JP2005245442A - マシュマロ、マシュマロ入り飲料及びマシュマロ入り冷菓 - Google Patents

マシュマロ、マシュマロ入り飲料及びマシュマロ入り冷菓 Download PDF

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Abstract

【課題】
飲料の上に乗せて溶解させて食するのに適した溶解性を有する水易溶性のマシュマロを提供する。
【解決手段】
本発明のマシュマロは、水分活性が0.70Aw以上である。さらに、本発明のマシュマロは、平面視が略円形の外形を有する円盤状であり、円盤の端面の縦断面形状が曲面である。本発明のマシュマロは温かいコーヒー表面で溶解して均一な厚さの層を形成し、食感のなめらかなマシュマロコーヒーを提供することができる。本発明のマシュマロは、アイスクリームに混ぜても食感がよく美味である。
【選択図】 図2

Description

本発明はマシュマロに関し、さらに詳細には、飲料の上に浮かべて溶解させて食するのに適した溶解性を有する水易溶性のマシュマロに関する。また本発明は、当該マシュマロを含んだ飲料に関する。さらに本発明は、当該マシュマロを混合してなる冷菓に関する。
マシュマロは古くから知られた西洋菓子の一つである。マシュマロは、ゼラチン等を主成分とし、糖類、コーンスターチ、香料等を加えて混合して泡立てたものを成形し、固化させた泡入りの菓子である。マシュマロは、そのまま単品で食するのが最も代表的な食べ方であるが、その淡白な味と微妙な食感が日本人の嗜好と合いにくいせいか、その需要は減少傾向にある。一方で、マシュマロを他の食品と組み合わせて食する提案がなされている。例えば、温かいコーヒーの上にマシュマロを浮かべて食する「マシュマロコーヒー」なる食し方が提案されており、すでにいくつかの店舗で消費者に提供されている。このマシュマロコーヒーは、ホイップクリームを乗せるウインナコーヒーとよく似たマイルドな口当たりを有し、マシュマロの新しい食べ方としてその需要が期待できるものである。マシュマロコーヒーに関する技術については、例えば、下記の特許文献1にはインスタントコーヒー等の固形飲料とマシュマロとからなる飲料が記載されている。
特開平7−303452号公報
しかし、従来のマシュマロを用いたマシュマロコーヒーは、コーヒーの上にマシュマロを2、3個乗せて作られるが、この際、マシュマロは浮いたままでなかなかコーヒーに溶解しない。従来のマシュマロの多くは図4(a)に示すように、その形状が直径及び高さが共に数センチ程度の短円柱状であり、この大きさと形状が溶解を阻害する要因とも考えられる。しかし、従来のマシュマロを小さくちぎってからコーヒーに入れても、溶解途中に不均一な塊が生じて溶解が阻害される。よって、従来のマシュマロが溶解しにくいのは、マシュマロ自体の性質に大きな原因があると考えられる。上記の特許文献1には、5mm角に切ったマシュマロを使用した例が記載されているが、マシュマロ自体の組成に関しては何ら記載されておらず、マシュマロの溶解性に関する記載もない。もし、コーヒー等に溶解しやすいマシュマロを提供できれば、より調製が容易で、より口当たりがよくクリーミーなマシュマロコーヒーを提供することができる。
また、マシュマロをアイスクリーム等の冷菓に混合したマシュマロ入り冷菓がすでに提案されている。しかし、冷菓に混合したマシュマロは、その低い温度のために固くなることが多く、冷菓に混合しても食感が損なわれないマシュマロが求められている。
本発明の目的は、飲料の上に浮かべて溶解させて食するのに適した溶解性を有する水易溶性のマシュマロを提供すること、及び冷菓に混合しても食感が損なわれないマシュマロを提供することにある。
本発明者らは、上記した課題を解決すべく鋭意研究した結果、マシュマロの水分活性が溶解性の重要なパラメータであることを見出した。すなわち、従来のマシュマロよりも高い水分活性を有するマシュマロが溶解性に優れることを見出した。さらに、そのような溶解に適した水分活性を有するマシュマロを製造する方法を確立し、水易溶性マシュマロを提供することに成功した。さらに、当該マシュマロは冷菓に混合した状態でも食感がよく、美味であることを見出した。本発明の要旨は以下のとおりである。
請求項1に記載の発明は、水分活性が0.70Aw以上であることを特徴とするマシュマロである。
