JP2005259442A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 十分な輝度を有し、安定性及び耐久性に優れ、且つ大面積化可能であり製造容易な有機EL素子を提供する。
【解決手段】 少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された一つ又は複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、該有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の電荷輸送性ポリエーテルを含有し、該有機化合物層の少なくとも一層に発光性低分子化合物を含有し、電荷輸送性ポリエーテルが特定式で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなり、発光性低分子化合物が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」という)に関し、詳しくは、特定の電荷輸送性高分子を用いた有機電界発光素子に関するものである。
電界発光素子(以下、「EL素子」と記述する)は、自発光性の全固体素子であり、視認性が高く衝撃にも強いため、広く応用が期待されている。現在は無機螢光体を用いたものが主流であるが、200V以上の交流電圧が駆動に必要なため製造コストが高く、また輝度が不十分等の問題点を有している。
これに対し、有機化合物を用いたEL素子研究は、最初アントラセン等の単結晶を用いて始まったが、単結晶の場合、膜厚が1mm程度と厚く100V以上の駆動電圧が必要であった。そのため蒸着法による薄膜化が試みられている(以下の非特許文献1を参照)。しかしながら、この方法で得られた薄膜は、駆動電圧が30Vと未だ高く、また、膜中における電子・正孔キャリアの密度が低く、キャリアの再結合によるフォトンの生成確率が低いため十分な輝度が得られなかった。
ところが近年、正孔輸送性有機低分子化合物と電子輸送能を持つ螢光性有機低分子化合物の薄膜を真空蒸着法により順次積層した機能分離型のEL素子において、10V程度の低電圧で1000cd/m2以上の高輝度が得られるものが報告されており(以下の非特許文献2を参照)、以来、積層型のEL素子の研究・開発が活発に行われている。これら積層型の素子は、電極から電荷輸送性の有機化合物からなる電荷輸送層を介して正孔と電子のキャリアバランスを保ちながら螢光性有機化合物からなる発光層に注入され、発光層中に閉じ込められた正孔と電子が再結合することにより高輝度の発光を実現している。
しかしながら、このタイプのEL素子では実用化に向けて下記に示す課題が示されている。
(1) 数mA/cm2という高い電流密度で駆動されるため、大量のジュール熱を発生する。このため、蒸着によってアモルファスガラス状態で成膜された正孔輸送性低分子化合物や螢光性有機低分子化合物が次第に結晶化して最後には融解し、輝度の低下や絶縁破壊が生じるという現象が多く見られ、その結果素子の寿命が低下するという問題を有している。
(2) 低分子有機化合物を複数の蒸着工程において0.1μm以下の薄膜を形成していくため、ピンホールを生じ易く、十分な性能を得るためには厳しく管理された条件下で膜厚の制御を行うことが必要である。従って、生産性が低くかつ大面積化が困難である。
(3) 発光材料で利用されているのは励起一重項状態からの発光、すなわち蛍光である。ところが、発光層中で正孔と電子が再結合して生成する励起一重項状態と励起三重項状態の励起子の生成比が量子力学に基づくスピン統計則から1:3であることから、有機ELにおける発光の内部量子効率は理論的には25%が上限とされている。
(1)に示す課題の解決のためには、正孔輸送材料として安定なアモルファスガラス状態が得られるスターバーストアミンを用いたり(以下の非特許文献3などを参照)、ポリフォスファゼンの側鎖にトリフェニルアミンを導入したポリマーを用いたり(以下の非特許文献4を参照)したEL素子が報告されている。しかし、これら単独では正孔輸送材料のイオン化ポテンシャルに起因するエネルギー障壁が存在するため、陽極からの正孔注入性或いは発光層への正孔注入性を満足するものではない。また、前者のスターバーストアミンの場合、溶解性が小さいために精製が難しく純度を上げることが困難であることや、後者のポリマーの場合、高い電流密度が得られず十分な輝度が得られてない等の問題も存在する。
次に、(2)に示す課題の解決のためには、工程を短縮できる単層構造の有機EL素子について研究・開発が進められ、ポリ(p-フェニレンビニレン)等の導電性高分子を用いた素子(以下の非特許文献5などを参照)や、正孔輸送性ポリビニルカルバゾール中に電子輸送材料と螢光色素を混入した(以下の非特許文献6を参照)素子が提案されているが、未だ輝度、発光効率等が有機低分子化合物を用いた積層型有機EL素子には及ばない。さらに、作製法という観点から、製造の簡略化、加工性、大面積化、コスト等の観点から湿式による塗布方式が検討されており、キャステイング法によっても素子が得られることが報告されている(以下の非特許文献7及び8を参照)。しかし、電荷輸送材料の溶剤や樹脂に対する溶解性や相溶性が悪いため結晶化しやすく、製造上あるいは特性上に問題があった。
次に、(3)に示す課題の解決のためには、励起子生成確率の高い励起三重項状態、すなわち燐光による発光材料を用いることである。燐光による発光材料としては白金錯体を用いた素子(以下の非特許文献9を参照)が最初に提案され、さらに燐光発光するイリジウム錯体を用いることにより外部量子効率7.5%(外部取り出し効率を20%と仮定すると内部量子効率は37.5%)を得、従来上限値とされてきた外部量子効率5%という値を上回ることが可能なことを示されている(以下の非特許文献10を参照)。しかし、実際の使用に当たってはホスト化合物である特定の低分子有機化合物にドープして使用する必要があり、蛍光による発光材料と同様の(1)や(2)に示す課題を有している。
Thin Solid Films, Vol.94, 171 (1982) Applied Physics Letter, Vol.51, 913 (1987) 第40回応用物理学関係連合講演会予稿集30a-SZK-14(1993) 第42回高分子討論会予稿集20J21(1993) Nature, Vol.357, 477(1992) 第38回応用物理学関係連合講演会予稿集31p-g-12(1991) 第50回応用物理学会学術講演予稿集,29p-ZP-5(1989) 第51回応用物理学会学術講演予稿集,28a-PB-7(1990) Nature, Vol.395, 151(1998) Applied Physics Letter, Vol.75, 4 (1999)、WO00/70655
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、十分な輝度を有し、安定性及び耐久性に優れ、且つ大面積化可能であり製造容易な有機EL素子を提供することにある。
