JP2005271568A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、染料インクおよび顔料インクともに優れたインクジェット記録適性(発色性)を有し、白紙部の保存性に優れ、紙表面の白色度が高いインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】紙基材上に、顔料および接着剤を少なくとも含有する下塗り層と、顔料および接着剤を少なくとも含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用紙において、下塗り層が、顔料としてプラスチックピグメントを含有し、かつ、接着剤としてアクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体及び酢酸ビニル系重合体から選ばれる少なくとも1種のエマルジョン型接着剤を含有し、インク受容層が、顔料として平均二次粒子径11μm以下のシリカと、カチオン性インク定着剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用紙に関する。詳しくは、染料インクおよび顔料インクともに優れたインクジェット記録適性(発色性)を有し、白紙部の保存性に優れ、紙表面の白色度が高いインクジェット記録用紙に関する。更に古紙再生パルプを配合した基材においても上記性能を損なわないインクジェット記録用紙に関する。
水性インクを微細なノズルから記録体表面に向かって噴出し、記録体表面上に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音の少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置よりも記録コストが低いことなどの理由により、プリンター、ファクシミリ、プロッタ、帳票印刷等で広く利用されている。
この水性インクは染料を用いた染料インクと顔料を用いた顔料インクとに分類され、鮮明性の点から主に染料インクが使用されている。しかし、近年は屋外展示用の大判のポスターなどにも使用されるようになってきたため、染料インクでは長期に展示すると紫外線、オゾン等により酸化され、画像が退色し見栄えが悪化して、充分な印字部の保存性が得られないという欠点が指摘されるようになってきている。一方、顔料インクは印字部の耐光性、印字部の耐オゾン性、印字部の耐水性に優れるという特徴を有する代わりに、染料インクの染料の大きさに比べ、顔料インクの顔料粒子は非常に大きいために、従来の染料インク用のインクジェット記録用シートでは、鮮明な印字画像が得られないという問題があった。そこで、染料インク用のインクジェット記録用シート、顔料インク用のインクジェット記録用シートのそれぞれが開発されているが、染料インクにも顔料インクにも良好な発色性を有するインクジェット記録用紙への要望が高かった。また顔料インクによる印字部の保存性改良に伴い、白地部の保存性も重要とされるようになってきた。印刷物は印字部と白紙部から構成される為、上述した発色性を満たした上で、優れた白紙部の保存性を有するインクジェット記録用紙が必要とされている。
染料インク、顔料インクのいずれで印刷しても、優れた発色性を示すインクジェット記録用紙として、塗工液中に水溶性金属塩と気相法シリカを含有させる方法(例えば、特許文献1参照。)、インク受容層を2層以上設ける方法(例えば、特許文献2〜4参照。)、インク受容層表面を特定の粗さに制御する方法(例えば、特許文献5参照。)、インク受容層中に特定の粒径を有する顔料を含有させる方法(例えば、特許文献6参照。)等が提案されているが、その発色性は充分満足するとはいえず、また白紙部の保存性についての改善はなされていない状況である。
一方、支持体とインク受容層の間に、中空粒子を含有する下塗り層を形成する提案(例えば、特許文献7〜10)がなされているが、これらは、高光沢の記録シートであり、紙ベースで、白紙部の保存性について改善を開示するものではない。
近年、紙の需要は予測に反して増え続けており、その原料となるパルプ事情は世界的に厳しさを増しているが、都市ゴミに含まれる紙類は特に多くなっており、地球環境保全と森林資源保護の観点から、古紙再生の拡大を図り、利用率を上げる努力が必要である。インクジェット記録用紙においても、古紙再生パルプを配合する提案(例えば、特許文献11〜13)がなされているが、いずれも白紙部の保存性と白色度を充分満足するものではなかった。
特開2002−274022号公報 特開2000−168228号公報 特開2002−347330号公報 特開平10−278411号公報 特開2000−158804号公報 特開2001−270238号公報 特開2001−171224号公報 特開2002−59637号公報 特開2003−170653号公報 特開2003−127530号公報 特開平10−278416号公報 特開2003−191616号公報 特開平9−142007号公報
上記特許文献に記載されたインクジェット記録用紙は、いずれも発色性と白紙部の保存性を充分満足するとはいえず、染料インク、顔料インクのいずれを用いても優れた発色性を持ち、更に白紙部の保存性、白色度を満足するインクジェット記録用紙は得られていない状況である。もちろん古紙再生パルプを配合した基材を用いる場合でも同様の状況である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、染料インクおよび顔料インクのいずれに対しても発色性にも優れ、白紙部の保存性に優れたインクジェット記録用紙を提供するものである。特に、古紙再生パルプを用いた紙基材を用いた場合でも、発色性が高く、良好な白紙部の保存性を維持すると同時に紙表面の白色度が高いインクジェット記録用紙を提供するものである。とりわけ、塗工量の少ない60度鏡面光沢度が15%以下というマットタイプのインクジェット記録用紙において、上記品質を満足する記録用紙を提供するものである。
すなわち本発明は、
