JP2008069928A - 摩擦伝動変速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡単かつコンパクトな構成で伝達トルクの増加に伴う軸間距離の変化に対応可能な摩擦伝動変速装置を提供する。
【解決手段】 回転自在に支持された軸可動ローラ1および軸固定ローラ2と、両ローラ1,2の接触点における接線に対し角度を持ったカム斜面5aとを有し、カム斜面5aを軸可動ローラ1の転がり軸受3,3に当接することでローラ同士を押圧接触させ、一方のローラから他方のローラへ動力を伝達させるローラ対を複数配置した摩擦伝動変速装置において、軸可動ローラ1と入力軸とを軸間距離を有して平行に配置し、両者を軸可動歯車9と軸固定歯車8とからなる歯車対で結合した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の摩擦伝動ローラ対を用いた摩擦伝動変速装置の技術分野に属する。
従来の摩擦伝動変速装置では、ローラ間の伝達トルクと押し付け力との関係が最適となるようにカム斜面の曲面を設定することにより、過剰な押し付け力の発生を防止し、装置寿命とトルク伝達効率とを共に向上させている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−188701号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、伝達トルクの増加に応じて軸可動ローラを支持する軸受がカム斜面上を移動し、これに伴い軸可動ローラも移動するため、軸可動ローラ軸と入力軸(または出力軸)との軸間距離に変化が生じる。したがって、この軸間距離の変化を吸収する機構が必要となり、装置の複雑化や大型化等、検討の余地を残していた。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、簡単かつコンパクトな構成で伝達トルクの増加に伴う軸間距離の変化に対応可能な摩擦伝動変速装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、
回転自在に支持された軸可動ローラおよび軸固定ローラと、両ローラの接触点における接線に対し角度を持ったカム斜面とを有し、カム斜面を軸可動ローラの回転支持部に当接することでローラ同士を押圧接触させ、一方のローラから他方のローラへ動力を伝達させるローラ対を複数配置した摩擦伝動変速装置において、
前記軸可動ローラと入力軸(または出力軸)とを軸間距離を有して平行に配置し、両者を噛み合い伝動機構または巻掛伝動機構を用いた結合手段で結合したことを特徴とする。
本発明の摩擦伝動変速装置では、軸可動ローラと入力軸(または出力軸)との間のトルク伝達が、噛み合い伝動機構または巻掛伝動機構を用いた結合手段により行われる。すなわち、噛み合い伝動機構および巻掛伝動機構は、ある程度の軸間距離の変化に対応可能なカップリング機能を有し、しかも簡単かつコンパクトな構成である。よって、これらを結合手段として用いることで、簡単かつコンパクトな構成で伝達トルクの増加に伴う軸間距離の変化に対応することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の摩擦伝動変速装置を示す全体図であり、この摩擦伝動変速装置は、例えば、FR車に搭載される変速装置として適用される。
実施例1の摩擦伝動変速装置は、軸可動ローラ1と軸固定ローラ2とを押圧接触させ、その接触部に生じる摩擦力によって、ローラ1,2のうち、一方のローラ1または2から他方のローラ2または1に動力を伝達させる。
軸可動ローラ1および軸固定ローラ2は、径の異なる複数のローラ対で構成され、各ローラ対の軸間距離を変えることで、選択的にいずれかのローラ対で動力を伝達する。すなわち、軸可動ローラ1は、軸可動ローラ回転軸1a上に一体形成された第1軸可動ローラ1Aと第2軸可動ローラ1Bと第3軸可動ローラ1Cと軸可動ローラ支持軸部11,12とを有して構成されている。
各ローラ1A,1B,1Cのローラ径は、第1軸可動ローラ1A<第2軸可動ローラ1B<第3軸可動ローラ1Cであり、軸可動ローラ支持軸部11,12の間に、図1の左から第1軸可動ローラ1A、第2軸可動ローラ1B、第3軸可動ローラ1Cが順に配置される。