上記目的を達成するため電荷輸送材料に関し鋭意検討した結果、下記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造より選択された少なくとも1種を部分構造として含む電荷輸送性ポリエーテルが、有機EL素子として好適な電荷注入特性、電荷移動度、薄膜形成能を有し、かつ電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を組み合わせることで、素子の耐久性と発光効率に優れた生産性の高い素子となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機電界発光素子は、
<1>少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された一つ又は複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、該有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の電荷輸送性ポリエーテルを含有し、さらに該有機化合物層の少なくとも一層に発光性低分子化合物を含有しており、該電荷輸送性ポリエーテルが下記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなり、また発光性低分子化合物が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光することを特徴とする有機電界発光素子である。
<2>前記有機化合物層が少なくとも発光層及び電子輸送層から構成され、前記発光層及び前記電子輸送層の少なくとも一方が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子である。
<3>前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<2>に記載の有機電界発光素子である。
<4>前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層、発光層及び電子輸送層から構成され、少なくとも前記正孔輸送層及び前記電子輸送層の一方又は両方が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子である。
<5>前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<4>に記載の有機電界発光素子である。
<6>前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び発光層から構成され、前記正孔輸送層及び前記発光層の少なくとも一方が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子である。
<7>前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<6>に記載の有機電界発光素子である。
<8>前記有機化合物層が電荷輸送能を有する発光層1層のみから構成され、前記発光層が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子である
<9>前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<8>に記載の有機電界発光素子である。
<10>前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルが、下記一般式(II)で示される電荷輸送性ポリエーテルであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
(一般式(II)中、Aは上記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、Rは水素原子、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を表し、pは5〜5,000の整数を表す。)
本発明の有機EL素子において用いる一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し構造単位からなる電荷輸送性ポリエーテルは、有機EL素子に好適なイオン化ポテンシャル及び電荷移動度を持ち、また、溶剤に対する良好な溶解性を有しているため、スピンコーティング法、ディップ法等を用いて良好な薄膜(有機化合物層)を容易に形成することが可能である。また、本発明の有機EL素子においては、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物用いるため、前記電荷輸送性ポリエーテルを用いることと相俟って、十分に高い輝度を示し、また、駆動電流密度も小さい。したがって、本発明の有機EL素子は、十分な輝度を有し、安定性及び耐久性に優れ、且つ大面積化が可能であり製造容易であり、前記のごとき従来法による欠点を克服することができる。
また、電荷輸送性ポリエーテルの(I−1)又は(I−2)における部分構造や置換基を変えることにより溶剤に対する溶解性をコントロールすることが可能である。したがって、複数の有機化合物層を塗布により形成する際、上層と下層に用いる電荷輸送性ポリエーテルの溶解性を調節して、上層を塗布する際下層にダメージを与えないように設計することが可能である。
さらに、電荷輸送性ポリエーテルのガラス転移点もコントロールできるため、熱履歴が加わっても結晶化しない有機化合物層を作製するための電荷輸送性ポリエーテルの製造も容易である。
本発明の有機EL素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された一つ又は複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、該有機化合物層の少なくとも1層が電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種含有し、さらに該有機化合物層の少なくとも一層が発光性低分子化合物を含有しており、該電荷輸送性ポリエーテルが下記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなり、また発光性低分子化合物が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する。
本発明の有機EL素子は、前記電荷輸送性ポリエーテル及び前記電荷輸送性ポリエーテル、他の電荷輸送性高分子材料又は絶縁性材料に前記発光性低分子化合物を分散してなる層を有することで、十分な輝度を有し、安定性及び耐久性に優れる。さらに、前記電荷輸送性ポリエーテル及び前記電荷輸送性ポリエーテル、他の電荷輸送性高分子材料又は絶縁性材料に前記発光性低分子化合物を分散して用いることで、大面積化可能であり、容易に製造可能である。
一般式(I−1)及び(I−2)中、Arは置換若しくは未置換の1価の芳香族基を表す。具体的には、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換の芳香族数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の芳香族数2〜10の1価の縮合環芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の1価の芳香族複素環基、又は少なくとも1種の芳香族複素環を含む置換若しくは未置換の1価の芳香族基を表す。
