JP2005246687A - 液体噴射ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヘッドカバーとヘッドケースの間にインク等の液体が導かれることを防止し、また、ヘッドカバーの保護壁板の異常な変形を防止できる液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】 流路ユニット38が、ノズル形成面41bを有するノズルプレート41と、液体の圧力発生室68と、液体の液体貯留室66とを含み、ノズル形成面41bを保護するヘッドカバー39が設けられ、ヘッドカバー39には、ヘッドケース37の側面61aを覆う主保護壁部39bが形成され、ノズル形成面41bの両端部に、主走査方向に直交する方向に延びてノズル形成面41bの各端部表面を覆う細長形状のカバー板39aが、主保護壁部39bを屈曲した状態で形成され、カバー板39aは、ノズル形成面41bに接触しているカバー板39aの自由端縁部39lを支点として弾性的に変形しうるよう形成されている。これにより自由端縁部39lがノズル形成面41bに確実に接触する。
【選択図】 図15

Description

この発明は、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッド及びそれを用いた液体噴射装置全般に関する。
液体噴射ヘッドとして広く使用されているものに、インクジェット式記録装置がある。インクジェット式記録装置においては、複数のノズル開口から液体であるインク滴を噴射するための液体噴射ヘッドとして記録ヘッドを備えている。この記録ヘッドによりインク滴を媒体である記録紙等の表面に着弾させて、画像や文字等を印刷するようにしている。このようなインクジェット式記録装置では、移動手段により、上記記録紙等に対して相対的に移動されるキャリッジを備えており、このキャリッジに記録ヘッドが搭載されている。
特開2000-190513号公報
図24は、このようなインクジェット式記録装置に搭載される記録ヘッドとして機能するために想定される構造を示す概略断面図であり、図25は、図24の符号Cで示す領域を拡大して示した図である。これらの図において、記録ヘッド1は、ヘッドケース2と、このヘッドケースの図において上面に固定される回路基板Bとを備えている。ヘッドケース2は、図25に示されているように、フランジ状に広がる基部7と、この基部7から一体に延びて、図において下方に突出する先端部6を備えている。ヘッドケース2には、この先端部6の内部を利用して縦方向に並列に配置される複数の収容部H1,H1,H1が形成されている。
図24に示すように、ヘッドケース2の収容部H1,H1,H1には、それぞれノズルの駆動手段としての振動子ユニット4,4,4が固定されている。詳しくは、図25に示すように、振動子ユニット4は、ヘッドケース2の収容部H1の内面に固定される取付板もしくは固定板4aと、この固定板4aに対して、一端が固定され、自由端を下方に向けて配置された振動子4bと、振動子4bに駆動電圧を印加するために、その一端が振動子4bに対して電気的に接続されたフレキシブル基板等でなるテープキャリア4cとを備えている。テープキャリア4cの他端は、回路基板Bに接続されている。
一方、ヘッドケース2の先端部6の端面には、プレート状の積層構造をもつ流路ユニット3が固定されており、この流路ユニット3には、図24に示すように、複数のノズル開口3a,3a,3aが形成されている。そして、流路ユニット3の外側から、枠状の金属材料でなるヘッドカバー5が配置されている。ヘッドカバー5は、その先端に、流路ユニット3のノズル開口3a,3a,3aを露出する開口部5aを備えており、保護壁部5bにより、ヘッドケース2の先端部6の側面を覆い、曲折させてフランジ状となった支持部5cを利用して、ヘッドケース2の基部7と固定されるようになっている。これにより、ヘッドカバー5は、精密な構造の流路ユニット3や、ヘッドケース2の側面部を覆って保護するとともに、金属材料によるアース効果によって、これらの部品のシールドを行っている。
記録ヘッド1にあっては、駆動手段としての振動子ユニット4に、回路基板Bから駆動電圧を印加することで、図示しない手段により流路ユニット3に導かれたインクを、各振動子4bの振動によりノズル開口3aから噴射する。これにより、記録紙等の媒体(図示せず)の印刷面等に、所定の印刷を行う。このような印刷を行った後においては、流路ユニット3のノズル開口3aの周囲等に、微量のインクが付着する場合がある。このため、クリーニング動作を行う。クリーニング動作は、例えば、図24に示すように、インクジェット式記録装置に装備された払拭手段8等が、記録ヘッド1に対して、矢印A1に示すように相対的に接近し、その払拭面をノズル開口3aに接触させた状態で、矢印A2方向に相対的に移動することにより、ノズル開口3aの周囲に残ったインクを拭うことにより行われる。
しかしながら、記録ヘッド1においては、このクリーニング動作により払拭される微量のインクが、図25のS1の空間に残る場合がある。つまり、クリーニング動作の際に、インクが、ヘッドカバー5の開口部5aから、ヘッドカバー5の内側に入り込み、空間S1等の内部空間に貯留されてしまうことがある。この空間S1に溜まったインクは、ヘッドカバー5の保護壁部5bと、ヘッドケース2の先端部6の側壁との間の微細な隙間G1に、毛細管現象によって入り込み、矢印A3の方向に移動する。この矢印A3の方向に移動したインクが、回路基板Bにいたると、電気的短絡を生じる場合がある。
つまり、図24、図25のような構成であると、隙間G1は、ヘッドケース2の基部7にいたるまで続いており、さらに基部7とヘッドカバー5の支持部5cとの間の隙間はきわめて小さいので、毛細管現象で移動するインクは、ヘッドケース2の基部7まで移動してしまう。このような状態で、記録ヘッド1が姿勢を変える場合、例えば、ユーザがプリンタ本体及び記録ヘッド1を傾けたりすると、空間S1に溜まり、かつヘッドケース2の基部7まで続くインクは、瞬時に回路基板Bにまわってしまう場合がある。
この発明は上記課題を解消し、ヘッドカバーの保護壁部とヘッドケースの側面部との間にインク等の液体が導かれることを防止し、それと同時に、特に、ヘッドカバーに生じる異常な変形を防止する液体噴射ヘッドを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドは、ヘッドケースに接合された流路ユニットが、ノズル形成面にノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通し圧力発生手段により液体を加圧する圧力発生室と、上記圧力発生室に供給される液体を貯留する液体貯留室とを含んで構成され、上記ノズル形成面を保護するヘッドカバーが上記ヘッドケースに取り付けられ、上記ヘッドカバーには、ヘッドケースの側面との間に所要の隙間を存在させた状態で上記側面を覆う主保護壁部が形成され、上記ノズル形成面の主走査方向で見た両端部において、上記主走査方向に直交する方向に延びてノズル形成面の各端部表面を覆う細長形状のカバー板が、上記主保護壁部を屈曲した状態で形成され、上記カバー板は、ノズル形成面に接触しているカバー板の自由端縁部を支点として弾性的に変形しうるよう形成されていることを要旨とする。
上記主保護壁部を屈曲した状態で形成した上記カバー板の自由端縁部を支点として、当該自由端縁部がノズル形成面に対して弾性的に接触している。したがって、カバー板の先端部すなわち自由端縁部がノズル形成面から浮上することなく隙間のない状態で接触する。このため、払拭手段によるワイピング動作の際に、かき寄せられた液体がカバー板とノズル形成面との間に浸入することがなく、液体がカバー板とノズル形成面との間を毛細管現象等で通過して、液体噴射ヘッドの各部、例えば、記録ヘッドの回路基板等の電気的構成部品等への液体到達が発生しない。上記のような好ましい動作は、特に、カバー板の自由端縁部がノズル形成面に確実に接触していることによってなされている。そして、主保護壁部がヘッドケースの側面から所定の間隔分だけ離れているので、このような箇所における毛細管現象の発生を防止して、液体の移動を抑制することができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記ヘッドカバーには、主保護壁部を屈曲させてノズル形成面と略平行な状態で配置した主支持部が形成され、上記主支持部にヘッドカバー固定用のボルト孔が設けられ、上記ヘッドカバーは、上記ボルト孔を貫通したボルトの締め付けによる上記主支持部の変位に伴って、ノズル形成面に対する上記自由端縁部の接触圧力が大きくなるものである場合には、上記主支持部の変位は主保護壁部から主保護壁部の屈曲箇所を介して自由端縁部に伝えられる。したがって、上記ボルトの締め込みにともなってノズル形成面に対する自由端縁部の接触圧力が増大するので、上記のように、かき寄せられた液体がカバー板とノズル形成面との間に浸入することがない。また、ヘッドカバーの取り付けと同時に自由端縁部の接触が上記のようにして確保されるので、ボルト付けの機能が複数化されて、構造簡素化等において好適である。