JP2005265004A - 流体封入式防振装置およびその製造方法 - Google Patents

流体封入式防振装置およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 オリフィス部材の組み付けにあって、それぞれ形態の異なる複数のオリフィス部材から特定のオリフィス部材を選択したり、組み付け方向を正しく設定したりする際に、オリフィス部材の種類や組み付け方向が容易に正誤判定されることにより、オリフィス部材の誤組付けが有利に回避されて、品質管理が有利に図られ得ると共に、製造効率が飛躍的に向上され得る新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
【解決手段】 オリフィス部材58の外周面におけるオリフィス溝62を外れた位置に凹所76を形成して、該凹所76の表面に着色すると共に、凹所76を外筒部材14で覆蓋せしめた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動車におけるサスペンションブッシュやデフマウント、ボデーマウント、エンジンマウント等に適用される流体封入式防振装置に係り、特に、内部に封入された流体の流動作用に基づいて発揮される防振特性を利用して防振効果を得るようにした流体封入式防振装置とその製造方法に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、例えば、軸金具と該軸金具の外周側に所定距離を隔てて配された中間スリーブを本体ゴム弾性体で連結すると共に、該中間スリーブに設けた窓部を通じて外周面に開口するように形成された複数のポケット部を流体密に覆蓋することにより、それぞれ非圧縮性流体が封入されて振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる複数の流体室を形成する一方、それら複数の流体室を接続するオリフィス通路を形成した流体封入式防振装置が知られている。
このような流体封入式防振装置では、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果が発揮されることとなるが、かかる防振効果を有効に得るための要点の一つとして、オリフィス通路の長さや断面積等をチューニングすることが挙げられる。
そこで、上述の如き従来構造の流体封入式防振装置では、オリフィス通路の長さや断面積のチューニング自由度を十分に確保するために、例えば外周面に適宜の形状や大きさのオリフィス溝を設けた略円弧形状のオリフィス金具を中間スリーブの外周面に組み付けると共に、かかるオリフィス金具の外周面に外筒金具を外嵌装着してオリフィス溝を外筒金具で覆蓋することによって、オリフィス通路を形成した構造が採用されている。
ところで、前述のオリフィス金具は、要求される防振特性に応じてオリフィス通路の長さや断面積を適宜に設定変更する必要があることから、オリフィス溝の形状や大きさが異なる複数種類のものが採用される場合がある。更に、オリフィス金具は、各種のオリフィス通路の形状や大きさ、構造等に応じて流体室への連通部位が異なる等の理由により、中間スリーブへの組み付けに際して、周方向や軸方向等の組み付け方向が特定される場合もある。
そのため、従来構造の流体封入式防振装置においては、複数種類のオリフィス金具から特定のオリフィス金具を選択したり、或いはオリフィス金具の組み付け方向を正しく設定したりして組み付ける際の確認や選別等に非常に手間がかかり、その結果、製造効率が低下されるという問題があった。また、かかる防振装置では、目的のオリフィス金具と異なる種類のオリフィス金具が組み付けられたり、オリフィス金具が誤った組み付け方向に組み付けられたり等する、所謂誤組付の問題が発生すると、所期の防振性能が発揮され得ないばかりか、オリフィス金具を取り外して再度組み付け直す必要があることから、製造効率の向上が到底望めない状況下にあった。
なお、これらの問題に対処するために、例えば(1)オリフィス金具の適当な箇所に刻印を付したり、或いは(2)オリフィス金具に適当な色を付したり等して、それら刻印や色を作業者による目視若しくはカラーセンサや超音波センサ等の各種の検出装置によって識別することにより、複数種類のオリフィス金具を識別せしめて目的とするオリフィス金具を正確に組み付けたり、オリフィス金具の組み付け方向を正しく設定したりすることも考えられる。
しかしながら、前者(1)の方策では、刻印を付する金型の経時変化等により刻印の形状が識別され難くなることに加えて、一般に、刻印等の形状を識別する装置は高価であるという問題があった。また、後者(2)の方策では、例えばオリフィス金具の全体を着色する場合に、製造コストや製造工程の負担が大きくなる一方、オリフィス金具の適当な箇所に着色する場合に、かかる着色位置が正確に位置決めされていないと、カラーセンサ等の色を識別する装置で正確に識別され難くなるという問題があった。
さらに、後者(2)の流体封入式防振装置では、表面のペイント等が長期に安定して保持され難いという問題があり、その結果、例えば、防振装置の使用において何等かの異変が生じた場合に防振装置を分解してオリフィス部材の種類や組付方向等を確認するに際して、色が識別され難いことから、事後的な問題の検証が困難であった。しかも、表面から剥離した塗料片等が封入流体中に散在して流体流動性等に悪影響を及ぼすおそれもあったのである。
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、オリフィス部材の組み付けにあって、それぞれ形態の異なる複数のオリフィス部材から特定のオリフィス部材を選択したり、組み付け方向を正しく設定したりする際に、オリフィス部材の種類や組み付け方向が容易に正誤判定されることにより、オリフィス部材の誤組付けが有利に回避されて、品質管理が有利に図られ得ると共に、製造効率が飛躍的に向上され得る新規な構造の流体封入式防振装置およびかかる流体封入式防振装置の新規な製造方法を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(流体封入式防振装置に関する本発明の態様1)