ここで、一般式(I−1)及び(I−2)中において、置換若しくは未置換の1価の芳香族基(Ar)の1つとして選択される多核芳香族炭化水素基及び縮合環芳香族炭化水素基を構成する芳香環数は特に限定されないが、芳香環数が2〜5のものが好ましい。また、縮合環芳香族炭化水素基における縮合環芳香族炭化水素は、全縮合環芳香族炭化水素が好ましい。
前記多核芳香族炭化水素基及び縮合環芳香族炭化水素基とは、本発明においては、具体的には以下に定義される多環式芳香族基のことを意味する。
即ち、「多核芳香族炭化水素基」における多核芳香族炭化水素とは、炭素と水素とから構成される芳香環が2個以上存在し、これらの芳香環同士が、炭素―炭素の単結合によって結合している炭化水素を表す。前記多核芳香族炭化水素の具体例としては、ビフェニル、ターフェニル等が挙げられる。
また、「縮合環芳香族炭化水素基」における縮合環芳香族炭化水素とは、炭素と水素とから構成される芳香環が2個以上存在し、これらの芳香環同士が、1対の隣接して結合する炭素原子を共有している炭化水素を表す。前記縮合環芳香族炭化水素の具体例としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン等が挙げられる。
また、一般式(I−1)及び(I−2)中において、置換若しくは未置換の1価の芳香族基(Ar)の1つとして選択される「芳香族複素環基」における芳香族複素環とは、炭素と水素以外の元素も含む芳香環を表す。前記芳香族複素環の環骨格を構成する原子数(Nr)は、Nr=5又は6が好ましい。また環骨格を構成するC以外の元素(異種元素)の種類及び数は特に限定されないが、例えば、S、N、O等が好ましく、前記環骨格中には1種又は2種以上の異種原子が、1個又は2個以上含まれていてもよい。特に5員環構造を持つ複素環としては、チオフェン、チオフィン及びフラン、並びにこれらの3位及び4位の炭素をさらに窒素で置換した複素環や、ピロール及びこの3位及び4位の炭素をさらに窒素で置換した複素環が好ましく挙げられ、6員環構造をもつ複素環として、ピリジンが好ましく挙げられる。
また、芳香族複素環基には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等の芳香族基炭化水素基が更に置換してもよく、更に芳香族複素環基には、同じ又は異なる芳香族複素環基が更に置換してもよい。
さらに、一般式(I−1)及び(I−2)中において、置換若しくは未置換の1価の芳香族基(Ar)の1つとして選択される「芳香族複素環を含む芳香族基」は、前記のフェニル基、多核芳香族炭化水素基又は縮合環芳香族炭化水素基に、前記の芳香族複素環基が置換した基を表す。
これらの基は、すべてが共役系で構成されたもの、或いは一部が非共役系で構成されたもののいずれでもよいが、電荷輸送性や発光効率の点で、すべてが共役系で構成されたものが好ましい。
Arを表すフェニル基、多核芳香族炭化水素基、縮合環芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、又は芳香族複素環を含む芳香族基には、前記のごとき置換基の他に更に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、アリール基、アラルキル基、置換アミノ基、ハロゲン原子等の置換基が置換してもよい。
アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体例は前述の通りである。
ハロゲン原子としては、塩素、臭素等が挙げられる。
一般式(I−1)及び(I−2)中、Xは置換若しくは未置換の2価の芳香族基を表す。具体的には、置換若しくは未置換のフェニレン基、置換若しくは未置換の芳香族数2〜10の2価の多核芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の芳香族数2〜10の2価の縮合環芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の2価の芳香族複素環基、又は少なくとも1種の芳香族複素環を含む置換若しくは未置換の2価の芳香族基を表す。
ここで、前記「2価の多核芳香族炭化水素基」、「2価の縮合環芳香族炭化水素基」及び「2価の芳香族複素環基」における「多核芳香族炭化水素」、「縮合環芳香族炭化水素」及び「芳香族複素環」は、前記Arの説明において記載した「多核芳香族炭化水素」、「縮合環芳香族炭化水素」及び「芳香族複素環」と同義であり、具体例も同様である。
また、「芳香族複素環を含む置換若しくは未置換の2価の芳香族基」とは、前記Arの1つとして選択される「芳香族複素環を含む芳香族基(1価)」からもう1つの結合手が出たものを指す。前記のもう1つの結合手は芳香族複素環から出るようにすることが好ましい。
これらの2価の芳香族基は、すべてが共役系で構成されたもの、或いは一部が非共役系で構成されたもののいずれでもよいが、電荷輸送性や発光効率の点で、すべてが共役系で構成されたものが好ましい。
前記の「2価の芳香族基」に置換する置換基としては、前記Arに置換する置換基として挙げたものが同様に挙げられる。
一般式(I−1)及び(I−2)中、k、l、mは0又は1を示し、Tは炭素数1〜6、好ましくは炭素数が2〜6の2価の直鎖状炭化水素基、又は炭素数2〜10、好ましくは炭素数3〜7のの2価の分枝鎖状炭化水素基を示す。Tの具体的な構造を以下に示す。
一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなるホール輸送性ポリエーテルとしては、下記一般式(II)で示されるものが好適に使用される。
一般式(II)式中、Aは上記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、一つのポリマー中に2種類以上の構造Aが含まれてもよい。
一般式(II)式中、Rは水素原子、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を表す。
アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられるる。
アラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
また、置換アリール基、置換アラルキル基の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(II)式中、重合度を表わすpは5〜5,000の範囲であるが、好ましくは10〜1,000の範囲である。また、本発明の電荷輸送性ポリエーテルの重量平均分子量Mwは5,000〜1,000,000の範囲であるが、10,000〜300,000の範囲にあるのが好ましい。
本発明の電荷輸送性ポリエーテルは、下記構造式(III−1)又は(III−2)で示されるホール輸送性モノマーを、例えば、第4版実験化学講座第28巻(丸善、1992)等に記載された公知の方法で重合させることによって合成することができる。なお、構造式(III−1)又は(III−2)中、Ar、X、T、k、l、は、前記一般式(I−1)又は(I−2)におけるAr、X、T、k、l、と同義である。
