第1の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に収納され米と水を入れる鍋と、前記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な外蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記外蓋の開閉を検知する外蓋開閉検知手段と、前記外蓋の開放時間を計測する外蓋開放時間計測手段と、前記外蓋開放時間計測手段が一定時間以上の外蓋の開放を計測した後前記外蓋開閉検知手段が外蓋の閉を検知してから計時を開始し炊飯開始操作が行なわれるまでの時間を予備浸漬時間として測定する予備浸漬時間測定手段と、前記予備浸漬時間測定手段からの出力を入力として前記加熱手段を制御する加熱制御手段とを備え、前記加熱制御手段は、前記鍋内の米に水を吸水させる吸水工程終了時の米の吸水状態を所定の状態にすべく少なくとも前記吸水工程の時間を加減するよう構成したものであり、通常の炊飯操作だけで、米と水の入った鍋を炊飯器本体にセットした時点から炊飯開始する時点までの時間を予備浸漬時間として計測し、加熱制御手段はその予備浸漬時間から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の時間を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得られる炊飯器を提供することができる。
第2の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に収納され米と水を入れる鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋に米と水を入れた際に操作する浸し開始キーと、前記浸し開始キーが操作されてから計時を開始し炊飯開始操作が行なわれるまでの時間を予備浸漬時間として測定する予備浸漬時間測定手段と、前記予備浸漬時間測定手段からの出力を入力として前記加熱手段を制御する加熱制御手段とを備え、前記加熱制御手段は、前記鍋内の米に水を吸水させる吸水工程終了時の米の吸水状態を所定の状態にすべく少なくとも前記吸水工程の時間を加減するよう構成したものであり、使用者が炊飯の準備、つまり米を水に浸した時点から炊飯開始する時点までの予備浸漬時間を計測し、加熱制御手段はその予備浸漬時間から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の時間を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得られる炊飯器を提供することができる。
第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明において、鍋の温度を測定する鍋温度検知手段を備え、加熱制御手段は、予備浸漬時間測定手段からの出力と前記鍋温度検知手段からの出力を入力として加熱手段を制御するよう構成したものであり、使用者が炊飯の準備、つまり米を水に浸した時点から炊飯開始する時点までの予備浸漬時間を計測し、加熱制御手段はその予備浸漬時間と浸漬温度から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の時間を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間と予備浸漬温度に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得られる炊飯器を提供することができる。
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、吸水工程終了時の米の吸水状態を所定の状態にすべく前記吸水工程の温度または時間を加減するようにしたものであり、使用者が炊飯の準備、つまり米を水に浸した時点から炊飯開始する時点までの予備浸漬時間を計測し、加熱制御手段はその予備浸漬時間から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の温度または時間を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得られる炊飯器を提供することができる。
第5の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、炊飯開始時に米の吸水状態が所定の状態を満たしている場合にも、所定温度にて吸水工程を実施するようにしたものであり、炊き上げ開始時の水温は所定の温度となり、予備浸漬時の水温ばらつきの影響をなくして、所定の水温から炊き上げを開始することができ、自動で常に良食味のごはんを得られる炊飯器を提供することができる。