軸可動ローラ支持軸部12には、軸可動ローラ回転軸1a上に回転中心9aが設定された軸可動歯車9の歯車支持軸部13が結合され、軸可動歯車9は、入力軸と結合された軸固定歯車8が噛み合っている。ここで、軸固定歯車8と軸可動歯車9は、歯形曲線をインボリュート曲線に設定したはす歯歯車を用いている。また、軸可動歯車9の径は、軸可動ローラ1の径よりも大きく設定されている。
ここで、軸固定歯車8と軸可動歯車9のねじれ角は、スラスト力の発生方向がローラ2の押し付け力および歯車8,9のラジアル力により軸可動ローラ1に発生するモーメントを打ち消す方向となるように設定されている。
実施例1では、噛み合い機構である軸固定歯車8と軸可動歯車9により、軸可動ローラ1と入力軸とを結合する結合手段が構成される。
軸固定ローラ2は、第1軸固定ローラ2Aと第2軸固定ローラ2Bと第3軸固定ローラ2Cとを有して構成されている。各ローラ2A,2B,2Cのローラ径は、第1軸固定ローラ2A>第2軸固定ローラ2B>第3軸固定ローラ2Cであり、両端に転がり軸受4,4を配置した偏心軸6(回転中心2a)上に、図1の左から第1軸固定ローラ2A、第2軸固定ローラ2B、第3軸固定ローラ2Cが順に配列される。
3個の軸固定ローラ2A,2B,2Cは、変速比を異ならせて設定した三対のローラ対を切り替え可能に構成している。転がり軸受4,4の外輪は、変速装置ケース10に固定されている。
三対のローラ対は、軸可動ローラ支持軸部11,軸可動歯車9の歯車支持軸部14に転がり軸受(回転支持部)3,3を設定し、これら転がり軸受3,3に、変速装置ケース10に設定したカム5のカム斜面5aを当接することで、ローラ対間に押し付け力を付与している。カム斜面5aは、曲面形状に形成され、その曲率中心は、入力軸の回転中心、すなわち軸固定歯車8の回転中心8aと同軸上に設定されている。また、入力軸と出力軸は、同一直線上に設定されている。
3個の軸固定ローラ2A,2B,2Cは、偏心軸6を回動させるサーボモータ7を偏心軸6の一端部に設けている。変速指令時には、サーボモータ7による偏心軸6の回動により、変速前の変速位置に対応する軸固定ローラ回転軸L1,L2,L3のうち1つの軸を軸可動ローラ回転軸1aから離し、変速後の変速位置に対応する軸固定ローラ回転軸L1,L2,L3のうち1つの軸を軸可動ローラ回転軸1aに近づけ、変速比を異ならせて設定した三対のローラ対を切り替え可能に構成している。
次に、作用を説明する。
実施例1の摩擦伝動変速装置では、入力軸から軸固定歯車8に入力されたトルクは、軸固定歯車8→軸可動歯車9→軸可動ローラ1→軸固定ローラ2→出力軸の順に伝達される。このとき、軸可動ローラ1から軸固定ローラ2にトルクが伝達されると、軸可動ローラ1には伝達力の反力が働く。この伝達力の反力は、転がり軸受3の外輪とカム斜面5aの当接部で支持されるが、当接部においては接触面に垂直な力しか発生できないので、大きな法線力を生じ、水平方向成分が伝達力の反力と釣り合う。この法線力の垂直方向成分が押し付け力となり両ローラ1,2の接触部に働くことになる。
このとき水平方向成分と垂直方向成分、すなわち、伝達力と押し付け力の比は、当接部におけるカム斜面5aの角度に等しく、このカム斜面5aの角度は一定であるため、伝達力に比例した押し付け力を動力伝達部に加えることができる。
すなわち、伝達力と押し付け力の関係が最適となるようにカム斜面5aの曲面を設定することにより、過剰な押し付け力の発生を防止し、装置寿命と動力伝達効率の向上を達成することができる。
ここで、特開2005−188701号公報に記載の技術では、図2に示すように、トルクの増加に応じて軸可動ローラを支持する軸受がカムの斜面上を移動し、これに伴い軸可動ローラも移動するため、入力軸と軸可動ローラとの間の軸間距離に変化が生じる。したがって、この軸間距離の変化を吸収する機構が必要となり、装置の複雑化や大型化等、検討の余地を残していた。
なお、軸間距離の変化を吸収する機械要素としては、一般にオルダムカップリングがある。このオルダムカップリングを用いることで、軸間距離のずれを吸収することができる。しかし、オルダムカップリングでは、高回転になるほど遠心力により振動が大きくなるため、高回転に耐えられないという問題があった。