すなわち、一般式(II)で示されるホール輸送性ポリエーテルは、次のようにして合成することができる。
1)上記電荷輸送性ポリマーは、上記一般式(III−1)及び(III−2)のうち2個のヒドロキシアルキル基を有する電荷輸送性化合物(電荷輸送性モノマー)を加熱脱水縮合する方法によって合成することができる。この場合、無溶媒で電荷輸送性モノマーを加熱溶融し、水の脱離による重合反応を促進させるため減圧下で反応させることが望ましい。また、溶媒を使用する場合は、水の除去のため、水と共沸する溶媒、例えば、トリクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶媒の沸点で反応させるのが好ましい。重合が進まない場合には、反応系から溶媒を除去し、粘ちょう状態で加熱撹拌してもよい。
2)上記電荷輸送性ポリマーは、酸触媒として、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等のプロトン酸、あるいは塩化亜鉛等のルイス酸を用い脱水縮合する方法によって合成することもできる。この場合、電荷輸送性モノマー1当量に対して、酸触媒を1〜1/10000〜1/10当量、好ましくは1/1000〜1/50当量の範囲で用いる。重合中に生成する水を除去するために、水と共沸可能な溶剤を用いるのが好ましい。溶剤としては、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。
3)上記正孔輸送性ポリマーは、イソシアン化シクロヘキシル等のイソシアン化アルキル、シアンン化シクロヘキシル等のイソシアン化アルキル、シアン酸p−トリルや2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン等のシアン酸エステル、ジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC)、トリクロロアセトニトリル等の縮合剤を用いる方法によっても合成することができる。この場合、縮合剤は、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1/2〜10当量、好ましくは1〜3当量の範囲で用いられる。溶剤として、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、室温から溶剤の沸点で反応させることが好ましい。上記1)、2)及び3)の合成法のうち、異性化や副反応が起こりにくいことから、合成法1)又は3)が好ましい。特に、合成法3)が反応条件がより穏和なことからより好ましい。
反応終了後、溶剤を用いなかった場合は反応生成物を溶解可能な溶剤に溶解させる。溶剤を用いた場合には、そのまま、反応溶液をメタノール、エタノール等のアルコール類や、アセトン等の電荷輸送性ポリマーが溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリマーを析出させ、電荷輸送性ポリマーを分離した後、水や有機溶剤で十分に洗浄し、乾燥させる。さらに必要であれば、適当な有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリマーを析出させる再沈澱処理を繰り返してもよい。再沈澱処理の際には、メカニカルスターラー等で、効率よく撹拌しながら行うことが好ましい。
再沈澱処理の際に電荷輸送性ポリマーを溶解させる溶剤は、電荷輸送性ポリマー1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。また、貧溶剤は電荷輸送性ポリマー1当量に対して、1〜1000当量、好ましくは10〜500当量の範囲で用いられる。さらに、上記反応において、電荷輸送性モノマーを2種以上、好ましくは2〜5種、さらに好ましくは2〜3種用いることにより、共重合ポリマーの合成も可能である。異種の電荷輸送性モノマーを共重合することによって、電気特性、成膜性、溶解性を制御することができる。
電荷輸送性ポリマーの重合度は、低すぎると成膜性に劣り、強固な膜が得られにくく、また、高すぎると溶剤への溶解度が低くなり、加工性が悪くなるため、5〜5000の範囲に設定され、好ましくは10〜3000、より好ましくは15〜1000の範囲である。
電荷輸送性ポリマーの末端基は、電荷輸送性モノマーと同様にヒドロキシル基、すなわちRが水素原子であってよいが、溶解性、成膜性、モビリティー等のポリマー物性に影響を及ぼす場合には、末端基Rを修飾し物性を制御することができる。例えば、末端のヒドロキシル基を、硫酸アルキル、ヨウ化アルキル等でアルキルエーテル化、アリールエーテル化、アラルキルエーテル化することができる。具体的な試薬としては、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等から任意に選ぶことができる。
前記試薬は、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。その際、塩基触媒を用いることができるが、塩基触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウム金属等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。反応温度は、0℃から使用する溶剤の沸点で行うことができる。また、その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の不活性溶剤から選んだ単独溶剤、あるいは2〜3種の混合溶剤が使用できる。また、反応によっては、相間移動触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド等の第4級アンモニウム塩を使用することもできる。
また、末端のヒドロキシル基を酸ハロゲン化物を用いアシル化して、基Rをアシル基にすることもできる。酸ハロゲン化物は特に限定するものではないが、例えばアクリロイルクロリド、クロトノイルクロリド、メタクリロイルクロリド、n−ブチルクロリド、2−フロイルクロリド、ベンゾイルクロリド、シクロヘキサンカルボニルクロリド、エナンチルクロリド、フェニルアセチルクロリド、o−トルオイルクロリド、m−トルオイルクロリド、p−トルオイルクロリド等があげられ、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。その際、塩基触媒を用いることができるが、塩基触媒としては、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等から任意に選ぶことができ、酸クロリドに対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、塩化メチルン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等があげられる。反応は、0℃から溶剤の沸点で行うことができる。好ましくは、0℃から30℃の範囲で行う。
さらに、無水酢酸等の酸無水物を用いてもアシル化することができる。溶剤を用いる場合は、具体的には、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の不活性溶剤を使用することができる。反応は、0℃から溶剤の沸点で行うことができる。好ましくは、50℃から溶剤の沸点で行えばよい。
