JP2005231209A - インクジェット記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、塗膜強度、印字耐水性、印字濃度、インク吸収性に優れ、染料インクおよび顔料インクのいずれに対しても記録適性にも優れたインクジェット記録体を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも顔料および接着剤を含有するインク受容層を設けたインクジェット記録体において、前記インク受容層の顔料が平均二次粒子径1.5〜12μmのシリカであり、接着剤が重合度4000以上のポリビニルアルコールを有することを特徴とするインクジェット記録体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録体に関する。詳しくは、塗膜強度、印字耐水性、印字濃度、インク吸収性に優れ、かつ染料インクおよび顔料インクともに優れたインクジェット記録適性を有したインクジェット記録体に関するものである。
水性インクを微細なノズルから記録体表面に向かって噴出し、記録体表面上に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音の少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置よりも記録コストが低いことなどの理由により、プリンター、ファクシミリ、プロッタ、帳票印刷等で広く利用されている。
この水性インクは染料インクを用いた染料インクと顔料を用いた顔料インクとに分類され、鮮明性の点から主に染料インクが使用されている。しかし、近年は屋外展示用の大判のポスターなどにも使用されるようになってきたため、染料インクでは長期に展示すると紫外線、オゾン等により酸化され、画像が退色し見栄えが悪化して、充分な印字部の保存性が得られないという欠点が指摘されるようになってきている。
一方、顔料インクは印字部の耐光性、印字部の耐オゾン性、印字部の耐水性に優れるという特徴を有する代わりに、染料インクの染料の大きさに比べ、顔料インクの顔料粒子は非常に大きいために、従来の染料インクのインクジェット記録用シートでは、鮮明な印字画像が得られないという問題があった。そこで、染料インク用のインクジェット記録用シート、顔料インク用のインクジェット記録用シートのそれぞれが開発されているが、染料インクにも顔料インクにも良好な発色性を有するインクジェット記録体への要望が高かった。
染料インク、顔料インクのいずれで印刷しても、優れた発色性示すインクジェット記録体として、塗工液中に水溶性金属塩と気相法シリカを含有させる方法(例えば、特許文献1参照)、インク受容層を二層以上に設ける方法(例えば、特許文献2〜4参照。)、インク受容層中に特定の粒径を有する顔料を含有させる方法(例えば、特許文献6参照。)等が提案されているが、その発色性は充分満足するとはいえなかった。
また、インク受容層に、0.1μmの微粒子と重合度4000以上のポリビニルアルコールを含有させる方法(例えば、特許文献7、8参照)があるが、微粒子は1次コロイド粒子を使用した為、印字濃度、インク吸収性が著しく不足する。
近年、紙の需要は予測に反して増え続けており、その原料となるパルプ事情は世界的に厳しさを増しているが、都市ゴミに含まれる紙類は特に多くなっており、地球環境保全と森林資源保護の観点から、古紙再生の拡大を図り、利用率を上げる努力が必要である。インクジェット記録体においても、古紙再生パルプを配合する提案(例えば、特許文献9〜11)がなされている。しかしこれらはいずれも環境への配慮はなされているものの、発色性、保存性などを満足するようなものではない。
特開2002−274022号公報 特開2000−168228号公報 特開2002−347330号公報 特開平10−278411号公報 特開2000−158804号公報 特開2001−270238号公報 特開平7−117334号公報 特開平7−137431号公報 特開平10−278416号公報 特開2003−191616号公報 特開平9−142007号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、塗膜強度、印字耐水性、印字濃度、インク吸収性に優れ、染料インクおよび顔料インクのいずれに対しても記録適性にも優れたインクジェット記録体を提供するものである。
すなわち本発明は、
(1)支持体上に、少なくとも顔料および接着剤を含有するインク受容層を設けたインクジェット記録体において、顔料として平均二次粒子径1.5〜12μmのシリカを含有し、接着剤として重合度4000以上のポリビニルアルコールを含有することを特徴とするインクジェット記録体である。
(2)前記ポリビニルアルコールのケン化度が97%以上である(1)記載のインクジェット記録体である。
(3)インク受容層中の顔料および前記ポリビニルアルコールの固形分重量比が、20/1〜1/1の範囲であることを特徴とする(1)又は(2)記載のインクジェット記録体である。
(4)インク受容層中に、表面を界面活性剤で処理した表面処理シリカを含む(1)〜(3)のいずれか一に記載のインクジェット記録体である。
(5)インク受容層中に、シリカと、表面を界面活性剤で処理した表面処理シリカを併用する(4)記載のインクジェット記録体である。
(6)インク受容層中に、更に接着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールを含有する(1)〜(5)のいずれか一に記載のインクジェット記録体である。
(7)インク受容層中に、更に接着剤としてアクリル系樹脂を含有する(1)〜(6)のいずれか一に記載のインクジェット記録体である。
(8)前記支持体がパルプを抄紙した紙基材であり、該パルプ分の内、10%以上が古紙再生パルプ分である(1)〜(7)のいずれか一に記載のインクジェット記録体である。
(9)前記インクジェット記録体の表面のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度が15%以下である(1)〜(8)のいずれか一に記載のインクジェット記録体である。