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記ヘッドカバーは、金属板をプレス成形したものである場合には、弾性的変形が得られる金属板の屈曲成形等によって、カバー板の自由端縁部に弾性的な動作を付与することが行いやすくなる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記カバー板が、該カバー板の自由端縁部がノズル形成面に接触した状態でノズル形成面との間に空隙が形成される屈曲形状によって形成されている場合には、上記のような空隙が形成されているので、上記ボルトを締めこむと、カバー板の自由端縁部とは反対側の部位すなわち屈曲部分が変位して、上記自由端縁部がノズル形成面に接触したまま上記空隙の間隔が小さくなる。したがって、常に上記空隙が維持されており、これによって自由端縁部とノズル形成面との接触関係が確保される。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記カバー板が平板状である場合には、ノズル形成面とカバー板との連続性が滑らかになるので、ワイピング動作の際にワイパー部材がスムーズに払拭移動をして良好な液体払拭が得られる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記カバー板が該カバー板の自由端縁部をノズル形成面の方に向って変形させた変形部を有している場合には、自由端縁部近傍のカバー板がノズル形成面から比較的急角度で変形した状態になり、カバー板とノズル形成面との間の空隙間隔を大きく確保することができる。このような状態で上記ボルトを締め込むと、カバー板の自由端縁部とは反対側の部位すなわち屈曲部分が大きく変位しても、上記自由端縁部がノズル形成面に接触したまま上記空隙は確実に維持される。したがって、常に上記空隙が維持されており、これによって自由端縁部とノズル形成面との接触関係が確保される。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記主保護壁部に連接され主保護壁部と略直交する方向に延びてヘッドケースの側面を覆う副保護壁部が設けられ、上記ボルト孔を貫通したボルトの締め付けトルクにより上記主支持部を介してヘッドケースの側面に接近する方向の力を受ける上記主保護壁部と、ヘッドケースの側面との間に、主保護壁部の変形を防止する規制部材が配置されている場合には、上記ボルトの締め付けトルクが、上記主支持部を経由してヘッドケースの側面に接近する方向の力として主保護壁部に作用しても、主保護壁部の内面とヘッドケースの側面との間には規制部材が配置されているので、主保護壁部が変形しようとしても規制部材が強制的に上記変形を抑止する機能を果たす。したがって、主保護壁部が上記側面側に向って変形することがなく、それにともなってノズル形成面に対する自由端縁部の接触状態を、より一層確実に得ることができる。すなわち、カバー板自体の屈曲形状による上述の作用に加えて規制部材の効果が得られる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記規制部材と上記ヘッドケースの側面および/または主保護壁部との間に、液体を保持しうる空隙が形成されている場合には、万一、カバー板とノズル形成面との間に液体が浸入しても、上記空隙において毛細管現象によって液体が保持され、さらに液体噴射ヘッドの他の部位へ液体が移動することを防止できる。さらに、カバー板の自由端縁部がノズル形成面に接触しカバー板とノズル形成面との間に空隙が維持されているので、上記規制部材の寸法に誤差があっても上記空隙で吸収される。したがって、規制部材の精度管理が緩和される。また、ボルト締めによるトルクで主保護壁部に異常な変形量が発生する場合には、この規制部材によって変形が抑制され、自由端縁部とノズル形成面との接触が確保できる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記ヘッドカバー固定用のボルト孔が、上記主走査方向のノズル形成面の中心線からいずれかの側にオフセットした位置の上記主支持部に設けられている場合には、上記オフセットにより、上記主支持部を経由してヘッドケースの側面に作用する上記接近方向の力が主保護壁部の広範囲に作用し主保護壁部を変形させようとする。しかし、上記のように、カバー板とノズル形成面との間の空隙によって、主保護壁部の変形を吸収するので、自由端縁部とノズル形成面との接触関係は確実に維持される。また、上記規制部材が強制的に上記変形を抑止する機能を果たして、正常な上記接触関係が確保される。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記規制部材が、独立した部材である場合には、上記主保護壁部の内面とヘッドケースの上記側面との間の間隔に適合させて、種々な厚さの規制部材を用意しておき、個々の液体噴射ヘッドに最適の規制部材を機能させることができ、組み立て精度の向上ができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記規制部材が、主保護壁部の一部を変形させたものである場合には、ヘッドカバーに一体化された状態で規制部材が配置されるので、部品点数を増加することなく、簡素化された構造で規制部材の機能を果たすことができる。また、主保護壁部の一部を変形させるものであるから、規制部材の形状が金属板のプレス成形によって設定できるので、規制部材の形状を主保護壁部の配置状態に応じて、最適化することができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記規制部材が、主保護壁部の一部を屈曲させたものである場合には、単なる屈曲という曲げ加工だけで規制部材が配置でき、構造簡素化の面で有効である。また、屈曲角度を変更することにより、主保護壁部の内面と上記側面の間の間隔に応じた規制部材の有効間隔が簡単に調整できる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記規制部材が、上記ヘッドケースの側面の一部に一体的に成形されたものである場合には、ヘッドケースが合成樹脂等で成形される際に、規制部材が同時に一体成形されるので、規制部材の形成が簡単に行え、また、部品点数の削減にも有効である。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記副保護壁部の上記ノズル形成面側の端縁が、ノズル形成面から突出しない位置に存在させてある場合には、払拭手段を主走査方向に動作させたときに、ノズル形成面のノズル列方向の全幅にわたって完全に払拭することができる。特に、ノズル列はノズル形成面の端部の間際までできるだけ長く形成して、広い範囲に短時間で液体噴射を行うことが重要視されているので、払拭機能もそれに適応させることが必要である。本発明は、上記の要請を的確に満足させることができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記端縁が、上記金属板の切断面である場合には、ヘッドカバーをプレス成形するときに、プレス金型に切断刃構造を準備するだけで、上記切断面を簡単に形成することができる。さらに、切断面状態の端縁であるから、副保護壁部の配置に要する占有空間が少なくなり、副保護壁部がスリムな状態で配置できる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記カバー固定用の第1の両ボルト孔が上記中心線からオフセットしている側とは反対側に配置されている上記副保護壁部を屈曲させてノズル形成面と略平行な状態で配置した副支持部が形成され、上記副支持部にカバー固定用の第2のボルト孔が設けられている場合には、ヘッドケースに対するヘッドカバーの固定点は、上記のように中心線からオフセットした側に配置されている2つのボルト孔の箇所と、上記中心線からオフセットしている側とは反対側に配置されている副支持部のボルト孔の箇所との3点となる。したがって、ヘッドカバーは3点支持による安定した固定がなされる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記第1の両ボルト孔は上記中心線に直交するノズル形成面の中心線に対称に配置され、上記対称の対称軸上に上記副支持部に設けたカバー固定用の第2のボルト孔が配置されている場合には、上記対称軸上に副支持部のボルト孔が配置されているので、主支持部の両ボルト孔と副支持部のボルト孔との各ボルト孔は、正三角形に近い二等辺三角形をなす位置に配置されている。このため、ヘッドカバーに対する固定点が偏ることなく安定した固定がなされる。したがって、上述の副保護壁部が1枚板になった場合でも、それによる剛性低下を上記固定点の配置によって補完することができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記規制部材に液体の保持手段が設けられている場合には、ノズル形成面からリークした液体が上記側面を伝って規制部材に到達しても、規制部材の液体保持手段で保持されるので、液体が規制部材からさらに他の箇所へ流動することが防止される。このように、規制部材に主保護壁部の変形抑止機能と液体の保持機能を付与することにより、単一部材を多機能化することができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記保持手段が、規制部材に設けた微細な空間である場合には、液体が微細な空間において毛細管現象で保持されるので、液体保持が確実になされる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記保持手段が、規制部材に取り付けられた液体の吸収部材である場合には、上記吸収部材の吸収容量を大きく設定することにより、流動してきた液体が多くても確実に保持することができる。
