JP2005252351A - ビタビ等化器 - Google Patents

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【課題】多値QAM変調方式に適合するビタビ等化処理を現実的な演算量で実現する。
【解決手段】遅延波レプリカ生成手段と、誤差算出手段と、サバイバルパス選択手段とを備えたビタビ等化器において、希望波レプリカ生成手段は、信号点候補の分布領域を均等に分割した各ブロックの重心位置の座標値を用いて希望波レプリカ候補を生成するレプリカ候補生成手段と、各希望波レプリカ候補についてブランチメトリックを求める候補誤差算出手段と、最小のブランチメトリックを与える希望波レプリカ候補を選択する選別手段と、各ブロックの重心位置が信号点候補の位置と一致するか否かを判定する判定手段と、重心位置と信号点候補の位置とが一致しない場合に、信号点候補の絞込みの繰り返しを指示する指示手段と、重心位置と信号点候補の位置とが一致する場合に、選別された信号点候補に隣接する信号点候補であって、対応する希望波レプリカが未生成であるものに対応して新たに希望波レプリカ追加候補を生成するレプリカ追加手段とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、希望波に対して遅延波の受信レベルが十分に小さい環境において希望波以外の遅延波の影響をキャンセルするビタビ等化器に関し、特に、多値QAM変調方式に適した演算量の削減技術に関する。
ビタビ等化器は、移動通信などのように干渉波の影響を受けやすい通信システムのエラー訂正手段として用いられることが多い。このため、ビタビ等化器の演算量削減技術の多くは、希望波に対して無視できないレベルを持つ遅延波が存在するレイリーフェージング環境において適用することを前提として提案されている。
例えば、受信レベルの高い遅延波の数が現実的にはさほど多くはないことに着目し、電力の大きい2つの遅延波に注目してその他の遅延波の影響を無視することにより、考慮すべき状態数を削減することを以って演算量を削減する技術が提案されている(非特許文献1参照)。
一般的なビタビ等化器では、考慮する最大シンボル遅延時間(例えば3シンボル)以内の任意の遅延時間に遅延波が到来する場合に対処できるように考えられている。したがって、適用されている変調方式がQPSK(quadrature phase shift keying)である場合に、考慮すべき状態数は43個すなわち64個となる。
非特許文献1の技術では、例えば、先行波と3シンボル遅延された波とに注目して系列推定を行うことによって、ビタビ等化器において考慮すべき状態数を削減している。具体的には、まず、図7に示すように、送信の時系列に従ってシンボル単位で付された番号で示される送信系列を、シンボル間隔Tごとに出力を切り替えて3等分し、分割された系列ごとにビタビ等化を行う。そして、各系列において得られたビタビ等化の出力を合成して元の系列を再現することで、先行波と3シンボル遅延された波とに注目した系列推定を実現している。このとき、先行波と3シンボル遅延した波とについての補償にかかわる演算を、1シンボル遅延の遅延波を補償するビタビ等化と同じように扱うことにより、各分割ビタビ等化の状態数を4にまで削減している。
上述した技術の他にも、移動通信環境に適用するビタビ等化器に関して、QPSK方式やπ/4QPSK方式などの変調方式に適合した様々な状態数削減技術が提案されている。その一方、多値QAM(quadrature amplitude modulation)に適合したビタビ等化器については、これまで、あまり多くの検討はされていなかった。
なぜなら、多値QAM方式によって変調された受信信号にビタビ等化器による遅延波補償処理を適用しようとすれば、たとえ、上述したようにして、先行波と3シンボル遅延した波とについての補償にかかわる演算を1シンボル遅延の遅延波を補償するビタビ等化と同じように扱う技術を適用したとしても、明らかに、状態数があまりに多くなるため、とても現実的な演算量では実現不可能だと考えられていたからである。
というのも、多値QAM方式にビタビアルゴリズムをそのまま適用するとすれば、図8に示す希望波レプリカ生成部401および遅延波レプリカ生成部402によって、多値QAMにおける信号点候補の全てに対応する希望波レプリカおよび遅延波レプリカをそれぞれ生成し、これらの希望波レプリカと遅延波レプリカとについて考えられる全ての組み合わせについて、ブランチメトリック算出部403により、受信信号とのブランチメトリックを算出した上で、加算比較選択処理部404により、パスメトリックとブランチメトリックとの加算、加算結果であるパスメトリックの比較およびパスの選択を行う必要があるからである。なお、図8に示した加算比較選択処理部404によって選択されたパスに関する情報は、パスメモリ405に保持されるとともに、遅延波に関する補償が完了した出力信号として出力される。また、このパスメモリ405に保持された情報に基づいて、伝送路推定部406により、希望波の振幅および位相回転量と遅延波の振幅および位相回転量の推定が行われ、これらの情報に基づいて、上述した希望波レプリカ生成部401および遅延波レプリカ生成部402は、それぞれ希望波レプリカの生成および遅延波レプリカの生成を行っている。また、上述した加算比較選択処理部404において、ブランチメトリックとパスメトリックとの加算処理が行われた結果としてのパスメトリックは、パスメトリックメモリ407に保持され、次のシンボルにおけるブランチメトリックとの加算処理に供される。
次に、多値QAM変調方式に適合したビタビ等化器の状態数削減技術の数少ない例の一つとして、受信信号との距離が遠い送信信号候補に対応する希望波レプリカの作成を抑止することで、演算量の削減を図る技術(特許文献1参照)について説明する。
