JP2005255850A - 重合体組成物および複合膜 - Google Patents

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JP2005255850A JP2004069371A JP2004069371A JP2005255850A JP 2005255850 A JP2005255850 A JP 2005255850A JP 2004069371 A JP2004069371 A JP 2004069371A JP 2004069371 A JP2004069371 A JP 2004069371A JP 2005255850 A JP2005255850 A JP 2005255850A
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誠 樋上
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幸平 後藤
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Abstract

【課題】
本発明は、スルホン酸基の制御が容易であるとともに、プロトン伝導性、機械的強度を損なうことなく、耐熱水性が改善された複合膜を形成することが可能な重合体組成物、およびこの重合体組成物を用いて形成される複合膜を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る重合体組成物は、スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)と、スルホン酸基を有さない重合体(II)とを、含有することを特徴とする。
前記スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)は、下記式(A)で表される繰り返し単位および下記式(B)で表される繰り返し単位からなる。
【化1】
Figure 2005255850

【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な重合体組成物に関する。詳しくは、本発明の重合体組成物は、プロトン伝導性、強度・靭性などの強度的性質、耐熱水性に優れた膜を形成可能な重合体組成物に関し、この重合体組成物は、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などの形成材料として用いられる。
電解質は、通常、(水)溶液で用いられることが多い。しかし、近年、これが固体系に置き替えられている。その第1の理由としては、たとえば、上記の電気・電子材料に応用する場合のプロセッシングの容易さであり、第2の理由としては、軽薄短小・高電力化への移行である。
従来、プロトン伝導性材料としては、無機物、有機物の両方が知られている。無機物のプロトン伝導性材料としては、たとえば水和化合物であるリン酸ウラニルが挙げられるが、これら無機物のプロトン伝導性材料は界面での接触が充分でなく、伝導層を基板あるいは電極上に形成するには問題が多かった。
一方、有機化合物のプロトン伝導性材料の例としては、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、たとえばポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ナフィオン(商品名、デュポン社製)を代表とするパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、パーフルオロアルキルカルボン酸ポリマーや、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマー(Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.7, p.2490〜2492 (1993)(非特許文献1)、Polymer Preprints, Japan, Vol.43, No.3, p.735〜736 (1994)(非特許文献2)、Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.3, p.730 (1993)(非特許文献3)などの有機系ポリマーが挙げられる。
これらの有機系ポリマーは、通常、フィルム状で用いられるが、溶媒に可溶性であること、または熱可塑性であることを利用し、電極上に伝導膜を接合加工できる。しかしながら、これらの有機系ポリマーの多くには、プロトン伝導性がまだ充分でない、耐久性に劣る、高温(100℃以上)でのプロトン伝導性が低下する、湿度依存性が大きい、電極との密着性が充分満足のいくものではない、含水ポリマー構造に起因する稼働中の過度の膨潤による強度の低下や形状の崩壊を生じる、などの問題がある。したがって、これらの有機系ポリマーは、上記の電気・電子材料などに応用するには種々問題がある。
さらに、米国特許第5,403,675号明細書(特許文献1)には、スルホン化された剛直ポリフェニレン(すなわち、ポリアリーレン構造を主成分とするスルホン化物)からなる固体高分子電解質が記載されている。このポリマーは、芳香族化合物を重合して得られるフェニレン連鎖からなるポリマー(同明細書カラム9記載の構造)を主成分とし、これをスルホン化剤と反応させて、スルホン酸基を導入している。しかしながら、特許文献1に記載された固体高分子電解質では、スルホン酸基の導入量の増加によって、プロトン伝導度も向上するものの、得られるスルホン化ポリマーの機械的性質や耐熱水性が著しく損なわれる、という問題点があった。また、このポリマーは、スルホン化反応が進行しやすいため、適正なスルホン酸基の導入量を制御するのが非常に困難である、という問題点があった。
米国特許第5,403,675号明細書 Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.7, p.2490〜2492 (1993) Polymer Preprints, Japan, Vol.43, No.3, p.735〜736 (1994) Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.3, p.730 (1993)
このような状況のもと、上記従来技術に伴う問題点を解消すべく鋭意検討した結果、スルホン酸基を有するポリアリーレン重合体と、スルホン酸基を有さない重合体とを組み合わせて使用すれば、たとえポリアリーレン重合体中のスルホン酸基量が適正範囲に制御が難しくとも、組成物中のスルホン酸基は適正な範囲に制御できることを見出した。
そして特に特定の溶解度パラメーターの重合体を組み合わせて使用することで、上記課題であった、スルホン酸基の制御が容易であるとともに、プロトン伝導性、機械的強度を損なうことなく、耐熱水性が改善された複合膜を作成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係る重合体組成物は、(I)スルホン酸基を有するポリアリーレンと、(II)スルホン酸基を有さない重合体とを、含有することを特徴とする。
前記スルホン酸基を有さない重合体(II)は、溶解度パラメーターδが28.0(J・cm-31/2以下であることが好ましい。
