JP2005244114A - 抵抗体用導電材及び抵抗体ペースト、抵抗体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ルテニウム複合酸化物の分解を防ぎ、高い抵抗値を有する抵抗体を実現する。
【解決手段】 ルテニウム複合酸化物を含み、当該ルテニウム複合酸化物の表面がカップリング剤により被覆されてなる抵抗体用導電材である。抵抗体ペーストは、抵抗体用導電材を含む無機物成分を含有し、抵抗体用導電材としてルテニウム複合酸化物を含み、当該ルテニウム複合酸化物の表面がカップリング剤により被覆されている。抵抗体は、表面がカップリング剤により被覆されてなるルテニウム複合酸化物を抵抗体用導電材として含む抵抗体ペーストを基板上に印刷し、焼成することにより形成される。
【選択図】 なし
【解決手段】 ルテニウム複合酸化物を含み、当該ルテニウム複合酸化物の表面がカップリング剤により被覆されてなる抵抗体用導電材である。抵抗体ペーストは、抵抗体用導電材を含む無機物成分を含有し、抵抗体用導電材としてルテニウム複合酸化物を含み、当該ルテニウム複合酸化物の表面がカップリング剤により被覆されている。抵抗体は、表面がカップリング剤により被覆されてなるルテニウム複合酸化物を抵抗体用導電材として含む抵抗体ペーストを基板上に印刷し、焼成することにより形成される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、例えば1kΩ/□以上の高抵抗を有する抵抗体に用いて好適な抵抗体用導電材に関するものであり、さらには、かかる抵抗体用導電材を用いた抵抗体ペースト及び抵抗体に関する。
ガラスや導電材を含む抵抗体ペーストを基板上に塗布し焼成することによって形成される厚膜抵抗体においては、通常、導電材として酸化ルテニウム(RuO2)等が用いられ、ガラスとしてPbO系ガラスが用いられている。ガラスは、導電材及び基板との結着剤としての機能を果たし、また導電材とガラスの比率によって抵抗値調整が可能である。
近年、環境問題が盛んに議論されてきており、例えば半田材料等においては、鉛を除外することが求められている。厚膜抵抗体も例外ではなく、したがって、環境に配慮した場合、PbO系ガラスの使用は避けなければならない。このような状況から、鉛を含有した抵抗体ペーストを用いることは望ましくなく、鉛フリーの厚膜抵抗体ペーストについての研究がなされている。
一方、例えば、1kΩ/□以上の高抵抗を有する厚膜抵抗体の場合、導電材として抵抗率の低いRuO2を用いると、その添加量を大幅に減らす必要があり、僅かな添加量の変動が抵抗値の大きな変動に繋がり、抵抗値調整が難しくなる。そこで、このような高抵抗を有する厚膜抵抗体には、通常、抵抗率の高い鉛ルテニウムの複合酸化物、例えばPb2Ru2O6が導電材として用いられている。抵抗率の高いPb2Ru2O6を導電材として用いることで、高抵抗の厚膜抵抗体を得ることは比較的容易である。
しかしながら、先にも述べたように、環境に配慮した場合、PbO系ガラスは勿論のこと、導電材についても鉛を含む材料の使用は避けなければならず、Pb2Ru2O6に代わる導電材が必要になっている。
上記Pb2Ru2O6と同程度の抵抗率を持つ導電材としては、SrRuO3、BaRuO3、CaRuO3等の複合酸化物が挙げられる。しかしながら、これらの複合酸化物を導電材として使用した場合、焼き付け過程においてガラス組成物と反応し、結果として複合酸化物のほぼ全量がRuO2へと分解してしまうため、高い抵抗値を得ることは事実上困難である。
前記複合酸化物のガラスとの反応による分解を抑えるためには、Ruイオンのガラスに対する溶解度を小さくすればよいものと考えられ、そのためには予め用いるガラス組成物をRuで飽和させておけばよいものと考えられる。このような観点から、本願出願人は、ガラス組成物にRuO2を予め溶解させてガラス材料を得る工程を備えた抵抗体ペーストの製造方法を既に提案している(特許文献1を参照)。
特開2003−7517号公報
