JP2007201190A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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博人 米山
Daisuke Okuda
大輔 奥田
Hidekazu Hirose
英一 廣瀬
Tadayoshi Ozaki
忠義 尾崎
Toru Ishii
徹 石井
Takeshi Agata
岳 阿形
Kiyokazu Mashita
清和 真下
Katsuhiro Sato
克洋 佐藤
Akira Imai
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Abstract

【課題】輝度、安定性、耐久性に優れ、大面積化可能であり製造容易な有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された1つまたは複数の有機化合物層より構成され、前記有機化合物層の1層が、特定のNフェニルカルバゾール誘導体構造から選択された1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上と、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子とを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界発光素子(以下、有機EL素子と称す場合がある)に関し、詳しくは、特定の電荷輸送性高分子を用いた有機電界発光素子に関するものである。
電界発光素子(以下、「EL素子」と記述する)は、自発光性の全固体素子であり、視認性が高く衝撃にも強いため、広く応用が期待されている。現在は無機螢光体を用いたものが主流であるが、200V以上の交流電圧が駆動に必要なため製造コストが高く、また輝度が不十分等の問題点を有している。
一方、有機化合物を用いたEL素子研究は、最初アントラセン等の単結晶を用いて始まったが、単結晶の場合、膜厚が1mm程度と厚く100V以上の駆動電圧が必要であった。そのため蒸着法による薄膜化が試みられている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、この方法で得られた薄膜は、駆動電圧が30Vと未だ高く、また、膜中における電子・正孔キャリアの密度が低く、キャリアの再結合によるフォトンの生成確率が低いため十分な輝度が得られなかった。
ところが、近年、正孔輸送性有機低分子化合物と電子輸送能を持つ螢光性有機低分子化合物の薄膜を真空蒸着法により順次積層した機能分離型のEL素子において、10V程度の低電圧で1000cd/m2以上の高輝度が得られるものが報告されており(例えば、非特許文献2参照)、以来、積層型のEL素子の研究・開発が活発に行われている。これら積層型の素子は、電極から電荷輸送性の有機化合物からなる電荷輸送層を介して正孔と電子のキャリアバランスを保ちながら螢光性有機化合物からなる発光層に注入され、発光層中に閉じ込められた正孔と電子が再結合することにより高輝度の発光を実現している。
しかしながら、このタイプのEL素子では実用化に向けて以下のような大きく3つの課題が示されている。
(1)素子が数mA/cmという高い電流密度で駆動されるため、大量のジュール熱を発生する。このため、蒸着によってアモルファスガラス状態で成膜された正孔輸送性低分子化合物や螢光性有機低分子化合物が次第に結晶化して最後には融解し、輝度の低下や絶縁破壊が生じるという現象が多く見られ、その結果素子の寿命が低下するという問題を有している。
(2)素子の作製時に低分子有機化合物を蒸着する複数の蒸着工程において、膜厚が0.1μm以下の薄膜を形成していくため、ピンホールを生じ易く、十分な性能を得るためには厳しく管理された条件下で膜厚の制御を行うことが必要である。従って、生産性が低くかつ大面積化が困難である。
(3)発光材料で利用されているのは励起一重項状態からの発光、すなわち蛍光である。ところが、発光層中で正孔と電子とが再結合して生成する励起一重項状態と励起三重項状態の励起子の生成比が量子力学に基づくスピン統計則から1:3であることから、有機ELにおける発光の内部量子効率は理論的には25%が上限とされている。
上記(1)に示す課題の解決のためには、正孔輸送材料として安定なアモルファスガラス状態が得られるスターバーストアミンを用いたり、ポリフォスファゼンの側鎖にトリフェニルアミンを導入したポリマーを用いたりしたEL素子が報告されている(例えば、非特許文献3、4参照)。しかし、これら単独では正孔輸送材料のイオン化ポテンシャルに起因するエネルギー障壁が存在するため、陽極からの正孔注入性或いは発光層への正孔注入性を満足するものではない。また、前者のスターバーストアミンの場合、溶解性が小さいために精製が難しく純度を上げることが困難であることや、後者のポリマーの場合、高い電流密度が得られず十分な輝度が得られてない等の問題も存在する。
次に、上記(2)に示す課題の解決のためには、工程を短縮できる単層構造の有機電界発光素子について研究・開発が進められ、ポリ(p−フェニレンビニレン)等の導電性高分子を用いた素子や、正孔輸送性ポリビニルカルバゾール中に電子輸送材料と螢光色素とを混入した素子が提案されているが(例えば、非特許文献5,6参照)、未だ輝度、発光効率等が有機低分子化合物を用いた積層型有機電界発光素子には及ばない。さらに、作製法という観点から、製造の簡略化、加工性、大面積化、コスト等の観点から湿式による塗布方式が検討されており、キャステイング法によっても素子が得られることが報告されている(例えば、非特許文献7、8参照)。しかし、電荷輸送材料の溶剤や樹脂に対する溶解性や相溶性が悪いため結晶化しやすく、製造上あるいは特性上に問題があった。
次に、上記(3)に示す課題の解決のためには、励起子生成確率の高い励起三重項状態、すなわち燐光による発光材料を用いることが有効である。燐光による発光材料としては白金錯体を用いた素子(例えば、非特許文献9参照)が最初に提案され、さらに燐光発光するイリジウム錯体を用いることにより外部量子効率7.5%(外部取り出し効率を20%と仮定すると内部量子効率は37.5%)が得られ、従来上限値とされてきた外部量子効率5%という値を上回ることが可能なことが示されている(例えば、非特許文献10、特許文献1を参照)。
しかし、燐光による発光材料を用いる場合には、高い外部量子効率を得るために特定のホスト材料と組み合わせて用いる必要があり、上述したようなケースではホスト材料として特定の低分子有機化合物にドープして使用することとなるため、蛍光による発光材料と同様の上記(1)や(2)に示す課題を有している。
Thin Solid Films, Vol.94, 171 (1982) Applied Physics Letter, Vol.51, 913 (1987) 第40回応用物理学関係連合講演会予稿集30a−SZK−14(1993) 第42回高分子討論会予稿集20J21(1993) Nature, Vol.357, 477(1992) 第38回応用物理学関係連合講演会予稿集31p−g−12(1991) 第50回応用物理学会学術講演予稿集,29p−ZP−5(1989) 第51回応用物理学会学術講演予稿集,28a−PB−7(1990) Nature, Vol.395, 151(1998) Applied Physics Letter, Vol.75, 4 (1999) 国際公開第00/70655号パンフレット
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明の目的は、十分な輝度を有し、安定性及び耐久性に優れ、かつ大面積化可能であり製造容易な有機電界発光素子を提供することにある。
上記目的を達成するため電荷輸送材料及び発光材料に関し鋭意検討した結果、下記一般式(AI−1)および(AI−2)、または下記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造より選択された少なくとも1種を部分構造として含む電荷輸送性ポリエーテルが、有機電界発光素子として好適な電荷注入特性、電荷移動度、薄膜形成能を有し、かつ、前記電荷輸送性ポリエーテルと、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子とを組み合わせることで、有機電界発光素子の耐久性と発光効率に優れるだけでなく、生産性の高い素子となることを見出し、本発明を完成するに至った。また、下記一般式(AI−1)および(AI−2)、または下記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造より選択された少なくとも1種を部分構造として含む電荷輸送性ポリエーテル単独使用でも、有機電界発光素子として好適な電荷注入特性、電荷移動度、薄膜形成能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機電界発光素子は、
<1>
少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、
前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上と、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子とを含有することを特徴とする有機電界発光素子である。
Figure 2007201190
〔一般式(AI−1)および(AI−2)中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、または、置換もしくは未置換の芳香族基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素、または、炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表し、l、mは0または1を表す。〕
<2>
前記有機化合物層が、少なくとも発光層と、電子輸送層および/または電子注入層とから構成され、
少なくとも前記発光層が、前記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子である。
<3>
前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<2>に記載の有機電界発光素子である。
<4>
前記有機化合物層が、少なくとも正孔輸送層および/または正孔注入層と、発光層と、電子輸送層および/または電子注入層とから構成され、
少なくとも前記発光層が、前記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移により、あるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子である。
<5>
前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<4>に記載の有機電界発光素子である。
<6>
前記有機化合物層が、少なくとも正孔輸送層および/または正孔注入層と、発光層とから構成され、
少なくとも前記発光層が、前記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移により、あるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子である。
<7>
前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<6>に記載の有機電界発光素子である。
<8>
前記有機化合物層が、少なくとも電荷輸送能を有する発光層から構成され、
前記発光層が、前記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上と、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子とを含有することを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子である。
<9>
前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<8>に記載の有機電界発光素子である。
<10>
前記一般式(AI−1)及び(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルが、下記一般式(AII)で示される電荷輸送性ポリエーテルであることを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子である。
Figure 2007201190