これに対し、実施例1の摩擦伝動変速装置では、軸可動ローラ1と入力軸とを軸間距離を有して平行に配置し、両者を歯車対8,9で結合した。すなわち、歯車対8,9は、ある程度の軸間距離の変化に対応可能なカップリング機能を有し、しかも簡単かつコンパクトな構成とすることができる。よって、これらを軸可動ローラ1と入力軸とを結合する結合手段として用いることで、簡単かつコンパクトな構成で伝達トルクの増加に伴う軸間距離の変化に対応することができる。また、オルダムカップリングを用いた場合と比較して、より高回転に耐えられるため、高信頼性が得られる。
加えて、実施例1では、軸固定歯車8と軸可動歯車9をはす歯歯車とし、歯形曲線をインボリュート曲線としているため、軸可動ローラ1および軸可動歯車9がカム斜面5a上を移動するとき、軸間距離の多少のずれを許容することができ、トルク伝達の信頼性を高めることができる。
また、実施例1では、カム斜面5aの曲率中心と入力軸の回転中心とが同一軸となるように設定しているため、伝達トルクの変化に応じて転がり軸受3がカム斜面5a上を移動する際、軸可動ローラ1は、入力軸の回転中心を中心とする円周上を移動することとなる。すなわち、入力軸と軸可動ローラ1の軸間距離が理論上変化しないため、軸固定歯車8と軸可動歯車9の軸間距離の変位量を最小限に抑えることができる。さらに、入力軸と出力軸を同一直線上に設定しているため、縦置きエンジンを搭載したFR車両の変速装置として利用することができる。
また、図3に示すように、実施例1では、軸可動歯車9の径を、軸可動ローラ1の径よりも大きくなるように設定しているため、ギヤ駆動力よりもローラ駆動反力が大きくなり、常にカム5に作用する力を発生させることができる。
ここで、軸可動歯車9に作用する回転トルクをT1とおくと、軸可動ローラ1の駆動トルクも同様にT1となる。軸可動歯車9の径をr1、軸可動ローラ1の径をr2とすると、軸可動歯車9に作用するピッチ円上接線力f1は、f1=T1/r1、軸可動ローラ1の駆動反力f2は、f2=T1/r2となる。よって、カム斜面5aに対してカム力を発生させるためにはf2−f1>0である必要があり、そのためには、r1>r2、すなわち、軸可動歯車9の径が軸可動ローラ1の径よりも大きければよい。
さらに、実施例1では、軸固定歯車8と軸可動歯車9のねじれ角を、スラスト力の発生方向がローラ2の押し付け力および歯車8,9のラジアル力により軸可動ローラ1に発生するモーメントを打ち消す方向となるように設定した。実施例1では、伝達トルクに比例した押し付け力が軸可動ローラ1に作用するため、歯車8,9のラジアル力とローラ1,2の押し付け力との差が大きくなることで軸可動ローラ1にモーメントが作用し、ローラ1,2が片当たり接触する。実施例1では、モーメントを打ち消す方向へはす歯歯車8,9のスラスト力を発生させるため、ローラ1の片当たり接触を抑制することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の摩擦伝動変速装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 軸可動ローラ1と入力軸とを軸間距離を有して平行に配置し、両者を噛み合い伝動機構(はす歯歯車8,9)で結合したため、簡単かつコンパクトな構成で伝達トルクの増加に伴う軸間距離の変化に対応することができる。また、オルダムカップリングを用いた場合と比較して、より高回転に耐えられるため、高信頼性が得られる。
(2) カム斜面5aを曲面形状に形成し、入力軸の回転中心とカム斜面5aの曲率中心とを同軸上に設定したため、軸固定歯車8と軸可動歯車9の軸間距離の変位量を最小限に抑えることができる。さらに、入力軸と出力軸を同一直線上に設定しているため、縦置きエンジンを搭載したFR車両の変速装置として利用することができる。
(3) 軸可動ローラ1と入力軸とを結合する結合手段として、入力軸と直結された軸固定歯車8と、軸可動ローラ1と直結された軸可動歯車9とからなる歯車対を用いた。すなわち、一対の歯車8,9でカップリング機能を有するため、コンパクトで高信頼性のある装置とすることができる。
