JP2005247124A - 車体後部構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】スポイラーを設けることなく車体後面の空気抵抗を低減できる車体後部構造を提供すること。
【解決手段】車体後部にルーフ後端11aから後下方に向かう傾斜面15aをもつ車体後部構造において、上記傾斜面15aの周縁部に沿う環状空間(環状ダクト空間Rs1)が上記車体後部に設けられていると共に、少なくとも上記傾斜面15aの上端付近及び上記傾斜面15aの下端付近の外表面と上記環状空間(環状ダクト空間Rs1)を連通する連通用開口部(スリット21,26)が設けられている構成としている。
【選択図】 図1
【解決手段】車体後部にルーフ後端11aから後下方に向かう傾斜面15aをもつ車体後部構造において、上記傾斜面15aの周縁部に沿う環状空間(環状ダクト空間Rs1)が上記車体後部に設けられていると共に、少なくとも上記傾斜面15aの上端付近及び上記傾斜面15aの下端付近の外表面と上記環状空間(環状ダクト空間Rs1)を連通する連通用開口部(スリット21,26)が設けられている構成としている。
【選択図】 図1
Description
この発明は、ルーフ後端から車体後部にかけて傾斜をもつ車体後部構造に関するものである。
従来の自動車等の車両には、図13(A)に示したように、ルーフ1のルーフ後端1aから車体後端2にかけて傾斜角φの傾斜面3を設けたものがある。このような傾斜面3は空気抵抗の原因となることが知られている。
ところで、傾斜角度φを変化させることで、図13(B)に示したように傾斜面3における空気抵抗係数(以下、「Cd」と省略する)が変化することも知られている。
この図13(B)から分かるようにCdは、傾斜角度φが20°から28°に向けて次第に大きくなり、傾斜角度φが28°〜30°の範囲で最も大きくなり、傾斜角度φが30°を超えると32°まで急激に低下し、角度32°以上では殆ど低い位置で変化しない状態となる。
そこで、傾斜角度φを
(1)20°〜25°未満の第1角度範囲(小角度範囲)
(2)25°〜31°の第2角度範囲(中角度範囲)
(3)31°を超える第3角度範囲(大角度度範囲)
に分けて空気の流れを風洞実験してみると、次のようになった。
(1)20°〜25°未満の第1角度範囲(小角度範囲)
(2)25°〜31°の第2角度範囲(中角度範囲)
(3)31°を超える第3角度範囲(大角度度範囲)
に分けて空気の流れを風洞実験してみると、次のようになった。
即ち、第1角度範囲では、図14(A)に示したように傾斜面3の両側部の空気流4が多少縦渦流となっているものの、傾斜面3の中央部側の空気流5が傾斜面3に沿って滑らかに後方に向かっている。この第1角度範囲では、図13(B)に示したようにCdは小さい範囲で増加している。
また、第2角度範囲では、図14(B)に示したように傾斜面3の両側部の空気流4が激しい縦渦流となっている。しかも、この第1角度範囲では、図14(B)及び図15に示したように傾斜面3の中央部側の空気流5がルーフ後端1aから傾斜面3に入った部分で傾斜面3に付着せずに渦流6を発生させ、その後方の矢印7で示した部分で傾斜面3に付着し、後方に流れている。この際、図14(B)及び図16に示すように、傾斜面3の圧力分布は大きな負圧(−)となっており、特にルーフ後端1aの近傍の部分で傾斜面3に大きな負圧が作用するため、Cdを図13(B)に示したように悪くしている。
更に、第3角度範囲では、図14(C)に示したように傾斜面3の両側部の空気流4及び傾斜面3の中央部側の空気流5が傾斜面3に付着せずに滑らかに後方に向かっている。この状態では、空気流4が縦渦流とはならず、空気流5も傾斜面3に引き付けられることもないので、傾斜面3に作用する負圧が大きく緩和され、図13(B)に示したようにCdが低下する。
ところで、上述した風洞実験結果から分かるように、ルーフ後端1aから車体後端2にかけて傾斜角度φが30°付近の傾斜面3が得られるようなデザインを採用した自動車では、非常にCdが悪いものになってしまう。そこで、現状では、図17(A),(B)に示したように、ルーフ後端1aにスポイラー8を設けることで、図18に示したように空気流5が傾斜面3に付着せず、後方に流れるようにすることで、Cdを低減させるようしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−238321号公報