(10)(1)〜(9)のいずれか一に記載のインクジェット記録体に染料インクで印刷した印刷物である。
(11)(1)〜(9)のいずれか一に記載のインクジェット記録体に顔料インクで印刷した印刷物である。
本発明は、塗膜強度、印字耐水性、印字濃度、インク吸収性に優れ、かつ染料および顔料インクともに優れたインクジェット記録体を提供することができる。
(支持体)
支持体としては、例えば、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、高質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、バライタ紙、ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙基材類、金属フォイル、合成紙などのシート類が適宜使用される。
支持体として紙基材を用いる場合、紙基材の主成分として用いられるパルプとしては、LBKPやNLBKP等の化学パルプ,GP、TMP等の機械パルプ、および古紙再生パルプが挙げられる。これらを2種以上混合し用いても良い。この中で、LBKPをパルプ中の主成分として配合することが好ましい。また、叩解度は特に限定しないが、フリーネスが300〜500ml程度(CSF:JIS−P−8121)となるように叩解することが好ましい。叩解度を進めると印字した際のコックリングが悪化する傾向にあるが、染色ムラも生じ易い傾向にあり、叩解度が少ないと平滑性が得られない傾向にある。
古紙再生パルプの場合、古紙再生パルプの原料となる古紙は、例えば、新聞古紙、雑誌古紙、板紙古紙、包装紙古紙、段ボール古紙、印刷古紙などが例示でき、さらに紙製造中に発生する上質紙、コート紙などの損紙が含まれていてもよい。古紙再生パルプは、一般には古紙、および損紙を低濃度パルパーまたは高濃度パルパーによる離解工程、スクリーンまたはクリーナーによる粗選工程と精選工程、浮選法または水洗法による脱墨工程、塩素漂白、二酸化塩素漂白、次亜塩素酸ソーダ漂白、酸素漂白などによる漂白工程などを適宜、組み合せることにより得られる。
紙基材中には、上記パルプのほかに、填料を配合する事もできる。填料は、紙基材の透気性を調節し、不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合する。填料としては、例えば、クレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、シリカ、酸化チタン等が適宜使用できる。中でも炭酸カルシウムは、白色度が高い紙基材となるのであるので好ましい。
填料を使用する場合は、上記全パルプ100部に対し1〜35部有することが好ましい。填料が少ないと白色度の低下するばかりか、インクの吸収性が低下する傾向にあり、多すぎると、紙腰(剛度)の低下、紙力の低下する傾向にあり、また炭酸カルシウムの過剰の配合はインクジェット記録体表面の黄変の発生原因となる。
紙基材の抄紙時に、上記パルプと填料を含む紙料中に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の各種抄紙用内添助剤を必要に応じて適宜選択して使用することができる。さらに染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤も必要に応じて適宜添加することができる。
抄紙方法としては、長網式抄紙機、円網式抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機など公知の抄紙機を用いて製造することができる。抄紙原料のpHにより、酸性紙と中性紙に分けられるが、本発明に用いる紙基材としては、中性紙が長期保存性の面で好ましい。
なお、サイズプレス等により、デンプン、ポリビニルアルコールあるいはカチオン樹脂等を表面に塗工・含浸させ、表面の平滑度の調節、強度の改善、印刷、筆記適性を向上させることも可能である。更に、紙基材の平滑性を高める為に、カレンダーなどで平滑化処理することも可能である。なお、紙基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m程度である。また、支持体には、インク受容層との密着性を改良したり、インクの吸収性を高めるなどの目的のために、公知の顔料を含有するアンダーコート層を形成してもよい。
(インク受容層)
本発明のインク受容層は、少なくとも二次粒子径1.5〜12μmのシリカと重合度4000以上のポリビニルアルコールを含有する。比較的二次粒子の大きなシリカと、重合度の高いポリビニルアルコールを組み合わせることによって、塗膜強度が高く、印字耐水性、顔料インクおよび染料インクの印字濃度、インク吸収性に優れるインクジェット記録体が達成される。
シリカとしては非晶質シリカが好ましい。シリカの製法は特に限定されるものではなく、電弧法、乾式法、湿式法(沈殿法、ゲル法等)のいずれの方法で製造されたものでもよいが、湿式法シリカが、顔料インク用インクジェット記録体、染料インク用インクジェット記録体のいずれにも適しているので好ましい。
シリカの2次粒子の平均粒子径は、1.5〜12μmのものを用いるが、4〜10μmがより好ましい。平均粒子径が1.5μm未満であると、これを染料インク用インクジェット記録体に用いた場合、染料インクの吸収性が低下し、また、光透過性がより高くなるので、染料インクによる記録の耐光性が低下する。また、これを顔料インク用インクジェット記録体に用いた場合は、顔料インクの定着性が低下するといった悪影響を生じる。一方、シリカの2次粒子の平均粒子径が12μmを超えると、染料インク用インクジェット記録体、顔料インク用インクジェット記録体共に、画像の鮮明性の低下や、表面の粗さが目立ち、印字ムラが生じやすいといった問題を生じる。
なお、本発明において、シリカの平均粒子径とは、コールカウンタ法によるもので、シリカを蒸留水中にて30秒間超音波分散したものを試料として測定される体積平均粒子径を表すものである。
