JP2005245235A - 耐熱性に優れた水中油型乳化食品 - Google Patents

耐熱性に優れた水中油型乳化食品 Download PDF

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Abstract

【課題】 リゾリン脂質よりも優れた耐熱性を有しながらも、従来技術のようにリゾリン脂質を使用する場合に見られる、溶解するのに時間がかかったり、吸湿し易いためにハンドリングが煩雑であったり、更には風味を損なうといった問題がなく、通常の蛋白系乳化剤を用い、これと共にリゾホスファチジン酸を添加・配合することにより得られる、耐熱性に優れた水中油型乳化食品を提供することを目的とする。
【解決手段】 水相原料と油相原料とが乳化されてなる水中油型乳化食品において、リゾホスファチジン酸が含有されていることを特徴とする耐熱性に優れた水中油型乳化食品を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は耐熱性に優れた水中油型乳化食品に関し、詳しくはリゾホスファチジン酸を含有させることにより、従来のリゾリン脂質を含有させるよりも一段と優れた耐熱性の付与された水中油型乳化食品に関するものである。
食生活の多様化に伴って、マヨネーズやドレッシング類等の水中油型乳化食品は、レトルト・サラダ、フィリング、調理パン類などの加熱加工された食品の原料などとして使用されることが多くなっている。
このため、より一層の耐熱性を有するマヨネーズやドレッシング類等の水中油型乳化食品が要望されている。
マヨネーズやドレッシング類等の水中油型乳化食品に比較的容易に耐熱性を付与させる技術としては、リゾリン脂質を乳化剤として使用する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本技術でのリゾリン脂質とは、ホスホリパーゼA処理によりリゾ化されたリン脂質をいう。リゾリン脂質単品では勿論のこと、卵黄との併用によっても、水中油型乳化食品に優れた耐熱性を付与することができる。
しかしながら、近年、食品の微生物汚染が問題視されており、加工食品等については微生物安定性をより完璧に求めることの必要性から、マヨネーズやドレッシング類等の水中油型乳化食品に対し、さらに強い耐熱性が要求される傾向にある。
上記リゾリン脂質によれば、水中油型乳化食品に対し、強い耐熱性を付与することができるが、さらに強い耐熱性が要求される近年の傾向からすると、まだ充分に満足し得るものではなかった。
また、このリゾリン脂質を使用する場合では、溶解するのに時間がかかること、吸湿し易いためにハンドリングが煩雑であること、更には独特の風味があるため、一定量以上の添加は風味を損なうといった問題点があった。
特開2000−60420号公報
本発明は、上記従来の問題点を解決し、水中油型乳化食品の製造において通常用いられている蛋白系の乳化剤を用い、これと共にリゾホスファチジン酸を添加・配合することにより得られる、耐熱性に優れた水中油型乳化食品を提供することを目的とするものである。
即ち、本発明は、リゾリン脂質よりも優れた耐熱性を有しながらも、従来技術のようにリゾリン脂質を使用する場合に見られる、溶解するのに時間がかかったり、吸湿し易いためにハンドリングが煩雑であったり、更には風味を損なうといった問題がなく、通常の蛋白系乳化剤を用い、これと共にリゾホスファチジン酸を添加・配合することにより得られる、耐熱性に優れた水中油型乳化食品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに乳化剤として従来水中油型乳化食品に耐熱性を付与するために用いられていたリゾリン脂質に代えて、リゾホスファチジン酸を含有させた水中油型乳化食品は、一段と優れた耐熱性を示すことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
請求項1に係る本発明は、水相原料と油相原料とが乳化されてなる水中油型乳化食品において、リゾホスファチジン酸が含有されていることを特徴とする耐熱性に優れた水中油型乳化食品を提供するものである。
次に、請求項2に係る本発明は、リゾホスファチジン酸が、リン脂質にホスホリパーゼDを添加・処理することによりホスファチジン酸を生成させた後、該ホスファチジン酸にホスホリパーゼA2を添加し処理して得られるリゾホスファチジン酸である請求項1記載の耐熱性に優れた水中油型乳化食品を提供するものである。
更に、請求項3に係る本発明は、リゾホスファチジン酸が、0.03質量%以上含有されていることを特徴とする請求項1又は2記載の耐熱性に優れた水中油型乳化食品を提供するものである。
本発明によれば、優れた耐熱性を有する水中油型乳化食品が提供される。