特許文献1の技術では、16QAM方式による送信信号の候補を、例えば、複素平面における象限に対応する4つのブロックに分割し、各ブロックにおける代表点に対応する希望波レプリカそれぞれと受信信号との距離の二乗、即ち、ブランチメトリックを計算し、最小のブランチメトリックを与える代表点に対応するブロックに属する送信信号候補のみを残す。これにより、受信信号から遠い送信信号候補について希望波レプリカを作成する処理やこれらの希望波レプリカと遅延波レプリカとの考えられる組み合わせについてブランチメトリックを算出する処理を削減している。
例えば、16QAM方式による送信信号の候補s1〜s16を、図9に示すように、4つのブロックに分割し、各ブロックの代表点a1〜a4についてブランチメトリックを算出し、得られたブランチメトリックに基づいて尤度最大の代表点(例えば、代表点a1)を選択する。このようにして選択された代表点a1に対応するブロックに属する送信信号の候補s1〜s4に対応する希望波レプリカを生成し、ブランチメトリックの算出処理に供することで、作成される希望波レプリカの数を大幅に削減し、また、これに伴う演算量も大幅に削減することができる。
特開平5−335893号公報(図1) 神尾享秀、守山栄松、笹岡秀一、杉本裕二「移動通信用10Mbps p/4−QPSK装置の開発−簡略化ビタビ等化器の概要−」信学技報RCS96−67,1996−08
上述した非特許文献1の技法は、QPSK方式のように各シンボルに対応する状態数が少ない変調方式においては非常に有用であるが、多値QAM方式のように送信信号の候補の数が多い変調方式では、十分な効果を期待することはできない。
一方、特許文献1の技法は、送信信号の候補をブロック分けして絞り込む過程において、ブロックの選択を誤ると、選択したブロック内に真の信号点が存在しないために、有効な希望波レプリカを生成することができなくなり、結果として通信品質が大幅に劣化するおそれがある。
例えば、図10に示すような64QAMの信号点配置において、信号点d2に真の信号点が存在する場合には、当然ながら、4つの象限それぞれに対応するブロックにおける代表点a1〜a4の中から代表点a1が選択され、この代表点a1に対応するブロックを4分割したブロックそれぞれの代表点b1〜b4に対応してブランチメトリックの算出処理が行われる。このとき、真の信号点が信号点d2であるにもかかわらず、雑音の影響によって受信信号の位置がずれて、上述した代表点b1と代表点b2の中間に位置していたとすると、代表点b1が最も尤度の高い代表点として選択されてしまう可能性がある。この場合には、当然ながら、この代表点b1に対応するブロックに含まれる信号点である信号点c1〜c4についてのみ、希望波レプリカの生成処理が行われ、ブランチメトリックの算出処理に供される。つまり、真の信号点である信号点d2を、上述した絞込み過程において排除してしまうおそれがある。
また一方、従来のビタビ等化器の演算量削減技術では、移動通信システムへの適用を前提としているため、希望波の受信レベルと遅延波の受信レベルとの比を示すD/U比が低いためにビタビ等化におけるパス分岐が頻繁に発生することを考慮して、考えられる全ての信号点に対応するブランチメトリックが求められていた。
ところで、送信ノードと受信ノードの双方が固定され、更に、送受信ノード間に障害物が少ない見通しのよい環境では、移動通信システムにおいて一般的な環境として扱われるレイリーフェージング環境に比べて、周囲の障害物からの散乱によって発生する遅延波のレベルは希望波のレベルと比較して極めて低い。このようなD/U比の高い環境では、ビタビ等化におけるパス分岐は非常にまれであることが知られている。したがって、上述したような希望波の信号レベルに比べて遅延波の信号レベルが極めて小さいことが期待できる環境で用いられるビタビ等化器において、例えば、図10に示した64個の信号点全てに対応する遅延波レプリカを生成してブランチメトリックを算出するために費やす演算処理は、無駄な処理となっている可能性が高い。
本発明は、希望波に対して遅延波の信号レベルが十分に小さい環境において、多値QAM変調方式に適合する等化処理を現実的な演算量で実現可能なビタビ等化器を提供することを目的とする。
本発明にかかわる第1のビタビ等化器は、遅延波レプリカ生成手段と、希望波レプリカ生成手段と、誤差算出手段と、サバイバルパス選択手段とを備えており、希望波レプリカ生成手段は、レプリカ候補生成手段と、候補誤差算出手段と、選別手段と、判定手段と、指示手段と、レプリカ追加手段とから構成される。
本発明にかかわる第1のビタビ等化器の原理は、以下の通りである。
遅延波レプリカ生成手段は、4NQAM変調(Nは自然数)における信号点候補のうち、少なくとも選択されたサバイバルパスに対応する信号点候補に対応する遅延波レプリカを生成する。希望波レプリカ生成手段は、4NQAM変調における信号点候補から尤度の高いことが期待できる信号点候補を選択して希望波レプリカを生成する。誤差算出手段は、遅延波レプリカと希望波レプリカとについて考えられる組み合わせのそれぞれについて、入力される受信信号とのブランチメトリックを求める。サバイバルパス選択手段は、1時刻前の各信号点候補が持つパスメトリックに基づいて、所定数のサバイバルパスを選択する。希望波レプリカ生成手段において、レプリカ候補生成手段は、注目している信号点候補の分布領域を均等に分割して得られる所定数の等面積のブロックそれぞれについて、そのブロックの重心位置の座標値を用いて希望波レプリカ候補を生成する。候補誤差算出手段は、希望波レプリカ候補それぞれについて受信信号とのブランチメトリックを求める。