しかしながら、このスポイラー8を設けた車体後部構造では、以下に述べるような課題が生じる。
(a)スポイラー8が別部品となるため、スポイラー8を設けた分コストがかかり、車両価格が高くなる。
(b)スポイラー8が突起状の形状となるため、デザイン上での自由度が狭まり、車体形状が一体となった魅力的なデザインを創造しにくくなる。
(c)後席乗員の耳位置付近のルーフ上にスポイラー8が設置されるので、スポイラー8による風切音が後席乗員に対する車内騒音となる虞がある。
(d)スポイラー8はルーフ後端部にボルトと等で固定するため、このボルトを取り付けるためのボルト穴等から雨漏りすると、ルーフ後端部内に錆が発生する虞がある。
(e)スポイラー8により車両後方の空気流が傾斜面3に付着しないようにすることで、傾斜面3によるCdを低減できるが、スポイラー8自体が空気抵抗を発生するので、その分の車両のCd低減効果は少なくなる。
(a)スポイラー8が別部品となるため、スポイラー8を設けた分コストがかかり、車両価格が高くなる。
(b)スポイラー8が突起状の形状となるため、デザイン上での自由度が狭まり、車体形状が一体となった魅力的なデザインを創造しにくくなる。
(c)後席乗員の耳位置付近のルーフ上にスポイラー8が設置されるので、スポイラー8による風切音が後席乗員に対する車内騒音となる虞がある。
(d)スポイラー8はルーフ後端部にボルトと等で固定するため、このボルトを取り付けるためのボルト穴等から雨漏りすると、ルーフ後端部内に錆が発生する虞がある。
(e)スポイラー8により車両後方の空気流が傾斜面3に付着しないようにすることで、傾斜面3によるCdを低減できるが、スポイラー8自体が空気抵抗を発生するので、その分の車両のCd低減効果は少なくなる。
そこで、この発明は、スポイラーを設けることなく車体後面の空気抵抗を低減できる車体後部構造を提供することを目的とするものである。
この目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車体後部にルーフ後端から後下方に向かう傾斜面をもつ車体後部構造において、上記傾斜面の周縁部に沿う環状空間が上記車体後部に設けられていると共に、少なくとも上記傾斜面の上端付近及び上記傾斜面の下端付近の外表面と上記環状空間を連通する連通用開口部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、スポイラーを設けることなく車体後面の空気抵抗を低減できる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、10は自動車の車体、11は車体10のルーフ、12はルーフ11に連設された車体10のリヤピラー、13は車体10のリヤパネルである。
このルーフ11の後端部とリヤピラー12,12及びリヤパネル13との間にはバックドア用のドア開口14が形成されている。
このドア開口14は、上縁部を中心に上下に回動可能に車体10に取り付けられたバックドア15によって開閉可能に閉成されている。このバックドア15がドア開口14を閉成している状態では、バックドア15の上面が後下方に傾斜する傾斜面15aとなる。この傾斜面15aは、ルーフ後端11aから車体後端10a側に向けて下方に傾斜している。
このバックドア15は、方形枠状で環状且つ中空のドアフレーム(環状ダクト部)16と、ドアフレーム16に取り付けられたリヤウインドウパネル17を有する。
このドアフレーム16は、上ダクト部(上辺部)16aと、下ダクト部(下辺部)16bと、上ダクト部16aの両端部と下ダクト部16bの両端部をそれぞれ連設しているサイドダクト部(側辺部)16c,16cから方形枠状に形成されている。
上ダクト部16aは、図2に示したようにアウターパネル18とインナーパネル19から中空に形成されている。アウターパネル18とインナーパネル19との間には上ダクト空間20が形成されている。しかも、アウターパネル18には、車幅方向に延びて上ダクト空間20と大気とを連通させる上スリット21がエア吹出スリットとして形成されている。
また、このアウターパネル18は縁部18a,18bを有し、インナーパネル19は縁部19a,19bを有する。しかも、アウターパネル18とインナーパネル19は、縁部18a,19a同士及び縁部18b,19b同士をスポット溶接等で溶接固定することにより互いに固定されている。そして、縁部18a,19a間及び縁部18b,19b間にはシール材22,22が充填されている。
