JP5724847B2 - 有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム Download PDF

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Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムに関する。
画像表示装置として、現在液晶表示装置が主流であるが、液晶表示装置より薄型化、軽量化、高速応答性、低消費電力、高コントラスト化可能であることから有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下有機EL表示装置ともいう)が注目されている。
しかし、有機EL表示装置は、周囲が暗い環境下では非常に優れたコントラストを示すが、外光のある環境下においては、コントラストが低下する問題がある。これは、有機EL表示装置内の電極が、発光層に対して、視認側の電極は透明であるが、反対側の電極はアルミなどの反射性の高い電極が使われていることに起因する。
この外光による反射を抑制する手段として、円偏光板を利用する手法が知られている(例えば特許文献1参照)。これは、外光が偏光子を透過し直線偏光に変換された後、λ/4位相差フィルムを透過することで、円偏光に変換され、反射電極で反射した際に。円偏光が反転する。これにより、再びλ/4位相差フィルムを透過することで入射時とは90度異なる方向の直線偏光に変換されるため、偏光子を透過することが出来ず、吸収されることで外光反射が抑制される。
しかし、現在市販されているλ/4位相差フィルムは、特定の波長領域ではλ/4の位相差を達成出来ているが、他の可視光領域では位相差が、λ/4からずれているため、外光が漏れるという問題がある。
可視光において広帯域なλ/4位相差を達成する手法として、位相差が、λ/2とλ/4のフィルムを積層するタイプと、正と負の複屈折を有する樹脂をブレンド、又は共重合し、一層で達成する手法が知られている。λ/2位相差フィルムとλ/4位相差フィルムの積層タイプは、正面からの視認性には優れるが、軸合せが困難であり、また2枚の位相差フィルムを使用するため高コストであり、斜めから見た際は、λ/2位相差フィルムとλ/4位相差フィルムの間の遅相軸の角度が正面の角度とは異なるため、斜めからの光漏れが大きいため好ましくない。
一層で達成する場合には、広帯域にするためには位相差発現性を犠牲にするため、膜厚が厚くなるという問題がある。また、赤の領域の波長分散が不十分で、赤の光漏れが大きいという問題がある。
一方、現在液晶表示装置において、立体表示機能が搭載され始めている。将来的には有機EL表示装置にも搭載されると考えられる。現在の立体表示装置は、偏光性を有する眼鏡をかけることで左右の目に異なる画像を入射させることで立体表示を行っている。しかし、眼鏡の角度によって視認光量が大きく変化する問題があった。これを改善する手法として、眼鏡の表示装置側、表示装置の視認側のそれぞれの最表面にλ/4位相差フィルムを設置する手法が知られている(例えば特許文献2参照)。
しかし、λ/4位相差フィルムは偏光板で光が吸収されるため、透過光量が低下する問題があった。前述のように現在市販されているλ/4位相差フィルムは、赤の領域において理想のλ/4からの位相差ズレが大きいため、特に赤の透過光量が低下する問題があった。この方法を立体表示可能な有機EL表示装置に適用した場合、外光反射と発光光の透過光量低下により、大きく視認性が低下することがわかった。特に、赤の領域の立体画像の視認性の低下が著しいことがわかった。外光光量が大きくなるにつれ、立体画像の視認性が大きく低下するため、昼間の立体画像鑑賞などでの使用に大きく支障をきたす。
これは、外光反射防止が良好な状態(波長650nmに対する波長550nmの波長分散が0.80より大きく0.90より小さい領域)では問題とはならないもので、外光反射が不完全な状態において特有の問題である。このように外光反射防止が不完全である有機EL表示装置において、立体表示視認時の赤の発光光量低下が問題であった。
特開2009−276442号公報 特開昭63−158525号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、立体表示視認時の視認性が改善された有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、外光反射防止が不完全である有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムにおいて、立体表示用眼鏡と有機エレクトロルミネッセンス表示装置とに使用される2種のλ/4位相差フィルム(本発明ではλ/4位相差フィルムCとλ/4位相差フィルムB)の、それぞれ650nmにおける面内位相差値と、波長650nmに対する波長550nmの波長分散を特定の値に制御することで、赤の発光光量低下を抑制することができ、立体表示視認時での視認性が大きく改善されることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.円偏光板Aを有機エレクトロルミネッセンス素子の視認側に積層した有機エレクトロルミネッセンス表示装置と、円偏光板Bを有する立体表示用眼鏡からなる有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムであって、下記要件(1)〜(5)を満足することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
(1)前記円偏光板Aが、有機エレクトロルミネッセンス素子側から順に、λ/4位相差フィルムA、偏光子、λ/4位相差フィルムBから構成される。
(2)前記円偏光板Bが、有機エレクトロルミネッセンス素子側から順に、λ/4位相差フィルムC、偏光子、保護層から構成される。
(3)前記λ/4位相差フィルムAの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散が、0.9〜1.1の範囲内である。
(4)前記λ/4位相差フィルムAの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値が、130〜155nmの範囲内である。
(5)前記λ/4位相差フィルムBとλ/4位相差フィルムCとの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値の合計が、300〜350nmの範囲内である。
2.前記λ/4位相差フィルムBが、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値が150〜175nmの範囲内であり、且つ温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散が0.75〜0.95の範囲内であることを特徴とする前記第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
3.前記λ/4位相差フィルムBが、セルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする前記第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
4.前記セルロースエステル樹脂が、下記式(1)及び式(2)を満たすセルロースアシレート樹脂であることを特徴とする前記第3項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
式(1) 2.0≦Z1<3.0
式(2) 0.5≦X1
(式(1)及び(2)において、Z1はセルロースアシレートの総アシル基置換度を表し、X1はセルロースアシレートのプロピオニル基置換度及びブチリル基置換度の総和を表す。)
5.前記λ/4位相差フィルムBが、下記一般式(A)で表される化合物を含有することを特徴とする前記第1項から第4項のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
Figure 0005724847
〔一般式(A)において、L1及びL2は各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。
Wa及びWbは水素原子又は置換基を表し、
(I)Wa及びWbが互いに結合して環を形成してもよく、
(II)Wa及びWbの少なくとも一つが環構造を有してもよく、又は、
(III)Wa及びWbの少なくとも一つがアルケニル基又はアルキニル基であってもよい。〕
6.前記一般式(A)で表される化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記第5項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
Figure 0005724847
〔一般式(1)において、A1及びA2は各々独立に、−O−、−S−、−NRx−(Rxは水素原子又は置換基を表す)又は−CO−を表す。Xは第14〜16族の非金属原子を表す。L1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。〕
7.前記一般式(A)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記第5項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
Figure 0005724847
〔一般式(2)において、Q1は−O−、−S−、−NRy−(Ryは水素原子又は置換基を表す)、−CRaRb−(Ra及びRbは水素原子又は置換基を表す)又は−CO−を表す。Yは置換基を表す。L1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。〕
8.前記λ/4位相差フィルムCが、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値が、150〜175nmの範囲内であり、且つ温度23℃、相対湿度55%での測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散が0.75〜0.95の範囲内である前記第1項から第7項のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
9.前記λ/4位相差フィルムCがセルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする前記第8項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
10.前記セルロースエステル樹脂が下記式(1)及び式(2)を満たすセルロースアシレート樹脂であることを特徴とする前記第9項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
式(1) 2.0≦Z1<3.0
式(2) 0.5≦X1
(式(1)及び(2)において、Z1はセルロースアシレートの総アシル置換度を表し、X1はセルロースアシレートのプロピオニル置換度及びブチリル置換度の総和を表す。)
11.前記λ/4位相差フィルムCが下記一般式(A)で表される化合物を含有することを特徴とする前記第10項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
Figure 0005724847
〔一般式(A)において、L1及びL2は各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。
Wa及びWbは水素原子又は置換基を表し、
(I)Wa及びWbが互いに結合して環を形成してもよく、
(II)Wa及びWbの少なくとも一つが環構造を有してもよく、又は、
(III)Wa及びWbの少なくとも一つがアルケニル基又はアルキニル基であってもよい。〕
12.前記一般式(A)で表される化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記第11項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
Figure 0005724847
〔一般式(1)において、A1及びA2は各々独立に、−O−、−S−、−NRx−(Rxは水素原子又は置換基を表す)又は−CO−を表す。Xは第14〜16族の非金属原子を表す。L1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。〕
13.前記一般式(A)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記第11項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
Figure 0005724847
〔一般式(2)において、Q1は−O−、−S−、−NRy−(Ryは水素原子又は置換基を表す)、−CRaRb−(Ra及びRbは水素原子又は置換基を表す)又は−CO−を表す。Yは置換基を表す。L1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。〕
14.前記λ/4位相差フィルムBが紫外線吸収剤を含有することを特徴とする前記第1項から第13項のいずれか一項に基載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
本発明の上記手段により、視認性が改善された有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
外光反射防止が不完全である有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムにおいて、赤領域での外光反射が多いことに加え、立体表示用眼鏡と有機エレクトロルミネッセンス表示装置とに使用される3枚のλ/4位相差フィルムにより、赤の透過光量の低下が著しいため特に赤の視認が大きく劣ることがわかった。赤領域における波長分散と面内位相差値を、特に立体表示用眼鏡に用いられるλ/4位相差フィルムCと有機エレクトロルミネッセンス表示装置の視認側のλ/4位相差フィルムBに着目して、最適化を図ることで、改善可能であると考えた。
立表示用眼鏡の模式図である。 有機エレクトロルミネッセンス表示装置の模式図である。 液晶シャッタS1及びS2の模式図である。 テンターによる斜め延伸を示す模式図である。 有機エレクトロルミネッセンス表示装置の断面図の一例である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムは、円偏光板Aを有機エレクトロルミネッセンス素子の視認側に積層した有機エレクトロルミネッセンス表示装置と、円偏光板Bを有する立体表示用眼鏡からなる有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムであって、上記の要件(1)〜(5)を満足することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項14までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記λ/4位相差フィルムBが、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値が150〜175nmの範囲内であり、且つ、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散が0.75〜0.9の範囲内であることが好ましい。この態様により、赤以外の透過光量も向上するため立体画像の視認性を上げることができる。
また、前記λ/4位相差フィルムBが、セルロースエステル樹脂を含有することが、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができるため好ましい。
さらに、前記λ/4位相差フィルムBに含有されたセルロースエステル樹脂が、前記式(1)及び式(2)を満たすセルロースアシレート樹脂であることが、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができるため好ましい。
また、前記λ/4位相差フィルムBが、下記一般式(A)で表される化合物を含有することが薄膜化が可能で、薄膜化により透過光量を増加できることから好ましい。
前記λ/4位相差フィルムBに含有された一般式(A)で表される化合物が、前記一般式(1)で表される化合物であることが薄膜化が可能で、薄膜化により透過光量を増加できることから好ましい。
前記λ/4位相差フィルムBに含有された一般式(A)で表される化合物が、前記一般式(2)で表される化合物であることが薄膜化が可能で、薄膜化により透過光量を増加できることから好ましい。
また、前記λ/4位相差フィルムCが、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値が150〜175nmの範囲内であり、且つ、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散が0.75〜0.95の範囲内であることが本発明の効果発現の観点から好ましい。
前記λ/4位相差フィルムCがセルロースエステル樹脂を含有することが、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができるため好ましい。
