。
[延伸処理工程]
作製されたポリマーフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は3〜100%であることが好ましい。延伸処理工程に下記(1)及び/又は(2)の延伸方法を採用した場合には、軸ズレ(遅相軸角度)を所定の範囲内に調整できることから好ましい。
(1)3〜40%、より好ましくは7〜38%、さらに好ましくは15〜35%の延伸倍率で幅方向に延伸する。これに引き続き、長手方向に0.4%以上5%以下、より好ましくは0.7%以上4%以下、さらに好ましくは1%以上3.5%以下膨張させながら50〜160℃で熱処理する。
(2)延伸中に表裏に温度差を付与する。流延時に基板(バンド又はドラム)に接触していた面の温度を、その反対面より2℃以上20℃以下、より好ましくは3℃以上15℃以下、より好ましくは4℃以上12℃以下高くする。このような方法により、延伸工程でのフィルム内に添加した添加剤(微粒子、紫外線吸収剤等)の偏在化が解消されることで、得られるフィルムの光学特性が均質化されるとともに機械的特性が向上する。
本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用光学部材の機能性保護フィルム製造のための溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
〔セルロースアシレートフィルムの特性〕
[フィルム表面の性状]
本発明のセルロースアシレートフィルムの表面は、JIS B0601−1994に基づくフィルムの表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が、0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。
フィルム表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することができる。
本発明のフィルムの表面状態を上記の凹凸の大きさ内とすることで、後述するフィルムの表面処理、光学補償フィルムとする場合に必要とされることがある配向膜の塗設において、フィルム全面が安定して均一に処理され、処理ムラや塗布ムラ等による光学的な欠陥が解消される。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、その動摩擦係数が0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることが特に好ましい。動摩擦係数が大きいと搬送ロールとの間で強く擦られる結果、フィルムから発塵しやすくなる場合があり、フィルム上への異物付着が多くなって、光学フィルムとしての点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えてしまう場合があるので上記範囲内とするのが好ましい。動摩擦係数は5mmφの鋼球を用いる鋼球法により測定することができる。
[フィルムのヘイズ]
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは、0.01〜2.0%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%である。この範囲において、光学フィルムとして重要なフィルムの透明性が十分に確保できる。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃、60%RHでヘイズメーター“HGM−2DP”{スガ試験機(株)製}を用い、JIS K−6714に従って測定することができる。
[フィルムのレターデーション]
本発明のセルロースアシレートフィルムの光学的異方性(Re、Rth)は、波長630nmにおける面内のレターデーションRe630が10nm以下(0≦Re630≦10)で且つ、膜厚方向のレターデーションRth630の絶対値が25nm以下(|Rth630|≦25nm)であることが好ましい。更に好ましくは、0≦Re630≦5で且つ|Rth630|≦20nmであり、0≦Re630≦2で且つ|Rth630|≦15nmであることが特に好ましい。
[フィルムのRe、Rthの湿度依存性]
そして、本発明のセルロースアシレートフィルムは、面内のレターデーションRe及び膜厚方向のレターデーションRthがともに湿度による変化が小さい。すなわち、下記数式(1)及び(2)で定義されるReλ及びRthλが、それぞれ下記数式(3)及び(4)を満たすことを特徴とするものである。
数式(1):Reλ=(nx−ny)×d
数式(2):Rthλ={(nx+ny)/2−nz}×d
数式(3):Reλ80/Reλ10≧0.65(好ましくは≧0.70)
数式(4):Rthλ80/Rthλ10≧0.65(好ましくは≧0.70)
上記数式(3)及び数式(4)の比率がそれぞれ0.65以上であると、画像表示装置に用いた場合に環境の変化により画像表示性能が低下することがなく好ましい。
なお上記の数式中、Reλは波長λ(nm)におけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λ(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。またnxは該フィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは該フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは該フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは該フィルムの厚さである。さらにReλ10は、該フィルムの波長λ(nm)における25℃、10%RHでの正面レターデーション値(単位:nm)、Reλ80は該フィルムの波長λ(nm)における25℃、80%RHでの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλ10は該フィルムの波長λ(nm)における25℃、10%RHでの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)、Rthλ80は該フィルムの波長λ(nm)における25℃、80%RHでの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。
上記各レターデーション値は、それぞれ以下のようにして測定できる。
・正面レターデーション(Re):
フィルム試料70mm×100mmを、上記の各条件で2時間調湿し、自動複屈折計“KOBRA21DH”{王子計測(株)製}を用いて、波長(λ=)632.8nmにおける垂直方向から測定したレターデーション値の外挿値より算出する。
数式(1):Reλ=(nx−ny)×d
なお、波長は632.8nm以外の波長を用いる場合がある。
・膜厚方向のレターデーション(Rth):
フィルム試料30mm×40mmを、上記の各条件で2時間調湿し、エリプソメーター“M150”{日本分光(株)製}で、波長(λ=)632.8nmにおける垂直方向から測定した値とフィルム面を傾けながら同様に測定したレターデーション値の外挿値より次式に従い算出する。
数式(2):Rthλ={(nx+ny)/2−nz}×d
[フィルムのレターデーションの波長依存性]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、正面レターデーションRe及び膜厚方向のレターデーションRthそれぞれの、波長400nmの測定値と波長700nmの測定値との差の絶対値が小さいことが好ましい。具体的には下記数式(5)及び(6)を満たすことが好ましい。
数式(5):ΔRe=|Re400−Re700|≦10(より好ましくは≦5)
数式(6):ΔRth=|Rth400−Rth700|≦35(より好ましくは≦30)
なお上記の数式中、Re400は波長400(nm)におけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Re700は波長700(nm)における該フィルムの正面レターデーション値(単位:nm);Rth400は波長400(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)、Rth700は波長700(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。
このような波長によるRth及びReの変化が抑えられることで、波長分散性がゼロに近づく。これにより光学フィルムとして波長の変化による色味の変化が著しく抑制できる。
なお、Rth、及びReの各測定は、25℃、60%RHで2時間調湿後に各測定波長(400nm、700nm)で行う。
[フィルムの平衡含水率]
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、セルロースアシレートフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないように、膜厚のいかんに関わらず、25℃、80%RHにおける平衡含水率が0〜4質量%であることが好ましい。0.1〜3.5質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることが特に好ましい。平衡含水率が該上限値以下であれば、該セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムの支持体として用いる際に、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎるなどの不具合が生じないので好ましい。
また、セルロースアシレートフィルムの25℃、10%RHでの平衡含水率と25℃、80%RHの平衡含水率との比率(80%RH平衡含水率/10%RH平衡含水率)が3〜10の範囲であることが、光学補償フィルム、偏光板保護フィルム等の支持体として用いる際に支持体と該機能性層との密着性を低下させない等の理由で好ましい。
セルロースアシレートフィルムの含水率の測定法は、フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置{それぞれ“CA−03”,“VA−05”、共に三菱化学(株)}を用いてカールフィッシャー法により測定する。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出する。
[フィルムの透湿度]
本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS Z−0208、B条件(温度40℃、湿度90%RH)において測定し、膜厚80μmに換算して求められる。セルロースアシレートフィルムの透湿度は、400〜2000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。フィルムの透湿度が該上限値以下であれば、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えるなどの不都合が生じないので、フィルムの透湿度は該範囲内とするのが好ましい。また、本発明のセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えるなどの不都合が生じないので、この光学補償フィルムや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こすなどの不具合が生じることがないので、フィルムの透湿度は該範囲内とするのが好ましい。一方、セルロースアシレートフィルムの透湿度が該下限値以上であれば、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられて接着不良を生じるなどの不都合を生じないので、フィルムの透湿度は該範囲内とするのが好ましい。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、下記数式
(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)
として求める。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁「蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)」に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び、60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置{“KK−709007”東洋精機(株)製}にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量(g/m2)を算出し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量の式より求める。
[フィルムの保留性]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、「80℃/90%RH」の条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が0〜5%であるのが、フィルムの変質(濁り、白化等の発生)や寸度の安定性等の点で好ましく、0〜2%であることがさらに好ましい。
(保留性の評価方法)
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80+5℃、90+10%RHの条件下で48時間放置する。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を算出する。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
[フィルムの寸度変化]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、60℃、95%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率及び、90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率が何れも0〜5%以下であることが好ましい。より好ましくは0〜3%以下である。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ{新東科学(株)}にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(LS0)とする。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(LS1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(LS2)を測定する。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定し、下記数式(9)及び(10)に従って寸度変化率を求める。
