JP2005269471A - 固体撮像装置および固体撮像装置の駆動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】帰還容量の容量値を調節することで画像信号の増幅率を変更すると、ランダムノイズも単純に容量比で増幅されてしまうとともに、容量を分割することによって増幅率ばらつきが増加する。
【解決手段】単位画素11の行列状配列の列毎に配される読み出し回路14Aにおいて、リセット信号Vpおよび画素信号Vdについてそれぞれ、スイッチ21によって複数回ずつサンプリングしかつ帰還容量26で加算するようにし、サンプリングの回数によって増幅率を任意に設定可能な構成とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体撮像装置および固体撮像装置の駆動方法に関し、特に単位画素の行列状配列の列毎に出力される信号を読み出し回路で増幅して読み出した後、水平走査にて順次出力する構成の固体撮像装置および当該固体撮像装置の駆動方法に関する。
デジタルスチルカメラなど、光を電気信号に変換して画像信号を出力する撮像装置において、その撮像デバイスとして用いられる固体撮像装置には、MOS(Metal-Oxide Semiconductor;金属酸化膜半導体)型イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)型イメージセンサなどがある。これらのうち、MOS型イメージセンサは、開発当初、画素と選択スイッチのみで構成されるパッシブ型と呼ばれる構造であったことから、読み出される信号が微弱であるためにノイズに対して弱いという欠点があった。
しかし、CMOS集積回路と同様のプロセスで製造できるCMOSイメージセンサが開発され、CMOSプロセスに付随した微細化技術により、画素ごとに増幅器を有するアクティブ型の構造が容易に作れるようになったことから、上述のような欠点を克服することができた。また、CMOSイメージセンサは、画素部以外の駆動回路、信号処理回路を同一チップに集積できるという特徴をもっている。このため、近年、CMOSイメージセンサに関してより多くの研究開発がなされている。
CMOSイメージセンサにおける画素信号の読み出し回路の従来例を図8に示す。図8において、画素101に蓄積された電荷を、画素ごとに配置された選択トランジスタN1を介して、スイッチトキャパシタ型積分回路102で読み出す構成となっており、この画素信号を読み出す回路が列毎に配置されている(例えば、特許文献1参照)。スイッチトキャパシタ型積分回路102は、非反転(+)入力端子にリファレンス電圧Vrefが与えられる差動増幅器103と、当該差動増幅器103の反転(−)入力端子に接続された入力容量104と、差動増幅器103の出力端子と反転入力端子との間に接続された帰還容量105およびスイッチ106を有する構成となっている。
ここで、入力容量104の容量値をCi、帰還容量105の容量値をCfとすると、スイッチトキャパシタ型積分回路102は、画素101に蓄積された画素信号Vtと画素101を初期化したときのリセット信号Vnの差分値(Vt−Vn)にCi/Cfの容量比をかけ、リファレンス電圧Vrefを基準にして反転することで、画素101の信号として読み出す。このスイッチトキャパシタ型積分回路102では、差動増幅器103の帰還容量Cfをスイッチ105によって任意に選択し、Ci/Cfの容量比を変えることにより、画像信号の増幅率を任意に変更することができる。
ここでは、画素101がパッシブ型で構成されている場合を例に挙げているが、アクティブ型の場合には、画素201は図9に示すような構成になる。このアクティブ型の画素201に対応した読み出し回路の従来例を図10に示す。
図10に示す回路では、画素201に蓄積された電荷を、画素ごとに配置され、トランジスタM4とソースフォロアを形成するトランジスタM2のゲートで受け、読み出された信号をスイッチトキャパシタ型積分回路202で読み出す構成となっている。スイッチトキャパシタ型積分回路202は、非反転入力端子にリファレンス電圧Vref1が与えられる差動増幅器203と、当該差動増幅器203の反転入力端子に接続された入力容量204と、差動増幅器203の出力端子と反転入力端子との間に並列に接続された帰還容量205およびスイッチ206を有する構成となっている。
