JP2005266598A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法並びに静電荷像現像剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、湿式造粒法により製造され、0.5〜1.0μの角をトナー粒子1個当たり平均0.5〜5個有し、形状−粒径換算表面指数が0.3〜3.0であり、かつXPSによるトナー表面離型剤量変化係数が1.2〜1.8である静電荷像現像用トナー、前記トナーを含む静電荷像現像剤、湿式造粒法により結着樹脂微粒子、着色剤微粒子及び離型剤微粒子を含有する粒子を作製し、前記粒子中の結着樹脂微粒子、着色剤微粒子及び離型剤微粒子を融合させる工程を有し、前記融合工程が、前記粒子を離型剤の融点Tmwより高い温度で加熱する工程、前記加熱温度からTmwまでを冷却速度A(℃/min.)で冷却し、TmwからTmwより低い温度までを冷却速度Aより小さい冷却速度B(℃/min.)で冷却する工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、前記冷却速度の範囲の中でも特に緩やかに冷却した場合は、溶融状態にあるワックス粒子に対して樹脂粒子が固化していくため、双方の分離が発生しワックス粒子の表面露出が発生する場合がある。また、急激に冷却した場合は、溶融したワックス粒子と同時に樹脂粒子も固化していくため、前記のような相分離は発生しないものの、ワックス粒子の内包性が良化しすぎるため、定着溶融時に離型剤がトナー粒子外部に染み出しにくいなどの問題もある。
リスラリー洗浄法により均一な洗浄が可能であるが、この洗浄方法は、洗浄効率が悪く、多量の洗浄水及び時間を必要とする。
(1)結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、湿式造粒法により製造される静電荷像現像用トナーであって、0.5〜1.0μの角をトナー粒子1個当たり平均0.5〜5個有し、形状−粒径換算表面指数が0.3〜3.0であり、かつXPSによるトナー表面離型剤量変化係数が1.2〜1.8であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(4)前記冷却速度Aが5.0〜50(℃/min.)であり、冷却速度Bが0.5〜4.9(℃/min.)であることを特徴とする前記(2)に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(7)前記薬剤投入後の液の水素イオン濃度(H+)が10-5〜10-9であることを特徴とする前記(2)に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(9)前記離型剤の示差熱分析曲線における融解熱量E(J/g)と、前記冷却速度A及びBが以下の関係式を満足することを特徴とする前記(2)に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
0.1<(A+B)/E<10
また、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、融合工程において特定の2段階冷却方法を採用しているため、トナーの洗浄方法として高pHのアルカリ水溶液を用いる必要がないこと、更に、冷却後濾過しこれを再分散させて洗浄することなく冷却工程において洗浄剤(薬剤)を添加できるため、濾過・再分散工程の必要がなく均一分散系での処理ができるので品質が安定し、かつ、プロセスタイムの短縮が達成できることなどの効果を有する。
本発明者らは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、湿式造粒法により製造される静電荷像現像用トナーにおいて、トナー粒子1個当たり0.5〜1.0μmの角を平均0.5〜5個有し、形状−粒径換算表面指数が0.3〜3.0であり、かつXPSによるトナー表面離型剤量変化係数が1.2〜1.8である静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ということがある。)は、帯電特性、定着特性、流動性、保管安定性に優れたトナーとなることを見出し、本発明を完成した。
測定条件は、5kVの加速電圧で3500~5000倍の倍率である。前記角の1個当たりの平均は、100個当たりの角個数を計算し平均して求める。
トナーの角個数は0.5〜5.0個の範囲であり、前記範囲未満の場合は、トナー表面への離型剤粒子の露出が抑制されているため、定着時の染み出しが抑制される場合があり特に高温側のオフセットが発生する場合がある。一方前記範囲を超えるとトナー粒度分布、形状不均一、流動性、帯電均一性、保存安定性が低下する可能性があり好ましくない。トナーの角個数の更に好ましい範囲は1.0〜4.0個である。