数式(9):60℃、90%RHの高湿寸度変化率={|LS0−LS1|/LS0}×100
数式(10):90℃、5%RHの高温寸度変化率={|LS0−LS2|/LS0}×100
[フィルムの機械的特性]
(引裂き強度)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、そのJIS K−7128−2:1998の引裂き試験方法(エルメンドルフ引裂き法)に基づく引裂き強度が、2g以上であるのが、前記の好ましい膜厚においても膜の強度が充分に保持できる点で好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更に好ましくは6〜25gである。また60μm換算では、8g以上が好ましく、より好ましく8〜15gである。
具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
(引掻き強度)
また、引掻き強度は1g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましく、10g以上であることが特に好ましい。この範囲とすることにより、フィルム表面の耐傷性、ハンドリング性が問題なく保持される。
引掻き強度は、円錐頂角が90度で先端の半径が0.25mのサファイヤ針を用いて支持体表面を引掻き、引掻き跡が目視にて確認できる荷重(g)をもって評価することができる。
[フィルムの残留溶媒量]
セルロースアシレートフィルムに対する残留溶媒量は、0.01〜1.5質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
残留溶媒量を1.5質量%以下とすることでカールを抑制できる。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の、残留溶媒量を少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
[フィルムの吸湿膨張係数]
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。
この吸湿膨張係数を調節することで、セルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした際に、光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したセルロースアシレートフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(D0)の雰囲気下にぶら下げる。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0)を測定する。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(D1)にして、24時間放置し長さ(L1)を測定する。吸湿膨張係数は下数式(11)により算出する。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用する。
数式(11):吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(D1−D0
作製したセルロースアシレートフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、セルロースアシレートフィルム中に疎水基を有する化合物又は微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ溶液)に対して0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましい。またセルロースアシレートフィルム中の残留溶媒量を少なくして、自由体積を小さくする方法も挙げられる。具体的には、セルロースアシレートフィルムに対する残留溶媒量が、0.01〜1.5質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%の範囲である。
〔セルロースアシレートフィルムの表面処理〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムを各種用途に用いた際に積層される各機能層(例えば、下塗層及びバック層)との接着性を向上させることができる。表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。
ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下で起こる低温プラズマでもよく、また大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とはこのような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報 公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)、30〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
(鹸化処理)
これら表面処理の中でも特に好ましいものは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
(1)浸漬法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面の、アルカリと反応性を有する全ての部分を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないためコストの観点で好ましい。アルカリ鹸化処理液には、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液などが挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜3.0[モル/L]の範囲にあることが好ましい。更に、アルカリ処理液としては、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール等)、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール類、グリセリン等)を含有することで、鹸化液のフィルムに対する濡れ性、鹸化液の経時安定性等が良好となる。好ましいアルカリ液の液温は25〜70℃、特に好ましくは30〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和したりすることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合は、通常、水に対する接触角が20゜〜50゜、より好ましくは30゜〜50゜の範囲の親水化された表面を有していることが好ましく、その親水化された表面を偏光膜と接着させて使用するのがよい。親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
(2)アルカリ液塗布法
適切な条件でアルカリ液を、フィルムの片面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥する、アルカリ液塗布法が好ましく用いられる。アルカリ液及び処理方法は、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレット、特開2003−313326号公報等に記載の内容が挙げられる。フィルムの他の面に機能層が付設されたフィルムの処理方法として極めて有効である。
〔機能層〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、主として光学用途に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された2枚の偏光板、及び該液晶セルと該偏光板との間に、少なくとも1枚の光学補償フィルムを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VA及びHANが好ましい。
上記の光学用途に本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるに際し、各種の機能層が付与される。それら機能層としては、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のセルロースアシレートフィルムを支持体として用いることができる、これらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報 公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)32〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
<用途>
〔偏光板用保護フィルム〕
本発明のセルロースアシレートフィルムの用途について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、特に偏光膜の保護フィルムとして有用である。偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。
偏光膜(偏光フィルム)としては、合成樹脂フィルムに、ヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理や、延伸処理、架橋処理等の適宜な処理を適宜な順序や方式で施してなり、自然光を入射させると直線偏光を透過する適宜なものを用いることができる。特に、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。
合成樹脂フィルムとしては、例えばポリビニルアルコールや部分ホルマール化ポリビニルアルコールなどの親水性高分子フィルムが好ましく、特にヨウ素による染色性が良好である点から、ポリビニルアルコール系フィルムが好ましい。ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を、水又は有機溶媒に溶解した原液を流延成膜する流延法、キャスト法、押出法等、任意の方法で成膜されたものを適宜使用することができる。使用するポリビニルアルコール系樹脂の数平均重合度は、100〜5000が好ましく、1400〜4000がより好ましい。また、ポリビニルアルコール系フィルムの延伸前のフィルム膜厚は、特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。
二色性分子はI3 -やI5 -などの高次のヨウ素イオン又は二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編(CMC出版)や「工業材料」第28巻、第7号、39〜45頁に記載されているように、ヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液、及び/又はホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性染料の具体例としては、例えば、「偏光フィルムの応用」(CMC刊、昭和61年2月10日発行)、或いは「COLOUR INDEX,ThirdEdition,Volume2」(The Society of Dyers and Colourists,The American Association of Textile Chemists and Colrists刊、1971年発行)中のC.I.Direct染料(直接染料)等をあげることができる。
偏光膜は、上記合成樹脂フィルムを、常法により染色、架橋、延伸、乾燥して形成されるものであり、その厚さは、特に限定されるものではないが、5〜80μmが一般的であり、好ましくは10〜40μm、特に好ましくは10〜22μmである。
更に、偏光膜の耐熱・耐湿性を高めるために偏光膜の製造工程で架橋剤を併用することも好ましい。架橋剤としては、ホウ酸類(米国再発行特許第232897号明細書記載等)、多価アルデヒド類(特許第3357109号公報記載等)、金属塩類(特開2000−35512号公報記載)等が挙げられる。
また、合成樹脂フィルムを延伸する場合は、総延伸倍率を3〜7倍の範囲に設定するが好ましく、特に4〜6倍の範囲に設定するのが好ましい。総延伸倍率が上記の範囲内であれば、高偏光度の偏光板を得ること可能であり、フィルムの破断の防止の観点からも好ましい。延伸方法や延伸回数等は、特に制限されるものではなく、染色、架橋の各工程で行ってもよく、何れか一工程でのみ行ってもよい。また、同一工程で複数回行ってもよい。
偏光板は、上記のような偏光膜の両面に、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面をアルカリ処理し、接着剤を介して貼り合わせて作製する方法が一般的ある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光膜を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は、偏光膜及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。またセパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
そして、本発明のセルロースアシレートフィルムは、以下のような本発明の偏光板に用いられる。
すなわち、(1)偏光膜の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が上述の本発明のセルロースフィルムである偏光板。(2)空気側保護フィルム上に反射防止膜を設けた偏光板。「空気側」とは、保護フィルムの偏光膜に貼合する面の側とは反対側であり、また、偏光板の視認側を意味する。
また液晶表示装置には、通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースアシレートフィルムは、どの部位に配置しても優れた表示性が得られる。
画像表示装置の視認側最表面の偏光板保護フィルムには、透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、本発明のセルロースアシレートフィルムをこの部分に用いることが特に好ましい。
〔光学補償フィルム〕
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルムとして有用である。
なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは光学異方性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その正面レターデーション及び膜厚方向のレターデーションが、それぞれ、下記数式(5)及び(6)を満たすものであることが好ましい。
数式(5):ΔRe=|Re400−Re700|≦10