選別手段は、希望波レプリカ候補の中から候補誤差算出手段によって最も小さいブランチメトリックが得られた希望波レプリカ候補を選択する。判定手段は、各ブロックの重心位置が4NQAM変調における信号点候補の位置と一致するか否かを判定する。指示手段は、判定手段によって重心位置と信号点候補の位置とが一致しない旨の判定結果が得られた場合に、選別手段によって選別された希望波レプリカに対応するブロックを注目している信号点候補の分布領域として、新たな希望波レプリカ候補の作成の繰り返しをレプリカ候補生成手段に指示する。レプリカ追加手段は、判定手段によって重心位置と信号点候補の位置とが一致する旨の判定結果が得られた場合に、選別手段によって選別された希望波レプリカ候補に対応する4NQAM変調における信号点候補に隣接する信号点候補であって、対応する希望波レプリカが未生成であるものに対応して新たに希望波レプリカ追加候補を生成し、選別された希望波レプリカ候補およびこれと同時に希望波レプリカ候補生成手段によって生成された希望波レプリカ候補とともに、尤度の高い信号点候補に対応する希望波レプリカとして出力する。
このように構成された第1のビタビ等化器の動作は、下記の通りである。
希望波レプリカ生成手段において、レプリカ候補生成手段は、例えば、図10に示した64QAMにおける信号点分布を4等分して得られる各ブロックの重心位置a1〜a4に対応する希望波レプリカ候補を生成し、これらの希望波レプリカ候補に対応して、誤差算出手段により、それぞれブランチメトリックを算出する。この場合は、各ブロックの重心位置は64QAMの信号点候補とは一致しないので、選別手段によって選択された最も受信信号との間のブランチメトリックが小さい希望波レプリカ候補に対応する信号点候補が属するブロックが新たな注目領域として選択され、指示手段による指示に応じて、該当するブロックを更に4つに分割して得られる各ブロックの重心位置に対応する新たな希望波レプリカ候補が、レプリカ候補生成手段によって生成される。このようにして尤度の高い信号点候補が存在すると期待される領域を限定していき、各ブロックの重心位置(例えば、図10において符号c1〜c4で示した)と信号点候補の位置とが一致したときに、判定手段による判定結果に応じて、レプリカ追加手段は、上述した重心位置c1〜c4から選別手段によって選別された重心位置(例えば、図10において符号c2で示す)に隣接する信号点であって、まだ対応する希望波レプリカがブランチメトリックの算出処理に供されていない信号点候補d1〜d5に対応する希望波レプリカ追加候補を生成し、先にレプリカ候補生成手段によって上述した重心位置c1〜c4に対応して生成された希望波レプリカ候補とともに、尤度の高い信号点候補に対応する希望波レプリカとして出力する。
このように、尤度の高い信号点候補が存在すると期待される領域を限定していき、最終的に希望波レプリカとして出力する段階で、最後に選別された信号点に隣接する信号点候補に対応する希望波レプリカを追加することにより、最後に選別された信号点とこれを囲む信号点とを真の信号点の候補として残し、ブロックを限定していく過程において、真の信号点を排除してしまう危険性を無くすことができる。また一方、上述したようにして生成される希望波レプリカ候補あるいは希望波レプリカの数は、全ての信号点候補の数に比べて小さいので、希望波レプリカ生成に要する演算量の削減も期待できる。
これにより、真の信号点に対応する希望波レプリカを確実に、しかも、現実的な演算量によって生成し、遅延波レプリカ生成手段によって生成される遅延波レプリカとともに誤差算出手段の処理に供することができる。
本発明にかかわる第2のビタビ等化器は、遅延波レプリカ生成手段と、希望波レプリカ生成手段と、誤差算出手段と、サバイバルパス選択手段とから構成される。
本発明にかかわる第2のビタビ等化器の原理は、以下の通りである。
希望波に対して遅延波の信号レベルが十分に小さい環境において用いられるビタビ等化器において、遅延波レプリカ生成手段は、4NQAM変調における信号点候補のうち、選択されたサバイバルパスに対応する信号点候補について遅延波レプリカを生成する。希望波レプリカ生成手段は、信号点候補から尤度の高いことが期待できる信号点候補を含む複数の信号点候補について希望波レプリカを生成する。誤差算出手段は、遅延波レプリカと希望波レプリカとについて考えられる組み合わせのそれぞれについて、入力される受信信号とのブランチメトリックを求める。サバイバルパス選択手段は、1時刻前の各信号点候補が持つパスメトリックに基づいて、所定数のサバイバルパスを選択する。
このように構成された第2のビタビ等化器の動作は、下記の通りである。
遅延波レプリカ生成手段は、サバイバルパス選択手段によって選択されたサバイバルパスに対応する信号点候補についてのみ、選択的に遅延波レプリカを生成し、誤差算出手段の処理に供する。したがって、誤差算出手段によってブランチメトリックが算出される組み合わせは、サバイバルパスの数と希望波レプリカ生成手段によって生成される希望波レプリカの数とを乗じた数に限定されるので、当然ながら、例えば、64QAM変調方式における全ての信号点候補について遅延波レプリカを生成した場合に比べて、演算量を大幅に削減することができる。
なお、希望波に対して遅延波の信号レベルが十分に小さい環境においては、パス分岐の発生確率が極めて小さいことは広く知られており、このことを考えれば、遅延波レプリカをサバイバルパスに対応するものに絞ったことによって、ビタビ等化器の性能に悪影響が出ることは考えにくい。