流体封入式防振装置に関する本発明の態様1の特徴とするところは、軸部材と該軸部材の外周側に所定距離を隔てて配された中間スリーブを本体ゴム弾性体で連結すると共に、該中間スリーブに外筒部材を外嵌固定して該中間スリーブに設けた窓部を通じて外周面に開口するように形成された複数のポケット部を流体密に覆蓋することにより、それぞれ非圧縮性流体が封入されて振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる複数の流体室を形成する一方、該中間スリーブの外周面に略円弧形状のオリフィス部材を組み付けると共に、該オリフィス部材の外周面に該外筒部材を外嵌装着して、該オリフィス部材の外周面に設けたオリフィス溝を該外筒部材で覆蓋することにより、それら複数の流体室を接続するオリフィス通路を形成した流体封入式防振装置において、前記オリフィス部材の外周面における前記オリフィス溝を外れた位置に凹所を形成して、該凹所の表面に着色すると共に、該凹所を前記外筒部材で覆蓋せしめた流体封入式防振装置にある。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、凹所の表面が着色されることにより、オリフィス部材の目的とする位置に凹所を形成することによって、当該位置に正確に着色することが出来る。それによって、オリフィス部材の着色領域を小さく設定することも可能となり、着色に伴う製造コストや製造工程の負担等が有利に軽減され得る。しかも、着色領域が所定の位置に正確に位置決めされていることによって、例えば、公知のカラーセンサ等の色を識別する装置を用いて凹所の表面に付された色を識別する際に、色が精度良く識別され得る。
また、凹所がオリフィス部材の外周面におけるオリフィス溝を外れた位置に形成されていることにより、オリフィス溝が外筒部材で覆蓋されてなるオリフィス通路の流体流動性能に悪影響を及ぼすことが回避されるのであり、以て、オリフィス通路を通じての流体の流動作用に基づく防振性能が有効に確保される。
さらに、着色された凹所の表面が、オリフィス部材の外周面に形成されていると共に、外筒部材で覆蓋されることにより、流体室に直接に晒されることが阻止されて、オリフィス部材と外筒部材の間で良好に保持される。その結果、例えば凹所表面から剥離した塗料片等が封入流体中に散在して流体流動性等に悪影響を及ぼすことが回避されて、目的とする防振効果が有利に発揮され得る。
従って、本態様に係る流体封入式防振装置によれば、例えばそれぞれ形態の異なる複数のオリフィス部材から特定のオリフィス部材を選択して組み付ける際に、複数のオリフィス部材の凹所に種類ごとに異なる着色を施したり、或いはオリフィス部材を正しい組み付け方向に設定して組み付ける際に、オリフィス部材の外周面における凹所を外れた位置に付された色と異なる色を凹所に付したりすること等によって、色の識別に基づきオリフィス部材の種類や組み付け方向の正誤判定が容易とされる。それ故、オリフィス部材の誤組付けが有利に回避されることとなり、以て、優れた品質管理が達成され得ると共に、製造効率が飛躍的に向上され得るのである。
加えて、本態様では、前述したように、凹所表面に付された色がオリフィス部材と外筒部材の間で好適に保持されることにより、例えば、製品化された後に目的とする防振効果が発揮されない等の何等かの問題が生じた場合に、装置本体を分解して表面の色を識別することによって、オリフィス部材の組付方向や種類に誤りがなかったか等を容易に確認することが出来ることから、事後的な問題が有利に検証され得る。
すなわち、本態様の流体封入式防振装置においては、オリフィス部材の外周面に形成された凹所の表面に着色が施されるという比較的に簡単な構造によって、オリフィス部材に係る種類や組付方向等の識別力が有利に発揮されることに加えて、オリフィス部材の誤組付に伴う事後的な問題の検証にも有利に寄与される点に大きな技術的特徴を有するのであり、特にオリフィス部材の誤組付に対して有効な方策が十分に検討されていなかった流体封入式防振装置の技術分野において有益な発明となり得るのである。
なお、本態様では、凹所の表面に着色する手段は、特に限定されるものでなく、例えば、凹所の表面に塗料(着色料を含む。)を付したり、凹所の形成に際して所定の色が発現されるように凹所の形成材料に化学的処理を施したり、鍍金や着色硝子、カラーテープ等の着色が施された部材を凹所の表面に固着させたりすること等によって実現される。また、凹所の表面の色は、例えば作業者の目視等により識別されても良いが、望ましくは、色を自動的に認識乃至は識別する各種の検出装置によって識別される。かかる検出装置には、公知のものが採用可能であってその構造等は何等限定されるものでないが、例えば、着色部分をCCD(電荷結合素子)等を用いて撮像し、かかる撮像データをCPUに出力したり、或いは外光乃至は発光手段により着色部分に光を照射して反射された光を赤(R)、緑(G)、青(B)の三色の検出素子を備えた受光手段に採り入れる等して、光のRGB成分の検出結果に基づく受光波長のスペクトル解析により着色部分の色を識別すると共に、予め設定した色情報と異なる情報が検出されると、誤検出信号が画像手段や発光手段、音響手段、電源操作手段等の出力手段を介して外部に出力されるカラーセンサ等を含む色識別装置が採用される。このように電子的に色を検出することによって、複数種類の色が速やかに且つ正確に識別されることから、誤組付の防止や製造効率の向上が一層有利となる。また、凹所は、例えばオリフィス部材が形成された後にその外周面に形成することも可能であるが、オリフィス部材を金型等で形成する折にオリフィス部材の外周面に対してオリフィス溝と共に一体的に形成されることが好ましい。これにより、製造工程の短縮化が図られ得ると共に、凹所の形成位置を高精度に設定することが出来る。