走査型電子顕微鏡(Fe-SEM)としては、例えば、株式会社日立製作所のものが使用しうる。
表面離型剤変化係数は、X線をトナー表面に照射してトナー最表面における離型剤の量(R1)を測定し、次に同じ照射条件でX線を60秒間照射(エッチング処理)した後に同様にしてエッチング後のトナー表面の離型剤量(R2)を測定し、エッチング前の離型剤量に対するエッチング後の離型剤量の比率(R2/R1)で表す。
XPS測定における条件は、以下のとおりである。
・光電子励起:MgKα線(10kv,30mA)
・光電子エネルギーアナライザーのパスエネルギー:30V
R2/R1が前記範囲未満の場合は、極端に離型剤粒子が露出しているかあるいは極端にトナー粒子に内包されている場合を表し好ましくない。またR2/R1が前記範囲を超えると離型剤がトナー粒子表面近傍に集中していることを表し、長期の保管安定性、流動性、帯電性維持性などに問題を生じる場合がある。R2/R1の更に好ましい範囲は1.3〜1.7である。
XPS測定機としては、例えば、日本電子(株)製のものが使用しうる。
形状−粒径換算表面指数=(表面性指標値)×(円相当周囲長/周囲長)
ここで(表面性指標値)=(比表面積実測値)/(比表面積計算値)であり、
(比表面積計算値)=6Σ(n×R2)/{ρ×Σ(n×R3)}であり、比表面積実測値は吸着法(BET法)による。前記式中、nはコールターカウンターにおけるチャンネル内の粒子数、Rはコールターカウンターにおけるチャンネル粒径、ρはトナー密度を表す。
また、円相当周囲長/周囲長は、以下で説明する「平均円形度」と同義である。
前記指数が0.3を下回る場合には表面が平滑であることを表し、トナー流動性、帯電特性が悪化する場合があり好ましくない。更に、外添剤が実機内でのストレスによりトナー粒子に埋没しやすく長期の画質維持に問題がある。また前記指数が3.0を超える場合は、トナーの流動性は良好なものの、キャリアとの付着力が低くなるため、現像機からの飛散、キャリアとの混合性などで問題となる場合がある。本指数の更に好ましい範囲は0.5〜2.5である。
トナーの平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められ、測定対象となるトナーを吸引採取し、非常に扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(例えばシスメックス社製のFPIA−2100)によって求めることが出来る。なお、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個である。
小粒径側平均個数粒度分布指標GSDp-underは、GSDp-under=(D50p/D16p)、の式によって求められる。ここで、D16pは粒径の個数分布における小径側からの累積16%となる粒径値であり、D50pは粒径の累積50%となる粒径値である。GSDp-underが1.27を超えると小粒径トナーの比率が高くなるため、初期性能の他に信頼性の点からも極めて大きな影響を有する。即ち、従来より知られているように、小径トナーの付着力が大きいため、静電気的制御が困難となりやすく、2成分現像剤を用いる場合はキャリア上に残留しやすい。この場合、繰り返し機械力を与えられると、キャリア汚染を招き、結果としてキャリアの劣化を促進する。また、小粒径トナーは付着力が大きいため、現像効率の低下も発生し、結果として画質欠陥が生じる。特に転写工程では、感光体上に現像されたトナーのうち、小径成分の転写が困難になりやすく、結果的に転写効率が悪くなり、排トナーの増加や、画質不良などが生じる。これらの問題が生じた結果、静電気的に制御されないトナーや逆極トナーが増加しこれらが周囲を汚染するようになる。とりわけ帯電ロールには感光体等を介してこれらの制御されないトナーが蓄積されるため、帯電不良を引き起こすので好ましくない。
凝集性変化指数=Tgでの凝集度/常温での凝集度
Tgでの凝集度は、20gのトナーをTgにて5時間加熱後、(株)ホソカワミクロン社製のパウダテスタ測定器にて106μ網を通過させ(振動強度6.3、90秒)、網上に残存するトナー量の割合を測定し、残存量/20×100(%)で求める。常温の場合は、20〜30℃の範囲で制御されている環境下にて同様の測定を行い求める。
指数が1.8を超える場合、特に樹脂Tgでの流動性が悪化していることを表し、実機内でのトナーブロック化による白筋、キャリアとの混合不足による帯電性不良による濃度低下、かぶり発生など問題となる。更に、トナー粒子が小粒径化していった場合、更に流動性が悪化するため、極端な画質欠陥となる場合がある。本指数の更に好ましい範囲は1.6以下である。
