JP2005256857A - ニードル軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】
保持器の強度を確保できるニードル軸受を提供する。
【解決手段】
保持器12の案内部12eの軸線方向長さL3が、ころ11の長さL1の5%未満であると、フレーキングが生じやすくなり、また案内部12eにころ11が衝突したときに案内部12eに生じる応力が過大となり、保持器12の寿命が短くなる。一方、案内部12eの軸線方向長さL3が、ころ11の長さL1の30%を超えると、柱部12bの付け根よりころ11が当接する位置までの距離L2が長くなり、ころ11が案内部12eに衝突したときの最大応力が高まり、保持器12の寿命が短くなる。よって、案内部12eの軸線方向長さL3が、ころ11の長さL1の5〜30%であると、各部の応力バランスをとりながら、保持器12の寿命を最大限延長することができる。
【選択図】 図6
保持器の強度を確保できるニードル軸受を提供する。
【解決手段】
保持器12の案内部12eの軸線方向長さL3が、ころ11の長さL1の5%未満であると、フレーキングが生じやすくなり、また案内部12eにころ11が衝突したときに案内部12eに生じる応力が過大となり、保持器12の寿命が短くなる。一方、案内部12eの軸線方向長さL3が、ころ11の長さL1の30%を超えると、柱部12bの付け根よりころ11が当接する位置までの距離L2が長くなり、ころ11が案内部12eに衝突したときの最大応力が高まり、保持器12の寿命が短くなる。よって、案内部12eの軸線方向長さL3が、ころ11の長さL1の5〜30%であると、各部の応力バランスをとりながら、保持器12の寿命を最大限延長することができる。
【選択図】 図6
Description
本発明は、ニードル軸受に関し、特に遊星歯車機構等に用いたときに信頼性を向上させることができるニードル軸受に関する。
車両等に搭載されている自動変速機において、一般的には遊星歯車機構が用いられている。ここで、ニードル軸受は、細径のころを用いていることから、内輪外径と外輪内径との差が小さいスペースにも収めることができるので、遊星歯車機構の遊星歯車を回転自在に支持するために用いると、それを搭載した自動変速機のコンパクト化に寄与するので好ましいといえる(特許文献1参照)。
特開2002−349647号公報
ところで、近年は、燃費の向上などを目的として、自動変速機においても多段化される傾向がある。しかるに、現在は4速が主流である自動変速機を、例えば5速或いは6速に多段化しようとすると、動力を伝達する遊星歯車機構の遊星歯車の自転速度及び公転速度が増大するということがある。このような仕様の変化に伴い、保持器を用いないいわゆる総ころと呼ばれる従来のニードル軸受に対し、より低摩擦且つ潤滑性に優れた保持器付きのニードル軸受が開発されている。
ここで、遊星歯車機構において、遊星歯車は自転しながら太陽歯車の周囲を公転しているが、このとき遊星歯車を支持するニードル軸受も自転すると共に、太陽歯車の周囲を公転するので、それらを合成した遠心力がニードル軸受に付与されることとなる。
このようにニードル軸受自体に強い遠心力が生じると、この遠心力により保持器が楕円変形し、またころの遠心力により保持器の柱部にも、ころからの力が加わるため、強度に十分検討を払って保持器を設計する必要がある。しかるに、保持器において一般的に疲労破損しやすい部位として柱部付け根がある。この柱部付け根に生じる応力は、ころの柱部ヘの衝突力(ころに付与される遠心力に比例)と、ころと柱部の衝突位置とに関連性がある。モーメント低減の観点から、衝突位置は、できるだけ両側環状部に近づけたほうが有利である。かかる場合、柱部の中央を縮径する方向に折り曲げてなる保持器においては、ころバレを防止するために、柱部の両端部近傍にポケット部に向かって張り出した案内部を設けることがあるが、かかる保持器においては、ころの衝突位置は、通常その案内部となる。従って、柱部付け根の応力を低減するためには、案内部の設計をどのように行うかも重要となる。