前記スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)は、下記式(A)で表される繰り返し単位および下記式(B)で表される繰り返し単位からなることが好ましい。
Figure 2005255850
(式(A)中、
Aは2価の電子吸引性基を示し、
Bは2価の電子供与基または直接結合を示し、
Arは−SO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し、
mは0〜10の整数を示し、
nは0〜10の整数を示し、
kは1〜4の整数を示す。)
Figure 2005255850
(式(B)中、
1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、
Wは2価の電子吸引性基または単結合を示し、
Tは2価の有機基または単結合を示し、
pは0または正の整数を示す。)
重合体組成物中のスルホン酸基を有するポリアリーレン(I)の含有量は、30〜95重量%((I)と(II)との総量を100重量%とする。)であることが好ましい。
本発明に係る複合膜は、前記重合体組成物からなることを特徴とする。
本発明に係る重合体組成物は、プロトン伝導性に富んだスルホン酸基を有するポリアリーレン(I)と、機械的強度、耐熱水性に優れたスルホン酸基を有さない重合体(II)とが相溶し複合化されているので、この重合体組成物を用いることにより、プロトン伝導性、機械的強度、耐熱水性に優れた複合膜を形成することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
重合体組成物
本発明に係る重合体組成物は、スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)と、スルホン酸基を有さない重合体(II)とを含有する。
<スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)>
本発明に用いられるスルホン酸基を有するポリアリーレン(I)は、下記式(C)で表される重合体であり、下記式(A)で表される繰り返し構成単位と、下記式(B)で表される繰り返し構成単位とを含有している。
Figure 2005255850
上記式(A)中、
Aは2価の電子吸引性基を示し、電子吸引基としては、−CO−、−SO2−、−S
O−、−CONH−、−COO−、−(CF2l−(ここで、lは1〜10の整数である)、−C(CF32−などが挙げられる。
Bは2価の電子供与基または単結合を示し、電子供与基としては、−(CH2)−、
−C(CH32−、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C―および
Figure 2005255850
などが挙げられる。なお、電子吸引性基とは、ハメット(Hammett)置換基常数がフェニ
ル基のm位の場合、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
Arは−SO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し、芳香族基としてはフェ
ニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、
nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、
kは1〜4の整数を示す。
Figure 2005255850
上記式(B)中、
1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。
フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。
アリル基としては、プロペニル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Wは単結合または2価の電子吸引性基を示し、
Tは単結合または2価の有機基を示す。
pは0または正の整数であり、その上限値は通常100であり、好ましくは10〜80である。
Figure 2005255850
(式(C)中、
W,T,A,B,Ar,m,n,k,pおよびR1〜R8は、それぞれ上記式(A)および(B)中の、W,T,A,B,Ar,m,n,k,pおよびR1〜R8と同義である。
x,yは、x+y=100モル%とした場合の、モル比を示す。)
スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)は、式(A)で表される繰り返し構成単位を0.5〜100モル%、好ましくは10〜99.999モル%の割合で、式(B)で表される繰り返し構成単位を99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有している。
スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)中のスルホン酸基量は、通常0.3〜5meq/g
、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。この範囲にあれば、プロトン伝導性が高く、耐久性に優れている。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低くなることがある。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがある。
スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)の分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
(スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)の合成方法1)
スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)は、上記式(A)で表される構造単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記式(B)で表される構造単位となりうるオリゴマーとを共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレン(F)を製造し、このスルホン酸エステル基を有するポリアリーレン(F)を加水分解して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより、合成することができる。
上記式(A)の構造単位となりうるモノマー(たとえば下記式(D)で表されるモノマー、モノマー(D)ともいう。)と、上記式(B)の構造単位となりうるオリゴマー(たとえば下記式(E)で表されるオリゴマー、オリゴマー(E)ともいう。)とを共重合させてスルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを合成する場合には、モノマー(D)としては、たとえば下記式(D)で表されるスルホン酸エステルが用いられる。
(モノマー(D))
Figure 2005255850
上記式(D)中、
Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2Z(ここで、Zは
アルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)から選ばれる原子または基を示す。
A,B,Ar,m,nおよびkは、それぞれ上記一般式(A)中のA,B,Ar,m,nおよびkと同義である。
aは炭素原子数が1〜20、好ましくは4〜20の炭化水素基を示す。Raとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
Arは−SO3bで表される置換基を有する芳香族基を示し、芳香族基として具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
置換基−SO3bは、芳香族基に1個または2個以上置換しており、置換基−SO3bが2個以上置換している場合には、これらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
ここで、Rbは炭素原子数が1〜20、好ましくは4〜20の炭化水素基を示し、上記
炭素原子数1〜20の炭化水素基などが挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、
nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、
kは1〜4の整数を示す。
上記式(D)で表される芳香族スルホン酸エステルとしては、以下の様な化合物が挙げられる。
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
また、上記式(D)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体としては、上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、上記化合物において−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わり、か
つ−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
上記式(D)中のRb基は1級のアルコール由来で、β炭素が3級または4級炭素であ
ることが、重合工程中の安定性に優れ、脱エステル化によるスルホン酸の生成に起因する重合阻害や架橋を引き起こさない点で好ましく、さらには、これらのエステル基は1級アルコール由来でβ位が4級炭素であることが好ましい。
(オリゴマー(E))
オリゴマー(E)としては、たとえば、下記式(E)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005255850
上記式(E)中、
R’およびR”は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除くハロゲン原子または−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基
を示す。)で表される基を示す。
Zが示すアルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられ、
フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、
アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。
1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。
フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。
アリル基としては、プロペニル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Wは単結合または2価の電子吸引性基を示し、電子吸引基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
Tは単結合または2価の有機基であって、電子吸引性基であっても電子供与基であってもよい。電子吸引性基および電子供与性基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
pは0または正の整数であり、その上限値は通常100、好ましくは10〜80である。
上記式(E)で表される化合物としては、p=0の場合、
4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子の少なくとも1つ以上が3位に置換した化合物なども挙げられる。
上記式(E)で表される化合物としては、p=1の場合、
4,4'−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテルなどが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物、さらにこれらの化合物においてジフェニルエーテルの4位に置換した基の少なくとも1つが3位に置換した化合物なども挙げられる。
さらに上記式(E)で表される化合物としては、pが2以上の場合、
2,2−ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フ
ェノキシ}フェニル]スルホン、および下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
(オリゴマー(E)の合成方法)
上記式(E)で表される化合物は、たとえば以下に示す方法で合成することができる。
オリゴマー(E)の合成方法1
まず、電子吸引性基で連結されたビスフェノールを対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイドなどの誘電率の高い極性溶媒中に、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを加える。
通常、アルカリ金属はフェノールの水酸基に対し、過剰気味で反応させ、通常、1.1〜2倍当量を使用する。好ましくは、1.2〜1.5倍当量を使用する。
この際、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、電子吸引性基で活性化されたフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された芳香族ジハライド化合物を反応させる。このような芳香族ジハライド化合物としては、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4−フルオロフェニル−4'−クロロフェニルスルホン、ビ
ス(3−ニトロ−4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、2,5−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼンなどが挙げられる。前記芳香族ジハライド化合物としては、反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。
活性芳香族ジハライドの使用量は、ビスフェノールに対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜2.8倍モルである。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。