(流体封入式防振装置に関する本発明の態様2)
流体封入式防振装置に関する本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係る流体封入式防振装置において、前記中間スリーブの前記窓部を周方向に跨ぐようにして前記オリフィス部材を組み付けると共に、該窓部を前記外筒部材で覆蓋することによって形成された前記流体室の内部において前記軸部材と前記オリフィス部材の少なくとも一方から他方に向かって軸直角方向に突出するストッパ突部を設けて、該ストッパ突部を介しての該軸部材と該オリフィス部材の相対的な当接により該軸部材と該外筒部材の軸直角方向における相対的な変位量を制限するストッパ機構を構成すると共に、該オリフィス部材における該ストッパ機構から外れた位置に前記凹所を設けたことにある。
このような本態様においては、流体室内にストッパ突部が設けられていることによって、軸部材と外筒部材の軸直角方向における相対的な変位量を制限するストッパ機構がコンパクトに実現される。また、特に本態様では、凹所がオリフィス部材におけるストッパ機構から外れた位置に設けられていることにより、ストッパ機構の耐荷重性能に悪影響を及ぼすことが回避され、それにより、所期の耐荷重性能が良好に得られる。
(流体封入式防振装置に関する本発明の態様3)
流体封入式防振装置に関する本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の前記態様1又は2に係る流体封入式防振装置において、前記外筒部材の内周面にシールゴム層を被着形成して、該シールゴム層を介して、前記中間スリーブおよび前記オリフィス部材の各外周面に対して前記外筒部材を流体密に重ね合わせて嵌着固定したことにある。
このような本態様においては、凹所が外筒部材で流体密に閉塞されて、凹所内に流体室の封入流体が浸入されること等が有利に阻止されることとなり、その結果、凹所の着色部分が一層有利に保存され得る。
(流体封入式防振装置の製造方法に関する本発明の態様1)
流体封入式防振装置の製造方法に関する本発明の態様1の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至3の何れかに係る流体封入式防振装置を製造するに際して、前記軸部材と前記中間スリーブを備えた前記本体ゴム弾性体の一体加硫成形品に対して前記オリフィス部材を組み付ける前の工程で、該オリフィス部材の前記凹所の表面に着色を施しておき、該凹所の色を利用して、該オリフィス部材の種類と組付方向の少なくとも一方を正誤判定する流体封入式防振装置の製造方法にある。
このような本発明方法に従えば、凹所の色を利用することによって、オリフィス部材の種類と組付方向の少なくとも一方が簡単に正誤判定される。特に本態様では、一体加硫成形品に対してオリフィス部材を組み付ける前の工程でオリフィス部材の凹所の表面に着色が施されることから、オリフィス部材の取り扱いが容易な状態で着色を施すことが出来、製造効率が有利に向上され得る。
(流体封入式防振装置の製造方法に関する本発明の態様2)
流体封入式防振装置の製造方法に関する本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係る流体封入式防振装置の製造方法であって、大気中において、前記本体ゴム弾性体の一体加硫成形品に対して前記オリフィス部材を組み付けると共に、該オリフィス部材の凹所の色を利用して正誤判定した後、該オリフィス部材を組み付けた該一体加硫成形品に対して非圧縮性流体中で前記外筒部材を外挿して組み付けることにある。
このような本態様においては、色の正誤判定がオリフィス部材を組み付けた一体加硫成形品に対して外筒部材を外挿して組み付ける前に行われることから、誤判定が下された場合に、オリフィス部材を一体加硫成形品から取り外して再度組み付け直すことが容易とされて、品質管理の徹底化や製造効率の向上が有利に図られ得る。
しかも、大気中で凹所の色を正誤判定した後に流体中で外筒部材が組み付けられることから、例えば流体中で種類の異なるオリフィス部材を組み付けた後に正誤判定により流体から取り出す等の作業の無駄が排除されることとなり、以て、製造効率の更なる向上が図られ得るのである。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、例えば、それぞれ形態の異なる複数のオリフィス部材から特定のオリフィス部材を選択したり、オリフィス部材の組み付け方向を正しく設定したり等してオリフィス部材を組み付ける際に、オリフィス部材の外周面に付された色を利用することでオリフィス部材の種類や組み付け方向の正誤判定が容易に為されることから、比較的に簡単な構造をもってオリフィス部材の誤組付が有効に回避され得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1〜3には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されいる。このエンジンマウント10は、軸部材としての内筒金具12と外筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向に所定距離を隔てて配置されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造とされている。そして、かかるマウント10は、内筒金具12と外筒金具14の各一方が図示しないパワーユニットと車両ボデーの各一方に取り付けられることにより、パワーユニットとボデーの間に介装されて、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、当該エンジンマウント10においては、内筒金具12と外筒金具14が、僅かに偏心配置されていると共に、、装着状態下でパワーユニット荷重が入力されて本体ゴム弾性体16が弾性変形されることに伴い略同心軸上に位置せしめられている一方、防振すべき主たる振動が、内外筒金具12,14の略偏心方向(図1中、上下)に入力されるようになっている。また、以下の説明において、特に示さない限り、上下方向は、図1, 2, 3中の上下方向をいう。