しかも、本発明によれば、水中油型乳化食品に耐熱性を付与させるために従来技術のように乳化剤としてリゾリン脂質を使用する必要がなく、通常のマヨネーズやドレッシング類等のような水中油型乳化食品に、リゾホスファチジン酸を添加・配合することにより、より耐熱性に優れた水中油型乳化食品が得られる。
即ち、本発明によれば、優れた耐熱性を有しながらも、水中油型乳化食品に耐熱性を付与させるために従来技術のように乳化剤としてリゾリン脂質を使用する必要がないことから、従来技術のように乳化剤としてリゾリン脂質を使用して耐熱性を付与させる場合にみられる、溶解するのに時間がかかったり、吸湿し易いためにハンドリングが煩雑であったり、更には風味を損なうといった問題がなく、通常用いられる蛋白系の乳化剤を用い、これと共にリゾホスファチジン酸を添加・配合して含有させることにより、より耐熱性に優れた水中油型乳化食品が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、請求項1に係る本発明について詳細に説明する。
請求項1に係る本発明は、水相原料と油相原料とが乳化されてなる水中油型乳化食品において、リゾホスファチジン酸が含有されていることを特徴とする耐熱性に優れた水中油型乳化食品に関するものである。
請求項1に係る本発明における水中油型乳化食品とは、水相と油相とが乳化剤により水中油型に乳化されてなるものをいい、代表的なものとしてマヨネーズやドレッシング類などが挙げられる。水中油型乳化食品としては、従来公知のものを用いることができる。
本発明の耐熱性に優れた水中油型乳化食品に含有されるリゾホスファチジン酸とは、リン脂質の塩基部分が加水分解され、さらに2位の脂肪酸が加水分解されたもので、以下のような構造を示す。
Figure 2005245235
ここで2位の脂肪酸が加水分解されていないものは、ホスファチジン酸と呼ばれる物質であるが、これはキャベツ、マウス組織や微生物等から単離されている(「脂質1」、舟橋三郎、原一郎、山川民生編、共立出版株式会社、1970年)。
このようなリゾホスファチジン酸としては、請求項2に記載したものが挙げられる。
即ち、請求項2に係る本発明は、リゾホスファチジン酸が、リン脂質にホスホリパーゼDを添加・処理することによりホスファチジン酸を生成させた後、該ホスファチジン酸にホスホリパーゼA2を添加し処理して得られるリゾホスファチジン酸である請求項1記載の耐熱性に優れた水中油型乳化食品に関するものである。
請求項2に係る本発明において、用いられるリン脂質としては、一般的な卵黄リン脂質、大豆リン脂質、菜種リン脂質等が挙げられる。
卵黄リン脂質の組成は、ホスファチジル・コリン73.0%、ホスファチジル・エタノールアミン15.0%、ホスファチジル・イノシトール0.6%、その他であり、一方、大豆リン脂質の組成は、ホスファチジル・コリン38.2%、ホスファチジル・エタノールアミン17.3%、ホスファチジル・イノシトール16.0%であることが報告されている(新食品機能素材の開発、太田昭一監修、シーエムシー社、1996年)。
なお、これらリン脂質は必ずしも純粋なものでなくてもよく、蛋白質、多糖類、塩類等、リン脂質以外の成分が混在したものであっても差し支えない。
請求項2に係る本発明において、用いられるホスホリパーゼDは、リン脂質の塩基部分を加水分解する酵素である。
このようなホスホリパーゼDとしては、植物由来のホスホリパーゼD、例えばキャベツ由来のホスホリパーゼDや、微生物由来のホスホリパーゼD、例えばストレプトマイセス属(Streptomyces)に属する放線菌が生産するホスホリパーゼD等が挙げられる。
このようなホスホリパーゼDとしては、とりわけ生産性も良いことからストレプトマイセス・シナモネウム(Streptomyces cinnamoneum;旧名 Streptoverticillium cinnamoneum )が生産するホスホリパーゼDが好適に用いられる。
このホスホリパーゼDは、分子量が約54,000であって、作用至適pHが5〜6であり、作用至適温度が40〜60℃を示すものである(Chiaki Ogino, Yukinari Negi, Toshiko Matsumiya, Koichi Nakaoka, Akihiko Kondo, Shun'ichi Kuroda, Shinji Tokuyama, Ushio Kikkawa, Tsuneo Yamane and Hideki Fukuda; J.Biochem. 125, 263-269 (1999) ;Purification, Characterization and Sequence Determination of Phospholipase D Secreted by Streptoverticillium cinnamoneum)。