反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃である。
反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間である。
最も好ましい合成方法は、下記式で示される活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個ずつ有するクロロフルオロ体を用いる方法である。フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
Figure 2005255850
(式中、Wは上記式(E)に関して定義した通りである。)
オリゴマー(E)の合成方法2
特開平2−159号公報に記載されているような、求核置換反応と親電子置換反応を組み合わせ、目的の電子吸引性基と電子供与性基とからなる屈曲性化合物を合成する方法も、適用できる。
具体的には、まず、電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライド、たとえば、ビス(4−クロロフェニル)スルホンを、フェノールで求核置換反応させてビスフェノキシ置換体とする。次いで、この置換体と、たとえば4−クロロ安息香酸クロリドとのフリーデルクラフト反応によって、オリゴマー(E)を得る。
ここで用いる電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライドとしては、上記で例示した化合物が適用できる。
フェノール化合物は置換されていてもよいが、耐熱性や屈曲性の観点から、無置換化合物が好ましい。なお、フェノールの置換反応は、アルカリ金属塩とするのが好ましく、使用可能なアルカリ金属化合物は上記に例示した化合物である。アルカリ金属化合物は、フェノール1モルに対し、1.2〜2倍モルを使用する。
反応に際し、上述した溶媒や水との共沸溶媒を用いることができる。
上記溶媒としては、フリーデルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどが挙げられる。
前記ビスフェノキシ化合物と、アシル化剤としてのクロロ安息香酸クロライドとを、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのルイス酸のフリーデルクラフト反応の活性化剤存在下に、反応させる。クロロ安息香酸クロライドは、前記ビスフェノキシ化合物に対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルを使用する。フリーデルクラフト活性化剤は、アシル化剤であるクロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1〜2倍当量使用する。
反応時間は15分〜10時間で、反応温度は−20℃から80℃である。
オリゴマー(E)の合成方法3
上記式(E)において、pが2以上である化合物は、たとえば、上記式(E)において電子供与性基Tであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノールと、電子吸引性基Wである、>C=O、−SO2−および>C(CF32から選ばれる少なくとも1種の基と
を組み合わせた化合物と、過剰の活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応を、極性溶媒存在下で、前記の単量体の合成手法に順じて行なうことで、得ることができる。
上記式(E)において電子供与性基Tであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノールと、電子吸引性基Wである、>C=O、−SO2−および>C(CF32から選ばれ
る少なくとも1種の基とを組み合わせた化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェ
ノールのアルカリ金属塩などが挙げられる。
前記活性芳香族ハロゲン化合物としては、4,4−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4
−クロロフェニル)スルホンなどが挙げられる。
前記極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド
、スルホランなどが挙げられる。
上記式(E)においてpが2以上である化合物としては、下記式で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
Figure 2005255850
上記式において、pは0または正の整数であり、その上限値は通常100、好ましくは10〜80である。
(スルホン酸エステル基を有するポリアリーレン(F)の合成)
スルホン酸エステル基を有するポリアリーレン(F)は、モノマー(D)とオリゴマー(E)とを触媒の存在下に反応させることにより合成される。前記触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系は、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)(以下、「遷移金属錯体」という。)、および(2)還元剤を必須成分とする。さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
前記遷移金属塩としては、
塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;
塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;
塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;
塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物
などが挙げられる。これらのうち、特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルが好ましい。
前記配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−シ
クロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる。
これらのうち、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。前記配位子成分である化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合せて、使用することができる。
前記遷移金属錯体としては、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)
、臭化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テト
ラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
前記還元剤としては、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