(一般式(AII)中、Aは上記一般式(AI−1)及び(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、Rは水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換のアラルキル基を表し、pは5〜5000の整数を表す。)
<11>
少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上と、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子とを含有することを特徴とする有機電界発光素子である。
Figure 2007201190
〔一般式(BI−1)および(BI−2)中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、または、置換もしくは未置換の芳香族基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素、または、炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表し、l、mは0または1を表す。〕
<12>
前記有機化合物層が、少なくとも発光層と、電子輸送層および/または電子注入層とから構成され、
少なくとも前記発光層が、前記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする<11>に記載の有機電界発光素子である。
<13>
前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<12>に記載の有機電界発光素子である。
<14>
前記有機化合物層が、少なくとも正孔輸送層および/または正孔注入層と、発光層と、電子輸送層および/または電子注入層とから構成され、
少なくとも前記発光層が、前記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする<11>に記載の有機電界発光素子である。
<15>
前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<14>に記載の有機電界発光素子である。
<16>
前記有機化合物層が、少なくとも正孔輸送層および/または正孔注入層と、発光層とから構成され、
少なくとも前記発光層が、前記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移により、あるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする<11>に記載の有機電界発光素子である。
<17>
前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<16>に記載の有機電界発光素子である。
<18>
前記有機化合物層が、少なくとも電荷輸送能を有する発光層から構成され、該発光層が、前記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、さらに、前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を含有することを特徴とする<11>に記載の有機電界発光素子である。
<19>
前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする<18>に記載の有機電界発光素子である。
<20>
前記一般式(BI−1)及び(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルが、下記一般式(BII)で示される電荷輸送性ポリエーテルであることを特徴とする<11>に記載の有機電界発光素子である。
Figure 2007201190
(一般式(BII)中、Aは上記一般式(BI−1)及び(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、Rは水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換のアラルキル基を表し、pは5〜5000の整数を表す。)
<21>
少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、
前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする有機電界発光素子。
Figure 2007201190
〔一般式(AI−1)および(AI−2)中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、または、置換もしくは未置換の芳香族基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素、または、炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表し、l、mは0または1を表す。〕
<22>
少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする有機電界発光素子。
Figure 2007201190
〔一般式(BI−1)および(BI−2)中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、または、置換もしくは未置換の芳香族基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素、または、炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表し、l、mは0または1を表す。〕
以上に説明したように本発明によれば、十分な輝度を有し、安定性及び耐久性に優れ、かつ大面積化可能であり製造容易な有機電界発光素子を提供することができる。
本発明の有機EL素子は、少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、
前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(AI−1)および(AI−2)、または、下記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上と、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子(以下、「発光性高分子」と略す場合がある)とを含有することを特徴とする。
本発明の有機EL素子は、発光性高分子と、この発光性高分子のホスト材料としても機能する前記電荷輸送性ポリエーテルとを含有する層を有することで、十分な輝度を有し、安定性及び耐久性に優れる。さらに、前記電荷輸送性ポリエーテルを用いることで、大面積化可能であり、容易に製造可能である。
特に本発明では、前記電荷輸送性ポリエーテル及び前記発光性高分子を含有する層を湿式による塗布方式で形成することができるため、前述のような従来の素子に比べ、製造プロセスを大幅に簡易化することができる。
また、前記電荷輸送性ポリエーテルは単独使用でも、有機電界発光素子として好適な電荷注入特性、電荷移動度、薄膜形成能を有することが可能となる。
なお、本発明では、下記一般式(AI−1)、一般式(AI−2)、一般式(BI−1)、あるいは、一般式(BI−2)で示されるようなカルバゾール構造を含む電荷輸送性ポリエーテルを用いるが、このようなカルバゾール構造を含む電荷輸送性ポリエーテルとしては、特開2005−259441号公報に記載のカルバゾール構造(いわゆる、4,4’−dicarbazoly−1,1’−biphenyl(CBP)類似の構造)を含む電荷輸送性ポリエーテルも挙げられる。
しかしながら、本発明で用いるカルバゾール構造を含む電荷輸送性ポリエーテルは、CBP構造を含む電荷輸送性ポリエーテルと比較して、溶媒に対する溶解性が優れていることから製膜が容易で形成された膜の均一性も良好である。また、混合する発光性高分子との相分離が生じにくい利点も有する。
次に、本発明の有機電界発光素子における、下記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルについて説明する。
Figure 2007201190
上記一般式(AI−1)および(AI−2)中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、または、置換もしくは未置換の芳香族基を表す。
ここでいう芳香族基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基のようなフェニル基誘導体、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントラニル基のような縮環系誘導体、チエニル基、メチルチエニル基、フラニル基、オキサジアゾール基のような複素環系誘導体が好適に用いられる。
また、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素、または、炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表し、l、mは0または1を表す。Tの具体的な構造としては、以下を挙げることができる。
Figure 2007201190
一般式(AI−1)及び(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルとしては、下記一般式(AII)で示されるものが好適に使用される。
Figure 2007201190
上記一般式(AII)式中、Aは上記一般式(AI−1)及び(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、一つのポリマー中に2種類以上の構造Aが含まれていてもよい。
一般式(AII)式中、Rは水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換のアラルキル基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アリール基としては、炭素6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。アラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。また、置換アリール基、置換アラルキル基の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(AII)式中、重合度を表わすpは5〜5000の範囲であるが、好ましくは10〜3000、より好ましくは15〜1000の範囲である。
電荷輸送性ポリエーテルの重合度pが、5未満であると、成膜性に劣り強固な膜が得られにくいという問題がある。また、電荷輸送性ポリエーテルの重合度pが5000より高いと、溶剤への溶解度が低くなり、加工性が悪くなる。
また、本発明の電荷輸送性ポリエーテルの重量平均分子量Mwは5000〜1000000の範囲であるが、10000〜300000の範囲にあるのが好ましい。
本発明の、上記一般式(AI−1)及び(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルは、下記構造式(AIII−1)又は(AIII−2)で示される電荷輸送性モノマーを、例えば、第4版実験化学講座第28巻(丸善、1992)等に記載された公知の方法で重合させることによって合成することができる。なお、構造式(AIII−1)又は(AIII−2)中、R1、T、l、mは、前記一般式(AI−1)又は(AI−2)におけるR1、T、l、mと各々同様であるため詳細な説明を省略する。
Figure 2007201190
上記一般式(AII)で示される電荷輸送性ポリエーテルは、次のようにして合成することができる。
1)上記電荷輸送性ポリエーテルは、上記一般式(AIII−1)及び(AIII−2)のうち2個のヒドロキシアルキル基を有する電荷輸送性化合物(電荷輸送性モノマー)を加熱脱水縮合する方法によって合成することができる。この場合、無溶媒で電荷輸送性モノマーを加熱溶融し、水の脱離による重合反応を促進させるため減圧下で反応させることが望ましい。
また、溶媒を使用する場合は、水の除去のため、水と共沸する溶媒、例えば、トリクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1当量〜100当量、好ましくは2当量〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶媒の沸点で反応させるのが好ましい。重合が進まない場合には、反応系から溶媒を除去し、粘ちょう状態で加熱撹拌してもよい。