下ダクト部16bは、図4(a)に示したように、上板部23a及び後板部23bが設けられたアウターパネル23と、上板部23aの内面(下面)にスポット溶接等で溶接固定されたインナーパネル24とから中空に形成されている。そして、アウターパネル23とインナーパネル24との間には下ダクト空間25が形成されている。
しかも、アウターパネル23には、車幅方向に延びて下ダクト空間25と大気とを連通させる下スリット26がエア吸込スリットとして形成されている。そして、インナーパネル24の縁部24a,24bとアウターパネル23との間にはシール材27,27が充填されている。28は、車幅方向に延び且つ後板部23bの内面にスポット溶接等により溶接固定されたインナーパネル(レインフォース)である。
また、アウターパネル23,インナーパネル24,28は、インナーパネル24,28に跨って取り付けられたトリム29によりカバーされている。
更に、ドア開口14をバックドア15で閉成したときに、ダクト空間25の最下端となる部分はインナーパネル24のトリム29側の板部24cと傾斜板部24dとが連設されている角部24eとなる。この角部24eには、図4(b)に示したように断面積がダクト空間25の断面積よりも充分に小さい接続穴30が形成されている。
更に、ドア開口14をバックドア15で閉成したときに、ダクト空間25の最下端となる部分はインナーパネル24のトリム29側の板部24cと傾斜板部24dとが連設されている角部24eとなる。この角部24eには、図4(b)に示したように断面積がダクト空間25の断面積よりも充分に小さい接続穴30が形成されている。
この接続穴30には排水チューブ31の一端部が接続されている。この排水チューブ31は、図4の状態で下方に向けて延設されていると共に、下端部がインナーパネル28とトリム29との間を介して下方に引き出されている。
そして、リヤパネル13の上端部には一段低く且つ後下方に傾斜する段差13aが形成され、段差13aとインナーパネル28との間には下端部が隙間32aを介して大気に連通する排水空間32が形成されている。しかも、排水チューブ31の下端は排水空間32に臨ませられている。
サイドダクト部16cは、図3に示したようにアウターパネル33とインナーパネル34から中空に形成され、内部に上ダクト空間20と下ダクト空間25に連通するサイドダクト空間35が形成されている。35aはアウターパネル33とインナーパネル34の合わせ部に設けられたシール材である。
そして、ダクト空間20,25,35は、環状ダクト空間(環状空間)Rs1を形成している。
そして、ダクト空間20,25,35は、環状ダクト空間(環状空間)Rs1を形成している。
次に、このような構成の車体後部構造の作用を説明する。
(1)スリット21,26閉鎖時の流れ
図7(A)に示したように、ルーフ11のルーフ後端11aと車体後端10aとの間の傾斜面15aとルーフ11との為す傾斜角度をφとする。そして、図5の如くスリット21,26を閉じて風洞実験した場合には、図7(B)の破線のCd変化線36で示したように、傾斜角度φが26°〜31°の範囲でCdが悪化し、特に傾斜角度φが30°及びその前後のところで大幅にCdが悪化した。
(1)スリット21,26閉鎖時の流れ
図7(A)に示したように、ルーフ11のルーフ後端11aと車体後端10aとの間の傾斜面15aとルーフ11との為す傾斜角度をφとする。そして、図5の如くスリット21,26を閉じて風洞実験した場合には、図7(B)の破線のCd変化線36で示したように、傾斜角度φが26°〜31°の範囲でCdが悪化し、特に傾斜角度φが30°及びその前後のところで大幅にCdが悪化した。
特に、Cdが悪化する傾斜角度φ=30°の付近では、スリット21,26が閉鎖されていると、図14(B)で示した縦渦流4と同様な強力な縦渦流が図1のバックドア15の傾斜面15aの両側に発生する。しかも、ルーフ11から傾斜面15aへの空気流5の流れは、ルーフ後端11aで一旦剥離した後、傾斜面15aの両側に発生する縦渦流により傾斜面15aに再付着する。
このような流れが発生したときは、ルーフ後端11aで大きな速度を持ったまま流れが剥離するので、バックドア15の表面の圧力は大きな負圧になってCdが非常に大きくなる。特に、ルーフからの流れが剥離するバックドア15の上側の負圧が下側に比べて非常に大きくなる。
(2)スリット21,26を開口したときの流れ
これに対して、スリット21,26を開口すると、Cdは図7(B)の実線のCd変化線37で示したように、傾斜角度φが26°〜31°の範囲でCdが劇的に改善され、特に傾斜角度φが30°及びその前後のところで大幅にCdが改善した。