数式(6):ΔRth=|Rth400−Rth700|≦35
ここで、Re400は波長400(nm)におけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Re700は波長700(nm)における該フィルムの正面レターデーション値(単位:nm);Rth400は波長400(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)、Rth700は波長700(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)を表す。
セルロースアシレートフィルムが上記数式(5)及び(6)を満足する場合には、波長分散が小さいため、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると光学異方性層の光学性能のみを発現することができる。
更にはReλ及びRthλが、0≦Reλ≦10nmで且つ|Rthλ|≦25nmと光学的異方性が小さく、光学的な等方性が向上したものも好ましい態様として挙げられる。
従って、本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合、併用する光学異方性層のRe及びRthは、Re=0〜200nmで、且つ|Rth|=0〜300nmの範囲であることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でもよい。すなわち、本発明の光学補償フィルムは、本発明のセルロースアシレートフィルムに、Re630=0〜200nmで、且つ|Rth630|=0〜300nmの光学異方性層を有するものであることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムが使用される液晶表示装置の、液晶セルの光学性能や駆動方式は、特に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成してもよいし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成してもよい。前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物又は棒状液晶性化合物が好ましい。
[ディスコティック液晶性化合物]
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献{C.D.Destrade et al.,“Mol. Crysr. Liq. Cryst.”,71巻111頁(1981年);日本化学会編、「季刊化学総説」第22号、「液晶の化学」第5章、第10章第2節(1994年);B.Kohne et al.,“Angew. Chem. Soc. Chem. Comm.”,1794頁(1985年);J.Zhang et al.,“J.Am. Chem. Soc.”,第116巻、2655頁(1994年)}に記載の化合物が含まれる。
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
[棒状液晶性化合物]
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、“Makromol.Chem.”,190巻、2255頁(1989年)、“Advanced Materials”,5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、同95/24455号パンフレット、同97/00600号パンフレット、同98/23580号パンフレット、同98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、及び特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。
[ポリマーフィルムからなる光学異方性層]
光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成される。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル及びセルロースエステル(例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体又はポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸又は二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、又はポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、2枚以上のポリマーフィルムを用いて、2枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
〔画像表示装置〕
[一般的な液晶表示装置の構成]
セルロースアシレートフィルムは、偏光膜の透過軸と、セルロースアシレートフィルムの遅相軸とを、どのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光膜、及び該液晶セルと該偏光膜との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層又は(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
そして、本発明の画像表示装置(液晶表示装置)は、本発明のセルロースアシレートフィルム、本発明の光学補償フィルム、本発明の偏光板の少なくとも何れかを用いたものである。
[液晶表示装置の種類]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードに適用できる。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くからよく知られている。
TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文{"Jpn. J.Appl. Phys.",36巻(1997年)143頁や、"Jpn. J.Appl. Phys.",36巻(1997年)1068頁}に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360゜の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。
STN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体として、特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムのReレターデーション値を0〜150nmとし、Rthレターデーション値を70〜400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20〜70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に2枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に1枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150〜400nmであることが好ましい。
VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモード及びECBモードの液晶セルを有する、IPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体、又は偏光板用保護フィルムとしても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において、本発明のセルロースアシレートフィルムを保護フィルムとして用いた偏光板は、視野角拡大、コントラストの改善に寄与する。この態様においては、該偏光板の保護フィルムと、保護フィルムと液晶セルの間に配置された光学異方性層のレターデーションの値は、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。またRth値の絶対値|Rth|は25nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下に設定するのが好ましいため、本発明のセルロースアシレートフィルムが有利に用いられる。
(OCB型液晶表示装置及びHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置又は、HANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償フィルムの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学的異方性層と支持体との配置により決定される。
OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(“Jpn. J.Appl. Phys.”,38巻(1999年)2837頁)に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償フィルムとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くからよく知られている。
TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、国際公開第00−65384号パンフレットに記載がある。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。
ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文{Kume et al.,“SID 98 Digest”,1089頁(1998年)}に記載がある。
〔ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。特にLCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面又は両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。
以下に、このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様について説明する。
[反射防止フィルム]
反射防止フィルムは、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも1層の層(すなわち、高屈折率層、中屈折率層)を反射防止層として有する反射防止膜を透明基体上に設けてなる。本発明においては、透明基体として、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることが好ましい。
反射防止膜の形成方法としては、屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させて多層膜とする方法;化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法により薄膜を形成する方法;金属アルコキシド等の金属化合物のゾル/ゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法などが挙げられる。さらに生産性が高い反射防止膜の形成方法として、無機粒子をマトリックスに分散させてなる薄膜組成物を積層塗布して反射防止膜を形成する方法など各種の提案がなされている。またこの塗布による反射防止フィルムに、最上層表面が微細な凹凸の形状を有している防眩性を付与した反射防止膜からなる反射防止フィルムも挙げられる。
(塗布型反射防止膜の層構成)
透明基体上に設けられる反射防止膜が3層の場合、すなわち、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成からなる反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明基体の屈折率>低屈折率層の屈折率。
また、透明基体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。あるいは、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい。これらの例としては、例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等が挙げられる。さらに、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止膜のヘイズは5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また反射防止膜の表面の硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(高屈折率層及び中屈折率層)
本発明の反射防止フィルムにおける反射防止膜の高い屈折率を有する層(高屈折率層及び中屈折率層)は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜からなることが好ましい。
(無機化合物微粒子)
高屈折率に用いられる無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。
これらの無機化合物としては、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられ、特に好ましくは、Co、Zr、AL(好ましくはCo)から選ばれる少なくとも1つの元素(以下このような元素を含有元素ということがある)を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子(以下、「特定の酸化物」と称することもある)が挙げられる。含有元素の総含有量は、Tiに対して0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜7質量%である。
また他の好ましい無機粒子としては、酸化物が屈折率1.95以上となる金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下、「Met」とも略称する)と、チタン元素との複合酸化物の粒子であり、且つ該複合酸化物はCoイオン、Zrイオン、及びAlイオンから選ばれる金属イオンの少なくとも1種がドープされてなる無機微粒子(「特定の複合酸化物」と称することもある)が挙げられる。ここで、その酸化物の屈折率が1.95以上となる金属元素としては、Ta、Zr、In、Nd、Sb,Sn、及びBiが好ましい。特には、Ta、Zr、Sn、Biが好ましい。複合酸化物にドープされる金属イオンの含有量は、複合酸化物を構成する全金属[Ti+Met]量に対して、25質量%を超えない範囲で含有することが屈折率維持の観点から好ましい。より好ましくは0.1〜5質量%である。