(1)紙基材上に、顔料および接着剤を少なくとも含有する下塗り層と、顔料および接着剤を少なくとも含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用紙において、下塗り層が、顔料としてプラスチックピグメントを含有し、かつ、接着剤としてアクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体及び酢酸ビニル系重合体から選ばれる少なくとも1種の接着剤を含有し、インク受容層が、顔料として平均二次粒子径11μm以下のシリカと、カチオン性インク定着剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙である。
(2)プラスチックピグメントの粒子径が0.1〜5μmであることを特徴とするインクジェット記録用紙である。
(3)プラスチックピグメントが中空状あることを特徴とするインクジェット記録用紙である。
(4)インク受容層中のシリカが、シリカの少なくとも一部に、表面を界面活性剤で処理した表面処理シリカ顔料である(1)〜(3)のいずれか一に記載のインクジェット記録用紙である。
(5)カチオン性インク定着剤が、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物とジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物を併用することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一に記載のインクジェット記録用紙である。
(6)紙基材が中性紙である(1)〜(5)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙。
(7)紙基材が、紙基材を構成するパルプ分の内、10%以上古紙再生パルプを含む(1)〜(6)いずれか一に記載のインクジェット記録用紙である。
(8)前記インクジェット記録用紙の表面のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度が15%以下である(1)〜(7)のいずれか一に記載のインクジェット記録用紙である。
(9)(1)〜(8)のいずれか一に記載のインクジェット記録用紙に染料インクで印刷した印刷物である。
(10)(1)〜(8)のいずれか一に記載のインクジェット記録用紙に顔料インクで印刷した印刷物である。
本発明は、顔料インク、染料インクともにインクジェット記録適性(発色性)に優れ、高精細の画像を鮮明に印字でき、白紙部の保存性(特に熱による白紙黄変)、表面強度に優れ、更に限りある資源を有効に利用するため古紙を利用しつつ、同時に紙表面は高い白色度を有するインクジェット記録用紙、特に塗工量の少ないマットタイプのインクジェット記録用紙を提供することができる。
本発明のインクジェット記録用紙の層構成は、紙基材上に、顔料としてプラスチックピグメントを、接着剤としてアクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体及び酢酸ビニル系重合体から選ばれる少なくとも1種の接着剤を少なくとも含有する下塗り層と、平均二次粒子径11μm以下のシリカと、接着剤およびカチオン性インク定着剤とを少なくとも含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用紙である。なお、紙基材の他の面にも同様の下塗り層およびインク受容層を設けても構わない。
紙基材の主成分として用いられるパルプとしては、LBKPやNBKP等の化学パルプ,GP、TMP等の機械パルプ、および古紙再生パルプが挙げられる。これらを2種以上混合し用いても良い。この中で、LBKPをパルプ中の主成分として配合することが好ましい。また、ECFパルプ、TCFパルプ等の塩素フリーパルプを用いることが好ましい。叩解度は特に限定しないが、フリーネスが200〜500ml程度(CSF:JIS−P−8121)となるように叩解することが好ましい。フリーネスが小さいとと印字した際のコックリングが悪化する傾向にあり、フリーネスが大きいと平滑性が得られない傾向にある。
本発明のインクジェット記録用紙は、特定の材料を含む下塗り層を有する為、通常、インクジェット記録用紙用のパルプとしては使用を敬遠される古紙再生パルプや機械パルプを紙基材に配合しても、白紙部の保存性に優れ、表面強度が高く且つ白色度が高いインクジェット記録用紙を得ることができる。古紙再生パルプの原料である古紙は、例えば、新聞古紙、雑誌古紙、板紙古紙、包装紙古紙、段ボール古紙、印刷古紙などが例示でき、さらに紙製造中に発生する上質紙、コート紙などの損紙が含まれていてもよい。古紙再生パルプは、一般には古紙、および損紙を低濃度パルパーまたは高濃度パルパーによる離解工程、スクリーンまたはクリーナーによる粗選工程と精選工程、浮選法または水洗法による脱墨工程、塩素漂白、二酸化塩素漂白、次亜塩素酸ソーダ漂白、酸素漂白などによる漂白工程などを適宜、組み合せることにより得られる。
紙基材中には、上記パルプのほかに、填料を配合する。填料は、紙基材の透気性を調節し、不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合する。填料としては、例えば、クレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、シリカ、酸化チタン等が適宜使用できる。中でも炭酸カルシウムは、白色度が高い紙基材となるのであるので好ましい。填料は、上記全パルプ100部に対し1〜35部有することが好ましい。填料が少ないと白色度の低下するばかりか、インクの吸収性が低下する傾向にあり、多すぎると、紙腰(剛度)の低下、紙力が低下する傾向にあり、また炭酸カルシウムの過剰の配合はインクジェット記録用紙表面の黄変の発生原因となる。
紙基材の抄紙時に、上記パルプと填料を含む紙料中に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤を必要に応じて適宜選択して使用することができる。さらに染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤も必要に応じて適宜添加することができる。
