JP2016018021A - 円偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び円偏光板の製造方法 - Google Patents

円偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び円偏光板の製造方法 Download PDF

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真一郎 鈴木
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範江 谷原
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Abstract

【課題】本発明の課題は、反りの発生及び偏光子の劣化を抑制することができるとともに、表示装置に搭載された際の表示ムラの発生を抑制できる円偏光板を提供することである。【解決手段】本発明の円偏光板は、偏光子14の両面に第1の保護フィルム12及び第2の保護フィルム16が設けられた偏光板1と、第2の保護フィルム16に隣接して設けられるλ/4位相差フィルム18と、を備え、第2の保護フィルム16の面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtが、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。式(1):|Ro|≦10nm式(2):|Rt|≦10nm【選択図】図1

Description

本発明は、円偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び円偏光板の製造方法に関する。特に、反りの発生及び偏光子の劣化を抑制することができるとともに、表示装置に搭載された際の表示ムラの発生を抑制できる円偏光板、当該円偏光板を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び当該円偏光板の製造方法に関する。
近年、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」ともいう。)を利用した薄型ディスプレイ市場が急速に伸長している。特に、スマートフォンやタブレットと呼ばれる中小型モバイル機器市場の伸長が著しい。
そのような薄型表示装置の中でも有機EL表示装置には、外光反射を抑制する目的で円偏光板が搭載される場合がある。例えば、視認側から保護フィルム、偏光子、λ/4位相差フィルムがこの順に積層されて円偏光板が構成され、当該円偏光板のλ/4位相差フィルムに対向して有機EL素子を配置する技術が提案されている。
ここで、上記保護フィルム、偏光子及びλ/4位相差フィルムがこの順に積層されてなる円偏光板においては、各層の構成材料や使用環境等によって、円偏光板にゆがみが生じて反りが発生する場合がある。また、上記円偏光板は、偏光子の両面に保護フィルムとλ/4位相差フィルムとが設けられて構成されているが、当該偏光子に対するバリアー性は必ずしも十分ではなく、その保存状態によっては水等の偏光子を劣化させる成分が侵入し、偏光子の劣化が生じる場合がある。
このような問題に対しては、例えば、偏光子の両側に保護フィルムを設けて偏光板を構成し、当該偏光板の一方の面にλ/4位相差フィルムを積層させて円偏光板を構成する(例えば、特許文献1参照。)ことにより、円偏光板の反りや偏光子の劣化を抑制することができるとも考えられる。
しかしながら、このように構成される円偏光板を表示装置に搭載した場合、偏光子とλ/4位相差フィルムとの間に設けられる保護フィルムの位相差が高いと、表示装置の画像表示面に表示ムラが発生する場合があった。
特開2004−226842号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、反りの発生及び偏光子の劣化を抑制することができるとともに、表示装置に搭載された際の表示ムラの発生を抑制できる円偏光板、当該円偏光板を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び当該円偏光板の製造方法を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、偏光子とλ/4位相差フィルムとの間に、面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtがゼロ又は非常に小さい第2の保護フィルムを設けることで、円偏光板の反りや偏光子の劣化を抑制できるとともに、有機EL表示装置に搭載された際の表示ムラを低減できる円偏光板を提供できることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.偏光子の両面に第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムが設けられた偏光板と、
前記第2の保護フィルムに隣接して設けられるλ/4位相差フィルムと、を備え、
前記第2の保護フィルムの面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtが、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする円偏光板。
式(1):|Ro|≦10nm
式(2):|Rt|≦10nm
2.前記λ/4位相差フィルムが、セルロースエステルを含有することを特徴とする第1項に記載の円偏光板。
3.前記λ/4位相差フィルムが、総置換度2.1〜2.6のセルロースアセテートを含有することを特徴とする第2項に記載の円偏光板。
4.前記λ/4位相差フィルムが、ヒドロキシ基がアシル基で置換され、当該アシル基による置換度が7.2以上のスクロースエステルを含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の円偏光板。
5.前記λ/4位相差フィルムが、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合により得られる重縮合エステルを含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の円偏光板。
6.前記偏光板の吸収軸と前記λ/4位相差フィルムの遅相軸との角度が45±5°であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の円偏光板。
7.前記第2の保護フィルムが、ヒドロキシ基がアシル基で置換され、当該アシル基による置換度が7.2以上のスクロースエステルと、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合により得られる重縮合エステルとの少なくともいずれか一方を含有することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の円偏光板。
8.前記第2の保護フィルムの厚さが、15〜45μmであることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の円偏光板。
9.前記偏光板と前記λ/4位相差フィルムとが、厚さ0.5〜2.0μmのアクリル系粘着剤層により貼り合わされていることを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の円偏光板。
10.第1項から第9項までのいずれか一項に記載の円偏光板を備えていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
11.溶液流延法により製膜された流延膜を、搬送方向に対して斜め方向に延伸してλ/4位相差フィルムを作製する工程と、
偏光子の両面に第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムが設けられた偏光板に対して、前記第2の保護フィルムに隣接するように前記λ/4位相差フィルムを貼り合わせる工程と、を有し、
前記第2の保護フィルムの面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtが、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする円偏光板の製造方法。
式(1):|Ro|≦10nm
式(2):|Rt|≦10nm
12.溶液流延法により製膜された流延膜を、幅方向に延伸した後に、搬送方向に対して斜め方向に延伸してλ/4位相差フィルムを作製する工程と、
偏光子の両面に第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムが設けられた偏光板に対して、前記第2の保護フィルムに隣接するように前記λ/4位相差フィルムを貼り合わせる工程と、を有し、
前記第2の保護フィルムの面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtが、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする円偏光板の製造方法。
式(1):|Ro|≦10nm
式(2):|Rt|≦10nm
本発明によれば、反りの発生及び偏光子の劣化を抑制することができるとともに、表示装置に搭載された際の表示ムラの発生を抑制できる円偏光板、当該円偏光板を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び当該円偏光板の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
円偏光板は、一方向に延伸されて当該方向に吸収軸を有する偏光子と、当該偏光子の吸収軸に対して斜め方向に延伸されて当該斜め方向に遅相軸を有するλ/4位相差フィルムとを備えて構成されている。これらの偏光子及びλ/4位相差フィルムはそれぞれ、面内方向において延伸方向と、延伸されていない方向とで寸法変化率が異なっている。このような現象は延伸方向の寸法変化率が一定以上である光学フィルムにおいて見られる傾向である。偏光子とλ/4位相差フィルムとは延伸方向が斜めに交差しているため、偏光子の寸法変化率が大きい方向と、λ/4位相差フィルムの寸法変化率が大きい方向とが異なっており、これらが隣接して設けられていることで、円偏光板に特に斜め方向の物理的なゆがみが生じて、反りが発生してしまうと考えられる。
これに対し、本発明の円偏光板は、偏光子とλ/4位相差フィルムとの間に第2の保護フィルムが設けられ、当該第2の保護フィルムのリターデーション値Ro及びRtは式(1)及び(2)を満たす。このため、式(1)及び(2)を満たす第2の保護フィルムは、光学的等方性及び物理化学的等方性に優れ、また、面方向における寸法変化率の差異も小さい。このような第2の保護フィルムが偏光子とλ/4位相差フィルムとの間で緩衝材のように機能することで、偏光子の寸法変化率が大きい方向と、λ/4位相差フィルムの寸法変化率が大きい方向とが異なっていても、円偏光板の物理的なゆがみを抑制し、反りが発生することが効果的に抑制される。また、第2の保護フィルムが設けられて円偏光板全体の厚さが増すことも、反りの発生が抑制される効果の一因と考えられる。
また、偏光子とλ/4位相差フィルムの間に第2の保護フィルムが設けられているため、偏光子のλ/4位相差フィルム側のバリアー性が向上され、λ/4位相差フィルム側からの水等の偏光子を劣化させる成分の侵入を抑制し、偏光子の劣化を抑制することができる。
更に、偏光子とλ/4位相差フィルムの間に設けられる第2の保護フィルムは、光学的等方性に優れており、偏光子とλ/4位相差フィルムとの間に位相差のない領域が形成されることで、本発明の円偏光板を表示装置に搭載された際に表示ムラの発生を抑制できるものと考えている。
本発明の円偏光板を備えた有機EL表示装置及び従来の円偏光板を備えた有機EL表示装置の概略構成を示す断面図 本発明の円偏光板及び従来の円偏光板の概略構成を示す分解斜視図 本発明の円偏光板及び有機EL表示装置の製造工程を示す図
本発明の円偏光板は、偏光子の両面に第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムが設けられた偏光板と、前記第2の保護フィルムに隣接して設けられるλ/4位相差フィルムと、を備え、前記第2の保護フィルムの面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtが、前記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項12までの各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
また、本発明においては、前記λ/4位相差フィルムが、セルロースエステルを含有することが好ましい。λ/4位相差フィルムがセルロースエステルを含有することで、取扱い性が良く、加工しやすいλ/4位相差フィルムを作製することができる。
また、本発明においては、前記λ/4位相差フィルムが、総置換度2.1〜2.6のセルロースアセテートを含有することが好ましい。これにより、所望の位相差を発現させることができ、加工性に優れたフィルムを得ることができ、更に表示装置に搭載したときの表示ムラの発生を更に抑制することができる。
また、本発明においては、前記λ/4位相差フィルムが、ヒドロキシ基がアシル基で置換され、当該アシル基による置換度が7.2以上のスクロースエステルを含有することが好ましい。これにより、λ/4位相差フィルムの耐水性を向上させることができ、偏光子の劣化を更に抑制することができる。また、λ/4位相差フィルムの透明性が向上し、表示装置に搭載したときの表示ムラの発生を更に抑制することができる。