しかしながら、予めガラス材料に導電材を溶解させるためには、そのための工程を増やす必要があり、生産性や製造コスト等の点で不利である。また、ガラスを形成する酸化物とRuO2とを混合し、溶融、急冷して厚膜抵抗体用ガラスを作製しても、必ずしも十分に、且つ安定に高抵抗化することができないということがわかってきた。これは、製造条件等によっては添加したRuO2の全量がガラス化せず、その結果、一部RuO2が結晶状態のまま残存することによるものと推測される。先にも述べた通り、RuO2は抵抗率が低く、結晶状態のままガラス中に残存すると、高抵抗化の妨げとなる。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、例えば1kΩ/□以上の高い抵抗値を有する抵抗体を、煩雑な製造工程を追加することなく確実に形成することが可能な抵抗体用導電材を提供することを目的とし、さらには、高抵抗値を有する抵抗体の形成に適した抵抗体ペーストを提供し、高抵抗値を有する抵抗体を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の抵抗体用導電材は、ルテニウム複合酸化物を含み、当該ルテニウム複合酸化物の表面がカップリング剤により被覆されていることを特徴とする。また、本発明の抵抗体ペーストは、抵抗体用導電材を含む無機物成分を含有する抵抗体ペーストであって、前記抵抗体用導電材は、ルテニウム複合酸化物を含み、当該ルテニウム複合酸化物の表面がカップリング剤により被覆されていることを特徴とする。さらに、本発明の抵抗体は、表面がカップリング剤により被覆されてなるルテニウム複合酸化物を抵抗体用導電材として含む抵抗体ペーストが基板上に印刷され、焼成されてなることを特徴とする。
ルテニウム複合酸化物に対してカップリング処理を施すことにより、ルテニウム複合酸化物の表面に均一に極めて薄い有機膜が形成される。この有機膜の形成により、抵抗体ペーストに含まれるガラス組成物とルテニウム複合酸化物の直接の接触が回避され、ルテニウム複合酸化物とガラス組成物との反応は大きく低減される。その結果、ルテニウム複合酸化物がRuO2へと分解することなく、抵抗率の高い複合酸化物の状態のまま維持され、高い抵抗値を有する抵抗体が実現される。
本発明の抵抗体用導電材によれば、例えば1kΩ/□以上の高い抵抗値を有する抵抗体を、煩雑な製造工程を追加することなく確実に形成することが可能である。また、本発明によれば、高抵抗値を有する抵抗体の形成に適した抵抗体ペーストを提供することが可能であり、さらには、高抵抗値を有する抵抗体を提供することが可能である。
以下、本発明を適用した抵抗体用導電材及び抵抗体ペースト、さらには抵抗体について、詳細に説明する。
本発明の抵抗体用導電材は、ルテニウム複合酸化物を含み、このルテニウム複合酸化物に対してカップリング処理を施したものである。ここで、ルテニウム複合酸化物は、例えば、CaRuO3、BaRuO3、SrRuO3、Bi2Ru2O7から選ばれる少なくとも一種である。
カップリング処理に用いるカップリング剤は、一分子内に有機官能基と加水分解基を有する化合物であり、有機官能基側で有機材料と結合し、加水分解基側で無機材料と結合する。本発明においては、前記カップリング剤は、加水分解基側がルテニウム複合酸化物の表面と結合し、有機官能基が外側に配される形になる。有機官能基は、他の有機材料と結合するわけではなく、そのため、有機官能基がルテニウム酸化物の表面を被覆し、薄い有機膜として機能することになる。
カップリング剤において、有機材料と化学結合する反応基である有機官能基は、特に限定されないが、例えばビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、カルボキシル基等を挙げることができる。無機材料と化学結合する反応基である加水分解基も、特に限定されず、例えばメトキシ基、エトキシ基等を挙げることができる。カップリング剤としては、これら官能基を有する種々のカップリング剤が知られているが、例えばシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等から選ばれる少なくとも1種を用いればよい。
これらカップリング剤の適正量によりルテニウム複合酸化物の表面処理を行い、ルテニウム複合酸化物の表面に被膜を形成する。被覆するための処理量は、特に限定されないが、ルテニウム複合酸化物に対してカップリング剤を0.5〜2.0重量%とすることが好ましい。カップリング剤の量が0.5重量%未満であると、ルテニウム複合酸化物の表面を十分にカップリング剤の被膜で被覆することができず、十分な効果が得られなくなるおそれがある。逆に、カップリング剤の量が2.0重量%を越えて多すぎると、余分なカップリング剤が例えば抵抗体ペースト中に混入することになり、特性等に悪影響を及ぼすおそれがある。
