JP2005253272A - 出力軸体の支持構造および電動機 - Google Patents

出力軸体の支持構造および電動機 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車用計器など各種用途の計器の指針を回転させるステッパモータにおいて、経時的なへたりに起因する出力軸体の微振れの増大を避ける。
【解決手段】ケース2内に、平板状の金属からなるスラスト板ばね9が湾曲自在に載置され、出力軸体6がスラスト板ばね9を押圧して湾曲させるように組み付けられている。スラスト板ばね9は金属製であるため、へたりを半永久的に回避できる。そのため、ステッパモータ1を長期間使用しても、出力軸体6の微振れが大きくならない。スラスト板ばね9は、曲面加工の必要がなく、平板状のままケース2に組み込まれる。よって、スラスト板ばね9が均質化され、出力軸体6の微振れが確実に抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用計器や船舶用計器、航空機用計器など各種用途の計器において、その指針を回転させるために用いられるステッパモータその他の電動機に適用するに好適な出力軸体の支持構造と、この出力軸体の支持構造を備えた電動機に関するものである。
従来、この種の電動機としては、金属製の指針軸に樹脂製の段歯車が嵌着された出力軸体をケースに回転駆動自在に支持したものが多用されている。この電動機では、出力軸体の回転中の微振れを抑制するため、段歯車に樹脂ばねが一体に形成されている。そして、ケースに出力軸体を軸方向前向きに組み付けると、この樹脂ばねがケースの内面に当接して撓むことにより、出力軸体が軸方向後ろ向きに付勢される。その結果、出力軸体は軸方向に押さえ込まれた状態となり、回転しても微振れを抑えることが可能となる。
ところが、樹脂ばねは、その材質が樹脂であるが故に、経時変化によるへたり、すなわち永久変形を生じやすい。そのため、この電動機を長期にわたって使っていると、出力軸体を軸方向に押さえ込む力が弱まり、出力軸体の微振れが大きくなってしまう。
そこで、段歯車に樹脂ばねを形成する手法に代え、各種の曲面形状(湾曲状、皿状、断面略コ字状など)を有する金属製のスラスト板ばねをケースに組み込む手法が考えられる(例えば、特許文献1参照)。この金属製のスラスト板ばねを用いた電動機では、ケースに出力軸体を軸方向前向きに組み付けたときに、スラスト板ばねが出力軸体に押圧されて撓み、出力軸体が軸方向後ろ向きに付勢される。その結果、出力軸体は軸方向に押さえ込まれ、回転しても微振れを抑えることができるのである。
特開2002−340631号公報(段落〔0036〕〔0047〕の欄、図5)
しかし、各種の曲面形状を有する金属製のスラスト板ばねは、通常、平板状の金属板を所定の曲面形状に加工して製造しなければならず、その品質(ばね定数)にばらつきが発生する恐れがある。したがって、このスラスト板ばねを用いた電動機にも、出力軸体の微振れ抑制効果に個体差が現れる危険性がある。
本発明は、このような事情に鑑み、経時的なへたりに起因する出力軸体の微振れの増大を回避することができるばかりか、スラスト板ばねを均質化することにより、出力軸体の微振れを確実に抑制することが可能な、出力軸体の支持構造および電動機を提供することを目的とする。
まず、請求項1に係る発明は、ケース内に、平板状の金属からなるスラスト板ばねが湾曲自在に載置され、出力軸体が前記スラスト板ばねを押圧して湾曲させるように組み付けられていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、前記出力軸体が、指針軸に段歯車を嵌着したものであることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、前記段歯車に、前記出力軸体が前記ケースに組み込まれた状態における前記スラスト板ばねの曲率半径に合致する曲率半径をもつ曲面状の主当接面が形成されていることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、前記主当接面の両側に、前記出力軸体が最大限突出した状態における前記スラスト板ばねの曲率半径に合致する曲率半径をもつ曲面状の副当接面が形成されていることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、前記主当接面が、球面状であることを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、前記スラスト板ばねに、当該スラスト板ばねの長さ方向に長い長円形の貫通孔が形成されていることを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の出力軸体の支持構造を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、経時的なへたりに起因する出力軸体の微振れの増大を回避することができるばかりか、スラスト板ばねを均質化することにより、出力軸体の微振れを確実に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る出力軸体の支持構造の第1の実施形態を備えたステッパモータを示す正断面図である。