ここで、入力容量204の容量値をC1、帰還容量505の容量値をC2とすると、スイッチトキャパシタ型積分回路202は、画素201に蓄積された画素信号Vdと画素201を初期化したときのリセット信号Vpの差分値(Vd−Vp)にC1/C2の容量比をかけ、リファレンス電圧Vref1を基準にして反転することで、画素201の信号として読み出す。したがって、図8と同様に、読み出される画像信号を増幅するにはC1/C2の容量比を変えることで実現できる。
特開2003320146号公報
しかしながら、上記従来例に係るCMOSイメージセンサでは、帰還容量Cf/C2の容量値を調節することにより、画像信号の増幅率を変更するようにしているため、以下に説明する二つの問題点が挙げられる。その一つは、画素信号の読み出し回路に入力されるノイズ(固定パターンノイズ、ランダムノイズ)も単純に容量比(Ci/Cf,C1/C2)で増幅されてしまうという問題である。
すなわち、容量比を4倍にして増幅率を4倍とすれば、画像信号が4倍されるが、ノイズも同じく4倍されてしまうため、S/Nは改善されない。固体撮像装置の性能の一つであるノイズ特性S/Nは直接、画像として目に見える形で現れ、特に暗いシーンでの撮影においてはゲインをかけることが多く、ノイズによるざらつき感がより強調されてしまうことから、その特性を改善することが望ましい。
ここで、CMOSイメージセンサは、構造的に、画素毎のトランジスタ特性のばらつきと、入射光量と無関係に発生する暗電流によって固定パターンノイズ(FPN)が発生しやすいとされている。この固定パターンノイズの内、画素間固定パターンノイズや列毎の固定パターンノイズについてはCDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)などの周知の技術で抑圧できるため、ノイズ特性として特にその特性の改善が望まれるのはランダムノイズとなる。
次に、従来技術のもう一つの問題は、増幅率を調整するために容量を分割してしまうことによる増幅率ばらつき増加の問題である。図8に示すように、増幅率を調節するためには帰還容量Cfを複数の容量に分割する必要があり、例えば8倍の増幅率を得るためには入力容量Ciの1/8の容量を用意する必要がある。容量値は面積に比例し、容量値ばらつきは面積が小さいほど増加する。したがって、容量を小さくすると、容量値ばらつきが増加することになるため、増幅率Ci/Cfのばらつきにそのまま反映されてしまう。このゲインばらつきは、ゲインを多段に変更可能な構成にした場合、単調増加を保証しにくくさせ、そのまま歩留まり低下につながることになる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、読み出す画素信号を増幅するに当たって、良好なノイズ特性(高いS/N)を得ることができるとともに、ゲインばらつきを抑えて精度の高い増幅率を設定可能な固体撮像装置および固体撮像装置の駆動方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、光電変換素子を含む単位画素が行列状に2次元配置されてなる固体撮像装置において、前記単位画素の行列状配列の列毎に、前記単位画素から出力される信号を、前記単位画素の1つにつき複数回サンプリングしかつ当該複数回サンプリングした信号を加算して読み出す構成を採っている。
上記構成の固体撮像装置において、単位画素から出力される信号を、画素1つにつき複数回サンプリングしかつ加算して読み出すことにより、帰還容量の容量値を切り替えなくても、サンプリングの回数によって増幅率を変えることができる。すなわち、サンプリング回数の設定によって任意の増幅率nを得ることができる。このとき、画素信号をn倍してもランダムノイズはノイズ√n倍にしかならない。
本発明によれば、サンプリング回数によって任意の増幅率nを設定することにより、画素信号をn倍してランダムノイズは√n倍にしかならないため、帰還容量の容量値を切り替えるのに比べてノイズ特性S/Nを改善できるとともに、容量を分割する必要がないためにゲインばらつきを抑えて精度の高い増幅率を設定することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるCMOSイメージセンサの構成の概略を示すブロック図である。図1から明らかなように、本適用例に係るCMOSイメージセンサは、単位画素11が行列状に2次元配置されてなる画素アレイ部12、垂直駆動回路13、読み出し回路(カラム信号処理回路)14、水平駆動回路15、水平信号線16および出力回路17を有する構成となっている。