(マトリックスバインダー)
高屈折率層のマトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。またラジカル重合性及び/又はカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有のポリビニル化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。さらに金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と、金属アルコキド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。これらについては、例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
高屈折率層の屈折率は、一般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。また中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。中屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1.30〜1.50の範囲であるのがよい。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等からなる薄膜層の手段を適用できる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性又は重合性の官能基を含む化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報、特開2004−45462号公報明細書等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基又は重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン[例えば、「サイラプレーン」{チッソ(株)製}等]、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
架橋又は重合性基を有する含フッ素及び/又はシロキサンのポリマーの架橋又は重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時又は塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
またシランカップリング剤等の有機金属化合物と、特定のフッ素含有炭化水素基を有するシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾル/ゲル硬化膜も好ましい。例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物又はその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物を含有することが好ましい。
特に、上記低屈折率層はその屈折率上昇をより一層少なくするために、中空の無機微粒子を用いることが好ましい。中空の無機微粒子は、その屈折率が、通常1.17〜1.40、好ましくは1.17〜1.37であるのがよい。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空の無機微粒子を形成している外殻のみの屈折率を表すものではない。中空の無機微粒子の屈折率は、粒子の強度及び該中空粒子を含む低屈折率層の耐擦傷性の観点から、1.17以上とすることが好ましい。
なお、これら中空の無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計[アタゴ(株)製]にて測定することができる。
上記の中空の無機微粒子の空隙率は、該粒子内の空腔の半径をri、粒子外殻の半径をroとするとき、下記数式(12)に従って計算される。
数式(12):w=(ri/ro3×100
中空の無機微粒子の空隙率は、該粒子の強度及び反射防止膜表面の耐擦傷性の観点から、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%である。
低屈折率層中の中空の無機微粒子の平均粒径は、該低屈折率層の厚みの30〜100%、さらには35〜80%あることが好ましい。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、無機微粒子の粒径は30〜100nm、さらには35〜80nmの範囲となるので好ましい。該平均粒径が前記の範囲であると、反射防止膜の強度が十分に発現される。
低屈折率層に含まれる他の添加剤としては、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層の上にさらに最外層が形成される場合には、低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されてもよいが、安価に製造できる点で、塗布法により形成されることが好ましい。低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
(反射防止フィルムの他の層)
反射防止フィルム(又は偏光板保護フィルム上に設けられた反射防止膜)には、さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗層、保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明基体の表面に設けられる。特に、透明基体と前記高屈折率層の間に設ける(すなわち、中屈折率層がハードコート層を兼ね、中屈折率ハードコート層とする)ことが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。ハードコート層にはまた、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。またハードコート層の耐擦傷性は、JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後のハードコート層を塗設した試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(前方散乱層)
前方散乱層は、保護フィルムとして反射防止フィルムを使用した偏光板を液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設けられる。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。前方散乱層については、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
(アンチグレア機能)
反射防止フィルムは、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止フィルムの表面、すなわち反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止フィルムがアンチグレア機能を有する場合、反射防止フィルムのヘイズは、3〜50%であることが好ましく、5〜30%であることがさらに好ましく、5〜20%であることが最も好ましい。
反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
〔反射防止能付き偏光板〕
本発明の反射防止能付き偏光板としては、反射防止膜を設けたセルロースアシレートフィルム、すなわち本発明の反射防止フィルムの反射防止膜塗設側とは反対側のセルロースアシレートフィルム表面、及び反射防止膜が設けられていない本発明のセルロースアシレートフィルムの片面をそれぞれ親水化処理して、偏光膜をこれらで挟んで接着剤で貼りあわせて作製した態様が好ましい。更には、反射防止フィルム及び、光学補償層を設けたセルロースアシレートフィルム(すなわち本発明の光学補償フィルム)のそれぞれの機能層が設けられた側とは反対側のセルロースアシレートフィルム表面を親水化処理して、偏光膜をこれらで挟んで接着剤で貼りあわせて作製した態様が好ましい。これにより偏光板の厚みが薄くなり、画像表示装置の軽量化が可能となる。
〔透明基板〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板は、ガスバリアー性に優れたものである必要があることから、必要に応じて、本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、又は塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設けたりする方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては、特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。
これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079号公報や特開2000−227603号公報などに公開されている。
以下に本発明のセルロースアシレートについての具体的な実施例を記述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔マクロモノマー(C3)の合成例〕
製造例1:マクロモノマー(C3−1)
シクロヘキシルアクリレート100g、3−メルカプトプロピオン酸4g及びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しながら、温度70℃に加温した。2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(略称AIBN)を1.0g加え4時間反応させ、更にAIBNを0.5g加え3時間、更にAIBNを0.3g加え3時間反応させた。次に、この反応溶液にグリシジルメタクリレート8g、N,N−ジメチルドデシルアミン1.0g及びt−ブチルヒドロキノン0.5gを加え、温度100℃にて、10時間攪拌した。冷却後この反応溶液をメタノール2L中に再沈させ、白色粉末を82g得た。重合体の質量平均分子量(Mw)は8×103であった(質量平均分子量は、GPC法によるポリスチレン換算値を表す。以下同じ)。
得られたマクロモノマー(C3−1)の構造は下記の通りである。なお下記式において[ ]は繰り返し単位を表す。
マクロモノマー(C3−1):
Figure 2005272796
製造例2:マクロモノマー(C3−2)
下記構造の単量体100g、チオエタノール2g及びトルエン20gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しながら温度70℃に加温し、次いでAIBNを1.0g加え4時間反応させた。更に、AIBNを0.5g加え3時間、その後、更に、AIBNを0.3g加え3時間反応させた。この反応溶液を、室温に冷却し、2−カルボキシエチルアクリレート8gを加え、これにジシクロヘキシルカルボジイミド(略称DCC)を12.7g及び塩化メチレン60gの混合溶液を1時間で滴下した。t−ブチルヒドロキノン1.0gを加え、そのまま4時間攪拌した。
析出した結晶を濾別して得た濾液を、メタノール2L中に加えて再沈した。沈殿した油状物をデカンテーションで捕集し、これを塩化メチレン150mLに溶解し、メタノール1L中に再度再沈させた。油状物を捕集し、減圧乾燥して、収量60gで、Mwが8×103の下記構造の重合体マクロモノマー(C3−2)を得た。
Figure 2005272796
製造例3〜6:マクロモノマー(C3−3)〜(C3−6)
マクロモノマー(C3)の製造例2において、単量体の種類を変え、さらに2−カルボキシエチルアクリレートに代えて各種の不飽和カルボン酸を用いる以外は製造例2と同様にして、下記表1のマクロモノマーをそれぞれ製造した。収量は、60〜70gで、得られた各マクロモノマーの質量平均分子量は7×103〜9×103の範囲であった。
Figure 2005272796
製造例7:マクロモノマー(C3−7)
シクロヘキシルメタクリレート40g、シクロヘキシルアクリレート60g、下記構造のメルカプト化合物5g、及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下で攪拌しながら、温度70℃に加温した。AIBNを1.2g加えて4時間反応させ、更にAIBNを0.5g加えて3時間、更にAIBNを0.3g加えて、温度80°に加温して2時間反応させた。冷却後、メタノール1L中に再沈させ、白色粉末85gを得た。質量平均分子量は1.0×104であった。
Figure 2005272796
製造例8〜10:マクロモノマー(C3−8)〜(C3−10)
従来公知の合成方法を用いて、表2の各マクロモノマー(C3−8)〜(C3−10)を作製した。得られた各マクロモノマーの質量平均分子量は8×103〜1.2×103の範囲であった。
Figure 2005272796
実施例1−1
〔セルロースアシレートフィルムの作製〕
[微粒子分散物(RL−1)の調整]
下記の組成からなる混合物及びビーズ径0.2mmのジルコニアビーズを、ダイノミル分散機へ投入して体積平均粒径55nmになるよう湿式分散を行った。得られた分散物を200メッシュのナイロン布でビーズから分離して、微粒子分散物(RL−1)を調製した。
得られた分散物の粒度分布を散乱粒子径分布測定装置“LA−920”{(株)堀場製作所製}を用いて測定したところ、粒径300nm以上の粒子は0%であった。
{微粒子分散物(RL−1)の組成}
疎水性シリカ 2.00質量部
"AEROSIL R812"{商品名;日本アエロジル(株)製}
メチル基変性体、一次粒径7nm
セルローストリアセテート(CTA) 2.00質量部
置換度2.85(6位置換度0.90)
下記構造の分散助剤(DP−1) 0.25質量部
メチレンクロリド 78.70質量部
メタノール 14.20質量部
1−ブタノール 2.86質量部
Figure 2005272796
[ドープ溶液の調製]
{セルロースアシレート溶液(SA−1)の調製}
下記の組成からなる混合物を攪拌溶解して、セルロースアシレート溶液(SA−1)を調製した。
{セルロースアシレート溶液(SA−1)の組成}
セルローストリアセテート(CTA) 89.3質量部
置換度2.85(6位置換度0.90)
可塑剤(トリフェニルホスフェート) 3.9質量部
波長分散調整剤(B−1) 1.6質量部
前記の構造例(UV−102)
ラジカル重合性モノマー(C1−1) 5.4質量部
{シクロヘキシルアクリレート(CHA)}
光ラジカル重合開始剤(D11−1) 0.27質量部
(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
増感助剤(N−フェニルグリシン) 0.01質量部