2)上記電荷輸送性ポリエーテルは、酸触媒として、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等のプロトン酸、あるいは塩化亜鉛等のルイス酸を用い脱水縮合する方法によって合成することもできる。この場合、電荷輸送性モノマー1当量に対して、酸触媒を1/10000当量〜1/10当量、好ましくは1/1000当量〜1/50当量の範囲で用いる。重合中に生成する水を除去するために、水と共沸可能な溶剤を用いるのが好ましい。
溶剤としては、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1当量〜100当量、好ましくは2当量〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。
3)上記電荷輸送性ポリエーテルは、イソシアン化シクロヘキシル等のイソシアン化アルキル、シアンン化シクロヘキシル等のイソシアン化アルキル、シアン酸p−トリルや2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン等のシアン酸エステル、ジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC)、トリクロロアセトニトリル等の縮合剤を用いる方法によっても合成することができる。この場合、縮合剤は、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1/2当量〜10当量、好ましくは1当量〜3当量の範囲で用いられる。
溶剤として、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1当量〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、室温から溶剤の沸点で反応させることが好ましい。
上記1)、2)及び3)の合成法のうち、異性化や副反応が起こりにくいことから、合成法1)又は3)が好ましい。特に、合成法3)が、反応条件がより穏和なことからより好ましい。
反応終了後、溶剤を用いなかった場合は溶解可能な溶剤に溶解させる。溶剤を用いた場合には、そのまま、メタノール、エタノール等のアルコール類や、アセトン等の電荷輸送性ポリマーが溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリマーを析出させ、電荷輸送性ポリマーを分離した後、水や有機溶剤で十分に洗浄し、乾燥させる。
さらに必要であれば、適当な有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリマーを析出させる再沈澱処理を繰り返してもよい。
再沈澱処理の際には、メカニカルスターラー等で、効率よく撹拌しながら行うことが好ましい。再沈澱処理の際に電荷輸送性ポリマーを溶解させる溶剤は、電荷輸送性ポリマー1当量に対して、1当量〜100当量、好ましくは2当量〜50当量の範囲で用いられる。また、貧溶剤は電荷輸送性ポリマー1当量に対して、1当量〜1000当量、好ましくは10当量〜500当量の範囲で用いられる。さらに、上記反応において、電荷輸送性モノマーを2種以上、好ましくは2種〜5種、さらに好ましくは2種〜3種用いることにより、共重合ポリマーの合成も可能である。異種の電荷輸送性モノマーを共重合することによって、電気特性、成膜性、溶解性を制御することができる。
電荷輸送性ポリマーの末端基は、電荷輸送性モノマーと同様にヒドロキシル基、すなわちRが水素原子であってよいが、溶解性、成膜性、モビリティー等のポリマー物性に影響を及ぼす場合には、末端基Rを修飾し物性を制御することができる。例えば、末端のヒドロキシル基を、硫酸アルキル、ヨウ化アルキル等でアルキルエーテル化することができる。
具体的な試薬としては、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基1当量に対し1当量〜3当量、好ましくは1当量〜2当量の範囲で用いる。その際、塩基触媒を用いることができるが、塩基触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウム金属等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基1等量に対し1当量〜3当量、好ましくは1当量〜2当量の範囲で用いる。
反応温度は、0℃から使用する溶剤の沸点で行うことができる。また、その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の不活性溶剤から選んだ単独溶剤、あるいは2〜3種の混合溶剤が使用できる。
また、反応によっては、相間移動触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド等の第4級アンモニウム塩を使用することもできる。また、末端のヒドロキシル基を、酸ハロゲン化物を用いアシル化して、基Rをアシル基にすることもできる。酸ハロゲン化物は特に限定するものではないが、例えばアクリロイルクロリド、クロトノイルクロリド、メタクリロイルクロリド、n−ブチルクロリド、2−フロイルクロリド、ベンゾイルクロリド、シクロヘキサンカルボニルクロリド、エナンチルクロリド、フェニルアセチルクロリド、o-トルオイルクロリド、m-トルオイルクロリド、p−トルオイルクロリド等があげられ、末端のヒドロキシル基1当量に対し1当量〜3当量、好ましくは1当量〜2当量の範囲で用いる。その際、塩基触媒を用いることができるが、塩基触媒としては、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等から任意に選ぶことができ、酸クロリドに対し1当量〜3当量、好ましくは1当量〜2当量の範囲で用いる。その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、塩化メチルン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等があげられる。
反応は、0℃から溶剤の沸点で行うことができる。好ましくは、0℃から30℃の範囲で行う。さらに、無水酢酸等の酸無水物を用いてもアシル化することができる。溶剤を用いる場合は、具体的には、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の不活性溶剤を使用することができる。反応は、0℃から溶剤の沸点で行うことができる。好ましくは、50℃から溶剤の沸点で行えばよい。
そのほか、モノイソシアネートを用い、末端にウレタン残基(―CONH―R’)を導入することができる。具体的なモノイソシアネートとしては、イソシアン酸ベンジルエステル、イソシアン酸n−ブチルエステル、イソシアン酸t−ブチルエステル、イソシアン酸シクロヘキシルエステル、イソシアン酸2,6−ジメチルエステル、イソシアン酸エチルエステル、イソシアン酸イソプロピルエステル、イソシアン酸2−メトキシフェニルエステル、イソシアン酸4−メトキシフェニルエステル、イソシアン酸n−オクタデシルエステル、イソシアン酸フェニルエステル、イソシアン酸i−プロピルエステル、イソシアン酸m−トリルエステル、イソシアン酸p−トリルエステル、イソシアン酸1−ナフチルエステル等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基1当量に対し1当量〜3当量、好ましくは1当量〜2当量の範囲で用いる。
その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等をあげることができる。
反応温度は、0℃から使用溶剤の沸点で行うことができる。反応が進みにくい場合は、ジラウリン酸ジブチルスズ(II)、オクチル酸スズ(II)、ナフテン酸鉛等の金属化合物、あるいはトリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の3級アミンを触媒として添加することもできる。
次に、本発明の有機電界発光素子における、下記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルについて説明する。
Figure 2007201190
上記一般式(BI−1)および(BI−2)中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、または、置換もしくは未置換の芳香族基を表す。
ここでいう芳香族基としては、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基のようなフェニル基誘導体、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントラニル基のような縮環系誘導体、チエニル基、メチルチエニル基、フラニル基、オキサジアゾール基のような複素環系誘導体が好適に用いられる。
また、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素、または、炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表し、l、mは0または1を表す。Tの具体的な構造としては、以下を挙げることができる。
Figure 2007201190
上記一般式(BI−1)及び(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなるホール輸送性ポリエーテル(電荷輸送性ポリエーテル)としては、下記一般式(BII)で示されるものが好適に使用される。
Figure 2007201190
上記一般式(BII)中、Aは前記一般式(BI−1)及び(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、一つのポリマー中に2種類以上の構造のAが含まれてもよい。
また、一般式(BII)中、Rは水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換のアラルキル基を表す。上記アルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、2-エチル−ヘキシル基等が挙げられる。前記アリール基としては、炭素数が6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、炭素数が7〜20のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。また、前記置換アリール基、置換アラルキル基の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(BII)中、電荷輸送性ポリマーの重合度を表すpは、5〜5000の範囲に設定され、好ましくは、10〜3000、より好ましくは15〜1000の範囲に設定される。
電荷輸送性ポリエーテルの重合度pが、5未満であると、成膜性に劣り強固な膜が得られにくいという問題がある。また、電荷輸送性ポリエーテルの重合度pが5000より高いと、溶剤への溶解度が低くなり、加工性が悪くなる。
また、本発明の電荷輸送性ポリエーテルの重量平均分子量Mwは5000〜1000000の範囲であるが、10000〜300000の範囲にあるのが好ましい。
一般式(BI−1)又は一般式(BI−2)に示される構造から選択された少なくとも一種を部分構造として含む繰返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルは、下記構造式(BIII−1)又は(BIII−2)で示される電荷輸送性モノマーを、例えば、第4版実験化学講座第28巻(丸善、1993)等に記載された公知の方法で重合させることによって合成することができる。なお、下記構造式(BIII−1)又は(BIII−2)中、R1、T、l、mは、前記一般式(BI−1)及び一般式(BI−2)におけるR1、T、l、mと各々同様である。
Figure 2007201190
上記一般式(BII)で示される電荷輸送性ポリエーテルは、次のようにして合成することができる。
1)上記電荷輸送性ポリエーテルは、上記2個のヒドロキシアルキル基を有する電荷輸送性化合物(電荷輸送性モノマー)を加熱脱水縮合する方法によって合成することができる。この場合、無溶剤で電荷輸送性モノマーを加熱溶融し、水の脱水による重合反応促進させるために減圧下で反応させることが望ましい。また、溶媒を使用する場合は、水の除去のため、水と共沸する溶媒、例えばトリクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1当量〜100当量、好ましくは2当量〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶媒の沸点で反応させるのが好ましい。重合が進まない場合には、反応系から溶媒を除去し、粘ちょう状態で加熱攪拌してもよい。