また、前記触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。これらのうち、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
遷移金属塩、または遷移金属錯体の使用量は、上記モノマー(D)と上記オリゴマー(E)との総計(以下、「(D)と(E)との総計」とする。)1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用量は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となることがあり、一方、100モルを超えると、分子量が低下することがある。
還元剤の使用量は、(D)と(E)との総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行しないことがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
また、「塩」を使用する場合、その使用量は、(D)と(E)との総計1モルに対し、通常0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であることがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
モノマー(D)とオリゴマー(E)とを反応させる際に使用することのできる重合溶媒としては、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ
−ブチロラクトン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンが好ましい。これらの重合溶媒は十分に乾燥してから用いることが好ましい。
重合溶媒中における(D)と(E)との総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好まし
くは5〜40重量%である。
重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。
また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
モノマー(D)を用いて得られたスルホン酸エステル基を有するポリアリーレン(F)は、スルホン酸エステル基を加水分解してスルホン酸基に変換することにより、スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)とすることができる。
加水分解の方法としては、
(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを投入し、5分間以上撹拌する方法
(2)トリフルオロ酢酸中で上記スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法
(3)スルホン酸エステル基を有するポリアリーレン中のスルホン酸エステル基(−SO3R)1モルに対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、たとえばN−メチ
ルピロリドンなどの溶液中で上記ポリアリーレンを80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法
などを挙げることができる。
(スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)の合成方法2)
本発明に用いられるスルホン酸基を有するポリアリーレン(I)は、モノマー(D)と同様の骨格を有し、スルホン酸基およびスルホン酸エステル基を有しないモノマーと、前記オリゴマー(E)とを、共重合させることにより、ポリアリーレン系共重合体を予め合成し、このポリアリーレン系共重合体をスルホン化することにより合成することもできる。この場合、(スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)の合成方法1)に準じた方法によりスルホン酸基を有しないポリアリーレンを合成した後、無溶剤下あるいは溶剤存在下で、スルホン化剤を用い、前記スルホン酸基を有しないポリアリーレンに常法によりスルホン酸基を導入することにより、スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)を得ることができる。
上記式(D)で表されるモノマー(D)と同様の骨格を有し、スルホン酸基およびスルホン酸エステル基を有しない化合物としては、下記の様な化合物が挙げられる。
Figure 2005255850
Figure 2005255850
上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、上記化合物において
−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、上記化合物において塩素原子が臭素原子に
置き換わり、かつ−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
スルホン酸基を導入する方法としては、たとえば、上記スルホン酸基を有しないポリアリーレンを、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの公知のスルホン化剤を用いて、公知の条件でスルホン化する方法が挙げられる
(Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p.730(1993);
Polymer Preprints,Japan,Vol.43,No.3,p.736(1994);
Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490〜2492(1993))。
すなわち、前記スルホン酸基を有しないポリアリーレンを、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で、前記スルホン化剤と反応させる。
溶剤としては、
n−ヘキサンなどの炭化水素溶剤、
テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、
ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような非プロトン系極性溶剤、
テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、などが挙げられる。
反応温度は特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。
反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
(その他)
スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)には、老化防止剤、好ましくは分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物を含有させてもよく、老化防止剤を含有することで電解質としての耐久性をより向上させることができる。