0.1<(A+B)/E<10
本範囲を下回る場合、冷却速度が不足していることを表し、冷却中の離型剤の粘度上昇に対して樹脂粒子の粘度が相対的に低くなるのでトナー粒子への内包性が低下し、表面露出を発生しやすくなる。また、表面に露出しない場合でも高さ方向への角出しが著しく、形状の歪み、表面性の変化など発生しやすくなり好ましくない。また、本範囲を超える場合、逆に離型剤のトナー粒子表面近傍への構造を制御できないため、極端に内包されることがあり、定着性が低下することがあり好ましくない。
前記表面改質処理がなされた着色剤は、着色剤分散液中で十分に安定化されており、該着色剤が着色剤分散液中で所望の平均粒径に分散された後、樹脂粒子分散液との混合時、凝集工程等においても着色剤同士が凝集することがなく、良好な分散状態を維持できる点で有利である。一方、過剰な表面改質処理がなされた着色剤は、凝集工程において樹脂粒子と凝集せずに遊離してしまうことがある。このため、前記表面改質処理は、適宜選択した最適な条件下で行われる。
本発明の静電荷像現像剤は、前記の静電荷像現像用トナーを含有させたものであり、目的に応じて他の成分を配合することができる。本発明の静電荷像現像剤は、前記の静電荷像現像用トナーを単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。キャリアには特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、湿式造粒法により作製される。すなわち湿式造粒法により結着樹脂微粒子、着色剤微粒子及び離型剤微粒子を含有する粒子を作製し、その後、前記粒子中の結着樹脂微粒子、着色剤微粒子及び離型剤微粒子を融合させる方法である。
前記湿式造粒法としては、着色剤、離型剤等を重合性単量体とともに懸濁させ、重合性単量体を重合する懸濁重合法、結着樹脂、着色剤、離型剤等のトナー構成材料を有機溶媒に溶解させ、水系溶媒中に懸濁状態で分散させた後に有機溶媒を除去する溶解懸濁法、樹脂を乳化重合により作製し、着色剤、離型剤等の微粒子分散液とともにヘテロ凝集させる方法がある。中でもヘテロ凝集法が好ましい。
ヘテロ凝集の後、融合・合一させる乳化重合凝集融合合一法(以下、「乳化凝集法」ということがある。)は、トナー粒径制御性、狭粒度分布、形状制御性、狭形状分布、内部分散制御性の点から最適な方法である。以下において、乳化凝集法を例にとりトナーの製造方法を説明する。
乳化凝集法で用いる結着樹脂微粒子分散液は、乳化重合法及びそれに類似の不均一分散系における重合法で容易に得ることができる。また、予め溶液重合法や隗状重合法等で均一に重合した重合体を、その重合体が溶解しない溶媒中へ安定剤とともに添加して機械的に混合分散する方法など任意の方法で得ることができる。
ここで用いる界面活性剤は、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤、及び、種々のグラフトポリマー等を挙げることができるが、特に制限されるものではない。
乳化重合で樹脂微粒子分散液を作製する場合は、少量の不飽和酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルフォン酸等を単量体成分の1部として添加することにより、樹脂微粒子表面に保護コロイド層を形成することができ、ソープフリー重合が可能になるので特に好ましい。
離型剤微粒子分散液の調製は、離型剤を水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散させ、融点以上に加熱溶融するとともに、強い剪断力を付与できるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて微粒子化し、1μm以下の離型剤微粒子の分散液を作製することにより行うことができる。
着色剤微粒子分散液の調製方法は、着色剤を水等の分散媒に任意の分散方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどを用いて行え、なんら制限されるものではない。
また、0.8μm以上の粒子個数%は、10%未満が好ましく、実質的には0%が好ましい。このような粗大粒子の存在は、凝集工程の安定性を損なわせ粗大着色粒子の遊離のみならず、粒度分布を広化させる。