2)上記電荷輸送性ポリエーテルは、酸触媒として、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等のプロトン酸、或いは、塩化亜鉛等のルイス酸を用い脱水縮合する方法によって合成することもできる。この場合、電荷輸送性モノマー1当量に対して、酸触媒を1/10000当量〜1/10当量、好ましくは1/1000当量〜1/50当量の範囲で用いる。重合中に生成する水を除去するために、水と共沸可能な溶剤を用いるのが好ましい。溶媒としては、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1当量〜100当量、好ましくは2当量〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶媒の沸点で反応させるのが好ましい。
3)上記電荷輸送性ポリエーテルは、イソシアン化シクロヘキシル等のイソシアン化アルキル、シアン酸p−トリルや2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン等のシアン酸エステル、ジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC)、トリクロロアセトニトリル等の縮合剤を用いる方法によっても合成することができる。この場合、縮合剤は、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1/2当量〜10当量、好ましくは、1当量〜3当量の範囲で用いられる。溶媒として、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、電荷輸送性モノマー1当量に対して、1当量〜100当量、好ましくは2当量〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、室温から溶剤の沸点で反応させるのが好ましい。
上記1)、2)、及び3)の合成法のうち、異性化や副反応が起こりにくいことから、合成法1)又は3)が好ましい。特に合成法3>は反応条件が穏和なことからより好ましい。
反応終了後、溶剤を用いなかった場合は溶解可能な溶剤に溶解させる。溶剤を用いた場合には、そのまま、メタノール、エタノール等のアルコール類や、アセトン等の電荷輸送性ポリマーが溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリマーを析出させ、電荷輸送性ポリマーを分離した後、水や有機溶剤で十分に洗浄し、乾燥させる。さらに必要であれば、適当な有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリマーを析出させる再沈澱処理を繰り返してもよい。
再沈澱処理の際には、メカニカルスターラー等で効率よく攪拌しながら行うことが好ましい。再沈殿処理の際に、電荷輸送性ポリマーを溶解させる溶剤は、電荷輸送性ポリマー1当量に対して、1当量〜100当量、好ましくは2当量〜50当量の範囲で用いられる。また、貧溶剤は電荷輸送性ポリマー1当量に対して、1当量〜1000当量、好ましくは10当量〜500当量の範囲で用いられる。さらに上記反応において、電荷輸送性モノマーを2種以上、好ましくは2種〜5種、さらに好ましくは2種〜3種用いることにより、共重合ポリマーの合成も可能である。異種の電荷輸送性モノマーを共重合することによって、電気特性、成膜性、溶解性を制御することができる。
電荷輸送性ポリマーの末端基は、電荷輸送性モノマーと同様に、ヒドロキシル基、すなわちRが水素原子であってよいが、溶解性、成膜性、モビリティー等のポリマー物性に影響を及ぼす場合には、末端基Rを修飾し物性を制御することができる。
例えば、末端のヒドロキシル基を、硫酸アルキル、ヨウ化アルキル等でアルキルエーテル化することができる。具体的な試薬としては、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対して、1当量〜3当量、好ましくは、1当量〜2当量の範囲で用いる。その際、塩基触媒を用いることができるが、塩基触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウム金属等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対し、0.9当量〜3当量、好ましくは、1当量〜2当量の範囲で用いられる。
反応温度は、0℃から使用する溶剤の沸点で行うことができる。また、その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の不活性溶剤から選んだ単独溶剤、あるいは2種〜3種の混合溶剤が使用できる。
また、反応によっては、相間移動触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド等の第4級アンモニウム塩を使用することもできる。また、末端のヒドロキシル基を、酸ハロゲン化物を用いてアシル化し、基Rをアシル基にすることもできる
酸ハロゲン化物は特に限定するものではないが、例えば、アクリロイルクロリド、クロトノイルクロリド、メタクリロイルクロリド、n−ブチルクロリド、2−フロイルクロリド、ベンゾイルクロリド、シクロヘキサンカルボニルクロライド、エナンチルクロリド、フェニルアセチルクロリド、o−トルオイルクロリド、m−トルオイルクロリド、p−トルオイルクロリド等が挙げられ、末端のヒドロキシル基に対して、1当量〜3当量、好ましくは、1当量〜2当量の範囲で用いる。
その際、塩基触媒を用いることができるが、塩基触媒をしては、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等から任意に選ぶことができ、酸クロリドに対し1当量〜3当量、好ましくは1当量〜2当量の範囲で用いる。その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等が挙げられる。反応は、0℃から使用する溶剤の沸点で行うことができる。好ましくは、0℃から30℃の範囲で用いる。
さらに、無水酢酸等の酸無水物を用いてもアシル化することができる。溶剤を用いる場合は、具体的には、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の不活性溶剤を使用することができる。反応は、0℃から溶剤の沸点で行うことができる。好ましくは、50℃から溶剤の沸点で行えばよい。そのほか、モノイソシアネートを用い、末端にウレタン残基(−CONH−R’)を導入することができる。具体的なモノイソシアネートとしてはイソシアン酸ベンジルエステル、イソシアン酸n−ブチルエステル、イソシアン酸t−ブチルエステル、イソシアン酸シクロヘキシルエステル、イソシアン酸2,6−ジメチルエステル、イソシアン酸エチルエステル、イソシアン酸イソプロピルエステル、イソシアン酸2−メトキシフェニルエステル、イソシアン酸4−メトキシフェニルエステル、イソシアン酸n−オクタデシルエステル、イソシアン酸フェニルエステル、イソシアン酸イソプロピルエステル、イソシアン酸m−トリルエステル、イソシアン酸p−トリルエステル、イソシアン酸1−ナフチルエステル等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対し、1当量〜3当量、好ましくは1当量〜2当量の範囲で用いる。その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができる。
反応温度は、0℃から使用溶剤の沸点で行うことができる。反応が進みにくい場合は、ジラウリン酸ジブチルスズ(II)、オクチルスズ(II)、ナフテン酸鉛等の金属化合物、あるいは、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の3級アミンを触媒として添加することもできる。
次に、発光性高分子について説明する。
発光性高分子としては、固体状態で電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移により、あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光を示す化合物が用いられる。
ここで、前記電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移による発光とは、上記励起三重項状態から直接燐光を発してなされる発光をいい、また、前記電子エネルギー準位の励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移による発光とは、例えば励起三重項状態から別のエネルギー状態に移り、そこから基底状態への遷移時に燐光及び/又は蛍光を発してなされる発光をいう。
前記励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移により発光を示す化合物としては、例えば、特開2002−50483号公報に開示されているように、燐光発光性の第1の有機化合物に当たる部分の励起三重項状態から蛍光発光性の第2の有機化合物に当たる部分の励起三重項状態へのエネルギー移動が起こり、第2の有機化合物の部分から蛍光発光が起こるような2種類の成分からなるものが挙げられる。
なお、前記発光性高分子が上記励起三重項状態を経由して発光する部分を含む場合には、発光性高分子における発光性部分に含まれる燐光発光性の部分及び蛍光発光性の部分のうち、少なくとも一方が高分子鎖の一部をなすか又は高分子鎖に結合していることが好ましい。この場合において、高分子鎖の一部をなすか又は高分子鎖に結合している燐光発光性の部分及び/又は蛍光発光性の部分は、高分子の主鎖を形成していてもよく、また高分子の側鎖を形成していてもよい。
また、上記の場合発光性高分子としては、燐光発光性の部分を含む高分子及び蛍光発光性の部分を含む高分子が混合されたものであってもよいし、燐光発光性の部分を含むモノマーと蛍光発光性の部分を含むモノマーとを共重合したものであってもよい。
上記発光性高分子における励起三重項状態からの発光を含めた発光の量子収率の値としては、0.1以上が好ましく、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.5以上である。これらの燐光発光性の部分に適用できる励起三重項状態の発光の量子収率が高い化合物としては金属錯体を挙げられるが、何らこれに限定されるものではない。
上記金属錯体の具体的な例としては、(1)イリジウム錯体や白金錯体等の遷移金属錯体、及びこれらの誘導体等の遷移金属錯体、(2)希土類金属錯体、などを挙げることができる。これらは高温でも比較的安定な励起三重項状態を有する点で好ましい。また、後述のように、配位能のある官能基を有する高分子を遷移金属原子に配位させることにより容易に錯体化が行える点からも好ましい。
前記遷移金属錯体に使用される遷移金属としては、周期表において第1遷移元素系列では原子番号21のScから原子番号30のZnまでを、第2遷移元素系列では原子番号39のYから原子番号48のCdまでを、第3遷移元素系列では原子番号72のHfから原子番号80のHgまでを含める。また、前記希土類金属錯体に使用される希土類金属としては、周期表において原子番号57のLaから原子番号71のLuまでを含める。
前記発光性部分は非イオン性であることが好ましい。これは、発光性部分がイオン性である場合には、例えば発光性部分を含む発光層に電圧を印加した場合には電気化学発光が起こり、この発光の応答速度が分オーダーと極めて遅くなり、ディスプレイ用途には好ましくないためである。
前述の「発光性部分が高分子鎖の一部をなす」とは、発光性部分構造が高分子鎖の繰り返し単位の少なくとも一種類を構成していることを意味する。したがって、前記のように発光性高分子が共重合体である場合、構成モノマーの少なくとも一種が発光性部分構造を有することになる。また、該発光性部分は高分子の主鎖をなしていてもよく、側鎖(ペンダント基等)であってもよい。
また、前述の「発光性部分が高分子鎖に結合している」とは、高分子化合物中に発光性部分がその程度、形態を問わず、結合していればよいことを意味する。このような発光性高分子を得るための具体的な方法としては、発光性部分を高分子の主鎖として組み込む方法、又は側鎖(ペンダント基を含む)として結合させる方法などを挙げることができるが、何らこれらに限定されるものではない。また、前記遷移金属錯体及び希土類金属錯体の場合には、錯体を形成する配位子のうち少なくとも1つの配位子を高分子の主鎖として組み込む方法、又は側鎖として結合させる方法などが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