前記ヒンダードフェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、ペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1010)、2,2
−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(商品名:IRGANOX 1076)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(IRGAONOX 1098)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9−
ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]
ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)などを挙げることができる。
本発明において、スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)100重量部に対して、ヒンダードフェノール系化合物は0.01〜10重量部の量で使用することが好ましい。
スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)中のスルホン酸基量は、たとえばモノマー(D)またはオリゴマー(E)の種類、導入するスルホン化剤の量、使用割合、または組み合わせを変えることにより、調整することができる。
ポリアリーレン(I)中のスルホン酸基量を所望の範囲に必ずしも容易ではなかった。
そこで、以下に示す特定の重合体(II)と組み合わせて使用することで、スルホン酸基の制御が容易となる。またポリアリーレンのみの場合に、耐熱水性が不充分となることがあったが、重合体(II)と組み合わせることで、プロトン伝導性、機械的強度を損なうことなく、耐熱水性が改善された複合膜を形成することが可能な重合体組成物が得られる。
<スルホン酸基を有さない重合体(II)>
本発明に用いられるスルホン酸基を有さない重合体(II)としては、AAS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系ポリマー、スチレン−ブタジエン系ポリマー、ポリ酢酸ビニル系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリエチレン系ポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリケトン系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー、フッ素系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエチレンオキサイド系ポリマー、ポリフェニレンオキサイド系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリアリーレン系ポリマー、パーフルオロカーボン系ポリマー、フェノール樹脂、アセタール樹脂、シリコーン系ポリマー、ジエン系ポリマーあるいはその水添物、エチレン−プロピレン系ポリマーなどの高分子化合物などが挙げられる。これらは単独でも、必要に応じて2種以上混合して使用することもできる。
また、スルホン酸基を有さない重合体として、高強度、高弾性率ポリマーを用いることも好ましい。このようなポリマーは、弾性率が10GPa以上、破断強度が50MPaの機械的強度を示す線状ポリマーであって、溶剤のいずれかに溶解が可能であるものであればよい。
このような高強度、高弾性率ポリマーとしては、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリ(p−キシリレン)、
ポリアリーレン、芳香族ポリスルホン、脂環ポリアミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミド―イミド、芳香族ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール等が挙げられる。また、これらは単独で用いることも可能であり、また、必要に応じて2種以上混合して用いてもよい。
本発明に用いられるスルホン酸基を有さない重合体(II)は、溶解度パラメーターδが28.0(J・cm-31/2以下であることが好ましい。溶解度パラメーターδが上記
の範囲にあると、耐熱水性の改良効果が高くなるので好ましい。
スルホン酸基を有さない重合体(II)の溶解度パラメーターδ(SP)は、各種文献に掲載された文献値、および計算値に算出することが可能である。
たとえば、Smallの式を用いて計算される。
Figure 2005255850
ここで、M:ポリマーの単位分子量、d:密度、G:原子団・基に固有の定数である。
また、スルホン酸基を有さない重合体として、高強度、高弾性率ポリマーを用いた場合、得られる複合膜の強度が増すため、薄膜化ができる。
<重合体組成物>
本発明に係る重合体組成物は、前記スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)と、前記スルホン酸基を有さない重合体(II)とを含有する。
本発明に係る重合体組成物において、スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)の含有量は、30〜95重量%((I)と(II)との総量を100重量%とする。)であるのが好ましい。この範囲にあると、複合膜は、イオン伝導率、熱安定性及び化学安定性、柔軟性、耐熱水性に優れる。一方、上記範囲よりも少なすぎると、複合膜のイオン伝導率が不十分となることや、熱安定性及び化学安定性が劣ることがある。さらに、上記範囲よりも多すぎると、スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)自体の剛直性により複合膜の柔軟性が不十分となることや、耐熱水性が劣ることがある。より好ましい含有量は50〜95重量%であり、特に好ましい含有量は70〜90重量%である。
なお、本発明の重合体組成物は、上記重合体を主成分とするが、そのほか、必要に応じて添加剤を添加することができる。
スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)とスルホン酸基を有さない重合体(II)との混合方法としては、両者が均一に混合できれば特に制限されるものではないが、たとえば重合体を有機溶媒に溶解して、均質な溶液(ワニス)とすればよい。また、重合体同士を溶融混練してもよい。詳しくは後述の複合膜の製造法で説明する。
本発明に係る重合体組成物は、プロトン伝導性に富んだスルホン酸基を有するポリアリーレン(I)と、強度・靭性などの機械的強度、耐熱水性に優れたスルホン酸基を有さない重合体(II)とが相溶し複合化されているので、この重合体組成物を用いることにより、プロトン伝導性、強度・靭性などの機械的強度、耐熱水性に優れた複合膜を形成することができる。
したがって、本発明に係る重合体組成物は、たとえば一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などの形成材料として有用である。
また、本発明に係る重合体組成物を用いれば靭性に優れた複合膜を形成できるので、膜‐電極接合体の形成時や長期発電時における膜の破壊によるガス漏れ、電極の短絡などの問題も解決することができる。