0.05μm以下の粒子個数%は、5個数%以下が好ましい。このような微小粒子の存在は、融合工程での形状制御性を損なわせ、平均円形度0.940以下のいわゆる滑らかなものが得られなくなる。これに対して、着色剤粒子の平均粒径、粗大粒子、微小粒子が前記範囲内にあると、前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中での分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点が有利である。
凝集粒子分散液の調製は、結着樹脂微粒子分散液、着色剤微粒子分散液、離型剤微粒子分散液、更に必要に応じ無機微粒子分散液を混合することにより行われる。その際必要に応じて、混合液を結着樹脂のTg又はその近傍まで加熱することが好ましい。
これらの無機金属塩、金属錯体としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが上げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。
凝集粒子分散液を形成した後、離型剤の融点より高い温度に加熱して前記各微粒子を融合させる。加熱温度の上限は離型剤の融点より10~30℃程度の温度が適切である。また、加熱時間は、高温での定着性確保、画像色特性、画像透明性等を考慮して適宜選択される。この工程では離型剤の融点より高い温度に加熱するので離型剤微粒子は溶融するとともに微粒子同士が融合する。
凝集粒子分散液を離型剤の融点より高い温度に加熱した後、以下のような冷却操作を行う。冷却工程においては、前記加熱温度からTmwまでを冷却速度A(℃/min.)で冷却し、TmwからTmwより低い温度までを冷却速度Aより小さい冷却速度B(℃/min.)で冷却する。
このような冷却操作の過程において凝集粒子の温度が融点より低くなる(ただし結着樹脂のTg以上)と、溶融状態にあった融合離型剤粒子は固化するが、結着樹脂が未だTg以上の温度帯を通過して冷却されることになるので、固化した離型剤粒子がトナー表面に突き出て角が形成される。そして前記のごとき2段階の冷却工程を経ることにより、トナー表面に、適正な大きさ(0.5〜1.0μm)と適正な数(トナー粒子1個当たり平均0.5〜5個)の、離型剤からなる角が形成される。
一方、Tmw以下の温度では離型剤粒子の凝結がかなりの割合で進んでいるため、より緩やかな冷却をしても離型剤粒子と結着樹脂粒子との間に分離が発生することはなく、むしろ離型剤のトナー内部での成長を助け、著しくトナー表面に露出させることなくトナー表面への離型剤粒子の存在状態を制御することが可能である。
冷却速度A及びBの比率を1<A/B<10.0にすると、前記のごとき効果がより有効に得られる。
また、冷却速度Aが前記範囲にあると、前記効果に加え、更にトナー表面における凹凸の発生、流動性の低下、帯電不均一などを防ぐことができ、かつ離型剤の存在状態をより適切に制御でき、極度に内包されたトナー粒子が形成されることがなく定着特性も良好である。また、冷却速度Bが前記範囲にあるとトナーの内部及び表面にある離型剤の分布状態のより適切な制御が可能となる。
塩基性薬剤としては、特に水溶性であれば制限がなく水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが好適に用いられる。一方、酸性薬剤も特に制限がなく硝酸、塩酸などが好適に用いられる。添加温度に関しては、前記範囲を超える場合には、トナー表面に存在する酸性基などの官能基が変性する可能性があり、帯電特性などに影響する場合がある。一方前記範囲より下回る場合には、分散剤を除去する効果が小さいため、初期的には良好な帯電特性、流動性、保存性を示しても、長期にわたる維持性に問題を発生する場合がある。
−樹脂微粒子分散液(1)の調製−
スチレン(和光純薬社製) 73部
アクリル酸ブチル(和光純薬社製) 27部
ドデシルメルカプタン(和光純薬社製) 2.0部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) 2部
デカンジオールジアクリル酸エステル(新中村化学社製) 0.5部
前記成分を混合溶解して溶液を調製した。他方、非イオン性界面活性剤(日本油脂社製、ノニオンP−213)1部、及びアニオン性界面活性剤(日本油脂社製、ニューレックスR)1部を、イオン交換水120部に溶解した溶液を調製した。フラスコに2つの溶液を加え分散・乳化させた。この乳化液をゆっくりと混合しながら、10分間かけて、過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)1.2部を溶解させたイオン交換水50部を乳化液に投入した。次いで、系内を窒素で置換した後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、そのまま6時間乳化重合を継続した。その後、この反応液を室温まで冷却し、樹脂微粒子分散液(1)を得た。この樹脂微粒子分散液(1)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、残留物のMwは40000、Tgは52℃であった。