本発明においては、インク受容層が含有するシリカとして、その少なくとも一部に表面を界面活性剤で処理したシリカを用いると、印字濃度が大幅に改善されるため好ましい。インク受容層中のシリカの全てが表面を界面活性剤で処理したシリカであってもよく、表面を界面活性剤で処理したシリカと、処理していないシリカを併用してもよい。処理していないシリカは先に説明した発明で用いられるシリカ顔料と同様のものが用いられているので説明を省略する。
(表面を界面活性剤で処理したシリカ)
表面を界面活性剤で処理されるシリカとしては、先に説明した発明で用いられるシリカと同様のものが用いられる。
シリカの表面を処理する界面活性剤は、例えば、界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を例示することができるが、非イオン性界面活性剤の使用が好ましい。非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等を挙げることができる。これらの中でも、HLB値が8.0〜15.0のものが好ましく、10.0〜12.0のものがより好ましい。
シリカ表面の界面活性剤処理法は、例えば特開平9−25440号公報に記載された方法を採用することができる。すなわち、シリカ、例えば湿式法シリカと界面活性剤、例えば多鎖型非イオン性界面活性剤とを高速流動ミキサー等の混合機で混合する乾式混合法を採用することができる。この場合、界面活性剤を直接シリカに添加混合してもよく、界面活性剤をエタノール等の揮発性溶媒で希釈したものを添加混合してもよい。
また、シリカ、例えば湿式法シリカの乳化スラリー液に所定量の界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤を添加混合しておき、続いて噴霧乾燥等を行う湿式処理法を採用することもできる。湿式処理法の場合、界面活性剤が水に難溶性の場合、これをあらかじめ強力に分散させてエマルジョンとし、このエマルジョンを顔料の乳化スラリー液に添加して充分に攪拌混合した後に乾燥処理することが好ましい。
シリカに対する界面活性剤添加量は、顔料100部あたり0.1〜30部であることが好ましく、0.5〜20部であることがより好ましい。このような範囲で界面活性剤を被覆したシリカを配合すると、印字濃度が高くなり、また鮮明な画像を得ることができる。
(接着剤)
本発明のインク受容層に用いられる接着剤としては、重合度4000以上のポリビニルアルコールを使用する。ポリビニルアルコールの重合度が4000未満であると塗膜の強度が弱くなり、また、印字濃度も低下するなど、インクジェット記録適性も悪化する。ポリビニルアルコールの重合度の上限は特に限定しないが、8000を超えると、塗液調製が困難となる傾向にある。また、ポリビニルアルコールのケン化度は、塗膜の耐水性、印字部の耐水性に大きく影響し、完全な耐水性を得るにはケン化度97%以上のものを使用することが好ましい。シリカ100質量部に対し、重合度4000以上のポリビニルアルコールを10〜50質量部配合するとよい。
インク受容層の接着剤として、塗膜強度と記録濃度を損なわない範囲において、公知の接着剤を併用することができる。例えば、ポリビニルアルコールの誘導体や他の水性樹脂を併用して用いても良い。例えば、シラノール変性ポリビニルアルコールやカチオン化ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体も適宜使用できる。特に、シラノール変性ポリビニルアルコールを併用すると、印字耐水性が改善されるので好ましい。
また、塗料の安定性、インク吸収性などを改善する意味で、他の水性樹脂を併用する場合、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類;カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体;スチレン−ブタジエン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の重合体または共重合体であるアクリル系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂等、一般にインクジェット記録用として用いられている従来公知の接着剤を使用しても良い。これらは1種のみを使用してもよく、2種以上の接着剤を併用してもよい。
中でも、アクリル系樹脂と併用する場合、印字濃度が高くなり、鮮明な画像を得られる事ができるので好ましい。ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂を併用する場合、10:1〜1:2の比率で併用することが好ましく、5:1〜1:1の比率で併用することがより好ましい。
接着剤の量はインク吸収性を阻害しない限り、特に限定するものではないが、シリカを含むインク受容層全顔料を100質量部とした際に、重合度4000以上のポリビニルアルコールを含む全接着剤が10〜80質量部程度、好ましくは15〜50質量部程度である。100質量部を超えるような使用は、インク吸収性を妨げることになり、10質量部に満たない場合、塗膜強度が低下する。
(カチオン性インク定着剤)
インク受容層層には、カチオン性インク定着剤を用いる事もできる。用いられるインク定着剤としては、特に限定されるものではなく、
1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類、4)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン樹脂、5)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、6)ジメチルアミン−エピクロルヒドリン共重合物、7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO共重合物、8)ジアリルアミン塩−SO共重合物、9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、10)ビニルベンジルトリアリルアンモニウム塩の単独重合体又は共重合体、11)アリルアミン塩の重合物、12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合物、13)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、14)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウムなどのアルミニウム塩等の一般市販されているものが挙げられ、単独あるいは数種類併用して用いられる。