更に、λ/4位相差フィルムCに含有された前記セルロースエステル樹脂が前記式(1)及び式(2)を満たすセルロースアシレート樹脂であることが、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができるため好ましい。
前記λ/4位相差フィルムCが前記一般式(A)で表される化合物を含有することが薄膜化が可能で、薄膜化により透過光量を増加できることから好ましい。
前記λ/4位相差フィルムCに含有された前記一般式(A)で表される化合物が、前記一般式(1)で表される化合物であることが薄膜化が可能で、薄膜化により透過光量を増加できることから好ましい。
前記λ/4位相差フィルムCに含有された前記一般式(A)で表される化合物が、前記一般式(2)で表される化合物であることが薄膜化が可能で、薄膜化により透過光量を増加できることから好ましい。
前記λ/4位相差フィルムBが紫外線吸収剤を含有することが有機エレクトロルミネッセンス表示装置の耐久性向上の観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムは、円偏光板Aを有機エレクトロルミネッセンス素子の視認側に積層した有機エレクトロルミネッセンス表示装置と、円偏光板Bを有する立体表示用眼鏡からなる有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムであって、下記要件(1)〜(5)を満足することを特徴とする。
(1)前記円偏光板Aが、有機エレクトロルミネッセンス素子側から順に、λ/4位相差フィルムA、偏光子、λ/4位相差フィルムBから構成される。
(2)前記円偏光板Bが、有機エレクトロルミネッセンス素子側から順に、λ/4位相差フィルムC、偏光子、保護層から構成される。
(3)前記λ/4位相差フィルムAの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散が、0.9〜1.1の範囲内である。
(4)前記λ/4位相差フィルムAの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値が、130〜155nmの範囲内である。
(5)前記λ/4位相差フィルムBとλ/4位相差フィルムCとの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値の合計が、300〜350nmの範囲内である。
(有機エレクトロルミネッセンス表示装置)
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)の構成の一例について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
ガラスやポリイミド等を用いた基板上に順に金属電極、TFT、発光層、透明電極(酸化インジウムスズ(ITO)等)、絶縁層、封止層、透明シート(省略可)を有する有機EL素子上に、偏光子をλ/4位相差フィルムAとλ/4位相差フィルムBによって挟持した円偏光板Aを設けて、有機EL表示装置を構成する。円偏光板Aは保護層に硬化層が積層されていてもよい。硬化層は、有機EL表示装置の表面のキズを防止するだけではなく、円偏光板による反りを防止する効果を有する。上記有機EL素子自体の厚さは1μm程度である。
有機EL表示装置は、透明基板上に金属電極と発光層と透明電極とを順に積層して発光体である素子(有機EL素子)を形成している。ここで、発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、及び電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成をとることができる。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、ITOなどの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いる。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いることができる。
このような構成の有機EL表示装置において、発光層は、厚さ10nm程度と極めて薄い膜で形成されている。このため、発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
本発明の円偏光板Aは、有機エレクトロルミネッセンス素子側から順に、λ/4位相差フィルムA、偏光子、λ/4位相差フィルムBから構成される。
円偏光板Aを構成するλ/4位相差フィルムAは、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、偏光板とλ/4位相差フィルムとの偏光方向のなす角をπ/4に調整することで、円偏光となり、金属電極の鏡面による外光反射を抑制することができ好ましい。
λ/4位相差フィルムBは円偏光板Aの偏光子とともに有機エレクトロルミネッセンス素子から出射された光を円偏光にかえる役割を担っている。この円偏光と立体表示用眼鏡とを組み合わせることにより、立体視が可能になる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過し、この直線偏光は位相差フィルムにより一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板がλ/4位相差フィルムでしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差フィルムに再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を遮蔽することができる。しかし前述したように波長分散が不完全のため、赤の視認性が劣るという問題があった。
<立体表示用眼鏡>
本発明では、専用の立体表示用眼鏡を観測者が着用することで、2次元画像を立体(3次元)画像として観測者に認識させる方式が好ましい。この方式で現在有力視されているのが、画像を表示するディスプレイに視差画像である右眼用画像と左眼用画像とを時系列で交互に切り替えて映し出し、観測者は図1に示すような立体表示用眼鏡Gを着用して、ディスプレイの画像を見るという方式である。
立体表示用眼鏡(G)には、図1に示すように左右の目に液晶シャッタ(S1)及び(S2)が備え付けられ、これらの液晶シャッタ(S1)及び(S2)を制御する制御回路(CC)が接続されている。
図2に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)のように、有機エレクトロルミネッセンス表示装置に映し出される画像としては、2枚のフィールドに、左眼用画像(LI)と右眼用画像(RI)とがそれぞれ割り当てられてあり、時系列でこれらが交互に高速に切り替わって表示される。有機エレクトロルミネッセンス表示装置から出射される光は円偏光である。さらに、立体表示用眼鏡Gの左右の液晶シャッタ(S1)及び(S2)の開閉の切り替えは、左眼用画像(LI)と右眼用画像(RI)の切り替えに同期させて行う。円偏光を用いることにより、首を傾けた際に、輝度低下や色味の変化を抑制できる。
液晶シャッタ(S1)及び(S2)は、図3に示すように、円偏光板B(P1)及び偏光板(P2)と液晶層(LC)を有しており、液晶シャッタ(S1)及び(S2)に入射する円偏光の光(L)を、液晶層(LC)を用いて制御することで、液晶シャッタ(S1)及び(S2)から出射する光の透過率を制御している。このように有機EL表示装置(ELD)と立体画像視認用眼鏡(G)とを制御することにより、図2に示すように、有機EL表示装置に左眼用画像(LI)が表示されている時には右眼用の液晶シャッタ(S1)が閉じて左眼用の液晶シャッタ(S2)が開き、逆に右眼用画像(RI)が表示されているときには右眼用の液晶シャッタ(S1)が開いて左眼用の液晶シャッタ(S2)が閉じることになる。
本発明では円偏光板Bは有機エレクトロルミネッセンス素子側から順に、λ/4位相差フィルムA、偏光子、λ/4位相差フィルムBから構成される。
<λ/4位相差フィルム>
本発明の「λ/4位相差フィルム」とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(又は、円偏光を直線偏光に)変換する機能を有するものをいう。λ/4位相差フィルムは、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、下記式(3)で表される層の面内の位相差値Roが約1/4であることが好ましい。本発明のλ/4位相差フィルムは、波長550nmで測定した面内の位相差値Ro(550)が110〜170nmの範囲内でありRo(550)が120〜160nmであることが好ましく、Ro(550)が130〜150nmであることがさらに好ましい。
青色の再現にとって、波長450nmで測定したリターデーション値である面内の位相差値Ro(450)と波長550nmで測定したリターデーション値である面内の位相差値Ro(550)の比の値Ro(450)/Ro(550)が、0.72〜0.92であることが青色の再現にとって好ましく、0.76〜0.88であることが更に好ましく、0.79〜0.85であることが最も好ましい。
本発明では3種のλ/4位相差フィルムA〜Cが以下の3つの条件を満足することが必要である。
1.λ/4位相差フィルムAの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散が、0.9〜1.1の範囲内である。
2.λ/4位相差フィルムAの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値が、130〜155nmの範囲内である。
3.該λ/4位相差フィルムBとλ/4位相差フィルムCとの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値の合計が、300〜350nmの範囲内である。
式(3):Ro=(nx−ny)×d
式中、nx、nyは、23℃・55%RH、450nm、550nm又は650nmにおける屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう。)、ny(フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率)であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。波長xの面内の位相差値をRo(x)と表した。また、本発明では特定波長(x1)の面内の位相差値Ro(x1)に対する、特定波長(x2)の面内の位相差値Ro(x2)の比の値を波長分散といい、波長分散(x2/x1)と表した。
Ro、Rtは自動複屈折率計を用いて測定することができる。自動複屈折率計Axometrics社製のAxoScanを用いて、23℃、55%RHの環境下で、各波長での複屈折率測定によりRoを算出する。
本発明に係るλ/4位相差フィルムB、λ/4位相差フィルムCは更に以下の態様が好ましい。
<λ/4位相差フィルムB>
λ/4位相差フィルムBは、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、波長650nmにおける面内位相差値が150〜175nmの範囲内であり、且つ温度23℃、相対湿度55%の環境下での、波長650nmに対する波長550nmの波長分散が0.75〜0.95の範囲内であることが、赤以外の透過光量も向上するため立体画像の視認性を上げることができるためも好ましい。
λ/4位相差フィルムBは、セルロースエステル樹脂を含有することが好ましい。セルロースエステル樹脂を含有することで、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができることから好ましい。
前記セルロースエステル樹脂が、前記式(1)及び式(2)を満たすセルロースアシレート樹脂であることが、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができることから好ましい。
λ/4位相差フィルムBが、前記一般式(A)で表される化合物を含有することが本発明の効果発現の観点から好ましい。
一般式(A)で表される化合物が、前記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
更に一般式(A)で表される化合物が、前記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
<λ/4位相差フィルムC>
λ/4位相差フィルムCは23℃、相対湿度55%での波長650nmにおける面内位相差値が150〜175nmの範囲内であり、且つ23℃、相対湿度55%での波長650nmに対する波長550nmの波長分散が0.75〜0.95の範囲内であることが、赤以外の透過光量も向上するため立体画像の視認性を上げることができるため好ましい。
λ/4位相差フィルムCは、セルロースエステル樹脂を含有することが好ましい。セルロースエステル樹脂を含有することで、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができることから好ましい。
前記セルロースエステル樹脂が、前記式(1)及び式(2)を満たすセルロースアシレート樹脂であることが、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができることから好ましい。
λ/4位相差フィルムCは、前記一般式(A)で表される化合物を含有することが好ましい。
一般式(A)で表される化合物が、前記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
更に一般式(A)で表される化合物が、前記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
上記3種のλ/4位相差フィルムの遅相軸と後述する偏光子の透過軸との角度が実質的に45°になるように積層すると円偏光板が得られる。「実質的に45°」とは、40±5°であることを意味する。λ/4位相差フィルムの面内の遅相軸と偏光子の透過軸との角度は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることが更に好ましく、44〜46°であることが最も好ましい。
(一般式(A)の化合物)
以下、一般式(A)について詳細に説明する。
Figure 0005724847
一般式(A)において、L1及びL2は各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。
1及びL2としては、例えば、下記構造が挙げられる。(下記Rは水素原子又は置換基を表す。)
Figure 0005724847
1及びL2として、好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
1、R2及びR3は各々独立に置換基を表す。R1、R2及びR3で表される置換基の具体例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)が挙げられる。
1及びR2としては、好ましくは、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のシクロヘキシル基である。より好ましくは置換基を有するフェニル基、置換基を有するシクロヘキシル基であり、さらに好ましくは4位に置換基を有するフェニル基、4位に置換基を有するシクロヘキシル基である。
3として、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
Wa及びWbは水素原子又は置換基を表すが、
(I)Wa及びWbが互いに結合して環を形成してもよく、
(II)Wa及びWbの少なくとも一つが環構造を有してもよく、又は
(III)Wa及びWbの少なくとも一つがアルケニル基又はアルキニル基であってもよい。〕
Wa及びWbで表される置換基の具体例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)が挙げられる。
上記の置換基は、更に上記の基で置換されていてもよい。
(1)Wa及びWbが互いに結合して環を形成する場合、以下のような構造が挙げられる。
Figure 0005724847
(R4、R5、R6はそれぞれ水素原子又は置換基を表す)
Wa及びWbが互いに結合して環を形成する場合、好ましくは、含窒素5員環又は含硫黄5員環であり、特に好ましくは、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0005724847
一般式(1)において、A1及びA2は各々独立に、−O−、−S−、−NRx−(Rxは水素原子又は置換基を表す)又は−CO−を表す。Rxで表される置換基の例は、上記Wa及びWbで表される置換基の具体例と同義である。Rxとして、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。
一般式(1)において、Xは第14〜16族の非金属原子を表す。
Xとしては、=O、=S、=NRc、=C(Rd)Reが好ましい。ここでRc、Rd、Reは置換基を表し、例としては上記Wa及びWbで表される置換基の具体例と同義である。
1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。
Figure 0005724847
一般式(2)において、Q1は−O−、−S−、−NRy−(Ryは水素原子又は置換基を表す)、−CRaRb−(Ra及びRbは水素原子又は置換基を表す)又は−CO−を表す。ここで、Ry、Ra、Rbは置換基を表し、例としては上記Wa及びWbで表される置換基の具体例と同義である。
Yは置換基を表す。
Yで表される置換基の例としては、上記Wa及びWbで表される置換基の具体例と同義である。