本発明のマシュマロは、従来のマシュマロに比べて高い水分活性を有している。すなわち、従来のマシュマロの水分活性は0.67Aw以下であり、これは溶解性が悪い。一方、本発明のマシュマロは水分活性が0.70Aw以上であり、その結果、溶解性にきわめて優れている。本発明のマシュマロはコーヒー等の飲料の上で容易に溶解するので、飲料の上に乗せて溶解させて食するのに適している。
また請求項2に記載の発明は、前記水分活性が0.75Aw以下であることを特徴とする請求項1に記載のマシュマロである。
本発明のマシュマロにおいては、溶解性に優れる上に、水分活性が0.75Aw以下であるのでカビの繁殖が抑えられる。したがって、本発明のマシュマロは保存性がよいので、流通において有利である。
また請求項3に記載の発明は、少なくとも糖類又はゼラチンを含有し、固化前の密度が400〜440g/Lであり、充填機によって型に流し込み、固化させて製造することを特徴とするマシュマロである。
本発明のマシュマロにおいては、固化前の密度が400〜440g/Lであり、固化後に溶解に適した水分活性を得ることができる。さらに、本発明においては、充填機によって型に流し込むので、密度が400〜440g/Lという水が多い状態であっても無理なく流し込むことができ、製造が容易である。
さらに本発明のマシュマロは、必然的に水分活性が高いものとなり、溶解性に優れる。そのためコーヒー等の飲料の上で容易に溶解するので、飲料の上に乗せて溶解させて食するのに適している。
また請求項4に記載の発明は、平面視が略円形の外形を有する円盤状であり、円盤の端面の縦断面形状が曲面であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマシュマロである。
請求項5に記載の発明は、平面視が略円形の外形を有する円盤状であり、端面部の厚さが漸減していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマシュマロである。
請求項6に記載の発明は、円盤形状の中央部の厚さが外周部の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のマシュマロである。
前記した請求項4,5,6に記載のマシュマロは、従来のマシュマロとは形状が異なり、略円形の外形を有する円盤状である。さらにその円盤の端面が曲面であったり、端面部の厚さが漸減していたり、中央部の厚さが外周部の厚さよりも厚いといった特殊な形状をしている。そのため、コーヒー等の表面に浮かべる場合に他のマシュマロと互いに適度な面積で重なり合うことができ、隙間ができたり逆に一部だけ厚く重なり合うことがない。したがって、本発明のマシュマロはコーヒー等の表面をより均一な厚さで覆うことができる。その結果、コーヒー等の表面で溶けたマシュマロは均一な厚さの層を形成し、食感のなめらかなマシュマロコーヒー等を提供することができる。
なお、円盤の端部とは、円盤を平面視したときの外側の部分をいい、縁部と同じ意味である。また、端面部とは、端部を含む領域をいう。
また請求項7に記載の発明は、中央部の厚さに対する直径の比が1.0〜5.0であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のマシュマロである。
本発明のマシュマロにおいては、他のマシュマロと重なり合う際に、より確実に隙間なく適度な面積で重なり合うことができる。その結果、コーヒー等の表面で溶けたマシュマロはより確実に均一な厚さの層を形成することができる。
また請求項8に記載の発明は、直径が10〜20mmであることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載のマシュマロである。
また請求項9に記載の発明は、中央部の厚さが4〜10mmであることを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載のマシュマロである。
本発明のマシュマロにおいては、数個から十数個を例えばコーヒーカップに入っているコーヒーに浮かべた場合に、マシュマロ同士が適度な面積で重なり合うことができる大きさである。すなわち、マシュマロの直径が大きすぎるとコーヒー表面に浮かべた場合に隙間ができやすい。また中央部の厚さが大きすぎると互いに重なりにくく、やはり隙間ができやすい。一方、直径又は中央部の厚さが小さすぎると、マシュマロが溶けてできるクリーミーな層が薄すぎて泡と共にすぐに消えてしまう。これに対し本発明のマシュマロは、互いがより確実に重なり合う大きさであり、コーヒーに浮かべた際にコーヒーの表面をより均一な厚さで覆うことができる。その結果、コーヒーの表面で溶けた数個から十数個のマシュマロは均一な厚さの層を形成し、食感のなめらかなマシュマロ入りコーヒーを提供することができる。この溶けたマシュマロの層は適度な厚さを保っているのですぐに消えることはない。さらに、複数個のマシュマロが溶けて連続的に層を形成する様子は視覚的にも美しく、食欲を誘導する際にも好適である。さらに本発明のマシュマロは、複数個をコーヒー表面に乗せる際、その形状と大きさゆえ偏ることなくコーヒー表面全体に分散しやすい。