上述した第1のビタビ等化器によれば、希望波レプリカを生成する信号点候補を絞り込みながらも、受信信号が複素平面において占める位置にかかわらず、真の信号点に関する尤度の高い希望波レプリカを確実に生成することができるので、多値QAM方式に適合した等化処理に要する演算量の削減と真の信号点の推定に関する精度の維持を両立することができる。
また、上述した第2のビタビ等化器によれば、遅延波の振幅が希望波の振幅に比べて十分に小さい環境に限って、サバイバルパスを限定して遅延波レプリカを生成してブランチメトリックの算出処理に供することにより、真の信号点の推定処理の精度に影響を及ぼすことなく、遅延波レプリカの生成に要する演算量および生成した遅延波レプリカにかかわるブランチメトリックを算出するために要する演算量を大幅に削減することができる。
もちろん、上述した第1のビタビ等化器の特徴と第2のビタビ等化器の特徴を併せ持つビタビ等化器を構成することも可能であり、このようなビタビ等化器では、通信品質を維持しつつ、演算量を大幅に削減することが可能となる。
このように、本発明によれば、多値QAM方式に適合した等化処理を現実的な演算量で行うビタビ等化器を実現することができるので、例えば、送信側と受信側との双方が互いを見通す位置に固定された通信環境を前提として多値QAM方式によって変調された信号を授受する通信システムに、ビタビ等化器による高精度な遅延波補償機能を提供して、このような通信システムの信頼性の向上を図ることができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1に、本発明にかかわるビタビ等化器の実施形態を示す。
なお、図1に示す構成要素のうち、図8に示した各部と同等のものについては、図8に示した符号を付して示し、その説明を省略する。
図1に示したビタビ等化器において、トレーニング系列出力部201は、既知の信号系列を生成し、セレクタ202を介して、伝送路推定部406のトレーニングに供する。このセレクタ202は、トレーニング期間はトレーニング系列出力部201の出力を選択して伝送路推定部406に入力し、一方、トレーニング期間の終了後は、パスメモリ405から出力された信号を選択して伝送路推定部406に入力する。
また、図1に示したレプリカ生成部210において、乗算モジュール211は、レプリカ生成制御部213によって入力される複素平面における座標値と伝送路推定部406から得られる遅延波の振幅および位相回転量とを複素信号としてそれぞれ乗算し、その結果として得られる遅延波レプリカをブランチメトリック算出部220の減算モジュール221に入力する。一方、図1に示した乗算モジュール212は、レプリカ生成制御部213によって入力される複素平面における座標値と伝送路推定部406から得られる希望波の振幅および位相回転量とを複素信号としてそれぞれ乗算し、その結果として得られる希望波レプリカをブランチメトリック算出部220の減算モジュール222に入力する。
図1に示したブランチメトリック算出部220は、図8に示したブランチメトリック算出部403と基本的に同等のものである。このブランチメトリック算出部220において、上述した減算モジュール221は、受信信号からレプリカ生成部210によって生成されたM(サバイバルパスの本数に相当する)個の遅延波レプリカをそれぞれ減算する処理を並行して実行する機能を備えている。また、減算モジュール222は、この減算モジュール221の出力として得られるM種類の減算結果それぞれから、上述した乗算モジュール212によって出力される複数種類の希望波レプリカを減算する処理を並行して実行する機能を備えている。また、図1に示した誤差計算部223は、この減算モジュール222によって各組み合わせについて得られた減算結果の二乗をそれぞれ計算する処理を並行に実行する機能を備えており、この誤差計算部223の出力がブランチメトリックとして出力される。
また、図1に示した加算比較選択処理部230は、図8に示した加算比較選択処理部404と同等の機能を果たすためのブランチメトリック比較部231、パスメトリック更新部233およびサバイバルパス選択部234に加えて、演算制御部232を備えている。この演算制御部232は、ブランチメトリック比較部231による比較結果およびサバイバルパス選択部234による選択結果を示す情報を必要に応じてレプリカ生成制御部213に渡す機能を持っている。
図1に示したレプリカ生成制御部213は、演算制御部232を介して、サバイバルパス選択部234によって選択されたM本のサバイバルパスに対応する信号点の候補を示す情報を受け取り、これらの信号点に対応する座標値を遅延波レプリカ生成のために乗算モジュール211に入力する。また、このレプリカ生成制御部213は、後述するようにして希望波レプリカを生成する信号点を絞り込む際に、演算制御部232を介してブランチメトリック比較部231による比較処理の結果を受け取り、この比較結果を絞込みに関する指標とする。ここで、図1に示した乗算モジュール211は、レプリカ生成制御部213によって遅延波の信号点の候補として入力されるM個の座標と伝送路推定部406からの入力とに基づいて、M個の遅延波レプリカを生成する機能を備えている。また、乗算モジュール212は、レプリカ生成制御部213によって希望波の信号点の候補として入力される複数の座標と伝送路推定部406からの入力とに基づいて、複数の希望波レプリカを生成する機能を備えている。
次に、図1に示したビタビ等化器によって、64QAMによって変調された受信信号について、1シンボル内に到来する遅延波を等化する場合を例にとって、補償処理を行う方法について説明する。
図2に、補償動作を表す流れ図を示す。