また、上記遷移金属錯体及び希土類金属錯体に配位される配位子としては、アセチルアセトナト、2,2’−ビピリジン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、2−フェニルピリジン、ポルフィリン、フタロシアニン、ピリミジン、キノリン及び/又はこれらの誘導体などを例示することができるが、何らこれらに限定されるものではない。これらの配位子は、1つの錯体について1種類又は複数種類が配位される。また、このような錯体化合物として二核錯体あるいは多核錯体や、2種類以上の錯体の複錯体を使用することもできる。
前記発光性部分においては、金属錯体の中心金属となる金属原子は高分子鎖の1つ以上の部位で拘束される。これを達成する方法は特に限定はされないが、上述したような配位結合による錯体化を始め、電荷移動による錯体化、イオン結合、共有結合等が挙げられる。これらの中では、配位子を高分子に結合させて発光物質を錯体化させる方法が発光物質の電子状態の変化を小さくして高分子に固定化させることができるため好ましい。この場合、配位子を高分子に共有結合させて錯体化させる方法が材料の設計及び合成が容易であり特に好ましい。
また、中心金属となる金属原子がイオンの場合には、前述の理由により、発光性部分を中性(非イオン性)とする方法が採られることが好ましく、この方法としては、例えば、配位結合と共にイオンの価数を中和するに足りる共有結合を有する有機金属化合物とする方法などが挙げられるが、何らこれに限定されるものではない。
本発明における金属原子を拘束する発光性高分子としては、特に限定はされないが、例えば、前記配位子として例示したピリジン基やビピリジル基、ピリミジン基、キノリン基等の複素環化合物を、高分子の主鎖及び/又は側鎖に結合させたものを用いることができる。このような高分子としてより具体的には、ポリピリジンジイル、ポリビピリジンジイル、ポリキノリンジイル等の主鎖に配位子を含む高分子及び/又はこれらの誘導体、ポリビニルピリジン、ポリ(メタ)アクリルピリジン、ポリビニルキノリン等の、側鎖に配位子を有する高分子及び/又はこれらの誘導体、さらには上記の構造を組み合わせた高分子等が挙げられる。
また、本発明に用いられる発光性高分子としては、発光性部分がその一部をなすか又は結合しているモノマー単位と、発光性部分を有しないモノマー単位との共重合体を用いることもできる。ここで、発光性部分を有しないモノマー単位としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン及びその誘導体などを例示することができるが、何らこれらに限定されるものではない。
本発明における発光性高分子の重合度は、5〜10,000の範囲の整数であることが好ましく、10〜5,000の範囲の整数であることがより好ましい。また、発光性高分子の重量平均分子量Mwは、5,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、10,000〜300,000の範囲であることがより好ましい。
次に、本発明の有機EL素子の層構成について詳記する。
本発明の有機EL素子は、少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極と、それら電極間に挾持された発光層を含む1つまたは複数の有機化合物層より構成され、該有機化合物層の少なくとも該有機化合物層の少なくとも1層が、少なくとも1種の前記電荷輸送性ポリエーテルと、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子とを含有する。
本発明の有機電界発光素子において、有機化合物層が複数層構成の場合(即ち、各層が異なる機能を有する機能分離型の場合)は、少なくともいずれか一層が発光層からなり、この発光層は電荷輸送機能を持つ発光層であってもよい。この場合、前記発光層あるいは前記電荷輸送機能を持つ発光層と、その他の層からなる層構成の具体例としては、発光層と電子輸送層および/または電子注入層とから構成される層構成(1)、正孔輸送層および/または正孔注入層と発光層と電子輸送層および/または電子注入層とから構成される層構成(2)、正孔輸送層および/または正孔注入層と発光層とから形成される層構成(3)が挙げられ、これら層構成(1)〜(3)の発光層及び電荷輸送機能を持つ発光層以外の層は電荷輸送層や電荷注入層としての機能を有する。
一方、有機化合物層が単層の場合は、有機化合物層が電荷輸送機能を持つ発光層を意味し、この電荷輸送機能を持つ発光層が前記電荷輸送性ポリエーテルと発光性高分子とを含有する。
なお、層構成(1)〜(3)のいずれの層構成においても、発光性高分子を含む発光層にホスト材料としての機能も有する前記電荷輸送性ポリエーテルが含まれていればよく、必要に応じて、他の層に前記電荷輸送性ポリエーテルが含まれていてもよい。また、本発明の有機EL素子においては、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層は、電荷輸送性材料(前記電荷輸送性ポリエーテル以外の正孔輸送性材料、電子輸送性材料)を含有してもよい。詳しくは後述する。以下、図面を参照しつつ、より詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
図1〜図4は、本発明の有機EL素子の層構成を説明するための模式的断面図であって、図1、図2、図3は、有機化合物層が複数の場合の一例であり、図4は、有機化合物層が1つの場合の例を示す。なお、図1〜図4において、同様の機能を有するものは同じ符号を付して説明する。
図1に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、発光層4、電子輸送層5及び背面電極7を順次積層してなる。図2に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5及び背面電極7を順次積層してなる。図3に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、発光層4及び背面電極7を順次積層してなる。図4に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、電荷輸送能を有する発光層6及び背面電極7を順次積層してなる。なお、これらの層以外にも必要に応じて正孔注入層、電子注入層などが設けられる。以下、各々を詳しく説明する。
本発明における前記電荷輸送性ポリエーテルを含有する有機化合物層は、その構造によっては、例えば、図1に示される有機EL素子の層構成の場合、電子輸送層5、発光層4(この場合には、電荷輸送能を有する発光層となる)としていずれも作用することができるし、また、図2に示される有機EL素子の層構成の場合、正孔輸送層3、電子輸送層5としていずれも作用することができ、図3に示される有機EL素子の層構成の場合、正孔輸送層3、発光層4(この場合には、電荷輸送能を有する発光層となる)としていずれも作用することができ、図4に示される有機EL素子の層構成の場合、電荷輸送能を有する発光層6として作用することができる。
以下、電極や各層の材料、製造方法について説明する。
図1〜図4に示される有機EL素子の層構成の場合、透明絶縁体基板1は、発光を取り出すため透明なものが好ましく、ガラス、プラスチックフィルム等が用いられる。また、透明電極2は、透明絶縁体基板と同様に発光を取り出すため透明であって、かつ正孔の注入を行うため仕事関数の大きなものが好ましく、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の酸化膜、及び蒸着あるいはスパッタされた金、白金、パラジウム等が好ましく用いられる。
図1及び図2に示される有機EL素子の層構成の場合、電子輸送層5は、目的に応じて機能(電子輸送能)が付与された前記電荷輸送性ポリエーテル単独で形成されていてもよいが、電気的特性をさらに改善する等の目的で、電子移動度を調節するために、電荷輸送性ポリエーテル以外の電子輸送材料を、電子輸送層5を構成する材料全体の重量に対して1〜50重量%の範囲で混合分散して形成されていてもよい。このような電子輸送材料としては、好適にはオキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられる。
前記電子輸送材料の好適な具体例として、下記例示化合物(V−1)〜(V−4)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、前記電荷輸送性ポリエーテルを用いない場合、電子輸送層5はこれら電子輸送性材料を単独で用いて形成されることとなる。ここで、(V−4)中、nは1以上の整数を示す。
Figure 2007201190
なお、陰極からの電子注入性を改善することを目的として、電子輸送層5と背面電極7との間に前記電子注入層を形成する場合の材料は、陰極から電子を注入する機能を有しているものであればよく、前記電子輸送材料と同様の材料を用いることができる。
図2及び図3に示される有機EL素子の層構成の場合、正孔輸送層3は、目的に応じて機能(正孔輸送能)が付与された電荷輸送性ポリエーテル単独で形成されていてもよいが、正孔移動度を調節するために電荷輸送性ポリエーテル以外の正孔輸送材料を、正孔輸送層3を構成する材料全体の重量に対して1〜50重量%の範囲で混合分散して形成されていてもよい。
このような正孔輸送材料としては、テトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導、スチルベン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、ポルフィリン系化合物等が好ましく用いられる。特に好適な具体例として下記例示化合物(VI−1)〜(VI−9)が挙げられるが、これらの中では、電荷輸送性ポリエーテルとの相容性が良いことから、テトラフェニレンジアミン誘導体が好ましい。また、他の汎用の樹脂等との混合で用いてもよい。なお、前記電荷輸送性ポリエーテルを用いない場合、正孔輸送層3はこれら正孔輸送性材料を単独で用いて形成されることとなる。ここで、(VI−7)〜(VI〜9)中、nは1以上の整数を示す。
Figure 2007201190
Figure 2007201190
なお、陽極からの正孔注入性を改善することを目的として、透明電極2と正孔輸送層3との間に前記正孔注入層を形成する場合の材料は、陽極から正孔を注入する機能を有しているものであればよく、前記正孔輸送材料と同様の材料を用いることができるが、特に好適な具体例としては下記例示化合物(VII−1)または(VII−2)が挙げられる。ここで、(VI−2)中、nは1以上の整数を示す。
Figure 2007201190
図1、図2及び図3に示される有機EL素子の層構成の場合、発光層4は、前述したように、少なくとも前記電荷輸送性ポリエーテルを含む発光層4を構成する材料全体に対して前記発光性高分子を0.1〜50重量%の範囲で分散させて形成する。
なお、発光層4を構成する材料としては前記電荷輸送性ポリエーテルおよび前記発光性高分子以外にも、必要に応じて前記電荷輸送性ポリエーテル以外の電荷輸送性高分子材料や絶縁性高分子材料を併用することができる。
図4に示される有機EL素子の層構成において、電荷輸送能を有する発光層6は、例えば目的に応じて機能(正孔輸送能、あるいは電子輸送能)が付与された前記電荷輸送性ポリエーテル中に、発光材料として前記発光性高分子が電荷輸送能を有する発光層6を構成する材料全体の重量に対して0.1〜50重量%の範囲で分散された有機化合物層であるが、有機EL素子に注入される正孔と電子とのバランスを調節するために、前記電荷輸送性ポリエーテル以外の電荷輸送材料を10〜50重量%の範囲で分散させてもよい。
このような電荷輸送材料としては、電子移動度を調節する場合には、電子輸送材料として好適にはオキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられ、好適な具体例としては、前記例示化合物(V−1)〜(V−4)が挙げられる。また、前記電荷輸送性ポリエーテルと強い電子相互作用を示さない有機化合物が用いられることが好ましく、より好ましくは下記例示化合物(VIII)が用いられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2007201190