カップリング剤による処理方法も任意であり、例えばルテニウム複合酸化物粉末を水中に分散させ、これにカップリング剤溶液を所定量滴下し、ミキサー等で高速攪拌し、100〜150℃程度で乾燥すれば良い。得られたルテニウム複合酸化物粉末と、抵抗体を構成する通常のガラス組成物、金属酸化物等をビヒクル中に分散してペースト化を行うことで、カップリング剤処理をしたルテニウム複合酸化物粉末を含有する抵抗体ペーストを作製することができる。
次に、本発明の抵抗体ペーストについて説明する。本発明の抵抗体ペーストは、焼成後の抵抗体を構成する無機物成分が有機ビヒクルと混合されてなるものであるが、この無機物成分として、導電材である前記カップリング剤で処理されたルテニウム複合酸化物を含む。無機物成分としては、前記導電材としてのルテニウム複合酸化物の他、ガラス組成物、添加物としての金属酸化物等である。導電材は、前記ルテニウム複合酸化物の他、RuO2等のルテニウム酸化物を抵抗値調整のために併用することも可能である。この場合、ルテニウム酸化物については、ルテニウム複合酸化物のようにカップリング剤で処理する必要はない。
ガラス組成物は、特に限定されることはないが、本発明では、環境保全上、やはり鉛を実質的に含まない鉛フリーのガラス組成物を用いる。なお、本発明において、「鉛を実質的に含まない」とは、不純物レベルとは言えない量を越える鉛を含まないことを意味し、不純物レベルの量(例えば、ガラス材料または導電材中の含有量が0.05体積%以下程度)であれば含有されていてもよい趣旨である。鉛は、不可避不純物として極微量程度に含有されることがある。
ガラス組成物の原料としては、通常、ガラス形成酸化物とガラス修飾酸化物とを混合して用いるが、ガラス形成酸化物としては、B2O3、SiO2、P2O5等を挙げることができ、これらの中から選択される少なくとも1種を用いる。ガラス修飾酸化物としては、Na2O、Li2O、K2O等のアルカリ酸化物や、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類酸化物、Al2O3、TiO2、ZrO2、TiO2、NiO、ZnO、MnO等の酸化物等を挙げることができ、これらの中から適宜選択して用いればよい。また、酸化物の代わりにCaCO3等の炭酸塩を原料に用いることも可能である。さらに、必要に応じて、その他の金属酸化物を原料酸化物として添加してもよい。この場合、ガラス化し得る範囲内であれば、これらの添加量に制限はない。
また、特に10kΩ/□を越えるような高抵抗の厚膜抵抗体において、得られる厚膜抵抗体の抵抗の温度係数(TCR)を平坦化するためには、ガラス組成物の原料組成を、B2O3を4〜15重量%、SiO2を2〜11重量%、BaOを8〜35重量%、MgOを1〜12重量%、ZnOを0.5〜6重量%、Al2O3を3〜15重量%、CaOを0.5〜5重量%とすることが好ましい。ガラス組成物の組成をこのような組成とすることで、Pbを含まない厚膜抵抗体において、特別な添加物を加えなくても優れたTCR特性を実現することができる。なお、ガラス組成物においては、各酸化物はそのままの形で含有されるわけではなく、複合酸化物の形態となっているものと推測されるが、ここでは、組成の表記は、通例にしたがい、各酸化物換算の値として表記する。
有機ビヒクルとしては、この種の抵抗体ペーストに用いられるものがいずれも使用可能であり、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ブチルメタクリレート等のバインダ樹脂と、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アセテート、トルエン、各種アルコール、キシレン等の溶剤とを混合して用いることができる。このとき、各種の分散剤や活性剤、可塑剤等を用途等に応じて適宜併用することも可能である。さらに、必要に応じて、遷移金属群元素の酸化物、典型金属群元素の酸化物等の各種酸化物をTCR調整剤、またはその他の目的で添加してもよい。