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施例は、この発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
図1は、この発明の液体噴射装置の好ましい実施例としてのインクジェット式記録装置の全体構造の一例を示す概略構成図である。図において、インクジェット式記録装置(以下、「記録装置」と言う)100は、紙等の媒体Pの表面にインクを噴射して、印刷を行う装置である。このため、媒体Pの印刷面に対向するように、インクカートリッジ102を搭載したキャリッジ101が配置されている。キャリッジ101には、このインクカートリッジ102と、後述する記録ヘッドとが搭載されている。この記録ヘッドのノズル形成面の先端部は、媒体Pの印刷面に向けられている。キャリッジ101には、タイミングベルト等のキャリッジ移動手段104が接続されており、この移動手段としてのタイミングベルト104は、タイミングモータ等の駆動手段105により駆動され、ガイド手段103に案内されて、例えば、プラテン106の方向と一致した矢印A4の方向に移動されるようになっている。
この記録装置100の非印刷領域であるホームポジションには、例えば、キャリッジ101に搭載された記録ヘッド(後述)のノズル形成面を払拭するための払拭手段107が配置されている。この払拭手段107は、キャリッジ101に対して、その移動方向に対して相対的に移動して、記録ヘッドのノズル形成面を払拭するようになっている。このため、払拭手段107は、ゴム等のある程度弾性を備える払拭に適した材料と形態が選択される。
また、この払拭手段107に隣接して、上記ホームポジションもしくはその近傍に、被覆部材109が配置されている。被覆部材109は、後述する記録ヘッド先端部を収容し得る形態で形成されており、記録ヘッド先端部を覆って内部を密閉空間として、負圧によりインクを吸着してクリーニングするためのものである。この被覆部材109には、ポンプユニット108が接続され、上記密閉空間に負圧を形成できるようにされている。したがって、このポンプユニット108及び被覆部材109と、これらに加えて上記払拭手段107を採用することで、全体として記録ヘッドの清掃手段110を形成している。
図2はキャリッジ101に収容される本発明の液体噴射ヘッドの実施例としての記録ヘッド30の概略斜視図であり、図3は、記録ヘッド30の分解斜視図である。これらの図に示されているように、記録ヘッド30は、後述する各種の部品を取り付けるためのカートリッジ基台(以下、「基台」という)31を有している。基台31は、全体として、例えば、合成樹脂製の支持基台であり、図3に示されているように、その一面(図において上面)には、複数の区画が設けられている。この区画は、インクカートリッジ102(図1参照)の各色インクの数に対応して設けられている。各区画には、図示されているように、それぞれフィルタ33・・・を介して、それぞれインク供給針32・・・が取り付けられている。
基台31の他面には、パッキンとなるシート部材34を介して、回路基板35が取り付けられるようになっている。シート部材34には、インクの供給用の貫通孔34aが形成されている。回路基板35は、例えば、インクの噴射ノズルを駆動するためのドライブ回路等や、本体側との接続のためのコネクタ、シート部材34のインクの供給用の貫通孔34aと対応する貫通孔等を備えている。
さらに、記録ヘッド30は、駆動手段としての複数の圧電振動子を備える振動子ユニット36と、この振動子ユニット36が取り付けられるヘッドケース37を備えている。振動子ユニット36は、固定板に複数の圧電振動子を並列的に固定したもので、図示しないテープキャリアを介して、回路基板35から駆動電圧が供給されるようになっている。この振動子ユニット36が駆動されることで、流路ユニット38に形成されるノズルからインクが吐出されるようになっている。このため、振動子ユニット36の図示しないテープキャリアは、回路基板35の貫通孔に挿通されて、折り曲げ後、回路基板35に半田接続されることで、上記コネクタ等と接続されている。また、振動子ユニット36は、図4に示すように、ヘッドケース37の収納部37aに挿入されている。
ヘッドケース37は、図2に示されているように、基台31に固定されるもので、上述した振動子ユニット36を収容するためのケーシングである。ヘッドケース37は、例えば、フランジ状に広がる形態を備えた基部65と、この基部65から一体に図4において下方に突出したほぼ直方体でなるブロック状の先端部61を有している。ヘッドケース37の基部65は、例えば、フランジ状に広がっており、後述するように、ヘッドカバー39の後述する支持部を固定するために機能する。このヘッドケース37の先端部61の端面62(載置面)には、流路ユニット38が当接されて、例えば、接着剤等により固定されている。流路ユニット38は、図4の下方から上方に向かって、ノズルプレート41、流路形成基板42、弾性板43を順次積層し、接着剤等で固定して一体化させることにより形成されている。ノズルプレート41は、例えば、ステンレス製の薄板でなり、プリンタのドット形成密度に対応したピッチで、微細なノズル開口41aを列状に形成したものである。
図5は、図4の流路ユニット38を拡大した断面図である。図において、流路形成基板42は、インクカートリッジから導かれるインクをノズルプレート41の各ノズル開口41aに送る流路を形成するもので、例えば、シリコンウエハーをエッチング処理して形成されている。流路形成基板42には、ノズルプレート41の各ノズル開口41aにそれぞれ対応して連通する複数の区画領域でなる圧力発生室68や、インクを貯留するためのインク貯留室66、このインク貯留室と上記した圧力発生室を連絡する溝状のインク供給口67等が形成されている。
弾性板43は、流路形成基板42の上に位置して配置されるもので、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の弾性フィルム43aの上に、例えば、ステンレス鋼等の金属製の支持板43bを積層した板材で形成されている。この弾性板43は、流路形成基板42に重ねられ、この流路形成基板42の上述した圧力発生室68や、インク貯留室66、インク供給口67の図4における上側の開口部を塞ぐ状態で固定される。そして、圧力発生室68と対応した箇所において、弾性板43は、上記金属製の支持板43bを環状に除去されて、内側にアイランド部69を残すようにし、このアイランド部69に、振動子ユニット36の各振動子64の先端が固定される。これにより、振動子64の動きは、アイランド部69を介して、圧力発生室68に伝えられるようになっている。また、弾性板43のインク供給口67と対応した箇所には、上記金属製の支持板43bが残されることにより、インク供給口67を形成する溝の流路断面積を保持するようになっている。さらに、弾性板43のインク貯留室66に対応した領域では、上記金属製の支持板43bは除去されて、弾性フィルム43aだけを残すようにし、インク貯留室66内のインクの増減等による動きに追従し、コンプライアンスを得る働きをする。
図3に示したヘッドカバー39は、金属板をプレス成形した保護部材で、図2に示すように、ノズルプレート41のノズル形成面41bの端部表面を覆う状態で、流路ユニット38をヘッドケース37の先端部61に当接させた状態で保持するためのものである。なお、上記ノズル形成面41bは、図4,図5にも示されている。
記録ヘッド30は以上のように構成されており、基台31に固定された、各インク供給針32・・・は、対応する各色インクをそれぞれのカートリッジから基台31側に導き、インクは、シート部材34のインク供給用貫通孔34a等を通りヘッドケース37に保持された流路ユニット38に導かれる。この流路ユニット38においては、流路形成基板42のインク貯留室66に一時貯留されたインクが、図5のインク供給口67を通り、振動子ユニット36の振動子64の動きにしたがって、圧力発生室68を介して、ノズルプレート41のノズル開口41aから噴射される。これにより、図1の媒体Pの印刷面にインク滴が着弾し、かくして、キャリッジ101が矢印A4の方向に送られることにより、媒体Pの印刷面にライン状に印刷が行われる。