第6の発明は、上記第1〜5のいずれか1つの発明において、加熱制御手段は、吸水工程において、時間と温度の組み合わせによる複数の工程パターンを持ち、少なくとも予備浸漬時間測定手段からの出力より判断し、前記吸水工程終了時の米の吸水状態が所定の状態になる最適な1つの工程パターンを選択するようにしたものであり、使用者が炊飯の準備、つまり米を水に浸した時点から炊飯開始する時点までの予備浸漬時間を計測し、加熱制御手段はその予備浸漬時間から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の時間と温度を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得られる炊飯器を提供することができる。
第7の発明は、上記第1〜6のいずれか1つの発明において、予備浸漬時間測定手段からの出力状態を表示する表示手段を備えたものであり、使用者が炊飯の準備、つまり米を水に浸した時点からの経過時間を表示するので、使用者が予備浸漬時間を確認することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施例の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器のシステム構成図を示すものである。
図1に示すように、炊飯器本体1は、内部に米と水を入れる鍋2を着脱自在に収納し、鍋2の底側面部に対向するように鍋2を加熱する加熱手段3を配置している。炊飯器本体1の上面開口部には、鍋2を着脱可能なように開閉自在な外蓋5を備えている。また、鍋2の底面中央に外接して鍋温度検知手段である鍋センサ4を配置している。
外蓋5の略中央にはマグネット6と、このマグネット6を回動自在にする傾斜面7と、この傾斜面7の下端部にマグネット6が移動した際に感知するリードスイッチ8からなる蓋開閉検知手段12を設けている。つまり、外蓋5の閉鎖時にはマグネット6は自重で傾斜面7を回動して最下端に移動し、リードスイッチ8をオンする。また、外蓋5が開放されると、マグネット6は傾斜面7の最上端に自重で回動し、リードスイッチ8から離されてリードスイッチ8がオフするよう構成している。
外蓋開放計時間測手段9は、マグネット6の移動により外蓋5の開放が検知されるとその外蓋5が開放された時間の計測をスタートし、外蓋5の開放時間が予め定められた一定時間To以上の時間を計測すると予備浸漬時間測定手段10の予備浸漬時間をリセットし、初期状態にする。その後、予備浸漬時間測定手段10はマグネット6の移動により外蓋5が閉められたのを検知すると予備浸漬時間を測定開始する。
加熱制御手段11は予備浸漬時間測定手段10で予備浸漬時間を測定開始し炊飯開始操作が行われるまでの時間を予備浸漬時間として、この予備浸漬時間により加熱手段3を制御するよう構成している。
ここで、加熱制御手段11は、鍋2内の米に水を吸水させる吸水工程終了時の米の吸水状態を所定の状態にすべく少なくとも吸水工程の時間を加減するよう構成している。
上記構成において図2〜図5を参照しながら動作、作用を説明する。図2は本発明の実施の形態1における炊飯器の動作プログラムのフローチャートを示すものである。
図2に示すように、まず、鍋2に米と水を入れてその鍋2を炊飯器本体1内に収納するために外蓋5を開放すると、ステップ21でマグネット6が傾斜面7の最上端に自重で回動し、リードスイッチ8から離されてリードスイッチ8がオフして外蓋が開放されたのを検知し、ステップ22に進み、外蓋開放時間計測手段9で外蓋開放時間toの計測を開始する。つぎに、鍋2を収納後に外蓋5が閉鎖されるとステップ23で外蓋開放時間toの測定が完了し、ステップ24に進む。
ステップ24では外蓋開放時間toが予め定められた一定時間であるToより長い、つまりto≧Toかどうかを判定する。ここではTo=3秒とし、鍋2に米と水を入れてその鍋2を炊飯器本体1内に収納するための外蓋5の開放か、炊飯器本体1内の鍋2または鍋2の内容物の確認のための外蓋5の開放(1〜2秒)かを判定する。to≧Toの場合は、炊飯器本体1内に鍋2が収納されたと判定して、ステップ25に進み予備浸水時間測定手段10の予備浸水時間の測定値をリセットし、予備浸水時間を測定開始し、ステップ26に進む。また、ステップ24で外蓋開放時間toが予め定められた一定時間であるToより短い(to<To)と、鍋2のセットが無かったと判定してステップ21に戻り、外蓋5開放の次のタイミングを待つこととなる。