また、本発明においては、前記λ/4位相差フィルムが、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合により得られる重縮合エステルを含有することが好ましい。これにより、λ/4位相差フィルムに延伸適性を付与することができ、延伸しても透明性の高いフィルムを作製することができ、偏光板作製時の偏光子の劣化の抑制や反りの抑制、表示装置搭載時の表示ムラを抑制することができる。
また、本発明においては、前記偏光板の吸収軸と前記λ/4位相差フィルムの遅相軸との角度が45±5°であることが好ましい。これにより、偏光板とλ/4との貼り合わせを容易に行うことができ、更にロールtoロールでの貼り合わせも行うことができる。
また、本発明においては、前記第2の保護フィルムが、ヒドロキシ基がアシル基で置換され、当該アシル基による置換度が7.2以上のスクロースエステルと、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合により得られる重縮合エステルとの少なくともいずれか一方を含有することが好ましい。これにより、機械強度が良好で透明性の高い第2の保護フィルムとすることができる。
また、本発明においては、前記第2の保護フィルムの厚さが、15〜45μmであることが好ましい。これにより、円偏光板の反り(カール)を抑制することができる。
また、本発明においては、前記偏光板と前記λ/4位相差フィルムとが、厚さ0.5〜2.0μmのアクリル系粘着剤層により貼り合わされていることが好ましい。これにより、平面性の良好な円偏光板を得ることができる。
また、本発明においては、λ/4位相差フィルム及び第2の保護フィルムの双方に糖エステル及び重縮合エステルを含むことが、表示装置搭載時の表示ムラの発生を更に抑制するとともに、偏光板の反りの発生を更に抑制する観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《円偏光板》
本発明の円偏光板は、偏光子の両面に第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムが設けられた偏光板と、第2の保護フィルムに隣接して設けられるλ/4位相差フィルムと、を備え、第2の保護フィルムの面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtが、下記式(1)及び(2)を満たす。
式(1):|Ro|≦10nm
式(2):|Rt|≦10nm
また、本発明の円偏光板は、斜め延伸することによって、遅相軸の角度(すなわち配向角θ)を長手方向に対して「実質的に45°」、すなわち45±5°の範囲内とし、長尺状の斜め延伸されたλ/4位相差フィルムをロールtoロール方式で貼合した長尺状の円偏光板であることが好ましい。
上記円偏光板のλ/4位相差フィルムが有機EL素子に対向するように、円偏光板が配置されることで、本発明の有機EL表示装置が構成される。本発明の有機EL表示装置は、円偏光板を備えることにより、有機EL素子の金属電極の鏡面反射を遮蔽することができる。
図1を参照して、本発明の円偏光板及びそれを備えた有機EL表示装置について説明する。図1(a)は、本発明の円偏光板10を備えた有機EL表示装置100の概略断面図、図1(b)は、従来例の円偏光板10Aを備えた有機EL表示装置100Aの概略断面図、図1(c)は、従来例の円偏光板10Bを備えた有機EL表示装置100Bの概略断面図である。
図1(a)に示すように、本発明の円偏光板10は、偏光子14、第1の保護フィルム12及び第2の保護フィルム16を有する偏光板1と、λ/4位相差フィルム18とを備えて構成されている。
具体的には、偏光子14の両面に接着剤層13、15がそれぞれ設けられ、接着剤層13を介して第1の保護フィルム12が貼り合わされ、接着剤層15を介して第2の保護フィルム16が貼り合わされている。また、第1の保護フィルム12上にはハードコート層11が設けられ、偏光板1が構成されている。更に、偏光板1の第2の保護フィルム16上には粘着剤層17を介してλ/4位相差フィルム18が貼り合わされている。このようにして円偏光板10が構成されている。
また、円偏光板10のλ/4位相差フィルム18上に粘着剤層30が設けられ、有機EL素子20の発光面側に貼り合わされていることで、本発明の有機EL表示装置100が構成されている。
これに対し、従来例の円偏光板10Aは、偏光板1Aが第2の保護フィルム16の代わりに位相差の大きい第2の保護フィルム19を備えて構成されている点で、本発明の円偏光板10と異なっており、それ以外の点で円偏光板10と同様に構成されている。
また、従来例の円偏光板10Bは、偏光板1Bが第2の保護フィルム16を備えていない点で、本発明の円偏光板10と異なっており、それ以外の点で円偏光板10と同様に構成されている。
これら円偏光板10、10A、10Bを構成する偏光子14及びλ/4位相差フィルム18は、それぞれの作製時に図2に示す実線の矢印の方向に延伸されて形成されている。図2(a)は、本発明の円偏光板10の分解斜視図、図2(b)は、従来例の円偏光板10Aの分解斜視図、図2(c)は、従来例の円偏光板10Bの分解斜視図である。なお、図2(a)〜(c)においては、ハードコート層11、接着剤層13、15、粘着剤層17、30及び有機EL素子20を省略して示している。
図2(a)〜(c)に示すように、円偏光板10、10A、10Bにおいて、偏光子14が延伸された方向と、λ/4位相差フィルム18が延伸された方向とは異なっている。一般に、光学フィルムは延伸方向と延伸されていない方向とで寸法変化率が異なるものであり、延伸方向における寸法変化率よりも、延伸されていない方向における寸法変化率の方が大きくなる。このため、偏光子14の寸法変化率が大きい方向と、λ/4位相差フィルム18の寸法変化率が大きい方向とが異なる。ここで、図2(c)に示す円偏光板10Bは、偏光子14とλ/4位相差フィルム18とが接着剤層15を介して隣接して配置されているため、円偏光板10Bには物理的なゆがみが生じ、反りが発生する。
円偏光板10Aにおいては、偏光子14とλ/4位相差フィルム18との間に、位相差の大きい第2の保護フィルム19を備えており、位相差の大きい第2の保護フィルム19は、面方向において寸法変化率の差異が低いが、円偏光板のゆがみの発生の抑制効果は低いものとなっている。
また、円偏光板10Aは、偏光子14とλ/4位相差フィルム18との間に位相差の大きい第2の保護フィルム19が設けられていることで、有機EL表示装置100Aに搭載された際に表示ムラを発生する。
これに対し、円偏光板10は、偏光子14とλ/4位相差フィルム18との間に、第2の保護フィルム16を備えており、第2の保護フィルム16は、上記式(1)及び式(2)を満たすため、光学的等方性及び物理化学的等方性に優れ、面方向における寸法変化率の差異が低い。したがって、第2の保護フィルム16が、偏光子14とλ/4位相差フィルム18との間で緩衝材のように機能することで、円偏光板のゆがみの発生が抑制されている。このため、円偏光板10は反りが抑制されている。
また、円偏光板10は、偏光子14のλ/4位相差フィルム18が設けられている側の面に、第2の保護フィルム16が設けられていることにより、偏光子14へのλ/4位相差フィルム18側からの水等の侵入を抑制することができる。このため、円偏光板10は、偏光子14の劣化が抑制される。
更に、円偏光板10においては、偏光子14とλ/4位相差フィルム18との間に、式(1)及び(2)を満たす第2の保護フィルム16が設けられているため、円偏光板10においては、偏光子14とλ/4位相差フィルム18との間に位相差のない領域が形成され、有機EL表示装置に搭載された際の表示ムラが抑制される。
なお、上記円偏光板10においては、ハードコート層11を備えているものとしたが、ハードコート層11は備えていなくても良い。また、ハードコート層11以外の他の機能層として、例えば、アンチグレア層、反射防止層、低屈折率層等を更に備えているものとしても良い。
また、上記円偏光板10においては、接着剤層13、15と粘着剤層17、30とを分けて示したが、これらは同じ材料を用いて構成されているものとしても良い。
本発明の円偏光板10及び有機EL表示装置100の製造工程について、図3を参照して説明する。図3に示す例においては、ハードコート層11を省略して示している。
まず、図3(a)に示すように、第1の保護フィルム12及び第2の保護フィルム16の片面にそれぞれアクリル系接着剤を塗布して接着剤層13、15を形成し、これら接着剤層13、15を介して偏光子14の両面に第1の保護フィルム12及び第2の保護フィルム16を貼り合わせる。これにより、偏光板1が作製される。
次に、図3(b)に示すように、λ/4位相差フィルム18の一方の面に粘着剤を塗布して粘着剤層17を形成し、当該粘着剤層17を介して第2の保護フィルム12にλ/4位相差フィルム18を貼り合わせる。これにより、図3(c)に示す円偏光板10が作製される。
次に、図3(d)に示すように、円偏光板10のλ/4位相差フィルム18側の面に粘着剤を塗布して粘着剤層30を形成し、当該粘着剤層30を介して有機EL素子20を貼り合わせる。これにより、図3(e)に示す有機EL表示装置100が作製される。
また、接着剤層13、15に用いられる接着剤としては、アクリル系接着剤でなくとも良く、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤やウレタン系接着剤等であっても良い。
以下、本発明の円偏光板を構成する各要素について詳細に説明する。
《偏光子》
本発明に係る偏光子としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性ポリマーフィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう。)系フィルムにヨウ素等の二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、1〜80μm程度であり、好ましくは2〜40μm、更に好ましくは3〜15μmである。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウム等の水溶液に浸漬することもできる。更に必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗しても良い。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラ等の不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウム等の水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
《第1の保護フィルム》
本発明に係る第1の保護フィルムは、偏光子のλ/4位相差フィルム側と反対側の面に設けられている。
本発明に係る第1の保護フィルムは、従来の偏光板又は円偏光板を構成する保護フィルムとして従来公知の保護フィルムを用いることができ、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む。)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム又はアクリルフィルム等を挙げることができる。
これらのうち、セルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC4UE、KC2UA、KC6UA及びKC8UA(以上、コニカミノルタ(株)製))、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリエステルフィルム等が好ましく、本発明においては、セルロースエステルフィルムが光学特性、生産性、コスト面から好ましい。
なお、第1の保護フィルムは、後述する第2の保護フィルムと同様に構成されているものとしても良い。
《第2の保護フィルム》
本発明に係る第2の保護フィルムは、偏光子のλ/4位相差フィルム側の面に設けられ、面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtが下記式(1)及び(2)を満たす。
式(1):|Ro|≦10nm
式(2):|Rt|≦10nm
フィルムの面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtは下記式(i)及び(ii)で求められる。
式(i):Ro=(n−n)×d
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d
式(i)及び(ii)中、nはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nはフィルムの厚さ方向の屈折率(屈折率は23℃、55%RHの環境下、波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。
上記屈折率は、例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、測定波長590nmで求めることができる。
式(1)及び(2)を満たす場合、生じる位相差はほとんどゼロであるため、この位相差のことをゼロ位相差とも称する。
上記した第1の保護フィルムのような従来公知の保護フィルムに対してリターデーション低下剤を含有させることにより、ゼロ位相差を実現する第2の保護フィルム(ゼロ位相差フィルム)として機能させることができる。具体的には、例えば、セルロースエステルフィルムに、リターデーション低下剤を含有させることで、ゼロ位相差を実現することができる。