こうして、リン脂質にホスホリパーゼDを作用させると、リン脂質の塩基部分が加水分解された結果、ホスファチジン酸が得られる。
このようにして得られるホスファチジン酸に、ホスホリパーゼA2を添加し処理することにより、目的とするリゾホスファチジン酸が得られる。即ち、ホスファチジン酸をリゾ化する酵素がホスホリパーゼA2である。
請求項2に係る本発明において、用いられるホスホリパーゼA2の作用は、リン脂質の2位の脂肪酸を加水分解し、リゾリン脂質へと変換するものである。
このようなホスホリパーゼA2としては、ブタの膵臓より得られたものや微生物由来のものなどがあり、具体的には例えばノボザイムズジャパン(株)製のレシターゼ10L、ジェネンコア・インターナショナル社製のLysomaxが挙げられ、特に前者のレシターゼ10Lが好適に用いられる。
本発明において好適に用いられるレシターゼ10Lは、ブタの膵臓より抽出精製されたホスホリパーゼA2であり、且つ、作用至適pHが6〜10であり、作用至適温度が40〜60℃を示すものである。
リン脂質がレシチン(ホスファチジル・コリン)を例とした場合での、ホスホリパーゼD及びホスホリパーゼA2処理によって得られるリゾホスファチジン酸の生成経路について、以下に示す。
Figure 2005245235
さらに、請求項2に係る本発明におけるリゾホスファチジン酸の調製法の概要について、以下に例示する。但し、以下の説明はあくまでも例示であって、これに限定されるものではない。
[リゾホスファチジン酸の調製方法]
まずホスファチジン酸の調製法としては大きくは2種類あり、有機溶媒に溶解したリン脂質をホスホリパーゼDを含む水溶液で作用させる2相反応と、リン脂質を分散させた水分散液にホスホリパーゼDを作用させる1相反応とがある。
前者には非極性のヘキサンやヘプタン等と極性のアセトンや酢酸エチル等の混液が有機溶媒としてよく用いられ、これらにリン脂質を溶解した有機溶媒相とpHを調整したホスホリパーゼDを含む水溶液をそれぞれ調製し、この2相が良く混ざるように攪拌することで、ホスファチジン酸が生成される。生成したホスファチジン酸は有機溶媒相を分取し、エバポレーター等により溶剤を除去することで回収できる。
その他、リン脂質もしくはホスホリパーゼDを固定化させて反応させる等の方法もあるが、以上の説明はあくまでも例示であって、これに限定されるものではない。
このようにして得られたホスファチジン酸を水に分散し、ホスホリパーゼA2を作用させ、加水分解することで、リゾホスファチジン酸が得られる。また、1相反応によりホスファチジン酸を調製した場合、ホスホリパーゼDによる塩基部分の加水分解終了後、そのままホスホリパーゼA2を添加し、作用することでもリゾホスファチジン酸を得ることができる。
処理後は、70〜90℃で、5〜60分間・加熱することやプロテアーゼで処理することにより、残存ホスホリパーゼD及びホスホリパーゼA2を失活させることができる。また、シリカゲルや活性炭、活性白土等の吸着剤で処理することにより、残存ホスホリパーゼD及びホスホリパーゼA2を除去することもできる。
以上の説明はあくまでも例示であって、これに限定されるものではない。
請求項1に係る本発明の特徴は、水相と油相とが乳化剤により水中油型乳化されてなる水中油型乳化食品において、上記した如きリゾホスファチジン酸、特に請求項2に記載した如きリゾホスファチジン酸が含有されている点にある。
ここで水中油型乳化食品とは、水相と油相とが乳化剤により水中油型に乳化されてなるものをいい、代表的なものとしてマヨネーズやドレッシング類などが挙げられる。水中油型乳化食品としては、従来公知なものを用いることができる。
請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品中におけるリゾホスファチジン酸の含有割合は、水相原料と油相原料との配合比率などにより異なるが、請求項3に記載した如く、0.03質量%以上であることが好ましく、さらに0.04質量%以上であると一層耐熱性に優れたものとなるため、より好ましい。
ここで水中油型乳化食品中におけるリゾホスファチジン酸の含有割合が0.03質量%未満では、水中油型乳化食品は耐熱性がやや不安定になる。一方、リゾホスファチジン酸の含有割合が1質量%を超えても、配合割合の増加に見合うだけの効果の向上が得られないため、経済的にも好ましくない。
従って、請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品中におけるリゾホスファチジン酸の含有割合としては、さらに好ましくは0.03〜1質量%であり、特に0.04〜1質量%が最も好ましい。