抄紙方法としては、長網式抄紙機、円網式抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機など公知の抄紙機を用いて製造することができる。抄紙原料のpHにより、酸性紙と中性紙に分けられるが、本発明に用いる紙基材としては、中性紙が長期保存性の面で好ましい。インク受容層の保存性を考えた場合、紙基材として酸性紙を用いると、インク受容層中のカチオン性インク定着剤の酸化による黄変を抑制できる。一方、原紙自体の保存性を考えた場合、紙基材として酸性紙を用いると、酸性紙中の硫酸バンドから生ずる硫酸イオンによって変色・劣化しやすいという問題がある。下塗り層の顔料としてプラスチックピグメントを使用する本発明の場合、紙基材として中性紙を用いると、プラスチックピグメントの隠蔽効果により、インク受容層中のカチオン性インク定着剤の酸化による黄変を抑制でき、且つ、原紙自身の長期保存性も優れたインクジェット記録用紙を得ることが可能となる。
なお、サイズプレス等により、デンプン、ポリビニルアルコールあるいはカチオン樹脂等を表面に塗工・含浸させ、表面の平滑度の調節、強度の改善、印刷、筆記適性を向上させることも可能である。更に、紙基材の平滑性を高める為に、カレンダーなどで平滑化処理することも可能である。なお、紙基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m程度である。
下塗り層は、顔料としてプラスチックピグメントを、接着剤としてアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体及び酢酸ビニル系重合体から選ばれる少なくとも1種のエマルジョン型接着剤を少なくとも含有する。
プラスチックピグメントには、既存の樹脂微粉体およびエマルジョンが使用可能である。この例として、尿素−ホルマリン樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン、アクリル−スチレン樹脂、ナイロン、ベンゾグアミナン樹脂、4フッ化エチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、セルロース−アセテート−ブチレート樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、フェノール樹脂などの有機高分子微粒子が挙げられる。
プラスチックピグメントの粒子径は0.1〜5.0μmのものが好ましく、0.3〜3μmがより好ましい。粒子径が小さいと、強度低下、発色性の低下となる傾向にあり、粒子径が大きいと、画像の鮮明性が低下する傾向があり、また平滑で均一な面が得られない。
プラスチックピグメントとしては、白色度と隠蔽性が向上する為、中空状の形状のものを使用するのが好ましい。中空状プラスチックピグメントとは、粒子の内部に単一または複数の独立空孔ないしは互いに連絡孔を持つ空孔を有するものである。また、これらの内部空孔(中空部)と粒子外部とをつなぐ空隙を粒子壁に有する、有孔中空プラスチックピグメントを用いても良い。
本発明は、プラスチックピグメントと特定の接着剤を組み合わせた下塗り層を形成することにより、白紙部の保存性が優れ、白色度が高く、しかも高印字濃度が達成できるのである。このような作用効果を発揮する理由については、次のように考えられる。
シリカは他の顔料に比べ、光・水・ガス通過性が高いため、例えば古紙再生パルプを用いた紙基材に直接インク受容層を形成した場合、低い白色度しか得られないし、白色度が低いため鮮明な画像を印字できないという問題がある。紙基材とインク受容層の間に、このようなシリカを主成分とする下塗り層を更に形成したとしても、十分な白色度は得られない。
また、紙基材の白色度を高めるために、填料として炭酸カルシウムを用いたり、蛍光増白剤を配合すると、炭酸カルシウムや蛍光増白剤であるスチルベン誘導体などはアルカリ物質であるため、インク受容層に配合するカチオン性インク定着剤を酸化させ、インクジェット記録用紙表面の黄変を促進させ、結果として白紙部の保存性が低下する。また、下塗り層に炭酸カルシウムを配合すると、白色度は高くなるが、この場合もインク受容層に配合するカチオン性インク定着剤を酸化させ、表面の黄変を促進させ、同様に白紙部の保存性が低下する。
本発明は、プラスチックピグメントと、接着剤としてアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体及び酢酸ビニル系重合体から選ばれる少なくとも1種のエマルジョン型接着剤を組み合わせて使用する。
接着剤として、例えば、スチレン−ブタジエン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系樹脂を用いる場合、発色性が得られず、また経時的に白紙黄変が発生する傾向にある。また、澱粉、ポリビニルアルコールなどの水溶性接着剤を用いる場合、下塗り層用の塗液を調整する際に、高濃度の塗液に調整できず、塗工すると塗工量が少なく、目的とする白色度、白紙部の保存性と印字濃度を達成できない。
本発明は、下塗り層に、プラスチックピグメントと、アクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体及び酢酸ビニル系重合体から選ばれるエマルジョン型接着剤とを用いることにより、白色度が高く、白紙部の保存性が優れ、しかも高印字濃度のインクジェット記録用紙が得られることが特徴であるが、その配合比は、プラスチックピグメント100部に対して接着剤を2〜30部程度、好ましくは5〜20部程度である。接着剤の量が少ないと下塗り層の強度が低下し、接着剤の量が少ないと、吸収量が低下、発色の悪化するばかりか、白色度まで低下する傾向にある。
なお、下塗り層には、本発明の効果を阻害しない範囲において、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、擬ベーマイト、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの無機顔料を配合することができる。なお、インク受容層のインク吸収性が劣る場合、シリカや炭酸カルシウムなどを配合すると改善できる。