ここで、一般的にリターデーション低下剤として用いられるエチレン性ポリマーやポリエステルポリオールでは、必然的に合成時に酸が発生し、添加剤中に僅かに残存するため、保護フィルムに用いられた場合に、保護フィルムと積層された偏光子に含まれるPVAの架橋が酸によって破壊される場合があった。一方、糖エステル系化合物は合成後に酸が残存しないため、リターデーション低下剤の総質量の70%以上の割合で含まれていることが好ましく、この場合には、第2の保護フィルム中にエチレン性ポリマーやポリエステルポリオール等が含まれていても、偏光子に含まれるPVAの架橋が酸によって破壊されることを抑制できる。
これにより、偏光板を薄型化することで、第1の保護フィルムを透過する水分によって偏光子が劣化しやすくなったとしても、その劣化が第2の保護フィルムに含まれる成分(合成時に生じる酸)によって助長されることを抑制できる。したがって、偏光板を薄型化した構成であっても、偏光機能の劣化を抑えることができる。
また、第2に保護フィルムの厚さとしては、15〜45μmの範囲内であることが好ましい。
[1]リターデーション低下剤
本発明に係る第2の保護フィルムに含有され得るリターデーション低下剤としては、例えば、上記した糖エステル、アクリルポリマー、ポリエステル等を用いることができる。これら各添加剤について以下説明する。
[1−1]糖エステル
本発明に係る第2の保護フィルムに、リターデーション低下剤として含有される糖エステルとしては、フラノース構造又はピラノース構造を1個有する化合物(A)中の、あるいはフラノース構造又はピラノース構造の少なくとも1種を2〜12個結合した化合物(B)中のOH基の全て又は一部をアシル基によりエステル化した化合物であることが好ましい。糖エステルに導入されるアシル基としては、脂肪族アシル基であっても芳香族アシル基であっても良いが、脂肪族アシル基であることが好ましく、アセチル基であることがより好ましい。
第2の保護フィルムに含有される糖エステルとしては、化合物(B)中のOH基の全て又は一部を、アシル基によりエステル化した化合物であることが好ましい。この場合、面内方向のリターデーションRoを確実に小さくでき、例えば|Ro|≦1nmを確実に実現することができる。
また、第2の保護フィルムに含有される糖エステルとしては、フラノース構造又はピラノース構造の少なくとも1種を2個結合した化合物(B)中のOH基の全て又は一部を、アセチル基によりエステル化した化合物であることがより好ましい。このような糖エステルとしては、例えばアセチルスクロース等のスクロースエステルを挙げることができる。この場合、面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtを確実に小さくでき、例えば|Ro|≦1nm、かつ、|Rt|≦3nmを確実に実現することができる。
好ましい化合物(A)及び化合物(B)の例としては、以下に示す化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物(A)の例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース等が挙げられる。なお、化合物(A)には、マルトースを高圧で水素添加して還元して得られるマルチトールも含まれる。
また、化合物(B)の例としては、ラクトース、スクロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース、ケストース等が挙げられる。これらの化合物(A)及び化合物(B)の中で、特にフラノース構造とピラノース構造とを両方有するものが好ましい。例としてはスクロースが挙げられる。
第2の保護フィルムに含有される糖エステルとしては、ヒドロキシ基がアシル基で置換され、当該アシル基による置換度が7.2以上のスクロースエステルであることが好ましい。ここで、スクロースエステルの置換度とは、スクロースの8つのヒドロキシ基のうち、アシル基で置換される割合をいう。
糖エステルを合成する際に用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でも良いし、2種以上の混合であっても良い。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、例えば、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
これら化合物の製造方法の詳細は、例えば特開平8−245678号公報等に記載されている。
上記化合物(A)及び化合物(B)のエステル化化合物に加えて、オリゴ糖のエステル化化合物を、フラノース構造又はピラノース構造の少なくとも1種を3〜12個結合した化合物として適用できる。
オリゴ糖は、デンプン、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるものである。本実施形態に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。オリゴ糖も上記化合物(A)及び化合物(B)と同様な方法でアセチル化できる。
次に、糖エステルの製造例の一例を示す。グルコース(29.8g、166mmol)にピリジン(100ml)を加えた溶液に無水酢酸(200ml)を滴下し、24時間反応させた。その後、エバポレートで溶液を濃縮し氷水へ投入した。1時間放置した後、ガラスフィルターにてろ過し、固体と水を分離し、ガラスフィルター上の固体をクロロホルムに溶かし、これが中性になるまで冷水で分液した。有機層を分離後、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過により除去した後、クロロホルムをエバポレートにより除き、更に減圧乾燥することによりグリコースペンタアセテート(58.8g、150mmol、90.9%)を得た。なお、上記無水酢酸の替わりに、上述のモノカルボン酸を使用することができる。
以下に、本実施形態の糖エステルの具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2016018021
Figure 2016018021
本発明に係る第2の保護フィルムは、偏光機能の劣化を抑え、表示品位を安定化する観点から、上記の糖エステルを、フィルム中に1〜35質量%、特に5〜30質量%含むことが好ましい。この範囲内であれば、本発明の優れた効果を呈するとともに、原反保管中におけるブリードアウト等もなく好ましい。また、OH基を全てエステル化した糖エステルとOH基が一つ以上残存している糖エステルとを併用しても良い。例えば、スクロースオクタアセテート、スクロースヘプタアセテート、スクロースヘキサアセテートの混合物等が挙げられる。混合の比率は特に限定はないが、例えば、30:30:30、40:30:30、40:50:10、50:30:20、60:30:10、80:10:10、90:7:3、95:5:0、等の組み合わせが挙げられる。これらは、糖のエステル化の際に反応時間又は糖と反応させるモノカルボン酸の添加量を調整することで制御しても良いし、それぞれを混合しても良い。
[1−2]アクリルポリマー
第2の保護フィルムには、リターデーション低下剤として、重量平均分子量が500以上、30000以下であるアクリルポリマーが含有されていても良い。このようなアクリルポリマーとしては、国際公開第2008/044463号の段落0059〜0093に記載のものが好ましく用いられる。
[1−3]脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの重縮合エステル(ポリエステル)
第2の保護フィルムには、リターデーション低下剤として、下記のような、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合により得られる重縮合エステル、すなわち、下記一般式(B1)又は(B2)で表される重縮合エステルが含有されていても良い。これは炭素数2〜12の2価のアルコールGと、炭素数2〜12の2塩基酸と、炭素数1〜12のモノカルボン酸B又は炭素数1〜12のモノアルコールであるBとから得られた重縮合エステルである。
一般式(B1)
−(G−A−)G−B
(式中、Bは炭素数1〜12のモノカルボン酸を表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコールを表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸を表す。mは繰り返し数を表す。)
一般式(B2)
−(A−G−)A−B
(式中、Bは炭素数1〜12のモノアルコールを表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコールを表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸を表す。nは繰り返し数を表す。)
で表されるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等を用いることができる。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
で表されるモノアルコール成分としては、特に制限はなく、公知のアルコール類を用いることができる。例えば、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を持った脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。
Gで表される2価のアルコール成分としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等を挙げることができるが、これらのうちエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、更に、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールを好ましく用いることができる。
本発明に係る第2の保護フィルムに含有される重縮合エステルとしては、Gで表される2価のアルコール成分は、脂肪族ジオールであることが好ましい。
Aで表される2塩基酸(ジカルボン酸)成分としては、脂肪族2塩基酸、脂環式2塩基酸が好ましく、例えば、脂肪族2塩基酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等、特に、脂肪族ジカルボン酸としては炭素原子数4〜12もの、これらから選ばれる少なくとも一つのものを使用する。つまり、2種以上の2塩基酸を組み合わせて使用して良い。
本発明に係る第2の保護フィルムに含有される重縮合エステルとしては、Aで表される2塩基酸は、脂肪族ジカルボン酸であっても芳香族ジカルボン酸であっても良いが、脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。また、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とが混合された2塩基酸が重縮合された重縮合エステルであることも好ましい。
本発明に係る第2の保護フィルムに含有される重縮合エステルとしては、上記一般式(B1)で表される化合物であっても一般式(B2)で表される化合物であっても良いが、末端がモノカルボン酸で封止されている一般式(B1)で表される化合物であることが好ましい。特に、末端が芳香族モノカルボン酸で封止されている、すなわち、Bが芳香族モノカルボン酸を表すことが好ましい。
m、nは繰り返し数を表し、1以上で170以下が好ましい。
重縮合エステルの重量平均分子量は20000以下が好ましく、10000以下であることが更に好ましい。特に、重量平均分子量が500〜10000の重縮合エステルは、セルロースエステルとの相溶性が良好で、製膜中において蒸発も揮発も起こりにくく好ましい。
重縮合エステルの重縮合は常法によって行われる。例えば、上記2塩基酸とグリコールの直接反応、上記の2塩基酸又はこれらのアルキルエステル類、例えば2塩基酸のメチルエステルとグリコール類との重縮合エステル化反応又はエステル交換反応により熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコールとの脱ハロゲン化水素反応のいずれかの方法により容易に合成し得るが、重量平均分子量がさほど大きくない重縮合エステルは直接反応によるのが好ましい。低分子量側に分布が高くある重縮合エステルはセルロースエステルとの相溶性が非常に良く、フィルム形成後、透湿度が小さく、しかも透明性に優れる保護フィルムを得ることができる。
分子量の調整方法は、特に制限なく従来の方法を使用できる。例えば、重合条件にもよるが、1価の酸(モノカルボン酸)又は1価のアルコール(モノアルコール)で分子末端を封鎖する方法では、これら1価の化合物の添加量をコントロールすることで、分子量を調整することができる。この場合、1価の酸がポリマーの安定性の点からから好ましい。
例えば、1価の酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等を挙げることができるが、重縮合反応中には系外に溜去せず、停止して反応系外にこのような1価の酸を系外に除去するときに溜去しやすいものが選ばれるが、これらを混合使用しても良い。また、直接反応の場合には、反応中に溜去してくる水の量により反応を停止するタイミングを計ることによっても、重量平均分子量を調節できる。その他、仕込むグリコール又は2塩基酸のモル数を偏らせることによってもできるし、反応温度をコントロールしても調節できる。
上記重縮合エステルは、セルロースエステルに対し1〜40質量%含有することが好ましい。更に、2〜30質量%含有することが好ましい。特に3〜15質量%含有することが好ましい。