画素アレイ部12には、行列状の画素配列に対して列毎に垂直信号線18が配線されている。垂直駆動回路13は、シフトレジスタ等によって構成され、画素アレイ部12の各単位画素11を行毎に選択するなど処理を行う。読み出し回路14は、行列状の画素配列の各列毎に設けられ、各単位画素11から垂直信号線18を介して行単位で出力される画素信号に対して種々の信号処理を行う。本発明では、この読み出し回路14の構成を特徴としており、その詳細については後述する。
水平駆動回路15は、シフトレジスタ等によって構成され、水平選択パルスφH1〜φHnを順次出力することによって読み出し回路14を順番に選択し、その選択した読み出し回路14から出力される画素信号を水平信号線16に導く。水平信号線16は、読み出し回路14から順番に出力される画素信号を出力回路17に伝送する。出力回路17は、水平信号線16によって伝送される画素信号に対して種々の処理を行って出力する。一例として、出力回路17では、黒レベル調整、列バラツキ補正、信号増幅、色関係処理などが行われ、またバッファリング処理だけが行われる場合もある。
以下に、本発明の特徴とする読み出し回路14の具体的な実施形態について説明する。なお、以下の説明では、図面の簡略化のために、行方向で隣接する2つの単位画素11,11と一方の単位画素11に垂直信号線18を介して繋がる1列分の読み出し回路14のみを図示して説明するものとする。
[第1実施形態]
図2は、本発明の第1実施形態に係る読み出し回路14Aの構成を示す回路図である。図2において、単位画素11はアクティブ型の構成をとっており、光を電荷に変換する光電変換素子、例えばフォトダイオードPDと、このフォトダイオードPDに蓄積された電荷をFD(フローティングディフュージョン)に転送する転送トランジスタQ1と、FDの電荷をゲートで受けて増幅する増幅トランジスタQ2と、FDの電荷をリセットするリセットトランジスタQ3と、それらトランジスタQ1〜Q3の各ノードを制御する制御信号線L1〜L3を有する構成となっている。
この単位画素11では、制御信号線L2を介してセレクト制御信号Vsが与えられることによって選択状態となる。この選択状態において、制御信号線L3を介してリセット制御信号VrがリセットトランジスタQ3のゲートに与えられることにより、当該リセットトランジスタQ3がオン状態となってFDの電荷をリセットする。このときのFDの電位が増幅トランジスタQ2を通してリセット信号Vpとして出力される。その後、制御信号線L1を介して転送制御信号Vtが転送トランジスタQ1のゲートに与えられることにより、当該転送トランジスタQ1がオン状態となってフォトダイオードPDの電荷をFDに転送する。このときのFDの電位が増幅トランジスタQ2を通して画素信号Vdとして出力される。
なお、ここでは、単位画素11として、転送トランジスタQ1、増幅トランジスタQ2およびリセットトランジスタQ3の3個のトランジスタを有する構成のものを例に挙げて示したが、これにさらに増幅トランジスタQ2と垂直信号線18との間に選択トランジスタを加えた計4個のトランジスタを有する構成のものであっても良い。
本実施形態に係る読み出し回路14Aは、垂直信号線18に一端が接続されたスイッチ(第1のスイッチ手段)21と、このスイッチ21の他端と任意の固定電位V1のノードとの間に接続されたスイッチ(第5のスイッチ手段)22と、スイッチ21の他端に入力端が接続された入力容量23と、この入力容量23の出力端に反転(−)入力端子が接続され、非反転(+)入力端子にクランプ電圧Vclpが与えられる差動増幅器24と、この差動増幅器24の反転入力端子と出力端子との間に接続されたスイッチ(第2のスイッチ手段)25と、差動増幅器24の反転入力端子と出力端子との間に直列に接続された帰還容量26およびスイッチ(第3のスイッチ手段)27とを有する構成となっている。
なお、読み出し回路14Aの出力端は、水平選択スイッチ19を介して水平信号線16(図1を参照)に接続される。水平選択スイッチ19は、水平駆動回路15から順次出力される水平選択パルスφH1〜φHnによってオン(閉)/オフ(開)駆動される。
図8に示した従来の技術では、帰還容量を複数に分割し、入力容量と帰還容量の容量比を調節することにより、画素信号を増幅するようにしていた。この場合、読み出し回路に入力されるランダムノイズをVninとすると、読み出し回路から出力されるランダムノイズVnoutは、
Vnout=(Ci/Cf)*Vnin
となり、入力容量と帰還容量の容量比で増幅されてしまう。