同様に正孔移動度を調節する場合には、正孔輸送材料として好適にはテトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導、スチルベン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、ポルフィリン系化合物等が挙げられ、特に好適な具体例としては、前記例示化合物(VI−1)〜(VI−9)が挙げられ、電荷輸送性ポリエーテルとの相容性が良いことから、テトラフェニレンジアミン誘導体が好ましい。
図1〜図4に示される有機EL素子の層構成の場合、背面電極7には、真空蒸着可能で、電子注入を行うため仕事関数の小さな金属が使用されるが、特に好ましくはマグネシウム、アルミニウム、銀、インジウム及びこれらの合金である。また、背面電極7上には、さらに素子の水分や酸素による劣化を防ぐために保護層を設けてもよい。
具体的な保護層の材料としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Alなどの金属、MgO、SiO2、TiO2等の金属酸化物、ポリエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD法、コーティング法が適用できる。
これら図1〜図4に示される有機EL素子の各層形成は以下のように行われる。まず、透明電極2の上に各有機EL素子の層構成に応じて、正孔輸送層3や発光層4、あるいは電荷輸送能を有する発光層6を形成する。正孔輸送層3、発光層4及び電荷輸送能を有する発光層6は、前記各材料を真空蒸着法、もしくは有機溶媒中に溶解あるいは分散し、得られた塗布液を用いて前記透明電極2上にスピンコーティング法、ディップ法等を用いて製膜することにより形成する。
次に、各有機EL素子の層構成に応じて、発光層4、電子輸送層5は、前記各材料を、真空蒸着法、もしくは有機溶媒中に溶解あるいは分散し、得られた塗布液を用いて前記正孔輸送層3や発光層4の表面にスピンコーティング法、ディップ法等を用いて製膜することによって形成される。
なお、本発明においては、電荷輸送材料として高分子を含むため、各層の形成は塗布液を用いた製膜法により行うことが好ましい。
形成される正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5の膜厚は、各々0.1μm以下であることが好ましく、特に、0.03〜0.08μmの範囲であることが好ましい。また、電荷輸送能を有する発光層6の膜厚は、0.03〜0.2μmの範囲程度が好ましい。なお、前記正孔注入層、電子注入層を形成する場合の膜厚は、各々前記正孔輸送層3、電子輸送層5と同程度もしくは薄い膜厚であることが好ましい。
前記各材料(前記電荷輸送性ポリエーテル、発光材料等)の層中での分散状態は分子分散状態でも微粒子分散状態でも構わない。塗布液を用いた製膜法の場合、分子分散状態とするためには、分散溶媒は前記各材料の共通溶媒を用いる必要があり、微粒子分散状態とするためには、分散溶媒は前記各材料の分散性及び溶解性を考慮して選択する必要がある。微粒子状に分散するためには、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、アトライター、ボールミル、ホモジェナイザー、超音波法等が利用できる。
そして、最後に、電子輸送層5や発光層4、あるいは電荷輸送能を有する発光層6の上に背面電極7を真空蒸着法により形成することにより素子が完成される。
本発明の有機EL素子は、一対の電極間に、例えば、4〜20Vで、電流密度が1〜200mA/cm2の範囲の直流電圧を印加することによって、充分発光させることができる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。まず、実施例に用いた電荷輸送性ポリエーテルは、例えば以下のようにして得た。
(実施例A1)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AIX)〔GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定した重量平均分子量(Mw)は6.9×104(スチレン換算)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は2.8〕を1重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)を0.1重量部とを混合し、10重量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して、膜厚が0.15μmの電荷輸送能を有する発光層を形成した。
十分乾燥させた後、電子輸送性材料として前記電荷輸送性材料(V−4)を5重量%ジクロロエタン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過し、この溶液を前記発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚が0.1μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極を前記ITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
Figure 2007201190
(実施例A2)
正孔輸送性材料として前記電荷輸送性材料(VI−9)(Mw=1.04×105(スチレン換算)であり、Mw/Mn=1.87)を5重量%クロロベンゼン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚が0.1μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AIX)を1重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)を0.1重量部とを混合し、10重量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmPTFEフィルターで濾過し、この溶液を前記正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚が0.15μmの電荷輸送能を有する発光層を形成した。
さらに十分乾燥させた後、電子輸送性材料として電荷輸送性ポリエーテル(AXI)〔GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定した重量平均分子量(Mw)は1.03×105(スチレン換算)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は3.2〕を5重量%ジクロロエタン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過し、この溶液を前記発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚が0.1μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極を前記ITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
Figure 2007201190
(実施例A3)
正孔輸送性材料として前記電荷輸送性材料(VI−9)を5重量%クロロベンゼン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚が0.1μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AIX)を1重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)を0.1重量部とを混合し、10重量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmPTFEフィルターで濾過し、この溶液を前記正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚が0.15μmの電荷輸送能を有する発光層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極を前記ITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(実施例A4)
実施例A3において、正孔輸送層を形成する前に、短冊型ITO電極を形成したガラス基板上にバイトロン(Baytron)P(バイエル株式会社製、ポリエチレンジオキサイドチオフェン、前記例示化合物(VII−2))とポリスチレンスルホン酸とのポリマーの混合水分散液)をスピンコート法により塗布して、ITO電極と正孔輸送層との間に膜厚が0.05μmの正孔注入層を形成した以外は、実施例A3と同様にして素子を作製した。
(実施例A5)
電荷輸送材料として電荷輸送性ポリエステル(VI−9)を0.5重量部と、電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AIX)を0.5重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)を0.1重量部とを混合し、10重量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上にスピンコート法により塗布して、膜厚が0.15μmの電荷輸送能を有する発光層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(実施例A6)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AX)〔GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定した重量平均分子量(Mw)は8.1×104(スチレン換算)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は3.3〕を使用したこと以外は、実施例A1と同様に素子を作製した。
Figure 2007201190
(実施例A7)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AX)を使用したこと以外は、実施例A2と同様に素子を作製した。
(実施例A8)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AX)を使用したこと以外は、実施例A3と同様に素子を作製した。
(実施例A9)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AX)を使用したこと以外は、実施例A4と同様に素子を作製した。
(実施例A10)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AX)を使用したこと以外は、実施例A5と同様に素子を作製した。
(実施例A11)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AXI)を使用したこと以外は、実施例A1と同様に素子を作製した。
(実施例A12)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AXI)を使用したこと以外は、実施例A2と同様に素子を作製した。
(実施例A13)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AXI)を使用したこと以外は、実施例A3と同様に素子を作製した。
(実施例A14)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AXI)を使用したこと以外は、実施例A4と同様に素子を作製した。
(実施例A15)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(AXI)を使用したこと以外は、実施例A5と同様に素子を作製した。
(実施例B1)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BIX)〔GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定した重量平均分子量(Mw)は5.9×104(スチレン換算)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は2.8〕を1重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)を0.1重量部とを混合し、10重量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して、膜厚が0.15μmの電荷輸送能を有する発光層を形成した。