これらの化合物は、第2の保護フィルム中に0.1〜20質量%含有させることができる。
前記アクリルポリマー又は重縮合エステルが添加された保護フィルムを用いることにより、高温高湿による劣化の少ない円偏光板が得られる。
[2]セルロースエステル
本発明に係る第2の保護フィルムに用いられるセルロースエステルには特に限定はないが、セルロースエステルとしては、炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルであり、芳香族カルボン酸のエステルでも良く、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味している。ヒドロキシ基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐しても良く、また環を形成しても良い。更に別の置換基が置換しても良い。同じ置換度である場合、前記炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましい。前記セルロースエステルとしての炭素数が2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
前記セルロースエステルは、混合酸由来のアシル基を用いることもでき、特に好ましくは炭素数が2と3、又は炭素数が2と4のアシル基を用いることができる。本実施形態で用いられるセルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、又はセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基又はブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していても良い。本実施形態において好ましく用いられるセルロースエステルとしては、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレートである。
また、リターデーション値は、セルロースエステルの前記アシル基の種類とセルロース樹脂骨格のピラノース環へのアシル基の置換度等によって、適宜制御することができる。
本実施形態で好ましいセルロースエステルとしては、下記式(3)及び(4)を同時に満足するものが好ましい。
式(3):2.0≦X+Y≦3.0
式(4):0≦Y≦2.0
式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基又はブチリル基の置換度である。上記2式を満足するものは、優れた光学特性を示す保護フィルムを製造するのに適している。
この中で特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。セルロースアセテートプロピオネートにおいては、1.0≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦1.5、2.0≦X+Y≦3.0であることが好ましい。アシル基の置換度の測定方法は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
前記アシル基の置換度が低過ぎると、セルロース樹脂の骨格を構成するピラノース環のヒドロキシ基に対して未反応部分が多くなり、該ヒドロキシ基が多く残存することにより、リターデーションの湿度変化や保護フィルムとして偏光子を保護する能力が低下してしまうことがあり、好ましくない。
本実施形態で用いられるセルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲内であることが、得られるフィルムの機械的強度が強いため好ましい。更に70000〜200000のものが好ましく用いられる。
セルロースエステルの数平均分子量は、高速液体クロマトグラフィーにより下記条件で測定することができる。
溶媒:アセトン
カラム:MPW×1(東ソー(株)製)
試料濃度:0.2(質量/容量)%
流量:1.0ml/分
試料注入量:300μl
標準試料:標準ポリスチレン
温度:23℃
セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を挙げることができる。また、それらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。
セルロースエステルの製造法の一例を以下に示すと、セルロース原料として綿化リンター100質量部を解砕して、40質量部の酢酸を添加し、36℃で20分間前処理活性化をした。その後、硫酸8質量部、無水酢酸260質量部、酢酸350質量部を添加し、36℃で120分間エステル化を行った。24%酢酸マグネシウム水溶液11質量部で中和した後、63℃で35分間ケン化熟成し、アセチルセルロースを得た。これを10倍の酢酸水溶液(酢酸:水=1:1(質量比))を用いて、室温で160分間撹拌した後、濾過、乾燥させてアセチル置換度2.75の精製アセチルセルロースを得た。このアセチルセルロースはMnが92000、Mwが156000、Mw/Mnは1.7であった。同様にセルロースエステルのエステル化条件(温度、時間、撹拌)、加水分解条件を調整することによって置換度、Mw/Mn比の異なるセルロースエステルを合成することができる。セルロースエステルのMw/Mn比は1.4〜5.0が好ましく用いられる。
なお、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去すること、未酢化又は低酢化度の成分を濾過で取り除くことも好ましく行われる。
また、混酸セルロースエステルの場合には、例えば特開平10−45804号公報等に記載の方法で得ることができる。
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ないほうが好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成することにより不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物、すなわち錯体を形成しやすく、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析することができる。
[3]第2の保護フィルムに含有される添加剤
本発明に係る第2の保護フィルムには、添加剤として可塑剤、紫外線吸収剤、無機化合物等の微粒子等を含有されているものとしても良い。これらの添加剤としては、従来公知のものを用いることができる。
[4]第2の保護フィルムの製造方法
次に、第2の保護フィルムの製造方法について説明する。
第2の保護フィルムは、溶液流延法で製造されたフィルムであっても良いし、溶融流延法で製造されたフィルムであっても良く、どちらも好ましく用いることができる。
溶液流延法で第2の保護フィルムを製造する場合には、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
溶融流延法で第2の保護フィルムを製造する場合には、樹脂及び可塑剤等の添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースアセテートを含む溶融物を流延する。そして、得られた流延膜を冷却した後、延伸することにより行われる。
(延伸操作、屈折率制御)
リターデーション値Ro及びRtが上記式(1)及び(2)を満たす第2の保護フィルムを得るには、第2の保護フィルムが上記構成をとり、更に延伸操作により屈折率制御を行うことが好ましい。
例えば、フィルムの長手方向(製膜方向)及びそれとフィルム面内で直交する方向、すなわち幅手方向に対して、逐次又は同時に延伸することができる。
互いに直交する二軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、又は縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法等が挙げられる。もちろんこれらの方法は、組み合わせて用いても良い。また、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持又は横方向の延伸は、テンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでも良い。
保護フィルムの遅相軸又は進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制又は防止することに寄与でき、例えばカラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
《λ/4位相差フィルム》
本発明の「λ/4位相差フィルム」とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(又は、円偏光を直線偏光に)変換する機能を有するものをいう。λ/4位相差フィルムは、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、面内のリターデーション値(位相差値)Roが約1/4であることが好ましい。本発明のλ/4位相差フィルムは、波長550nmで測定した面内のリターデーション値Ro(550)が110〜170nmの範囲内であり、Ro(550)が120〜160nmであることが好ましく、Ro(550)が130〜150nmであることが更に好ましい。
青色の再現にとって、波長450nmで測定した面内のリターデーション値Ro(450)と波長550nmで測定した面内のリターデーション値Ro(550)の比の値Ro(450)/Ro(550)が、0.72〜0.98であることが好ましく、0.79〜0.95であることが更に好ましく、0.83〜0.94であることが最も好ましい。
Ro、Rtは自動複屈折率計を用いて測定することができる。自動複屈折率計Axometrics社製のAxoScanを用いて、23℃、55%RHの環境下で、各波長での複屈折率測定によりRoを算出する。
λ/4位相差フィルムは、セルロースエステルを含有することが好ましい。セルロースエステルを含有することで、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができることから好ましい。
λ/4位相差フィルムは、後述する一般式(A)で表される化合物を含有することが、有機EL表示装置搭載時の視認性改善の観点から好ましい。
更に、一般式(A)で表される化合物が、一般式(1)で表される化合物であることが好ましく、一般式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
λ/4位相差フィルムの遅相軸と偏光子の透過軸との角度が実質的に45°になるように、λ/4位相差フィルムと偏光子とを積層すると円偏光板が得られる。「実質的に45°」とは、45±5°であることを意味する。λ/4位相差フィルムの面内の遅相軸と偏光子の透過軸との角度は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることが更に好ましく、44〜46°であることが最も好ましい。
λ/4波長フィルムに含有される化合物として、特開2013−114768号公報に記載の一般式(A)の化合物を添加剤として用いることができ、好ましい。
〔1〕セルロースエステル
本発明に係るλ/4位相差フィルムに好ましく含有されるセルロースエステルは、セルロースアシレートを主成分として含有することが好ましい。セルロースアシレートであることが、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができるため好ましい。
λ/4位相差フィルムは、当該λ/4位相差フィルムの全質量100質量%に対して、セルロースアシレートを60〜100質量%含有することが好ましい。また、セルロースアシレートの総置換度は、2.0以上3.0未満であり、2.1〜2.6であることがより好ましい。
セルロースアシレートとしては、セルロースと、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸及び/又は芳香族カルボン酸とのエステルが挙げられ、特に、セルロースと炭素数が6以下の低級脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
セルロースのヒドロキシ基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐していても良く、また環を形成しても良い。また、更に別の置換基が置換しても良い。同じ置換度である場合、上述した炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましく、プロピオニル置換度及びブチリル置換度の総和は0.5以上である。前記セルロースアシレートとしての炭素数が2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
具体的には、セルロースアシレートとしては、例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート又はセルロースアセテートフタレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基、ブチレート基又はフタリル基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。なお、ブチレートを形成するブチリル基は、直鎖であっても分岐していても良い。
本発明においては、セルロースアシレートとして、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、又はセルロースアセテートプロピオネートが特に好ましく用いられる。