Yとして、好ましくは、アリール基、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基である。
Yで表されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも一つ含むヘテロ環基が挙げられ、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基が好ましい。
これらのアリール基又はヘテロ環基は、少なくとも一つの置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシ基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基等が挙げられる。
1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。
(2)一般式(A)において、Wa及びWbの少なくとも一つが環構造を有する場合の具体例としては、以下のような構造が挙げられる。
Figure 0005724847
(R7、R8はそれぞれ水素原子又は置換基を表す)
特に好ましくは、下記一般式(3)である。
Figure 0005724847
一般式(3)において、Q3は=N−又は=CRz−(Rzは水素原子又は置換基)を表し、Q4は第14〜16族の非金属原子を表す。ZはQ3及びQ4と共に環を形成する非金属原子群を表す。
3、Q4及びZから形成される環は、更に別の環で縮環していてもよい。
3、Q4及びZから形成される環として、好ましくは、ベンゼン環で縮環した含窒素5員環又は6員環である。
1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。
(3)Wa及びWbの少なくとも一つがアルケニル基又はアルキニル基である場合には、好ましくは、置換基を有するビニル基、エチニル基である。
上記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物のうち、特に、一般式(3)で表される化合物が好ましい。
一般式(3)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物に比べて耐熱性及び耐光性に優れており、一般式(2)で表される化合物に比べ、有機溶媒に対する溶解性やポリマーとの相溶性が良好である。
本発明に係る一般式(A)で表される化合物は、所望の波長分散性、及び滲み防止性を付与するのに適宜量を調整して含有することができるが、添加量としてはセルロース誘導体に対して、1〜15質量%含むことが好ましく、特には、2〜10質量%含むことが好ましい。この範囲内であれば、本発明に用いられるセルロース誘導体に十分な波長分散性、及び滲み防止性を付与することができる。また、本発明に係る一般式(A)で表される化合物をλ/4位相差フィルムに使用することで、薄膜化が可能で、薄膜化により透過光量を増加できることから好ましい。この効果は一般式(A)で表される化合物が一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物のとき顕著で好ましい。
以下に、本発明に係る一般式(A)の化合物例を示すが、本発明で用いることができる一般式(A)で表される化合物は、以下の化合物例によって何ら限定されることはない。
Figure 0005724847
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なお、一般式(A)、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物は、既知の方法を参照して行うことができる。具体的には、Journal of Chemical Crystallography(1997);27(9);512−526)特開2010−31223号公報、特開2008−107767号公報等を参照に合成することができる。
(セルロースエステル樹脂)
本発明の一形態に係るセルロースエステル樹脂は、セルロースアシレートを主成分として含有することが好ましい。セルロースアシレート樹脂であることが、他の樹脂より容易に測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散を低くすることができるため好ましい。
本発明の一形態に係るセルロースアシレートフィルムは、フィルムの全質量100質量%に対して、セルロースアシレートを好ましくは60〜100質量%の範囲で含む。また、セルロースアシレートの総アシル基置換度は、2.0以上3.0未満であり、2.2〜2.7であることがより好ましい。
セルロースアシレートとしては、セルロースと、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸及び/又は芳香族カルボン酸とのエステルが挙げられ、特に、セルロースと炭素数が6以下の低級脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
セルロースのヒドロキシ基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐していてもよく、また環を形成してもよい。さらに別の置換基が置換してもよい。同じ置換度である場合、上述した炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましく、プロピオニル置換度及びブチリル置換度の総和は0.5以上である。前記セルロースアシレートとしての炭素数が2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
具体的には、セルロースアシレートとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート又はセルロースアセテートフタレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基、ブチレート基又はフタリル基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。なお、ブチレートを形成するブチリル基は、直鎖であっても分岐していてもよい。
本発明においては、セルロースアシレートとして、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、又はセルロースアセテートプロピオネートが特に好ましく用いられる。
また、目的に叶う光学特性を得るために、置換度の異なる樹脂を混合して用いてもよい。その際の混合比としては、1:99〜99:1(質量比)が好ましい。
上述した中でも、特にセルロースアセテートプロピオネートが、セルロースアシレートとして好ましく用いられる。セルロースアセテートプロピオネートでは、0≦Y≦2.5であり、かつ、0.5≦X≦3.0である(ただし、2.0≦X+Y<3.0である)ことが好ましく、0.5≦Y≦2.0であり、かつ、1.0≦X≦2.0である(ただし、2.0≦X+Y<3.0である)ことがより好ましい。なお、アシル基の置換度は、ASTM−D817−96に準じて測定されうる。
セルロースアシレートの数平均分子量は、60000〜300000の範囲であると、得られるフィルムの機械的強度が強くなるため、好ましい。より好ましくは、数平均分子量が70000〜200000のセルロースアシレートが用いられる。
セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される。測定条件は以下のとおりである。なお、本測定方法は、本発明における他の重合体の測定方法としても使用することができる。
溶媒:メチレンクロライド;
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工株式会社製)を3本接続して使用する;
カラム温度:25℃;
試料濃度:0.1質量%;
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製);
ポンプ:L6000(日立製作所株式会社製);
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー株式会社製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
セルロースアシレート中の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1〜45質量ppmの範囲であることが好ましい。これらは塩の形で含有していると考えられる。残留硫酸含有量が45質量ppmを超えると、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティングの際に破断しやすくなる傾向がある。なお、残留硫酸含有量は、1〜30質量ppmの範囲がより好ましい。残留硫酸含有量は、ASTM D817−96に規定の方法により測定することができる。
また、セルロースアシレート中の遊離酸含有量は、1〜500質量ppmであることが好ましい。上記の範囲であると、上記と同様に破断しにくいため、好ましい。なお、遊離酸含有量は、1〜100質量ppmの範囲であることが好ましく、さらに破断しにくくなる。特に1〜70質量ppmの範囲が好ましい。遊離酸含有量はASTM D817−96に規定の方法により測定することができる。
合成したセルロースアシレートの洗浄を、溶液流延法に用いられる場合に比べて、さらに十分に行うことによって、残留アルカリ土類金属含有量、残留硫酸含有量、及び残留酸含有量を上記の範囲とすることができ好ましい。
また、セルロースアシレートは、フィルムにしたときの輝点異物が少ないものであることが好ましい。輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)を意味する。輝点異物は、直径0.01mm以上の輝点の個数が200個/cm2以下であることが好ましく、100個/cm2以下であることがより好ましく、50個/cm2以下であることがさらに好ましく、30個/cm2以下であることが一層好ましく、10個/cm2以下であることが特に好ましく、皆無であることが最も好ましい。
また、直径0.005〜0.01mm以下の輝点についても、200個/cm2以下であることが好ましく、100個/cm2以下であることがより好ましく、50個/cm2以下であることがさらに好ましく、30個/cm2以下であることが一層好ましく、10個/cm2以下であることが特に好ましく、皆無であることが最も好ましい。
セルロースアシレートの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどが挙げられる。また、それらから得られたセルロースアシレートは、それぞれ任意の割合で混合使用されうる。
セルロースアシレートは、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、特開平10−45804号に記載の方法を参考にして合成することができる。
また、セルロースアシレートは、セルロースアシレート中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらの微量金属成分は、製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となりうるような成分は少ない方が好ましく、特に、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成することにより不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。また、カルシウム(Ca)成分は、カルボン酸やスルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物(すなわち、錯体)を形成しやすく、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成するおそれがあるため、少ないことが好ましい。
具体的には、鉄(Fe)成分については、セルロースアシレート中の含有量が1質量ppm以下であることが好ましい。また、カルシウム(Ca)成分については、セルロースアシレート中の含有量が好ましくは60質量ppm以下であり、より好ましくは0〜30質量ppmである。さらに、マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、セルロースアシレート中の含有量が0〜70質量ppmであることが好ましく、特に0〜20質量ppmであることが好ましい。
なお、鉄(Fe)成分の含有量、カルシウム(Ca)成分の含有量、マグネシウム(Mg)成分の含有量などの金属成分の含有量は、絶乾したセルロースアシレートをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析することができる。
(可塑剤)
本発明の一形態に係るλ/4位相差フィルムは、可塑剤を含有することが好ましい。特に、本発明に係るλ/4位相差フィルムは、数平均分子量(Mn)が300以上10000以下のポリエステル系可塑剤含有することが好ましい。ただし、延伸の際150℃以上の高温をかける場合は、ポリエステル系化合物の揮発を抑制するために、1000以上、10000以下が好ましく用いられる。
ポリエステル系可塑剤の具体的な構造について特に制限はなく、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤が用いることができる。ポリエステル系可塑剤としては、例えば、下記一般式(a)で表されるポリエステル系可塑剤が挙げられる。
一般式(a) B−(G−A−)nG−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基又は脂肪族モノカルボン酸残基を表し、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表し、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、nは1以上の整数を表す。)
一般式(a)で表されるポリエステル系可塑剤は、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られるものである。
ポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリーブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等が挙げられ、これらはそれぞれが1種単独で、又は2種以上の混合物として使用されうる。
また、ポリエステル系可塑剤の脂肪族モノカルボン酸成分としては、例えば、炭素数3以下の脂肪族モノカルボン酸が好ましく、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸がより好ましく、酢酸が最も好ましい。重縮合エステルの両末端に使用するモノカルボン酸類の炭素数が3以下であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障が発生しない。
また、炭素数3以上8以下の環状脂肪族を有するモノカルボン酸が好ましく、炭素数6の環状脂肪族を有するモノカルボン酸がより好ましく、シクロヘキサンカルボン酸、4−メチル−シクロヘキサンカルボン酸が最も好ましい。重縮合エステルの両末端に使用するモノカルボン酸類の環状脂肪族の炭素数が3以上8以下であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障が発生しない。
ポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が挙げられ、これらはそれぞれが1種単独で、又は2種以上の混合物として使用されうる。なかでも特に、炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため好ましく、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、さらに好ましくは炭素数2〜4のアルキレングリコールである。
また、ポリエステル系可塑剤の炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で、又は2種以上の混合物として使用されうる。
ポリエステル系可塑剤の炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等が挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で、又は2種以上の混合物として使用されうる。さらに、炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
本発明の一形態に係るλ/4位相差フィルムに好ましく含有されるポリエステル系可塑剤は、その数平均分子量が300〜10000である。より好ましくは1000〜10000である。更に好ましくは6000〜8000である。
なお、ポリエステル系可塑剤の酸価は、好ましくは0.5mgKOH/g以下であり、より好ましくは0.3mgKOH/g以下である。また、ポリエステル系可塑剤のヒドロキシ基価(水酸基価)は、好ましくは25mgKOH/g以下であり、より好ましくは15mgKOH/g以下である。なお、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシ基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