メチレンクロリド 300質量部
メタノール 54質量部
1−ブタノール 11質量部
(ドープ溶液の調製)
セルロースアシレート溶液(SA−1)474質量部に、微粒子分散物(RL−1)15.3質量部を攪拌しながら添加して充分に攪拌した後、十分に撹拌して更に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌してセルロースアシレートが完全に溶解したドープ溶液を得た。次に得られたドープ溶液を50℃にて、絶対濾過精度0.01mmの濾紙"#63"[東洋濾紙(株)製]で濾過し、さらに絶対濾過精度0.0025mmの濾紙"FH025"(ポール社製)にてフィルター濾過及び脱泡を行ってドープ溶液を調製した。
[製膜工程]
得られたドープ溶液を、バンド流延機を用いて流延して、以下のようにセルロースアシレート溶液からセルロースアシレートフィルムを製膜した。
(流延工程)
金属支持体(流延バンド)としては、ステンレススチールからなり、幅2m、長さ56m(面積112m2)からなるものを用いた。この金属支持体の算術平均粗さ(Ra)は0.006μmで、最大高さ(Ry)は0.06μmであり、また十点平均粗さ(Rz)は0.009μmであった。算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)の各測定は、JIS B−0601の規定によった。
流延されたドープ溶液は、流延直後の1秒間は風速0.5m/秒以下で乾燥し、それ以降は風速15m/秒で乾燥した。乾燥風の温度は50℃であった。
(光照射工程)
流延の5秒間後、2kW高圧水銀灯を用いて、ドープ膜表面の全光照射量が600mJ/cm2となる条件で光照射した。しかる後、金属支持体上の膜面温度が40℃となってから1分間乾燥して、得られたセルロースアシレートフィルムを剥ぎ取り、乾燥風の温度を120℃とした。このときのフィルムの幅方向の温度分布は5℃以下であり、乾燥の平均風速は5m/秒、伝熱係数の平均値は25kcal/m2・Hr・℃であり、フィルムの幅方向分布は何れも5%以内であった。また乾燥ゾーン中におけるピンテンター担持部分は、遮風装置により乾燥熱風が直接当らないようにした。
(延伸工程)
次に、セルロースアシレートフィルムを延伸する工程を行った。
すなわち、フィルムの残留溶媒量が15質量%の状態で、テンターを用い130℃、延伸倍率25%で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後、クリップを外して巻き取りを行った。フィルムの剥ぎ取りより巻取りまでの間で蒸発した溶媒は初めの溶媒量の97%であった。乾燥したフィルムは、さらにローラーで搬送しつつ乾燥させる乾燥工程で、145℃の乾燥風により乾燥した後、湿度、温度を調整し、残留溶媒量0.35質量%、水分量0.8質量%となるようにして巻き取り、セルロースアシレートフィルム(CA−1)(長さ3500m、幅1300mm、厚み80μm)を製造した。
得られたフィルムの膜厚の変動幅は±2.4%であり、幅方向のカール値は0.2/m、質量変化率1.25%、並びに前記数式(9)及び(10)に従う高湿寸度変化率(60℃、95%RH)は1.8%、高温寸度変化率(90℃、5%RH)は2.2%であった。
またフィルムの表面凹凸形状は以下のようになった。
Ra:0.003μm、Rz:0.075μm、Ry:0.084μm、Sm:0.20μm
実施例1−2及び実施例1−3
実施例1−1において、セルロースアシレート溶液(SA−1)中の波長分散調整剤(B)、重合性化合物(C)及び光重合開始剤(D)として、下記の表3に記載の各化合物をそれぞれ用いた他は実施例1−1と同様にしてセルロースアシレート溶液(SA−2)及び(SA−3)を調製し、以下実施例1−1と同様にして、膜厚80μmのセルロースアシレートフィルム(CA−2)及び(CA−3)を得た。残留溶媒量、水分量、膜厚の変動幅、幅方向のカール値、質量変化率、高湿寸度変化率(60℃、95%RH)及び高温寸度変化率(90℃、5%RH)は実施例1−1と同等であった。
比較例1−1及び比較例1−2
実施例1−1におけるセルロースアシレート溶液(SA−1)中の添加物のそれぞれを、下記表3のようにした他は実施例1−1と同様にしてセルロースアシレート溶液(SAR−1)及び(SAR−2)を調製し、以下実施例1−1と同様にして、膜厚80μmのセルロースアシレートフィルム(CAR−1)及び(CAR−2)を得た。残留溶媒量、水分量、膜厚の変動幅、幅方向のカール値は実施例1−1と同等であった。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
〔セルロースアシレートフィルムの評価〕
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。その結果を表4に示す。
[ヘイズ]
得られたフィルムのヘイズを、ヘイズメーター“MODEL 1001DP”{日本電色工業(株)製}を用いて測定した。フィルムは長さ方向に1mに試料とし、測定点はロール形態の長さ及び幅方向の中央、並びに両端の各3点を測定した。フィルム試料は塗工ロールの先端部、中央部、及び終端部を用いた。
ヘイズは上記の各測定点の中央値とし、変動幅は最大値と最小値との差を中央値で除した計算値を求めた。
各フィルムのヘイズは、0.2〜0.3%の範囲であった。
[レターデーションの湿度依存性]
前記の測定方法に従って、試料フィルムの波長(λ=)632.8nmにおける正面レターデーション及び膜厚方向のレターデーションを測定し、前記数式(1)及び(2)に従ってReλ及びRthλの数値を求めた。測定試料は、それぞれ25℃、10%RH及び25℃、80%RHの条件下に測定した。
得られた各数値から、Reλ及びRthλのそれぞれについて、25℃、10%RHにおける測定値(それぞれReλ10及びRthλ10)に対する、25℃、80%RHにおける測定値(それぞれReλ80及びRthλ80)の比率を算出した。
[レターデーションの波長依存性]
試料フィルムを25℃、60%RHの条件に2時間放置して調湿した後、測定波長400nmと測定波長700nmでそれぞれReとRthを求め、下記数式に従ってΔRe(nm)及びΔRth(nm)を算出した。
ΔRe(nm)=|Re400−Re700
ΔRth(nm)=|ΔRth400−Rth700
[透湿度]
前記の測定方法に従い、60℃、95%RHの条件で試料フィルムの透湿度を測定し、フィルム膜厚80μmに換算した。
[引裂強度]
フィルムの引裂強度は、(株)東洋精機製作所製の軽過重引裂強度試験器を用い、ISO6383/2−1983に従って、引き裂きに要する荷重を、以下の条件下で処理した50mm×64mmの試料フィルムについて測定した。
A:初期の値、すなわち試料フィルムを25℃、60%RHで2時間調整した後測定した値。
B:試料フィルムを85℃、85%RHの高温高湿下で500時間保管し、次いで25℃、60%RHで2時間調整した後測定した値。
Figure 2005272796
本発明の実施例1−1〜1−3により得られるセルロースアシレートフィルム(CA−1)〜(CA−3)は、Re及びRthの湿度依存性、すなわち低湿から高湿での湿度変化に対して、その保持率が0.7以上と大きかった{変化率は0.3以下(1−0.7)と小さかった}。またRe及びRthの波長依存性、すなわち波長400nm測定と波長700nm測定でのReの差(ΔRe)は8.0以下であり、Rthの差(ΔRth)は30未満でそれぞれ良好であった。さらに60℃、95%RHにおけるフィルムの透湿度(80μm換算)は、何れも400g/m2・24hr以上2000g/m2・24hr以下で好ましい範囲内であった。更にまたフィルムの引裂き強度は、高温・高湿の条件下に経時後でもその変化が小さく、充分な強度を保持した。
一方、比較例1−1により得られるフィルム(CAR−1)は、Re及びRthの湿度依存性、波長依存性ともに著しく低かった。また引裂強度も経時で著しく劣化した。比較例1−2により得られるフィルム(CAR−2)は、透湿度と引裂強度は改善されたが、Re及びRthの湿度依存性、波長依存性が不十分であった。
以上の様に、本発明のフィルムのみが、安定した光学異方性、適切な透湿性、良好な膜の強度等を達成できる。
実施例11−1〜11−3及び比較例11−1〜11−2
〔偏光板〕
[偏光膜(H−1)の作製]
数平均重合度2400、膜厚75μmのPVAフィルムを、ヨウ素2.0g/L、ヨウ化カリウム4.0g/Lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/Lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、テンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、以降幅を一定に保ち、収縮させながら80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱して膜厚18μmの偏光膜を巻き取った。延伸開始前のPVAフィルムの含水率は31質量%で、乾燥後の含水率は1.5質量%であった。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満で、テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。
得られた偏光膜(H−1)の550nmにおける透過率43.7%、偏光度は99.97%であった。
[偏光板(HB)の作製]
前記の各セルロースアシレートフィルムの一方の表面上に、水酸化カリウム57質量部、プロピレングリコール120質量部、イソプロピルアルコール535質量部、及び水288質量部からなるアルカリ溶液を40℃に保温して得た鹸化液を塗布して片面鹸化処理した。
鹸化処理したセルロースアシレートフィルム表面のアルカリ溶液を、水で十分に洗浄した後、100℃で十分に乾燥させた。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
この鹸化処理して親水化したセルロースアシレート保護フィルムの表面に、ポリビニルアルコール系接着剤を約30μmの厚みに塗布し、上記偏光膜の両側に貼り合わせ、さらに80℃で乾燥して各偏光板(HB)を作成した。
〔偏光板の評価〕
上記の得られた各セルロースアシレートフィルムを保護フィルムとして用いた偏光板の性能の結果を表5に示す。なお性能評価の項目は以下のもので行った。
[フィルムの異物・汚れ]
得られた偏光板を全幅で長手方向に1mの長さに切り出し、シャーカステン上でこの試料に光を透過させながらルーペで異物・汚れの有無及び大きさを観察し、下記の基準に従って評価した。
A:50μm以上の大きさの異物、汚れはなく、50μm未満のものが0〜10個満観察された。
B:50μm以上の大きさの異物、汚れはなく、50μm未満のものが、11〜30個観察された。
C:50μm以上の大きさの異物、汚れが1〜10個観察されるか、又は50μm未満のものが31〜50個観察された。
D:50μm以上の大きさの異物、汚れが10個以上観察されるか、又は50μm未満のものが51個以上観察された。
[耐久性]
偏光板から150mm×150mmの大きさの試料を2枚切り出し、60℃、90%RHの条件下に500時間放置した後、以下の項目について評価を行った。これらの測定は、耐久試験後の偏光板を25℃、65%RHの条件下に2時間放置した後に行った。
(偏光度)
分光光度計により可視領域における並行透過率Yp、直行透過率Ycを求め、次式に基づき偏光度Pを決定した。
Figure 2005272796
(白抜け性)
クロスニコルにより偏光板の縁に発生する白抜けの面積を全体の面積に対する面積比として観察して、下記のグレードで評価した。
◎:白抜け部分が全くなかった。
○:白抜けが全体の面積に対して2%未満。
○〜△:白抜け部分が全体の面積に対して2%以上6%未満。
△:白抜け部分が全体の面積に対して5%以上10%未満。
×:白抜け部分が全体の面積に対して10%以上あった。
Figure 2005272796
本発明のセルロースアシレートフィルム(CA−1〜CA−3)及び比較用フィルム(CAR−1〜CAR−2)を用いた偏光板を、60℃、90%RHの条件で500時間放置した後の偏光度を評価したところ、フィルムCA−1〜CA−3を用いた偏光板(HB−1〜HB−3)の偏光特性は、比較用フィルム(CAR−1〜CAR−2)を用いた偏光板(HBR−1〜HBR−2)に対して何れの物性においても優れており、本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板加工した際の耐久性が向上していることが確認できた。
実施例2−1〜2−5
〔セルロースアシレートフィルムの作製〕
実施例1−1におけるセルロースアシレート溶液(SA−1)において、波長分散調整剤(B)、重合性化合物(C)及び光重合開始剤(D)として、下記の表6に記載の各化合物をそれぞれ用いた他は実施例1−1と同様にしてセルロースアシレート溶液(SA−4)〜(SA−8)を調製し、以下実施例1−1と同様にして、膜厚80μmのセルロースアシレートフィルム(CA−4)〜(CA−8)を得た。残留溶媒量、水分量、膜厚の変動幅、幅方向のカール値、質量変化率、高湿寸度変化率(60℃、95%RH)及び高温寸度変化率(90℃、5%RH)は実施例1−1と同等であった。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
得られた各フィルム(CA−4)〜(CA−8)は、湿度依存性、すなわちRe及びRthの低湿から高湿での湿度変化にたしてその保持率が0.70〜0.78の範囲であり高かった。またRe及びRthの波長依存性、すなわち波長400nm測定と波長700nm測定でのReの差(ΔRe)は3〜8の範囲で何れも良好であり、Rthの差(ΔRth)は24〜30の範囲でそれぞれ良好であった。さらに60℃、95%RHにおけるフィルムの透湿度(80μm換算)は、何れも400g/m2・24hr以上2000g/m2・24hr以下で好ましい範囲内であった。更にまたフィルムの引裂き強度は高温・高湿の条件下に経時後でもその変化が小さく、400〜550gと充分な強度を保持した。
実施例12−1〜12−5
〔偏光板〕
次ぎに、得られた各フィルム(CA−4)〜(CA−8)を保護フィルムとして用いて実施例11−1と同様にして、偏光板(HB−4〜HB−8)を作製した。得られた偏光板の構成を表7に示す。これら偏光板(HB−4〜HB−8)は、何れもHB−1と同等の良好なものであった。
Figure 2005272796
実施例3−1
〔セルロースアシレートフィルムの作製〕
[微粒子分散物(RL−2)の調整]
下記の組成からなる混合物及びビーズ径0.2mmのジルコニアビーズを、ダイノミル分散機へ投入して体積平均粒径55nmになるよう湿式分散を行った。得られた分散物を200メッシュのナイロン布でビーズから分離して、微粒子分散物(RL−2)を調製した。
得られた分散物の粒度分布を散乱粒子径分布測定装置“LA−920”{(株)堀場製作所製}を用いて測定したところ、粒径300nm以上の粒子は0%であった。
{微粒子分散物(RL−2)の組成}