そのほか、モノイソシアネートを用い、末端にウレタン残基(−CONH−R')を導入することができる。具体的なモノイソシアネートとしては、イソシアン酸ベンジルエステル、イソシアン酸n−ブチルエステル、イソシアン酸tert−ブチルエステル、イソシアン酸シクロヘキシルエステル、イソシアン酸2,6−ジメチルエステル、イソシアン酸エチルエステル、イソシアン酸イソプロピルエステル、イソシアン酸2−メトキシフェニルエステル、イソシアン酸4−メトキシフェニルエステル、イソシアン酸n−オクタデシルエステル、イソシアン酸フェニルエステル、イソシアン酸i−プロピルエステル、イソシアン酸m−トリルエステル、イソシアン酸p−トリルエステル、イソシアン酸1−ナフチルエステル等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等をあげることができる。反応温度は、0℃から使用溶剤の沸点で行うことができる。反応が進みにくい場合は、ジラウリン酸ジブチルスズ(II)、オクチル酸スズ(II)、ナフテン酸鉛等の金属化合物、あるいはトリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の3級アミンを触媒として添加することもできる。
以下に本発明における電荷輸送性ポリエーテルの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明の発光性低分子化合物には、固体状態で電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光を示す化合物が用いられる。ここでいう励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光を示す化合物とは、特開2002−050483号公報に開示されている燐光発光性の第1の有機化合物に当たる部分の励起三重項状態から蛍光発光性の第2の有機化合物に当たる部分の励起三重項状態へのエネルギー移動が起こり、第2の有機化合物の部分から蛍光発光が起こるような2種類の成分から成るものを指す。
上記燐光発光性の部分における励起三重項状態の量子効率の値としては0.1以上が好ましく、更に好ましくは0.3以上であり、より一層好ましくは0.5以上である。これらの燐光発光性の部分に適用できる励起三重項状態の量子効率が高い化合物としては金属錯体を挙げられるが、何らこれに限定されるものではない。
上記金属錯体の具体的な例としては、(1)イリジウム錯体や白金錯体等の遷移金属錯体及びこれらの誘導体等の遷移金属錯体、(2)希土類金属錯体を挙げることができる。これらは高温でも比較的安定な励起三重項状態を有する点で好ましい。また、後述のように配位能のある官能基を有する高分子を遷移金属原子に配位させることにより容易に錯体化が行える点からも好ましい。
上記の遷移金属錯体に使用される遷移金属としては、周期表において第1遷移元素系列は原子番号21のScから原子番号30のZnまでを、第2遷移元素系列は原子番号39のYから原子番号48のCdまでを、第3遷移元素系列は原子番号72のHfから原子番号80のHgまでを含める。また、上記の希土類金属錯体に使用される希土類金属としては、周期表において原子番号57のLaから原子番号71のLuまでを含める。
本発明における発光性部分は非イオン性である。これは、発光性部分がイオン性である場合には、発光性部分を含む発光層に電圧を印加した場合には電気化学発光が起こり、この発光は応答速度が例えば分オーダーと極めて遅く、ディスプレイ用途には好ましくないためである。
また、上記の遷移金属錯体及び希土類金属錯体に配位される配位子としては、アセチルアセトナト、2,2'−ビピリジン、4,4'−ジメチル−2,2'−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、2−フェニルピリジン、ポルフィリン、フタロシアニン、ピリミジン、キノリン及び/又はこれらの誘導体などを例示することができるが、何らこれらに限定されるものではない。これらの配位子は、1つの錯体について1種類又は複数種類が配位される。また、上記の錯体化合物として二核錯体あるいは多核錯体や、2種類以上の錯体の複錯体を使用することもできる。
本発明の発光性部分において、金属錯体の中心金属となる金属原子は高分子の1つ以上の部位で拘束される。これを達成する方法は特に限定はされないが、上述したような配位結合による錯体化を始め、電荷移動による錯体化、イオン結合、共有結合等が挙げられる。中心金属となる金属原子がイオンの場合には、前述の理由により発光性部分を中性とする方法が採られ、例えば、配位結合と共にイオンの価数を中和するに足りる共有結合を有する有機金属化合物とする方法などが挙げられるが、何らこれに限定されるものではない。
本発明における発光性低分子化合物は、高分子材料中に分散して用いる。この高分子材料は、前記電荷輸送性ポリエーテルの他に、絶縁性高分子材料でも電荷輸送性高分子材料でも構わないが、電荷輸送性高分子であることがより望ましい。絶縁性材料に分散する場合は、テトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、ポルフィリン系化合物などの正孔輸送性ホスト材料あるいはオキサジアゾール誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等などの電子輸送性ホスト材料を含有することが望ましい。ここで、絶縁性材料としては、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエーテル、ポリメチルメタアクリレートなどがあげられるが、これに限るものではない。また、電荷輸送性高分子の場合、ポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを側鎖に有するポリメチルメタアクリレート、芳香族アミンを主鎖に有するポリエーテルあるいはポリシランなどがあげられるが、これに限るものではない。
次に、本発明の有機EL素子の層構成について詳記する。
本発明の有機EL素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極と、それら電極間に挾持された発光層を含む一つ又は複数の有機化合物層より構成され、該有機化合物層の少なくとも該有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の電荷輸送性ポリエーテルを含有し、さらに該有機化合物層の少なくとも一層に発光性低分子化合物を含有してなる。
本発明の有機EL素子においては、有機化合物層が1つの場合は、有機化合物層はキャリア輸送能を持つ発光層を意味し、該発光層が前記電荷輸送性ポリエーテル及び前記発光性低分子化合物を含有してなる。また、有機化合物層が複数の場合(機能分離型の場合)は、その少なくとも一つは発光層であり、他の有機化合物層は、キャリア輸送層、すなわち、正孔輸送層、電子輸送層、又は、正孔輸送層及び電子輸送層よりなるものを意味し、これらの少なくとも一層が前記電荷輸送性ポリエーテルを含有し、発光層に前記発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなる。