(4) 歯車対8,9をはす歯歯車とし、はす歯のねじれ角を、スラスト力の発生方向がローラ2の押し付け力および歯車8,9のラジアル力により軸可動ローラ1に発生するモーメントを打ち消す方向となるように設定した。これにより、ローラ1,2の片当たり接触を抑制することができる。また、歯車対をはす歯とすることで、軸間距離に多少のずれがあっても許容することができる。
(5) 軸可動歯車9のピッチ径を、軸可動ローラ1の径よりも大きく設定したため、ギヤ駆動力よりもローラ駆動反力が大きくなり、常にカム5に作用する力を発生させることができる。
実施例2の摩擦伝動変速装置は、例えば、FF車に搭載される変速装置として適用される。
まず、構成を説明する。
図4は実施例2の摩擦伝動変速装置を示す全体図である。
実施例2の摩擦伝動変速装置では、軸固定ローラ2に入力軸が結合され、軸可動ローラ1に軸固定歯車8、軸可動歯車9を介して出力軸が結合されている。入力軸と出力軸は、軸間距離を有して平行配置され、入力軸と出力軸の回転中心が異なる位置となるように設定されている。
実施例2では、軸可動歯車9のピッチ径は、第2軸可動ローラ1Bよりも大きく、第3可動ローラ1Cよりも小さくなるように設定されている。
また、実施例2では、図5に示すように、カム斜面として、ドライブ時(トルクが入力軸から出力軸へと伝達される正転時)の押し付け力を発生するドライブ時カム斜面(正転カム斜面)5aと、コースト時(トルクが出力軸から入力軸へと伝達される逆転時)の押し付け力を発生するコースト時カム斜面(逆転カム斜面)5bとが設定されている。
さらに、実施例2では、軸固定歯車8および軸可動歯車9において、歯車の圧力角をα、ねじれ角をβとしたとき、入力軸(軸固定ローラ2)と軸可動ローラ1の回転軸とを結ぶ直線と、軸可動ローラ1の回転軸と出力軸(軸固定歯車8)とを結ぶ直線とのなす角度γを、下記の式(1),(2)を満足するように設定されている。
θ=tan-1(tanα/tanβ) …(1)
γ=90°−θ またはγ=270°−θ …(2)
次に、作用を説明する。
実施例2では、入力軸(軸固定ローラ2)、出力軸(軸固定歯車8)および軸可動ローラ1の回転軸の3軸を、互いに軸間距離を有して平行に配置している。
例えば、図6に示すように、3軸を同一平面上に配置した場合(3軸の配置が0度または180度)、ローラ1,2の押し付け力と歯車8,9のラジアル力により軸可動ローラ1にモーメントが発生する。これに対し、実施例2では、そのモーメント抑える方向へスラスト力が発生するように、歯車のねじれ角を設定することで、ローラ1の片当たり接触を抑制している。
また、図7に示すように、入力軸(軸固定ローラ2)と軸可動ローラ1を通る平面と、軸可動ローラ1と出力軸(軸固定歯車8)を通る平面とが直行する場合(3軸の配置角が90度または270度)、ローラ1,2の接線力に伴い、2つのカム斜面5a,5aに作用する力がアンバランスとなり、ローラ接触面にスキューが生じる。これに対し、実施例2では、ローラ1,2の接線力に伴い2つのカム斜面5a,5aに働く力のアンバランスを抑える方向へ歯車8,9に作用するスラスト力が発生するよう、歯車のねじれ角の方向を設定することで、カム斜面5a,5aに働く接線力のアンバランスを抑制し、ローラ接触面のスキューを抑えている。
なお、3軸の配置角が0度、90度、180度、270度以外の場合には、上記軸可動ローラ1に発生するモーメントを抑制するスラスト力と、2つのカム斜面5a,5aに働く力のアンバランスを抑制するスラスト力とを同時に発生させることができる。
ここで、歯車8,9のラジアル力と接線力との合力である歯車合力がローラ接線力の方向成分を持つ場合、歯車接線力とローラ接線力との比は変速する毎に変化するため、接線力と押し付け力の比も変化し、ローラ接線力に対して最適な押し付け力を与えることができなくなる。そのためには、図8(a),(b)に示すように、歯車合力の力がローラ接線力の方向成分を持たないように設定することが望ましい。