また、下塗り層には、本発明の効果を阻害しない範囲において、例えば、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系樹脂等、一般にインクジェット記録用として用いられている従来公知の接着剤が併用できる
更に、下塗り層には、一般の塗被紙製造において使用される増粘剤、消泡剤、湿潤剤、着色剤、蛍光染料、蛍光顔料、帯電防止剤、耐光性助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
下塗り層の塗工量(固形分)は、3〜20g/m程度、好ましくは5〜15g/m、より好ましくは7〜13g/mである。塗工量が過少であると、高い白色度が得られず、また黄変が生じやすくなり、過多であると、効果が飽和してしまうばかりか、層間強度が弱くなる傾向になる。
下塗り層を形成するための塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーターおよびダイコーター等の各種公知の塗工装置が挙げられる。また、下塗り層は、抄紙機と同一工程に設けられた塗工装置、いわゆるオンマシンを用いて、紙基材の抄紙直後に塗工してもかまわない。塗工後に、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。
インク受容層は、二次粒子径11μm以下のシリカ、接着剤およびカチオン性インク定着剤を少なくとも含有する。シリカとしては非晶質シリカが好ましい。シリカの製法は特に限定されるものではなく、電弧法、乾式法、湿式法(例えば沈殿法、ゲル法)のいずれの方法で製造されたものでもよいが、湿式法シリカが、顔料インク用インクジェット記録用紙、染料インク用インクジェット記録用紙のいずれにも適しているので好ましい。
本発明は、シリカの2次粒子の平均粒子径が11μm以下のものを用いるが、3〜10μmがより好ましい。シリカの2次粒子の平均粒子径が11μmを超えると、染料インク用インクジェット記録用紙、顔料インク用インクジェット記録用紙共に、画像の鮮明性の低下や、表面の粗さが目立ち、印字ムラが生じやすいといった問題を生じる。平均粒子径が3μm未満であると、これを染料インク用インクジェット記録用紙に用いた場合、染料インクの吸収性が低下する傾向にある。この場合、下塗り層にプラスチックピグメントのほかに、シリカや炭酸カルシウムなどを配合し、吸収性を高めたり、インク受容層の塗工量を増やす必要がある。また、微細なシリカを用いた場合、光透過性がより高くなるので、染料インクによる印字部の耐光性が低下したり、塗膜強度が低下する傾向もある。また、これを顔料インク用インクジェット記録用紙として用いた場合は、顔料インクの定着性が低下するという傾向もある。
なお、本発明において、シリカの平均粒子径とは、コールカウンタ法によるもので、シリカを蒸留水中にて30秒間超音波分散したものを試料として測定される体積平均粒子径を表すものである。
本発明においては、インク受容層に含有するシリカとして、その少なくとも一部に表面を界面活性剤で処理したシリカを用いることが好ましい。すなわちシリカの全てが表面を界面活性剤で処理したシリカでもよく、表面を界面活性剤で処理したシリカと、処理していないシリカの双方を用いてもよい。処理していないシリカは先に説明した発明で用いられるシリカ顔料と同様のものが用いられているので説明を省略する。
表面を界面活性剤で処理されるシリカとしては、先に説明したシリカと同様のものが用いられる。
シリカの表面を処理する界面活性剤は、例えば、界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を例示することができるが、非イオン性界面活性剤の使用が好ましい。非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等を挙げることができる。これらの中でも、HLB値が8.0〜15.0のものが好ましく、10.0〜12.0のものがより好ましい。
シリカ表面の界面活性剤処理法は、例えば特開平9−25440号公報に記載された方法を採用することができる。すなわち、シリカ、例えば湿式法シリカと界面活性剤、例えば多鎖型非イオン性界面活性剤とを高速流動ミキサー等の混合機で混合する乾式混合法を採用することができる。この場合、界面活性剤を直接シリカに添加混合してもよく、界面活性剤をエタノール等の揮発性溶媒で希釈したものを添加混合してもよい。
また、シリカ、例えば湿式法シリカの乳化スラリー液に所定量の界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤を添加混合しておき、続いて噴霧乾燥等を行う湿式処理法を採用することもできる。湿式処理法の場合、界面活性剤が水に難溶性の場合、これをあらかじめ強力に分散させてエマルジョンとし、このエマルジョンを顔料の乳化スラリー液に添加して充分に攪拌混合した後に乾燥処理することが好ましい。
シリカに対する界面活性剤添加量は、顔料100部あたり0.1〜30部であることが好ましく、0.5〜20部であることがより好ましい。このような範囲で界面活性剤を被覆したシリカを配合すると、発色性が向上し、鮮明な画像を得ることができる。
インク受容層に用いられる接着剤としては特に限定されるものではなく、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類;ポリビニルアルコール及びその誘導体;カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体;スチレン−ブタジエン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の重合体または共重合体であるアクリル系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂等、一般にインクジェット記録用として用いられている従来公知の接着剤が挙げられる。これらは1種のみを使用してもよく、2種以上の接着剤を併用してもよい。