また、目的に叶う光学特性を得るために、置換度の異なる樹脂を混合して用いても良い。その際の混合比としては、1:99〜99:1(質量比)が好ましく、更に好ましくは30:70〜70:30である。
上述した中でも、特にセルロースアセテートプロピオネートが、セルロースアシレートとして好ましく用いられる。セルロースアセテートプロピオネートでは、Xをアセチル基の置換度、Yをプロピオニル基又はブチリル基の置換度とすると、0≦Y≦2.5であり、かつ、0.5≦X≦3.0である(ただし、2.0≦X+Y<3.0である。)ことが好ましく、0.5≦Y≦2.0であり、かつ、1.0≦X≦2.0である(ただし、2.0≦X+Y<3.0である。)ことがより好ましい。なお、アシル基の置換度は、ASTM−D817−96に準じて測定され得る。
セルロースアシレートの数平均分子量は、60000〜300000の範囲であると、得られるフィルムの機械的強度が強くなるため、好ましい。より好ましくは、数平均分子量が70000〜200000のセルロースアシレートが用いられる。
セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される。測定条件は以下のとおりである。なお、本測定方法は、本発明における他の重合体の測定方法としても使用することができる。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工株式会社製)を3本接続して使用する
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所株式会社製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー株式会社製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
セルロースアシレートの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等が挙げられる。また、それらから得られたセルロースアシレートは、それぞれ任意の割合で混合使用され得る。
〔2〕λ/4位相差フィルムに含有される添加剤
本発明に係るλ/4位相差フィルムには、添加剤として可塑剤、糖エステル、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合により得られる重縮合エステル(ポリエステル)、紫外線吸収剤、リン系難燃剤、マット剤等が含有されているものとしても良い。本発明においては、糖エステル、重縮合エステルを添加剤として用いることが特に好ましい。
〔2−1〕可塑剤
本発明に係るλ/4位相差フィルムには、各種の可塑剤が添加されていても良い。例えば、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、及びアクリル系可塑剤等が挙げられる。
グリコレート系可塑剤は、特に限定されないが、例えば、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いられうる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えば、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、例えば、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤としては、例えば、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールとのエステルからなる可塑剤が例示される。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は、次の一般式(c)で表される。
一般式(c):R(COOH)(OH)
(式中、Rは(m+n)価の有機基を表し、mは2以上の整数を表し、nは0以上の整数を表し、COOHはカルボキシ基を表し、OHはアルコール性及び/又はフェノール性ヒドロキシ基を表す。)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸又はその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸等が好ましく用いられうる。特に、オキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上等の点で好ましい。一方、多価カルボン酸エステル系可塑剤を構成するアルコールについても特に制限はなく、公知のアルコール類、フェノール類が用いられ得る。
例えば、炭素数1〜32の直鎖の又は側鎖を有する脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコールが好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール又はその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコール又はその誘導体なども好ましく用いられ得る。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性又はフェノール性のヒドロキシ基をモノカルボン酸によりエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖の又は側鎖を有する脂肪酸が好ましく用いられ得る。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸としては、例えば、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上含む芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。特に、酢酸、プロピオン酸、安息香酸が好ましい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の分子量は特に制限はないが、分子量300以上1000未満の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤に用いられるアルコール類は一種単独でも良いし、2種以上の混合物であっても良い。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の酸価は、1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リターデーションの環境変動が抑制されるため好ましい。
特に好ましい多価カルボン酸エステル系可塑剤の例を以下に示すが、これらに限定されない。
例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
〔2−2〕糖エステル
本発明に係るλ/4位相差フィルムには、添加剤として糖エステルが含有されていることが好ましい。糖エステルとしては、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個以下有しその構造のOH基の全て又は一部をアシル基によりエステル化した化合物であることが好ましい。糖エステルに導入されるアシル基としては、脂肪族アシル基であっても芳香族アシル基であっても良いが、脂肪族アシル基であることが好ましく、アセチル基であることがより好ましい。
糖エステルの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
まず、ピラノース構造又はフラノース構造を有する化合物(糖)としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、又はアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース、及びケストースが挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロース等も挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造の双方を有する化合物が好ましい。その例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース等であり、好ましくはスクロースである。
糖エステルを構成する目的で、上述したピラノース構造又はフラノース構造を有する化合物(糖)のOH基の全て又は一部のエステル化に用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が用いられ得る。用いられるカルボン酸は1種単独でも良いし、2種以上の混合物であっても良い。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられ、より具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸が挙げられるが、特に安息香酸が好ましい。
λ/4位相差フィルムに含有される糖エステルとしては、ヒドロキシ基がアシル基で置換され、当該アシル基による置換度が7.2以上のスクロースエステルであることが好ましい。
本発明に係るλ/4位相差フィルムにおけるリターデーション値の変動を抑制して表示品位を安定化するという観点から、上述した糖エステルは、λ/4位相差フィルム100質量%に対して、1〜30質量%の量で含まれることが好ましく、2〜20質量%の量で含まれることがより好ましい。この範囲内であれば、本発明の優れた効果を呈するとともに、ブリードアウト等もなく好ましい。
〔2−3〕脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの重縮合エステル(ポリエステル)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、下記のような、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合により得られる重縮合エステルを含有することも好ましい。
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、下記一般式(B3)又は(B4)で表される重縮合エステルを含有することが好ましい。
一般式(B3)
−(G−A−)G−B
(式中、Bはモノカルボン酸を表し、Gは2価のアルコールを表し、Aは2塩基酸を表す。mは繰り返し数を表す。)
一般式(B4)
−(A−G−)A−B
(式中、Bはモノアルコールを表し、Gは2価のアルコールを表し、Aは2塩基酸を表す。nは繰り返し数を表す。)
一般式(B3)、(B4)において、Bはモノカルボン酸成分を表し、Bはモノアルコール成分を表し、Gは2価のアルコール成分を表し、Aは2塩基酸成分を表し、これらによって合成されたことを表す。これらB、Bは、それぞれ炭素数1〜12であることが好ましく、G、Aは、それぞれ炭素数2〜12であることが好ましい。B、B、G、Aはいずれも芳香環を含まないことが好ましい。m、nは繰り返し数を表す。
で表されるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等を用いることができる。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖の又は側鎖を有する脂肪酸が好ましく用いられ得る。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸とを混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
で表されるモノアルコール成分としては、特に制限はなく公知のアルコール類が用いられうる。例えば、炭素数1〜32の直鎖の又は側鎖を有する脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコールが好ましく用いられ得る。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。
Gで表される2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等が挙げられるが、これらのうちエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、更に、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールが好ましく用いられる。
本発明に係るλ/4位相差フィルムに含有される重縮合エステルとしては、Gで表される2価のアルコール成分は、脂肪族ジオールであることが好ましい。
Aで表される2塩基酸(ジカルボン酸)成分としては、例えば、脂肪族2塩基酸、脂環式2塩基酸が好ましく、脂肪族2塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等、特に、脂肪族ジカルボン酸としては炭素数4〜12のもの、これらから選ばれる少なくとも一つのものが使用され得る。つまり、2種以上の2塩基酸を組み合わせて使用しても良い。
本発明に係るλ/4位相差フィルムに含有される重縮合エステルとしては、Aで表される2塩基酸は、脂肪族ジカルボン酸であっても芳香族ジカルボン酸であっても良いが、脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。
本発明に係るλ/4位相差フィルムに含有される重縮合エステルとしては、上記一般式(B3)で表される化合物であっても一般式(B4)で表される化合物であっても良いが、末端がモノカルボン酸で封止されていない一般式(B4)で表される化合物であることが好ましい。