より詳細には、内筒金具12は、小径の略円筒形状を有している。また、内筒金具12の外周面上には、繊維強化樹脂や金属等の硬質材料によって形成されたストッパ部材18が固着されている。このストッパ部材18は、略中央部分に貫設された取付孔20において内筒金具12に外挿された状態で配設されており、内筒金具12の軸方向中央部分において、軸直角方向一方向(図1中、上下)で互いに反対方向に向かって突出するバウンドストッパ部22とリバウンドストッパ部24が一体形成されている。バウンドストッパ部22は、ストッパ部材18の軸方向中間部分から軸直角方向外方に向かって突出する略矩形の柱形状とされていると共に、リバウンドストッパ部24は、マウント10の軸方向(図2中、左右)に沿って延びる略矩形の柱形状とされている。
また、内筒金具12の径方向外方には、中間スリーブとしての金属スリーブ26が、径方向に所定距離を隔てて且つ所定量だけ偏心して配設されている。金属スリーブ26は、薄肉の略円筒形状を有しており、その軸方向中央部分には、周方向に一周弱の長さで広がる略平面視矩形状の第一の窓部28と第二の窓部30が、径方向一方向(図1中、上下)で対向位置せしめられるようにして形成されている。また、金属スリーブ26において、第一の窓部28と第二の窓部30の周方向両端部間に位置する連結部32,32が、軸方向中央部分が径方向内方に凹陥されて小径化されており、それによって、第一の窓部28と第二の窓部30の周方向両端部縁間に跨って周方向に延びる幅広の周溝34,34が形成されている。換言すると、金属スリーブ26は、軸方向に所定距離を隔てて同一中心軸上に配設された一対のリング状部36,36が一対の連結部32,32によって一体的に連結された構造とされている。また、内筒金具12と金属スリーブ26の間には、本体ゴム弾性体16が介装されている。
本体ゴム弾性体16は、厚肉の略円筒形状を有しており、その内周面が内筒金具12の外周面に加硫接着されていると共に、その外周面が金属スリーブ26の内周面に加硫接着されている。即ち、本体ゴム弾性体16は、図4〜6にも示されているように、内筒金具12と金属スリーブ26を備えた一体加硫成形品38として形成されているのである。また、金属スリーブ26の外周面には、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のシールゴム層40が略全体に亘って加硫接着されている。更に、シールゴム層40には、軸方向や周方向に適宜に延びる複数状のシールリップ42が一体形成されている。
また、本体ゴム弾性体16においては、内筒金具12と金属スリーブ26の偏心方向(図1中、上下)一方の側に第一のポケット部44が設けられて、金属スリーブ26の第一の窓部28を通じて外周面に開口せしめられていると共に、偏心方向他方の側に第二のポケット部46が設けられて、金属スリーブ26の第二の窓部30を通じて外周面に開口せしめられている。
さらに、第一のポケット部44の内部には、底壁中央からバウンドストッパ部22が突設されている。また、バウンドストッパ部22には、その全体を覆うようにして、薄肉の緩衝ゴム層が本体ゴム弾性体16と一体形成されて加硫接着されている。
更にまた、本体ゴム弾性体16において第二のポケット部46の底壁部48を構成する部位には、軸方向に貫通して延びる略平面視V字状の肉抜き孔50が、底壁部48の略全体に亘って設けられている。それによって、第二のポケット部46の底壁部48が薄肉とされて変形容易とされている。また、肉抜き孔50の周方向中央部分には、内筒金具12側から径方向外方に向かってリバウンドストッパ部24が突設されている。このリバウンドストッパ部24には、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉の緩衝ゴム層が、略全体を覆うようにして加硫接着されている。なお、リバウンドストッパ部24の軸方向両端部が、肉抜き孔50を挟んで金属スリーブ26のリング状部36,36に対して所定距離を隔てて対向位置せしめられている。
また、金属スリーブ26の各連結部32における第二のポケット部46側の周方向端部には、第二のポケット部46の開口部を仕切るようにして径方向外方に突出する略長手矩形状の弾性仕切壁52が本体ゴム弾性体16と一体形成されている。更に、各弾性仕切壁52には、幅方向(図6中、上下)に延びて両端部分に開口する連通溝54が形成されており、これら一対の連通溝54,54によって第一のポケット部44の開口部と第二のポケット部46の開口部が接続されている。更にまた、各弾性仕切壁52における軸方向一方の端部には、径方向外方に突出する略矩形状の係合突起56が、本体ゴム弾性体16と一体形成されている。
さらに、このような構造とされた一体加硫成形品38には、オリフィス部材58が組み付けられている。オリフィス部材58は、金属スリーブ26における連結部32の幅寸法よりも小さな幅寸法とされ、且つ連結部32と略同じ曲率半径をもって周方向に略半周弱の長さで延びる略円弧形状を呈している。また、オリフィス部材58の周方向両端部における軸方向一方の角部には、略矩形状の係合凹部60が貫設されている。そして、オリフィス部材58は、金属スリーブ26の外周面上において第一の窓部28を周方向に跨いで配されて、オリフィス部材58の周方向両端部が金属スリーブ26の連結部32に突設された弾性仕切壁52の周方向一方(図6中、上)の端部に重ね合わされていると共に、各係合凹部60が該弾性仕切壁52の端部に突設された係合突起56に係合されて、更にオリフィス部材58の軸方向両端部が第一のポケット部44の軸方向両側壁部に嵌め込まれて支持されることによって組み付けられている。