また請求項10に記載の発明は、40℃以上の飲料の表面に請求項1乃至9のいずれかに記載のマシュマロを乗せて溶解させたことを特徴とするマシュマロ入り飲料である。
本発明の飲料においては、マシュマロが飲料の表面で溶けて均一な厚さの層を形成する。その結果、従来のマシュマロを乗せて溶解させた飲料に比べて食感がなめらかである。
また請求項11に記載の発明は、飲料が、コーヒー、ココア、抹茶、紅茶、日本茶、ウーロン茶、牛乳のいずれかであることを特徴とする請求項10に記載のマシュマロ入り飲料である。
本発明の飲料においては、マシュマロがコーヒー等の飲料の表面で溶けて均一な厚さの層を形成する。その結果、従来のマシュマロを乗せて溶解させたマシュマロ入りコーヒー等に比べて食感がなめらかである。
また請求項12に記載の発明は、冷菓に請求項1乃至9のいずれかに記載のマシュマロを混合させてなることを特徴とするマシュマロ入り冷菓である。
また請求項13に記載の発明は、前記冷菓がアイスクリームであることを特徴とする請求項12に記載のマシュマロ入り冷菓である。
本発明のマシュマロ入り冷菓においては、マシュマロが固くならず、マシュマロの食感がよい。アイスクリームを一緒に食しても美味である。
また請求項14に記載の発明は、前記アイスクリームのオーバーランが40〜200%であることを特徴とする請求項13に記載のマシュマロ入り冷菓である。
本発明のマシュマロ入り冷菓においては、マシュマロの食感が特によく、アイスクリームを一緒に食しても美味である。
本発明により、飲料の上に浮かべて溶解させて食するのに適した溶解性を有する水易溶性マシュマロ、及び冷菓に混合しても食感が損なわれないマシュマロが提供される。
本発明においてマシュマロとは、ゼラチン等を主成分とし、糖類、コーンスターチ、香料等を加えて混合して泡立てたものを成形し、固化させた泡入りの菓子と定義する。さらに、本発明のマシュマロにはその同等物を含むものとする。マシュマロの同等物とは、本定義のマシュマロの原料の一部を追加、削除、置換等したもので、マシュマロと同一視できるものと定義する。
本発明のマシュマロに使用する糖類としては、ブドウ糖、麦芽糖、乳糖、ショ糖などの糖、ソルビトールなどの糖アルコール、還元水飴、酵素水飴等の公知の糖類を使用することができる。これらは1種類のみ用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。マシュマロに含まれる糖類の濃度としては、40〜80重量%程度、好ましくは70〜80%程度である。
本発明のマシュマロに使用するゼラチンとしては、食品として一般に使用できるものを適宜選択すればよく、その由来は問わない。マシュマロに含まれるゼラチンの濃度としては、1〜10重量%程度、好ましくは2.5〜3.5重量%程度である。なお、ゼラチンの全部又は一部の代わりに卵白を使用することもできる。また本発明のマシュマロには、上記した糖類、ゼラチンの他に香料、着色料等を適宜添加してもよい。
一般にマシュマロの成形方法としては、ノズルから連続的に生地を押し出して切断成形するエクストルーダー方式(射出方式)と、充填機により型の上に絞り落として成形するデポジッター方式があるが、本発明のマシュマロの場合はデポジッター方式が特に好ましい。本発明のマシュマロは水分活性が従来品より大きく生地が柔らかいため、エクストルーダー方式は不適である。
本発明におけるマシュマロは、例えば以下のようにして製造することができる。まず、加熱ニーダ内で原料となる糖類を加熱しながら水に溶解し、糖液を調製する。この糖液をミキサーに移送し、保温しながらゆっくり攪拌する。ミキサーの保温温度としては60〜70℃で好ましくは65℃、攪拌速度としては例えば15rpmを採用することができる。一方で、ゼラチンを加熱しながら水に溶解し、ゼラチン溶液を調製する。このゼラチン溶液をミキサーに投入し、先の糖液とゼラチン溶液を混合し、ゼラチン/糖類混合液を調製する。この際、ミキサー内の温度を80℃程度に上げ、さらに攪拌速度を45rpm程度に上げることが好ましい。このまま十分に混合しながらミキサー内に通気し、ゼラチン/糖類混合液に空気を含ませる。このときの通気量によって含ませる空気の量は自由に調整できる。ゼラチン/糖類混合液の密度を測りながら通気し、密度が400〜440g/L、好ましくは420g/Lになった時点で香料を添加し、ミキサー内温度を53℃程度に下げたあと、速やかに充填機へ移送する。