これに対して、本実施形態に係る読み出し回路14Aでは、帰還容量26の容量値を固定とし、入力容量23と帰還容量26との容量比を調節するのではなく、単位画素11から出力される信号をサンプリングする回数によって画素信号に対する増幅率を設定することにより、ランダムノイズVnoutを従来技術の場合よりも抑圧することを可能にしている。この読み出し回路14の読み出し動作について、図3のタイミングチャートを用いて説明する。
図3は、水平ブランキング期間におけるタイミング関係を示している。図3において、t2はリセット信号読出し期間、t3は画素信号読出し期間となる。また、この駆動においては、入力容量23の容量値C1と帰還容量26の容量値C2を同じ値としたとき2倍の画素信号を得られる。
はじめに、読み出し回路14の読み出し動作について簡単に説明すると、先ずリセット信号読出し期間t2において、リセット信号Vpを複数回、例えば2回サンプルホールドしかつ加算して保持し、次いで画素信号読出し期間t3において画素信号Vdを2回サンプルホールドする。そして、前期間に読み出した2倍のリセット信号2Vpから画素信号Vdを2回引くことで2(Vp−Vd)、即ちCDS処理を実現する。ただし、リセット信号Vpおよび画素信号Vdをスイッチ21のサンプリング動作によってサンプリングする回数は2回に限られるものではない。以下に、読み出し回路14におけるその詳しい読み出し動作について説明する。
はじめ期間A中に、スイッチ22,25,27がオンする。このとき、帰還容量26の両端電位はクランプ電圧Vclpとなり、帰還容量26に蓄積されていた電荷がゼロに初期化される。次に、リセット信号読出し期間t2における期間B中に、リセット制御信号Vrが立ち上がり、画素11のFDをリセットする。同時に、スイッチ21,25がオンする。これにより、入力容量23の両端には画素11からのリセット信号Vpとクランプ電圧Vclpが加わり、C1・(Vp−Vclp)の電荷が入力容量23にサンプルホ−ルドされる。
次に、期間Cでスイッチ21,25がオフし22,27がオンする。このとき、差動増幅器24には帰還容量26を通して負帰還がかかるため、ノードNの電位(差動増幅器24の反転入力端子電位)はクランプ電圧Vclpとなる。これにより、入力容量23の電荷はC1・(V1−Vclp)に変動し、この変動電荷C1・(Vp−V1)が帰還容量26にサンプルホ−ルドされる。このとき、差動増幅器24の出力V3はVclp+(Vp−V1)・C1/C2となる。
さらに、期間Dでスイッチ22,27がオフし、スイッチ21,25がオンする。ここでまた入力容量23の両端には画素11からのリセット信号Vpとクランプ電圧Vclpが加わり、電荷C1・(Vp−Vclp)が入力容量23にサンプルホ−ルドされる。このとき、スイッチ27がオフしているため、帰還容量26には上記変動電荷C1・(Vp−V1)が保持されたままである。
次に、期間Eでスイッチ21,25がオフし、スイッチ22,27がオンする。このとき、差動増幅器24には帰還容量26を通して負帰還がかかることから、当該帰還容量26には先ほど保持した電荷C1・(Vp−V1)に加えて、新たに電荷C1・(Vp−V1)が加算されることになるため、2・C1・(Vp−V1)の電荷が蓄積される。したがって、差動増幅器24の出力V3は、Vclp+2・(Vp−V1)・C1/C2となる。期間Fでは、スイッチ21,27がオフし、スイッチ22,25がオンする。このとき、C1・(V1−Vclp)の電荷が入力容量23にサンプルホ−ルドされる。
次に、画素信号読出し期間t3のはじめの期間Gに転送制御信号Vtが立ち上がり、増幅トランジスタQ2を介して画素信号Vdが垂直信号線18に読み出される。このとき、スイッチ21,27がオンし、スイッチ22,25がオフすることで、入力容量23の電荷はC1・(Vd−Vclp)となり、変動電荷−C1・(Vd−V1)が新たに帰還容量26に加算される。これにより、差動増幅器24の出力V3は、先ほどの出力電圧から−(Vd−V1)・C1/C2分だけ電圧が変化する。
さらに、次の期間Hでまたスイッチ21,27がオフし、スイッチ22,25がオンすることで、C1・(V1−Vclp)の電荷が入力容量23にサンプルホ−ルドされ、次の期間Iでスイッチ21,27がオンし、スイッチ22,25がオフすることで、帰還容量26に電荷−C1・(Vd−V1)が新たに加算される。したがって、差動増幅器24の出力V3は、先ほどの出力電圧からまたさらに−(Vd−V1)・C1/C2分だけ電圧が変化する。