スチレン及びアクリル酸ブチルの量を、それぞれ82部及び18部に変更する他は、樹脂粒子分散液(1)と同様の条件にて樹脂微粒子分散液(2)を作製した。樹脂のMwは45000、Tgは64℃であった。
スチレン及びアクリル酸ブチルの量を、それぞれ68部及び32部に変更する他は、樹脂粒子分散液(1)と同様の条件にて樹脂微粒子分散液(3)を作製した。樹脂のMwは38000、Tgは47℃であった。
フタロシアニン顔料(大日精化社製、PVFASTBLUE) 25部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK) 2部
イオン交換水 125部
前記成分を混合した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散して着色剤微粒子分散液(1)を得た。
イエロー顔料(クラリアントジャパン社製:PY74) 15部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC) 2部
イオン交換水 85部
前記成分を混合した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散して着色剤微粒子分散液(2)を得た。
マゼンタ顔料(大日精化社製、PR122) 15部
ノニオン界面活性剤(理研ビタミン社製、リケマールS−100) 2部
アニオン界面活性剤(理研ビタミン社製、リケマールO−120) 2部
イオン交換水 85部
前記成分を混合した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散して着色剤微粒子分散液(3)を得た。
カーボンブラック(キャボット社製、リーガル330) 30部
アニオン界面活性剤(日本油脂社製、ニュ−レックスR) 2部
イオン交換水 120部
前記成分を混合した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散して着色剤微粒子分散液(4)を得た。
パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNP0190、融点85℃) 100部
アニオン界面活性剤(日本油脂社製、ニュ−レックスR) 3部
イオン交換水 400部
前記成分を混合した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散し、次いで圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤微粒子分散液(1)を得た。
ポリエチレンワックス 100部
(東洋ペトロライト社製、ポリワックス600、融点93℃)
アニオン界面活性剤(日本油脂社製、ニュ−レックスR) 2部
イオン交換水 300部
前記成分を混合した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散し、次いで圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤微粒子分散液(2)を得た。
ポリエチレンワックス 100部
(東洋ペトロライト社製、ポリワックス500、融点85℃)
アニオン界面活性剤(日本油脂社製、ニュ−レックスR) 2部
イオン交換水 300部
前記成分を混合した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散し、次いで圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤微粒子分散液(3)を得た。
フィッシャートロプシュワックス 100部
(分子蒸留にて低分子量成分を除去した試作品、融点110℃)
アニオン界面活性剤(日本油脂社製、ニュ−レックスR) 2部
イオン交換水 300部
前記成分を混合した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散し、次いで圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤微粒子分散液(4)を得た。
<凝集工程>
樹脂微粒子分散液(1) 145部
着色剤微粒子分散液(1) 42部
離型剤微粒子分散液(1) 36部
硫酸アルミニウム(和光純薬社製) 0.5部