図1に示した演算制御部232からの指示に応じて、レプリカ生成部210のレプリカ生成制御部213は、加算比較選択処理部230の演算制御部232から、例えば、サバイバルパス選択部234によって最小のパスメトリックに対応するとされた信号点を示す情報を受け取り(図2のステップ301)、この信号点の座標を乗算モジュール211に入力することにより(図1参照)、サバイバルパスに対応する遅延波レプリカを選択的に生成する(ステップ302)。
次いで、図1に示したレプリカ生成制御部213は、注目している領域(最初は信号点の分布範囲全体)を例えば4つの等面積のブロックに分割し、各ブロックの重心位置をそのブロックの代表点として求める(図2のステップ303)。例えば、図3に示すように、最初は、64QAMにおける信号点の分布範囲を、複素平面における象限に対応する4つのブロックに分割し、以降の処理では、選択されたブロックを更に4つのブロックに分割していく。
次に、レプリカ生成制御部213は、上述したステップ303において求めた4つの代表点の座標値を、図1に示した乗算モジュール212に入力することにより、各代表点に対応する4つの希望波レプリカを生成し(ステップ304)、これらの希望波レプリカをブランチメトリックの算出処理に供する。
これに応じて、図1に示したブランチメトリック算出部220に備えられた減算モジュール222により、減算モジュール221の出力から上述したステップ304において乗算モジュール212によって得られた各希望波レプリカを並行して減算し、この減算結果を誤差計算部の処理に供することにより、これらの希望波レプリカと上述したステップ302で生成された遅延波レプリカとの組み合わせに対応するブランチメトリックが算出される(ステップ305)。
このようにして求められたブランチメトリックは、図1に示した加算比較選択処理部230のブランチメトリック比較部231によって比較され、最小のブランチメトリックを与える希望波レプリカを示す情報が、演算制御部232を介してレプリカ生成制御部213に渡される。これに応じて、レプリカ生成制御部213は、最小のブランチメトリックを与える代表点を最尤の代表点として選択する(ステップ306)。
このとき、レプリカ生成制御部213は、上述した各ブロックの代表点が64QAMにおける信号点の候補の位置と一致するか否かを判定し(ステップ307)、一致しない場合(ステップ307の否定判定)に、ステップ306で選択した代表点に対応するブロックを新たな注目領域として選択し(ステップ308)、ステップ303に戻って、この新たな注目領域を4分割した各ブロックについて新たな代表点を求める。
このようにして真の信号点が存在する確率の高い範囲を絞り込んでいき、ステップ303で求めた各代表点の位置が64QAMにおける信号点候補の位置に一致したときに(ステップ307の肯定判定)、レプリカ生成制御部213は、ステップ306で選択した代表点に加えて、この代表点に隣接する信号点であって、まだ希望波レプリカの生成に供されていない信号点を最終的に希望波レプリカを作成すべき信号点の候補に追加する(ステップ309)。
このようにすれば、例えば、図3に示した信号点の候補d2に位置する真の信号点が雑音の影響によって、信号点の候補c2との中間付近に移動している場合においても、確実に信号点の候補d2を最終的な信号点の候補に残すことができる。
なぜなら、このような場合には、以下に述べるようにして、信号点の候補の絞込みが行われるからである。
まず、図3に示したように、複素平面の各象限に対応する4つのブロックの重心位置に対応する代表点a1〜a4について生成された希望波レプリカについてそれぞれブランチメトリックが算出され、これらのブランチメトリックに基づいて、代表点a1に対応するブロックが選択される。更に、このブロックを4分割した各ブロックの重心位置に対応する代表点b1〜b4について生成された希望波レプリカについてブランチメトリックが算出され、これらのブランチメトリックに基づいて、代表点b1に対応するブロックが選択される。同様にして、この代表点b1に対応するブロックを4分割した各ブロックの代表点c1〜c4について生成された希望波レプリカについてそれぞれブランチメトリックが求められ、最尤の候補として代表点c2が選択される。ここで、代表点c2の位置は、信号点の位置と一致しているので、この信号点c2に隣接する信号点であってまだ希望波レプリカを生成するための候補として選択されていない信号点d1〜d5が信号点の候補に追加される。このように、上述した信号点の絞込み手法を用いれば、雑音の影響にかかわらず、真の信号点を確実に候補として残すことが可能となる。
次に、レプリカ生成制御部213は、このようにして得られた追加の候補の信号点に対応する座標値を乗算モジュール212に入力して、これらの候補に対応する希望波レプリカを生成し(ステップ310)、ステップ311におけるブランチメトリック算出処理に供する。
このようにして得られた追加の候補に対応して生成された希望波レプリカと遅延波レプリカとの組み合わせについてブランチメトリック算出部220によって得られた結果と、上述したステップ307において信号点に一致するとされた代表点およびこれとともにステップ304において希望波レプリカが生成された4つの代表点(つまり、図3に示した代表点c1〜c4)に対応して得られたブランチメトリックとは、演算制御部232によってパスメトリック更新部233に渡され、信号系列の最尤推定に基づくパス選択処理に供される。このとき、パスメトリック更新部233は、新たに得られたブランチメトリックとパスメトリックメモリ407に保持されたパスメトリックとを加算することにより、新たなパスメトリックを算出し、この結果に基づいて、パスメトリックメモリ407を更新する(ステップ312)。
ここで、図4に、系列推定を説明する図を示す。