また、オリフィス部材58の外周面には、周方向に螺旋状に延びるオリフィス溝62が開口, 形成されており、その周方向一方の閉鎖側端部が、オリフィス溝62の底部に貫設された連通孔64を通じて第一のポケット部44に連通されていると共に、その周方向他方の開口側端部が、弾性仕切壁52の何れか一方(本実施形態では、図1中、左)に形成された連通溝54を通じて第二のポケット部46に連通されている。
さらに、オリフィス部材58の周方向中央部分には、径方向内方に突出するストッパ部66が一体形成されている。このストッパ部66は、第一のポケット部44の底壁中央に突設されたバウンドストッパ部22と径方向一方向(図1中、上下)で対向位置せしめられている。
更にまた、上述の如くしてオリフィス部材58が組み付けられた一体加硫成形品38には、薄肉の略大径円筒形状を有する外筒金具14が外挿されて、金属スリーブ26に対して嵌着固定されている。また、外筒金具14の内周面には、薄肉のシールゴム層68が略全体に亘って被着形成されている。それによって、外筒金具14がシールゴム層68を介して金属スリーブ26およびオリフィス部材58の各外周面に対して流体密に重ね合わされて嵌着固定されていることに伴い、本体ゴム弾性体16における第一及び第二のポケット部44,46やオリフィス部材58のオリフィス溝62が、外筒金具14で流体密に覆蓋されている。
而して、内筒金具12と外筒金具14の間における偏心方向の大なる側(図1中、上側)には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて内筒金具12と外筒金具14の間に径方向の振動荷重が入力された際に圧力変動が生ぜしめられる受圧室70が形成されている。また、内外筒金具12,14の間の偏心方向の小なる側(図1中、下)には、壁部の一部が変形容易な底壁部48で構成されて該底壁部48の弾性変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室72が形成されている。
また、これら受圧室70と平衡室72には、それぞれ、非圧縮性流体が封入されている。封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール, ポリアルキレングリコール, シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。
さらに、オリフィス部材58の外周面に開口, 形成されたオリフィス溝62が外筒金具14で流体密に閉塞されることにより、複数の流体室としての受圧室70および平衡室72を相互に連通せしめて、それら両室70,72間での流体流動を許容するオリフィス通路74が形成されている。そして、このオリフィス通路74を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて、例えばエンジンシェイクやアイドリング振動、走行こもり音等の各種の防振対象振動に対して有効な防振効果が発揮されるように、オリフィス通路74の通路長さや断面積が、封入流体の密度や受圧室70や平衡室72の壁ばね剛性等を考慮して設定されている。
また、かかる組付状態にあって、内筒金具12の側から径方向外方に向かって突出するストッパ部材18のバウンドストッパ部22と外筒金具14の側から径方向内方に向かって突出するオリフィス部材58のストッパ部66が、受圧室70の内部において対向位置せしめられている。これにより、内筒金具12と外筒金具14の間にパワーユニットの分担支持荷重の入力方向となるバウンド方向の過大な荷重が及ぼされた際に、内筒金具12が、バウンドストッパ部22やストッパ部66を介して外筒金具14に当接することにより、内外筒金具12,14におけるバウンド方向の相対的な変位量が緩衝的に制限されるようになっており、これらバウンドストッパ部22やストッパ部66を含んで内筒金具12と外筒金具14のバウンド方向における相対的な変位量を制限するストッパ機構が構成されている。
さらに、内筒金具12の側から径方向外方に向かって突出するストッパ部材18のリバウンドストッパ部24と外筒金具14を外嵌固定した金属スリーブ26における一対のリング状部36,36が、平衡室72の内部において本体ゴム弾性体16の第二のポケット部46の底壁部48等を挟んで対向位置せしめられている。これにより、内筒金具12と外筒金具14の間にパワーユニットの分担支持荷重の入力方向と反対方向となるリバウンド方向の過大な荷重が及ぼされた際に、内筒金具12がリバウンドストッパ部24やリング状部36を介して外筒金具14に当接することにより、内外筒金具12,14におけるバウンド方向の相対的な変位量が緩衝的に制限されるようになっている。そして、これらリバウンドストッパ部24やリング状部36を含んで内筒金具12と外筒金具14のリバウンド方向における相対的な変位量を制限するストッパ機構が構成されている。
なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、内筒金具12と外筒金具14におけるバウンド方向のストッパ機構とリバウンド方向のストッパ機構が、内筒金具12を挟んだ外筒金具14の径方向一方向(図1中、上下)線上において対向位置せしめられていると共に、内外筒金具12,14の軸直角方向における相対的な変位量を制限するストッパ機構を構成している。
そこにおいて、オリフィス部材58の外周面における内外筒金具12,14のストッパ機構を外れた位置には、凹所としての判定用溝76が形成されている。判定用溝76は、略平面視楕円形状の底壁部を備えた浅底の凹所状を呈していると共に、オリフィス部材58の外周面に形成されたオリフィス溝62を外れた位置において該オリフィス溝62の周方向一方の閉鎖側端部付近に位置せしめられて、径方向外方に向かって開口, 形成されている。また、判定用溝76の周壁部は、オリフィス部材58の周方向端部が広がる軸直角方向と直交する方向(図7, 10,11中、上下)に沿って延びており、マウント10の車両装着状態下にあっては略鉛直方向(図1中、上下)に延びている。