充填機へ移送されたゼラチン/糖類混合液は、例えば、コーンスターチ上に型を作ってその上に流し込まれる。そのまま放置冷却することにより、ゼラチン/糖類混合液が固化し、本発明のマシュマロが完成する。なお、コーンスターチはそのままマシュマロの表面に付され、とり粉として使用することができる。
本発明のマシュマロは40℃以上の水であれば溶解する。したがって、本発明のマシュマロを乗せて溶解させるための飲料は、40℃以上の温度であることが必要である。本発明のマシュマロを乗せるための飲料としては、コーヒー、ココア、抹茶、紅茶、日本茶、ウーロン茶、牛乳等が挙げられるが、コーヒーが代表的である。飲料の温度は、飲料の種類によって適した温度を選択すればよい。例えば、コーヒーであれば80℃程度、ココアであれば70℃程度を選択することができる。
本発明のマシュマロは、温かいコーヒーの上に乗せると自然に溶解し、マシュマロのクリーミーな層がコーヒーの上を覆うことができる。この際、スプーン等で攪拌する必要はない。このようにして、ウインナコーヒーと同等のクリーミーなマシュマロコーヒーを提供することが可能になる。また、溶解したマシュマロの上にさらに粉ココア等を振って食してもよい。また、本発明のマシュマロは弾力性に富み湿感のある性質を有しており、単品として食しても美味である。
本発明のマシュマロは、冷菓に混合しても食感がよく、美味である。特に、0℃以下の凍った冷菓であっても、本発明のマシュマロは固くなることなく食感がよい。本発明のマシュマロを混合するための冷菓の例としては、アイスクリームが代表的である。この際、使用するアイスクリームは、そのオーバーラン(OR)が40〜200%のものが好ましく、70〜150%のものがより好ましい。すなわち、ORが40%未満のアイスクリームに本発明のマシュマロを混ぜると、マシュマロがやや固くなる傾向がみられる。
本発明のマシュマロ入り冷菓を製造する際のマシュマロのサイズは、上記した飲料に浮かべるためのマシュマロの好ましいサイズよりも範囲が広い。すなわち、上記したように飲料に浮かべるためのマシュマロの好ましいサイズは、例えば、直径10〜20mm、中央部の厚さが4〜10mm、中央部の厚さに対する直径の比が1.0〜5.0の円盤状であったが、冷菓に混ぜるためのマシュマロのサイズは、例えば、相似比で0.5〜1.5の範囲でもよい。
以下に、本発明を実施例をもってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.マシュマロの製造
まず、水7kgにゼラチン2.3kgを溶解してゼラチン溶解液を調製し、次工程までそのまま待機した。一方、水10kg、ショ糖30kg、還元水飴15kg、酵素水飴13kgを加熱ニーダに投入し、2.5MPaの蒸気圧の下、106℃で35〜40分間混合した。この混合物をステンレスミキサーに移し、65℃に保温しながら15rpmにてゆっくり攪拌した。1,2分かけて混合物の温度を80℃にまで下げ、待機させておいたゼラチン溶解液の全量をステンレスミキサーに投入した。次にステンレスミキサーの回転数を45rpmに上げ、通気を開始し、35分程度攪拌した。途中で混合液をサンプリングし、混合液の密度が420g/Lになった時点でバニラフレーバー0.25kgを投入し、しばらくそのまま攪拌した。次にステンレスミキサーの保温温度を下げて、混合液の温度を53±1℃にした後、充填機へ移送した。浅い半球状の窪みを有したトレイにコーンスターチを敷き、コンベアにてトレイを送りながら、各トレイに混合液を上から充填した。そのまま放置冷却して固化させて、マシュマロが完成した。
図1に本実施例のマシュマロ1を示す。すなわち、図1(a)は本実施例のマシュマロ1の平面図である。図1(b)は本実施例のマシュマロ1の正面図である。図1(c)は図1(a)のマシュマロ1のA−A断面図である。図1(d)は図1(b)のマシュマロ1のB−B断面図である。図1(a)、図1(b)、図1(c)及び図1(d)に示すように、本実施例のマシュマロ1は平面視が略円形の外形を有する円盤状であり、さらにその端部は曲面である。またその形状は、平面視が略円形の外形を有する円盤状であり、端面部の厚さが漸減しているとも言える。