図6ないし図8−1,図8−2は、本実施例で使用されるヘッドカバー39について、それぞれ異なる角度から見た斜視図であり、図9は、ヘッドカバー39をヘッドケース37に取り付け、このヘッドケース37が、基台31に固定されている様子を示す概略断面図、図10は、図9の一部を拡大して示す図である。これらを参照しながら、ヘッドカバー39の好ましい実施例について説明する。
図6ないし図10および図11,図12において、ヘッドカバー39は、導電性の金属板、好ましくは、錆びにくく、板厚を薄くしても剛性があり、導電性が良好である性質を有し、具体的には、例えば、ステンレスにより一体に形成されている。
上記ヘッドカバー39には、上記ノズル形成面41bの主走査方向で見た両端部において、上記主走査方向に直交する方向に延びてノズル形成面41bの各端部表面を覆う細長形状のカバー板39aが設けられている。上記カバー板39aは、ヘッドケース37の側面61aとの間に所要の隙間S3を存在させた状態で上記側面61aを覆う主保護壁部39bを屈曲させて形成されている。上記主保護壁部39bと略直交する方向に延びてヘッドケース37の側面61aを覆う副保護壁部39cが形成されている。上記主保護壁部39bを屈曲させてノズル形成面41bと略平行な状態で配置した主支持部39gがヘッドケース37の両側に形成されている。そして、上記主走査方向のノズル形成面41bの中心線O1−O1からいずれかの側にオフセットした位置の上記主支持部39gに設けたヘッドカバー固定用のボルト孔39hとが設けられている。なお、上記オフセットの量は、図11(A)に符号Lで示されている。
上記ヘッドケース37の側面61aは、図2,図4および図10に示すように、略直方体である先端部61の外側面であり、都合4つの側面61aから構成されている。図12(B)に示すように、カバー板39aの端部には傾斜面39fが形成され、払拭手段8がひっかからないようになっている。
図12(C)に示すように、副保護壁部39cのノズル形成面41b側の端縁39eは、ノズル形成面41bから突出しない位置に存在させてある。その高低差は(C)に符号Hで示されている。そして、上記端縁39eは、上記金属板の切断面とされている。すなわち、副保護壁部39cの端縁39eには、カバー板39aから主保護壁部39bにかけてのような屈曲剛性部分がなく、いわゆる「切りっぱなし」の状態であり、副保護壁部39cは1枚板の構造とされている。これは、上記払拭手段8を主走査方向に動作させたときに、ノズル形成面41bのノズル列方向の全幅にわたって完全に払拭するためであり、上記1枚板の構造により完全払拭を優先し、剛性維持は後述の他の方策で対応している。なお、同図(C)に示すように、副保護壁部39cの板厚は符号Tで示されている。
上記カバー固定用のボルト孔39hが上記中心線O1−O1からオフセットしている側とは反対側に配置されている副保護壁部39cを屈曲させてノズル形成面41bと略平行な状態で配置した副支持部39iが形成され、上記副支持部39iにカバー固定用のボルト孔39jが設けられている。なお、上記2つのボルト孔39hが第1のボルト孔であり、上記1つのボルト孔39jが第2のボルト孔である。
上記ボルト孔39h,39jにボルトを貫通させて、ヘッドカバー39は、図2や図9に示されているように、ヘッドケース37に固定されている。この固定は、各ボルト孔39h,39jに貫通させたボルト44,45をヘッドケース37の基部65にねじ込むことにより行われている。このようにヘッドカバー39がヘッドケース37に固定された状態で、上記ノズル形成面41bに形成されたノズル開口41aを塞がないような開口部として第1の開口部71を形成している。上記第1の開口部71は、対向しているカバー板39aと、同様に対向している副保護壁部39cの端縁39eによって囲まれた四角い開口形状部によって構成されている。
図11(A)に示すように、上記両側のカバー板39a,主保護壁部39b,主支持部39g,カバー固定用のボルト孔39hは対称に配置され、上記対称の対称軸O2−O2上に上記副支持部39iに設けたカバー固定用のボルト孔39jが配置されている。この対称軸O2−O2は上記中心線O1−O1に直交している。
ヘッドケース37に対するヘッドカバー39の固定点は、上記のように中心線O1−O1からオフセットした側に配置されている2つのボルト孔39hの箇所と、上記中心線O1−O1からオフセットしている側とは反対側に配置されていて上記対称軸O2−O2上に配置されている副支持部39iのボルト孔39jの箇所である。したがって、各ボルト孔39h,39h,39jは正三角形に近い二等辺三角形をなす位置に配置されている。このため、ヘッドカバー39に対する固定点が偏ることなく安定した固定がなされる。したがって、上述の副保護壁部39cが1枚板であることによる剛性上の懸念は、上記固定点の配置によって略解消されている。
この実施例では、図6〜図8−1,図8−2に示すように、隣合った関係にある主保護壁部39bと副保護壁部39cの隣接する辺40,40は、面取りされている。つまり、これらの各辺40は、カバー板39aの端部から遠ざかる方向に沿って、主副各保護壁部39b,39cの幅を狭めるように傾斜することで、面取りされている。これにより、後述するクリーニング後に、ヘッドカバー39の内側に入り込む残留液体としてのインクがヘッドカバー39の四隅の箇所に集まらないようにされている。
また、ヘッドカバー39の主副保護壁部39b,39cの全部または一部、この場合は全部の主副保護壁部39b,39cに、ヘッドカバー39の第2の開口部72が形成されている。この第2の開口部72は、主副保護壁部39b,39cのヘッドケース37の先端部61(側面61a)に対する保護機能等や強度を損なわない位置と大きさを考慮して形成されている。
図10を参照して、ヘッドカバー39のさらに詳しい構成を説明する。
図10においては、主保護壁部39bが主支持部39g側に向かってその幅を拡大するようにした構成の具体例が示されている。この図では、詳しく示す都合上、主保護壁部39bの形態だけが示されているが、図6ないし図8−1,図8−2で示した副保護壁部39cも同様の形態である。そして、互いに対向する主保護壁部39b,39bと副保護壁部39c,39cは、対称の形態となる。図10では、主保護壁部39bは、これと対向する主保護壁部39bとで、テーパ状となるように、徐々に開いた形態とされている。この形態は、図10では、上方に向かって左に角度θに傾斜して開いた部分として示されている。これにより、ヘッドケース37の先端部61の側面61aと、ヘッドカバー39の主保護壁部39bとの間の隙間S3が上方に向かって徐々に大きくなるようにされている。
また、好ましくは、主保護壁部39bの上記テーパ部分は、カバー板39aから所定の距離、例えば、L1の距離から始まり、このL1の箇所において、主保護壁部39bはヘッドケース37の先端部61の側面61aに密着して、位置決め部46とされている。すなわち、このL1の距離の分だけ、ヘッドカバー39の主保護壁部39bとヘッドケース37の先端部61の側面61aが密着することで、ヘッドカバー39を取り付ける際の位置決めがしやすくなり、作業性が向上する。また、主保護壁部39bの上述のテーパ構造に代えて、例えば、図10に鎖線で示すように、段部47を形成して、この段部47から図において上方が、所定の幅に拡大するようにしてもよい。
さらに、図10に示された、ヘッドケース37側の特徴的な構造について説明する。ヘッドケース37の基部65に対するヘッドカバー39の主支持部39gの固定箇所には、主支持部39gに向かって突出する凸部もしくは突起、あるいはボス48が形成されている。具体的には、ヘッドカバー39の主支持部39gが、ボルト44を用いて固定される際に、ワッシャ49との間にこの凸部48に介在するスペーサとして機能するようにされている。これにより、ヘッドケース37の基部65とヘッドカバー39の主支持部39gとが密着することなく、その隙間S4が開くようにされている。そして、基部65の外周には、僅かに外方に突出する突起50が設けられ、この突起50を挟んで、上下にそれぞれ上向き段部50bと下向き段部50aが形成されている。
また、ヘッドケース37の先端部61と基部65との間の箇所には、この先端部61の外周を包囲するように、溝部73が形成されている。さらに、図10において、ヘッドケース37の基部65の上面と、ヘッドケース37の上に取り付けられる回路基板35との間には、支持部74を設けることで、隙間75が形成されている。
本実施例は以上のように構成されており、次に、ヘッドカバー39を中心として、その特徴的な作用を説明する。この記録装置100では、記録ヘッド30の先端部であるヘッドケース37とヘッドカバー39の箇所では、上述したクリーニング動作により、図9の矢印A5の左右いずれかの方向に払拭手段107が相対的に移動される。このクリーニング動作後において、払拭されたインクの一部は、ヘッドカバー39の第1の開口部71から内側に入り込んで、図10の空間S2内に貯留される。