ステップ26では、外蓋5が開放されないかを検知し、開放を検知しない場合にはステップ30に進む。一方、予備浸水時間の測定開始を鍋2の有無または鍋2の内容物の有無に係らず、外蓋開放時間toの時間の長さで判定しているため、外蓋5を閉鎖するステップ23の前で鍋2がセットできていない場合や鍋2または鍋2の内容物の確認を行う場合には、再度外蓋5の開放となり、ステップ27に進む。
ステップ27では、前回のステップ22と同様に外蓋開放時間toの測定を開始する。そしてステップ28で外蓋5が閉鎖されると外蓋開放時間toの測定が完了し、ステップ29に進む。ステップ29ではステップ24と同様に、予め定められた一定時間であるToより長いと炊飯器本体1内に鍋2が収納されたと判定して、ステップ25に進み予備浸水時間測定手段10で前回の予備浸漬時間測定をリセットして新たに予備浸水時間を測定開始する。また、ステップ29で外蓋開放時間toが予め定められた一定時間であるToより短いと、鍋2または鍋2の内容物の確認と判定して、ステップ26に戻り、再度外蓋5の開放を検知する。この後も外蓋5の開放が発生すれば、同様に処理される。
一方、ステップ30では炊飯器本体1に備えた炊飯開始スイッチ(図示せず)が操作されたかどうかを判定し、操作された場合は炊飯開始となり、ステップ31で予備浸水時間を測定終了する。そして、ステップ32で予備浸水時間を基に吸水工程条件を判定して加熱制御手段11により加熱手段3を制御して吸水工程を開始する。
ステップ30で炊飯開始スイッチが操作されなければ、ステップ26に戻り、再度外蓋5の開放を検知する。
つぎに、吸水工程の条件について、図3、図4を用いて説明する。
図3は、精白米の浸漬の水温および時間における吸水率を示したものである。生米の飽和吸水率は30%前後であるが、水温5℃では2時間以上、20℃では約1時間、30℃では約40分、60℃では約20分で飽和状態に達する。また、水温が高いほど飽和吸水率は高くなっているが、これは水温が高い状態が長時間続くと米粒の表面の組織の吸水による膨張が促進されるためである。
それよりも高温の60℃になると、米粒表面の糊化が始まる。糊化とは、安定した構造をもつ生米のベータ澱粉に水分と約60℃以上の熱を加えると澱粉の結晶構造が崩れ、その間に水の分子が侵入して目の粗い網目構造のアルファ澱粉に変化することである。つまり、糊化が始まると吸水率がさらに高くなるのである。ここで、それぞれの浸水温度において飽和状態に吸水した米を炊飯すると、飽和吸水率が高くなるほど、かつ飽和状態に達してからの時間が長いほど粒の表面が崩れ、べちゃべちゃのごはんに炊き上がり、食味が劣る結果となった。
しかし、飽和吸水率が30%以下の場合は、長時間浸水しても粒の崩れは比較的少なく、食味の劣化は少なかった。以上より、吸水率が30%を超える場合には、組織の崩壊や糊化など、澱粉の吸水以外の現象が起こっていると考えられる。これらの結果から、粒の中まで火が通り、べたつきが少ない良食味のごはんに炊き上げるためには、吸水率が飽和状態まで達していて、かつ30%以下の吸水率であることが必要なのである。
また、図4は精白米の浸漬の水温および時間における還元糖量を示したものである。米の澱粉は加水分解されてグルコースなどの還元糖となり、これがごはんの甘み成分となる。つまり、還元糖の多いごはんほど甘く食味が優れているということができる。澱粉の還元糖への分解は、アミラーゼ等の米自身に含まれている酵素の働きを介して起こるため、これら酵素の至適活性温度である40℃から60℃で吸水させた場合にもっとも米の甘みが引き出せるのである。
以上2つの結果より、粒がしっかりとして甘味のある良食味のごはんを炊き上げるための浸漬工程の条件は、炊き上げ直前に米の吸水率が飽和状態まで達しており、かつ吸水率30%以下、かつ水温が40〜60℃であることであるといえる。よって、予備浸漬時間測定手段10により測定された予備浸漬時間により、その不足分について吸水工程で吸水させることとなる。
つぎに、本発明の実施の形態1における炊飯器の炊飯工程を図5を用いて説明する。
図5は実施の形態1における炊飯器の炊飯工程を示す図である。図5に示すように、予備浸漬時間が30分、吸水工程開始時の鍋底温度が20℃であった場合、加熱制御手段7は浸漬工程が30分必要であると判断し、また、予備浸漬時間が30分間、鍋底温度が5℃であった場合には、浸漬工程が90分間必要であると判断し、加熱手段3がこれを実行した後炊き上げ工程に移行する。つづく炊き上げ工程では高火力で炊飯し、鍋センサ4が炊き上がり温度を検知した時点で鍋2内を均一になじませるむらし工程に移行し、むらし工程では所定時間を経過すると炊飯が終了する。以上一連の操作により、常に物性の良好なごはんを得ることができる。