疎水性シリカ 2.20質量部
"AEROSIL L972"{商品名;日本アエロジル(株)製}
メチル基変性体、一次粒径16nm
セルロースアセテートプロピオネート(CAP) 2.00質量部
置換度2.70(アセテート/プロピオネート比=1/0.4)
モノドデシルホスフェート(微粒子化分散助剤) 0.22質量部
トリフェニルホスフェート 0.20質量部
酢酸メチル 71.0質量部
メタノール 6.2質量部
アセトン 6.1質量部
エタノール 6.1質量部
1−ブタノール 6.1質量部
[ドープ溶液の調製]
{セルロースアシレート溶液(SA−9)の調製}
下記のセルロースアシレート溶液(SA−9)組成に示す成分をミキシングタンクに投入し、加熱撹拌して、セルロースアシレート溶液を調製した。
{セルロースアシレート溶液(SA−9)の組成}
セルローストリアセテート(CAP) 100質量部
置換度2.70(アセテート/プロピオネート比=1/0.4)
可塑剤(ビフェニルジフェニルホスフェート) 7.5質量部
波長分散調整剤(B−5) 1.0質量部
前記構造例(UV7)
波長調整分散剤(B−1) 1.0質量部
前記構造例(UV102)
下記の異方性低下剤(E−1)(logP3.60) 3.5質量部
前記のラジカル重合性モノマー(C1−4) 5.0質量部
前記の光ラジカル重合開始剤(D11−1) 0.03質量部
酢酸メチル 290質量部
メタノール 25質量部
アセトン 25質量部
エタノール 25質量部
1−ブタノール 25質量部
Figure 2005272796
(ドープ溶液の調製)
セルロースアシレート溶液(SA−9)464質量部に、微粒子分散物(RL−2)14.8質量部を攪拌しながらを添加し、充分に攪拌した後、室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌してセルロースアシレートが完全に溶解したドープ溶液を得た。これを実施例1と同様にしてフィルター濾過及び脱泡を行った後、回転ドラム流延機を用いてドープ溶液を流延した。
[製膜工程]
(流延工程)
ドラムはハードクロム鍍金が施されており、その表面は算術平均粗さ(Ra)が0.010μm、十点平均粗さ(Rz)は0.016μmとした、直径200mm、幅2500mmのものを用いた。
流延方法は実施例1記載のバンド流延と同様の条件で行った。
(光照射工程)
流延の5秒間後、ドープ膜表面の全光照射量が600mJ/cm2となる条件で光照射した。しかる後、ドラム面上の膜面温度が40℃となってから1分間乾燥して、得られた残留溶媒量が50質量%のセルロースアシレートフィルムを剥ぎ取り、乾燥風温度140℃として、残留溶媒量が40質量%となったフィルムを、テンターを用いて幅方向に17%延伸し、延伸後の幅のまま130℃で30秒間保持した。この後130℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶媒量が0.25質量%のセルロースアシレートフィルム(CA−9)を、厚さ60μm、長さ1000m、幅1.34mの巻きロール形態で製造した。得られた長尺ロールのセルロースアシレートフィルム(CA−9)の膜厚変動幅は±2.8%で、カール値は0.3/mであり、質量変化率は1.6%、高湿寸度変化率(60℃、95%RH)は1.9%及び高温寸度変化率(90℃、5%RH)2.2%であった。ヘイズは0.2%であった。
得られたフィルムの表面凹凸形状は以下のようになった。
Ra:0.002μm、Rz:0.082μm、Ry:0.082μm、Sm:0.18μm。
また得られたフィルムの特性を実施例1−1と同様にして評価した。その結果を表9に示す。
実施例3−2〜3−6
実施例3−1におけるセルロースアシレート溶液(SA−9)において、波長分散調整剤(B)、重合性化合物(C)及び異方性低下剤(E)として、下記の表8に記載の各化合物をそれぞれ用いた他は、実施例1−1と同様にしてセルロースアシレート溶液(SA−10)〜(SA−14)を調製し、以下実施例1−1と同様にして各フィルムを作製した。得られたフィルムは、それぞれ、膜厚変動幅が±2.6〜±2.8%であった。幅方向のカール値は0.2〜0.8/m、質量変化率は1.0〜2.5%並びに、高湿寸度変化率(60℃、95%RH)及び高温寸度変化率(90℃、5%RH)は何れも2〜3%の範囲であった。ヘイズは何れも0.2〜0.3%の範囲であった。
Figure 2005272796
Figure 2005272796
Figure 2005272796
〔セルロースアシレートフィルムの性能〕
異方性低下剤を更に併用して得られた各フィルム(CA−10〜CA−14)について、実施例1と同様にしてレターデーションの波長依存性、湿度依存性を評価した。その結果を表9に示した。
Figure 2005272796
得られた各フィルム(CA−9)〜(CA−14)は、湿度依存性、すなわちRe及びRthの低湿から高湿での湿度変化に対してその保持率が0.75〜0.79の範囲であり高かった。またRe及びRthの波長依存性、すなわち波長400nmと波長700nmでのRthの差(ΔRth)は20未満の範囲、波長400nmと波長700nmでのReの差(ΔRe)は10未満で、波長分散依存性が小さくなり、それぞれ良好であった。更に、Re630、Rth630ともに充分な低下が見られ、光学的にほぼ等方性に近づいている。
さらに実施例1と同様にして測定した60℃、95%RHにおけるフィルムの透湿度(80μm換算)は、何れのフィルムも400g/m2・24hr以上2000g/m2・24hr以下で好ましい範囲内であった。更にまた実施例1と同様にして測定したフィルムの引裂き強度は高温・高湿の条件下に経時後でもその変化が小さく、400〜550gと充分な強度を保持した。
実施例13−1〜13−6
〔偏光板(HB)の作製とその評価〕
実施例11−1の偏光板(HB−1)において、偏光膜の保護フィルムとして上記の各セルロースアシレートフィルム(CA−9)〜(CA−14)を用いた他は、実施例11−1と同様にして偏光板(HB−9)〜(HB−14)を作製した。得られた偏光板について実施例11−1と同様にして、偏光板の性能を評価し、その結果を表10に示す。
Figure 2005272796
本発明の偏光板(HB−9)〜(HB−14)は、実施例11−1の偏光板(HB−1)と同等の良好な性能を示した。
実施例23−1〜23−6
〔光学補償付き偏光板(WH)の作製〕
上記で作製した偏光板(HB−9)〜(HB−14)に対して、「アートンフィルム」{JSR(株)製}を一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能を持たせた偏光板(WH−1)〜(WH−6)を作製した。この際、光学補償フィルムの面内リタデーションの遅相軸を偏光板の透過軸と直交させることで、正面特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができた。光学補償フィルムの面内レターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは0nmで、Nzファクターは0.5のものを用いた。
また同様に比較例11−1、比較例11−2の偏光板(HBR−1)、(HBR−2)についても、光学補償機能を持たせた偏光板(WHR−1)、(WH−2)を作製した。
〔IPSモード液晶表示装置の作製〕
上記の光学補償フィルムを積層した偏光板(WH−1)〜(WH−6)及び(WHR−1)〜(WH−2)を用いてIPSモード液晶表示装置を作製した。
IPSモードで20インチの液晶表示装置“W20−lc3000”型{日立製作所(株)製}に設けられている視認側の保護フィルムの代わりに、上記の光学補償機能付き偏光板(WH)の光学異方性層が液晶セル側となるように、アクリル系粘着剤を介して観察者側に1枚貼り付けた。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5゜、ラビング方向:基板上下とも75゜とした。
〔液晶表示装置の性能評価〕
上記のIPSモード液晶表示装置について、以下の性能評価を行った。その結果を表11に示す。
[描画画像の黒表示均一性]
液晶表示装置の液晶セルに、白表示電圧2V、黒表示電圧6Vを印加し、測定機“EZ−Contrast 160D”(ELDIM社製)を用いて、正面からの方位角方向45゜、極角方向70゜における黒表示時の光漏れ性を調べ、下記の基準で評価した。
◎:全く気にならない。
○:変化はあるが殆ど気にならない。
△:変化は気になるが、許容できる。
×:変化が気になる。
[描画画像の色味ムラ評価]
このようにして作製した液晶表示装置について、測定機“EZ−Contrast 160D”(ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)時の色味変化を目視で観察した。
◎:全く認められない(10人が評価し、1人も認識できないレベル)。
○:僅かに認められる(10人が評価し、1〜2人が認識するレベル)。
△:弱く認められる(10人が評価し、3〜5人が認識するレベル)。
×:強く発生する(10人が評価し、6人以上が認識するレベル)。
Figure 2005272796
光学補償フィルム積層の偏光板(WH−1)〜(WH−6)を付設した液晶表示装置の、表示画像の描画性能を調べたところ、黒表示での光漏れが少なく、且つ色味の変化が小さい良好な結果を示した。他方、比較例の偏光板(WHR−1)及び(WHR−2)は何れも、表示画像の描画性能が低下した。
以上の様に、本発明の態様のみが、良好な性能を示した。
実施例4
〔VA型、OCB型液晶表示装置への実装評価〕
実施例11〜13で得た本発明の偏光板を用いての、特開平10−48420号公報の実施例に記載のTFT型液晶表示装置での評価、並びに実施例1〜3で得た本発明のセルロースアシレートフィルム試料、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、及びポリビニルアルコールを塗布した配向膜から作製された光学補償フィルムを用いた、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置での評価を行ったところ、何れの場合においてもコントラスト視野角及び色味変化の小さい良好な性能が得られた。
実施例5
〔反射防止フィルム(RF−1)の作製〕
[ハードコート層用塗布液(HCLL−1)の調製]
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA){日本化薬(株)製}750.0質量部に、質量平均分子量3000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部、ジ(t−ブチルフェニル)ヨウドニウム・ヘキサフルオロホスファート{di(t−butylphenyl)iodonium hexafluorophosphate)22質量部及び光重合開始剤「イルガキュア184」{日本チバガイギー(株)製}50.0質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液(HCLL−1)を調製した。
[二酸化チタン微粒子分散液の調製]
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、且つ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子“MPT−129”{石原産業(株)製}を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤(DP−2)38.6質量部、及びシクロヘキサノン704.3質量部を添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
Figure 2005272796
[中屈折率層用塗布液(MLL−1)の調製]
上記の二酸化チタン分散液88.9質量部に、ジペンタエリトリトールペンタアクリレートとジペンタエリトリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)58.4質量部、光重合開始剤「イルガキュア907」3.1質量部、光増感剤「カヤキュアーDETX」{日本化薬(株)製}1.1質量部、メチルエチルケトン482.4質量部、及びシクロヘキサノン1869.8質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液(MLL−1)を調製した。
[高屈折率層用塗布液(HLL−1)の調製]
上記の二酸化チタン分散液586.8質量部に、上記のDPHA47.9質量部、「イルガキュア」907:4.0質量部、「カヤキュアーDETX」1.3質量部、メチルエチルケトン455.8質量部、及びシクロヘキサノン1427.8質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用塗布液(HLL−1)を調製した。
[低屈折率層用塗布液(LLL−1)の調製]
前記のDPHA、1.4質量部、下記構造の含フッ素樹脂(PF−1)5.6質量部、中空シリカ(平均粒径40nm、シェル層厚7nm、屈折率1.31、イソプロパノール18質量%)20.0質量部、反応性シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)0.7質量部、下記内容のゾル液6.2質量部、及び「イルガキュア907」0.2質量部をメチルエチルケトン315.9質量部に投入して攪拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LLL−1)を調製した。
Figure 2005272796
(ゾル液の調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120質量部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”{信越化学工業(株)製}100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液を得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分が100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していな且つた。
[反射防止フィルム(RF−1)の作製]
前記のロール形態のセルロースアシレートフィルム(CA−10)基体上に、ハードコート層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層(HCL−1)を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布し、反射防止フィルム(RF−1)を作製した。