これらの中で、カチオン性インク定着剤として、ジシアンジアミド−ジアリルアミン共重合物と、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物を併用することが好ましい。ジシアンジアミド−ジアリルアミン共重合物と、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物を併用することにより、顔料インク適性、染料インク適性が共に優れるので好ましい。
カチオン性インク定着剤の配合量は、顔料100質量部に対して5〜60質量部が好ましく、より好ましくは20〜50質量部の範囲で調節される。インク定着剤が5質量部未満であると、画像の発色性の低下や、印字保存性の低下が起こりやすくなり、60質量部を超えると、インク吸収性の低下、印字ムラ、画像の鮮明性の低下が起こりやすくなる。
インク受容層には、さらに一般の塗被紙製造において使用される増粘剤、消泡剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止剤、耐光性助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
インク受容層の塗工量は特に限定されるものではないが、2〜30g/mとするのが好ましく、5〜20g/mとするのがより好ましい。
塗工量が上記下限より少ないと、インク吸収性、画像の鮮明性、印字保存性が低下しやすく、塗工量が上記上限より多いと、塗膜強度や画像の鮮明性が低下しやすい。
なお、インク受容層は複数層積層してもよく、その場合、層間で塗工層組成が異なていてもよい。
このインク受容層は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター等の各種公知の塗工装置で形成することができる。塗工後に、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げ処理を行ってもよい。
(インク)
本発明のインクジェット記録方法で使用されるインクとしては、像を形成するための色素と該色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調整される。
インクに使用される染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料及び各種顔料等が挙げられるが、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。前記染料の含有量は、インクの溶媒成分の種類、インクに要求される特性などに依存して決定されるが、本発明に使用されるインクの場合も、従来のインク中におけるような配合、即ち、0.1〜20質量%程度の使用で特に問題はない。
本発明で用いられるインクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
実施例1
[紙基材A]
軽質炭酸カルシウム20部を、広葉樹晒クラフトパルプ(ろ水度400mlCSF)100部のスラリー中に添加し、カチオン澱粉1部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.2部を添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%溶液を両面で4g/m塗布、乾燥し、水分7%まで乾燥させて米坪200g/mの紙基材Aを製造した。
[インク受容層塗工液A]
顔料として湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、二次粒子径6.2μm)100部、接着剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−145)30部、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)15部およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部を、水中で分散し、インク受容層塗工液Aを得た。
[インクジェット記録体の作製]
紙基材A上に、インク受容層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録体を作製した。なお、得られたインクジェット記録体のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
実施例2
[インク受容層塗工液B]
顔料として湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、二次粒子径6.2μm)100部、接着剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−145)10部、シラノール変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部およびアクリル系樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)10部、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)15部およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部を、水中で分散し、インク受容層塗工液Bを得た。