一方で、主にはすば歯車が用いられる遊星歯車機構では、歯車かみ合いによってモーメント力が生じ歯車の傾きによりころにエッジロードが発生することが懸念される。エッジロード緩和のためにころにはクラウニングが施されるが、ころ案内部の軸方向長さが短すぎると、クラウニングとの兼ね合いでころの当接範囲が狭くなり適切な案内が出来ないことが懸念される。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、保持器の強度を確保できるニードル軸受を提供することを目的とする。
本発明のニードル軸受は、
ころと、前記ころを支持する保持器とを有するニードル軸受において、
前記保持器は、一対の環状部と、前記環状部を連結した複数の柱部とからなり、前記柱部の間に前記ころを収容するポケット部が形成されており、
前記柱部は、前記保持器の半径方向内方から前記ころを保持する中央部と、前記中央部の両側において前記環状部に接合する両側部とを有し、前記両側部には、前記保持器の半径方向外方から前記ころを保持する案内部が形成されており、前記案内部の軸線方向長さは、前記ころの長さの5〜30%であることを特徴とする。
ころと、前記ころを支持する保持器とを有するニードル軸受において、
前記保持器は、一対の環状部と、前記環状部を連結した複数の柱部とからなり、前記柱部の間に前記ころを収容するポケット部が形成されており、
前記柱部は、前記保持器の半径方向内方から前記ころを保持する中央部と、前記中央部の両側において前記環状部に接合する両側部とを有し、前記両側部には、前記保持器の半径方向外方から前記ころを保持する案内部が形成されており、前記案内部の軸線方向長さは、前記ころの長さの5〜30%であることを特徴とする。
前記案内部の軸線方向長さが前記ころの長さの5%未満であると、ころ案内面でのPV値が高くなりフレーキングが生じやすくなる。一方、前記案内部の軸線方向長さが前記ころの長さの30%を超えると、前記柱部の付け根より前記ころが当接する位置までの距離が長くなり、前記ころが前記案内部に衝突したときの最大応力が高まり、保持器の寿命が短くなる。よって、前記案内部の軸線方向長さが、前記ころの長さの5〜30%であると、各部の応力バランスをとりながら、保持器の寿命を最大限延長することができる。尚、前記案内部の軸線方向長さが、前記ころの長さの10〜20%であると、保持器の疲労寿命及びころの転がり寿命をより延長することができるので好ましい。
前記環状部と前記柱部との連結部は、前記保持器の半径方向からみたときに、半径0.3〜0.8mmの円弧で表される曲面を有すると、応力集中を抑制できるので好ましい。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して以下に詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかるニードル軸受を含む車両の自動変速機1の断面図である。図1において、エンジンのクランクシャフト2から出力されるトルクは、トルクコンバータ3を介して伝達され、更に複数列組み合わせれた遊星歯車機構4,5,6等を介して複数段に減速され、その後デファレンシャルギヤ7及びドライブシャフト8を介して、不図示の車輪に出力されるようになっている。
図2は、遊星歯車機構4(5,6も原則的に同じ)の分解図である。図2において、遊星歯車機構4は、内歯を有するリングギヤ4aと、外歯を有する太陽ギヤ4bと、リングギヤ4a及び太陽ギヤ4bに噛合する3つの遊星歯車4cと、3つのピニオンシャフト4eにより遊星歯車4cを回転自在に支持すると共に、自らも回転可能なキャリヤ4dとを有する。
遊星歯車機構4の作動原理を図3に示す。まず、1速の場合、図3(a)に示すように、太陽歯車4bをドライブ側とし、遊星歯車4c(キャリヤ)をドリブン側とし、リングギヤ4aを固定することで、大きな減速比が得られる。次に、2速の場合、図3(b)に示すように、太陽歯車4bを固定し、遊星歯車4c(キャリヤ)をドリブン側とし、リングギヤ4aをドライブ側とすることで、中程度の減速比が得られる。更に、3速の場合、図3(c)に示すように、太陽歯車4bを固定し、遊星歯車4c(キャリヤ)をドライブ側とし、リングギヤ4aをドリブン側とすることで、小さな減速比が得られる。尚、後退の場合、図3(d)に示すように、太陽歯車4bをドリブン側とし、遊星歯車4c(キャリヤ)を固定し、リングギヤ4aをドライブ側とすることで、入力に対して出力を逆転させることができる。なお、以上は遊星歯車機構4の動作の一例を示すものであり、必ずしもかかる動作に限られることはない。