図4において、時刻t−1と時刻tとに対応する64QAMにおける各信号点を番号0から番号63を付して示した。例えば、時刻t−1における各信号点に対応するパスメトリックの中で、番号1の信号点に対応するパスメトリックが最小であった場合に、この番号1の信号点に対応する遅延波レプリカと上述した絞込み手法によって時刻tにおける信号について選択された信号点の候補(図4において、符号c1、c2、c3、c4、d1、d2、d3、d4、d5を付して示す)について生成された希望波レプリカとの組み合わせについて、それぞれブランチメトリックが算出される。図4において、時刻t−1における番号1の信号点と符号c1、c2、c3、c4、d1、d2、d3、d4、d5で示した時刻tにおける信号点とを結ぶ矢印によって尤度を推定すべき組み合わせを示し、これらの矢印に対応してそれぞれの組み合わせについて算出されたブランチメトリックの値を示した。
このとき、図1に示したパスメトリック更新部233は、パスメトリックメモリ407に保持された番号1の信号点に対応するパスメトリックの値(例えば、0.2)に、図4に符号c1、c2、c3、c4、d1、d2、d3、d4、d5を付して示した信号点に対応するブランチメトリックの値をそれぞれ加算し、図4に示した各矢印に対応する系列のパスメトリックを求める。
ここで、真の信号点が図3に符号d2を付して示した信号点に位置する場合には、図4に符号d2を付して示した時刻tにおける信号点と番号1を付して示した時刻t−1における信号点とを結ぶ矢印に対応するブランチメトリックが最も小さい値(例えば、0.15)をとることが期待できる。したがって、当然ながら、上述したようにして求められたこの系列、即ち、図4に番号1で示した時刻t−1における信号点と符号d2で示した時刻tにおける信号点とを含む系列に対応するパスメトリックが最小となると考えられる。
このようにして求めたパスメトリックを比較することによって、サバイバルパス選択部234は、上述した最小のパスメトリックに対応する信号点(例えば、信号点d2)を見つけ、この信号点に関する情報を、演算制御部232を介してレプリカ生成制御部213に渡して、次のシンボルにおける等化処理に供する。また、サバイバルパス選択部234は、上述したようにして見つけた最小のパスメトリックを持つ信号点を含むパスをサバイバルパスとして選択して、この新たなパスの端点をパスメモリ405に追加し、これに応じて、このパスメモリ405が最も古い時刻に対応する信号を出力することにより(ステップ313)、ビタビ等化出力を得ることができる。
上述したビタビ等化器では、遅延波レプリカの生成に用いられる信号点候補をサバイバルパスに対応するものに限定し、更に、希望波レプリカを生成する信号点の候補を大幅に絞り込んでいる。
上述したように、遅延波レプリカの生成に用いる信号点の候補を1本のサバイバルパスに対応するものに限定し、また、上述したステップ304からステップ309において述べた手順に従って希望波レプリカを生成すべき信号点の候補を選択することにより、最終的にブランチメトリックを算出する遅延波レプリカと希望波レプリカとの組み合わせの数を大幅に制限することができる。また、希望波レプリカを生成する処理を実行する回数は、希望波レプリカを生成する信号点を絞り込む段階を含めても、64QAMの信号点を上述したようにして3段階で絞り込む場合で延べ17回であり、64QAMの全信号点を候補とした場合に比べてはるかに少ないことは明らかである。また、上述したように、各ブロックを4分割して希望波レプリカ用の信号点を絞り込む場合においては、絞り込みの段階において同時に生成すべき希望波レプリカの数は4個であり、また、上述したステップ309において追加される信号点の候補の数は最大で5個であることから、レプリカ生成部210の乗算モジュール212は、最大5個の信号点の座標に応じて希望波レプリカを生成する機能を備えていれば十分である。同様に、ブランチメトリック算出部220の減算モジュール222も、上述した乗算モジュール212によって同時に生成される最大5個の希望波レプリカを減算モジュール221の出力から並行して減算する機能を備えれば十分である。
これらの理由から、64QAMのような極めて状態数が多い変調方式が採用されている通信システムにおいても、十分に現実的な演算量でビタビ等化処理を実現することができることは明らかである。
また一方、このように、遅延波レプリカを生成する信号点の候補および希望波レプリカを生成する信号点の候補を大幅に削減したにもかかわらず、図1に示したビタビ等化器は、希望波の振幅に対して遅延波の振幅が十分に小さい環境では、極めて高い性能を実現可能であることを、出願人はシミュレーションによって確認している。
図5に、本発明にかかわるビタビ等化器の特性評価結果を示す。
図5において、横軸は、ビット当たりのエネルギーとノイズとの比Eb/Noを示し、また、縦軸は、いわゆるビットエラーレート(BER)を示す。また、図5において、丸印を付した折れ線によって、本発明にかかわるビタビ等化器のBER特性を示し、一方、三角を付した折れ線によって、特許文献1に開示された技術に基づくビタビ等化器について推定されるBER特性を示した。
なお、特許文献1に開示された技術に基づくビタビ等化器に関するBER特性の推定においては、次に述べる条件を用いた。希望波レプリカの生成に関しては、各象限に対応する代表点についてのブランチメトリックを算出し、最小のブランチメトリックが得られた代表点に対応する象限に含まれる全ての信号点(つまり、16個の信号点)を候補とし、これらの候補に対応する希望波レプリカを生成して、遅延波レプリカを考慮したブランチメトリックの算出処理に供した。また、遅延波レプリカとしては、64QAMにおけるすべての信号点に対応して生成し、これらの遅延波レプリカと上述した希望波レプリカとについて考えられる全ての組み合わせについてブランチメトリックを算出し、この結果に基づいてパス選択処理を実行した。