請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品の水相を構成する原料(水相原料)は、マヨネーズやドレッシング類の製造に際して使用される原料や、その配合割合に準じて決定すればよく、特に制限されない。通常、用いられる水相原料の例としては、水の他に、食塩、食酢、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム等の調味料、乳化剤、糖類、澱粉、果汁類、ガム類、香辛料、着色料などがある。乳化剤としては卵黄が一般的であるが、卵白、乳蛋白、大豆蛋白等を使用でき、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
一方、油相を構成する原料(油相原料)としては、通常、食品に添加可能な親油性の物質であれば、特に制限がなく、例えば食用植物油脂や、親油性のある着香料等が挙げられる。
食用植物油脂としては、常温で液体の菜種油、大豆油、べに花油、ヒマワリ油、コーン油等が挙げられ、これらを単独で、又は2種以上混合して使用することができる。配合割合も通常使用されるものに準じて適宜定めることができる。
請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品における油相と水相の割合については、特に制限はないが、通常は油相10〜90質量%に対して水相90〜10質量%、好ましくは油相30〜80質量%に対し、水相70〜20質量%とする。
ここで、油相の比率が10質量%未満であると、調製された水中油型乳化食品が美味しくなく、一方、油相の比率が90質量%を超えると、転相し易くなるので、いずれも好ましくない。
請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品の製造は、既知の手法により行えばよく、特に制限されない。
例えば、水以外の水相原料を、水等に分散・溶解し、これらに油相原料を加えて、一般的な撹拌機、例えば市販の万能混合撹拌機を用いて予備乳化する。次いで、コロイドミル等の乳化機により仕上げ乳化を行うことによって、水中油型乳化食品を製造することができる。
ここで、前記のリゾホスファチジン酸の添加は、水以外の水相原料を水等へ分散・溶解する際に行えばよい。
このようにして得られる水中油型乳化食品は、リゾホスファチジン酸が添加されていることにより、耐熱性に優れたものとなっている。
次に、本発明を実施例等により詳しく説明するが、本発明の範囲は、これら実施例等により制限されるものではない。
調製例[リゾホスファチジン酸(本発明品)の調製]
原料レシチン(ツル−レシチン工業(株)製レシチンSLP−PC70:ホスファチジル・コリン70%以上)30gをヘプタン/アセトン(80/20)混合液に溶解し300mlにして溶媒相を調製した。次に、0.6M酢酸緩衝液(pH4)により、pH4に調整した水50mlにホスホリパーゼD(ナガセケムテックス(株)製)18,000Uを溶解して水相を調製した。溶媒相と水相とを30℃及び5時間、2相がよく混ざるように攪拌し、処理を行った。
処理後、溶剤相と水相とを分離させ、溶媒相を分取した。分取した溶剤相はエバポレーターを用い、60℃にて溶媒を除去することにより、ホスファチジン酸100%を含有する固形物が得られた。
次いで、得られたホスファチジン酸20gを、6mM CaClを含有するpH8.0.2Mトリス塩酸緩衝液に分散して80mlにし、ホスホリパーゼA2(ノボザイムズ・ジャパン(株)製レシターゼ10L:10,000IU/g)24,000IUを加え、50℃及び5時間の処理を行うことにより、90%以上のホスファチジン酸がリゾ化したリゾホスファチジン酸分散液(リゾホスファチジン酸含量:25質量%)が得られた。
実施例1〜6
(1)水中油型乳化食品(マヨネーズ)の調製
前記調製例で得られたリゾホスファチジン酸(本発明品)を下記表1に示す所定量用い、表1に示す配合組成の6種の水中油型乳化食品(マヨネーズ)2kgをコロイドミルにてそれぞれ調製した。
即ち、水相原料である卵黄、食塩、食酢(10%酸度)及び水、並びに前記調製例で得られたリゾホスファチジン酸(本発明品)を混合溶解して水相を調製し、この水相に油相原料として菜種油を加え、ホバルトミキサー(ホバルト社製)にて予備乳化した。次いで、コロイドミル(クリアランス:4/1,000インチ、回転数:3,000rpm)により仕上げ乳化を行って、水中油型乳化食品(マヨネーズ)を調製した。
(2)水中油型乳化食品(マヨネーズ)の耐熱性の評価
上記(1)で得られた水中油型乳化食品(マヨネーズ)について、耐熱性の評価を以下のようにして行った。
約25g容のプラスチック容器に、上記(1)で得られた水中油型乳化食品(マヨネーズ)20gを充填・シールした後、95℃にて60分間加熱した。冷却後、水中油型乳化食品(マヨネーズ)の耐熱性を次の3段階で評価した。