[インクジェット記録体の作製]
紙基材A上に、インク受容層塗工液Bを実施例1と同様にして塗工してインクジェット記録体を作製した。なお、得られたインクジェット記録体のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
実施例3
[表面処理シリカの作製]
湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60)900gを水に懸濁、スラリー化(約10〜15%)し、このスラリーに界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、商品名:ノイゲンET−102、第一工業製薬社製、HLB:10.8)100gの水懸濁物を添加し、1時間撹拌混合した。次いで、噴霧乾燥し、粉砕分級して、本発明の表面処理シリカを得た。得られた表面処理シリカの平均二次粒子径は6μmであった。
[インク受容層塗工液C]
顔料として湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、二次粒子径6.2μm)80部と、上記で得た表面処理シリカ20部、接着剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA145)10部、シラノール変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部およびアクリル系樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)10部、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)15部およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部を、水中で分散してインク受容層塗工液Cを得た。
[インクジェット記録体の作製]
紙基材A上に、インク受容層塗工液Cを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録体を作製した。なお、得られたインクジェット記録体のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
実施例4
[紙基材B]
軽質炭酸カルシウム20部を、広葉樹晒クラフトパルプ(ろ水度400mlCSF)70部および新聞古紙を脱墨処理したパルプ(ろ水度250mlCSF)30部の混合スラリー中に添加し、カチオン澱粉1部、無水アルケニルコハク酸系中性サイズ剤0.2部を添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%溶液を両面で4g/m塗布、乾燥し、水分7%まで乾燥させて米坪200g/mの紙基材Bを製造した。
[インクジェット記録体の作製]
紙基材Bを用いた以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録体を作製した。なお、得られたインクジェット記録体のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
比較例1
[インク受容層塗工液D]
顔料として湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、二次粒子径6.2μm)100部、接着剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA105)30部、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)15部およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部を、水中で分散し、水中で分散し、インク受容層塗工液Dを得た。
[インクジェット記録体の作製]
紙基材A上に、インク受容層塗工液Dを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録体を作製した。なお、得られたインクジェット記録体のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
比較例2
[インク受容層塗工液E]
顔料として湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60、二次粒子径6.2μm)100部、接着剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA105)10部、シラノール変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部、およびアクリル系樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)10部、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)15部およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部を、水中で分散し、水中で分散し、インク受容層塗工液Eを得た。
[インクジェット記録体の作製]
紙基材A上に、インク受容層塗工液Eを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録体を作製した。なお、得られたインクジェット記録体のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
比較例3
[インク受容層塗工液F]