また、特許文献1に開示されたビタビ等化器および本発明にかかわるビタビ等化器のBER特性の評価は、ともに、考慮する遅延波を1シンボル遅延の遅延波1波とし、また、希望波と遅延波との振幅の比であるD/U比は24dB、観測シンボル数は106、理想的な伝送路推定が行われているものとし、ロールオフフィルタの係数αの値を0.5として行った。
図5から分かるように、本発明にかかわるビタビ等化器は、特許文献1に開示された技術に基づくビタビ等化器において期待される特性よりも高い特性が期待できる。
このような特性の改善は、段階的に絞り込んで選択された代表点に対応する信号点に加えて、上述したステップ309(図2参照)において、その信号点に隣接する信号点を追加したことで、真の信号点に対応する希望波レプリカを漏れなく生成し、ブランチメトリック算出処理に供することができることによると考えられる。
また、本発明にかかわるビタビ等化器のBER特性と、図5に破線で示したAWGN(additive white Gaussian noise:付加熱雑音)におけるBER特性とがほぼ一致することから、サバイバルパスを1本にまで絞って、遅延波レプリカの数を大幅に制限したことによる性能の劣化は、上述したような極めてD/U比が高い条件においては無視できる程度であることが分かる。当然ながら、本発明の適用が期待されている環境、即ち、互いを見通すことのできる固定局相互の通信環境では、図1に示したビタビ等化器は、十分に高い性能を発揮することが期待できる。
なお、出願人は、上述した条件よりもD/U比が低い環境においても、本発明にかかわるビタビ等化器が高い性能を発揮し得ることを確認している。
例えば、D/U比が12dB程度であれば、本発明にかかわるビタビ等化器においてサバイバルパスを1本に限定して求めたBER特性は、64本のサバイバルパスを想定して求めたBER特性に比べて、特性劣化はほとんど現れなかった。更に、D/U比が6dBにまで低下した場合でも、本発明にかかわるビタビ等化器において、サバイバルパスの数を2本に増やすことによって、十分な特性が得られることを確認している。なお、このように複数のサバイバルパスを残す場合には、選択された信号点候補を用いて生成した希望波レプリカと各サバイバルパスに対応する遅延波レプリカとの組み合わせについてブランチメトリックが算出される。したがって、サバイバルパスの本数を増やしたことによる演算量の増加はサバイバルパスの本数に比例する程度と考えられる。
したがって、本発明にかかわるビタビ等化器では、D/U比が6dB程度であっても、特性を維持した上で、十分な演算量削減効果を期待することができる。
次に、本発明にかかわるビタビ等化器によって実現される演算量削減効果について説明する。
図6に、本発明にかかわるビタビ等化器の主要部分の演算量を示す。
図6に示した各欄の数値は、それぞれ、QPSK方式について正規のビタビ等化を行った場合と、64QAM方式について本発明にかかわるビタビ等化を行った場合と、同じく64QAM方式について特許文献1に開示された技術に従ってビタビ等化を行った場合とにおいて、遅延波レプリカ生成処理、遅延波レプリカ減算処理、希望波レプリカ生成処理、希望波レプリカ減算処理、誤差計算処理および加算比較選択処理にそれぞれ要した乗算回数および加算回数を示している。また、図6に示した表の最後の行には、それぞれの方式において必要とされる乗算回数および加算回数の総和を示した。
図6から明らかなように、本発明にかかわるビタビ等化器による遅延波補償を実現するために必要な演算量は、特許文献1に開示された技術において必要とされる演算量に比べてはるかに少ない。また、本発明にかかわるビタビ等化器において必要とされる演算量の総和は、既に実用化されているQPSK方式に関するビタビ等化器における演算量の総和の1.5倍程度であることから、本発明にかかわるビタビ等化器は、まさに現実的な演算量によって、64QAM方式に適合した遅延波補償技術を提供するものであることが裏付けられた。
なお、遅延波の振幅が希望波の振幅に比べて十分に小さい通信環境においては、上述したようにサバイバルパスを1本にまで限定することができるので、図2に示したステップ310において追加された希望波レプリカに対応して算出されたブランチメトリックとステップ306で選択された信号点について生成された希望波レプリカに対応するブランチメトリックとを、ステップ312におけるパスメトリック算出および更新処理に供する構成も考えられる。この場合は、最後に注目した信号点の分布領域に含まれながらステップ306において選択されなかった信号点(例えば、図4に示した信号点c1、c3、c4)についてのパスメトリックの算出処理を省略することができる。このようにして、最後に注目した信号点の分布領域に含まれながらステップ306において選択されなかった信号点を最終的な信号点候補からはずしたことによって、真の信号点に関する推定精度が低下することはないと考えられる。なぜなら、サバイバルパスが1本に限定されているならば、これらの信号点について生成された希望波レプリカは、少なくとも、ステップ306において選択された信号点について生成された希望波レプリカよりも大きいブランチメトリックを与えることが確実であり、これらのブランチメトリックを1時刻前のパスメトリックに加算して得られるパスメトリックも、当然ながら、ステップ306において選択された信号点に対応して算出されるパスメトリックよりも大きくなることは明らかだからである。