空間S2に入り込んだインクは、ヘッドケース37の先端部61の側面61aと、ヘッドカバー39との間の空間が狭いと、毛細管現象により、この隙間S3内を図10の矢印A6の方向に沿って進もうとする。このようなインクの進行方向、つまり、主支持部39gの方向には、他の部品、例えば、回路基板35等が存在するので、好ましくない。そこで、この実施例では、先ず、図10で示したように、主保護壁部39bが、上方にいくに従って拡幅している。つまり、テーパ状に開くことで、隙間S3が大きくなる。このため、ある程度隙間S3が大きくなったところで、毛細管現象が働かなくなり、矢印A6の方向にインクが移動しにくくされている。
ここで、このテーパ状の拡幅部の開き角度θが、7度ないし10度に設定されていることが好ましい。ヘッドカバー39の主保護壁部39bのテーパ状の拡幅部の開き角度θが、7度未満の場合には、ヘッドカバー39とヘッドケース37との間に浸入するインク等の液体に毛細管力が働くという欠点がある。また、ヘッドカバー39の上記テーパ状の拡幅部の開き角度が、10度を超える場合には、ヘッドの大型化をまねくという欠点がある。ヘッドカバー39の上記テーパ状の拡幅部の開き角度が、7度ないし10度にある場合には、ヘッドの大型化をまねくことなく、ヘッドカバー39とヘッドケース37との間に浸入するインク等の液体に毛細管力が働かないようにすることができるという利点がある。さらに、主保護壁部39bには、第2の開口部72が設けられていることから、ヘッドケース37の先端部61の側面61aと、ヘッドカバー39との間の空間としての隙間S3を形成する面積を第2の開口部72によって減少させ、その分、液体を保持する間隔が存在する箇所を少なくしているので、この点においても、矢印A6の方向にインクが移動しにくくされている。
しかしながら、それでも、インクがヘッドケース37の基部65付近まで達した場合には、溝部73により貯留される。このため、その貯留限度を越えない限り、図10の水平方向に沿って、基部65と主支持部39gとの間の隙間S4をインクが進むことが防止される。また、この実施例では、基部65の凸部48が、基部65と主支持部39gとの間の隙間S4を大きくするスペーサの役割を果たすことから、隙間S4が大きくされる。このため、毛細管現象が働かなくなり、矢印A7の方向にインクが移動しにくくされている。
さらに、基部65の外周付近まで到達したインクがあった場合には、突起50下側の下向き段部50aに貯留され、貯留限度を越えたインクが矢印A8方向に回り込んだ場合には、上向き段部50bに貯留される。上向き段部50bの貯留限度を越えたインクが矢印A9の方向に移動した場合には、隙間75により、支持部74と回路基板35との間で、毛細管力の発生を防止し、電気的接続部へのインクの浸入を防止するようになっている。
このように、本実施例では、全体として、ヘッドカバー39とヘッドケース37との間で、毛細管現象が働きやすい隙間を無くすことで、このような隙間へのインクの入り込みと、保持をなくし、多量のインクがこのような隙間に広い面積にわたって貯留されることを防止して、回路基板35等へのインクの侵入を防止することができる。特に、ヘッドカバー39のカバー板39aから主支持部39gにいたる範囲において、多くのインクが貯留されることを防ぎ、プリンタを輸送する等の際に記録ヘッド30の姿勢をかえたとき等に、多量に貯留されたインクが、回路基板35等の他の部品に侵入して、電気的短絡を生じたり、機能を阻害する恐れを有効に回避することができる。
上記副保護壁部39cの上記ノズル形成面41b側の端縁39eが、ノズル形成面41bから突出しない位置に存在させてあるから、払拭手段107を主走査方向に動作させたときに、ノズル形成面41bのノズル列方向の全幅にわたって完全に払拭することができる。特に、ノズル列はノズル形成面41bの端部の間際までできるだけ長く形成して、広い範囲に短時間で印刷等を行うことが重要視されているので、払拭機能もそれに適応させることが必要である。本発明は、上記の要請を的確に満足させることができる。
上記端縁39eを、上記金属板の切断面とすることにより、ヘッドカバー39をプレス成形するときに、プレス金型に切断刃構造を準備するだけで、上記切断面を簡単に形成することができる。さらに、切断面状態の端縁39eであるから、副保護壁部39cの配置に要する占有空間が少なくなり、副保護壁部39cがスリムな状態で配置できる。
本発明においては、上記のような液体すなわちインクの異常な流動に対処するものであるが、その構造に起因して、ヘッドカバー39の取り付け時にヘッドカバー39に異常変形が生じないようにする必要がある。
ヘッドカバー39の取り付けは、上述のように、各主支持部39gにそれぞれ設けられた2つのボルト孔39h,39hと、副支持部39iに設けられたボルト孔39jにボルト44,45を貫通させて基部65にねじ込んで取り付けがなされている。
図11に示すように、各主支持部39gに設けたボルト孔39h,39hの箇所をボルト44で時計方向回り(右ねじ)に締め付けると、ボルト44の締め付けトルクにより、(A)の左側に図示されている主支持部39gは、矢印線55の方向の回転力を受けるので、それに連なる主保護壁部39bは側面61aに接近する方向の力を受けることになる。このような力が主保護壁部39bに作用すると、(B)に示すように、主保護壁部39bが側面61aに押し付けられるような変形をするので、それにともなってカバー板39aの自由端側がノズル形成面41bから浮上した状態になる。この浮上によってできた隙間は符号60によって示されている。
上記のような隙間60が存在すると、クリーニング後のワイピング時にインクの拭取り性が悪くなったり、上記隙間60に大量のインクが残ってそれが上記隙間S3の方へ流動したり、あるいは払拭手段107の払拭ゴム等を損傷したりする。
他方、(A)の右側に図示されている主支持部39gは、矢印線55の方向の回転力を受けるので、主保護壁部39bは側面61aから遠ざかる方向の力を受けることになる。このような力が主保護壁部39bに作用すると、カバー板39aの自由端側は、むしろノズル形成面41bに押し付けられる傾向となり、上記のような隙間60は発生しない。上記の場合とは逆にボルト44を反時計方向回り(左ねじ)に締め付けるようにした場合には、主保護壁部39bに作用する力の向きが左右逆転することになる。なお、(C)は、ボルト44の締め付け前の状態を示している。
上記のようなインクの拭取り性,インク流動,払拭ゴム等の損傷の問題を解消するために、ボルト44の締め付け時に主保護壁部39bに発生しようとする変形を、強制的に抑止するようにしている。図13および図14に示すように、主保護壁部39bの内面とヘッドケース37の側面61aとの間に、独立した部材である規制部材63が配置されている。この規制部材63は、細長形状の板材製とされ軽合金または合成樹脂で作られている。規制部材63の板材の厚さは、主保護壁部39bの内面と側面61aとの間の間隔寸法と同じかまたはそれよりもわずかに大きな寸法とされている。
図15は、上記カバー板39aの屈曲形状を示す断面図である。カバー板39aは、主保護壁部39bのノズル形成面41bに近い箇所を屈曲させて形成してあり、平板状とされている。この屈曲の箇所すなわち屈曲部39kの折れ線は主走査方向に直交する直線状となっている。そして、上記屈曲部39kにおいては、カバー板39aと主保護壁部39bとのなす角度θ1が90度未満すなわち鋭角とされている。上記屈曲部39kは、図15(A),(B)に示すように、(A)のボルト44の締め付け前および(B)の締め付け後のいずれにおいても、ノズル形成面41bから突出した箇所に存在させてある。このようにボルト44の締め付け前後において、屈曲部39kがノズル形成面41bから突出したレベルの位置に存在するのは、カバー板39aが平板状とされているからである。
上記のような屈曲部39kの配置箇所や角度θ1の設定により、カバー板39aの自由端縁部39lはノズル形成面41bに接触し、それ以外の箇所であるカバー板39aとノズル形成面41bとの間には空隙41cが形成されている。この空隙41cの空間形状は楔型となっている。また、カバー板39aの自由端縁部39lは、図15の紙面に対して垂直方向に延びる直線状であり(図8−2(B)参照)、そのために自由端縁部39lはノズル形成面41bに対して線接触をなしている。図15(C)は、この線接触の状態を断面図で示している。
なお、主保護壁部39bのノズル形成面41b側に近い箇所にヘッドケース37の側面61aに面接触が可能とされたガイド面部39mが形成されている。このガイド面部39mを設けることにより、ボルト44を締め付けて主保護壁部39bが移動するときに、ガイド面部39mがヘッドケース37の先端部61の側面61a上を摺動するので、ヘッドカバー39全体が正しい位置に位置決めされる。上記ガイド面部39mは、図10に示されている位置決め部46(L1)と同じ機能を果たしている。それ以外は、上記実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