具体的には、例えば、少なくとも発光層及び電子輸送層から構成されるもの、少なくとも正孔輸送層、発光層及び電子輸送層から構成されるもの、少なくとも正孔輸送層及び発光層から構成されるもの、又は電荷輸送能を有する発光層から構成されるものであって、これらの少なくとも一層(正孔輸送層又は電荷輸送層)が前記電荷輸送性ポリエステルを含有し、さらに発光層に前記発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなるものが挙げられる。また、本発明の有機EL素子においては、発光層が、電荷輸送性材料(前記電荷輸送性ポリエステル以外の正孔輸送性材料、電子輸送性材料)を含有してもよい。詳しくは後述する。
以下、図面を参照しつつ、より詳細に説明するが、これらに限定されるわけではない。
図1〜図4は、本発明の有機EL素子の層構成を説明するための模式的断面図であって、図1、図2、図3の場合は、有機化合物層が複数の場合の一例であり、図4の場合は、有機化合物層が1つの場合の例を示す。なお、図1〜図4において、同様の機能を有するものは同じ符号を付して説明する。
図1に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、キャリア輸送能を持つ発光層6、電子輸送層5及び背面電極7を順次積層してなる。図2に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5及び背面電極7を順次積層してなる。図3に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、キャリア輸送能を持つ発光層6及び背面電極7を順次積層してなる。図4に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、キャリア輸送能を持つ発光層6及び背面電極7を順次積層してなる。以下、各々を詳しく説明する。
本発明における前記電荷輸送性ポリエーテルが含有してなる有機化合物層は、その構造によっては、図1に示される有機EL素子の層構成の場合、電子輸送層5、キャリア輸送能を持つ発光層6としていずれも作用することができるし、また、図2に示される有機EL素子の層構成の場合、正孔輸送層3、電子輸送層5としていずれも作用することができ、図3に示される有機EL素子の層構成の場合、正孔輸送層3、キャリア輸送能を持つ発光層6としていずれも作用することができ、図4に示される有機EL素子の層構成の場合、キャリア輸送能を持つ発光層6として作用することができる。
図1〜図4に示される有機EL素子の層構成の場合、透明絶縁体基板1は、発光を取り出すため透明なものが好ましく、ガラス、プラスチックフィルム等が用いられる。また、透明電極2は、透明絶縁体基板と同様に発光を取り出すため透明であって、かつ正孔の注入を行うため仕事関数の大きなものが好ましく、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の酸化膜、及び蒸着或いはスパッタされた金、白金、パラジウム等が用いられる。
図1及び図2に示される有機EL素子の層構成の場合、電子輸送層5は、目的に応じて機能(電子輸送能)が付与された前記電荷輸送性ポリエーテル単独で形成されていてもよいが、電気的特性をさらに改善する等の目的で、電子移動度を調節するために、電荷輸送性ポリエーテル以外の電子輸送材料を1重量%ないし50重量%の範囲で混合分散して形成されていてもよい。このような電子輸送材料としては、好適にはオキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられる。好適な具体例として、下記例示化合物(IV-1)〜(IV-3)が挙げられるが、これらに限定されたものではない。なお、前記電荷輸送性ポリエーテルを用いない場合、これら電子輸送性材料単独で形成されることとなる。
図2及び図3に示される有機EL素子の層構成の場合、正孔輸送層3は、目的に応じて機能(正孔輸送能)が付与された電荷輸送性ポリエーテル単独で形成されていてもよいが、正孔移動度を調節するために電荷輸送性ポリエーテル以外の正孔輸送材料を1重量%ないし50重量%の範囲で混合分散して形成されていてもよい。このような正孔輸送材料としては、テトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導、スチルベン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、ポルフィリン系化合物等、特に好適な具体例として下記例示化合物(V-1)〜(V-6)が挙げられるが、電荷輸送性ポリエーテルとの相容性が良いことから、テトラフェニレンジアミン誘導体が好ましい。また、他の汎用の樹脂等との混合でもよい。なお、前記電荷輸送性ポリエーテルを用いない場合、これら正孔輸送性材料単独で形成されることとなる。
図1、図2又は図3に示されるに示される有機EL素子の層構成の場合、発光層4は、前記発光性低分子化合物単独で形成するのではなく、電気特性及び発光特性を改善する等の目的で、前記発光性低分子化合物を前記電荷輸送性ポリエーテル中に分散する、あるいは絶縁性高分子材料中に分散し、ホスト材料として電荷輸送材料を1重量%ないし50重量%の範囲で混合分散して形成、若しくは前記電荷輸送性ポリエーテル以外の電荷輸送性高分子材料中に分散して形成させてもよい。
図3に示される有機EL素子の層構成の場合、キャリア輸送能を持つ発光層6は、目的に応じて機能(正孔輸送能、或いは電子輸送能)が付与された前記電荷輸送性ポリエーテル中に発光材料としては前記発光性低分子化合物を50重量%以下分散させた有機化合物層であるが、有機EL素子に注入される正孔と電子のバランスを調節するために前記電荷輸送性ポリエーテル以外の電荷輸送材料を10重量%〜50重量%分散させてもよい。このような電荷輸送材料としては、電子移動度を調節する場合、電子輸送材料として好適にはオキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられる。好適な具体例として、上記例示化合物(IV-1)〜(IV-3)が挙げられる。また、前記電荷輸送性ポリエーテルと強い電子相互作用を示さない有機化合物が用いられることが好ましく、より好ましくは下記例示化合物(VI)が用いられるが、これに限定されるものではない。
同様に正孔移動度を調節する場合、正孔輸送材料として好適にはテトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導、スチルベン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、ポルフィリン系化合物等、特に好適な具体例として上記例示化合物(V-1)〜(V-6)が挙げられるが、電荷輸送性ポリエーテルとの相容性が良いことから、テトラフェニレンジアミン誘導体が好ましい。