なお、評価は経験豊かな5名のパネラーによる視覚観察の平均値で示した。結果を表1に示す。
〔耐熱性の評価〕
・安定:油分離していない。
・やや安定:僅かな油分離がみられる。
・不安定:かなりの油分離がみられる。
比較例1
実施例1において、リゾホスファチジン酸25%含有溶液を全く使用せず、且つ、水の配合割合を12.88質量%から13.00質量%に変えたこと以外は実施例1と同様にして、水中油型乳化食品(マヨネーズ)を調製し、さらに実施例1と同様にして耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
比較例2
実施例1において、リゾホスファチジン酸25%含有溶液を添加する代わりに、リゾリン脂質[リゾ化率75%以上の大豆リゾリン脂質33%とコーン澱粉デキストリン(DE8)67%の混合物]に置き換え、且つ、大豆リゾリン脂質含量が0.10質量%となるように全体量を水で調整した水中油型乳化食品(マヨネーズ)を調製した。これについて、実施例1と同様にして耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
比較例3
実施例1において、リゾホスファチジン酸25%含有溶液を添加する代わりに、リゾリン脂質[リゾ化率75%以上の大豆リゾリン脂質33%とコーン澱粉デキストリン(DE8)67%の混合物]に置き換え、且つ、大豆リゾリン脂質含量が0.20質量%となるように全体量を水で調整した水中油型乳化食品(マヨネーズ)を調製した。これについて、実施例1と同様にして耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2005245235
Figure 2005245235
表1から、以下のようなことが分かる。
リゾホスファチジン酸が水中油型乳化食品(マヨネーズ)に、それぞれ0.03〜0.50質量%添加された実施例1〜6の水中油型乳化食品(マヨネーズ)は、優れた耐熱性を持つことが分かる。
しかも、0.03質量%というかなりの低濃度でも水中油型乳化食品(マヨネーズ)に耐熱性を付与できることは、驚くべきことである。
これに対し、表2に示したリゾホスファチジン酸が添加されていない比較例1の水中油型乳化食品(マヨネーズ)では、明らかに耐熱性の低いことが分かる。
また、リゾホスファチジン酸の代わりに、従来の大豆リゾリン脂質を0.1質量%又は0.2質量%含有する比較例2又は比較例3の水中油型乳化食品(マヨネーズ)では、添加量が比較的多いのにもかかわらず、耐熱性の低いことが分かる。
これらの結果より、リゾホスファチジン酸を水中油型乳化食品(マヨネーズ)に添加・配合することにより、水中油型乳化食品(マヨネーズ)の耐熱性を優れたものにすることは明らかであり、さらにリゾホスファチジン酸は大豆リゾリン脂質よりも、より強い耐熱性を水中油型乳化食品(マヨネーズ)に付与することが理解される。
本発明によれば、優れた耐熱性を有しながらも、水中油型乳化食品に耐熱性を付与させるために従来技術のように乳化剤としてリゾリン脂質を使用する必要がないことから、従来技術のように乳化剤としてリゾリン脂質を使用して耐熱性を付与させる場合にみられる、溶解するのに時間がかかったり、吸湿し易いためにハンドリングが煩雑であったり、更には風味を損なうといった問題がなく、通常用いられる蛋白系の乳化剤を用い、これと共にリゾホスファチジン酸を添加・配合して含有させることにより、より耐熱性に優れた水中油型乳化食品が提供される。
よって、本発明は食品工業分野において有用である。

Claims (3)

  1. 水相原料と油相原料とが乳化されてなる水中油型乳化食品において、リゾホスファチジン酸が含有されていることを特徴とする耐熱性に優れた水中油型乳化食品。
  2. リゾホスファチジン酸が、リン脂質にホスホリパーゼDを添加・処理することによりホスファチジン酸を生成させた後、該ホスファチジン酸にホスホリパーゼA2を添加し処理して得られるリゾホスファチジン酸である請求項1記載の耐熱性に優れた水中油型乳化食品。
  3. リゾホスファチジン酸が、0.03質量%以上含有されていることを特徴とする請求項1又は2記載の耐熱性に優れた水中油型乳化食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015083757A1 (ja) * 2013-12-05 2015-06-11 ナガセケムテックス株式会社 風味改善用酵素組成物、不快臭発生抑制方法および不快臭発生抑制食品の製造方法

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