また、判定用溝76の表面には、略全体に亘って所定の色が付されている。かかる色は、目的に応じて適宜に設定変更されるものであり、採用される色の種類には、制限がない。また、判定用溝76の表面に着色する手段に関して特に限定されるものでないが、本実施形態では、着色の作業性や色の耐久性、オリフィス部材58との材質の相性等を考慮して、例えば市販のエナメルペイントが判定用溝76の表面に吹きつけで塗布されること等により、該表面に所定のペイントが施されている。
そして、オリフィス部材58が一体加硫成形品38における金属スリーブ26の外周面に組み付けられていると共に、外筒金具14がシールゴム層68を介してオリフィス部材58の外周面に流体密に重ね合わされて嵌着固定されていることにより、判定用溝76が、外筒金具14で流体密に覆蓋されている。また、判定用溝76は、本体ゴム弾性体16における第一のポケット部44の周方向一方(図1中、左)の開口端部付近に位置せしめられていることにより、内筒金具12と外筒金具14の軸直角方向における相対的な変位量を制限するストッパ機構から外れた位置に位置せしめられている。
次に、このような構造とされた自動車用エンジンマウント10を製造するに際して、その製造方法に係る具体的な一例について説明するが、本発明は、かかる具体例に限定されるものでない。
先ず、ストッパ部材18が固着された内筒金具12と金属スリーブ26をそれぞれ、別体形成する。また、これら内筒金具12や金属スリーブ26を本体ゴム弾性体16の図示しない成形型にセットして本体ゴム弾性体16と共に一体加硫成形し、図4〜6に示される如き内筒金具12および金属スリーブ26を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品38を得る。また、内周面にシールゴム層68を被着した外筒金具14を別途形成する。
また、オリフィス部材58の図示しない成形型を用いて型成形を行うことによって、図7〜11にも示されているように、外周面にオリフィス溝62や判定用溝76等が一体的に設けられたオリフィス部材58を得る。特に本実施形態では、オリフィス部材58の型成形に際して、その成型型に予めオリフィス溝62や判定用溝76の図示しない形成用突部が設けられていることにより、判定用溝76が、オリフィス部材58の外周面におけるオリフィス溝62を外れた位置に、延いては後述の一体加硫成形品38にオリフィス部材58を組み付けた後に内外筒金具12,14の軸直角方向のストッパ機構を外れた位置に対しても、正確に位置決め配置されるのである。
さらに、判定用溝76の表面に対して、適当な色を呈するエナメルペイントを図示しない噴霧器で吹き付けること等により、所定の色を付する。即ち、内筒金具12と金属スリーブ26を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品38にオリフィス部材58を組み付ける前の工程で、判定用溝76の表面に着色を施しておく。
また、図12にも示されているように、大気中において、オリフィス部材58を一体加硫成形品38における本体ゴム弾性体16の第一のポケット部44に嵌め入れて、その内周面を金属スリーブ26の外周面に被着されたシールゴム層40に重ね合わせると共に、周方向両端部に形成された一対の係合凹部60,60を金属スリーブ26に突設された係合突起56に係合させる。これにより、オリフィス部材58を一体加硫成形品38に組み付けて、オリフィス溝62や判定用溝76が外周面から露呈された図13に示される如き組付体78を得る。
ところで、本実施形態では、自動車用エンジンマウント10の製造場所の適当な箇所に色識別装置としてのカラーセンサ80を設けている。カラーセンサ80は、公知のものが採用可能であることからその詳細な説明を省略するが、主として発光装置82や受光装置84、コントローラ86、出力装置88を含んで構成されている。発光装置82には、ハロゲンランプやキセノンランプ等を含む光照射器や集光レンズが設けられている。また、受光装置84には、所定の波長域の光を部分的に吸収するカラーフィルタと光電変換素子の一種であるフォトダイオードが、赤(R), 緑(G), 青(B)の3色に対応して、それぞれ、3つ設けられている。また、コントローラ86は、例えば一般的なコンピュータシステムを用いて構成されており、中央演算処理装置(CPU)と、CPUに接続されると共に複数種類の色情報が符号化等して記憶されたROM,RAM,ハードディスク等の記憶装置と、A/D変換器等を備えていると共に、CPUに対して適当なインターフェースを介して接続されたキーボードやマウス等の入力装置を備えている。更に、出力装置88は、CRTや液晶表示装置等のモニタ手段を含んで構成されている。
そして、一体加硫成形品38とオリフィス部材58からなる組付体78をカラーセンサ80の配設領域に導き入れると共に、発光装置82の光照射器による光を集光レンズを介してオリフィス部材58の判定用溝76に照射し、判定用溝76の表面から反射した光を受光装置84のカラーフィルタに採り入れる。なお、例えば、組付体78をベルトコンベア等の搬送手段を用いてカラーセンサ80の配設領域に導き入れる場合には、赤外線センサ等の検出装置をカラーセンサ80の配設領域等に設置して、組付体78におけるオリフィス部材58の判定用溝76が発光装置82の光照射領域を通過する際に、検出装置による検出信号をコントローラ86に出力すると共に、コントローラ86から制御信号を発光装置82に出力して、判定用溝76に光を自動的に照射するようにしても良い。
また、カラーフィルタに採り入れた光を赤色(R)成分と緑色(G)成分と青色(B)成分の3つに分解して、それらRGB成分に対応したフォトダイオードで光電流として取り出すと共に電圧変換することによって、色成分が信号化された所定の電気信号を得る。さらに、電気信号をコントローラ86におけるA/D変換器で変換してCPUに導くと共に、記憶装置の色情報に基づいて演算処理を行う。その結果、判定用溝76の色を識別する。