図1〜図4に示される有機EL素子の層構成の場合、背面電極7には、真空蒸着可能で、電子注入を行うため仕事関数の小さな金属が使用されるが、特に好ましくはマグネシウム、アルミニウム、銀、インジウム及びこれらの合金である。また、背面電極7上には、さらに素子の水分や酸素による劣化を防ぐために保護層を設けてもよい。具体的な保護層の材料としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Alなどの金属、MgO、SiO2、TiO2棟の金属酸化物、ポリエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD法、コーティング法が適用できる。
これら図1〜図4に示される有機EL素子は、まず透明電極2の上に各有機EL素子の層構成に応じて、正孔輸送層3或いはキャリア輸送能を持つ発光層6を形成する。正孔輸送層3及びキャリア輸送能を持つ発光層6は、上記各材料を有機溶媒中に溶解或いは分散し、得られた塗布液を用いて前記透明電極2上にスピンコーティング法、ディップ法等を用いて製膜することにより形成する。
次に、各有機EL素子の層構成に応じて、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5或いはキャリア輸送能を持つ発光層6は、上記各材料を、有機溶媒中に溶解或いは分散し、得られた塗布液を用いて前記透明電極上にスピンコーティング法、ディップ法等を用いて製膜することによって形成される。
形成される正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5の膜厚は、各々0.1μm以下、特に0.03〜0.08μmの範囲であることが好ましい。また、キャリア輸送能を持つ発光層6の膜厚は、0.03〜0.2μm程度が好ましい。上記各材料(前記電荷輸送性ポリエーテル、発光材料等)の分散状態は分子分散状態でも微粒子分散状態でも構わない。塗布液を用いた製膜法の場合、分子分散状態とするためには、分散溶媒は上記各材料の共通溶媒を用いる必要があり、微粒子分散状態とするために分散溶媒は上記各材料の分散性及び溶解性を考慮して選択する必要がある。微粒子状に分散するためには、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、アトライター、ボールミル、ホモジェナイザー、超音波法等が利用できる。
そして、最後に、電子輸送層5或いはキャリア輸送能を持つ発光層6の上に背面電極7を真空蒸着法により形成することにより素子が完成される。
本発明の有機EL素子は、一対の電極間に、例えば、4〜20Vで、電流密度1〜200mA/cm2の直流電圧を印加することによって発光させることができる。
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
電荷輸送材料として前記電荷輸送性ポリエーテル〔例示化合物(VII−1)〕(Mw=8.20×104)を1重量部と、燐光発光性低分子化合物として下記例示化合物(VIII)を0.1重量部混合し、10重量%ジクロロエタン溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.15μmの電荷輸送能を持つ発光層を形成した。十分乾燥させた後、電子輸送性材料として前記電荷輸送性ポリエーテル〔例示化合物(VII-3)〕(Mw=1.20×105)を5重量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚0.1μmの電子輸送層を形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(実施例2)
正孔輸送性材料として前記電荷輸送性ポリエーテル〔例示化合物(VII-1)〕(Mw=8.20×104)を5重量%クロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.1μmの正孔輸送層を形成した。十分乾燥させた後、電荷輸送材料として前記電荷輸送性ポリエーテル〔例示化合物(VII-2)〕(Mw=7.25×104)を1重量部と、燐光発光性低分子化合物として前記例示化合物(VIII)を0.1重量部混合し、10重量%ジクロロエタン溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した後に正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚0.15μmの電荷輸送能を持つ発光層を形成した。さらに十分乾燥させた後、電子輸送性材料として電荷輸送性ポリエーテル〔例示化合物(VII-3)〕(Mw=1.20×105)を5重量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した後に発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚0.1μmの電子輸送層を形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(実施例3)
正孔輸送性材料として前記電荷輸送性ポリエーテル〔例示化合物(VII-1)〕(Mw=8.20×104)を5重量%クロロベンゼン溶液として調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚0.1μmの正孔輸送層を形成した。十分乾燥させた後、電荷輸送材料として前記電荷輸送性ポリエーテル〔例示化合物(VII-2)〕(Mw=7.25×104)を1重量部と、燐光発光性低分子化合物として前記例示化合物(VIII)を0.1重量部混合し、10重量%ジクロロエタン溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した後に正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚0.15μmの電荷輸送能を持つ発光層を形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(実施例4)
電荷輸送材料として前記正孔輸送性ポリエーテル〔例示化合物(VII-1)〕(Mw=8.20×104)を0.5重量部と前記電荷輸送性ポリエーテル〔例示化合物(VII-2)〕(Mw=7.25×104)を0.5重量部、燐光発光性低分子化合物として前記例示化合物(VIII)を0.1重量部混合し、10重量%ジクロロエタン溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上にスピンコート法により塗布して膜厚0.15μmの電荷輸送能を持つ発光層を形成し、最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(比較例1)
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、燐光ホスト材料として下記例示化合物(IX)と燐光発光材料として前記例示化合物(VIII)より構成される厚さ0.065μmの発光層を共蒸着により膜中の重量比で(IX)中(VIII)が5%となるよう蒸着して発光層を形成した後、電子輸送材料として前記例示化合物(VII)より構成される厚さ0.050μmの電子輸送層を真空蒸着法により形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(比較例2)