m、nは繰り返し数を表し、1以上で170以下が好ましい。
高温高倍延伸において好ましい重縮合エステルの数平均分子量は1000以上10000以下である。数平均分子量が1000未満では、高温高倍率延伸で破断が生じやすく、10000より大きいと相分離起因の白化が増加しやすい。
重縮合エステルの重縮合は常法によって行われる。例えば、上記2塩基酸とグリコールとの直接反応、上記の2塩基酸又はこれらのアルキルエステル類、例えば2塩基酸のメチルエステルとグリコール類との重縮合エステル化反応又はエステル交換反応により熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコールとの脱ハロゲン化水素反応のいずれかの方法により容易に合成することができるが、重量平均分子量がさほど大きくない重縮合エステルは直接反応により合成することが好ましい。
低分子量側に分布が高くある重縮合エステルはセルロースエステルとの相溶性が非常に良く、フィルム形成後、透湿度も小さく、しかも透明性に富んだλ/4位相差フィルムを得ることができる。分子量の調節方法は、特に制限なく従来の方法を使用できる。例えば、重合条件にもよるが、1価の酸又は1価のアルコールで分子末端を封鎖する方法を用いる場合には、これらの1価の原料化合物の添加量を調整することで分子量を調節することができる。この場合、1価の酸の添加量を調整することが、ポリマーの安定性の観点から好ましい。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられるが、重縮合反応中には系外に留去されず、停止して反応系外に除去するときには留去しやすいものを選ぶことが好ましい。なお、この目的で複数の化合物を混合使用しても良い。また、直接反応の場合には、反応中に生成する水の量により反応を停止するタイミングを計ることによっても重量平均分子量を調節できる。その他、仕込むグリコール又は2塩基酸のモル数を偏らせることによっても分子量の調節が可能であるし、反応温度をコントロールして分子量を調節することもできる。
重縮合エステルは、セルロースエステル100質量%に対して、1〜40質量%の量で含まれることが好ましい。上記一般式(B3)又は(B4)において、B及びBがそれぞれ炭素数1〜12であって、G及びAがそれぞれ炭素数2〜12である重縮合エステルは2〜30質量%の量で含まれることが好ましく、2〜15質量%の量で含まれることが特に好ましい。
〔3〕λ/4位相差フィルムの製造方法
次に、本発明に係るλ/4位相差フィルムの製造方法の例を説明するが、これに限定されるものではない。λ/4位相差フィルムの製造方法としては、例えば、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できる。
本発明に係るλ/4位相差フィルムは溶液流延法でも溶融流延法のどちらで製膜しても良い。
フィルムの着色抑制、異物欠点の抑制、ダイライン等の光学欠点の抑制等の観点からは流延法による溶液流延法が好ましい。
また、セルロースアセテートの溶解に用いた溶媒の残留抑制の点からは溶融流延法で作製する方法が好ましい。溶融流延によって形成される方法は、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れるフィルムが得られる、溶融押出し法が好ましい。
(溶液流延法)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、溶液流延法によって製造することができる。溶液流延法では、樹脂及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状又はドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
ドープ中のセルロースアセテートの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースアセテートの濃度が高すぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化したりする場合がある。
好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。又は、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
λ/4位相差フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%である。
残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、λ/4位相差フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
(延伸工程)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、波長550nmで測定した面内のリターデーションRo(550)が100〜180nmの範囲であるが、該リターデーションはフィルム延伸によって付与することが好ましい(以下、該λ/4位相差フィルムをセルロースアセテートフィルムという場合がある。)。
延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、又は縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法等が挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いても良い。すなわち、製膜方向に対して横方向に延伸しても、縦方向に延伸しても、両方向に延伸しても良く、更に両方向に延伸する場合は同時延伸であっても、逐次延伸であっても良い。なお、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
本発明においては特に、延伸はフィルム搬送ロールの周速差を利用して搬送方向に行うか、又は搬送方向と直交方向(幅手方向又はTD方向ともいう)にウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で行うことが好ましく、更に左右把持手段によってウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンターを用いることも好ましい。
また、本発明に係るλ/4位相差フィルムを、延伸工程でフィルム搬送方向に対して45°方向に延伸することが長尺状のλ/4位相差フィルム長手方向に対する配向角θを35〜55°にする上で好ましい。また、フィルムを幅方向に延伸した後に、搬送方向に対して斜め方向に延伸するものとしても良い。
本発明において得に好ましい延伸方法は、テンターにおいてTD方向に1.03〜1.30倍、好ましくは1.05〜1.20倍に延伸した後に、斜め方向に1.50〜2.5倍に延伸することが好ましい。斜め方向に延伸を施す前に、一旦幅方向に延伸を施すことにより、フィルムの平面性や膜厚偏差が改善する。
前記のように遅相軸が長手方向と平行な方向に透過軸がある長尺状の偏光子と、配向角が実質的に45°である長尺状のλ/4位相差フィルムとを長手方向を合わせてロールtoロールで貼合すると、ロール状長尺状の円偏光板を容易に製造できるので、フィルムのカットロスが少なく生産上有利である。
《粘着剤層》
粘着剤層は、第2の保護フィルムとλ/4位相差フィルムとの間に設けられている。
粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な樹脂を含み得る。粘着剤層中のこのような樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上であり、最も好ましくは90質量%以上である。粘着剤層中の樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤層として、好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤が用いられる。ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルの意味である。
アクリル系粘着剤としては、任意の適切なものを用いることができる。アクリル系粘着剤のガラス転移温度は、好ましくは−60〜−10℃であり、より好ましくは−55〜−15℃である。アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、好ましくは20万〜200万であり、より好ましくは25万〜180万である。このような特性を有するアクリル系粘着剤を用いることにより、適切な粘着性を得ることができる。アクリル系粘着剤の屈折率は、好ましくは1.40〜1.65であり、より好ましくは1.45〜1.60である。
上記アクリル系粘着剤は、通常、粘着性を与える主モノマー、凝集性を与えるコモノマー、粘着性を与えつつ架橋点となる官能基含有モノマーを重合させて得られる。上記特性を有するアクリル系粘着剤は、任意の適切な方法で合成することができ、例えば、大日本図書(株)発行 中前勝彦著「接着・粘着の化学と応用」を参考に合成できる。
粘着剤層の層厚は、好ましくは0.5〜2.0μm、より好ましくは0.7〜1.5μmである。粘着剤層の層厚が上記範囲内であることによって、第2の保護フィルムとλ/4位相差フィルムとの接着性が良好で、円偏光板の反りを低減することができる。
なお、粘着剤層は、円偏光板を有機EL素子の視認側の面に貼合する際にも用いられる。
《その他の機能層》
本発明の円偏光板は、第1の保護フィルムの視認側の面に、機能層を備えていても良い。当該機能層としては、例えば、紫外線硬化型樹脂等からなるハードコート層や、アンチグレア層が設けられる。
機能層として用いられるハードコート層又はアンチグレア層としては、例えば、特開2003−114333号公報、特開2004−203009号公報、特開2004−354699号公報、特開2004−354828号公報等記載のハードコート層又はアンチグレア層を用いることができる。
(ハードコート層)
ハードコート層は、活性線硬化性化合物の硬化物を含有することが好ましく、活性線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられる。活性線硬化性化合物としては、紫外線硬化性化合物や電子線硬化性化合物が挙げられるが、紫外線照射により硬化する化合物が、機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。
紫外線硬化性化合物としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
ハードコート層のドライ層厚としては、平均層厚0.01〜20μmの範囲、好ましくは0.5〜10μmの範囲である。より好ましくは、0.5〜5μmの範囲である。
ハードコート層の塗布方法は、例えば、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。ハードコート層組成物塗布後、乾燥し、活性線を照射(UV硬化処理ともいう)して硬化し、更に必要に応じて、硬化後に加熱処理しても良い。
(アンチグレア層)
アンチグレア層は、フィルム基材の表面に反射した像や外光の輪郭をぼかす層であり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置等の使用時に、外光や反射像の映り込みが気にならないようにする機能層である。当該アンチグレア層はハードコート層を兼ねても良い。
アンチグレア層は、前述のハードコート層に用いられる活性線硬化性樹脂中に、下記微粒子を添加して分散させることによって形成することが好ましい。微粒子としては、例えば、無機微粒子や有機微粒子といった微粒子が挙げられ、無機微粒子としては、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム又は炭酸カルシウム等を挙げることができる。また、有機粒子としては、例えば、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末又はメラミン系樹脂粉末等を挙げることができる。
アンチグレア層の算術平均粗さRa(JIS B0601:1994)は、0.3〜1.5μmの範囲内であることが防眩性を付与する観点から好ましく、更に好ましくは0.35〜1.3μmの範囲内であり、特に好ましくは0.5〜1.3μmの範囲内である。上記範囲内であれば、防眩性とアンチグレア層の滑り性を満足し、薄膜でも高硬度(4H以上)なアンチグレア層が得られるため好ましい。
《有機エレクトロルミネッセンス表示装置》
本発明の有機EL表示装置の構成の一例について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
ガラスやポリイミド等を用いた基板上に順に金属電極、TFT、発光層、透明電極(酸化インジウムスズ(ITO)等)、絶縁層、封止層、透明シート(省略可)を有する有機EL素子上に、本発明の円偏光板を第1の保護フィルムが視認側に配置されるように設けて、有機EL表示装置を構成する。円偏光板のλ/4位相差フィルム側には上記粘着剤層が設けられ、これにより当該円偏光板が有機EL素子の視認側の面に貼り合わされている。また、円偏光板は第1の保護フィルム上にハードコート層が積層されていても良い。硬化層は、有機EL表示装置の表面のキズを防止するだけではなく、円偏光板による反りを防止する効果を有する。上記有機EL素子自体の厚さは1μm程度である。