さらに、コントローラ86において、判定用溝76の色情報と予め入力装置により特定の色に設定した色情報を色の属性の微差範囲を許容しつつ比較し、それらが一致するか否かを判定した後に、判定結果に基づく所定の制御信号を出力装置88に出力する。そして、出力装置88のモニタ手段に判定結果を表示することにより、オリフィス部材58の判定用溝76に付された色が予め設定した色と同一か否か判定される。なお、例えば、組付体78をベルトコンベア等の搬送手段を用いてカラーセンサ80の配設領域に導き入れるに際して、判定用溝76の色と予め設定した基準色が同一でないと判定された場合には、コントローラ86による制御信号を搬送手段に出力してその駆動を制御するようにしても良い。
また、上述の如く判定された後に、非圧縮性流体中において、一体加硫成形品38とオリフィス部材58からなる組付体78を、外筒金具14に圧入固定したり、内挿して該金具14に絞り加工を施したりすることによって、図1〜3に示される如き受圧室70や平衡室72に非圧縮性流体が封入された自動車用エンジンマウント10を得る。
このように判定用溝76の色を識別することによって、例えばオリフィス溝62の形状や大きさ、構造等の形態が異なる複数種類のオリフィス部材を用意する場合に、その種類に応じて各オリフィス部材58の判定用溝76の色の種類を異ならせると共に、それら複数種類の色のうちの少なくとも一種類の色をカラーセンサ80に基準色として認識させておくことにより、各オリフィス部材58における判定用溝76の色をカラーセンサ80で識別し、判定用溝76の色が基準色と一致するか否かの正誤判定を行うことによって、複数種類のオリフィス部材から少なくとも一種類のオリフィス部材を特定することが可能となる。それ故、目的とするオリフィス部材と異なる種類のオリフィス部材が一体加硫成形品38に組み付けられた場合に、複数のオリフィス部材58の判定用溝76の色が別個に識別されることによって、当該目的と異なる種類のオリフィス部材が容易に検出されることから、かかるオリフィス部材を容易に取り除くことが出来る。
また、本実施形態のエンジンマウント10においては、例示の如く、オリフィス溝62の周方向一方の開口部が、一体加硫成形品38における一対の弾性仕切壁52,52の一方に設けられた連通溝54と接続される構造とされていることから、オリフィス部材58の一体加硫成形品38に対する組み付け方向を統一することが望ましい。
そこにおいて、例えば、判定用溝76の色とオリフィス部材58における判定用溝76の形成領域以外の外周面の色を異ならせると共に、判定用溝76の色をカラーセンサ80に基準色として認識させておくことにより、カラーセンサ80の発光装置82を用いてオリフィス部材58に光を照射する際に、所定の光照射領域に判定用溝76が位置せしめられていれば、オリフィス部材58が目的とする組み付け方向に設定されて一体加硫成形品38に組み付けられていることが確認されるが、所定の光照射領域にオリフィス部材58における判定用溝76の形成領域以外の外周面が位置せしめられていると、オリフィス部材58が目的とする組み付け方向と異なる方向に組み付けられていることが確認される。その結果、目的とする組み付け方向と異なる方向にオリフィス部材58が組み付けられた場合に、オリフィス部材58における判定用溝76の色と判定用溝76の形成領域以外の外周面の色が識別されることによって、組み付け方向の異なるオリフィス部材58が容易に検出されることから、かかる組み付け方向を正しく設定することが出来る。
従って、上述の如き構造とされた自動車用エンジンマウント10においては、判定用溝76の色を利用して、オリフィス部材58の種類や組み付け方向を容易に正誤判定することが出来るのであり、以て、オリフィス部材58の誤組付けに起因する防振特性の不良やオリフィス部材58の組み付け直しに伴う製造効率の低下が有利に回避されることから、品質管理や製造効率の向上が有利に達成され得るのである。
また、本実施形態では、判定用溝76が、浅底の凹所状とされてオリフィス部材58の外周面に形成されていると共に、外筒金具14のシールゴム層68で流体密に覆蓋されていることにより、防振特性に大きな悪影響を及ぼすことがないのであり、しかも、内筒金具12と外筒金具14の軸直角方向のストッパ機構からも外れた位置に設けられていることにより、ストッパ機構の耐荷重性能に大きな悪影響を及ぼすこともない。
さらに、本実施形態の製造方法に従えば、判定用溝76の色を利用してオリフィス部材58の種類や組み付け方向を正誤判定した後に、オリフィス部材58と一体加硫成形品38の組付体78に対して非圧縮性流体中で外筒金具14が外嵌固定されることにより、受圧室70や平衡室72に対して非圧縮性流体が容易に封入されることに加えて、外筒金具14が固定された後に、オリフィス部材58の誤組付によって再び組付体78と外筒金具14に分離される必要もないから、品質安定性や製作性の更なる向上が図られ得る。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であり、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、本発明で採用される色識別装置には、例示の如きカラーセンサ80に限定されるものでなく、例えば特開平5−50031号公報や特開平3−87639号公報、特開平5−133809号公報、特開平10−160574号公報等に示されるカラーセンサの他、当業者が実施し得る公知のカラーセンサや色を識別する機能を備えた各種の検出装置が適宜に採用される。
さらに、カラーセンサ80の構造や設置位置、判定用溝76の形状や大きさ、数、形成位置等は、特に限定されるものでなく、例えば、判定用溝76の周壁部により判定用溝76の底壁部に写し出される影を小さくしたり、オリフィス部材58の種類や組み付け方向のパターンを増減させたりする等の理由により、適宜に設定変更される。
また、前記実施形態では、一体加硫成形品38にオリフィス部材58を組み付けた組付体78に対して外筒金具14が非圧縮性流体中で外嵌固定されることにより、受圧室70や平衡室72に非圧縮性流体が封入されるようになっていたが、本発明はこれに限定されるものでない。