図15(A)は、ボルト44が締め付けられる前の状態であり、このときには主保護壁部39bと規制部材63との間には隙間が存在し、また、自由端縁部39lは小さな接触圧力でノズル形成面41bに接触している。この状態からボルト44を締め付けて行くと、ガイド面部39mが側面61aを摺動しながら移動し、同図(B)に示すように、主支持部39gがボス48に密着し締め付けが完了する。締め付け過渡期には、ボルト44の締め付けトルクにより主支持部39gや主保護壁部39bが側面61a側へ変位しようとするのであるが、規制部材63によってこの変位が抑制されて、前述のようなカバー板39aの先端部の浮上が防止されている。
このような規制部材63によるカバー板39aの浮上防止が図られているのと同時に、ボルト44の締め付けに伴う主支持部39gの変位で、ノズル形成面41bに対する自由端縁部39lの接触圧力が増大する。主支持部39gが上記のように変位するときには、屈曲部39kが弾性的に変形する。すなわち、角度θ1が大きくなるような弾性変形をするので、その弾性変形反力が上記接触圧力に加算されることになる。換言すると、角度θ1とされた屈曲部39kは、一種の折り曲げ型スプリングのような機能を果たすもので、角度θ1が大きくなるような力が作用すると、自由端縁部39lのノズル形成面41bを抑え付ける力が増大する。したがって、上記スプリング動作により、カバー板39aは自由端縁部39lを支点として弾性的に変形しうるよう形成されている。それ以外は、上記実施例と同様のインクの異常な流動等に関する作用効果を奏する。
また、図16に示した例は、平板状のカバー板39aの自由端縁部39lをノズル形成面41bの方に向って変形させる変形部39nを設けたものである。この変形部39nの具体的な構造としては、円弧型の変形形状を採用したり、折り曲げ型の変形形状を採用したりすることができる。この例では、後者の折り曲げ型であり、自由端縁部39lの近傍のカバー板39aに折り曲げ部39oを形成したものである。この折り曲げ部39oによって現われる折れ線は、主走査方向に直交する直線状態となっている。この例においては、カバー板39aと主保護壁部39bとのなす角度θ2が、図16(A)に示すボルト44の締め付け前の状態では略直角である。そして、ボルト44が締め付けられると、角度θ2は鈍角となる。さらに、折り曲げ部39oが設けてあるので、空隙41cは図15の例よりも大きくなり、また、空隙の間隙寸法は(A)の左右方向において略一定となっている。それ以外は、上記各実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
ボルト44が締め込まれると、屈曲部39kの位置がノズル形成面41b(規制部材63)の方へ移動し空隙41cの間隔は屈曲部39kの側が小さくなる。それ以外は、上記各実施例と同様の作用効果を奏する。
上記実施例2の作用効果を列記すると、次のとおりである。
上記主保護壁部39bを屈曲した状態で形成した上記カバー板39aの自由端縁部39lを支点として、当該自由端縁部39lがノズル形成面41bに対して弾性的に接触している。したがって、カバー板39aの先端部すなわち自由端縁部39lがノズル形成面41bから浮上することなく隙間のない状態で接触する。このため、払拭手段8によるワイピング動作の際に、かき寄せられたインクがカバー板39aとノズル形成面41bとの間に浸入することがなく、インクがカバー板39aとノズル形成面41bとの間を毛細管現象等で通過して、記録ヘッド30の各部、例えば、記録ヘッド30の回路基板35等の電気的構成部品へのインク到達が発生しない。上記のような好ましい動作は、特に、カバー板39aの自由端縁部39lがノズル形成面41bに確実に接触していることによってなされている。そして、主保護壁部39bがヘッドケース37の側面61aから所定の間隔分だけ離れているので、このような箇所における毛細管現象の発生を防止して、インクの移動を抑制することができる。
上記ヘッドカバー39には、主保護壁部39bを屈曲させてノズル形成面41bと略平行な状態で配置した主支持部39gが形成され、上記主支持部39gにヘッドカバー固定用のボルト孔39hが設けられ、上記ヘッドカバー39は、上記ボルト孔39hを貫通したボルト44の締め付けによる主支持部39gの変位に伴って、ノズル形成面41bに対する上記自由端縁部39lの接触圧力が大きくなる。ボルト44が締め込まれると、上記主支持部39gの変位は主保護壁部39bから主保護壁部39bの屈曲部39kを介して自由端縁部39lに伝えられる。したがって、上記ボルト44の締め込みにともなってノズル形成面41bに対する自由端縁部39lの接触圧力が増大するので、上記のように、かき寄せられたインクがカバー板39aとノズル形成面41bとの間に浸入することがない。また、ヘッドカバー39の取り付けと同時に自由端縁部39lの接触が上記のようにして確保されるので、ボルト付けの機能が複数化されて、構造簡素化等において好適である。
上記ヘッドカバー39は、金属板をプレス成形したものであるから、弾性的変形が得られる金属板の屈曲成形等によって、カバー板39aの自由端縁部39lに弾性的な動作を付与することが行いやすくなる。
上記カバー板39aが、該カバー板39aの自由端縁部39lがノズル形成面41bに接触した状態でノズル形成面41bとの間に空隙41cが形成される屈曲形状によって形成されている。これにより、上記のような空隙41cが形成され、上記ボルト44を締めこむと、カバー板39aの自由端縁部39lとは反対側の部位すなわち屈曲部39kが変位して、上記自由端縁部39lがノズル形成面41bに接触したまま上記空隙41cの間隔が小さくなる。したがって、常に上記空隙41cが維持されており、これによって自由端縁部39lとノズル形成面41bとの接触関係が確保される。
上記カバー板39aが平板状であるから、ノズル形成面41bとカバー板39aとの連続性が滑らかになり、ワイピング動作の際にワイパー部材がスムーズに払拭移動をして良好なインク払拭が得られる。
上記カバー板39aが該カバー板39aの自由端縁部39lをノズル形成面41bの方に向って変形させた変形部39nすなわち折り曲げ部39oを有していることから、自由端縁部39l近傍のカバー板39aがノズル形成面41bから比較的急角度で変形した状態になり、カバー板39aとノズル形成面41bとの間の空隙41cの間隔を大きく確保することができる。このような状態で上記ボルト44を締め込むと、カバー板39aの自由端縁部39lとは反対側の部位すなわち屈曲部39kが大きく変位しても、上記自由端縁部39lがノズル形成面41bに接触したまま上記空隙41cは確実に維持される。したがって、常に上記空隙41cが維持されており、これによって自由端縁部39lとノズル形成面41bとの接触関係が確保される。
上記主保護壁部39bに連接され主保護壁部39bと略直交する方向に延びてヘッドケース37の側面61aを覆う副保護壁部39cが設けられ、上記ボルト孔39hを貫通したボルト44の締め付けトルクにより上記主支持部39gを介してヘッドケース37の側面61aに接近する方向の力を受ける上記主保護壁部39bと、ヘッドケース37の側面61aとの間に、主保護壁部39bの変形を防止する規制部材63が配置されている。このため、上記ボルト44の締め付けトルクが、上記主支持部39gを経由してヘッドケース37の側面に接近する方向の力として主保護壁部39bに作用しても、主保護壁部39bの内面とヘッドケース37の側面61aとの間には規制部材63が配置されているので、主保護壁部39bが変形しようとしても規制部材63が強制的に上記変形を抑止する機能を果たす。したがって、主保護壁部39bが上記側面61a側に向って変形することがなく、それにともなってノズル形成面41bに対する自由端縁部39lの接触状態を、より一層確実に得ることができる。すなわち、カバー板39a自体の屈曲部39kの形状による上述の作用に加えて規制部材63の効果が得られる。
上記規制部材63と上記ヘッドケース37の側面61aおよび/または主保護壁部39bとの間に、インクを保持しうる空隙が形成されていることにより、万一、カバー板39aとノズル形成面41bとの間にインクが浸入しても、上記空隙において毛細管現象によってインクが保持され、さらに記録ヘッド30の他の部位へインクが移動することを防止できる。さらに、カバー板39aの自由端縁部39lがノズル形成面41bに接触しカバー板39aとノズル形成面41bとの間に空隙41cが維持されているので、上記規制部材63の寸法に誤差があっても上記空隙41cで吸収される。したがって、規制部材63の精度管理が緩和される。また、ボルト締めによるトルクで主保護壁部39bに異常な変形量が発生する場合には、この規制部材63によって変形が抑制され、自由端縁部39lとノズル形成面41bとの接触が確保できる。