以上のように、本実施の形態においては、蓋開閉検知手段12により外蓋5の開閉を検知し、外蓋5の開放時間で炊飯器本体1内への鍋2のセットを判定して、鍋2がセットされたと判定した後外蓋5が閉められたのを検知してから炊飯開始スイッチが操作されるまでの時間を浸漬時間として測定可能としたことにより、通常の炊飯操作だけで、米と水の入った鍋2を炊飯器本体1内にセットした時点から炊飯開始する時点までの時間を予備浸漬時間として計測し、加熱制御手段11はその予備浸漬時間から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の時間を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得られる炊飯器を提供することができる。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における炊飯器のシステム構成図を示すものである。
図6に示すように、炊飯器本体1は、内部に米と水を入れる鍋2を着脱自在に収納し、鍋2の底側面部に対向するように鍋2を加熱する加熱手段3を配置している。炊飯器本体1の上面開口部には、鍋2を着脱可能なように開閉自在な外蓋5を備えている。また、鍋2の底面中央に外接して鍋温度検知手段である鍋センサ4を配置している。
外蓋5には浸し開始キー41を搭載しており、使用者が鍋2内に米と水を入れたタイミングで、この浸し開始キーを操作するようにしている。予備浸漬時間測定手段10は浸し開始キーからの入力により予備浸漬時間を測定開始する。加熱制御手段11は予備浸漬時間測定手段10で予備浸漬時間を測定開始し炊飯開始操作が行われるまでの時間を予備浸漬時間として、この予備浸漬時間により加熱手段3を制御するよう構成している。
ここで、加熱制御手段11は、鍋2内の米に水を吸水させる吸水工程終了時の米の吸水状態を所定の状態にすべく少なくとも吸水工程の時間を加減するよう構成している。
上記構成において図5および図7を参照しながら動作、作用を説明する。図7は、本発明の実施の形態2における炊飯器の動作プログラムのフローチャートである。
図7に示すように、使用者が鍋2に米と水を入れてステップ42で浸し開始キー41を操作するとステップ43に進み、予備浸水時間測定手段10で前回の予備浸漬時間測定をリセットして新たに予備浸水時間を測定開始する。その後、ステップ44で再度浸し開始キー41が操作されないか検知し、もし再度浸し開始キー41が操作された場合はステップ43に戻り、操作されなければステップ45に進む。
ステップ45では炊飯器本体1に備えた炊飯開始スイッチ(図示せず)が操作されたかどうかを判定し、操作された場合は炊飯開始となり、ステップ46で予備浸水時間を測定終了する。そして、ステップ47で予備浸水時間を基に吸水工程条件を判定して加熱制御手段11により加熱手段3を制御して吸水工程を開始する。ステップ45で炊飯開始スイッチが操作されなければ、ステップ44に戻り、再度浸し開始キー41が操作されないかを検知する。
つぎに、本発明の実施の形態2における炊飯器の炊飯工程を図5を用いて説明する。
図5に示すように、予備浸漬時間が30分、吸水工程開始時の鍋底温度が20℃であった場合、加熱制御手段7は浸漬工程が30分必要であると判断し、また予備浸漬時間が30分間、鍋底温度が5℃であった場合には、浸漬工程が90分間必要であると判断し、加熱手段3がこれを実行した後炊き上げ工程に移行する。つづく炊き上げ工程では高火力で炊飯し、鍋センサ4が炊き上がり温度を検知した時点で鍋内を均一になじませるむらし工程に移行し、むらし工程では所定時間を経過すると炊飯が終了する。以上一連の操作により、常に物性の良好なごはんを得ることができる。
以上のように、本実施の形態においては、使用者が浸し開始キー41を操作してから炊飯開始スイッチを操作するまでの時間を予備浸漬時間として計測し、加熱制御手段はその予備浸漬時間から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の時間を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得られる炊飯器を提供することができる。
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3における炊飯器のシステム構成図を示すものである。