最終的に、帰還容量26に蓄積された電荷は、2・C1・(Vp−V1)−2・C1・(Vd−V1)=2・C1・(Vd−Vd)となり、差動増幅器24の出力V3はVclp+2・(Vp−Vd)・C1/C2となる。したがって、C1=C2のときに読み出されるリセットノイズの除去された画素信号(Vd−Vp)は2倍されて、クランプ電圧Vclpを基準に反転して出力されることになる。
ここで、このとき出力されるランダムノイズVnoutに着目すると、入力されるランダムノイズVninを2回サンプルホ−ルドして足し合わせているため、ノイズの分散が2倍となり、出力されるランダムノイズVnoutは√(2・Vnin)となる。したがって、リセットノイズの除去された画素信号は2倍されても、ランダムノイズは√2倍にしかならないためノイズ特性S/Nを改善することができる。
さらに、画素信号を3倍にするには、期間Eと期間Fの間に期間Dと期間Eの動作を繰り返し、期間Iと期間Jの間に期間Hと期間Iの動作を繰り返し、リセット信号を3回サンプルホ−ルドして加算し、画素信号を3回引いて両者の差分値をとることで、3倍のリセットノイズの除去された画素信号3(Vd−Vp)を得ることができる。4倍、5倍も同様の動作を繰り返すことで得られる。逆に、期間D,Eと期間H,Iを飛ばすことによって1倍の増幅率を実現できる。このときのタイミングチャートを図4に示す。
上述したことから明らかなように、本実施形態に係る読み出し回路14Aを用いて、リセット信号Vpおよび画素信号Vdについてそれぞれ複数回ずつサンプリングしかつ加算する処理を行うことにより、サンプリングの回数によって任意の増幅率を得ることができる。また、画素信号Vdをn倍してもランダムノイズは√n倍にしかならないため、従来技術のように帰還容量の容量値を調節して増幅率を設定する場合よりもノイズ特性S/Nを改善することができる。さらに、帰還容量26の容量値が固定であり、任意の増幅率を得るために帰還容量26を分割して入力容量23との容量比を調節する必要がないため、帰還容量26の容量ばらつきを抑えることができる。したがって、増幅率ばらつきを抑圧することができるため、より精度の高い増幅率を設定することができる。
また、本実施形態に係る読み出し回路14Aでは、入力容量23の垂直信号線18側の端子(入力端)を、スイッチ22を介して選択的に任意の固定電位V1のノードに接続することで、画素信号Vdを増幅する処理と並行してCDS処理を行うことができる。ここで、任意の固定電位V1としては、単位画素11からリセット動作時に出力されるリセット信号Vpのレベルに近い値に設定するのが望ましい。
何故ならば、リセット信号Vpを読み出す際に、リセット信号Vpと固定電位V1との差分をサンプリング回数だけ帰還容量26に保持しておき、しかる後画素信号Vdを読み出す際に、帰還容量26において画素信号Vdとの差分をとる処理(CDS処理)を行うことになるが、固定電位V1の値がリセット信号Vpのレベルに近い方が、リセット信号Vpと固定電位V1との差分が小さくなり、リセット信号Vpを読み出す際に帰還容量26に保持する電荷量が少なくて済むため、差動増幅器24の限られたダイナミックレンジ内においてより確実にCDS処理を実現できるからである。
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る読み出し回路14Bの構成を示す回路図であり、図中、図2と同等部分には同一符号を付して示している。本実施形態においても、単位画素11は、転送トランジスタQ1、増幅トランジスタQ2およびリセットトランジスタQ3を有するアクティブ型の構成をとっている。
本実施形態に係る読み出し回路14Bは、垂直信号線18に一端が接続されたスイッチ(第1のスイッチ手段)31と、このスイッチ31の他端と任意の電位V1のノードとの間に接続されたスイッチ(第5のスイッチ手段)32と、スイッチ31の他端に入力端が接続された入力容量33と、この入力容量33の出力端に入力端子が接続されたシングルエンドの反転増幅器34と、この反転増幅器34の入力端子と出力端子との間に接続されたスイッチ(第2のスイッチ手段)35と、反転増幅器34の入力端子と出力端子との間に直列に接続された帰還容量36およびスイッチ(第3のスイッチ手段)37と、帰還容量36およびスイッチ37の共通接続ノードとクランプ電圧Vclpのノードとの間に接続されたスイッチ(第4のスイッチ手段)38とを有する構成となっている。