イオン交換水 300部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバスで52℃まで攪拌しながら加熱し、その温度で20分間保持した。この分散液を光学顕微鏡で観察したところ、平均粒径が約4.9μmの凝集粒子が形成されていた。この凝集粒子分散液中に樹脂微粒子分散液(1)を徐々に36部追加し、さらに52℃で30分間加熱攪拌した。この分散液を光学顕微鏡にて観察したところ、平均粒径が約5.3μmの付着粒子が形成されていた。
この付着粒子分散液のpHは2.2であった。この分散液に、濃度0.5質量%の水酸化ナトリウム(和光純薬社製)の水溶液を穏やかに添加し、分散液のpHを7.1に調整した後、攪拌を継続しながら93℃まで加熱し6時間保持した。
その後、85℃まで10℃/min.の速度で冷却し、更に85℃から52℃の温度領域を3.5℃/min.の速度で冷却した。冷却途中において液の温度が63℃の時点で1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを9.0に調整した。更に液温が52℃を下回ったら冷却速度を5.0℃/min.として40℃で冷却を終了した。
その後、液をろ過しイオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。
このトナー粒子について表面角出し個数、形状−粒径換算表面指数、表面離型剤変化係数、体積平均粒径、平均円形度、Tgを測定した。結果を離型剤のDSC熱量とあわせて、表1に示す。
(0.5〜1.0μmの角個数の測定)
前記角は、株式会社日立製作所製の走査型電子顕微鏡(Fe-SEM)(商品名 S4700)を用いて測定した。測定条件は段落0025に記載の条件とした。
(XPSによるトナー表面離型剤量変化係数の測定)
XPS測定装置は、日本電子(株)社製のJPS9000MX(商品名)を用いた。測定条件は、段落0026に記載の条件とした。
(形状−粒径換算表面指数の測定)
形状−粒径換算表面指数は、段落0027に記載した定義に基づいて求めた。なお、平均円形度は、以下の方法で求めた。
トナーの体積平均粒径値はコールターカウンター(コールター社製)を用いて、トナー粒子50000個について測定して得られた個々のトナー粒子の体積粒子径を平均することにより求めた。
(平均円形度の測定)
測定装置として、ホソカワミクロン社製のフロー式粒子像解析装置(商品名 FPIA2100)を用いて測定した。
株式会社島津製作所製製の示差走査熱量測定装置(DSC)(商品名 DSC60)を用いて測定した。
(離型剤の融解熱量E)
前記Tgの測定に用いた、示差走査熱量測定装置を用い、離型剤(1)の示差熱分析曲線を作成し、段落0037記載の条件にて計算して求めた。
このトナー粒子100部に対して、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、R972)1部を添加してヘンシェルミキサーで混合しトナー(1)を得た。
フェライト粒子(パウダーテック社製、平均粒径50μm)100部及びメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製、分子量95000)1.5部をトルエン500部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温してトルエンを留去した後冷却し、105μmの篩を用いて分級して樹脂被覆キャリアを作製した。この樹脂被覆キャリアとトナー(1)を、トナー濃度が7質量%になるように混合して現像剤(1)を得た。
(現像剤(2)の製造)
実施例1の現像剤(1)の製造方法において、離型剤分散液2を用い、融合工程における加熱温度を95℃に変更し、冷却工程での冷却速度を表1中の条件にした他は、実施例1と同様にして現像剤(2)を作製した。
(現像剤(3)の製造)
実施例1の現像剤(1)の製造方法において、離型剤微粒子分散液3に変更し、凝集工程での樹脂微粒子分散液を追加添加する前の加熱時間を3時間に変更し(3時間加熱後の凝集粒子の平均粒径は6.5μm、凝集工程で得られた付着粒子の平均粒径は6.8μm)、冷却工程での冷却速度を表1中の条件に変更した他は、実施例1と同様にして現像剤(3)を作製した。
(現像剤(4)の製造)
実施例1の現像剤(1)の製造方法において、凝集工程での樹脂微粒子分散液を追加添加する前の加熱温度を49℃に変更し(49℃での加熱後の凝集粒子の平均粒径は3.0μm、凝集工程で得られた付着粒子の平均粒径は3.5μm)、冷却工程での冷却速度を表1中の条件に変更する他は、実施例1と同様にして同様にして現像剤(4)を作製した。
(現像剤(5)の製造)
実施例1の現像剤(1)の製造方法において、冷却工程での冷却速度を表1中の条件に変更する他は、実施例1と同様にして現像剤(5)を作製した。