図8に示すように、炊飯器本体1は、内部に米と水を入れる鍋2を着脱自在に収納し、鍋2の底側面部に対向するように鍋2を加熱する加熱手段3を配置している。炊飯器本体1の上面開口部には、鍋2を着脱可能なように開閉自在な外蓋5を備えている。また、鍋2の底面中央に外接して鍋温度検知手段である鍋センサ4を配置している。
外蓋5の略中央にはマグネット6と、このマグネット6を回動自在にする傾斜面7と、この傾斜面7の下端部にマグネット6が移動した際に感知するリードスイッチ8からなる蓋開閉検知手段12を設けている。つまり、外蓋5の閉鎖時にはマグネット6は自重で傾斜面7を回動して最下端に移動し、リードスイッチ8をオンする。また、外蓋5が開放されると、マグネット6は傾斜面7の最上端に自重で回動し、リードスイッチ8から離されてリードスイッチ8がオフFするよう構成している。
外蓋開放計時間測手段9は、マグネット6の移動により外蓋5の開放が検知されるとその外蓋5が開放された時間の計測をスタートし、外蓋5の開放時間が予め定められた一定時間To以上の時間を計測すると予備浸漬時間測定手段10の予備浸漬時間をリセットし、初期状態にする。その後、予備浸漬時間測定手段10はマグネット6の移動により外蓋5が閉められたのを検知すると予備浸漬時間を測定開始する。
加熱制御手段51は予備浸漬時間測定手段10で予備浸漬時間を測定開始し炊飯開始操作が行われるまでの時間を予備浸漬時間として、この予備浸漬時間と鍋温度検知手段である鍋センサ4からの温度情報により加熱手段3を制御するよう構成している。
上記構成において図5および図9を参照しながら動作、作用を説明する。図9は、本発明の実施の形態3における炊飯器の動作プログラムのフローチャートである。なお、ステップ21からステップ31までの動作は、上記実施の形態1の動作と同一であるので、説明を省略する。
炊飯開始スイッチが操作され、ステップ31で予備浸水時間を測定終了した後、ステップ52で鍋センサ4からの鍋検知温度を入力し、米の予備浸漬温度とする。そして、ステップ53で予備浸水時間と米の予備浸漬温度を基に吸水工程条件を判定して加熱制御手段51により加熱手段3を制御して吸水工程を開始する。吸水工程以降については、上記実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
つぎに、本発明の実施の形態3における炊飯器の炊飯工程を図5を用いて説明する。
図5に示すように、予備浸漬時間が30分、吸水工程開始時の鍋底温度が20℃であった場合、加熱制御手段7は浸漬工程が30分必要であると判断し、また予備浸漬時間が30分間、鍋底温度が5℃であった場合には、浸漬工程が90分間必要であると判断し、加熱手段3がこれを実行した後炊き上げ工程に移行する。つづく炊き上げ工程では高火力で炊飯し、鍋センサ4が炊き上がり温度を検知した時点で鍋内を均一になじませるむらし工程に移行し、むらし工程では所定時間を経過すると炊飯が終了する。以上一連の操作により、常に物性の良好なごはんを得ることができる。
以上のように、本実施の形態においては、蓋開閉検知手段12により外蓋5の開閉を検知し、外蓋5の開放時間で炊飯器本体1内への鍋2のセットを判定して、鍋2がセットされたと判定した後外蓋5が閉められたのを検知してから炊飯開始スイッチが操作されるまでの時間を浸漬時間として測定可能とし、さらに鍋センサ4により鍋温度を検知することにより予備浸漬温度とし、通常の炊飯操作だけで、米と水の入った鍋を炊飯器にセットした時点から炊飯開始する時点までの時間を予備浸漬時間として計測し、加熱制御手段51はその予備浸漬時間と鍋温度測定手段4からの予備浸漬温度から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の時間を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間と水温に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得られる炊飯器を提供することができる。
なお、本実施の形態では、鍋2の温度検知は炊飯開始スイッチを操作されたタイミングで行うようにしたが、予備浸漬時間測定開始時に鍋温度の測定を開始し、炊飯開始スイッチが操作されるまでの平均温度を浸水温度としてもよい。
(実施の形態4)
図8に示す加熱制御手段51は、吸水工程終了時の米の吸水状態を所定の状態にすべく吸水工程の温度または時間を加減するよう構成している。他の構成は上記実施の形態3と同じである。
図10は、本発明の実施の形態4における炊飯器の炊飯工程を示す図である。