上述した構成から明らかなように、本実施形態に係る読み出し回路14Bは、第1実施形態に係る読み出し回路14Aの差動増幅器24に代えてシングルエンドの反転増幅器34を用いた構成となっている。この読み出し回路14Bは、画素アレイ部12の列毎に配置されることから、差動増幅器24よりも回路構成がより簡単なシングルエンドの反転増幅器34を用いることにより、チップ(chip)面積を縮小できるメリットがある。
次に、上記構成の本実施形態に係る読み出し回路14Bの動作について、図6タイミングチャートを用いて説明する。なお、ここでは、入力容量33の容量値をC1、帰還容量36の容量値をC2とする。
はじめに、期間A中でスイッチ32,35,38がオンする。このとき、反転増幅器34の入出力端子間がスイッチ35によって短絡されることにより、図7に示すように、入出力端子の電圧は反転増幅器34のロジカルスレッショルド電圧Vlthとなる。したがって、入力容量33の両端の電位がクランプ電圧Vclpとロジカルスレッショルド電圧Vlthとなり、反転増幅器34の入力端子の電位がロジカルスレッショルド電圧Vlthのとき出力端子の電位がクランプ電圧Vclpとなる初期電荷Q0が帰還容量26に蓄積される。
次に、リセット信号読出し期間t2における期間B中にリセット信号Vrが立ち上がることで、リセットトランジスタQ3がオン状態となって画素11のFDをリセットする。同時にスイッチ31,35がオンすることで、入力容量33の両端には画素11からのリセット信号Vpとロジカルスレッショルド電圧Vlthが加わり、C1・(Vp−Vlth)の電荷が入力容量33にサンプルホ−ルドされる。
次に、期間Cでスイッチ31,35がオフし、スイッチ32,37がオンする。このとき、反転増幅器34には帰還容量36を通して負帰還がかかり、ノ−ドVの電位(反転増幅器34の入力端子電位)の変動は、反転増幅器34のゲイン分の1に抑圧されてほぼVlthとなる。これにより、入力容量33の電荷はC1・(V1−Vlth)に変動し、この変動電荷C1・(Vp−V1)が帰還容量26に新たに加算される。このとき、反転増幅器34の出力V3はVclp+(Vp−V1)・C1/C2となる。
さらに、期間Dでスイッチ32,37がオフし、スイッチ31,35がオンする。ここでまた入力容量33の両端には画素11からのリセット信号Vpとロジカルスレッショルド電圧Vlthが加わり、電荷C1・(Vp−Vlth)が入力容量33にサンプルホ−ルドされる。
期間Eではスイッチ31,35がオフし、スイッチ32,37がオンする。このとき、差動増幅器24には帰還容量36を通して負帰還がかかることから、入力容量33には先ほど保持した電荷に加えて、新たに電荷C1・(Vp−V1)が加算されることになるため、2・C1・(Vp−V1)の電荷が初期電荷Q0に加えて蓄積される。したがって、反転増幅器34の出力V3は、Vclp+2・(Vp−V1)・C1/C2となる。期間Fでは、スイッチ31,37がオフし、スイッチ32,35がオンする。このとき、C1・(V1−Vlth)の電荷が入力容量33にサンプルホ−ルドされる。
次に、画素信号読出し期間t3のはじめの期間Gに転送制御信号Vtが立ち上がり、画素11の増幅トランジスタQ2を介して画素信号Vdが垂直信号線18に読み出される。このとき、スイッチ31,37がオンし、スイッチ32,35がオフすることで、入力容量33の電荷は、C1・(Vd−Vlth)に変動し、この変動電荷−C1・(Vd−V1)が新たに帰還容量26に加算される。このとき、反転増幅器34の出力V3は、先ほどの出力電圧から−(Vd−V1)・C1/C2分だけ電圧が変化する。
さらに、次の期間Hでまたスイッチ31,37がオフし、スイッチ32,35をオンすることで、C1・(V1−Vlth)の電荷が入力容量33にサンプルホ−ルドされ、次の期間Iスイッチ31,37がオンし、スイッチ32,35がオフすることで、帰還容量36に電荷−C1・(Vd−V1)が新たに加算される。したがって、反転増幅器34の出力V3は、先ほどの出力電圧からまたさらに−(Vd−V1)・C1/C2分だけ電圧が変化する。
最終的に、帰還容量36に蓄積された電荷は、2・C1(Vp−V1)−2・C1・(Vd−V1)=2・C1・(Vd−Vd)となる。これにより、反転増幅器34の出力V3は、Vclp+2・(Vp−Vd)・C1/C2となる。したがって、差動増幅器24を用いた第1実施形態に係る読み出し回路14Aの場合と同様に、C1=C2のときに読み出されるリセットノイズの除去された画素信号(Vd−Vp)は2倍されてクランプ電圧Vclpを基準に反転して出力されることになる。