以下に、λ/4位相差フィルムに好ましく含有されるポリエステル系可塑剤の具体的な構造を示す。
Figure 0005724847
化学式1中、nは、繰り返し単位の平均繰り返し数を表し、3.5〜47.2の数である。より好ましくは22.9〜42.4である。
本発明の一形態に係るλ/4位相差フィルムは、上述した「数平均分子量(Mn)が1000以上10000以下のポリエステル系可塑剤」以外の可塑剤を含むことも好ましい。
前記ポリエステル系可塑剤の分散比(Mw/Mn(Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す))は、好ましくは1.5〜10であり、より好ましくは2〜8であり、特に好ましくは3〜7である。ポリエステル系可塑剤の分散比がかような範囲内の値であると、各種性能のバランスに優れたλ/4位相差フィルムが得られるため、好ましい。例えば、上記分散比の値が1.5以上であれば、セルロースエステルと各種添加剤との相溶性を十分に確保することができ、しかも、ポリエステル系可塑剤の製造も容易である。一方、上記分散比の値が10以下であれば、低分子量成分の混入が防止され、低分子量成分の揮発に伴う添加剤のブリードアウトや工程の汚染、フィルムの柔軟性の低下などの問題の発生が防止されうる。
前記ポリエステル系可塑剤における低分子量成分の含有量は少ないことが好ましいが、これを定量的に表現すれば、ポリエステル系可塑剤100質量%に対して、数平均分子量が200以下の成分の占める割合は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。
同様に、前記ポリエステル系可塑剤における高分子量成分の含有量も少ないことが好ましいが、これを定量的に表現すれば、ポリエステル系可塑剤100質量%に対して、数平均分子量10000超の成分の占める割合は、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下である。
以上で説明したポリエステル系可塑剤以外にも、各種の可塑剤が本発明の一形態に係るλ/4位相差フィルムに添加されてもよい。かような可塑剤としては、例えば、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、及びアクリル系可塑剤等が挙げられる。
多価アルコールエステル系可塑剤は、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸とのエステルからなる可塑剤であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。多価アルコールエステル系可塑剤は、好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールのエステルからなる。
好ましく用いられる多価アルコールは、次の一般式(b)で表される。
一般式(b) R1−(OH)n
(式中、R1はn価の有機基を表し、nは2以上の整数を表し、OHはアルコール性及び/又はフェノール性ヒドロキシ基を表す。)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等が挙げられる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が用いられうる。脂環族モノカルボン酸や芳香族モノカルボン酸を用いると、フィルムの透湿性、保留性を向上させることができるため、好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖の又は側鎖を有する脂肪酸が好ましく用いられうる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸とを混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基又はエトキシ基などのアルコキシ基が1〜3個導入されたもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限されないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることがさらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では分子量が小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種単独でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化されていてもよいし、一部がOH基のまま残されてもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 0005724847
Figure 0005724847
Figure 0005724847
Figure 0005724847
グリコレート系可塑剤は、特に限定されないが、例えば、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いられうる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えば、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、例えば、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤としては、例えば、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールとのエステルからなる可塑剤が例示される。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は、次の一般式(c)で表される。
一般式(c) R2(COOH)m(OH)n
(式中、R2は(m+n)価の有機基を表し、mは2以上の整数を表し、nは0以上の整数を表し、COOHはカルボキシ基を表し、OHはアルコール性及び/又はフェノール性ヒドロキシ基を表す)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸又はその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などが好ましく用いられうる。特に、オキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。一方、多価カルボン酸エステル系可塑剤を構成するアルコールについても特に制限はなく、公知のアルコール類、フェノール類が用いられうる。
例えば、炭素数1〜32の直鎖の又は側鎖を有する脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコールが好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール又はその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコール又はその誘導体なども好ましく用いられうる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性又はフェノール性のヒドロキシ基をモノカルボン酸によりエステル化してもよい。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖の又は側鎖を有する脂肪酸が好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などが挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上含む芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。特に、酢酸、プロピオン酸、安息香酸が好ましい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の分子量は特に制限はないが、分子量300以上1000未満の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることがさらに好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤に用いられるアルコール類は一種単独でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の酸価は、1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、レターデーションの環境変動が抑制されるため好ましい。
特に好ましい多価カルボン酸エステル系可塑剤の例を以下に示すが、これらに限定されない。
例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
<その他の添加剤>
(ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個有し、その構造のOH基の全て又は一部がエステル化されたエステル化合物)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個以下有しその構造のOH基の全て又は一部がエステル化されたエステル化合物を含むことが好ましい。本発明においては、このエステル化合物を総称して、「糖エステル化合物」とも称する。
糖エステル化合物の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
まず、ピラノース構造又はフラノース構造を有する化合物(糖)としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース、及びケストースが挙げられる。
このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造の双方を有する化合物が好ましい。その例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、さらに好ましくは、スクロースである。
糖エステル化合物を構成する目的で、上述したピラノース構造又はフラノース構造を有する化合物(糖)のOH基の全て又は一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が用いられうる。用いられるカルボン酸は1種単独でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられ、より具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸が挙げられるが、特に安息香酸が好ましい。
本発明に係るλ/4位相差フィルムにおける位相差値の変動を抑制して表示品位を安定化するという観点から、上述した糖エステル化合物は、λ/4位相差フィルム100質量%に対して、1〜30質量%の量で含まれることが好ましく、2〜20質量%の量で含まれることがより好ましい。この範囲内であれば、本発明の優れた効果を呈するとともに、ブリードアウトなどもなく好ましい。
(ポリエステル)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、下記のポリエステルを含有することも好ましい。
(一般式(d)又は(e)で表されるポリエステル)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、下記一般式(d)又は(e)で表されるポリエステルを含有することが好ましい。
一般式(d) B1−(G−A−)mG−B1
(式中、B1はモノカルボン酸を表し、Gは2価のアルコールを表し、Aは2塩基酸を表す。B1、G、Aはいずれも芳香環を含まない。mは繰り返し数を表す。)
一般式(e) B2−(A−G−)nA−B2
(式中、B2はモノアルコールを表し、Gは2価のアルコールを表し、Aは2塩基酸を表す。B2、G、Aはいずれも芳香環を含まない。nは繰り返し数を表す。)
一般式(d)、(e)において、B1はモノカルボン酸成分を表し、B2はモノアルコール成分を表し、Gは2価のアルコール成分を表し、Aは2塩基酸成分を表し、これらによって合成されたことを表す。B1、B2、G、Aはいずれも芳香環を含まないことが特徴である。m、nは繰り返し数を表す。
B1で表されるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等を用いることができる。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖の又は側鎖を有する脂肪酸が好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸とを混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
B2で表されるモノアルコール成分としては、特に制限はなく公知のアルコール類が用いられうる。例えば、炭素数1〜32の直鎖の又は側鎖を有する脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコールが好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。
Gで表される2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等が挙げられるが、これらのうちエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、さらに、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールが好ましく用いられる。
Aで表される2塩基酸(ジカルボン酸)成分としては、脂肪族2塩基酸、脂環式2塩基酸が好ましく、脂肪族2塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等、特に、脂肪族ジカルボン酸としては炭素数4〜12のもの、これらから選ばれる少なくとも1つのものが使用されうる。つまり、2種以上の2塩基酸を組み合わせて使用してもよい。
m、nは繰り返し数を表し、1以上で170以下が好ましい。
(一般式(f)又は(g)で表されるポリエステル)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、下記一般式(f)又は(g)で表されるポリエステルを含有することが好ましい。
一般式(f) B1−(G−A−)mG−B1
(式中、B1は炭素数1〜12のモノカルボン酸を表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコールを表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸を表す。B1、G、Aはいずれも芳香環を含まない。mは繰り返し数を表す。)
一般式(g) B2−(A−G−)nA−B2
(式中、B2は炭素数1〜12のモノアルコールを表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコールを表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸を表す。B2、G、Aはいずれも芳香環を含まない。nは繰り返し数を表す。)
一般式(f)、(g)において、B1はモノカルボン酸成分を表し、B2はモノアルコール成分を表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコール成分を表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸成分を表し、これらによって合成されたことを表す。B1、G、Aはいずれも芳香環を含まない。m、nは繰り返し数を表す。なお、B1、B2は、前述の一般式(d)又は(e)におけるB1、B2と同義である。また、G、Aは、前述の一般式(d)又は(e)におけるG、Aの中で炭素数2〜12のアルコール成分又は2塩基酸成分に相当する。
高温高倍延伸において好ましいポリエステルの数平均分子量は1000以上10000以下である。数平均分子量が1000未満では、高温高倍率延伸で破断が生じやすく、10000より大きいと相分離起因の白化が増加しやすい。
ポリエステルの重縮合は常法によって行われる。例えば、上記2塩基酸とグリコールとの直接反応、上記の2塩基酸又はこれらのアルキルエステル類、例えば2塩基酸のメチルエステルとグリコール類とのポリエステル化反応又はエステル交換反応により熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコールとの脱ハロゲン化水素反応のいずれかの方法により容易に合成することができるが、重量平均分子量がさほど大きくないポリエステルは直接反応により合成することが好ましい。
低分子量側に分布が高くあるポリエステルはセルロースエステルとの相溶性が非常によく、フィルム形成後、透湿度も小さく、しかも透明性に富んだλ/4位相差フィルムを得ることができる。分子量の調節方法は、特に制限なく従来の方法を使用できる。例えば、重合条件にもよるが、1価の酸又は1価のアルコールで分子末端を封鎖する方法を用いる場合には、これらの1価の原料化合物の添加量を調整することで分子量を調節することができる。この場合、1価の酸の添加量を調整することが、ポリマーの安定性の観点から好ましい。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられるが、重縮合反応中には系外に留去されず、停止して反応系外に除去するときには留去し易いものを選ぶことが好ましい。なお、この目的で複数の化合物を混合使用してもよい。また、直接反応の場合には、反応中に生成する水の量により反応を停止するタイミングを計ることによっても重量平均分子量を調節できる。その他、仕込むグリコール又は2塩基酸のモル数を偏らせることによっても分子量の調節が可能であるし、反応温度をコントロールして分子量を調節することもできる。