これら接着剤のなかでも、ポリビニルアルコールは、顔料との接着性が良好であるので好ましい。シラノール変性ポリビニルアルコールやカチオン化ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体も適宜使用できる。
インク受容層に用いられる接着剤としては、ポリビニルアルコールあるいはその誘導体とアクリル系樹脂を併用して用いることがより好ましい。ポリビニルアルコールあるいはその誘導体とアクリル系樹脂を併用する場合、10:1〜1:2の比率で併用することが好ましく、5:1〜1:1の比率で併用することがより好ましい。
このインク受容層に用いられるカチオン性インク定着剤としては、特に限定されるものではなく、
1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、
2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類、
4)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン樹脂、
5)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、
6)ジメチルアミン−エピクロルヒドリン共重合物、
7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO共重合物、
8)ジアリルアミン塩−SO共重合物、
9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、
10)アリルアミン塩の重合物、
11)ビニルベンジルトリアリルアンモニウム塩の単独重合体又は共重合体、
12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合物、
13)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、
14)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウムなどのアルミニウム塩
等の一般市販されているものが挙げられ、単独あるいは数種類併用して用いられる。
これらの中で、カチオン性インク定着剤として、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物と、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物を併用することが好ましい。アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物と、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物を併用することにより、顔料インクで記録した際の発色性、染料インクで記録した際の発色性および印字部の保存性が優れるので好ましい。
カチオン性インク定着剤の配合量は、顔料100質量部に対して5〜60質量部が好ましく、より好ましくは20〜50質量部の範囲で調節される。インク定着剤が5質量部未満であると、画像の発色性の低下や、印字部の保存性の低下が起こりやすくなり、60質量部を超えると、インク吸収性の低下、印字ムラ、画像の鮮明性の低下が起こりやすくなる。
インク受容層には、さらに一般の塗被紙製造において使用される増粘剤、消泡剤、湿潤剤、界面活性剤、着色剤、帯電防止剤、耐光性助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
インク受容層の塗工量は特に限定されるものではないが、2〜30g/mとするのが好ましく、5〜20g/mとするのがより好ましい。
塗工量が上記下限より少ないと、インク吸収性、画像の鮮明性、印字保存性が低下しやすく、塗工量が上記上限より多いと、塗膜強度や画像の鮮明性が低下しやすい。
なお、インク受容層は複数層積層してもよく、その場合、層間でインク受容層組成が異なっていてもよい。
このインク受容層は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター等の各種公知の塗工装置で形成することができる。塗工後に、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げ処理を行ってもよい。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
実施例1
[紙基材A]
軽質炭酸カルシウム20部を、広葉樹晒クラフトパルプ(ろ水度400mlCSF)100部のスラリー中に添加し、カチオン澱粉1部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.2部を添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%溶液を両面で4g/m塗布、乾燥し、水分7%まで乾燥させて米坪200g/mの紙基材Aを製造した。
[下塗り層塗工液A]
顔料として中空状プラスチックピグメント(スチレン−アクリル系共重合体粒子、ロームアンドハース社製、商品名:ローペイクHP−91、平均粒径1μm)100部、接着剤としてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)10部および酸化澱粉(王子コーンスターチ社製、商品名:エースA、水溶性接着剤)5部、水中で分散し、下塗り層塗工液Aを得た。
[インク受容層塗工液A]
顔料として湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、二次粒子径6.2μm)100部、接着剤としてシリル変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部およびアクリル系樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)20部、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)15部およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部を、水中で分散し、インク受容層塗工液Aを得た。