有機EL表示装置は、透明基板上に金属電極と発光層と透明電極とを順に積層して発光体である有機EL素子を備えている。ここで、発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、及び電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成を採ることができる。
有機EL素子は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL素子においては、発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、ITO等の透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いる。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いることができる。
このような構成の有機EL表示装置において、発光層は、厚さ10nm程度と極めて薄い膜で形成されている。このため、発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
円偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、偏光板とλ/4位相差フィルムとの偏光方向のなす角をπ/4に調整することで、円偏光となり、金属電極の鏡面による外光反射を抑制することができ好ましい。
本発明の有機EL表示装置では、紫外線による劣化を防止するために、本発明の円偏光板が紫外線吸収剤を含有することにより紫外線吸収機能を備えていることが好ましい。視認側に配置される第1の保護フィルムが紫外線吸収機能を備えていると、偏光子と有機EL素子の両方を紫外線から保護できて好ましいが、更にλ/4位相差フィルムも紫外線吸収機能を備えていると、より有機EL素子の劣化を抑制できる観点から好ましい。紫外線吸収剤としては、偏光板又は円偏光板に含有させることが可能な化合物として従来公知のものを用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
《第1の保護フィルムの作製》
[フィルム101の作製]
第1の保護フィルムとして、特開2012−118177号公報の段落0171〜0174に記載の方法により、セルロースエステルフィルムを作製した。これをフィルム101とした。
[フィルム102の作製]
第1の保護フィルムとして、特開2012−215812号公報の段落0125の「実施例3」に記載の方法により、セルロースエステルフィルムを作製した。これをフィルム102とした。
[フィルム103の作製]
第1の保護フィルムとして、特開2010−55062号公報の段落0096に記載の方法により、(メタ)アクリル系樹脂フィルムを作製した。これをフィルム103とした。
《第1の保護フィルムのリターデーション値》
フィルム101〜103のそれぞれについて、温度23℃、55%RHの環境下、測定波長590nmで、面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtを、自動複屈折計KOBRA−WPR(王子計測機器)を用いて測定した。
Figure 2016018021
《第2の保護フィルムの作製》
[フィルム201の作製]
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルを撹拌しながら投入し、これを加熱し、撹拌しながら完全に溶解した。
セルローストリアセテート(置換度:2.86、粘度平均重合度:306、数平均分子量:300000) 100質量部
糖エステルT1 12質量部
重縮合エステルE1 4質量部
マット剤:R812の12%エタノール分散液(日本アエロジル(株)製)
1.4質量部
メチレンクロライド 430質量部
エタノール 40質量部
更に、上記添加剤成分を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解して、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。
ここで、糖エステルT1は、スクロースのOH基を、アセチル基で置換して合成した。置換度は7.95であった。
また、重縮合エステルE1は、次のようにして合成した。1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温した。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、重縮合エステルE1を得た。酸価0.10、数平均分子量450であった。
上記調製した主ドープを、ベルト流延装置を用い、温度22℃、1.8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が20%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上からドープ膜(ウェブ)を剥離した。
次いで、剥離したウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンター延伸機を用いて、160℃の温度で幅手方向(TD方向)に元幅に対して1.10倍延伸をした。このとき、テンターによる延伸を開始したときの残留溶媒量は、4質量%であった。
その後、120℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させ、1.3m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ2.5μmのナーリング加工を施した後、コアに巻取り、第2の保護フィルムとしてのフィルム101を作製した。膜厚は20μm、巻きの長さは5000mであった。
[フィルム202の作製]
上記フィルム201の作製において、得られるフィルムの膜厚を15μmとなるように作製条件を変更した以外は同様にして、第2の保護フィルムとしてのフィルム202を作製した。
[フィルム203の作製]
上記フィルム201の作製において、得られるフィルムの膜厚を45μmとなるように作製条件を変更した以外は同様にして、第2の保護フィルムとしてのフィルム203を作製した。
[フィルム204の作製]
上記フィルム201の作製において、得られるフィルムの膜厚を50μmとなるように作製条件を変更した以外は同様にして、第2の保護フィルムとしてのフィルム204を作製した。
[フィルム205の作製]
下記の組成のドープを調製した。
セルローストリアセテート(置換度:2.86、粘度平均重合度:306、ジクロロメタン溶液6質量%の粘度:315mPa・s、数平均分子量:300000) 100質量部
ジクロロメタン(溶媒の第1成分) 320質量部
メタノール(溶媒の第2成分) 83質量部
1−ブタノール(溶媒の第3成分) 3質量部
アジピン酸/エチレングリコールの重縮合により得た重量平均分子量1500の重縮合エステル(重縮合エステルE2) 12質量部
微粒子(二酸化ケイ素(平均粒径15nm)、モース硬度:約7) 0.05質量部
調製したドープを用いて、所定の溶液製膜装置により第2の保護フィルムとしてのフィルム205を作製した。当該溶液製膜装置としては、ドープを流延し、溶媒を含んだ状態の湿潤フィルムとする流延室、当該湿潤フィルムの両側端部を複数のピンで保持して湿潤フィルムを搬送しながら乾燥するピンテンター、当該湿潤フィルムの両側端部を切り離す耳切装置、当該湿潤フィルムを複数のローラーに掛け渡して搬送しながら乾燥してポリマーフィルムとする乾燥室、当該ポリマーフィルムを冷却するための冷却室、当該ポリマーフィルムの帯電量を減らすための除電装置、側端部にエンボス加工を施すナーリング付与ローラー対、ポリマーフィルムを巻き取る巻取室等を備えて構成されるものを用いた。得られたフィルム205の厚さは20μmであった。
[フィルム206の作製]
上記フィルム205の作製において、ドープに下記構造式の化合物C1を添加した以外は同様にして、第2の保護フィルムとしてのフィルム206を作製した。化合物の添加量としては、ドープ中のセルローストリアセテートに対して1質量部とした。
Figure 2016018021
[フィルム207の作製]
上記フィルム205の作製において、ドープに含有されるアジピン酸/エチレングリコールのポリエステルポリオールを16質量部に変更した以外は同様にして、第2の保護フィルムとしてのフィルム207を作製した。
[フィルム208の作製]
上記フィルム205の作製において、ドープに含有されるアジピン酸/エチレングリコールのポリエステルポリオールを20質量部に変更した以外は同様にして、第2の保護フィルムとしてのフィルム208を作製した。
[フィルム209の作製]
上記フィルム205の作製において、ドープに含有されるアジピン酸/エチレングリコールのポリエステルポリオールを6質量部に変更した以外は同様にして、第2の保護フィルムとしてのフィルム209を作製した。
[フィルム210の作製]
上記作製したフィルム206を、幅方向に1.25倍に延伸して、第2の保護フィルムとしてのフィルム210を作製した。得られたフィルム210の厚さは16μmであった。
[フィルム211の作製]
市販のノルボルネン系ポリマーフィルム「ZEONOR ZF14」(日本ゼオン(株)製)を、温度156℃にて、長手方向(MD方向)及び幅手方向(TD方向)のそれぞれに1.1倍の延伸倍率で延伸することで、第2の保護フィルムとしてのフィルム211を作製した。得られたフィルム211の厚さは20μmであった。
《第2の保護フィルムのリターデーション値》
上記作製したフィルム201〜211に対して、上記フィルム101〜103のリターデーション値の測定と同様の方法で、面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtを測定した。測定結果を下記表2に示す。
Figure 2016018021
《λ/4位相差フィルムの作製》
[添加剤の調製]
波長フィルム301〜312の作製に用いられる添加剤として、P−1〜P−6、A−1〜A−9、B−1、B−2を調製した。
それぞれ添加剤P−1〜P−6は、表3に記載のジカルボン酸とジオールとを重縮合して調製した。なお、添加剤P−1、P−2、P−6については、重縮合エステルの末端基を安息香酸と反応させて封止している。
また、添加剤A−1〜A−9は、スクロースのOH基を、表4に記載の置換基及び置換度で置換して調製した。表4に記載の置換度は、スクロースの8つのOH基のうち、置換基によって置換された数を示したものである。
また、添加剤B−1、B−2は、表5に記載の組み合わせのモノマーを、表5に記載の割合で共重合して調製した。表5において、「MMA」はメチルメタクリレートを表し、「ACMO」はアクリロイルモルホリンを表している。
Figure 2016018021
Figure 2016018021
Figure 2016018021
[フィルム301の作製]
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(アセチル基置換度:2.45、プロピオニル基置換度:0、総置換度:2.45、重量平均分子量:19万) 100質量部
添加剤P−3 5質量部
添加剤A−3 5質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解してドープを調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ステンレスベルト支持体上に均一に流延した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムを、160℃の条件下で幅方向に1.15倍延伸した。延伸開始時の残留溶媒は5質量%であった。次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後巻き取り、原反フィルムとした。
得られた原反フィルムを200℃の条件で2.00倍の延伸倍率まで、遅相軸と長手方向が45°となるように斜め延伸しλ/4位相差フィルムとしてのフィルム301(長尺状のλ/4位相差フィルム)を得た。
[フィルム302〜309の作製]
上記フィルム301の作製において、ドープに含有されるセルロースエステル及び添加剤を表6に記載のものに変更するとともに、作製されるフィルムの厚さが表6に記載のとおりになるように作製条件を変更した以外は同様にして、λ/4位相差フィルムとしてのフィルム302〜309を作製した。
[フィルム310の作製]
λ/4位相差フィルムとして、特開2012−83694号公報の段落0105〜0114に記載の方法により、セルロースエステルフィルムを作製した。これをλ/4位相差フィルムとしてのフィルム310とした。
[フィルム311の作製]
λ/4位相差フィルムとして、特開2014−26266号公報の0078〜0080に記載の方法により、ポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。これをλ/4位相差フィルムとしてのフィルム311とした。
[フィルム312の作製]
λ/4位相差フィルムとして、市販のノルボルネン系ポリマーフィルム「ZEONOR ZF14」(日本ゼオン(株)製)を、温度156℃にて、延伸倍率45%で自由端一軸延伸を行い、ノルボルネン系フィルムを作製した。これをλ/4位相差フィルムとしてのフィルム312とした。
[フィルム313の作製]
上記フィルム301の作製において、ドープに含有されるセルロースエステル及び添加剤を表6に記載のものに変更した以外は同様にして、λ/4位相差フィルムとしてのフィルム313を作製した。
[フィルム314〜329の作製]