十分乾燥させた後、電子輸送性材料として前記電荷輸送性材料(V−4)を5重量%ジクロロエタン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過し、この溶液を前記発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚が0.1μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極を前記ITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
Figure 2007201190
(実施例B2)
正孔輸送性材料として前記電荷輸送性材料(VI−9)を5重量%クロロベンゼン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚が0.1μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BIX)を1重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)を0.1重量部とを混合し、10重量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmPTFEフィルターで濾過し、この溶液を前記正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚が0.15μmの電荷輸送能を有する発光層を形成した。
さらに十分乾燥させた後、電子輸送性材料として電荷輸送性ポリエーテル(BXI)〔GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定した重量平均分子量(Mw)は8.1×104(スチレン換算)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は3.0〕を5重量%ジクロロエタン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過し、この溶液を前記発光層上にスピンコート法により塗布し、膜厚が0.1μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極を前記ITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
Figure 2007201190
(実施例B3)
正孔輸送性材料として前記電荷輸送性材料(VI−9)を5重量%クロロベンゼン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して膜厚が0.1μmの正孔輸送層を形成した。
十分乾燥させた後、電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BIX)を1重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)を0.1重量部とを混合し、10重量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmPTFEフィルターで濾過し、この溶液を前記正孔輸送層上にスピンコート法により塗布して膜厚が0.15μmの電荷輸送能を有する発光層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極を前記ITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(実施例B4)
実施例B3において、正孔輸送層を形成する前に、短冊型ITO電極を形成したガラス基板上にバイトロン(Baytron)P(バイエル株式会社製、ポリエチレンジオキサイドチオフェン、前記例示化合物(VII−2))とポリスチレンスルホン酸とのポリマーの混合水分散液)をスピンコート法により塗布して、ITO電極と正孔輸送層との間に膜厚が0.05μmの正孔注入層を形成した以外は、実施例B3と同様にして素子を作製した。
(実施例B5)
電荷輸送材料として電荷輸送性ポリエステル(VI−9)を0.5重量部と、電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BIX)を0.5重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)を0.1重量部とを混合し、10重量%ジクロロエタン溶液として調製し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上にスピンコート法により塗布して、膜厚が0.15μmの電荷輸送能を有する発光層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(実施例B6)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BX)〔GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定した重量平均分子量(Mw)は7.9×104(スチレン換算)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は2.9〕を使用したこと以外は、実施例B1と同様に素子を作製した。
Figure 2007201190
(実施例B7)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BX)を使用したこと以外は、実施例B2と同様に素子を作製した。
(実施例B8)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BX)を使用したこと以外は、実施例B3と同様に素子を作製した。
(実施例B9)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BX)を使用したこと以外は、実施例B4と同様に素子を作製した。
(実施例B10)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BX)を使用したこと以外は、実施例B5と同様に素子を作製した。
(実施例B11)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BXI)を使用したこと以外は、実施例B1と同様に素子を作製した。
(実施例B12)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BXI)を使用したこと以外は、実施例B2と同様に素子を作製した。
(実施例B13)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BXI)を使用したこと以外は、実施例B3と同様に素子を作製した。
(実施例B14)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BXI)を使用したこと以外は、実施例B4と同様に素子を作製した。
(実施例B15)
電荷輸送材料兼ホスト材料として電荷輸送性ポリエーテル(BXI)を使用したこと以外は、実施例B5と同様に素子を作製した。
(比較例1)
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、ホスト材料として下記例示化合物(XVI)1重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)0.05重量部とを混合し、5重量%ジクロロエタン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して、膜厚が0.065μmの発光層を形成した。次いで、この発光層上に電子輸送材料として前記例示化合物(V−1)を用い、真空蒸着法により厚さが0.05μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(比較例2)
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、正孔輸送材料として前記例示化合物(VI−2)を用いて真空蒸着法により厚さが0.05μmの正孔輸送層を形成した。さらに、この正孔輸送層上に、ホスト材料として下記例示化合物(XVI)1重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)0.05重量部とを混合し、5重量%ジクロロエタン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して、膜厚が0.065μmの発光層を形成した。次いで、この発光層上に、電子輸送材料として前記例示化合物(V−1)を用い真空蒸着法により厚さが0.05μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(比較例3)
洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、正孔輸送材料として前記例示化合物(VII−2)を用いて真空蒸着法により厚さが0.05μmの正孔輸送層を形成した。さらに、この正孔輸送層上に、ホスト材料として下記例示化合物(XVI)1重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)0.05重量部とを混合し、5重量%ジクロロエタン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して、膜厚が0.065μmの発光層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(比較例4)
電荷輸送材料として前記例示化合物(VI−6)を1重量部と、ホスト材料として下記例示化合物(XVI)0.5重量部と、発光性高分子として下記例示化合物(XIII)0.05重量部とを混合し、5重量%ジクロロエタン溶液として調整し、0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この溶液を用いて、洗浄後乾燥させた2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコート法により塗布して、膜厚が0.15μmの電荷輸送能を有する発光層を形成した。その後、Mg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cm2であった。
(比較例5)
電荷輸送材料兼ホスト材料として下記例示化合物の電荷輸送性ポリエステル(XVII)(Mw=6.13×104(スチレン換算)、Mw/Mn=2.34)を使用したこと以外は、実施例A5およびB5と同様に素子を作製した。
なお、以下に実施例/比較例で用いた例示化合物(XIII)、例示化合物(XVI)、例示化合物(XVII)を示す。
Figure 2007201190
Figure 2007201190
Figure 2007201190
以上のように作製した有機EL素子を、真空中(1.33×10-1Pa)でITO電極側をプラス、Mg−Ag背面電極をマイナスとして10Vの直流電圧を印加し、発光について測定を行い、このときの最高輝度、及び発光色を評価した。それらの結果を表1〜表3に示す。また、乾燥窒素中で有機EL素子の発光寿命の測定を行った。発光寿命の評価は、初期輝度が50cd/m2となるように電流値を設定し、定電流駆動により輝度が初期値から半減するまでの時間を素子寿命(hour)とした。この時の駆動電流密度を素子寿命と共に表1〜表3に示す。
また、実施例および比較例で用いたホスト材料兼電荷輸送性ポリエーテルの各種溶媒に対する溶解性を表4に示す。なお、表4中には、実施例/比較例で用いたジクロロエタン・クロロベンゼンに加えて、有機EL素子の作製に際して実用上好適なその他の溶媒の結果についても示した。溶解性試験については溶媒100ml中に化合物5gを溶解し、その状況を目視により観察することで行った。
Figure 2007201190
Figure 2007201190
Figure 2007201190
Figure 2007201190