図4は、本実施の形態のニードル軸受を遊星歯車機構に組み込んだ状態で示す図である。図4に示すように、ニードル軸受10は、ピニオンシャフト(内輪)4eと遊星歯車(外輪)4cとの間に配置され、遊星歯車4cを回転自在に支持している。ニードル軸受10は、複数のころ11と、それらを保持する保持器12とからなっている。ピニオンシャフト4e内には、図4で右方から軸線に沿って延在し、一般的には中央で外周面に抜ける油路4fが形成されている。保持器12は外輪案内で用いられる。
図5は、本実施の形態にかかるニードル軸受10の斜視図である。図に示すように、保持器12は、一対の環状部12aを複数の柱部12bで連結した構成を有している。隣接する柱部12bの間が、ころ11を保持するポケット部となる。
図4に示すように、各柱部12bは、軸線方向中央において縮径した(即ち保持器12の軸線に近接した)中央部12cを有しており、中央部12cの軸線方向両側から環状部12aにかけて中央部12cより拡径している部位を、大径部(両側部)12dとしている。このような形状を有する保持器12をM型保持器と呼ぶ。
図6は、ニードル軸受10の保持器12を半径方向から、柱部中心に見た拡大図である。図7は、図6の構成をVII-VII線で切断して矢印方向に見た図である。図6,7に示すように、柱部12bには、その両端近傍の大径部12dにおいて、ころを案内する案内部12eを形成している。
図7に示すように、ころ11は、保持器12のポケット部に組み込まれた状態で、半径方向内方(図で下側)への移動は、隣接する中央部12cにより阻止され、半径方向外方(図で上側)への移動は、隣接する案内部12eにより阻止されるので、ころバレが防止され、ニードル軸受の取り扱いが容易になる。
図6において、案内部12eの軸線方向長さをL3とし、ころ11の軸線方向長さをL1とすると、本実施の形態では、以下の(1)式が成立するようになっている。
0.05×L1≦L3≦0.30×L1 (1)
0.05×L1≦L3≦0.30×L1 (1)
(1)式を満たすようにすれば、各部の応力バランスをとりながら、保持器の寿命を最大限延長することができる。尚、以下の(1’)式が成立するようにするとより好ましい。
0.10×L1≦L3≦0.20×L1 (1’)
0.10×L1≦L3≦0.20×L1 (1’)
一般的に、ニードル軸受におけるころの長さL1は8〜30mmであり、最も使用頻度が高いのは12〜20mmである。従って、案内部12eの長さL3は、ころ長さに応じて適切に選定すればよい。尚、ニードル軸受に付与される遠心力は、ころの重量や公転半径により変化するが、通常10〜40Nである。又、ころの軸線方向の遊びは0.2〜0.5mmである。
更に、図6に示す柱部12bの付け根の曲率半径Rを、0.3〜0.8mmとすると、応力低減効果がより高まる。
又、案内部12eにおけるころ11の接触部から柱部12bの付け根までの最大の距離をL2とすると、かかる距離L2が大きくなるに従い、付け根の応力が高くなる傾向があるため、距離L2をなるべく小さくすることが好ましい。
但し、案内部12eところ11との拡大図である図8に示すように、ころ11の端部にはクラウニングCが形成されている。距離L2を小さくするということは、案内部12eが柱部12bの付け根側に寄ることを意味するため、クラウニングC及びころ11の軸線方向隙間との兼ね合いから、案内部12eところ11との接触領域が狭くなるおそれがある。しかるに、本実施の形態のように遊星歯車機構に用いるニードル軸受には、歯車のモーメント荷重によって傾きを受けるためクラウニングCの量はある程度大きくする必要がある。そこで、距離L2をクラウニングを考慮して、どのように設定するかが問題となる。
ここで、PV値に就いて説明する。PV値(接触圧Pと滑り速度Vとの積)は、ニードル軸受の発熱量に影響する値である(値が小さい程発熱しにくい事を表わす)。この様なPV値を、ころ11のクラウニングCを変えて演算した演算結果を図9に示す。図9において、縦軸に保持器の付け根の応力値又はPV値をとり、横軸に距離L2をとっている。