また、本実施例のマシュマロ1は中央部から端面部に向かって略水平かやや傾斜している。また、本実施例のマシュマロ1は少し小さい碁石のような形状である。本実施例のマシュマロ1の大きさは、直径が17〜18mm程度、中央部の厚さが6〜7mm程度である。マシュマロ1の直径は、10〜20mmであることが望ましく、さらに推奨される直径は、前記した17〜18mm程度である。また中央部の厚さが4〜10mmであることが望ましく、より推奨される厚さは、前記した6〜7mm程度である。
また本実施例のマシュマロ1の推奨される重量は1個当たり0,4〜1,2g程度であり、より望ましくは0.5〜0.8g程度である。
本実施例のマシュマロ1は従来品に比べて弾力性に富み、湿感のある感触であった。
2.マシュマロの物性
ロトニック社製水分活性測定システムAw−CCP型(rotronic HYGROMER A2)を用いて、本実施例のマシュマロ1の水分活性を測定した。本実施例のマシュマロ1を4つ切りにし、そのうちの2個を試料として測定に供した。測定は10個のマシュマロ1を無作為に抽出して行った。その結果、水分活性の値は0.70〜0.75Awの範囲であった。一方、市販されている従来品の水分活性を同様にして測定した結果、水分活性の値はいずれも0.67Aw以下であり、本実施例のマシュマロ1の方が水分活性が高かった。なお、水分含量については本実施例のマシュマロ1と従来品とでは差がなかった。また本実施例のマシュマロ1のその他の成分値は以下のとおりであった。カロリー292kcal、水分17〜20%、タンパク質3.0重量%、脂質0.5重量%、炭水化物76.3重量%。
マシュマロコーヒーの調製
熱湯抽出してすぐの温かいコーヒー2を直径約80mmのコーヒーカップ3に注ぎ、その上に本実施例のマシュマロ1を15個乗せた。このときの様子を図2に示す。すなわち実施例1で製造したマシュマロ1は、図2(a),図2(b)に示すように、マシュマロ1同士が僅かずつ重なりながら広がり、隙間ができることなく、逆に一部だけ厚く重なり合うことなく、均一にコーヒー2の表面を覆った。このまま1,2分静置するとマシュマロ1は自然に溶け出し、図2(c)に示すように溶けたマシュマロ1同士がつながって一つの均一な層となり、コーヒー2の表面を覆った。溶けたマシュマロ1の層は泡を豊富に含み、クリーミーで滑らかな食感であった。さらに、複数のマシュマロ1同士が溶けてつながる様子は視覚的に美しく、食欲をそそるものであった。
一方、従来のマシュマロを同様にしてコーヒーの上に乗せたときの様子を図4及び図5に示す。すなわち、従来の図4(a)に示すマシュマロ10(直径約10mm、高さ約20mmの円柱状)及び図5(a)に示すマシュマロ20(直径約10mm、高さ約6mmの端部が曲面でない円盤状)においては、図4(b),図4(c),図5(b),図5(c)のようにマシュマロ10,20同士が適度に重なり合わずに隙間ができて、均一にコーヒー2の表面を覆うことができなかった。さらに、マシュマロ10,20はいずれもそのまま静置しても溶けず、スプーンで攪拌して初めて溶け出したが、完全には解けずに不溶性の塊が残った。いずれのコーヒー2も食感も滑らかさがなく、視覚的にも食欲をそそるものでなかった。
1.マシュマロ入りアイスクリームの調製
常法にしたがってアイスクリームミックスを調製し、ホモゲナイザーによって均質化した。次に、均質化したアイスクリームミックスを68℃で30分間殺菌した後、1〜5℃で冷却し、そのままの温度で8〜24時間貯蔵した。その後、ORが80%程度になるようにアイスクリームミックスに空気を混入し、次いで、全体の体積の10分の1量の実施例1と同様の手順で製造したマシュマロを加え、よく混合した後、マイナス9〜マイナス4℃で半凍結させた。なお、マシュマロは、直径10mm程度の小粒のものを使用した。次に、半凍結させたマシュマロ入りアイスクリームミックスをカッブに充填し、マイナス20℃以下で凍結させ、マシュマロ入りアイスクリームを製造した。比較例として、ORが40%のアイスクリームを用いて同様の手順でマシュマロ入りアイスクリームを製造した。図3に本実施例のマシュマロ入りアイスクリーム(マシュマロ入り冷菓)32の断面の様子を示す。すなわち、本実施例のマシュマロ入りアイスクリーム32においては、アイスクリーム(冷菓)31の中にマシュマロ30が均等に分散されていた。