ポリエステルは、セルロースエステル100質量%に対して、1〜40質量%の量で含まれることが好ましく、一般式(f)又は(g)で表されるポリエステルは2〜30質量%の量で含まれることが好ましい。特には、5〜15質量%の量で含まれることが好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明に係るλ/4位相差フィルム、又は後述する保護フィルムは紫外線吸収剤を含有することが好ましい。特にλ/4位相差フィルムBは多くの光量にさらされるので、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の耐久性向上の観点から、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。
なお、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
これらは、市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビン類を好ましく使用できる。
さらに、λ/4位相差フィルムには、成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するために各種の酸化防止剤を添加することもできる。また帯電防止剤を加えて、λ/4位相差フィルムに帯電防止性能を与えることも可能である。
(リン系難燃剤)
本発明に係るλ/4位相差フィルムには、リン系難燃剤を配合した難燃アクリル系樹脂組成物を用いても良い。ここで用いられるリン系難燃剤としては、赤リン、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等から選ばれる1種、あるいは2種以上の混合物を挙げることができる。
具体的な例としては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
(マット剤)
また、本発明に係るλ/4位相差フィルムには、取扱性を向上させるため、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましく用いられる。
微粒子の1次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。
(張力軟化点)
本発明に係るλ/4位相差フィルムはより高温の環境下での使用に耐えられることが求められており、λ/4位相差フィルムの張力軟化点は、105℃〜145℃であれば十分な耐熱性を示すため好ましく、特に110℃〜130℃が好ましい。
張力軟化点の具体的な測定方法としては、例えば、テンシロン試験機(ORIENTEC社製、RTC−1225A)を用いて、試料フィルムを120mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、10Nの張力で引っ張りながら30℃/minの昇温速度で昇温を続け、9Nになった時点での温度を3回測定し、その平均値により求めることができる。
(寸法変化率)
本発明に係るλ/4位相差フィルムを本発明の有機EL表示装置に用いた場合、吸湿による寸法変化によりムラや位相差値の変化、及びコントラストの低下や色むらといった問題を発生させないために、該λ/4位相差フィルムの寸法変化率(%)は0.5%未満が好ましく、更に、0.3%未満であることが好ましい。
(欠点)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、フィルム中の欠点が少ないことが好ましく、ここで欠点とは溶液製膜の乾燥工程において溶媒の急激な蒸発に起因して発生するフィルム中の空洞(発泡欠点)や、製膜原液中の異物や製膜中に混入する異物に起因するフィルム中の異物(異物欠点)をいう。
具体的にはフィルム面内の直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。更に好ましくは0.5個/10cm四方以下、一層好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
上記欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。
欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさである。欠点が、ロール傷の転写や擦り傷など、表面形状の変化の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認する。
なお、反射光で観察する場合に、欠点の大きさが不明瞭であれば、表面にアルミや白金を蒸着して観察する。かかる欠点頻度にて表される品位に優れたフィルムを生産性よく得るには、ポリマー溶液を流延直前に高精度濾過することや、流延機周辺のクリーン度を高くすること、また、流延後の乾燥条件を段階的に設定し、効率よくかつ発泡を抑えて乾燥させることが有効である。
欠点の個数が1個/10cm四方より多いと、例えば後工程での加工時などでフィルムに張力がかかると、欠点を基点としてフィルムが破断して生産性が低下する場合がある。また、欠点の直径が5μm以上になると、偏光板観察などにより目視で確認でき、光学部材として用いたとき輝点が生じる場合がある。
(破断伸度)
また、本発明に係るλ/4位相差フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。
破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。
(全光線透過率)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。また、製膜時のフィルム接触部(冷却ロール、カレンダーロール、ドラム、ベルト、溶液製膜における塗布基材、搬送ロールなど)の表面粗さを小さくしてフィルム表面の表面粗さを小さくすることによりフィルム表面の光の拡散や反射を低減させることが有効である。
<λ/4位相差フィルムの製膜>
次に、本発明に係るλ/4位相差フィルムの製膜方法の例を説明するが、これに限定されるものではない。λ/4位相差フィルムの製膜方法としては、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できる。
本発明に係るλ/4位相差フィルムは溶液流延法でも溶融流延法のどちらで製膜してもよい。
フィルムの着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点からは流延法による溶液流延法が好ましい。
また、セルロースアセテートの溶解に用いた溶媒の残留抑制の点からは溶融流延法で作製する方法が好ましい。溶融流延によって形成される方法は、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度などに優れるフィルムが得られる、溶融押出し法が好ましい。
(有機溶媒)
本発明に係るλ/4位相差フィルムを溶液流延法で製造する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースアセテート、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのセルロースアセテートの溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル樹脂と、セルロースエステル樹脂と、アクリル粒子の3種を、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
(溶液流延法)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、溶液流延法によって製造することができる。溶液流延法では、樹脂及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
ドープ中のセルロースアセテートの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースアセテートの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。又は、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
λ/4位相差フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%である。
残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、λ/4位相差フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
(延伸工程)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、波長550nmで測定した面内方向のリターデーションRo(550)が100〜180nmの範囲であるが、該リターデーションはフィルム延伸によって付与することが好ましい。(以下、該λ/4位相差フィルムをセルロースアセテートフィルムという場合がある。)
延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。すなわち、製膜方向に対して横方向に延伸しても、縦方向に延伸しても、両方向に延伸してもよく、さらに両方向に延伸する場合は同時延伸であっても、逐次延伸であってもよい。なお、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
本発明においては特に、延伸はフィルム搬送ロールの周速差を利用して搬送方向に行うか、若しくは搬送方向と直交方向(幅手方向又はTD方向ともいう)にウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で行うことが好ましく、更に左右把持手段によってウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンターを用いることも好ましい。
また、本発明に係るλ/4位相差フィルムを、延伸工程でフィルム搬送方向に対して45°方向に延伸することが長尺状のλ/4位相差フィルム長手方向に対する配向角θを35〜55°にする上で好ましい。
前記のように遅相軸が長手方向と平行な方向に透過軸がある長尺状の偏光フィルムと、配向角が実質的に45°である長尺状のλ/4位相差フィルムとを長手方向を合わせてロールtoロールで貼合すると、ロール状長尺状の円偏光板を容易に製造できるので、フィルムのカットロスが少なく生産上有利である。
以下、45°の方向に延伸する方法を説明する。
セルロースアセテートフィルム(長尺状のλ/4位相差フィルム)を長手方向に対して実質的に45°の方向に斜め延伸するためには、図4で示されるテンターを用いることが好ましい。図4は、テンターによる斜め延伸を示す模式図である。
延伸フィルムの製造は、テンターを用いて行う。このテンターは、フィルムロール(繰出しロール)から繰り出されるフィルムを、オーブンによる加熱環境下で、その進行方向(フィルム幅方向の中点の移動方向)に対して斜め方向に拡幅する装置である。このテンターは、オーブンと、フィルムを搬送するための把持具が走行する左右で一対のレールと、該レール上を走行する多数の把持具とを備えている。フィルムロールから繰り出され、テンターの入口部に順次供給されるフィルムの両端を、把持具で把持し、オーブン内にフィルムを導き、テンターの出口部で把持具からフィルムを開放する。把持具から開放されたフィルムは巻芯に巻き取られる。一対のレールは、それぞれ無端状の連続軌道を有し、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具は、外側を走行して順次入口部に戻されるようになっている。
なお、テンターのレール形状は、製造すべき延伸フィルムに与える配向角、延伸倍率等に応じて、左右で非対称な形状となっており、手動で又は自動で微調整できるようになっている。本発明においては、長尺の熱可塑性樹脂フィルムを延伸し、配向角θが延伸後の巻取り方向に対して、10°〜80°の範囲内で、任意の角度に設定できるようにすることができる。テンターの把持具は、前後の把持具と一定間隔を保って、一定速度で走行することができる。
図4は、斜め延伸するために用いるテンターのレールの軌道(レールパターン)を示している。セルロースアセテートフィルムの繰出し方向DR1は、延伸後のフィルムの巻取り方向(MD方向)DR2と異なっており、これにより、比較的大きな配向角をもつ延伸フィルムにおいても広幅で均一な光学特性を得ることが可能となっている。繰出し角度θiは、延伸前のフィルムの繰出し方向DR1と延伸後のフィルムの巻取り方向DR2とのなす角度である。例えば40°〜80°の配向角を持つフィルムを製造するため、繰出し角度θiは、10°<θi<60°、好ましくは15°<θi<50°で設定される。繰出し角度θiを前記範囲とすることにより、得られるフィルムの幅方向の光学特性のバラツキが良好となる(小さくなる。)。
フィルムロール(繰出しロール)から繰り出されたセルロースアセテートフィルムは、テンター入口(符号aの位置)において、その両端(両側)を左右の把持具によって順次把持されて、把持具の走行に伴い走行される。テンター入口(符号aの位置)で、フィルム進行方向(繰出し方向DR1)に対してほぼ垂直な方向に相対している左右の把持具CL,CRは、左右非対称なレール上を走行し、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーンを有するオーブンを通過する。ここで、ほぼ垂直とは、前述の向かい合う把持具CL,CR同士を結んだ直線とフィルム繰出し方向DR1とがなす角度が、90±1°以内にあることを示す。
予熱ゾーンとは、オーブン入口部において、両端を把持した把持具の間隔が一定の間隔を保ったまま走行する区間をさす。延伸ゾーンとは、両端を把持した把持具の間隔が開きだし、再び一定となるまでの区間をさす。また、冷却ゾーンとは、延伸ゾーンより後の把持具の間隔が再び一定となる期間において、ゾーン内の温度がフィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg℃以下に設定される区間をさす。
各ゾーンの温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgに対し、予熱ゾーンの温度はTg+5〜Tg+20℃、延伸ゾーンの温度はTg〜Tg+20℃、冷却ゾーンの温度はTg−30〜Tg℃に設定することが好ましい。
延伸工程における延伸倍率R(W/Wo)は、好ましくは1.3〜3.0倍、より好ましくは1.5〜2.8倍である。延伸倍率がこの範囲にあると幅方向厚さムラが小さくなるので好ましい。テンター延伸機の延伸ゾーンにおいて、幅方向で延伸温度に差を付けると幅方向厚さムラをさらに良好なレベルにすることが可能になる。なお、Woは延伸前のフィルムの幅、Wは延伸後のフィルムの幅を表す。
上記斜め方向に延伸する工程は、製膜工程内(オンライン)で行ってもよく、また一度フィルムを巻き取った後に繰り出して上記テンターにて延伸を行ってもよい(オフライン)。
セルロースアセテートフィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。
セルロースアセテートフィルムの乾燥工程における乾燥温度は好ましくはフィルムのガラス転移点−5℃以下、100℃以上で10分以上60分以下の熱処理を行うことが効果的である。乾燥温度は100〜200℃、更に好ましくは110〜160℃で乾燥が行われる。
所定の熱処理の後、巻き取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
ナーリング加工は、加熱されたエンボスロールを押し当てることにより形成することができる。エンボスロールには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることができる。
セルロースアセテートフィルムの幅手両端部のナーリングの高さは4〜20μm、幅5〜20mmが好ましい。
また、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻き取りの前に設けることが好ましい。
(溶融製膜法)
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、溶融製膜法によって製膜しても良い。溶融製膜法は、樹脂及び可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースアセテートを含む溶融物を流延することをいう。
加熱溶融する成形法は、更に詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの成形法の中では、機械的強度及び表面精度などの点から、溶融押出し法が好ましい。溶融押出しに用いる複数の原材料は、通常あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥セルロースアセテートや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し1軸や2軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることでできる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。