(2)スリット21,26を開口したときの流れ
これに対して、スリット21,26を開口すると、Cdは図7(B)の実線のCd変化線37で示したように、傾斜角度φが26°〜31°の範囲でCdが劇的に改善され、特に傾斜角度φが30°及びその前後のところで大幅にCdが改善した。
即ち、傾斜角度φが30°付近で、スリット21,26を開口させると、比較的負圧の小さい下方の下スリット26と非常に負圧の大きい上スリット21との間に圧力差が生じて、図6に示したようにサイドダクト空間35内に下ダクト空間25から上ダクト空間20に向かう流れが矢印Bで示したように生じると共に、下スリット26からエアが矢印B1で示したように吸い込まれ上スリット21から矢印B2で示したようにエアが吹き出される。
これにより、ルーフ後端11aから後方への向かう空気流5は、バックドア15の傾斜面15aから剥離する方向への風速成分を受け、バックドア15の傾斜面15aには再付着せずに、後方に流れる。
このような流れの状態になると、バックドア15の表面(傾斜面15a)の圧力状態が均一化し、バックドア15の両側部に発生していた縦渦流が消滅して、車両後部で完全に空気流が剥離した状態となる。その結果、従来であると空気流の再付着や縦渦流のために発生していた非常に大きな負圧が解消され、車両のCdが図7(B)の実線のCd変化線37で示したように大幅に低下した。
尚、バックドア15のドアフレーム16にスリット21,26を設けているため、雨水がスリット21,26からダクト空間20,25内に浸入する。そして、この上スリット21から上ダクト空間20内に浸入した雨水は、サイドダクト空間35を介して下ダクト空間25内に流れて、下スリット26から下ダクト空間25内に浸入した雨水と合流して、排水チューブ31を介して排水空間32内に流失した後、隙間32aから車外に排水される。
この排水チューブ31の断面積は下ダクト空間25の断面積よりも十分に小さいので、下ダクト空間25内のエアが排水チューブ31を通じて逃げることはない。
[変形例1]
以上説明した実施例ではバックドア15のドアフレーム16にスリット21,26を設けた例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図8に示したように構成しても良い。
[変形例1]
以上説明した実施例ではバックドア15のドアフレーム16にスリット21,26を設けた例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図8に示したように構成しても良い。
この図8は、バックドア15が比較的小さく、ルーフ11の後端部の一部が傾斜面を形成している自動車に適用した例を示したものである。以下、図8の構成について説明する。尚、上述した実施例と同一又は類似する部分には上述した符号と同一の符号を付して、その説明は省略する。
図8において、ルーフ11の後縁部には、車幅方向に延びる上ダクト部(ルーフサイドレール)41が設けられている。また、リヤピラー12のドア開口14側の縁部には、上下に延び且つ上端部が上ダクト部41に接続されたサイドダクト部42が設けられている。更に、リヤパネル13の上縁部には、車幅方向に延び端部がサイドダクト部42に接続された下ダクト部43が形成されている。
そして、上ダクト部41内には上ダクト空間41aが形成され、サイドダクト部42内には上ダクト空間41aに連通するサイドダクト空間42aが形成され、下ダクト部43内にはサイドダクト空間42aに連通するサイドダクト空間43aが形成されている。このダクト空間41a,42a,43aは環状ダクト空間(環状空間)Rs2を形成している。
上述した上ダクト部41は、図9に示したようにルーフパネル11の後端部であるアウターパネル部44と、アウターパネル部44の内面に溶接固定されたインナーパネル45とを備えている。そして、アウターパネル部44には後斜め下方に傾斜する傾斜面44aが形成され、この傾斜面44aには車幅方向に延び且つ上ダクト空間41aに開口する上スリット46が形成されている。
ここで、アウターパネル部44のルーフ11に連設された上面44bの後端と傾斜面44aの上端との連設部(折曲部)をルーフ後端11aとする。