上記ヘッドカバー固定用のボルト孔39hが、上記主走査方向のノズル形成面41bの中心線O1−O1からいずれかの側にオフセット(L)した位置の上記主支持部39gに設けられている。このため、上記オフセットLにより、上記主支持部39gを経由してヘッドケース37の側面61aに作用する上記接近方向の力が主保護壁部39bの広範囲に作用し主保護壁部39bを変形させようとする。しかし、上記のように、カバー板39aとノズル形成面41bとの間の空隙41cによって、主保護壁部39bの変形を吸収するので、自由端縁部39lとノズル形成面41bとの接触関係は確実に維持される。また、上記規制部材63が強制的に上記変形を抑止する機能を果たして、正常な上記接触関係が確保される。
上記規制部材63が、独立した部材であることから、上記主保護壁部39bの内面とヘッドケース37の側面61aとの間の間隔に適合させて、種々な厚さの規制部材63を用意しておき、個々の記録ヘッド30に最適の規制部材63を機能させることができ、組み立て精度の向上ができる。
上記カバー固定用の第1の両ボルト孔39h,39hが上記中心線O1−O1からオフセット(L)している側とは反対側に配置されている上記副保護壁部39cを屈曲させてノズル形成面41bと略平行な状態で配置した副支持部39iが形成され、上記副支持部39iにカバー固定用の第2のボルト孔39jが設けられている。これにより、ヘッドケース37に対するヘッドカバー39の固定点は、上記のように中心線O1−O1からオフセット(L)した側に配置されている2つのボルト孔39h,39hの箇所と、上記中心線O1−O1からオフセット(L)している側とは反対側に配置されている副支持部39iのボルト孔39jの箇所との3点となる。したがって、ヘッドカバー39は3点支持による安定した固定がなされる。
上記第1の両ボルト孔39h,39hは上記中心線O1−O1に直交するノズル形成面41bの中心線O2−O2に対称に配置され、上記対称の対称軸O2−O2上に上記副支持部39iに設けたカバー固定用の第2のボルト孔39jが配置されている。これにより、上記対称軸O2−O2上に副支持部39iのボルト孔39jが配置され、主支持部39gの両ボルト孔39h,39hと副支持部39iのボルト孔39jとの各ボルト孔は、正三角形に近い二等辺三角形をなす位置に配置されている。このため、ヘッドカバー39に対する固定点が偏ることなく安定した固定がなされる。したがって、上述の副保護壁部39cが1枚板になった場合でも、それによる剛性低下を上記固定点の配置によって補完することができる。
図17および図18に示す実施例は、主保護壁部39bの一部を変形させて規制部材63を形成したもので、第2の開口部72の下縁に突出板63aを設け、それを側面61a側に屈曲させたものである。それ以外は、上記各実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
上記構成により、突出板63aの先端部が側面61aに突き当たって、主保護壁部39bの変形を防止している。上記規制部材63が、主保護壁部39bの一部を変形させたものであるため、ヘッドカバー39に一体化された状態で規制部材63が配置されるので、部品点数を増加することなく、簡素化された構造で規制部材63の機能を果たすことができる。また、主保護壁部39bの一部を変形させるものであるから、規制部材63の形状が金属板のプレス成形によって設定できるので、規制部材63の形状を主保護壁部39bの配置状態に応じて、最適化することができる。
上記規制部材63が、単なる屈曲という曲げ加工だけで規制部材63が配置でき、構造簡素化の面で有効である。また、屈曲角度を変更することにより、主保護壁部39bの内面と上記側面61aの間の間隔に応じた規制部材63の有効間隔が簡単に調整できる。それ以外は、上記各実施例と同様の作用効果を奏する。
図19は、規制部材63の各種変形例を示す断面図である。
同図(A)は、図13および図14に示した実施例の断面図である。また、(B)は、図17および図18に示した実施例の断面図である。
同図(C)は、主保護壁部39bの内面と規制部材63の当たり状態を面当りにするために、当り面63bを規制部材63に設けたものである。このような当り面63bを活用するので、主保護壁部39bの移動を確実に拘束できる。
同図(D)は、ヘッドケース37すなわち側面61aの一部に規制部材63を一体成形したもので、部品点数の削減が可能となる。また、(E)は、主保護壁部39bの内面に規制部材63を接着した場合である。この場合には、規制部材63が合成樹脂で製作されており、ヘッドカバー39をヘッドケース37に組み付けることにより、規制部材63の位置決めができる。
上記規制部材63が、上記ヘッドケース37の側面61aの一部に一体的に成形されたものであることから、ヘッドケース37が合成樹脂等で成形される際に、規制部材63が同時に一体成形され、規制部材63の形成が簡単に行え、また、部品点数の削減にも有効である。
図20に示した実施例では、規制部材63にインクの保持手段が設けられている。略直方体の形状の規制部材63の片面63cに、インクを毛細管現象で保持することのできる微細な収容溝63dが多数設けられ、上記片面63cがヘッドケース37の側面61aに密着している。したがって、流動してきたインクはこの収容溝63dに毛細管現象で保持される。同図(B)は、発泡材や不織布のような吸収部材63eを、規制部材63の片面63cにはめ込み、案内溝63fを経てインクを吸収部材63eに吸収させるものである。
また(C)および(D)に示す場合は、上記突出板63aを延長して密着部63gを形成し、この密着部63gの表面に収容溝63dを形成したものである。流動してきたインクは、この収容溝63dに毛細管現象で保持される。
なお、上記収容溝63dは直線的に形成してあるが、これを屈曲溝としたり、この屈曲溝と吸収部材63eを組み合わせても良い。
上記規制部材63にインクの保持手段が設けられているので、ノズル形成面41bからリークしたインクが上記側面61aを伝って規制部材63に到達しても、規制部材63のインク保持手段で保持されるので、インクが規制部材63からさらに他の箇所へ流動することが防止される。このように、規制部材63に主保護壁部39bの変形抑止機能とインクの保持機能を付与することにより、単一部材を多機能化することができる。
上記保持手段が、規制部材63に設けた微細な空間であることから、インクが微細な空間において毛細管現象で保持されるので、液体保持が確実になされる。
上記保持手段が、規制部材63に取り付けられたインクの吸収部材63eであることから、上記吸収部材63eの吸収容量を大きく設定することにより、流動してきたインクが多くても確実に保持することができる。
図21は、製造しやすい規制部材63を使用している場合の斜視図である。すなわち、主保護壁部39bの内面とヘッドケース37の側面61aとの間に、規制部材63としての治具70を配置した状態で上記ボルト44を締め付け、該ボルト44の締め付け完了後に上記治具70を抜き取る。この抜き取りを容易にするために、フック部70aが設けられ、これを抜き取り工具(図示していない)で掴んで抜き取るようになっている。
したがって、規制部材63としての治具70を用いるものなので、規制部材63を多数用意する必要がなく、しかも、簡単な作業でカバー板39aの浮上を防止できる。
上記各実施例においては、自由端縁部39lがノズル形成面41bに接触していること、カバー板39aとノズル形成面41bと間に空隙41cが存在していることに対して規制部材63を併用している。しかし、図22および図23は、規制部材63を使用しない例である。この場合、ボルト44の締め付けによって主保護壁部39bがある程度変形しても、その変形が上記空隙41cによって吸収される。したがって、主保護壁部39bの変形が少ない場合には、規制部材63を使用しないようにして部品点数を削減し、ヘッドカバー39の組み付け作業の簡素化を図ることができる。
上記各実施例は、インクジェット式記録装置を対象にしたものであるが、本発明によってえられた液体噴射装置は、インクジェット式記録装置用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。さらに、上記実施例では、液体の一つであるインクを用いたインクジェット式記録ヘッドについて説明したが、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド,液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド,有機ELディスプレー,FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド,バイオチップ製造に用いられる生体有機噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッド全般に適用することも可能である。