そこで、実施例2では、式(1),(2)に基づいて3軸の配置角γを設定することで、歯車合力の発生方向を、ローラ接線力方向に対し90度の方向としている。これにより、ローラ接線力方向には歯車の力が発生しないため、ローラ接触面の接線力と押し付け力を最適な関係に保つことができる。
図8の場合、ドライブ時の歯車合力はローラ接線力の方向成分を持たないが、コースト時の歯車合力はローラ接線力の方向成分が発生する。これに対し、実施例2では、ドライブ時の押し付け力を発生するドライブ時カム斜面5aと、コースト時の押し付け力を発生するコースト時カム斜面5bを設け、ドライブ時とコースト時とで共にローラ接線力方向成分が発生しないよう、それぞれのカムプロファイルを異ならせて設定している。これにより、ドライブ時とコースト時それぞれにおいて、最適な押し付け力を与えることができる。
さらに、実施例2では、軸可動歯車9のピッチ径を軸可動ローラ1の第3可動ローラ1Cよりも小さく設定している。これにより、ローラ接触面は高周速で低負荷、歯車8,9の噛み合い面では低周速で高負荷となり、低振動高耐久性の変速装置を実現することができる。
次に、効果を説明する。
実施例2の摩擦伝動変速装置にあっては、実施例1の効果(1),(3),(4)に加え、以下に列挙する効果を奏する。
(6) 入力軸(軸固定ローラ2)、出力軸(軸固定歯車8)および軸可動ローラ1の回転軸の3軸を、互いに軸間距離を有して平行に配置したため、横置きエンジンを搭載したFF車両の変速装置として利用することができる。
(7) 歯車対8,9をはす歯歯車とし、はす歯のねじれ角を、スラスト力の発生方向が転がり軸受3,3を支持する2つのカム斜面5a,5aに作用するカム力の不釣り合いを打ち消す方向となるように設定したため、ローラ接触面のスキューを抑えることができる。
(8) 軸固定歯車8の回転方向が時計方向となる方向から見て、時計方向の回転角を正としたとき、入力軸と軸可動ローラ1の中心同士とを結ぶ直線と、軸可動ローラ1と出力軸の中心同士を結ぶ直線とのなす角度γを、式(1),(2)を満足するように設定した。これにより、ローラ接触面の接線力と押し付け力とを最適な関係に保つことができる。
(9) 第3軸可動ローラ1Cの径を、軸可動歯車9のピッチ径よりも大きく設定したため、高周速側をローラ(高速でも低振動)、高負荷側を歯車(高負荷容量)に受け持たせることができ、低振動、高信頼性のある変速装置とすることができる。
(10) カム斜面は、ドライブ時に押し付け力を発生するドライブ時カム斜面5aと、コースト時に押し付け力を発生するコースト時カム斜面5bとを有し、両カム斜面5a,5bを、ローラの接線方向成分が発生しないよう、異なる形状に設定した。これにより、ドライブ時とコースト時それぞれにおいて、最適な押し付け力を与えることができる。
実施例3の摩擦伝動変速装置は、軸可動ローラ1と入力軸とを結合する結合手段を巻掛伝動機構とした例である。
まず、構成を説明する。
図9は実施例3の摩擦伝動変速装置を示す全体図である。
実施例3の摩擦伝動変速装置では、図1に示した実施例1の軸固定歯車8、軸可動歯車9に代えて、入力軸に軸固定プーリ15を結合し、軸可動ローラ1に軸可動プーリ16を結合し、両プーリ15,16にVベルト(結合手段)17を掛け渡している。
次に、作用を説明する。
実施例3では、軸可動ローラ1と入力軸とを軸間距離を有して平行に配置し、両者をVベルト17で結合した。すなわち、巻掛機構であるVベルト17は、ある程度の軸間距離の変化に対応可能なカップリング機能を有し、しかも簡単かつコンパクトな構成とすることができる。よって、これらを軸可動ローラ1と入力軸とを結合する結合手段として用いることで、実施例1と同様、簡単かつコンパクトな構成で伝達トルクの増加に伴う軸間距離の変化に対応することができる。
また、Vベルト17の噛み合い部分では、ローラの接線力方向に力が発生しないため、実施例2と同様、ローラ接触面の接線力と押し付け力とを最適な関係に保つことができる。
次に、効果を説明する。
実施例3の摩擦伝動変速装置では、以下の効果を奏する。