上記フィルム301の作製において、ドープに含有されるセルロースエステル及び添加剤を表6に記載のものに変更した以外は同様にして、λ/4位相差フィルムとしてのフィルム314〜329を作製した。
《λ/4位相差フィルムの光学値》
上記作製したフィルム301〜329に対して、上記フィルム101〜103、201〜211のリターデーション値の測定と同様の方法で、面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtを測定した。また、NZ係数=Rt/Ro+0.5の関係式により、NZ係数を求めた。また、550nmの光で測定した面内のリターデーション値Ro(550)と、650nmの光で測定した面内方向のリターデーションRo(650)との比(Ro(550)/Ro(650))を算出し、波長分散(DSP)を求めた。
求めた光学値を下記表6に示す。
Figure 2016018021
《円偏光板1の作製》
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。
これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
作製した第1の保護フィルム101及び第2の保護フィルム201をアルカリケン化処理した後、完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として、上記偏光子の両面に貼合した。また、第2の保護フィルム201の上記偏光子と対向する面の反対側の面に、アクリル系粘着剤を層厚が1.0μmになるように塗布し、λ/4位相差フィルム304を貼合した。その際、偏光子の透過軸とλ/4フィルムとの遅相軸が45°となるよう貼り合わせて、円偏光板1を作製した。
《円偏光板2〜43の作製》
上記円偏光板1の作製において、用いられる第1の保護フィルム、第2の保護フィルム及びλ/4位相差フィルムを、表7〜表11に記載のとおりに変更した以外は同様にして、円偏光板2〜43を作製した。
《有機EL表示装置の作製》
ガラスの透明基板上にクロムからなる反射電極、反射電極上に金属電極(陽極)としてITOを成膜し、陽極上に正孔輸送層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)をスパッタリング法で層厚80nmで形成し、次いで正孔輸送層上にシャドーマスクを用いて、RGBそれぞれの発光層を100nmの層厚で形成した。赤色発光層としては、ホストとしてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq)と発光性化合物[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran](DCM)とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの層厚で形成した。緑色発光層としては、ホストとしてAlqと、発光性化合物クマリン6とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの層厚で形成した。青色発光層としては、ホストとしてBAlqと発光性化合物Peryleneとを共蒸着(質量比90:10)して層厚100nmで形成した。
Figure 2016018021
更に、発光層上に電子が効率的に注入できるような仕事関数の低い第1の陰極としてカルシウムを真空蒸着法により4nmの厚さで成膜し、第1の陰極上に第2の陰極としてアルミニウムを2nmの厚さで形成した。ここで、第2の陰極として用いたアルミニウムはその上に形成される透明電極をスパッタリング法により成膜する際に、第1の陰極であるカルシウムが化学的変質をすることを防ぐ役割がある。以上のようにして、有機発光層を得た。次に、陰極上にスパッタリング法によって透明導電膜を80nmの厚さで成膜した。ここで透明導電膜としてはITOを用いた。更に、透明導電膜上にCVD法によって窒化ケイ素を200nm成膜することで、絶縁膜を形成することで有機EL素子を作製した。
作製した有機EL素子の発光面積は1296mm×784mmであった。
上記作製した円偏光板1〜43のλ/4位相差フィルム側の面にアクリル系粘着剤を層厚が1.0μmになるように塗工した後、作製した有機EL素子の視認側に貼合することにより、円偏光板1〜43が搭載された有機EL表示装置を作製した。
《円偏光板の評価》
作製した円偏光板1〜43に対して、以下の評価を行った。その評価結果を表7〜表11に示す。なお、円偏光板1の評価結果については、表7〜表9にそれぞれ示し、円偏光板16の評価結果については、表9〜表11にそれぞれ示している。
(1)円偏光板の反り
上記作製した円偏光板を40インチサイズに裁断して平面の板の上に置き、反り(カール)の発生の程度を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
◎:反りが1mm未満
○:反りが1mm以上3mm未満
△:反りが3mm以上5mm未満
×:反りが5mm以上
(2)円偏光板における偏光子の劣化
上記作製した円偏光板を40インチサイズに裁断したものを10枚ずつ用意し、80℃90%RHの湿熱サーモに投入して100時間後の偏光子の劣化の程度を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
◎:10枚とも全く劣化がない
○:1〜2枚で劣化が見られる
△:3〜5枚で劣化が見られる
×:6枚以上で劣化が見られる
(3)有機EL表示装置搭載時の表示ムラ
上記作製した各有機EL表示装置を、温度衝撃試験機を用い、乾燥環境下(相対湿度20%以下)で、20℃で30分間保管した後、50℃で30分間保管する強制劣化処理(これを1サイクルとする。)を、1000サイクル行った後、温度衝撃試験機より取り出し、白色表示させた際の画像表示ムラを、強制劣化処理を行う前の白色表示画像と比較観察し、下記の基準に従って、耐久性を評価した。
◎:強制劣化処理前後で、白色表示時の画像品質に全く差が認められない
○:強制劣化処理後で、僅かに画像表示ムラが観察される
△:強制劣化処理後で、やや画像表示ムラが観察される
×:強制劣化処理後で、明らかな画像表示ムラが観察され、一部で発光しない画素の発生が認められる
(4)有機EL表示装置搭載時の視認性
上記作製した各有機EL表示装置を、23℃、相対湿度55%の環境下で48時間保管した後、電圧を印加せず、発光させない状態で、有機EL表示装置の最表面から5cm高い位置での照度が、500Lxとなる条件Aと、1000Lxとなる条件Bの2条件で、有機EL表示装置の画面の法線に対し40°の角度からのそれぞれの視認性を目視確認し、下記の基準に従って、常温常湿環境下での視認性を評価した。
視認性評価は10名で行い、条件Aである500Lxにおける視認性と、条件Bである1000Lxにおける視認性とを比較し、条件B(1000Lx)における視認性が、条件A(500Lx)における視認性と同等であれば「3点」、僅かに視認性が低下していると判断した場合には「2点」、やや視認性が低下していると判断した場合には「1点」、明らかに視認性が低下していると判断した場合には「0点」とした。10人の評価点数の総点数を求め、下記の評価ランクに従って、常温常湿環境下における視認性を判定した。
◎:合計点数が27点以上である
○:合計点数が24点以上、26点以下である
△:合計点数が18点以上、23点以下である
×:合計点数が17点以下である
Figure 2016018021
Figure 2016018021
Figure 2016018021
Figure 2016018021
Figure 2016018021
表7〜表11に示されるように、式(1)及び(2)を満たす第2の保護フィルムが偏光子とλ/4位相差フィルムとの間に設けられている本発明の円偏光板1、3〜10、13〜43は、円偏光板の反り及び偏光子の劣化が抑制されており、有機EL表示装置搭載時の表示ムラも抑制されていることが確認された。更に、有機EL表示装置搭載時の視認性も良好であることが確認された。これら結果は、光学的等方性及び物理化学的等方性に優れ、面内で力学的にもひずみが少なく等方性である第2の保護フィルムが、偏光子とλ/4位相差フィルムとの間で緩衝材のように機能するために得られたものと考えている。
これに対し、第2の保護フィルムを備えていない比較例の円偏光板3、及び、第2の保護フィルムが式(1)及び(2)を満たしていない比較例の円偏光板2、11、12は、円偏光板の反りが発生しており、有機EL表示装置搭載時の表示ムラや視認性の低下も発生していることが確認された。特に、第2の保護フィルムを備えていない円偏光板3は、偏光子の劣化も発生することが確認された。
1、1A、1B 偏光板
10、10A、10B 円偏光板
11 ハードコート層
12 第1の保護フィルム
13 接着剤層
14 偏光子
15 接着剤層
16 第2の保護フィルム
17 粘着剤層
18 λ/4位相差フィルム
19 位相差の大きい第2の保護フィルム
20 有機EL素子
30 粘着剤層
100、100A、100B 有機EL表示装置

Claims (12)

  1. 偏光子の両面に第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムが設けられた偏光板と、
    前記第2の保護フィルムに隣接して設けられるλ/4位相差フィルムと、を備え、
    前記第2の保護フィルムの面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtが、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする円偏光板。
    式(1):|Ro|≦10nm
    式(2):|Rt|≦10nm
  2. 前記λ/4位相差フィルムが、セルロースエステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の円偏光板。
  3. 前記λ/4位相差フィルムが、総置換度2.1〜2.6のセルロースアセテートを含有することを特徴とする請求項2に記載の円偏光板。
  4. 前記λ/4位相差フィルムが、ヒドロキシ基がアシル基で置換され、当該アシル基による置換度が7.2以上のスクロースエステルを含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の円偏光板。
  5. 前記λ/4位相差フィルムが、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合により得られる重縮合エステルを含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の円偏光板。
  6. 前記偏光板の吸収軸と前記λ/4位相差フィルムの遅相軸との角度が45±5°であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の円偏光板。
  7. 前記第2の保護フィルムが、ヒドロキシ基がアシル基で置換され、当該アシル基による置換度が7.2以上のスクロースエステルと、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合により得られる重縮合エステルとの少なくともいずれか一方を含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の円偏光板。
  8. 前記第2の保護フィルムの厚さが、15〜45μmであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の円偏光板。
  9. 前記偏光板と前記λ/4位相差フィルムとが、厚さ0.5〜2.0μmのアクリル系粘着剤層により貼り合わされていることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の円偏光板。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の円偏光板を備えていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  11. 溶液流延法により製膜された流延膜を、搬送方向に対して斜め方向に延伸してλ/4位相差フィルムを作製する工程と、
    偏光子の両面に第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムが設けられた偏光板に対して、前記第2の保護フィルムに隣接するように前記λ/4位相差フィルムを貼り合わせる工程と、を有し、
    前記第2の保護フィルムの面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtが、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする円偏光板の製造方法。
    式(1):|Ro|≦10nm
    式(2):|Rt|≦10nm
  12. 溶液流延法により製膜された流延膜を、幅方向に延伸した後に、搬送方向に対して斜め方向に延伸してλ/4位相差フィルムを作製する工程と、
    偏光子の両面に第1の保護フィルム及び第2の保護フィルムが設けられた偏光板に対して、前記第2の保護フィルムに隣接するように前記λ/4位相差フィルムを貼り合わせる工程と、を有し、
    前記第2の保護フィルムの面内のリターデーション値Ro及び厚さ方向のリターデーション値Rtが、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする円偏光板の製造方法。
    式(1):|Ro|≦10nm
    式(2):|Rt|≦10nm
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