粒子や酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出し機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを1軸や2軸タイプの押出し機を用いて、押出す際の溶融温度を200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ロールと弾性タッチロールでフィルムをニップされ、冷却ロール上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際は真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
可塑剤や粒子などの添加剤は、あらかじめ樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
冷却ロールと弾性タッチロールでフィルムをニップする際のタッチロール側のフィルム温度はフィルムのTg以上Tg+110℃以下にすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有するロールは、公知のロールが使用できる。
弾性タッチロールは挟圧回転体ともいう。弾性タッチロールとしては、市販されているものを用いることもできる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
また、上記のようにして得られたフィルムは、冷却ロールに接する工程を通過後、前記延伸操作により延伸することが好ましい。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。延伸温度は、通常フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+60℃の温度範囲で行われることが好ましい。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、再利用される。
<λ/4位相差フィルムの物性>
本発明に係るλ/4位相差フィルムの膜厚は、特に限定はされないが10〜250μmが用いられる。特に膜厚は10〜100μmであることが特に好ましい。更に好ましくは30〜60μmである。
本発明に係るλ/4位相差フィルムは、幅1〜4mのものが用いられる。特に幅1.4〜4mのものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.6〜3mである。4mを超えると搬送が困難となる。
また、本発明に係るλ/4位相差フィルム表面の算術平均粗さRaは、好ましくは2.0nm〜4.0nm、より好ましくは2.5nm〜3.5nmである。
(円偏光板)
本発明に係る円偏光板Bは、有機エレクトロルミネッセンス素子側から順に、少なくともλ/4位相差フィルムC、偏光子、保護層から構成される。円偏光板Aは、有機エレクトロルミネッセンス素子側から順に、少なくともλ/4位相差フィルムA、偏光子、λ/4位相差フィルムBから構成される。
本発明においては、長尺状λ/4位相差フィルム(延伸フィルム)を、長尺状の偏光子の少なくとも一方の面に積層して形成される長尺状偏光板とすることが好ましい。
円偏光板は、一般的な方法で作製することができる。アルカリ鹸化処理したλ/4位相差フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
円偏光板は、更に当該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。
また、本発明に係る有機EL表示装置は紫外線による劣化を防止するために、本発明に係る円偏光板が紫外線吸収機能を備えていることが好ましい。視認側の保護フィルムが紫外線吸収機能を備えていると、偏光子と有機EL素子の両方を紫外線から保護できて好ましいが、さらに発光体側のλ/4位相差フィルムも紫外線吸収機能を備えていると、より有機EL素子の劣化を抑制できて好ましい。
(硬化層)
本発明に係る円偏光板は、偏光子を前記λ/4位相差フィルムと保護フィルムによって挟持され、該保護フィルムの視認側に硬化層が積層することが好ましい。硬化層の材料、厚み及び硬化度により反り量及び反りの方向を調整できるので、円偏光板の反りを防止できることから好ましい。
本発明では、高硬度を発揮する点から、硬化層の膜厚(ドライ膜厚)は3μm以上、30μm以下であり、好ましくは5μm以上、15μm以下であることが好ましい。
高硬度は、表示装置の表面における使用や円偏光板化工程において傷が付きにくいことから望まれおり、鉛筆硬度が3H以上であることが好ましく、より好ましくは4H以上である。
鉛筆硬度は、作製した硬化層付の保護フィルムを温度23℃、相対湿度55%の条件で2時間以上調湿した後、JIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した値である。
また、硬化層のマルテンス硬さ(HMs)が、400N/mm2以上、800N/mm2以下であることが好ましい。
マルテンス硬さ(ビッカース硬さ)とは、ビッカース圧子及び稜線同士の角度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計で、フィルムのハードコート表面を、ハードコート層の膜厚のほぼ1/10の厚みまで圧子を押し込んだ時の負荷試験力−押し込み深さ曲線において、該負荷試験力−押し込み深さ曲線から求められる最大負荷試験力(Fmax)の50%値から90%値までの押し込み深さが負荷試験力の平方根に比例する傾き(m)より、下記式で定義される値をいう。
1HMs=1/(26.4m2
硬化層は、公知のものがそのまま使用することができる。硬化層を形成する樹脂バインダーについて説明する。樹脂バインダーとしては、活性エネルギー線硬化樹脂が好ましい。活性エネルギー線硬化樹脂とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。
活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、特に、紫外線硬化樹脂が機械的膜強度(耐擦性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。
紫外線硬化樹脂としては、多官能アクリレートが好ましい。該多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。
ここで、多官能アクリレートとは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基及び/又はメタクロイルオキシ基を有する化合物である。これらの化合物は、それぞれ単独又は2種以上を混合して用いられる。
また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。エネルギー活性線硬化性樹脂の添加量は、硬化層形成組成物中では、固形分中の15質量%以上70質量%未満であることが好ましい。
また、硬化層にはエネルギー活性線硬化性樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比で、光重合開始剤;エネルギー活性線硬化性樹脂=20:100〜0.01:100で含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
硬化層には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゼラチン等の親水性樹脂等のバインダーを用いることもできる。また、ハードコート層には滑り性や屈折率を調整するために無機化合物又は有機化合物の粒子を含んでもよい。
前記硬化層の視認側には、さらに、反射防止層が設けられることが好ましい。該反射防止層は外光が保護フィルムや硬化層の表面で反射されることにより画像のコントラストを低下することを防止することができる。
(保護層)
少なくとも、本発明に係る立体表示用眼鏡には保護層が用いられる。保護層は、偏光子に隣接して配置されることにより、偏光子の偏光機能の低下を抑制する。保護層は樹脂フィルムからなることが好ましい。
このような保護フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム又はアクリルフィルム等を使用することができる。
これらの内、セルロースエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリエステルフィルムが好ましく、本発明においては、セルロースエステルフィルムが光学特性、生産性、コスト面から好ましい。
セルロースエステルフィルムとしては、例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC4UX、KC4UA、KC6UA、KC4CZ、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC4UE、及びKC12UR(以上、コニカミノルタオプト(株)製)が使用できる。
保護フィルムの膜厚は、10〜200μmであり、好ましくは、20〜100μmである。
(反射防止層)
上記円偏光板の保護層には直接又は硬化層を介して反射防止層を塗設して、外光反射防止機能を有する反射防止層を設けることも好ましい。
反射防止層は、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されていることが好ましい。反射防止層は、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層、若しくは支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と低屈折率層を組み合わせて構成されていることが好ましい。特に好ましくは、3層以上の屈折率層から構成される反射防止層であり、支持体側から屈折率の異なる3層を、中屈折率層(支持体よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましく用いられる。又は、2層以上の高屈折率層と2層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。反射防止層の構成としては下記のような構成が考えられるが、これに限定されるものではない。
保護フィルム/低屈折率層
保護フィルム/中屈折率層/低屈折率層
保護フィルム/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
保護フィルム/高屈折率層(導電性層)/低屈折率層
(低屈折率層)
反射防止層には必須である低屈折率層は、シリカ系微粒子を含有することが好ましく、その屈折率は、支持体である基材フィルムの屈折率より低く、23℃、波長550nm測定で、1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
低屈折率層の膜厚は、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることが更に好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。
低屈折率層形成用組成物については、シリカ系微粒子として、特に外殻層を有し内部が多孔質又は空洞の粒子を少なくとも1種類以上含むことが好ましい。特に該外殻層を有し内部が多孔質又は空洞である粒子が、中空シリカ系微粒子であることが好ましい。
なお、低屈折率層形成用組成物には、下記一般式(OSi−1)で表される有機珪素化合物若しくはその加水分解物、あるいは、その重縮合物を併せて含有させても良い。
一般式(OSi−1):Si(OR)4
前記一般式で表される有機珪素化合物は、式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましく用いられる。
他に溶剤、必要に応じて、シランカップリング剤、硬化剤、界面活性剤等を添加してもよい。
(高屈折率層)
高屈折率層の屈折率は、23℃、波長550nm測定で、屈折率を1.4〜2.2の範囲に調整することが好ましい。また、高屈折率層の厚さは5nm〜1μmが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。屈折率を調整する手段は、金属酸化物微粒子等を添加することで達成できる。金属酸化また、用いる金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であるものが好ましく、1.85〜2.50であるものが更に好ましい。
金属酸化物微粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物を用いることができ、これらの金属酸化物微粒子はAl、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Taなどの微量の原子をドープしてあっても良い。また、これらの混合物でもよい。中でも酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を主成分として用いることが特に好ましい。特にアンチモン酸亜鉛粒子を含有することが好ましい。
これら金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、10〜150nmであることが特に好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状あるいは不定形状であることが好ましい。
金属酸化物微粒子は有機化合物により表面処理してもよい。金属酸化物微粒子の表面を有機化合物で表面修飾することによって、有機溶媒中での分散安定性が向上し、分散粒径の制御が容易になるとともに、経時での凝集、沈降を抑えることもできる。このため、好ましい有機化合物での表面修飾量は金属酸化物粒子に対して0.1質量%〜5質量%、より好ましくは0.5質量%〜3質量%である。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。この中でもシランカップリング剤が好ましい。二種以上の表面処理を組み合わせてもよい。また高屈折率層は、π共役系導電性ポリマーを含有しても良い。π共役系導電性ポリマーとは、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用することができる。例えば、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリフェニレン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体が挙げられる。重合の容易さ、安定性点からは、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類が好ましい。
π共役系導電性ポリマーは、無置換のままでも十分な導電性やバインダー樹脂への溶解性が得られるが、導電性や溶解性をより高めるために、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基を導入してもよい。
また、イオン性化合物を含有しても良い。イオン性化合物としては、イミダゾリウム系、ピリジウム系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、脂肪族ホスホニウム系の陽イオンとBF4 -、PF6 -等の無機イオン系、CF3SO2 -、(CF3SO22-、CF3CO2 -等のフッ素系の陰イオンとからなる化合物等が挙げられる。該ポリマーとバインダーの比率はポリマー100質量部に対して、バインダーが10〜400質量部が好ましく、特に好ましくは、ポリマー100質量部に対して、バインダーが100〜200質量部である。
(偏光子)
前記偏光子としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性ポリマーフィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、1〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗しても良い。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
(基板)
有機EL素子に用いることのできる基板としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。基板側から光を取り出す場合には、基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m2・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10-3ml/(m2・24h・atm)以下、水蒸気透過度が、10-5g/(m2・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
(ガラス板)