具体的には、例えば大気中において一体加硫成形品38にオリフィス部材58や外筒金具14を組み付けると共に、予め外筒金具14の周壁部の所定の箇所に貫設された図示しない注入孔から非圧縮性流体を導き入れて、注入孔をブラインドリベット等の適当な封止部材で密閉することにより、受圧室70や平衡室72に非圧縮性流体が封入されるようにしても良い。これにより、受圧室70や平衡室72、オリフィス通路74と独立して形成された判定用溝76の内部に封入流体が浸入することが有利に回避されて、判定用溝76の表面に施された着色の保存が好適に図られることとなる。
また、前記実施形態のオリフィス部材58の係合凹部60と一体加硫成形品38の係合突起56に加えて或いは代えて、オリフィス部材58や一体加硫成形品38に、適宜の形状を有する係合用の凹凸部の複数を設けることによって、本発明の呈色された判定用溝76による識別効果と相俟って、オリフィス部材58における種類や組み付け方向をより高度に正誤判定せしめることも可能である。
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車のエンジンマウントに適用したものの具体例について説明したが、本発明はボデーマウントやデフマウント、サスペンションブッシュの他、自動車以外の各種振動体の防振装置に対して、何れも、適用可能であることは言うまでもない。
本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す横断面説明図であって、図2のI−I断面に相当する図である。 図1におけるエンジンマウントを示す縦断面説明図である。 図1におけるエンジンマウントを示す正面説明図である。 図1におけるエンジンマウントの一部を構成する一体加硫成形品を示す平面説明図である。 図4における一体加硫成形品を示す底面説明図である。 図4における一体加硫成形品を示す一側面説明図である。 図1におけるエンジンマウントの一部を構成するオリフィス部材を示す正面説明図である。 図7におけるオリフィス部材を示す平面説明図である。 図7におけるオリフィス部材を示す底面説明図である。 図7におけるオリフィス部材を示す左側面説明図である。 図7におけるオリフィス部材を示す右側面説明図である。 図1におけるエンジンマウントを製造するに際しての一製造工程を示す横断面説明図である。 図1におけるエンジンマウントを製造するに際しての別の一製造工程を示す横断面説明図である。
符号の説明
10 自動車用エンジンマウント
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
26 金属スリーブ
28 第一の窓部
30 第二の窓部
44 第一のポケット部
46 第二のポケット部
58 オリフィス部材
62 オリフィス溝
70 受圧室
72 平衡室
76 判定用溝

Claims (5)

  1. 軸部材と該軸部材の外周側に所定距離を隔てて配された中間スリーブを本体ゴム弾性体で連結すると共に、該中間スリーブに外筒部材を外嵌固定して該中間スリーブに設けた窓部を通じて外周面に開口するように形成された複数のポケット部を流体密に覆蓋することにより、それぞれ非圧縮性流体が封入されて振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる複数の流体室を形成する一方、該中間スリーブの外周面に略円弧形状のオリフィス部材を組み付けると共に、該オリフィス部材の外周面に該外筒部材を外嵌装着して、該オリフィス部材の外周面に設けたオリフィス溝を該外筒部材で覆蓋することにより、それら複数の流体室を接続するオリフィス通路を形成した流体封入式防振装置において、
    前記オリフィス部材の外周面における前記オリフィス溝を外れた位置に凹所を形成して、該凹所の表面に着色すると共に、該凹所を前記外筒部材で覆蓋せしめたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記中間スリーブの前記窓部を周方向に跨ぐようにして前記オリフィス部材を組み付けると共に、該窓部を前記外筒部材で覆蓋することによって形成された前記流体室の内部において前記軸部材と前記オリフィス部材の少なくとも一方から他方に向かって軸直角方向に突出するストッパ突部を設けて、該ストッパ突部を介しての該軸部材と該オリフィス部材の相対的な当接により該軸部材と該外筒部材の軸直角方向における相対的な変位量を制限するストッパ機構を構成すると共に、該オリフィス部材における該ストッパ機構から外れた位置に前記凹所を設けた請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記外筒部材の内周面にシールゴム層を被着形成して、該シールゴム層を介して、前記中間スリーブおよび前記オリフィス部材の各外周面に対して前記外筒部材を流体密に重ね合わせて嵌着固定した請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置を製造するに際して、
    前記軸部材と前記中間スリーブを備えた前記本体ゴム弾性体の一体加硫成形品に対して前記オリフィス部材を組み付ける前の工程で、該オリフィス部材の前記凹所の表面に着色を施しておき、該凹所の色を利用して、該オリフィス部材の種類と組付方向の少なくとも一方を正誤判定することを特徴とする流体封入式防振装置の製造方法。
  5. 大気中において、前記本体ゴム弾性体の一体加硫成形品に対して前記オリフィス部材を組み付けると共に、該オリフィス部材の凹所の色を利用して正誤判定した後、該オリフィス部材を組み付けた該一体加硫成形品に対して非圧縮性流体中で前記外筒部材を外挿して組み付ける請求項4に記載の流体封入式防振装置の製造方法。
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