サイドダクト部42は図10に示したようにリヤピラー12のアウターパネル47とインナーパネル48との間に形成され、下ダクト部43は図11に示したようにリヤパネル13の上端部とその内面に溶接固定されたインナーパネル(レインフォース)49との間に形成されている。そして、リヤパネル13の上端部に車幅方向に延び且つ下ダクト空間43aに開口する下スリット50が形成されている。
次に、このような構成の車体後部構造の作用を説明する。
この実施例においても、バックドア15の傾斜面15aとルーフ11の傾斜角度φを30°として風洞実験した場合に、上スリット46の部分には非常に大きい負圧が作用し、下スリット50には比較的に小さい負圧が作用する。この結果、スリット46,50の圧力差により、下スリット50から下ダクト空間43a内にエアが流入する。そして、この下ダクト空間43a内に流入したエアは、サイドダクト空間42aを介して上ダクト空間41a内に流れた後、上スリット46から吹き出される。
これにより、ルーフ後端11aから後方に流れて剥離する空気流は、バックドア15の表面(傾斜面15a)に再付着せず、車体後部で完全に剥離した流れとなる。この結果、バックドア15の表面(傾斜面15a)の負圧が低下して、車両のCdが大幅に低下した。この結果は、上述した図1〜図7に示した実施例と略同様なものであった。
[変形例2]
また、以上説明した実施例ではバックドア15のドアフレーム16にスリット21,26を設けた例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図1のスリット21,26に代えて図12に示したように、上ダクト空間20に開口する複数の上小穴51を車幅方向に等ピッチで上ダクト部16aに形成すると共に、下ダクト空間25に開口する複数の下小穴52を車幅方向に等ピッチで下ダクト部16bに形成した構成としても良い。
[変形例2]
また、以上説明した実施例ではバックドア15のドアフレーム16にスリット21,26を設けた例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図1のスリット21,26に代えて図12に示したように、上ダクト空間20に開口する複数の上小穴51を車幅方向に等ピッチで上ダクト部16aに形成すると共に、下ダクト空間25に開口する複数の下小穴52を車幅方向に等ピッチで下ダクト部16bに形成した構成としても良い。
この構成においても風洞実験時にエアは、下小穴52から下ダクト空間25に吸い込まれた後、サイドダクト空間35から上ダクト空間20内に流れて、上小穴51から吹き出されて、ルーフ11に沿って後方に流れてルーフ後端11aで剥離される空気流がバックドア15の表面(傾斜面15a)に再付着しないようにできる。この結果、Cdを上述した実施例と同様に小さくできた。尚、この構成を図8の実施例にも適用できる。
以上説明したように、この発明の実施の形態では、車体後部にルーフ後端11aから後下方に向かう傾斜面15aをもつ車体後部構造において、上記傾斜面15aの周縁部に沿う環状空間(環状ダクト空間Rs1,Rs2)が上記車体後部に設けられていると共に、少なくとも上記傾斜面15aの上端付近及び上記傾斜面15aの下端付近の外表面と上記環状空間(環状ダクト空間Rs1,Rs2)を連通する連通用開口部(スリット21,26,46,50,小穴51,52)が設けられている構成としている。
この構成によれば、スポイラーを設けることなく車体後面の空気抵抗を低減できる。この結果、スポイラーを設けていない分コストがかからず、車両価格を低減するのに貢献できる。
しかも、スポイラーがないため、デザイン上での自由度が広がり、車体形状が一体となった魅力的なデザインを創造しやすくなる。さらに、スポイラーがないので、スポイラー等によるような大きな風切音が生ぜず、風切音による後席乗員に対する騒音をなくすことができる。
更に、スポイラーがないので、雨漏りの原因となる虞のあるボルト穴をルーフに開けなくて済み、ルーフ後端部内に雨漏りによる錆が発生するのを防止できる。更に、新たに空気抵抗となる部品がないので、車両のCd低減効果を減少させることを防止できる。
また、この発明の実施の形態の車体後部構造では、車体後部荷物室の後部ドア開口の開閉に用いられるバックドア15が設けられ、上記バックドア15の周縁部に沿う環状のバックドアアウターパネル(アウターパネル18,23,33で環状に構成)と環状のバックドアインナーパネル(インナーパネル19,24,34で環状に構成)とで形成した環状ダクト(中空のドアフレーム16)内に上記環状空間(環状ダクト空間Rs1)を設けている。