上記構成において図9を参照しながら動作、作用を説明する。なお、ステップ21からステップ30までの動作は、上記実施の形態3の動作と同一であるので、説明を省略する。
図9に示すように、使用者が鍋2を炊飯器本体1内にセットし、炊飯開始スイッチを操作すると、ステップ31で予備浸水時間を測定終了した後、ステップ52で鍋センサ4からの鍋検知温度を入力し、米の予備浸漬温度とする。そして、ステップ53で予備浸水時間と米の予備浸漬温度を基に吸水工程条件を判定して加熱制御手段51により加熱手段3を制御して吸水工程を開始する。
ここで、加熱制御手段51には、予め前述の実験データより時間と水温と吸水率に関する推定式を持たせておき、予備浸漬時間と予備浸漬温度から炊飯開始時の米の吸水率を推定する。炊飯開始と同時に始まる吸水工程では、加熱制御手段11は推定された吸水率と予備浸漬時間と鍋底温度から判断して、米の吸水率が飽和状態まで達し、かつ吸水率30%以下、かつ水温が40〜60℃になるように加熱手段3を制御し、この状態に達した時点で吸水工程を終了する。
すなわち、図10に示すように、予備浸漬時間が30分、鍋底温度が20℃であった場合、加熱制御手段51は浸漬工程が鍋底温度50℃で10分間必要であると判断し、また予備浸漬時間が30分、鍋底温度が5℃であった場合には、浸漬工程が鍋底温度50℃で20分間必要であると判断し、加熱手段3がこれを実行した後炊き上げ工程に移行する。つづく炊き上げ工程では高火力で炊飯し、鍋センサ4が炊き上がり温度を検知した時点で鍋内を均一になじませるむらし工程に移行し、むらし工程では所定時間を経過すると炊飯が終了する。以上一連の操作により、使用者に負担をかけることなく、米の吸水不足により芯のあるごはんになったり、浸水しすぎによりべちゃついたごはんになったりすることを防ぎ、かつ米に含まれる酵素を活性化し、甘味に優れたごはんを得ることができる。
以上のように、本実施の形態においては、吸水工程終了時の米の吸水状態を所定の状態にすべく吸水工程の時間を加減するようにしたので、使用者が炊飯の準備、つまり米を水に浸した時点から炊飯開始する時点までの予備浸漬時間を計測し、加熱制御手段51はその予備浸漬時間から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の温度または時間を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得ることができる。
なお、本実施の形態では、吸水工程終了時の米の吸水状態を所定の状態にすべく吸水工程の時間を加減するようにしているが、吸水工程の温度を加減するようにしもよく、同様の作用、効果を得ることができる。
(実施の形態5)
図8に示す加熱制御手段51は、炊飯開始時に米の吸水状態が所定の状態を満たしている場合にも、所定温度にて吸水工程を実施するよう構成している。他の構成は上記実施の形態3または4と同じである。
図11は、本発明の実施の形態5における炊飯器の炊飯工程を示す図である。
上記構成において動作、作用を説明する。なお、使用者が鍋2を炊飯器本体1内にセットし、炊飯開始スイッチを操作するまでの動作は上記実施の形態3または4と同じであり、説明を省略する。
上記実施の形態3または4における炊飯動作と同様に、加熱制御手段51が予備浸漬時間と予備浸漬温度から炊飯開始時の米の吸水率を推定するが、炊飯開始時の米の吸水率がすでに所定の条件に達していると判断された場合にも、加熱制御手段51は一定時間、水温が40〜60℃になるように加熱手段3を制御する。
すなわち、図11に示すように、予備浸漬時間が60分、鍋底温度が20℃であった場合、および予備浸漬時間が120分、鍋底温度が5℃であった場合には、いずれも米の吸水状態は飽和に達していると判断するが、どちらの場合においても加熱制御手段51は浸漬工程を鍋底温度50℃で5分間実行するように加熱手段3を制御する。その後炊き上げ工程とむらし工程に移行し、ごはんを炊き上げる。この操作により、予備浸水時の水温のばらつきの影響をなくし、予備浸漬の状態に関わらず、常に安定した食味のごはんを得ることができる。
以上のように、本実施の形態においては、炊飯開始時に米の吸水状態が所定の状態を満たしている場合にも、所定温度にて吸水工程を実施するようにしたので、炊き上げ開始時の水温は所定の温度となり、予備浸漬時の水温ばらつきの影響をなくして、所定の水温から炊き上げを開始することができ、自動で常に良食味のごはんを得ることができる。
(実施の形態6)