また、第2実施形態に係る読み出し回路14Bによって得られる効果についても、第1実施形態に係る読み出し回路14Aによって得られる効果と同様である。すなわち、画素信号をn倍してもランダムノイズは√n倍にしかならないため、従来技術の帰還容量の値を調節して増幅する場合よりもノイズ特性S/Nを改善することができる。さらに、帰還容量36を分割して入力容量33との容量比を調節する構成を採っていないことから、帰還容量36の容量ばらつきを抑えることができるため、増幅率のばらつきを抑圧することができる。
なお、上記各実施形態では、読み出し回路14A/14Bにおいて画素信号Vdの増幅処理のみならず、当該画素信号Vdからリセット信号Vrを引くことによって固定パターンノイズを除去するCDS処理をも並行して行う場合の読み出し動作を例に挙げて説明したが、読み出し回路14A/14BでCDS処理を並行して行うことは必須ではない。すなわち、CDS処理については、後段の信号処理回路、例えば出力回路17において、先に増幅されて読み出されたリセット信号Vrを保持しておき、その後に増幅されて読み出される画素信号Vdからリセット信号Vrを引く処理を行うことによって実現することも可能である。
また、上記各実施形態では、単位画素11の各々の画素情報を垂直信号線18を介して出力し、読み出し回路14A/14Bで増幅して出力した後、水平走査にて順次出力する構成の固体撮像装置に適用した場合を例に挙げたが、この本発明は適用例に限られるものではなく、例えば基本的に増幅トランジスタを持たず、光電変換素子のみを含む単位画素から読み出される電荷を垂直転送部(CCD;Charge Coupled Device)で転送し、当該垂直転送部ごとに設けられた電荷検出部で電気信号に変換し、読み出し回路14A/14Bで増幅して出力した後、水平走査にて順次出力する構成の固体撮像装置にも同様に適用可能である。
上記各実施形態に係る読み出し回路14A,14Bを画素アレイ部の列毎に配置してなる固体撮像装置は、デジタルスチルカメラなどの撮像装置において、その撮像デバイスとして用いて好適なものである。
本発明が適用されるCMOSイメージセンサの構成の概略を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る読み出し回路の構成を示す回路図である。 第1実施形態に係る読み出し回路における読み出し動作の説明のためのタイミングチャートである。 第1実施形態の変形例に係る読み出し動作の説明のためのタイミングチャートである。 本発明の第2実施形態に係る読み出し回路の構成を示す回路図である。 第2実施形態に係る読み出し回路における読み出し動作の説明のためのタイミングチャートである。 入出力端子間短絡時の反転増幅器の等価回路図である。 従来例1に係る読み出し回路の構成を示す回路図である。 アクティブ型の画素の構成を示す回路図である。 従来例2に係る読み出し回路の構成を示す回路図である。
符号の説明
11…単位画素、12…画素アレイ部、13…垂直駆動回路、14,14A,14B…読み出し回路、15…水平駆動回路、16…水平信号線、18…垂直信号線、19…水平選択スイッチ、23,33…入力容量、24…差動増幅器、26,36…帰還容量、34…シングルエンドの反転増幅器、Q1…転送トランジスタ、Q2…増幅トランジスタ、Q3…リセットトランジスタ

Claims (14)

  1. 光電変換素子を含む単位画素が行列状に2次元配置されてなる画素アレイ部と、
    前記単位画素の行列状配列に対して列毎に配置され、前記単位画素から出力される信号を、前記単位画素の1つにつき複数回サンプリングしかつ当該複数回サンプリングした信号を加算して出力する読み出し回路と
    を備えたことを特徴とする固体撮像装置。
  2. 前記読み出し回路は、
    前記単位画素から出力される信号を複数回サンプリングする第1のスイッチ手段と、
    前記第1のスイッチ手段の出力側に接続された入力容量と、
    帰還容量を含み、前記第1のスイッチ手段によって複数回サンプリングされ、前記入力容量を介して入力される信号を前記帰還容量で加算する増幅手段とを有する
    ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
  3. 前記帰還容量の容量値が固定である