(11) 軸可動ローラ1と入力軸とをVベルト17で結合したため、簡単かつコンパクトな構成で伝達トルクの増加に伴う軸間距離の変化に対応することができるとともに、ローラ接触面の接線力と押し付け力とを最適な関係に保つことができる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1〜3に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
軸可動ローラと入力軸(または出力軸)を結合する結合手段は、実施例1〜3に示したはす歯歯車、Vベルトの他に、例えば、チェーン、歯付きベルト等、噛み合い伝動機構および巻掛伝動機構であれば任意の手段を用いることができ。
実施例1の摩擦伝動変速装置を示す全体図である。 伝達トルクの増大に伴う軸間距離の変化を示す図である。 実施例1の摩擦伝動変速装置を示す要部側面図である。 実施例2の摩擦伝動変速装置を示す全体図である。 実施例2のドライブ時カム斜面5aとコースト時カム斜面5bを示す摩擦伝動変速装置の要部側面図である。 軸可動ローラ1に発生するモーメントを示す図である。 2つのカム斜面5a,5aに働く接線力の不均等状態を示す図である。 ローラ接触面の接線力と押し付け力を最適な関係に維持する3軸の配置角γを示す図である。 実施例3の摩擦伝動変速装置を示す全体図である。
符号の説明
1 軸可動ローラ
1A 第1軸可動ローラ
1B 第2軸可動ローラ
1C 第3軸可動ローラ
1a 軸可動ローラ回転軸
2 軸移動ローラ
2A 第1軸固定ローラ
2B 第2軸固定ローラ
2C 第3軸固定ローラ
2a 軸回転中心
3,3 転がり軸受
4,4 転がり軸受
5 カム
5a カム斜面
6 偏心軸
7 サーボモータ
8 軸固定歯車
8a 回転中心
8 軸固定歯車
9 軸可動歯車
9a 回転中心
10 変速装置ケース
11,12 軸可動ローラ支持軸部
13,14 歯車支持軸部
15 軸固定プーリ
16 軸可動プーリ
17 Vベルト

Claims (13)

  1. 回転自在に支持された軸可動ローラおよび軸固定ローラと、両ローラの接触点における接線に対し角度を持ったカム斜面とを有し、カム斜面を軸可動ローラの回転支持部に当接することでローラ同士を押圧接触させ、一方のローラから他方のローラへ動力を伝達させるローラ対を複数配置した摩擦伝動変速装置において、
    前記軸可動ローラと入力軸(または出力軸)とを軸間距離を有して平行に配置し、両者を噛み合い伝動機構または巻掛伝動機構を用いた結合手段で結合したことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  2. 請求項1に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記カム斜面を曲面形状に形成し、
    前記入力軸の回転中心とカム斜面の曲率中心とを同軸上に設定したことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  3. 請求項2に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記結合手段を、入力軸と直結された軸固定歯車と、軸可動ローラと直結された軸可動ローラとからなる歯車対としたことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  4. 請求項3に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記歯車対をはす歯歯車とし、
    はす歯のねじれ角を、スラスト力の発生方向がローラの押し付け力および歯車のラジアル力により軸可動ローラに発生するモーメントを打ち消す方向となるように設定したことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  5. 請求項4に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記軸可動歯車のピッチ径を、軸可動ローラの径よりも大きく設定したことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  6. 請求項2に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記結合手段を、ベルトまたはチェーンによる巻掛伝達機構としたことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  7. 請求項1に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記軸固定ローラに、出力軸(または入力軸)を結合し、