このステッパモータ1は、図1に示すように、主に樹脂製のケース2、金属製のスラスト板ばね9および出力軸体6から構成されており、ケース2は一対のケース片3、5を組み合わせたものである。一方のケース片3はシャーレ状の本体3aを有しており、本体3aのほぼ中央部には筒部3bが形成されている。また、本体3aの両端部には一対の係合爪3cが他方のケース片5側に突設されており、これらの係合爪3cにより、ステッパモータ1を配線板4に取り付けることができる。さらに、本体3aには複数個のねじ止め雄部3dが形成されている。また、他方のケース片5は、シャーレ状の本体5aを有しており、本体5aのほぼ中央部にはボス部5bが、ケース片3の筒部3bに対向して形成されている。ボス部5b近傍の本体5a内面には凹部5cが形成されている。さらに、本体5aには複数個のねじ止め雌部5dが、ケース片3のねじ止め雄部3dに対向して形成されており、ねじ止め雄部3dがねじ止め雌部5dに嵌合した状態でケース片3、5がねじ(図示せず)で互いに止め付けられている。
また、スラスト板ばね9は、図5に示すように、長方形平板状の基板9aを有しており、基板9aのほぼ中央部には、基板9aの長さ方向にやや長い長円形の貫通孔9bが形成されている。また、基板9aの両端部には一対の半円形の切り欠き溝9cが形成されている。そして、このスラスト板ばね9は、図1に示すように、ケース片5の凹部5cの上側に両端支持で載置され、中央部が段歯車8のボス部8bに押圧されて凹部5c側に少し撓んだ湾曲状態となっている。
さらに、出力軸体6は、金属製の指針軸7を有しており、指針軸7には樹脂製の段歯車8が嵌着されている。ここで、指針軸7は、その後端部7bがケース片3の筒部3bに回転自在に嵌入されているとともに、先端部7aがケース片5のボス部5bに回転自在に嵌入されている。また、段歯車8の後端部8dはケース片3の筒部3bに当接している。ここで、段歯車8の前端部には、図2に示すように、特定の曲率半径R1をもつ曲面状(例えば、球面状)の主当接面8cが形成されている。この曲率半径R1は、出力軸体6がケース2に組み込まれた状態におけるスラスト板ばね9の中央部の曲率半径に合致している。
ステッパモータ1は以上のような構成を有するので、このステッパモータ1を組み立てる際には次の手順による。
まず、図4に示すように、ケース片5の凹部5cの上側にスラスト板ばね9を両端支持で載置する。それには、ピンセットなどの把持具(図示せず)でスラスト板ばね9の一対の切り欠き溝9cを把持し、ケース片5の凹部5cを覆うようにスラスト板ばね9を搭載する。すると、スラスト板ばね9は、図3および図4に示すように、その両端がケース片5の内面に当接して支持され、貫通孔9bがケース片5のボス部5bの直上に位置決めされた状態となる。
次いで、図3に示すように、ケース片5にその内側(図3上方)から出力軸体6を組み付ける。それには、ケース片5にスラスト板ばね9が載置された状態で、出力軸体6の指針軸7の先端部7aをスラスト板ばね9の貫通孔9bに挿通した後、ケース片5のボス部5bに嵌入する。すると、出力軸体6は、段歯車8の主当接面8cがスラスト板ばね9の上面に当接した状態となる。このとき、スラスト板ばね9は、その中央部に出力軸体6の重量を下向きに受けているとはいえ、ほぼ平板状のままとなっている。
次いで、図1に示すように、ケース片5にケース片3を組み合わせる。それには、出力軸体6の指針軸7の後端部7bにケース片3の筒部3bを嵌合させるとともに、ケース片5の各ねじ止め雌部5dにケース片3の各ねじ止め雄部3dを嵌合させるようにして、両方のケース片3、5を互いに組み合わせた後、ねじ止め雄部3dおよびねじ止め雌部5dにねじ(図示せず)を挿通してケース片3、5を止め付ける。すると、出力軸体6は、段歯車8のボス部8bがケース片3の筒部3bに押圧される形でケース片5側(図1下方)に移動する。その結果、スラスト板ばね9は、中央部が段歯車8のボス部8bに押圧されて凹部5c側(図1下方)に少し撓んだ状態となる。このとき、基板9aの貫通孔9bは、基板9aの長さ方向に長い長円形に形成されているので、スラスト板ばね9が撓んでも出力軸体6の指針軸7と干渉する恐れはない。
ここで、ステッパモータ1の組立が終了する。