この構成によれば、既にあるバックドア15の部品の一部を利用して、車両のCdを低減させることができる。
また、この発明の実施の形態の車体後部構造では、前記環状空間(環状ダクト空間Rs1,Rs2)の車体幅方向に延びる下辺部(下ダクト空間25)に前記環状空間の断面積よりも面積の小さい接続穴30を形成し、一端が前記接続穴30に接続されたチューブ(排水チューブ31)の他端をバックドア15下端まで配置して、上記環状空間(環状ダクト空間Rs1,Rs2)に浸入した雨水を排出できるようにしている。
この構成によれば、バックドア周縁部の環状空間(環状ダクト空間Rs1,Rs2)内に(スリット21,26,46,50,小穴51,52)浸入した雨水を良好に排水できる。
また、この発明の実施の形態の車体後部構造では、前記バックドアアウターパネル(アウターパネル18,23,33で環状に構成)の上辺部(アウターパネル18)及び下辺部(アウターパネル23)に車体幅方向に延びるスリット(上スリット21、下スリット26)を上記連通用開口部としてそれぞれ形成している。
この構成によれば、バックドアアウターパネルのスリット21,26を利用して車体幅方向の略全範囲でCdを低減できる。
また、この発明の実施の形態の車体後部構造では、前記バックドアアウタパネル(アウターパネル18,23,33で環状に構成)の上辺部(アウターパネル18)及び下辺部(アウターパネル23)に車体幅方向に配列された複数の小穴(上小穴51,下小穴52)を上記連通用開口部として設けた構成と出来る。
この構成によれば、バックドアアウタパネルの強度を維持したまま、車体幅方向の略全範囲でCdを低減できる。
また、この発明の実施の形態の車体後部構造では、上記車体後部の上記後部ドア開口14を形成する車体側アウタパネル(アウターパネル部44,アウターパネル47,リヤパネル13で環状に構成)と車体側インナーパネル(インナーパネル45,48,49で環状に構成)が設けられ、上記車体側アウタパネル(アウターパネル部44,アウターパネル47,リヤパネル13)と車体側インナーパネル(インナーパネル45,48,49)との間に上記後部ドア開口14の周縁に沿って環状に延びる環状ダクト(上ダクト部41a,サイドダクト部42a,下ダクト部43aで環状に構成)が形成され、前記環状ダクト内に上記環状空間(環状ダクト空間Rs2)が形成されている。
この構成によれば、既にある車体の部品の一部を利用して、車両のCdを低減させることができる。
また、この発明の実施の形態の車体後部構造では、前記車体側アウターパネル(アウターパネル部44,アウターパネル47,リヤパネル13で環状に構成)の上辺部(アウターパネル部44)及び下辺部(リヤパネル13)に車体幅方向に延びるスリット(46,50)を上記連通用開口部としてそれぞれ形成している。
この構成によれば、バックドアアウターパネル(アウターパネル18,23,33で環状に構成)にスリット(スリット21,26)を設けた場合よりも、車体幅方向のスリット(46,50)の長さを長く取れるので、バックドアアウターパネルにスリットを設けた場合よりもCdを低減できる。
また、この発明の実施の形態の車体後部構造では、前記車体側アウターパネル(アウターパネル部44,アウターパネル47,リヤパネル13で環状に構成)の上辺部(アウターパネル部44)及び下辺部(リヤパネル13)に車体幅方向に配列された複数の小穴を上記連通用開口部として形成している。
この構成によれば、車体側アウタパネルの強度を維持したまま、車体幅方向の略全範囲でCdを低減できる。
11a…ルーフ後端
13…リヤパネル(アウターパネル)
14…ドア開口(後部ドア開口)
15…バックドア
15a…傾斜面
16…ドアフレーム(環状ダクト)
18…アウターパネル
19…インナーパネル
21…上スリット(連通用開口部)
23…アウターパネル
24…インナーパネル
25…下ダクト空間(環状ダクト空間Rs1の下辺部)
26…下スリット(連通用開口部)
30…接続穴
31…排水チューブ(チューブ)
33…アウターパネル
34…インナーパネル
45…インナーパネル
41a…上ダクト部
42a…サイドダクト部
43a…下ダクト部
44…アウターパネル部
46…上スリット(連通用開口部)
47…アウターパネル
48…インナーパネル
49…インナーパネル
50…下スリット(連通用開口部)
51…上小穴(連通用開口部)
52…下小穴(連通用開口部)
Rs1…環状ダクト空間(環状空間)
Rs2…環状ダクト空間(環状空間)