前記基板は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の反りを防止する観点から、ガラス板が好ましい。該ガラス板の厚みは、0.1mm以上10mm以下が好ましい。0.1mm以上であれば、耐久性が良く、搬送時に割れたり、使用時の微小な衝撃で割れることが無く、また熱をかけた際でも反りを生じず、割れによる視認性の劣化が無い。また、10mm以下であれば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の質量を軽くすることができ、製造コストも抑えることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、実施例において、有機エレクトロルミネッセンス素子を有機EL素子とも言い、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を有機EL表示装置ともいう。
〔合成例1〕
《例示化合物(16)の合成》
Figure 0005724847
化合物1−Aから化合物1−Cまでの合成は、Journal of Chemical Crystallography(1977) 27(9) 515〜526に記載のとおりに行った。
化合物(1−C)31gのN−メチルピロリドン250ml溶液に、シアノ酢酸イソプロピルエステル15mlを加え、120℃で5時間撹拌した。放冷後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗した。溶媒を減圧留去後、得られた固形物をメチルエチルケトンとヘキサンで再結晶を行い、中間体(16−D)を得た(収率90%)。
(16−E)5.2gをテトラヒドロフラン50mlに溶解し、氷水冷下でメタンスルホニルクロリド(MsCl)1.7mlを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(iPr2NEt)4mlを滴下した。1時間後に、溶液を氷水浴で冷却し、中間体(16−D)のテトラヒドロフラン(THF)溶液とジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン(THF)溶液をゆっくりと滴下した。滴下後に室温に昇温して3時間撹拌した。酢酸エチルで抽出を行い、有機層を塩酸水及び水で洗浄した。有機層の溶媒を減圧留去し、得られた粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)により精製し、目的の例示化合物(16)が2g得られた。収率33%。
〔合成例2〕
《化合物(181)の合成》
Figure 0005724847
(中間体(g)の合成例)
トランス−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸62g、炭酸カリウム72g、ベンジルブロミド(PhCH2Br)70g、ジメチルアセトアミド(DMAc)を混合した。混合液を窒素置換した後に、80℃まで昇温して攪拌し、放冷後に水とメチルエチルケトン/ヘプタンの混合溶液に注入した。得られた溶液を攪拌後、水層を除去し、さらに有機層を水で洗浄した。有機層を乾燥、濾過後、残渣にヘプタンを加えて得られた個体を濾過、真空乾燥して、ベンジルエステル体(化合物(g))を72g得た。収率は73%であった。
(化合物(h)の合成例)
化合物(g)15g、トランス−4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸17g、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)15g、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)3.1g、脱水クロロホルム30mlを混合した。得られた混合液を窒素雰囲気、40℃下で攪拌し、1時間後に放冷後、室温で3時間攪拌した。得られた反応溶液にヘプタンを加え、析出した沈殿をろ過し、ろ液を回収した。ろ液を希塩酸で洗浄した。得られた有機層を乾燥、ろ過後、残渣に、メタノールを加えて加熱して溶解した後、溶液を放冷し、再結晶させて、化合物(h)を16g得た。収率は化合物(g)基準で30%であった。
(化合物(j)の合成例)
化合物(h)を16g及び2−プロパノール75mlを混合した。得られた溶液に酢酸(触媒量、0.3g)及びパラジウム−炭素(Pd/C)3.2gを加えて、窒素雰囲気下で攪拌した。反応溶液を減圧してから、水素雰囲気下で攪拌し、窒素置換した後、溶液をセライトろ過し、残渣を水で洗浄後、真空乾燥して、化合物(j)を12g得た。収率は48%。
(例示化合物(181)の合成例)
化合物(ii−a)1.0g、化合物(j)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.1g、及びクロロホルム90gを混合し、続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)2.1gをクロロホルム25gに溶解させた溶液を滴下し、攪拌した。析出した固体をろ別した後に、希塩酸で洗浄した。回収した有機層に減圧下でメタノールを添加し、固形物を取得した。取得した固形物は、メタノールで洗浄し、化合物(181)を2.8g得た。収率は80%であった。
〔合成例3〕
《化合物(212)の合成例》
Figure 0005724847
2,5−ジヒドロキシ安息香酸3gをトルエン30mlに溶解し、塩化スルホニル(SOCl2)4.2mlを滴下して、2時間撹拌した。トルエン及び塩化スルホニルを減圧下で留去後、トルエン20mlを添加し、サリチルアミド2.6gのトルエン(5ml)溶液を滴下した。60℃で1時間撹拌し、水及び酢酸エチルを添加して抽出を行った。得られた有機層から溶媒を減圧留去し、中間体(iii−a)4.0を得た。収率は80%であった。
化合物(m)9.0gのトルエン(45ml)溶液に塩化スルホニル6.7mlを添加し60℃で2時間撹拌後、溶媒と塩化スルホニルを減圧留去した。テトラヒドロフラン45mlを加え、氷水冷浴で冷却後、中間体(iii−a)4.0gのテトラヒドロフラン(5ml)溶液とジメチルアミノピリジン(DMAP)2mgのテトラヒドロフラン(1ml)溶液を順次滴下した。室温で3時間撹拌した後に、水及び酢酸エチルを加え、抽出した。有機層から溶媒を減圧留去し、得られた粗結晶をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)により精製した。収量9.1g。収率75%。
《糖エステル化合物1の合成》
Figure 0005724847
撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.6モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×102Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×102Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5の混合物を得た。
得られた混合物をHPLC及びLC−MASSで解析したところ、A−1が1.3質量%、A−2が13.4質量%、A−3が13.1質量%、A−4が31.7質量%、A−5が40.5質量%であった。平均置換度は5.5であった。
<HPLC−MSの測定条件>
1)LC部
装置:日本分光(株)製カラムオーブン(JASCO CO−965)、ディテクター(JASCO UV−970−240nm)、ポンプ(JASCO PU−980)、デガッサ−(JASCO DG−980−50)
カラム:Inertsil ODS−3 粒子径5μm 4.6×250mm(ジーエルサイエンス(株)製)
カラム温度:40℃
流速:1ml/min
移動相:THF(1%酢酸):H2O(50:50)
注入量:3μl
2)MS部
装置:LCQ DECA(Thermo Quest(株)製)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
Spray Voltage:5kV
Capillary温度:180℃
Vaporizer温度:450℃
《ポリエステル化合物1の合成》
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、エステル化合物1を得た。エステル化合物1は、1,2−プロピレングリコール、無水フタル酸及びアジピン酸が縮合して形成されたポリエステル鎖の末端に安息香酸のエステルを有する。エステル化合物1の酸価0.10、数平均分子量450であった。
[実施例1]
《λ/4位相差フィルム101の作製》
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.92、プロピオニル基置換度0.74、総置換度2.66、重量平均分子量19万) 100質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ステンレスベルト支持体上に均一に流延した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムを、熱をかけながらテンターを用いて幅方向に延伸した。次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後巻き取り、原反フィルムとした。
得られた原反フィルムを200℃の条件で2.0倍の延伸倍率まで、遅相軸と長手方向が45°となるように斜め延伸しλ/4位相差フィルム101(長尺状のλ/4位相差フィルム)を得た。得られたλ/4位相差フィルム101の面内の位相差Ro(650)は125nm、波長分散(550nm/650nm)は0.90であった。
《λ/4位相差フィルム102〜107の作製》
原反フィルムの膜厚を調整することで、102−107を作製した。位相差、及び波長分散は表1、表2のとおりであった。
《λ/4位相差フィルム108の作製》
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、総置換度2.75、重量平均分子量19万) 100質量部
糖エステル化合物1 6質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ステンレスベルト支持体上に均一に流延した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムを、熱をかけながらテンターを用いて幅方向に延伸した。次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後巻き取り、原反フィルムとした。
得られた原反フィルムを160℃の条件で2.0倍の延伸倍率まで、遅相軸と長手方向が45°となるように斜め延伸しλ/4位相差フィルム108(長尺状のλ/4位相差フィルム)を得た。得られたλ/4位相差フィルム108の面内の位相差Ro(650)は145nm、波長分散(550nm/650nm)は0.85であった。
《λ/4位相差フィルム109〜112の作製》
原反フィルムの膜厚を調整することで、109〜112を作製した。位相差、及び波長分散は表1、表2のとおりであった。
《λ/4位相差フィルム113の作製》
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、総置換度2.75、重量平均分子量19万) 100質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ステンレスベルト支持体上に均一に流延した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムを、熱をかけながらテンターを用いて幅方向に延伸した。次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後巻き取り、原反フィルムとした。
得られた原反フィルムを155℃の条件で2.0倍の延伸倍率まで、遅相軸と長手方向が45°となるように斜め延伸しλ/4位相差フィルム113(長尺状のλ/4位相差フィルム)を得た。得られたλ/4位相差フィルム113の面内の位相差Ro(650)は160nm、波長分散(550nm/650nm)は0.73であった。
《λ/4位相差フィルム114の作製》
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、総置換度2.75、重量平均分子量19万) 100質量部
糖エステル化合物1 1.0質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ステンレスベルト支持体上に均一に流延した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムを、熱をかけながらテンターを用いて幅方向に延伸した。次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後巻き取り、原反フィルムとした。
得られた原反フィルムを155℃の条件で2.0倍の延伸倍率まで、遅相軸と長手方向が45°となるように斜め延伸しλ/4位相差フィルム114(長尺状のλ/4位相差フィルム)を得た。得られたλ/4位相差フィルム114の面内の位相差Ro(650)は160nm、波長分散(550nm/650nm)は0.75であった。
《λ/4位相差フィルム115〜118の作製》
ポリカーボネートTT−138(帝人社製)を、延伸、熱緩和することにより表1、表2記載の位相差Ro(650)となるよう調整した。
《λ/4位相差フィルム119の作製》
位相差フィルム エスシーナ(積水化学社製)を、そのまま用いた。
《λ/4位相差フィルム120の作製》
位相差フィルム エスシーナ(積水化学社製)を、延伸、熱緩和することにより表1、表2記載の位相差Ro(650)となるよう調整した。
《λ/4位相差フィルム121〜126の作製》
帝人社製のWRS−148、WRW−142、WRZ−143を、そのまま使用したものを、それぞれ、λ/4位相差フィルム121、122、123とした。また、延伸、熱緩和し、表1、表2記載の位相差Ro(650)に調整したものを、それぞれλ/4位相差フィルム124、125、126とした。
《λ/4位相差フィルム127の作製》
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
(主ドープ液)
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテートを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
なお、糖エステル化合物1及びポリエステル化合物1は、上記合成例により合成した化合物を用いた。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.20、プロピオニル基置換度1.50、総置換度2.70、重量平均分子量19万) 100質量部
一般式(A)の化合物例(16) 5.0質量部
糖エステル化合物1 5.0質量部
ポリエステル1 2.5質量部
紫外線吸収剤(チヌビン928(BASFジャパン(株)製)) 2.0質量部
微粒子添加液1 1質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ステンレスベルト支持体上に均一に流延した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムを、熱をかけながらテンターを用いて幅方向に延伸した。次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後巻き取り、原反フィルムを得た。
得られた原反フィルムを185℃の条件で2.0倍の延伸倍率まで、遅相軸と長手方向が45°となるように斜め延伸しλ/4位相差フィルム127(長尺状のλ/4位相差フィルム)を得た。面内の位相差及び波長分散(550/650)は表1、表2記載のようになった。
《λ/4位相差フィルム128〜129の作製》
一般式(A)の化合物例(16)を、化合物例(181)、化合物例(212)にそれぞれ変えた以外は同様の方法でλ/4位相差フィルム128、129を作製した。面内の位相差及び波長分散(550/650)は表1、表2記載のようになった。
《位相差、波長分散の測定》
アッベ屈折率計(1T)と分光光源を用いて、波長550nm、650nmにおいてフィルム試料の平均屈折率を測定した。また、市販のマイクロメーターを用いてフィルムの厚さを測定した。同環境下、波長550nm、650nmにおいてフィルムの位相差測定をAxometric社製のAxoScanを用いて、上述の平均屈折率と膜厚をAxoScanに入力し、面内位相差値Roを求める。また、フィルム幅手方向に対する遅相軸の方向も同時に測定する。波長xの面内の位相差をRo(x)とした。
Ro=(nx−ny)×d
式中、nx、nyは、23℃・55%RHにおける屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう。)、ny(フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率)であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
また、Ro(550)/Ro(650)の比の値から波長分散(550/650)を求め、DSP(550/650)で表した。
《円偏光板A201の作製》
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。
これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
作製したλ/4位相差フィルム101、及び110をアルカリケン化処理した後、完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として、上記偏光子の両面に貼合した。その際、偏光子の透過軸とλ/4フィルムA、Bとの遅相軸が45°、かつλ/4フィルムA、Bのお互いの遅相軸が一致するよう貼り合わせて円偏光板A201を作製した。