    前記入力軸と出力軸を、軸間距離を有して平行に配置したことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  8. 請求項7に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記結合手段を、入力軸と直結された軸固定歯車と、軸可動ローラと直結された軸可動ローラとからなる歯車対としたことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  9. 請求項8に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記歯車対をはす歯歯車とし、
    はす歯のねじれ角を、スラスト力の発生方向がローラの押し付け力および歯車のラジアル力により軸可動ローラに発生するモーメントを打ち消す方向となるように設定したことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  10. 請求項8または請求項9に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記歯車対をはす歯歯車とし、
    はす歯のねじれ角を、スラスト力の発生方向が回転支持部材を支持する2つのカム斜面に作用するカム力の不釣り合いを打ち消す方向となるように設定したことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  11. 請求項9または請求項10に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記軸固定歯車の回転方向が時計方向となる方向から見て、時計方向の回転角を正としたとき、入力軸と軸可動ローラの中心同士とを結ぶ直線と、軸可動ローラと出力軸の中心同士を結ぶ直線とのなす角度γは、下記の式、
    γ=90°−θ またはγ=270°−θ
    ここで、θ=tan-1(tanα/tanβ)
    α:歯車の圧力角
    β:歯車のねじれ角
    を満足することを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  12. 請求項11に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記軸可動ローラの径を、軸可動歯車のピッチ径よりも大きく設定したことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
  13. 請求項11または請求項12に記載の摩擦伝動変速装置において、
    前記カム斜面は、正転トルクのときに押し付け力を発生する正転カム斜面と、逆転トルクのときに押し付け力を発生する逆転カム斜面とを有し、
    前記正転カム斜面と逆転カム斜面を、正転トルクと逆転トルクとでローラの接線方向成分が発生しないよう、異なる形状に設定したことを特徴とする摩擦伝動変速装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010053959A (ja) * 2008-08-28 2010-03-11 Nissan Motor Co Ltd 駆動力配分装置
JP2010071300A (ja) * 2008-09-16 2010-04-02 Nissan Motor Co Ltd 摩擦伝動変速機の潤滑装置
JP2010116930A (ja) * 2008-11-11 2010-05-27 Nissan Motor Co Ltd 摩擦伝動変速機の潤滑装置

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