希望波レプリカを生成する信号点を段階的に絞り込み、最終的に絞り込んだ候補に隣接する信号点を追加する手法を用いたビタビ等化器は、希望波と遅延波との振幅比にかかわらず、BER特性を維持しつつ演算量の削減を図ることができるので、様々な環境における多値QAM変調方式の通信システムにおいて有用である。
また、遅延波レプリカを生成する信号点をサバイバルパスのみに限定する手法は、遅延波の振幅が希望波の振幅に比べて十分に小さいことが期待できる環境では、ビタビ等化器の特性を維持しつつ非常に大きな演算量の削減を期待することができるので、見通しのよい屋外に配置された多値QAM変調方式の通信システムにおいて極めて有用である。
もちろん、希望波レプリカを生成する信号点を絞り込む技術と、遅延波レプリカを生成する信号点をサバイバルパスに限定する技術とを合わせて適用することにより、64QAM方式についてビタビ等化によって遅延波を補償するために要する演算量を、一般的なQPSK方式におけるビタビ等化に要する演算量と同程度にまで削減でき、かつ、通信品質を維持することができる。これにより、十分に現実的な演算量によって、64QAM方式について遅延波補償を行うビタビ等化器を実現することができる。
本発明にかかわるビタビ等化器の実施形態を示す図である。 補償動作を表す流れ図である。 信号点候補の絞込みを説明する図である。 系列推定を説明する図である。 本発明にかかわるビタビ等化器の特性評価結果を示す図である。 本発明にかかわるビタビ等化器の主要部分の演算量を示す図である。 電力の大きい2波に注目してビタビ等化器の演算量を削減する技術を説明する図である。 一般的なビタビ等化器の構成例を示す図である。 16QAM方式のビタビ等化器の演算量削減技術を説明する図である。 従来技術における課題を説明する図である。
符号の説明
201 トレーニング系列出力部
202 セレクタ
210 レプリカ生成部
211、212 乗算モジュール
213 レプリカ生成制御部
220、403 ブランチメトリック算出部
221、222 減算モジュール
223 誤差計算部
230,404 加算比較選択処理部
231 ブランチメトリック比較部
232 演算制御部
233 パスメトリック更新部
234 サバイバルパス選択部
401 希望波レプリカ生成部
402 遅延波レプリカ生成部
405 パスメモリ
406 伝送路推定部
407 パスメトリックメモリ

Claims (2)

  1. NQAM変調(Nは自然数)における信号点候補のうち、少なくとも選択されたサバイバルパスに対応する信号点候補に対応する遅延波レプリカを生成する遅延波レプリカ生成手段と、
    前記4NQAM変調における信号点候補から尤度の高いことが期待できる信号点候補を選択して希望波レプリカを生成する希望波レプリカ生成手段と、
    前記遅延波レプリカと前記希望波レプリカとについて考えられる組み合わせのそれぞれについて、入力される受信信号とのブランチメトリックを求める誤差算出手段と、
    1時刻前の各信号点候補が持つパスメトリックに基づいて、所定数のサバイバルパスを選択するサバイバルパス選択手段とを備え、
    前記希望波レプリカ生成手段は、
    注目している信号点候補の分布領域を均等に分割して得られる所定数の等面積のブロックそれぞれについて、そのブロックの重心位置の座標値を用いて希望波レプリカ候補を生成するレプリカ候補生成手段と、
    前記希望波レプリカ候補それぞれについて受信信号とのブランチメトリックを求める候補誤差算出手段と、
    前記希望波レプリカ候補の中から前記候補誤差算出手段によって最も小さいブランチメトリックが得られた希望波レプリカ候補を選択する選別手段と、
    前記各ブロックの重心位置が前記4NQAM変調における信号点候補の位置と一致するか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段によって前記重心位置と前記信号点候補の位置とが一致しない旨の判定結果が得られた場合に、前記選別手段によって選別された希望波レプリカに対応するブロックを注目している信号点候補の分布領域として、新たな希望波レプリカ候補の作成の繰り返しを前記レプリカ候補生成手段に指示する指示手段と、
    前記判定手段によって前記重心位置と前記信号点候補の位置とが一致する旨の判定結果が得られた場合に、前記選別手段によって選別された希望波レプリカ候補に対応する前記4NQAM変調における信号点候補に隣接する信号点候補であって、対応する希望波レプリカが未生成であるものに対応して新たに希望波レプリカ追加候補を生成し、前記選別された希望波レプリカ候補およびこれと同時に前記希望波レプリカ候補生成手段によって生成された希望波レプリカ候補とともに、尤度の高い信号点候補に対応する希望波レプリカとして出力するレプリカ追加手段とを備えた
    ことを特徴とするビタビ等化器。
  2. 希望波に対して遅延波の信号レベルが十分に小さい環境において用いられるビタビ等化器において、
    NQAM変調における信号点候補のうち、選択されたサバイバルパスに対応する信号点候補について遅延波レプリカを生成する遅延波レプリカ生成手段と、
    前記4NQAM変調における信号点候補から尤度の高いことが期待できる信号点候補を含む複数の信号点候補について希望波レプリカを生成する希望波レプリカ生成手段と、
    前記遅延波レプリカと前記希望波レプリカとについて考えられる組み合わせのそれぞれについて、入力される受信信号とのブランチメトリックを求める誤差算出手段と、
    1時刻前の各信号点候補が持つパスメトリックに基づいて、所定数のサバイバルパスを選択するサバイバルパス選択手段と
    を備えたことを特徴とするビタビ等化器。

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