13…リヤパネル(アウターパネル)
14…ドア開口(後部ドア開口)
15…バックドア
15a…傾斜面
16…ドアフレーム(環状ダクト)
18…アウターパネル
19…インナーパネル
21…上スリット(連通用開口部)
23…アウターパネル
24…インナーパネル
25…下ダクト空間(環状ダクト空間Rs1の下辺部)
26…下スリット(連通用開口部)
30…接続穴
31…排水チューブ(チューブ)
33…アウターパネル
34…インナーパネル
45…インナーパネル
41a…上ダクト部
42a…サイドダクト部
43a…下ダクト部
44…アウターパネル部
46…上スリット(連通用開口部)
47…アウターパネル
48…インナーパネル
49…インナーパネル
50…下スリット(連通用開口部)
51…上小穴(連通用開口部)
52…下小穴(連通用開口部)
Rs1…環状ダクト空間(環状空間)
Rs2…環状ダクト空間(環状空間)
Claims (8)
- 車体後部にルーフ後端から後下方に向かう傾斜面をもつ車体後部構造において、
上記傾斜面の周縁部に沿う環状空間が上記車体後部に設けられていると共に、少なくとも上記傾斜面の上端付近及び上記傾斜面の下端付近の外表面と上記環状空間を連通する連通用開口部が設けられていることを特徴とする車体後部構造。
<バックドア側> - 車体後部荷物室の後部ドア開口の開閉に用いられるバックドアが設けられ、上記バックドアの周縁部に沿う環状のバックドアアウターパネルと環状のバックドアインナーパネルとで形成した環状ダクト内に上記環状空間を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
- 前記環状空間の車体幅方向に延びる下辺部に前記環状空間の断面積よりも面積の小さい接続穴を形成し、一端が前記接続穴に接続されたチューブの他端をバックドア下端まで配置して、上記環状空間に浸入した雨水を排出できるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の車体後部構造。
- 前記バックドアアウターパネルの上辺部及び下辺部に車体幅方向に延びるスリットを上記連通用開口部としてそれぞれ形成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の車体後部構造。
- 前記バックドアアウタパネルの上辺部及び下辺部に車体幅方向に配列された複数の小穴を上記連通用開口部として設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の車体後部構造。
<車体側> - 上記車体後部の上記後部ドア開口を形成する車体側アウタパネルと車体側インナーパネルが設けられ、上記車体側アウタパネルと車体側インナーパネルとの間に上記後部ドア開口の周縁に沿って環状に延びる環状ダクトが形成され、前記環状ダクト内に上記環状空間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
- 前記車体側アウターパネルの上辺部及び下辺部に車体幅方向に延びるスリットを上記連通用開口部としてそれぞれ形成したことを特徴とする請求項6の車体後部構造。
- 前記車体側アウターパネルの上辺部及び下辺部に車体幅方向に配列された複数の小穴を上記連通用開口部として形成したことを特徴とする請求項6に記載の車体後部構造。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR20150075930A (ko) * | 2013-12-26 | 2015-07-06 | 르노삼성자동차 주식회사 | 테일 게이트 윙렛 및 이를 포함하는 테일 게이트 구조물 |
JP2018043739A (ja) * | 2016-09-16 | 2018-03-22 | トヨタ自動車株式会社 | 車体後部構造 |
JP2018135081A (ja) * | 2017-02-24 | 2018-08-30 | マツダ株式会社 | 車体後部構造 |
JP7517240B2 (ja) | 2021-04-23 | 2024-07-17 | 株式会社豊田自動織機 | 車両のバックドアの空気抵抗低減構造 |
-
2004
- 2004-03-04 JP JP2004059963A patent/JP2005247124A/ja active Pending
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