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材A上に、下塗り層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥した後、インク受容層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
実施例2
[紙基材B]
軽質炭酸カルシウム20部を、広葉樹晒クラフトパルプ(ろ水度400mlCSF)70部および新聞古紙を脱墨処理したパルプ(ろ水度250mlCSF)30部の混合スラリー中に添加し、カチオン澱粉1部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.2部を添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%溶液を両面で4g/m塗布、乾燥し、水分7%まで乾燥させて米坪200g/mの紙基材Bを製造した。
[インクジェット記録用紙の作製]
実施例1の紙基材Aを、紙基材Bに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
実施例3
[紙基材C]
軽質炭酸カルシウム20部を、広葉樹晒クラフトパルプ(ろ水度400mlCSF)70部および色上古紙(色上古紙:色刷りした上質紙でアート紙も含む)を脱墨処理したパルプ(ろ水度250mlCSF)30部の混合スラリー中に添加し、カチオン澱粉1部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.2部を添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%溶液を両面で4g/m塗布、乾燥し、水分7%まで乾燥させて米坪200g/mの紙基材Cを製造した。
[インクジェット記録用紙の作製]
実施例1の紙基材Aを、紙基材Cに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
実施例4
[下塗り層塗工液B]
顔料として、中空状プラスチックピグメント(スチレン−アクリル系共重合体粒子、ロームアンドハース社製、商品名:ローペイクOP−84J、平均粒子径0.5μm)100部、接着剤としてエチレン−酢酸ビニル系共重合体(昭和高分子社製、商品名:ポリゾールAM−3000、エマルジョン型接着剤)10部および酸化澱粉(王子コーンスターチ社製、商品名:エースA、水溶性接着剤)5部、水中で分散し、下塗り層塗工液Bを得た。
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材B上に、下塗り層塗工液Bを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥した後、インク受容層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
実施例5
[下塗り層塗工液C]
顔料として、プラスチックピグメント(スチレン−アクリル系共重合体粒子、ロームアンドハース社製、商品名:ローペイクHP−91、平均粒子径1.0μm)100部、接着剤として酢酸ビニル系重合体(日信化学工業社製、商品名:ビニブラン1080、エマルジョン型接着剤)10部および酸化澱粉(王子コーンスターチ社製、商品名:エースA、水溶性接着剤)5部、水中で分散し、下塗り層塗工液Cを得た。
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材B上に、下塗り層塗工液Cを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥した後、インク受容層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
実施例6
[表面処理シリカの作製]
湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60)900gを水に懸濁、スラリー化(約10〜15%)し、このスラリーに界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、第一工業製薬社製、商品名:ノイゲンET−102、HLB:10.8)100gの水懸濁物を添加し、1時間撹拌混合した。次いで、噴霧乾燥し、粉砕分級して、表面処理シリカを得た。得られた表面処理シリカの平均二次粒子径は6μmであった。
[インク受容層塗工液B]
顔料として湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、二次粒子径6.2μm)80部と、上記で得た表面処理シリカ20部、接着剤としてシリル変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部およびアクリル系樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)20部、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)15部およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部を、水中で分散してインク受容層塗工液Bを得た。
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材B上に、下塗り層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥した後、インク受容層塗工液Bを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
比較例1