このようにして組み立てられたステッパモータ1においては、回転動力源(図示せず)からの回転力が出力軸体6に伝わると、出力軸体6が回転する。このとき、出力軸体6の段歯車8がケース片3の筒部3bとスラスト板ばね9とで軸方向(図1上下方向)に挟み込まれているので、出力軸体6が回転しても微振れを抑えることができる。
また、スラスト板ばね9は、その材質が金属であるため、へたりを半永久的に回避することができる。その結果、ステッパモータ1を長期にわたって使用しても、出力軸体6の微振れが大きくなる事態を未然に防ぐことが可能となる。
しかも、スラスト板ばね9は、曲面加工の必要がなく、平板状のままケース2に組み込まれる。したがって、スラスト板ばね9の均質化により、出力軸体6の微振れを確実に抑制することができる。
さらに、段歯車8の主当接面8cは、特定の曲率半径R1をもつ曲面状となっているので、スラスト板ばね9は常に段歯車8と線接触している。この点からも、スラスト板ばね9のへたりを防止することができる。
また、出力軸体6の指針軸7はスラスト板ばね9と干渉しないので、出力軸体6の回転は円滑に行われる。
なお、図6に示すように、段歯車8の主当接面8cの両側に、特定の曲率半径R2をもつ曲面状(例えば、球面状)の副当接面8dを形成し、この曲率半径R2が、出力軸体6が最大限突出した状態におけるスラスト板ばね9の中央部の曲率半径に合致するようにしてもよい。この場合、出力軸体6が突出しても、スラスト板ばね9が段歯車8と点接触することはないので、スラスト板ばね9の寿命を延ばすことができる。
また、スラスト板ばね9としては、長方形平板状の基板9aを有するものに限らず、正方形平板状や六角形平板状の基板9aを有するものを使用することも可能である。
また、ケース2の材質は必ずしも樹脂である必要はなく、樹脂以外の材質(例えば、金属など)を採用してもよい。
また、出力軸体6の指針軸7の材質は必ずしも金属である必要はなく、金属以外の材質(例えば、樹脂など)を採用しても構わない。
また、出力軸体6の段歯車8の材質は必ずしも樹脂である必要はなく、樹脂以外の材質(例えば、金属など)を採用してもよい。
さらに、上述した実施形態ではステッパモータ1について説明したが、ステッパモータ1以外の電動機(例えば、DCモータ、ACモータ、超音波モータなど)に本発明を適用することもできる。
本発明に係る出力軸体の支持構造の第1の実施形態を備えたステッパモータを示す正断面図である。 図1のステッパモータの要部を示す拡大正面図である。 図1のステッパモータの組み付け前の状態を示す正断面図である。 図1のステッパモータの組み付け前の状態を示す平面図である。 スラスト板ばねの斜視図である。 本発明に係る出力軸体の支持構造の第2の実施形態を備えたステッパモータの要部を示す正面図である。
符号の説明
1……ステッパモータ(電動機)
2……ケース
6……出力軸体
7……指針軸
8……段歯車
8c……主当接面
8d……副当接面
9……スラスト板ばね
9b……貫通孔
R1……主当接面の曲率半径
R2……副当接面の曲率半径

Claims (7)

  1. ケース内に、平板状の金属からなるスラスト板ばねが湾曲自在に載置され、
    出力軸体が前記スラスト板ばねを押圧して湾曲させるように組み付けられていることを特徴とする、出力軸体の支持構造。
  2. 前記出力軸体が、指針軸に段歯車を嵌着したものであることを特徴とする、請求項1に記載の出力軸体の支持構造。
  3. 前記段歯車に、前記出力軸体が前記ケースに組み込まれた状態における前記スラスト板ばねの曲率半径に合致する曲率半径をもつ曲面状の主当接面が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の出力軸体の支持構造。
  4. 前記主当接面の両側に、前記出力軸体が最大限突出した状態における前記スラスト板ばねの曲率半径に合致する曲率半径をもつ曲面状の副当接面が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の出力軸体の支持構造。
  5. 前記主当接面が、球面状であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の出力軸体の支持構造。
  6. 前記スラスト板ばねに、当該スラスト板ばねの長さ方向に長い長円形の貫通孔が形成されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の出力軸体の支持構造。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の出力軸体の支持構造を備えたことを特徴とする電動機。
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