上記実施例に示すように、前記一般式(AI−1)及び(AI−2)、または前記一般式(BI−1)及び(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し構造単位からなる電荷輸送性ポリエーテルは、有機EL素子に好適なイオン化ポテンシャル及び電荷移動度を持ち、スピンコーティング法、ディップ法等湿式プロセスを用いて良好な薄膜を形成することが可能であった。また、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を併せて用いることで十分に高い輝度を示した。さらに本発明においては、良好な製膜性を有する発光性高分子のホスト材料として発光層に用いているため、素子全体としての作製が容易であり、得られる有機EL素子はピンホール等の不良も少なく、大面積化も容易であり、しかも優れた耐久性と発光特性を有していた。
また、本発明の電荷輸送性ポリエーテルは、他の高分子系燐光発光用ホスト材料に比べ、溶媒に対する溶解性が優れていることから製膜が容易で形成された膜の均一性も良好であり、混合する発光性高分子との相分離が生じにくい利点も有する。
本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。 本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。 本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。 本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示した概略構成図である。
符号の説明
1 透明絶縁体基板
2 透明電極
3 正孔輸送層および/または正孔注入層
4 発光層
5 電子輸送層および/または電子注入層
6 電荷輸送機能を有する発光層
7 背面電極

Claims (22)

  1. 少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、
    前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上と、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子とを含有することを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 2007201190
    〔一般式(AI−1)および(AI−2)中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、または、置換もしくは未置換の芳香族基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素、または、炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表し、l、mは0または1を表す。〕
  2. 前記有機化合物層が、少なくとも発光層と、電子輸送層および/または電子注入層とから構成され、
    少なくとも前記発光層が、前記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
    前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記有機化合物層が、少なくとも正孔輸送層および/または正孔注入層と、発光層と、電子輸送層および/または電子注入層とから構成され、
    少なくとも前記発光層が、前記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
    前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移により、あるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記有機化合物層が、少なくとも正孔輸送層および/または正孔注入層と、発光層とから構成され、
    少なくとも前記発光層が、前記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
    前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移により、あるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  7. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光素子。
  8. 前記有機化合物層が、少なくとも電荷輸送能を有する発光層から構成され、
    前記発光層が、前記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上と、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子とを含有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  9. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項8に記載の有機電界発光素子。
  10. 前記一般式(AI−1)及び(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルが、下記一般式(AII)で示される電荷輸送性ポリエーテルであることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2007201190
    (一般式(AII)中、Aは上記一般式(AI−1)及び(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、Rは水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換のアラルキル基を表し、pは5〜5000の整数を表す。)
  11. 少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上と、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子とを含有することを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 2007201190
    〔一般式(BI−1)および(BI−2)中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、または、置換もしくは未置換の芳香族基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素、または、炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表し、l、mは0または1を表す。〕
  12. 前記有機化合物層が、少なくとも発光層と、電子輸送層および/または電子注入層とから構成され、
    少なくとも前記発光層が、前記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
    前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする請求項11に記載の有機電界発光素子。
  13. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項12に記載の有機電界発光素子。
  14. 前記有機化合物層が、少なくとも正孔輸送層および/または正孔注入層と、発光層と、電子輸送層および/または電子注入層とから構成され、
    少なくとも前記発光層が、前記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
    前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする請求項11に記載の有機電界発光素子。
  15. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項14に記載の有機電界発光素子。
  16. 前記有機化合物層が、少なくとも正孔輸送層および/または正孔注入層と、発光層とから構成され、
    少なくとも前記発光層が、前記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、且つ、
    前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移により、あるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を1種以上含有することを特徴とする請求項11に記載の有機電界発光素子。
  17. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項16に記載の有機電界発光素子。
  18. 前記有機化合物層が、少なくとも電荷輸送能を有する発光層から構成され、該発光層が、前記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有し、さらに、前記発光層が、電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によりあるいは励起三重項状態を経由して基底状態への遷移により発光する発光性高分子を含有することを特徴とする請求項11に記載の有機電界発光素子。
  19. 前記発光層が、電荷輸送性材料を含むことを特徴とする請求項18に記載の有機電界発光素子。
  20. 前記一般式(BI−1)及び(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルが、下記一般式(BII)で示される電荷輸送性ポリエーテルであることを特徴とする請求項11に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2007201190
    (一般式(BII)中、Aは上記一般式(BI−1)及び(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、Rは水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換のアラルキル基を表し、pは5〜5000の整数を表す。)
  21. 少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、
    前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(AI−1)および(AI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 2007201190
    〔一般式(AI−1)および(AI−2)中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、または、置換もしくは未置換の芳香族基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素、または、炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表し、l、mは0または1を表す。〕
  22. 少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極間に挾持された、1つまたは複数の有機化合物層より構成される有機電界発光素子において、前記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(BI−1)および(BI−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 2007201190
    〔一般式(BI−1)および(BI−2)中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、または、置換もしくは未置換の芳香族基を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素、または、炭素数2〜10の分枝状炭化水素を表し、l、mは0または1を表す。〕
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012077293A (ja) * 2010-09-09 2012-04-19 Ricoh Co Ltd 新規カルバゾールポリマー及びその製法
JP2014508394A (ja) * 2010-10-19 2014-04-03 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド 有機発光素子および方法

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