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材B上に、インク受容層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、下塗り層を有さないインクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
比較例2
[下塗り層塗工液D]
顔料として、湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、二次粒子径6.2μm)100部、接着剤としてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)10部および酸化澱粉(王子コーンスターチ社製、商品名:エースA、水溶性接着剤)5部、水中で分散し、下塗り層塗工液Dを得た。
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材B上に、下塗り層塗工液Dを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥した後、インク受容層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
比較例3
[インク受容層塗工液C]
顔料として湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、二次粒子径6.2μm)100部、接着剤としてシリル変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部およびアクリル系樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)20部、インク定着剤としてポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(センカ社製、商品名:ユニセンスCP101)30部を、水中で分散し、インク受容層塗工液Cを得た。
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材B上に、下塗り層塗工液Dを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥した後、インク受容層塗工液Dを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
比較例4
[下塗り層塗工液F]
顔料として、プラスチックピグメント(ロームアンドハース社製、商品名:HP−91、平均粒子径:1.0μm)100部、接着剤としてSBR(JSR社製、商品名:0589、Tg:0℃、エマルジョン型接着剤)10部および酸化澱粉(王子コーンスターチ社製、商品名:エースA、水溶性接着剤)5部、水中で分散し、下塗り層塗工液Fを得た。
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材B上に、下塗り層塗工液Eを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥した後、インク受容層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
実施例7
[インク受容層塗工液D]
顔料として湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールF80、二次粒子径1.8μm)100部、接着剤としてシリル変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部およびアクリル系樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)20部、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)15部およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部を、水中で分散し、インク受容層塗工液Dを得た。
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材B上に、下塗り層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥した後、インク受容層塗工液Eを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は4%であった。
比較例5
[インク受容層塗工液E]
顔料として湿式シリカ(水沢化学社製、商品名:ミズカシルP−78F、二次粒子径12.5μm)100部、接着剤としてシリル変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部およびアクリル系樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)20部、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)15部およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部を、水中で分散し、インク受容層塗工液Eを得た。
[インクジェット記録用紙の作製]
紙基材B上に、下塗り層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥した後、インク受容層塗工液Fを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録用紙を作製した。なお、得られたインクジェット記録用紙のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
[評価]
各実施例、比較例で得られたインクジェット記録用紙の白色度、白紙部の保存性(熱黄変、光黄変、オゾン黄変)、印字濃度、インク吸収性、インク定着性、印字部の保存性(耐光性、耐オゾン性、耐水性)を、以下に示す方法で評価した。