中屈折率層(ML−1)の乾燥条件は100℃、2分間とし、紫外線硬化条件は、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。硬化後の中屈折率層(ML−1)は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層(HL−1)の乾燥条件は、何れも90℃、1分の後、100℃、1分とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。硬化後の高屈折率層(HL−1)は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
低屈折率層(LL−1)の乾燥条件は120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射した。硬化後の低屈折率層(LL−1)は屈折率1.43、厚さ90nmであった。
実施例15−1
〔視認側偏光板の作製〕
上記の反射防止フィルム(RF−1)の、反射防止膜の反対側のセルロースアシレートフィルム表面を、実施例11−1記載の鹸化処理と同様にして鹸化処理した。接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例11−1で作製した偏光膜の一方の面に、上記の反射防止フィルム(偏光板用反射防止膜付き表面保護フィルム)の鹸化処理したセルロースアシレート面を貼り合わせた。さらに偏光膜の他方の面には、上記と同様にして片面を鹸化処理したセルロースアシレートフィルム(CA−10)の鹸化処理面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせて反射防止能付き偏光板(HB−15)を作製した。
次ぎに光学補償フィルム「ワイドビューフィルム A 12B」{富士写真フィルム(株)製}の光学補償層を有する側とは反対側の表面を、上記のアルカリ鹸化処理と同様の条件で鹸化処理し、また上記の反射防止能付き偏光板の反射防止膜とは偏光膜をはさんで反対側のセルロースアシレートフィルム(CA−10)の表面を同様にしてアルカリ鹸化処理して、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、光学補償フィルム及び反射防止性偏光板の各鹸化処理したセルロースアシレートフィルム面を貼り合わせた。
以上の様にして、視認側偏光板(SHB−1)を作製した。
実施例15−2
〔下側偏光板〕
実施例13−2で作製した偏光板(HB−10)を用いて、偏光板保護フィルムの片面のみを上記と同様にして鹸化処理し光学補償フィルム「ワイドビューフィルム A 12B」を貼り合わせて、下側偏光板(BHB−1)を作製した。
実施例25
〔TNモード液晶表示装置の作製〕
TNモードで20インチの液晶表示装置“TH−20TA3”型{松下電器(株)製}に設けられている視認側の偏光板の代わりに、本発明の視認側偏光板(SHB−1)の光学異方性層が液晶セル側となるように、アクリル系粘着剤を介して観察者側に一枚貼り付けた。またバックライト側には、光学異方性層側が液晶セル側となるように粘着剤を介して下側偏光板(BHB−1)を貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、下側偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。この液晶表示装置に用いられた偏光板の構成を表12に示す。
Figure 2005272796
〔液晶表示装置の描画性能〕
上記の液晶表示装置の画像描画性を評価した所、画像ムラや外光写りこみの無い、コントラスト性、色味変化の小さい良好な性能であった。
実施例6
実施例5で作製した反射防止フィルム(RF−1)を、以下の内容でエンボス加工を行い反射防止膜表面に凹凸形状を賦形した。
[表面凹凸形状の形成]
エンボシングカレンダー機{由利ロール(株)製}に、下記内容のエンボス版を装着し、線圧4900N/cm、プレ加熱温度90℃、及びエンボスロール温度160℃の条件にて、前記の反射防止フィルム(RF−1)の片面にプレス操作を行い、防眩性を賦与した反射防止フィルム(AF−1)を作製した。なおバックアップロールは常温、搬送速度1m/分の条件で行った。
(エンボス版)
熱硬化処理した直径20cm、幅12cmのS45C材芯金ロールを、ケロシン加工液(液中に平均粒径1.5μmのグラファイト粒子を3g/L添加したもの)で、三菱電機(株)製型彫放電加工機"EA8"型を用いて、厚み0.5mmの銅電極にてマイナスのコンデンサー放電加工し、算術平均粗さ(Ra)0.3μm、平均凹凸周期(Sm)25μmのエンボス版を得た。
[表面形状の評価]
得られた防眩性反射防止フィルム(AF−1)表面の形状は、JIS B−0601−1994に基づいて、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、最大高さ(Ry)、及び表面凹凸の平均間隔(Sm)を、(株)ミツトヨ製二次元粗さ計"SJ−400"型により評価した。但し、Ra、Rz及びRyは、測定長4μm、Smの測定長は20μmとした。表面凹凸の均一性は、(Ra/Rz)の比により算出した。凹凸プロファイルの傾斜角度分布は、"Surface Explore SX−520"システム{菱化システム(株)製、干渉顕微鏡:ニコン(株)製「MM−40/60シリーズ」対物レンズ:二光束干渉対物レンズ、ハロゲンランプ使用、CCDカメラ:640×480}のマイクロマップソフトを用いて測定した値である。測定結果を表13に示す。また、得られたフィルムの膜厚の変動幅は±2.4%であった。
得られた防眩性反射防止フィルム(AF−1)について、以下の内容の性能を評価した。その結果を表13に記載したように、膜の強度は良好で且つ外光の写り込みやギラツキ感のない良好なものであった。
[反射防止フィルムの性能評価]
得られた防眩性反射防止フィルム(AF−1)について、以下の内容の性能評価を行った。得られた結果を表13に示す。また、耐候試験を行った後の試料は、試験前の性能と変化のない極めて良好なものであった。
(ヘイズ)
実施例1と同様に、防眩性反射防止フィルム(AF−1)のヘイズを、ヘイズメーター“MODEL 1001DP”{日本電色工業(株)製}を用いて測定した。
(鏡面反射率)
分光光度計“V−550”{日本分光(株)製}にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、得られた防眩性反射防止フィルム(AF−1)試料の入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定した。
(防眩性)
作製した防眩性反射防止フィルム(AF−1)に、ルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を映し、その反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
◎:蛍光灯の輪郭が全くわからない。
○:蛍光灯の輪郭がわずかにわかる。
△:蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる。
×:蛍光灯がほとんどぼけない。
(ギラツキ)
作製した防眩性反射防止フィルム(AF−1)を、133ppi(133pixels/inch)に模したセル上、距離1mmの位置に載せ、ギラツキ(防眩性賦与の反射防止膜の表面凹凸が起因の輝度バラツキ)の程度を、以下の基準で目視評価した。
◎:全く乃至ほとんどギラツキが見られない。
○:わずかにギラツキがある。
△:少しギラツキがある。
×:ギラツキがはっきり認識できる。
(密着性)
作製した防眩性反射防止フィルム(AF−1)の試料を温度25℃、60%RHの条件で2時間調湿した。各試料の反射防止膜を有する側の表面を、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、その升目が刻まれた箇所について、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ“NO.31B”を用いて密着試験を繰り返し3回行った。剥がれの有無を目視で観察し、下記の4段階評価を行った。
◎:100升において剥がれが全く認められなかったもの。
○:100升において剥がれが認められたものが2升以内のもの。
△:100升において剥がれが認められたものが10〜3升のもの。
×:100升において剥がれが認められたものが10升をこえたもの。
(鉛筆硬度)
作製した防眩性反射防止フィルム(AF−1)試料を、温度25℃、湿度60%RHの条件で2時間調湿した後、JIS S−6006が規定する3Hの試験用鉛筆を用い1kgの荷重をかけて、反射防止膜側の表面を5箇所について試験し、下記の基準で目視評価した。
○:全ての箇所において傷が全く認められない。
△:傷が1または2つ。
×:傷が3つ以上。
(質感)
10cm四方のガラス板の両面に、偏光膜をクロスニコル配置で貼り合せ、さらに片側の偏光膜上に、エンボス面を上にして防眩性反射防止フィルム(AF−1)を貼り付けた。100Wの白色電球から2m離した位置でエンボス面を観察し、質感について以下の1〜5のランク付けを行った。
5:反射光の強度が視覚的に均一で、しっとりした質感である。
1:反射光の強度が視覚的にばらついており、ざらざらした質感である。
予めランク5とランク1の両極端を定め、この間のランクは相対評価した。
Figure 2005272796
実施例16
〔反射防止性偏光板の作製〕
実施例15の反射防止膜(RF−1)付き保護フィルムの代わりに、上記の防眩性反射防止膜(AF−1)付き保護フィルムを用いた以外は実施例15と同様にして、視認側偏光板(SHB−2)を作製した。
実施例26
〔液晶表示装置の描画性〕
実施例25において、視認側偏光板(SHB−1)の代わりに視認側偏光板(SHB−2)を用いた以外は、実施例25と同様にして液晶表示装置に付設した。
得られた液晶表示装置について、実施例25と同様にして性能を評価した。その結果は、ギラツキ感のない均一性並びに質感が良好な画像で、黒表示での色味、コントラスト、視野角、色味のニュートラル性、色味の湿度依存性の何れも良好な性能を示した。
実施例7
〔光学補償フィルムの作製とその性能〕
実施例1〜3で得た本発明のセルロースアシレートフィルム(CA)を用いて、特開平7−333433号公報の実施例1に記載の方法により光学補償フィルム試料を作製した。得られたフィルターフィルムは左右上下に優れた視野角、色味変化の小さい良好な性能を有するものであった。したがって、本発明のセルロースアシレートフィルムが、光学的用途として優れたものであることが判った。
実施例8
実施例13の各偏光板(HB−9〜HB−14)を用いて、偏光板の一方の保護フィルムにλ/4板を張り合わせ、λ/4板がガラス面になるように有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、極めて視認性の高い表示が得られた。

Claims (18)

  1. セルロースアシレート(A)、波長分散調整剤(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含有する、セルロースアシレート組成物を、流延し、光照射して形成されたセルロースアシレートフィルムであって、
    下記数式(1)及び(2)で定義されるReλ及びRthλが、それぞれ下記数式(3)及び(4)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    数式(1):Reλ=(nx−ny)×d
    数式(2):Rthλ={(nx+ny)/2−nz}×d
    数式(3):Reλ80/Reλ10≧0.65
    数式(4):Rthλ80/Rthλ10≧0.65
    [式中、Reλは波長λ(nm)におけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλは波長λ(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。またnxは該フィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは該フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは該フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは該フィルムの厚さである。さらにReλ10は、該フィルムの波長λ(nm)における25℃、10%RHでの正面レターデーション値(単位:nm)、Reλ80は該フィルムの波長λ(nm)における25℃、80%RHでの正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλ10は該フィルムの波長λ(nm)における25℃、10%RHでの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)、Rthλ80は該フィルムの波長λ(nm)における25℃、80%RHでの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  2. Reλ及びRthλが、それぞれ、下記数式(5)及び(6)を満たす請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
    数式(5):ΔRe(nm)=|Re400−Re700|≦10
    数式(6):ΔRth(nm)=|Rth400−Rth700|≦35
    [式中、Re400は波長400(nm)におけるセルロースアシレートフィルムの正面レターデーション値(単位:nm)、Re700は波長700(nm)における該フィルムの正面レターデーション値(単位:nm);Rth400は波長400(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)、Rth700は波長700(nm)における該フィルムの膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  3. セルロースアシレート組成物における波長分散調整剤(B)が、セルロースアシレートフィルムの|Re400−Re700|及び|Rth400−Rth700|を減少させうる、波長200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物から選ばれる少なくとも1種であり、該波長分散調整剤(B)が、セルロースアシレート固形分100質量部に対して0.01〜30質量部含有される請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。
  4. 重合性化合物(C)が、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも1種の重合性基を含有する、波長400nm以上には吸収を持たない化合物である請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
  5. 重合性化合物(C)が、多環式脂肪族炭化水素構造を含有する化合物である請求項4に記載のセルロースアシレートフィルム。