《円偏光板A202〜238の作製》
円偏光板A201の作製において、λ/4位相差フィルム101、110を表1、表2のように代えた以外は円偏光板A201と同様に円偏光板A202〜238を作製した。
《円偏光板B301の作製》
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。
これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
作製したλ/4位相差フィルム110をアルカリケン化処理した後、完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として、上記偏光子の片面に貼合した。その際、偏光子の透過軸とλ/4フィルムの遅相軸が45°となるよう貼り合わせた。偏光子のもう一方の面に、コニカミノルタタックフィルムKC4UA(コニカミノルタオプト(株)製)を、アルカリケン化処理した後、同様にして貼り合わせて円偏光板B301(長尺状)を作製した。
《円偏光板B302〜317の作製》
円偏光板B301の作製において、λ/4位相差フィルム110を表1、表2のように代えた以外は円偏光板B301と同様に円偏光板B302〜317を作製した。
《立体表示用眼鏡301の作製》
円偏光板301の保護フィルム側の表面に接着剤を塗工した後、これを2cm×5cmのIPSモードの液晶セルの片面に貼合した。右目用と左目用に二つ並べ、有機EL表示装置側がλ/4位相差フィルムCとなるよう配置し、図1の眼鏡と同様な形状とすることで、立体表示用眼鏡301を作製した。立体表示用眼鏡の液晶のON・OFFと有機EL表示装置の表示画像を同期させるため、有機EL表示装置と立体表示用眼鏡にはそれぞれ赤外線通信で同期させた。
《立体表示用眼鏡302〜317の作製》
円偏光板B301の代りに、円偏光板B302〜317を使用した以外は同様にして立体表示用眼鏡302〜317を作製した。
《有機EL素子1の作製》
図5に示すように、ガラスの透明基板1a上にクロムからなる反射電極、反射電極上に金属電極2a(陽極)としてITOを成膜し、陽極上に正孔輸送層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)をスパッタリング法で厚さ80nmで形成し、次いで正孔輸送層上にシャドーマスクを用いて、図6に示すようにRGBそれぞれの発光層3aR、3aG、3aBを100nmの膜厚で形成した。赤色発光層3aRとしては、ホストとしてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq3)と発光性化合物[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran](DCM)とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。緑色発光層3aGとしては、ホストとしてAlq3と、発光性化合物クマリン6とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。青色発光層3aBとしては、ホストとしてBAlqと発光性化合物Peryleneとを共蒸着(質量比90:10)して厚さ100nmで形成した。
Figure 0005724847
さらに、発光層上に電子が効率的に注入できるような仕事関数の低い第1の陰極としてカルシウムを真空蒸着法により4nmの厚さで成膜し、第1の陰極上に第2の陰極としてアルミニウムを2nmの厚さで形成した。ここで、第2の陰極として用いたアルミニウムはその上に形成される透明電極4aをスパッタリング法により成膜する際に、第1の陰極であるカルシウムが化学的変質をすることを防ぐ役割がある。以上のようにして、有機発光層を得た。次に、陰極上にスパッタリング法によって透明導電膜を80nmの厚さで成膜した。ここで透明導電膜としてはITOを用いた。さらに、透明導電膜上にCVD法によって窒化珪素を200nm成膜することで、絶縁膜5aとすることで有機EL素子(11a)を作製した。
上記作製した有機EL素子1の発光面積は1296mm×784mmであった。
《有機EL立体画像表示システム401の作製》
偏光子(8a)を介して前記2種のλ/4位相差フィルムA(7a)、λ/4位相差フィルムB(9a)から構成された円偏光板A(10a)のλ/4位相差フィルムA側の表面に接着層(6a)を塗工した後、有機EL素子1の視認側に貼合することにより、前記円偏光板A201を用いて有機EL表示装置401を作製した。立体表示用眼鏡301を視認者が装着することで有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム401とした。
《有機EL立体画像表示システム402〜447の作製》
有機EL表示装置を構成する円偏光板A201、及び立体表示用眼鏡を構成する円偏光板B301のそれぞれのλ/4位相差フィルムを表1、表2のようにした以外は同様にして有機EL立体画像表示システム402〜447を作製した。
(視認性の評価)
視認性は以下のように、評価A〜Dでそれぞれ赤の光漏れ、外光による赤の視認性、赤の視認性の環境(外光量)依存性、耐湿試験後の赤の視認性を評価した。
評価A
有機EL表示装置を、温度23℃相対湿度55%RH環境下に5時間置いた後、円偏光板Aと円偏光板Bのそれぞれの偏光子の透過軸が直交するよう設置し、暗室環境下において、有機EL表示装置の光量を測定した。円偏光板Bが無い時の光量を100、無発光状態を0としたとき、有機EL表示装置101−134の光量が、0以上10未満を○、10以上12未満を△、12以上を×とした。
測定は波長600〜700nmの透過光量を測定することで行った。
評価B
有機EL立体画像表示システムを、温度23℃相対湿度55%RH環境下に5時間置いた後、円偏光板Aと円偏光板Bのそれぞれの偏光子の透過軸が直交するよう設置し、有機EL表示装置の最表面から5cm高い位置での照度が1000Lxとなるよう蛍光灯を均一照射した環境下において、円偏光板Bが無い時の視認性を基準とし、赤の視認性評価を行った。
視認性評価は10名で、赤、緑、赤の3色を隣接させ、それぞれ5cm×5cmの面積で3色を発光させ、3色の変化を認知できるかどうかで行った。円偏光板Bが無い時の視認性と同等を3点、やや赤の視認性が低下したと判断した場合1点、明らかな赤の視認性低下が確認された場合0点の3段階で評価し、合計点数が27点以上を視認性◎、24点以上27点未満を視認性○、18点以上24点未満を△、それ以外を×とした。
評価C
有機EL立体画像表示システムを、温度23℃相対湿度55%RH環境下に5時間置いた後、円偏光板Aと円偏光板Bのそれぞれの偏光子の透過軸が直交するよう設置し、有機EL表示装置の最表面から5cm高い位置での照度が500Lxとなるよう蛍光灯を均一照射した環境下における視認性と、1000Lxの環境下における視認性を比較した。
視認性評価は評価Bと同様に3色を発光させ、環境の明るさを変えて行った。10名で行い、500Lxに対し、1000Lxにおいて視認性がほぼ同等である場合を3点、やや視認性が低下したと判断した場合1点、明らかな視認性低下が確認された場合0点の3段階で評価し、合計点数が27点以上を視認性◎、24点以上27点未満を視認性○、18点以上24点未満を△、それ以外を×とした。
評価D
有機EL立体画像表示システムを、温度23℃相対湿度55%RH環境下に50時間置いた後、円偏光板Aと円偏光板Bのそれぞれの偏光子の透過軸が直交するよう設置し、有機EL表示装置の最表面から5cm高い位置での照度が1000Lxとなるよう蛍光灯を均一照射した環境下における視認性と、温度23℃相対湿度80%RH環境下に50時間置いたときの赤の視認性を比較した。評価は評価Bと同様に発光させたときの3色の変化を認知できるかどうかで行った。
視認性評価は10名で行い、相対湿度55%に対し、80%において評価Bと同様に発光させたとき、視認性がほぼ同等である場合を3点、やや視認性が低下したと判断した場合1点、明らかな視認性低下が確認された場合0点の3段階で評価し、合計点数が27点以上を視認性◎、24点以上27点未満を視認性○、18点以上24点未満を△、それ以外を×とした。
表1、表2に有機EL表示装置と立体表示用眼鏡からなる有機EL立体画像表示システムを構成するλ/4位相差フィルムA〜Cの面内の波長650nmにおける位相差値Ro(650)と波長650nmに対する波長550nmの面内の位相差値の比の値(表ではDSP(550/650)と略記)、及び上記評価結果を示す。
なお表中、λ/4位相差フィルムA、λ/4位相差フィルムB、λ/4位相差フィルムCはそれぞれλ/4A、λ/4B、λ/4Cと略記した。また、測定光波長650nmにおけるλ/4位相差フィルムBとλ/4位相差フィルムCとの面内位相差値の合計を合計と略記した。
Figure 0005724847
Figure 0005724847
表1、表2より、本発明の有機EL立体画像表示システムは赤の視認性が優れていることがわかる。
CC 制御回路
ELD 有機エレクトロルミネッセンス表示装置
G 立体表示用眼鏡
S1 右眼用液晶シャッタ
S2 左眼用液晶シャッタ
L 円偏光の光
LC 液晶層
LI 左眼用画像
RI 右眼用画像
P1 円偏光板B
P2 偏光板
DR1 繰出し方向
DR2 巻取り方向
θi 繰出し角度(繰出し方向と巻取り方向のなす角度)
CR、CL 把持具
Wo 延伸前のフィルムの幅
W 延伸後のフィルムの幅
1a 透明基板
2a 金属電極
3a 発光層
4a 透明電極
5a 絶縁膜
6a 接着層
7a λ/4位相差フィルムA
8a 偏光子
9a λ/4位相差フィルムB
10a 円偏光板A
11a 有機EL素子

Claims (14)

  1. 円偏光板Aを有機エレクトロルミネッセンス素子の視認側に積層した有機エレクトロルミネッセンス表示装置と、円偏光板Bを有する立体表示用眼鏡からなる有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システムであって、下記要件(1)〜(5)を満足することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
    (1)前記円偏光板Aが、有機エレクトロルミネッセンス素子側から順に、λ/4位相差フィルムA、偏光子、λ/4位相差フィルムBから構成される。
    (2)前記円偏光板Bが、有機エレクトロルミネッセンス素子側から順に、λ/4位相差フィルムC、偏光子、保護層から構成される。
    (3)前記λ/4位相差フィルムAの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散が、0.9〜1.1の範囲内である。
    (4)前記λ/4位相差フィルムAの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値が、130〜155nmの範囲内である。
    (5)前記λ/4位相差フィルムBとλ/4位相差フィルムCとの、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値の合計が、300〜350nmの範囲内である。
  2. 前記λ/4位相差フィルムBが、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値が150〜175nmの範囲内であり、且つ温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散が0.75〜0.95の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
  3. 前記λ/4位相差フィルムBが、セルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
  4. 前記セルロースエステル樹脂が、下記式(1)及び式(2)を満たすセルロースアシレート樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
    式(1) 2.0≦Z1<3.0
    式(2) 0.5≦X1
    (式(1)及び(2)において、Z1はセルロースアシレートの総アシル基置換度を表し、X1はセルロースアシレートのプロピオニル基置換度及びブチリル基置換度の総和を表す。)
  5. 前記λ/4位相差フィルムBが、下記一般式(A)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
    Figure 0005724847
    〔一般式(A)において、L1及びL2は各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。
    Wa及びWbは水素原子又は置換基を表し、
    (I)Wa及びWbが互いに結合して環を形成してもよく、
    (II)Wa及びWbの少なくとも一つが環構造を有してもよく、又は、
    (III)Wa及びWbの少なくとも一つがアルケニル基又はアルキニル基であってもよい。〕
  6. 前記一般式(A)で表される化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
    Figure 0005724847
    〔一般式(1)において、A1及びA2は各々独立に、−O−、−S−、−NRx−(Rxは水素原子又は置換基を表す)又は−CO−を表す。Xは第14〜16族の非金属原子を表す。L1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。〕
  7. 前記一般式(A)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
    Figure 0005724847
    〔一般式(2)において、Q1は−O−、−S−、−NRy−(Ryは水素原子又は置換基を表す)、−CRaRb−(Ra及びRbは水素原子又は置換基を表す)又は−CO−を表す。Yは置換基を表す。L1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。〕
  8. 前記λ/4位相差フィルムCが、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmにおける面内位相差値が、150〜175nmの範囲内であり、且つ温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長650nmに対する測定光波長550nmの波長分散が0.75〜0.95の範囲内である請求項1から7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
  9. 前記λ/4位相差フィルムCがセルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
  10. 前記セルロースエステル樹脂が下記式(1)及び式(2)を満たすセルロースアシレート樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
    式(1) 2.0≦Z1<3.0
    式(2) 0.5≦X1
    (式(1)及び(2)において、Z1はセルロースアシレートの総アシル置換度を表し、X1はセルロースアシレートのプロピオニル置換度及びブチリル置換度の総和を表す。)
  11. 前記λ/4位相差フィルムCが下記一般式(A)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
    Figure 0005724847
    〔一般式(A)において、L1及びL2は各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。
    Wa及びWbは水素原子又は置換基を表し、
    (I)Wa及びWbが互いに結合して環を形成してもよく、
    (II)Wa及びWbの少なくとも一つが環構造を有してもよく、又は、
    (III)Wa及びWbの少なくとも一つがアルケニル基又はアルキニル基であってもよい。〕
  12. 前記一般式(A)で表される化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
    Figure 0005724847
    〔一般式(1)において、A1及びA2は各々独立に、−O−、−S−、−NRx−(Rxは水素原子又は置換基を表す)又は−CO−を表す。Xは第14〜16族の非金属原子を表す。L1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。〕
  13. 前記一般式(A)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
    Figure 0005724847
    〔一般式(2)において、Q1は−O−、−S−、−NRy−(Ryは水素原子又は置換基を表す)、−CRaRb−(Ra及びRbは水素原子又は置換基を表す)又は−CO−を表す。Yは置換基を表す。L1、L2、R1、R2、R3、nは、一般式(A)におけるL1、L2、R1、R2、R3、nと同義である。〕
  14. 前記λ/4位相差フィルムBが紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に基載の有機エレクトロルミネッセンス立体画像表示システム。
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