インクジェット式記録装置の全体構造の一例を示す概略構成図である。 記録ヘッド全体を示す斜視図である。 記録ヘッドの分解斜視図である。 記録ヘッドの一部を示す断面図である。 流路ユニットの一部を拡大した断面図である。 ヘッドカバーの概略斜視図である。 ヘッドカバーの概略斜視図である。 ヘッドカバーとそれが取り付けられた状態を示す概略斜視図である。 ヘッドカバーとそれが取り付けられた状態を示す概略斜視図である。 ヘッドカバーをヘッドケースに取り付けた様子を示す概略断面図である。 図9の一部を拡大して示す断面図である。 ヘッドカバーの平面図とその変形状態を示す断面図である。 ヘッドカバーの平面図と払拭状況等を示す断面図である。 ヘッドカバーが取り付けられた状態を全体的に示す斜視図である。 図13のものの側面図である。 カバー板の屈曲形状を示す断面図である。 他のカバー板の屈曲形状を示す断面図である。 ヘッドカバーが取り付けられた状態を全体的に示す斜視図である。 図17のものの側面図である。 各種の規制部材の配置部分を示す断面図である。 インクの保持手段を示す斜視図と断面図である。 ヘッドカバーが取り付けられた状態を全体的に示す斜視図である。 カバー板の屈曲形状を示す断面図である。 他のカバー板の屈曲形状を示す断面図である。 従来の記録ヘッドの断面図である。 図24のC部分の拡大断面図である。
符号の説明
1 記録ヘッド,2 ヘッドケース,3 流路ユニット,3a ノズル開口,4 振動子ユニット,4a 固定板,4b 振動子,4c テープキャリア,5 ヘッドカバー,5a 開口部,5b 保護壁部,5c 支持部,6 先端部,7 基部,8 払拭手段,H1 収容部,B 回路基板,S1 空間,G1 隙間,30 記録ヘッド,31 カートリッジ基台,32 インク供給針,33 フィルタ,34 シート部材,34a インク供給用貫通孔,35 回路基板,36 振動子ユニット,37 ヘッドケース,37a 収納部,38 流路ユニット,39 ヘッドカバー,39a カバー板,39b 主保護壁部,39c 副保護壁部,39e 端縁,39f 傾斜面,39g 主支持部,39h ボルト孔,第1のボルト孔,39i 副支持部,39j ボルト孔,第2のボルト孔,39k 屈曲部,39l 自由端縁部,39m ガイド面部,39n 変形部,39o 折り曲げ部,θ1 カバー板と主保護壁部とのなす角度,θ2 カバー板と主保護壁部とのなす角度,40 辺,41 ノズルプレート,41a ノズル開口,41b ノズル形成面,41c 空隙,42 流路形成基板,43 弾性板,43a 弾性フィルム,43b 支持板,44 ボルト,45 ボルト,46 位置決め部,47 段部,48 ボス,突起,凸部,49 ワッシャ,50 突起,50a 下向き段部,50b 上向き段部,55 矢印線,60 隙間,61 先端部,61a 側面,62 端面,63 規制部材,63a 突出板,63b 当り面,63c 片面,63d 収容溝,63e 吸収部材,63f 案内溝,63g 密着部,64 振動子,65 基部,65a 固定板,66 インク貯留室,67 インク供給口,68 圧力発生室,69 アイランド部,70 治具,70a フック部,71 第1の開口部,72 第2の開口部,73 溝部,74 支持部,75 隙間,S2 空間,S3 隙間,S4 隙間,L オフセット量,L1 距離,H 高低差,T 板厚,θ テーパ角度,100 インクジェット式記録装置,101 キャリッジ,102 インクカートリッジ,103 ガイド手段,104 キャリッジ移動手段,タイミングベルト,105 駆動手段,106 プラテン,107 払拭手段,108 ポンプユニット,109 被覆部材,110 清掃手段,P 媒体

Claims (20)

  1. ヘッドケースに接合された流路ユニットが、ノズル形成面にノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通し圧力発生手段により液体を加圧する圧力発生室と、上記圧力発生室に供給される液体を貯留する液体貯留室とを含んで構成され、
    上記ノズル形成面を保護するヘッドカバーが上記ヘッドケースに取り付けられ、
    上記ヘッドカバーには、
    ヘッドケースの側面との間に所要の隙間を存在させた状態で上記側面を覆う主保護壁部が形成され、
    上記ノズル形成面の主走査方向で見た両端部において、上記主走査方向に直交する方向に延びてノズル形成面の各端部表面を覆う細長形状のカバー板が、上記主保護壁部を屈曲した状態で形成され、
    上記カバー板は、ノズル形成面に接触しているカバー板の自由端縁部を支点として弾性的に変形しうるよう形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 上記ヘッドカバーには、主保護壁部を屈曲させてノズル形成面と略平行な状態で配置した主支持部が形成され、上記主支持部にヘッドカバー固定用のボルト孔が設けられ、上記ヘッドカバーは、上記ボルト孔を貫通したボルトの締め付けによる上記主支持部の変位に伴って、ノズル形成面に対する上記自由端縁部の接触圧力が大きくなるものである請求項2記載の液体噴射ヘッド。
  3. 上記ヘッドカバーは、金属板をプレス成形したものである請求項1または2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 上記カバー板は、該カバー板の自由端縁部がノズル形成面に接触した状態でノズル形成面との間に空隙が形成される屈曲形状によって形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 上記カバー板は平板状である請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 上記カバー板は該カバー板の自由端縁部をノズル形成面の方に向って変形させた変形部を有している請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  7. 上記主保護壁部に連接され主保護壁部と略直交する方向に延びてヘッドケースの側面を覆う副保護壁部が設けられ、上記ボルト孔を貫通したボルトの締め付けトルクにより上記主支持部を介してヘッドケースの側面に接近する方向の力を受ける上記主保護壁部と、ヘッドケースの側面との間に、主保護壁部の変形を防止する規制部材が配置されている請求項2〜6のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  8. 上記規制部材と上記ヘッドケースの側面および/または主保護壁部との間に、液体を保持しうる空隙が形成されている請求項7記載の液体噴射ヘッド。
  9. 上記ヘッドカバー固定用のボルト孔は、上記主走査方向のノズル形成面の中心線からいずれかの側にオフセットした位置の上記主支持部に設けられている請求項2〜8のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  10. 上記規制部材は、独立した部材である請求項7〜9のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  11. 上記規制部材は、主保護壁部の一部を変形させたものである請求項7〜9のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  12. 上記規制部材は、主保護壁部の一部を屈曲させたものである請求項11記載の液体噴射ヘッド。
  13. 上記規制部材は、上記ヘッドケースの側面の一部に一体的に成形されたものである請求項7〜9のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  14. 上記副保護壁部の上記ノズル形成面側の端縁は、ノズル形成面から突出しない位置に存在させてある請求項7〜13のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  15. 上記端縁は、上記金属板の切断面である請求項14記載の液体噴射ヘッド。
  16. 上記カバー固定用の第1の両ボルト孔が上記中心線からオフセットしている側とは反対側に配置されている上記副保護壁部を屈曲させてノズル形成面と略平行な状態で配置した副支持部が形成され、上記副支持部にカバー固定用の第2のボルト孔が設けられている請求項9〜15のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  17. 上記第1の両ボルト孔は上記中心線に直交するノズル形成面の中心線に対称に配置され、上記対称の対称軸上に上記副支持部に設けたカバー固定用の第2のボルト孔が配置されている請求項16記載の液体噴射ヘッド。
  18. 上記規制部材に液体の保持手段が設けられている請求項7〜17のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  19. 上記保持手段は、規制部材に設けた微細な空間である請求項18記載の液体噴射ヘッド。
  20. 上記保持手段は、規制部材に取り付けられた液体の吸収部材である請求項18または19記載の液体噴射ヘッド。
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JP2012183764A (ja) * 2011-03-07 2012-09-27 Ricoh Co Ltd 液体吐出ヘッド及び画像形成装置

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