図8に示す加熱制御手段51は、吸水工程において、時間と温度の組み合わせによる複数の工程パターンを持ち、少なくとも予備浸漬時間測定手段10からの出力より判断し、吸水工程終了時の米の吸水状態が所定の状態になる最適な1つの工程パターンを選択するようにしている。他の構成は上記実施の形態3または4と同じである。
上記構成において動作、作用を説明する。なお、使用者が鍋2を炊飯器本体1内にセットし、炊飯開始スイッチを操作するまでの動作は上記実施の形態3または4と同じであり、説明を省略する。
上記実施の形態3または4における炊飯動作と同様に、加熱制御手段51が予備浸漬時間と予備浸漬温度から炊飯開始時の米の吸水率を推定するが、予め加熱制御手段51に、特に物性と甘味のバランスがとれた良好な食味のごはんが得られる吸水時間と温度の組合せの複数の工程パターンを持たせておき、炊飯開始時の吸水条件に最も適した吸水工程パターンをその中から選択して実行することにより、自動で常に触感と甘味のバランスの取れた良好な食味のごはんを得ることができる。
以上のように、本実施の形態においては、加熱制御手段51は、吸水工程において、時間と温度の組み合わせによる複数の工程パターンを持ち、少なくとも予備浸漬時間測定手段10からの出力より判断し、吸水工程終了時の米の吸水状態が所定の状態になる最適な1つの工程パターンを選択するようにしたので、使用者が炊飯の準備、つまり米を水に浸した時点から炊飯開始する時点までの予備浸漬時間を計測し、加熱制御手段51はその予備浸漬時間から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の時間と温度を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得ることができる。
(実施の形態7)
図12は、本発明の実施の形態7における炊飯器のシステム構成図を示すものである。
図12に示すように、炊飯器本体1は、内部に米と水を入れる鍋2を着脱自在に収納し、鍋2の底側面部に対向するように鍋2を加熱する加熱手段3を配置している。炊飯器本体1の上面開口部には、鍋2を着脱可能なように開閉自在な外蓋5を備えている。炊飯器本体1の上面開口部には、鍋2を着脱可能なように開閉自在な外蓋5を備えている。
外蓋5には、炊飯器の状態を使用者に知らせるための表示手段である液晶表示器62を搭載している。加熱制御手段61は予備浸漬時間測定手段10で予備浸漬時間を測定開始し炊飯開始操作が行われるまでの時間を予備浸漬時間として、この予備浸漬時間により加熱手段3を制御するとともに、予備浸漬時間測定手段10で予備浸漬時間を測定開始してからの経過時間を表示手段である液晶表示62に表示するよう構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
上記構成において動作、作用を説明する。なお、基本的な動作は上記実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
本実施の形態においては、蓋開閉検知手段12により外蓋5の開閉を検知し、外蓋5の開放時間で炊飯器本体1内への鍋2のセットを判定して、鍋2がセットされたと判定した後外蓋5が閉められたのを検知してから炊飯開始スイッチが操作されるまでの時間を浸漬時間として測定可能としたことにより、通常の炊飯操作だけで、米と水の入った鍋を炊飯器にセットした時点から炊飯開始する時点までの時間を予備浸漬時間として計測し、加熱制御手段61はその予備浸漬時間から米の吸水状態を算出して、炊飯開始時から米の吸水状態の至適範囲に達するように吸水工程の時間を自動的に加減し、米が最適な吸水状態になるように調整するので、炊飯を開始するまでの米の予備浸漬時間に関係なく、米が最適な吸水状態で炊き上げることができ、自動で常に良食味のごはんを得られる炊飯器を提供することができる。
さらに、使用者は液晶表示器62に表示された予備浸漬経過時間を確認することで、必要以上な予備浸漬を行うことなく、浸水しすぎによりべちゃついたごはんになることを防ぐことができる。
さらに、予備浸漬時間が、一定時間以上になった場合に使用者に注意を促す表示を液晶表示器62に表示することで、浸水のしすぎを防止できる。この注意を促す表示は、炊飯器の状態を報知するブザー等の報知手段(図示せず)により、報知しても同様な効果を得ることができる。
なお、上記実施の形態1〜7は、マイコンにより制御されるその他の方式の炊飯器においても実施可能であることはいうまでもない。
また、上記実施の形態1〜7における精白米の浸漬の水温および時間における吸水率および還元糖量とその結果から導き出せる所定の吸水条件は、精白米品種にコシヒカリを用いた一例であり、米の品種や状態によって適宜調整することができる。