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、正孔輸送材料として前記例示化合物(V−2)より構成される厚さ0.050μmの正孔輸送層を真空蒸着法により形成した。さらに、正孔輸送層上に燐光ホスト材料として前記例示化合物(IX)と燐光発光材料として前記例示化合物(VIII)より構成される厚さ0.065μmの発光層を共蒸着により膜中の重量比で(IX)中(VIII)が5%となるよう蒸着して発光層を形成した後、電子輸送材料として前記例示化合物(VI)より構成される厚さ0.050μmの電子輸送層を真空蒸着法により形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(比較例3)
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、正孔輸送材料として前記例示化合物(V−2)より構成される厚さ0.050μmの正孔輸送層を真空蒸着法により形成した。さらに、正孔輸送層上に燐光ホスト材料として前記例示化合物(IX)と燐光発光材料として前記例示化合物(VIII)より構成される厚さ0.065μmの発光層を共蒸着により膜中の重量比で(IX)中(VIII)が5%となるよう蒸着して発光層を形成した。最後にMg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(比較例4)
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、正孔輸送層上に燐光ホスト材料として前記例示化合物(IX)と燐光発光材料として前記例示化合物(VIII)より構成される厚さ0.065μmの発光層を共蒸着により膜中の重量比で(IX)中(VIII)が5%となるよう蒸着して発光層を形成した後、Mg-Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(評価)
以上のように作製した有機EL素子を、真空中(133.3×10-3Pa(10-3Torr))でITO電極側をプラス、Mg-Ag背面電極をマイナスとして直流電圧を印加し、発光について測定を行い、このときの最高輝度、及び発光色を評価した。それらの結果を表17に示す。また、乾燥窒素中で有機EL素子の発光寿命の測定を行った。発光寿命の評価は、初期輝度が50cd/m2となるように電流値を設定し、定電流駆動により輝度が初期値から半減するまでの時間を素子寿命(hour)とした。この時の駆動電流密度を素子寿命と共に表1に示す。
表1から分かるように、本発明の有機EL素子は、輝度が高いにもかかわらず素子寿命が非常に長い。また、従来の有機EL素子よりも、駆動電流密度が小さい。これに対し、従来の有機EL素子(比較例1ないし4)は、輝度に関しては本発明と同様であるが、素子寿命が非常に小さく、また、駆動電流密度が大きい。
本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の層構成の他の一例を示す模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の層構成の他の一例を示す模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の層構成の他の一例を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 透明絶縁体基板
2 透明電極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 電荷輸送能をもつ発光層
7 背面電極

Claims (10)

  1. 少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に挾持された一つ又は複数の有機化合物層より構成される電界発光素子において、該有機化合物層の少なくとも一層が、少なくとも1種の電荷輸送性ポリエーテルを含有し、さらに該有機化合物層の少なくとも一層に発光性低分子化合物を含有しており、該電荷輸送性ポリエーテルが下記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなり、また発光性低分子化合物が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光することを特徴とする有機電界発光素子。
    (I−1)及び(I−2)…別紙付録参照
    (一般式(I−1)及び(I−2)中、Arは置換若しくは未置換の1価の芳香族基を表し、Xは置換若しくは未置換の2価の芳香族基を表し、k、lは0又は1を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素又は炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表す。)
  2. 前記有機化合物層が少なくとも発光層及び電子輸送層から構成され、前記発光層及び前記電子輸送層の少なくとも一方が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層、発光層及び電子輸送層から構成され、少なくとも前記正孔輸送層及び前記電子輸送層の一方又は両方が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記有機化合物層が少なくとも正孔輸送層及び発光層から構成され、前記正孔輸送層及び前記発光層の少なくとも一方が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  7. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光素子。
  8. 前記有機化合物層が電荷輸送能を有する発光層1層のみから構成され、前記発光層が、前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種含有し、発光層に電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光する発光性低分子化合物を少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子
  9. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光素子。
  10. 前記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルが、下記一般式(II)で示される電荷輸送性ポリエーテルであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
    (一般式(II)中、Aは上記一般式(I−1)及び(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、Rは水素原子、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を表し、pは5〜5,000の整数を表す。)
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