本実施例のマシュマロ入りアイスクリーム32においては、含まれているマシュマロ30が柔らかく、アイスクリームを一緒に食しても美味であった。一方、比較例のマシュマロ入りアイスクリームにおいては、マシュマロがやや固く、食感も劣っていた。
2.食味試験
10名の試験者に、本実施例のマシュマロ入りアイスクリームと、比較例のマシュマロ入りアイスクリームとを食させ、味と食感を比較させた。その結果、10名全員が本実施例のマシュマロ入りアイスクリームの方が食感がよく、美味であると判定した。
本発明の実施例1のマシュマロを表す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のA−A断面図、(d)は(b)のB−B断面図である。 本発明の実施例2のマシュマロコーヒーにおいて、マシュマロがコーヒーに溶ける様子を説明する図であり、(a)はコーヒーの表面にマシュマロを乗せた状態を表す一部破断断面図、(b)はコーヒーの表面にマシュマロを乗せた状態を表す斜視図、(c)はマシュマロが溶けて均一な層となりコーヒー表面を覆う状態を表す断面図である。 本発明の実施例3のマシュマロ入りアイスクリームを表す断面斜視図である。 従来のマシュマロとそのマシュマロがコーヒーに溶ける様子を説明する図であり、(a)が従来のマシュマロを表す斜視図、(b)はコーヒーの表面に従来のマシュマロを乗せた状態を表す斜視図、(c)は従来のマシュマロがコーヒー上で溶けた状態を表す断面図である。 別の従来のマシュマロとそのマシュマロがコーヒーに溶ける様子を説明する図であり、(a)が従来のマシュマロを表す斜視図、(b)はコーヒーの表面に従来のマシュマロを乗せた状態を表す斜視図、(c)は従来のマシュマロがコーヒー上で溶けた状態を表す断面図である。
符号の説明
1,30 マシュマロ
2 コーヒー(飲料)
31 アイスクリーム(冷菓)
32 マシュマロ入りアイスクリーム(マシュマロ入り冷菓)

Claims (14)

  1. 水分活性が0.70Aw以上であることを特徴とするマシュマロ。
  2. 前記水分活性が0.75Aw以下であることを特徴とする請求項1に記載のマシュマロ。
  3. 少なくとも糖類又はゼラチンを含有し、固化前の密度が400〜440g/Lであり、充填機によって型に流し込み、固化させて製造したものであることを特徴とするマシュマロ。
  4. 平面視が略円形の外形を有する円盤状であり、円盤の端面の縦断面形状が曲面であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマシュマロ。
  5. 平面視が略円形の外形を有する円盤状であり、端面部の厚さが漸減していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマシュマロ。
  6. 円盤形状の中央部の厚さが外周部の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のマシュマロ。
  7. 中央部の厚さに対する直径の比が1.0〜5.0であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のマシュマロ。
  8. 直径が10〜20mmであることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載のマシュマロ。
  9. 中央部の厚さが4〜10mmであることを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載のマシュマロ。
  10. 40℃以上の飲料の表面に請求項1乃至9のいずれかに記載のマシュマロを乗せて溶解させたことを特徴とするマシュマロ入り飲料。
  11. 飲料が、コーヒー、ココア、抹茶、紅茶、日本茶、ウーロン茶、牛乳のいずれかであることを特徴とする請求項10に記載のマシュマロ入り飲料。
  12. 冷菓に請求項1乃至9のいずれかに記載のマシュマロを混合させてなることを特徴とするマシュマロ入り冷菓。
  13. 前記冷菓がアイスクリームであることを特徴とする請求項12に記載のマシュマロ入り冷菓。
  14. 前記アイスクリームのオーバーランが40〜200%であることを特徴とする請求項13に記載のマシュマロ入り冷菓。
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