図9に点線で示すように、距離L2が大きくなれば、保持器付け根の応力は増大する。これに対し、同図で実線で示すように、距離L2が大きくなれば、PV値は逆に小さくなる。さらに、クラウニングCの量が小さくなるに従い、PV値も減少することがわかる。
クラウニングCを加味し適切な案内を得るためには、少なくとも全体のクラウニングCによる落ち量が1/3〜1/4に相当する部分を、案内部12eでバックアップしていることが望ましく、従って距離L3は1.5mm〜5.0mmにすることが良い。さらに、応力低減のためには、距離L3は極力小さくすることが望ましいため、応力低減とクラウニングCを加味した案内長さの双方を満足する軸方向長さとしては、距離L3は2mm〜3mmに設定することがより望ましい。尚、通常はL2=L3+0.5〜1.0mmである。
以上、本発明を実施例を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
1 自動変速機
4 遊星歯車機構
4c 遊星歯車
4h ピニオンシャフト
10 ニードル軸受
11 ころ
12 保持器
4 遊星歯車機構
4c 遊星歯車
4h ピニオンシャフト
10 ニードル軸受
11 ころ
12 保持器
Claims (2)
- ころと、前記ころを支持する保持器とを有するニードル軸受において、
前記保持器は、一対の環状部と、前記環状部を連結した複数の柱部とからなり、前記柱部の間に前記ころを収容するポケット部が形成されており、
前記柱部は、前記保持器の半径方向内方から前記ころを保持する中央部と、前記中央部の両側において前記環状部に接合する両側部とを有し、前記両側部には、前記保持器の半径方向外方から前記ころを保持する案内部が形成されており、前記案内部の軸線方向長さは、前記ころの長さの5〜30%であることを特徴とするニードル軸受。 - 前記環状部と前記柱部との連結部は、前記保持器の半径方向からみたときに、半径0.3〜0.8mmの円弧で表される曲面を有することを特徴とする請求項1に記載のニードル軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004065523A JP2005256857A (ja) | 2004-03-09 | 2004-03-09 | ニードル軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004065523A JP2005256857A (ja) | 2004-03-09 | 2004-03-09 | ニードル軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005256857A true JP2005256857A (ja) | 2005-09-22 |
Family
ID=35082798
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004065523A Pending JP2005256857A (ja) | 2004-03-09 | 2004-03-09 | ニードル軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005256857A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009203996A (ja) * | 2008-02-26 | 2009-09-10 | Nsk Ltd | ラジアル軸受 |
JP2013068302A (ja) * | 2011-09-26 | 2013-04-18 | Ntn Corp | ころ軸受 |
JP2013087886A (ja) * | 2011-10-19 | 2013-05-13 | Ntn Corp | ころ軸受 |
-
2004
- 2004-03-09 JP JP2004065523A patent/JP2005256857A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013068302A (ja) * | 2011-09-26 | 2013-04-18 | Ntn Corp | ころ軸受 |
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