顔料として湿式シリカ(水沢化学社製、商品名:ミズカシルP−78F、二次粒子径12.5μm)100部、接着剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA145)10部、シラノール変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:R−1130)20部およびアクリル系樹脂(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376)10部、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)15部およびジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部を、水中で分散し、インク受容層塗工液Fを得た。
[インクジェット記録体の作製]
紙基材A上に、インク受容層塗工液Fを塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録体を作製した。なお、得られたインクジェット記録体のインク受容層面白紙部のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度は3%であった。
[評価]
各実施例、比較例で得られたインクジェット記録体の、表面強度、塗膜耐水性、印字画質について、以下に示す方法で評価した。
なお、評価にあたって、インクジェット記録体への印字は、下記市販のプリンタ4機種を用い行った。
・プリンタA
市販の染料インクタイプのインクジェットプリンタ(キヤノン社製、商標:PIXUS 950i、印字モード:マットフォトペーパー/きれい)
・プリンタB
市販の顔料インクタイプのインクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、商標:PX−G900、印字モード:フォトマット紙/高精細)
・プリンタC
市販の顔料インクタイプのインクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、商標:PM−4000PX、インク:マットブラック使用、印字モード:フォトマット紙/高精細)
・プリンタD
市販の顔料インクタイプのインクジェットプリンタ(HP社製、商標:DJ−5551、印字モード:その他のインクジェット専用紙/きれい)
[塗膜強度]
インク受容層の表面にセロテープを貼り付け、セロテープに1kgの重りを5秒間置いた後、重りを取り、セロテープを剥がし、その様子を観察し、評価した。
A:セロテープに付着物がやや見られるが、塗工層表面に変化は見られない。
B:セロテープに付着物が見られ、塗工層表面に剥がれがやや目立つ。
C:セロテープに付着物が多く見られ、塗工層表面に剥がれが目立つ。
[印字耐水性]
プリンタA(染料インクタイプ)で印字した画像の印字部に水0.2mlを滴下し、放置した。水が浸透し、表面が乾いた状態になった時点での、印字部の状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。
評価基準:
A:元の画像を維持している。
B:やや画像が乱れているが、実用上問題ないレベルである。
C:画像が乱れ、実用上劣っている。
D:元の画像が判別できず、劣る。
[印字濃度]
財団法人日本規格協会発行の画像(「高精細カラーディジタル標準画像XYZ/JIS−SCID」、識別記号:S6、画像名称:カラーチャート)を上記の4機種で印字し、ブラックの最高色調部を、GuretagMacbeth社製RD−914にて、印字濃度を測定した。
[インク吸収性]
上記印字濃度の評価を行ったもののうち、プリンタA(染料インクタイプ)で印字した記録物のブラックの最高色調部を観察した。
○:インクのあふれ、ニジミ、ムラがない。
×:インクがあふれ、ムラが発生。
Figure 2005231209
本発明は、塗膜強度、印字耐水性、印字濃度、インク吸収性に優れ、かつ染料インクおよび顔料インクともに優れたインクジェット記録体を提供することができる。また、本発明は、支持体に古紙再生パルプを用いた紙基材にも適用できるので、更に限りある資源を有効に利用するために古紙を利用しつつ、特にマットタイプのインクジェット記録体を提供することができる。
また、本発明のインクジェット記録体の裏面に、粘着加工を施してラベルにすることや、磁気加工あるいはICチップを組み合わせることにより磁気カードやICカードとすることもできる。

Claims (7)

  1. 支持体上に、少なくとも顔料および接着剤を含有するインク受容層を設けたインクジェット記録体において、顔料として平均二次粒子径1.5〜12μmのシリカを含有し、接着剤として重合度4000以上のポリビニルアルコールを含有することを特徴とするインクジェット記録体。
  2. ポリビニルアルコールのケン化度が97%以上である請求項1記載のインクジェット記録体。
  3. インク受容層中に、表面を界面活性剤で処理した表面処理シリカを含む請求項1又は2記載のインクジェット記録体。
  4. インク受容層中に、シリカと、表面を界面活性剤で処理した表面処理シリカを併用する請求項3記載のインクジェット記録体。
  5. インク受容層中に、更に接着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールを含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  6. インク受容層中に、更に接着剤としてアクリル系樹脂を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  7. インクジェット記録体のインク受容層面のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度が15%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017124622A (ja) * 2016-01-08 2017-07-20 キヤノン株式会社 記録媒体
CN108928086A (zh) * 2018-05-28 2018-12-04 浙江万宝龙胶粘制品有限公司 一种可喷墨打印的不干胶标签及其制作方法

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