なお、評価にあたって、インクジェット記録用紙への印字は、市販の染料インクジェットプリンター(Canon社製、商標:PIXUS 950i、印字モード:マットフォトペーパー/きれい)、市販の顔料インクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PX−G900、印字モード:フォトマット紙/高精細)、市販の顔料インクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−4000PX、インク:マットブラック使用、印字モード:フォトマット紙/高精細)、および市販のインクジェットプリンター(HP社製、商標:DJ−5551、印字モード:その他のインクジェット専用紙/きれい)、の4機種で行った。
[白色度]
インクジェット記録用紙のインク受容層側の白紙部の白色度を、JIS−P8123で規定される方法に従い測定を行った。
[白紙部の保存性(熱黄変)]
インクジェット記録用紙を、80℃50%環境下で、1週間静置させた。静置前および静置後の、用紙のインク受容層側の白紙部の黄変の度合いを下記の基準にしたがい、目視で判断した。
○:殆ど黄変していない。
△:黄変している。
×:非常に黄変している。
[白紙部の保存性(光黄変)]
インクジェット記録用紙を、60℃50%環境下で、キセノンランプ(10万lux)で3日間照射させた。照射前および照射後の、用紙のインク受容層側の白紙部の黄変の度合いを下記の基準にしたがい目視で判断した。
○:殆ど黄変していない。
△:黄変している。
×:非常に黄変している。
[白紙部の保存性(オゾン黄変)]
インクジェット記録用紙を、24℃60%環境下で、オゾン濃度10ppm雰囲気中に24時間放置した。放置前および放置後の、用紙のインク受容層側の白紙部の黄変の度合いを下記の基準にしたがい目視で評価した。
○:殆ど黄変していない。
△:黄変している。
×:非常に黄変している。
[印字濃度]
財団法人日本規格協会発行の画像(「高精細カラーディジタル標準画像XYZ/JIS−SCID」、識別記号:S6、画像名称:カラーチャート)を上記の4機種で印字し、ブラックの最高色調部を、GretagMacbeth社製RD−914にて、印字濃度を測定した。
[インク吸収性]
上記印字濃度の評価を行ったもののうち、市販の染料インクジェットプリンター(CANON社製、商標:PIXUS950i、印字モード:マットフォトペーパー/きれい)で印字した記録物のブラックの最高色調部を観察した。
○:インクのあふれ、ニジミ、ムラがない。
×:インクがあふれ、ムラが発生。
[インク吸収性]
上記印字濃度の評価を行ったもののうち、市販の染料インクジェットプリンター(CANON社製、商品名:PIXUS950i、印字モード:マットフォトペーパー/きれい)で印字した記録物のブラックの最高色調部を観察した。
○:インクのあふれ、ニジミ、ムラがない。
×:インクがあふれ、ムラが発生。
Figure 2005271568
本発明は、染料インクおよび顔料インクともに優れたインクジェット記録適性(発色性)を有し、白紙部の保存性に優れ、紙表面の白色度が高いインクジェット記録用紙に関する。また、本発明は、支持体に古紙再生パルプを用いた紙基材にも適用できるので、更に限りある資源を有効に利用するために古紙を利用しつつ、特にマットタイプのインクジェット記録体を提供することができる。
また、本発明のインクジェット記録体の裏面に、粘着加工を施してラベルにすることや、磁気加工あるいはICチップを組み合わせることにより磁気カードやICカードとすることもできる。

Claims (8)

  1. 紙基材上に、顔料および接着剤を少なくとも含有する下塗り層と、顔料および接着剤を少なくとも含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用紙において、下塗り層が、顔料としてプラスチックピグメントを含有し、かつ、接着剤としてアクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体及び酢酸ビニル系重合体から選ばれる少なくとも1種を含有し、インク受容層が、顔料として平均二次粒子径11μm以下のシリカと、カチオン性インク定着剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. プラスチックピグメントの粒子径が0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
  3. プラスチックピグメントが中空状プラスチックピグメントであることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録用紙。
  4. インク受容層中のシリカが、シリカの少なくとも一部に、表面を界面活性剤で処理した表面処理シリカ顔料である請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙。
  5. カチオン性インク定着剤が、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物とジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物を併用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 紙基材が中性紙である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙。
  7. 紙基材が、紙基材を構成するパルプ分の内、10%以上古紙再生パルプを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙。
  8. 前記インクジェット記録用紙の表面のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度が15%以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙。

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