    ことを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置。
  4. 前記増幅手段は、非反転入力端子にクランプ電圧が与えられる差動増幅器であり、
    反転入力端子と出力端子との間に接続された第2のスイッチ手段と、
    前記反転入力端子と前記出力端子との間に前記帰還容量と直列に接続された第3のスイッチ手段とを有する
    ことを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置。
  5. 前記増幅手段は、シングルエンドの反転増幅器であり、
    入力端子と出力端子との間に接続された第2のスイッチ手段と、
    前記入力端子と前記出力端子との間に前記帰還容量と直列に接続された第3のスイッチ手段と、
    前記帰還容量と前記第3のスイッチ手段との共通接続ノードにクランプ電圧が与えられる第4のスイッチ手段とを有する
    ことを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置。
  6. 前記単位画素から出力される信号は、前記単位画素のリセット時に出力されるリセット信号と、前記光電変換素子で光電変換された電荷に応じて出力される画素信号であり、
    前記読み出し回路は、前記リセット信号および前記画素信号についてそれぞれ複数回ずつサンプリングしかつ加算する処理と、前記画素信号から前記リセット信号を引く処理とを並行して行う
    ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
  7. 前記読み出し回路は、前記画素信号に対して前記リセット信号を逆極性で読み出すことによって前記引く処理を実行する
    ことを特徴とする請求項6記載の固体撮像装置。
  8. 前記読み出し回路は、
    前記リセット信号および前記画素信号についてそれぞれ複数回ずつサンプリングする第1のスイッチ手段と、
    前記第1のスイッチ手段の出力側に接続された入力容量と、
    帰還容量を含み、前記第1のスイッチ手段によって複数回ずつサンプリングされ、前記入力容量を介して入力される前記リセット信号と前記画素信号とを前記帰還容量で加算する増幅手段と、
    前記入力容量の入力端を固定電位のノードに選択的に接続する第5のスイッチ手段とを有する
    ことを特徴とする請求項6記載の固体撮像装置。
  9. 前記固定電位は、前記リセット信号のレベルに近い値に設定されている
    ことを特徴とする請求項8記載の固体撮像装置。
  10. 前記増幅手段は、非反転入力端子にクランプ電圧が与えられる差動増幅器であり、
    反転入力端子と出力端子との間に接続された第2のスイッチ手段と、
    前記反転入力端子と前記出力端子との間に前記帰還容量と直列に接続された第3のスイッチ手段とを有する
    ことを特徴とする請求項8記載の固体撮像装置。
  11. 前記増幅手段は、シングルエンドの反転増幅器であり、
    入力端子と出力端子との間に接続された第2のスイッチ手段と、
    前記入力端子と前記出力端子との間に前記帰還容量と直列に接続された第3のスイッチ手段と、
    前記帰還容量と前記第3のスイッチ手段との共通接続ノードにクランプ電圧が与えられる第4のスイッチ手段とを有する
    ことを特徴とする請求項8記載の固体撮像装置。
  12. 光電変換素子を含む単位画素が行列状に2次元配置されてなる固体撮像装置の駆動方法であって、
    前記単位画素の行列状配列の列毎に、前記単位画素から出力される信号を、前記単位画素の1つにつき複数回サンプリングしかつ当該複数回サンプリングした信号を加算して読み出す
    ことを特徴とする固体撮像装置の駆動方法。
  13. 前記単位画素から出力される信号は、前記単位画素のリセット時のリセット信号と、前記光電変換素子で光電変換された電荷に応じた画素信号であり、
    前記リセット信号および前記画素信号についてそれぞれ複数回ずつサンプリングしかつ加算する処理と、前記画素信号から前記リセット信号を引く処理とを並行して行う
    ことを特徴とする請求項12記載の固体撮像装置の駆動方法。
  14. 前記画素信号に対して前記リセット信号を逆極性で読み出すことによって前記引く処理を実行する
    ことを特徴とする請求項13記載の固体撮像装置の駆動方法。
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