複合膜
本発明に係る複合膜は、前記重合体組成物を用いて形成されることを特徴とする。
前記重合体組成物を用い、たとえば、複合膜(プロトン伝導膜)を製造するには、上記重合体成分を、有機溶媒に溶解して、均質な溶液(ワニス)としたのち、基体上にキャスティングによりフィルム状に成形するキャスティング法や、重合体組成物を混合溶融した後に、押し出し成形によってフィルムを製造する方法など、一般的な方法を適用することができる。
キャスティング法によってフィルムを製造する場合、有機溶媒としては、重合体成分の共通溶媒を用いるのが望ましい。このような有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルアミルケトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、クロロホルム、塩化メチレンなどを挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合した混合溶剤としてでも使用することができる。
これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、エチルカルビトール、メチルカルビトールが好ましい。
また、キャスティングを行う場合の有機溶媒を含むワニス中における固形分濃度、すなわち重合体組成物分の割合は、ワニス中に、3〜40重量%、好ましくは5〜35重量%である。3重量%未満では、充分な厚さの塗膜が得られず、一方、40重量%を超えると、充分に流延せず、均一な塗膜が得られないことがある。
キャスティング法で使用される基体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ナイロン6フィルム、ナイロン6,6フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムのほか、ガラス板などが挙げられ、好ましくはPETフィルム、ガラス板である。
また、この基体となるプラスチックフィルム(板)の厚みは、通常、50〜250μm、好ましくは75〜200μmである。また、ガラス板では、1〜5mmの厚みである。
キャスティング法として、具体的には、スプレー、スピンコート、ドクターブレードなどが挙げられる。
上記キャスティング法による製膜後、室温〜200℃、好ましくは50〜150℃で、5〜180分、好ましくは5〜120分、加熱・乾燥することにより、本発明の複合膜が形成される。乾燥は、常圧〜真空下の条件が適用できる。また、加熱は、逐次昇温して処理してもよい。
なお、本発明に係る複合膜の形成工程中あるいは形成後に、複合膜に電子線を照射し、複合膜を硬化処理することも好ましい手段である。
複合膜の形成工程中あるいは形成後に、複合膜に電子線を照射する方法としては、特に制限はないが、たとえば下記の条件で行うことが好ましい。
(1)雰囲気:窒素、アルゴンまたは真空(中でも、窒素下がさらに好ましい。)
(2)温度:20〜450℃(室温から照射ポリマーのガラス転移温度がさらに好ましい。)
(3)電子線量:5〜200Mrad(10〜150Mradがさらに好ましい。)
窒素、アルゴンまたは真空の雰囲気下で、電子線照射を行なうと、複合膜が酸化されず、充分な耐熱性、耐久性を得ることができる。
温度は、20〜450℃であれば、特に制限はないが、被照射ポリマーのガラス転移温度、もしくはこれより数10℃高い温度で行なえば、より効率的に硬化できる。
電子線量が5〜200Mradの範囲であると、ポリアリーレンのスルホン化物の分解を生起することなく、硬化反応を進行させることができる。5Mrad未満では、架橋に必要な照射エネルギーが得られず、一方、200Mradを超えると、ポリマーの一部が分解してしまうことがある。
本発明の複合膜の乾燥膜厚は、通常、10〜150μm、好ましくは20〜80μmである。
本発明に係る複合膜は、スルホン酸基量が多く、プロトン伝導性に富んだ、ポリアリーレン系重合体と、力学特性や耐熱水性に優れた重合体とが、相溶し複合化されているので、プロトン伝導性、強度・靭性などの機械的強度および耐熱水性が優れる。
したがって、本発明に係る複合膜は、たとえば一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能なプロトン伝導性の伝導膜として利用が可能である。
また、本発明に係る複合膜は靭性に優れるので、膜‐電極接合体の形成時や長期発電時における膜の破壊によるガス漏れ、電極の短絡などの問題も解決することができる。
[実施例]
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[合成例1]
<スルホン酸基を有するポリアリーレンの合成>
スルホン酸基を有するポリアリーレンは、以下の方法にて合成した。
(オリゴマーの調製)
Figure 2005255850
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、表1に示した化合物を仕込み、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し
撹拌しながら130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。その後、反応温度を約1時間で130℃から徐々に150℃まで上げながら、大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4'−DCBP10.0g(0.040モル)を加え、さらに5時間反応させた。
得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。
沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は11,200であった。また、得られた重合体はTHF、NMP、DMAc、スルホランな
どに可溶で、Tgは110℃、熱分解温度は498℃であった。
得られた化合物は式(I)で表されるオリゴマー(以下、「BCPAFオリゴマー」という)であった。このオリゴマーはNMRで構造を確認した。
Figure 2005255850
(スルホン酸基を有するポリアリーレンの調製)
Figure 2005255850
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、表2に示した化合物を仕込んだ。窒素雰囲気下で、反応系を攪拌下に加熱し(最終的には75℃まで加温)、3時間反応させた。
重合反応液をTHF 250mLで希釈し、30分攪拌し、セライトをろ過助剤に用い
、ろ過紙、ろ液を大過剰のメタノール1500mLに注ぎ、凝固させた。
凝固物を濾集、風乾し、さらにTHF/NMP(それぞれ200/300mL)に再溶解し、大過剰のメタノール1500mLで凝固析出させた。
風乾後、加熱乾燥により、黄色繊維状のネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体(PolyAB-SO3neo-Pe)38.5g(収率96%)を得た。なお、生成物は、NMRで構造を確認した。
GPCによる分子量はMn=47,000、Mw=158,000であった。
こうして得られた共重合体(PolyAB-SO3neo-Pe)5.1gをNMP60mLに溶解し、90℃に加温した。反応系にメタノール50mLと濃塩酸8mLの混合物を一時に加えた。懸濁状態となりながら、温和の還流条件で10時間反応させた。