(現像剤(6)〜(13)の製造)
実施例1の現像剤(1)の製造方法において、表1に示したように樹脂微粒子分散液、着色剤微粒子分散液、離型剤微粒子分散液、及び冷却条件を変更する他は、実施例1と同様にして現像剤(6)〜(13)を作製した。
A−930改造機を用いて上記現像剤1〜12までを、高温高湿下(28℃、85%)で連続5000枚の走行試験を実施した。走行中の画像に関して、画像濃度、かぶり、画像欠陥、その他の欠陥に関する評価を行った。結果を表2に示す。
(画像濃度の評価)
画像濃度は以下の基準で評価した。
○ 良好である。
△ やや薄い印象である。
× 薄く劣っている。
(かぶりの評価)
かぶりは以下の基準で評価した。
○ なし
△ 確認できる程度である
× 目立って多い
(画像欠陥)
画像欠陥は、白筋の有無により評価した。
(その他の欠陥)
その他の欠陥は、画像濃度むらや、機内汚染、オフセット発生等の欠陥が発生するかどうかにより評価した。
Claims (10)
- 結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、湿式造粒法により製造される静電荷像現像用トナーであって、0.5〜1.0μmの角をトナー粒子1個当たり平均0.5〜5個有し、形状−粒径換算表面指数が0.3〜3.0であり、かつXPSによるトナー表面離型剤量変化係数が1.2〜1.8であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 湿式造粒法により結着樹脂微粒子、着色剤微粒子及び離型剤微粒子を含有する粒子を作製する工程、及び前記粒子中の結着樹脂微粒子、着色剤微粒子及び離型剤微粒子を融合させる工程を有する請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記融合工程が、前記粒子を離型剤の融点Tmwより高い温度で加熱する工程、前記加熱温度からTmwまでを冷却速度A(℃/min.)で冷却し、TmwからTmwより低い温度までを冷却速度Aより小さい冷却速度B(℃/min.)で冷却する工程を有することを特徴とする、静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記冷却速度A及び冷却速度Bの比が1<A/B<10.0であることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記冷却速度Aが5.0〜50(℃/min.)であり、冷却速度Bが0.5〜4.9(℃/min.)であることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記融合工程が、前記粒子を離型剤の融点Tmwより高い温度で加熱する工程、及び前記加熱温度からTmwまで冷却速度Aで冷却し、Tmwから結着樹脂のTgまで冷却速度Cで冷却し、前記TgからTgより低い温度まで冷却速度Dで冷却する工程を有し、かつ冷却速度D≧冷却速度A>冷却速度Cであることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- Tmwから結着樹脂のTgまで冷却する際、前記粒子を塩基性物質又は酸性物質を含む水系薬剤で処理することを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記薬剤投入後の液の水素イオン濃度(H+)が10-5〜10-9であることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記離型剤の融解点Tmwと結着樹脂のTgの差が10〜50℃であることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記離型剤の示差熱分析曲線における融解熱量E(J/g)と、前記冷却速度A及びBが以下の関係式を満足することを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
0.1<(A+B)/E<10 - トナーを含む静電荷像現像剤であって、前記トナーが結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、湿式造粒法により製造されるトナーであり、トナー粒子1個当たり0.5〜1.0μmの角を平均0.5〜5個有し、形状−粒径換算表面指数が0.3〜3.0であり、かつXPSによるトナー表面離型剤量変化係数が1.2〜1.8であることを特徴とする静電荷像現像剤。
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