  6. セルロースアシレート組成物がさらに、セルロースアシレートフィルムのReλ及びRthλを低下させうる、オクタノール−水分配係数(LogP値)が0〜7である異方性低下剤(E)を少なくとも1種含有し、その含有量がセルロースアシレート固形分100質量部に対して0.01〜30質量部の範囲である請求項1又は3に記載のセルロースアシレートフィルム。
  7. セルロースアシレート(A)が、下記数式(7)及び(8)を同時に満足する範囲にある請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
    数式(7):2.3≦SA'+SB'≦3.0
    数式(8):0≦SA'≦3.0
    (式中、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。)
  8. セルロースアシレートフィルムの60℃、95%RH・24hrの透湿度が、400g/m2・24hr以上2000g/m2・24hr以下である請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  9. セルロースアシレートフィルムの、25℃、80%RHの平衡含水率が4.0%以下である請求項1〜8記載のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  10. セルロースアシレートフィルムが、長さ100〜5000m及び幅0.7〜2.0mの長尺品であって、フィルムの膜厚が10〜120μmで、その膜厚変動幅が±3%以内であり、且つ幅方向のカールが−7/m〜+7/mである請求項1〜9のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  11. セルロースアシレートフィルムを、80℃、90%RHの条件下に48時間静置した場合の、該フィルムの質量変化が5質量%以下である請求項1〜10のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  12. セルロースアシレートフィルムを、60℃、95%RHの条件下に24時間静置した場合の該フィルムの寸度変化、及び90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合の該フィルムの寸度変化が、いずれも5%以下である請求項1〜11のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
    セルロースアシレート(A)、波長分散調整剤(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する工程(流延工程)と、上記流延工程により形成された皮膜に光照射を行う光照射工程とを有することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムに、Re630=0〜200nmで、且つ|Rth630|=0〜300nmの光学異方性層を積層してなることを特徴とする光学補償フィルム。
  15. 偏光膜の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が請求項1〜12のいずれか1項に記載のセルロースフィルムであることを特徴とする偏光板。
  16. 視認側保護フィルム上に反射防止膜が設けられた請求項15に記載の偏光板。
  17. 請求項1〜12に記載のセルロースアシレートフィルム、請求項14に記載の光学補償フィルム、及び請求項15〜16に記載の偏光板、の少なくともいずれかを用いたことを特徴とする画像表示装置。
  18. TN、STN、IPS、VA及びOCBのいずれかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置である請求項17に記載の画像表示装置。
JP2004211641A 2004-02-23 2004-07-20 セルロースアシレートフィルム、光学補償フィルム、偏光板、及びそれらを用いた画像表示装置 Pending JP2005272796A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004211641A JP2005272796A (ja) 2004-02-23 2004-07-20 セルロースアシレートフィルム、光学補償フィルム、偏光板、及びそれらを用いた画像表示装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004046864 2004-02-23
JP2004211641A JP2005272796A (ja) 2004-02-23 2004-07-20 セルロースアシレートフィルム、光学補償フィルム、偏光板、及びそれらを用いた画像表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005272796A true JP2005272796A (ja) 2005-10-06

Family

ID=35172792

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004211641A Pending JP2005272796A (ja) 2004-02-23 2004-07-20 セルロースアシレートフィルム、光学補償フィルム、偏光板、及びそれらを用いた画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005272796A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007106884A (ja) * 2005-10-13 2007-04-26 Fujifilm Corp セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
WO2009075343A1 (ja) * 2007-12-13 2009-06-18 Fujifilm Corporation 光学異方性膜、偏光板、液晶表示装置、ならびに高分子フィルム用レターデーション制御剤
US7853188B2 (en) * 2007-01-10 2010-12-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Image forming apparatus and image forming method
JP2011237474A (ja) * 2010-05-06 2011-11-24 Fujifilm Corp 偏光板および液晶表示装置
JP2012215687A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Fujifilm Corp 光学フィルムとその製造方法、偏光板および液晶表示装置
KR101264447B1 (ko) * 2005-01-21 2013-05-14 후지필름 가부시키가이샤 고분자 필름, 광학 보상 필름, 이들의 제조 공정, 편광판, 및 액정 표시 장치
JP2013160775A (ja) * 2012-02-01 2013-08-19 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板及び光学部材
JP2014123046A (ja) * 2012-12-21 2014-07-03 Dainippon Printing Co Ltd 位相差フィルム
JP2015096939A (ja) * 2013-10-09 2015-05-21 富士フイルム株式会社 偏光板保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置、並びに偏光板保護フィルムの製造方法
JP2016018021A (ja) * 2014-07-07 2016-02-01 コニカミノルタ株式会社 円偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び円偏光板の製造方法
CN110874985A (zh) * 2018-08-30 2020-03-10 三星显示有限公司 可折叠显示设备

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101264447B1 (ko) * 2005-01-21 2013-05-14 후지필름 가부시키가이샤 고분자 필름, 광학 보상 필름, 이들의 제조 공정, 편광판, 및 액정 표시 장치
JP2007106884A (ja) * 2005-10-13 2007-04-26 Fujifilm Corp セルロースアシレートフィルム、その製造方法、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
US7853188B2 (en) * 2007-01-10 2010-12-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Image forming apparatus and image forming method
JP2009145518A (ja) * 2007-12-13 2009-07-02 Fujifilm Corp 光学異方性膜、偏光板、液晶表示装置、ならびに高分子フィルム用レターデーション制御剤
WO2009075343A1 (ja) * 2007-12-13 2009-06-18 Fujifilm Corporation 光学異方性膜、偏光板、液晶表示装置、ならびに高分子フィルム用レターデーション制御剤
JP2011237474A (ja) * 2010-05-06 2011-11-24 Fujifilm Corp 偏光板および液晶表示装置
JP2012215687A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Fujifilm Corp 光学フィルムとその製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP2013160775A (ja) * 2012-02-01 2013-08-19 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板及び光学部材
JP2014123046A (ja) * 2012-12-21 2014-07-03 Dainippon Printing Co Ltd 位相差フィルム
JP2015096939A (ja) * 2013-10-09 2015-05-21 富士フイルム株式会社 偏光板保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置、並びに偏光板保護フィルムの製造方法
JP2016018021A (ja) * 2014-07-07 2016-02-01 コニカミノルタ株式会社 円偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び円偏光板の製造方法
CN110874985A (zh) * 2018-08-30 2020-03-10 三星显示有限公司 可折叠显示设备
CN110874985B (zh) * 2018-08-30 2023-08-18 三星显示有限公司 可折叠显示设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7839569B2 (en) Polarizing plate and liquid crystal display
KR101098802B1 (ko) 광학 보상 편광판, 화상 디스플레이 유닛 및 액정디스플레이 유닛
JP4771692B2 (ja) 液晶表示装置
KR20070037572A (ko) 광학 필름, 광학 보상 필름, 편광판, 액정 디스플레이 장치및 자가 발광 디스플레이 장치
US20090192256A1 (en) Polymer blend film containing cyclic polyolefin
US20080273146A1 (en) Cellulose Acylate Film, Polarizing Plate And Liquid Crystal Display
WO2006033313A1 (en) Polarizing plate and liquid crystal display
JP2006030937A (ja) セルロースアシレートフィルム、それを用いた光学補償フィルム、偏光板
JP2007279243A (ja) 偏光板の製造方法、偏光板、および画像表示装置
JP2006342227A (ja) セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP5720401B2 (ja) セルロースアセテート積層フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2006251224A (ja) 偏光板の製造方法
JP2005326713A (ja) 反射防止性偏光板、その製造方法、およびそれを用いた画像表示装置
JP2004148811A (ja) セルロースアシレートフイルムの製造方法、セルロースアシレートフイルム、並びにそれを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置及びハロゲン化銀写真感光材料
JP2008107501A (ja) 偏光板、及び液晶表示装置
JP2005307055A (ja) セルロースアシレートの製造方法、セルロースアシレートフイルム、それを用いた光学機能性シート、偏光板、液晶表示装置
JP2005272796A (ja) セルロースアシレートフィルム、光学補償フィルム、偏光板、及びそれらを用いた画像表示装置
JP4686247B2 (ja) ポリマーフィルム並びにそれを用いた光学フィルム、偏光板及び画像表示装置
JP2006305751A (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、位相差フィルム、偏光板、および液晶表示装置
JP2006292895A (ja) 透明フィルム並びにそれを用いた液晶ディスプレイ素子及び液晶表示装置
KR20120048548A (ko) 셀룰로오스 아실레이트 필름, 광학 보상 필름, 편광 필름 및 액정표시장치
JP2006257143A (ja) セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
KR20160037117A (ko) 광학 필름 및 그것을 구비한 편광판, 액정 표시 장치, 및 광학 필름의 제조 방법
JP4596940B2 (ja) セルロースアシレートフィルムの製造方法
JP2005128520A (ja) 偏光板およびそれを用いた液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060327

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061124