蒸留装置を設置し、過剰のメタノールを溜去させ、淡緑色の透明溶液を得た。
この溶液を大量の水/メタノール(1:1重量比)中に注いで、ポリマーを凝固させた後、洗浄水のPHが6以上となるまで、イオン交換水でポリマーを洗浄した。
こうして得られたポリマーのIRスペクトルおよびイオン交換容量の定量分析から、スルホン酸エステル基(−SO3a)はスルホン酸基(−SO3H)に転換していることが
わかった。
得られたスルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体のGPCによる分子量は、Mn=53,800、Mw=186,000であり、スルホン酸等量は2.8meq/gであった。
[実施例1]
<複合膜の調製>
合成例1で得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンと、スルホン酸基を有さない重合体(II)として、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(JSR N230S
JSR(株)製)とを、固形分比で90/10の重量組成比になるように配合し、N−メ
チルピロドリンに、固形分濃度が10重量%になるように調整して、室温で攪拌・混合して、均一溶液を調製した。得られた溶液は、淡黄色の透明溶液であった。
得られた溶液組成物を、ガラス基板上にドクターブレードを用いて流延し、80℃で15分、100℃で15分、150℃で30分、180℃で30分乾燥させて、膜厚30μmのしなやかな複合化フィルムを得た。
得られた複合膜の評価結果を表3に示す。
[実施例2]
実施例1において、スルホン酸基を有さない重合体(II)であるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(JSR N230S、JSR(株)製)の代わりに、スチレン−ブタジエン共重合体(JSR SL552、JSR(株)製)を使用する以外は、実施例1と同様な方法で膜厚30μmのしなやかな複合化フィルムを得た。
得られた複合膜の評価結果を表3に示す。
[実施例3]
実施例1において、スルホン酸基を有さない重合体(II)であるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(JSR N230S、JSR(株)製)の代わりに、ポリエーテルスルホンを使用する以外は、実施例1と同様な方法で膜厚15μmのしなやかな複合化フィルムを得た。
得られた複合膜の評価結果を表3に示す。
[実施例4]
実施例1において、スルホン酸基を有さない重合体(II)であるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(JSR N230S、JSR(株)製)の代わりに、ポリフェニレンスルフィドを使用する以外は、実施例1と同様な方法で膜厚15μmのしなやかな複合化フィルムを得た。
得られた複合膜の評価結果を表3に示す。
[実施例5]
実施例1において、スルホン酸基を有さない重合体(II)であるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(JSR N230S、JSR(株)製)の代わりに、ポリアリレートを使用する以外は、実施例1と同様な方法で膜厚10μmのしなやかな複合化フィルムを得た。
得られた複合膜の評価結果を表3に示す。
[比較例1]
合成例1の表2の、
4−[4−(2,5−ジクロロベンゾイル)フェノキシ]ベンゼンスルホン酸neo
−ペンチル(A−SO3neo−Pe)の量を39.72g(98.97ミリモル)に、
BCPAFオリゴマー(Mn=11,200)の量を11.54g(1.03ミリモ
ル)に、
変更した以外は実施例1と同様の方法にて、スルホン酸基を有するポリアリーレンを作成した。得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、Mn=51,800、
Mw=183,000であり、スルホン酸等量は2.5meq/gであった。
こうして得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンを、N−メチルピロドリンに、
固形分濃度が10重量%になるように溶解させ、室温で攪拌・混合して、均一溶液を調製した。得られた溶液は、淡黄色の透明溶液であった。得られた溶液組成物から、実施例1
と同様な方法で、膜厚30μmのしなやかな膜を得た。
得られた膜の評価結果を表3に示す。
[比較例2]
比較例1と同様な方法で、膜厚15μmのしなやかな複合膜を得た。
得られた複合膜の評価結果を表3に示す。
[比較例3]
比較例1と同様な方法で、膜厚10μmのしなやかな複合膜を得た。
得られた複合膜の評価結果を表3に示す。
Figure 2005255850
本発明は、新規な重合体組成物に関する。本発明の重合体組成物から形成された膜は、基板、電極に対する密着性が優れ、プロトン伝導性、強度的性質、耐熱水性に優れる。
したがって、本発明の重合体組成物は、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などの形成材料として特に有用である。

Claims (5)

  1. (I)スルホン酸基を有するポリアリーレンと、(II)スルホン酸基を有さない重合体とを、含有することを特徴とする重合体組成物。
  2. 前記スルホン酸基を有さない重合体(II)の溶解度パラメーターδが28.0(J・cm-31/2以下であることを特徴とする請求項1記載の重合体組成物。
  3. 前記スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)が、下記式(A)で表される繰り返し単位および下記式(B)で表される繰り返し単位からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の重合体組成物。
    Figure 2005255850
    (式(A)中、
    Aは2価の電子吸引性基を示し、
    Bは2価の電子供与基または単結合を示し、
    Arは−SO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し、
    mは0〜10の整数を示し、
    nは0〜10の整数を示し、
    kは1〜4の整数を示す。)
    Figure 2005255850
    (式(B)中、
    1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示し、
    Wは2価の電子吸引性基または単結合を示し、
    Tは2価の有機基または単結合を示し、
    pは0または正の整数を示す。)
  4. 前記重合体組成物において、前記スルホン酸基を有するポリアリーレン(I)の含有量が、30〜95重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の重合体組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の重合体組成物を用いて形成されてなることを特徴とする複合膜。
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