抵抗体ペーストには、前記ガラス組成物、導電材の他、抵抗値及び温度特性の調整等を目的として、添加物(金属酸化物)が含まれていてもよい。添加物としては、NiO、CuO、HfO2、Tb2O3、Sc2O3、Pr6O11、Er2O3、V2O5、Ta2O5、Nb2O5、ZnO、SnO等が例示され、これらの中から1種以上を選択して使用すればよい。
前述の導電材、ガラス組成物、添加物(金属酸化物)は、有機ビヒクルと混合することで抵抗体ペーストとして調製されるが、この時、導電材、ガラス組成物、及び金属酸化物を含めた無機物成分全体の中で、導電材の割合が15〜50重量%、ガラス組成物の割合が50〜90重量%、金属酸化物の割合が0〜20重量%であることが好ましい。本発明の抵抗体ペーストは、1kΩ/□以上の高抵抗を有する抵抗体の形成に主眼を置いており、導電材の配合は比較的少ない方向である。
一方、本発明の抵抗体は、表面がカップリング剤により被覆されてなるルテニウム複合酸化物を抵抗体用導電材として含む抵抗体ペーストが基板上に印刷され、焼成されてなることを特徴とするものである。表面がカップリング剤により被覆されたルテニウム複合酸化物は、表面が有機膜で覆われた状態であるので、直接ガラス組成物と接触することがない。したがって、焼成時にルテニウム複合酸化物がRuO2へ分解されることがなく、抵抗率の高い複合酸化物の状態のまま維持される。
カップリング剤は、有機官能基や加水分解基等の有機材料部分が焼成時に分解し、そのままの形で抵抗体中に残存することはない。したがって、有機物の残存による特性劣化等のおそれはない。一方、例えばシラン系カップリング剤の場合、Siは焼成後にSiO2の形で抵抗体中に残存するが、これはガラス成分の一つであり、ガラス組成物中に固溶し、抵抗体の特性に何ら悪影響を及ぼすことはない。チタネート系カップリング剤やアルミニウム系カップリング剤の場合も同様である。
抵抗体が形成される基板としては、アルミナ基板、AlN基板等のセラミック基板等を用いることができ、基板形態としては、単層基板、複合基板、多層基板のいずれであってもよい。多層基板の場合、抵抗体は、表面に形成してもよいし、内部に形成してもよい。
抵抗体の形成に際しては、通常、基板に電極となる導電パターンを形成するが、この導電パターンは、例えば、AgやPt等の良導電性材料を含む導電ペーストを印刷することにより形成することができる。また、形成した抵抗体の表面にガラス膜等の保護膜を形成してもよい。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
<CaRuO3の作製>
CaCO3とRuO2を所定量秤量し、湿式法にて混合した後、得られた混合粉を1350℃で5時間反応させてCaRuO3を得た。得られたCaRuO3を湿式法にて粉砕し、平均粒径0.5μmの粉末を得た。
CaCO3とRuO2を所定量秤量し、湿式法にて混合した後、得られた混合粉を1350℃で5時間反応させてCaRuO3を得た。得られたCaRuO3を湿式法にて粉砕し、平均粒径0.5μmの粉末を得た。
<カップリング処理>
得られたCaRuO3粉末を水中に分散し、シラン系カップリング剤をCaRuO3に対して1重量%滴下し、攪拌ミキサーにて高速攪拌した。その後、120℃で1時間乾燥して、カップリング剤処理を行った。
得られたCaRuO3粉末を水中に分散し、シラン系カップリング剤をCaRuO3に対して1重量%滴下し、攪拌ミキサーにて高速攪拌した。その後、120℃で1時間乾燥して、カップリング剤処理を行った。
<実施例1>
カップリング処理したCaRuO3粉末33重量%とCaO系ガラス67重量%を秤取し、ビヒクル中に分散して抵抗体ペーストを得た。なお、CaO系ガラスは平均粒径5μmのものを用いた。得られた抵抗体ペーストを予め導体を形成したアルミナ基板上に所定形状に印刷し、150℃,10分間の乾燥の後、850℃,10分間の焼き付け条件で焼き付けて抵抗体を形成した。
カップリング処理したCaRuO3粉末33重量%とCaO系ガラス67重量%を秤取し、ビヒクル中に分散して抵抗体ペーストを得た。なお、CaO系ガラスは平均粒径5μmのものを用いた。得られた抵抗体ペーストを予め導体を形成したアルミナ基板上に所定形状に印刷し、150℃,10分間の乾燥の後、850℃,10分間の焼き付け条件で焼き付けて抵抗体を形成した。
<実施例2>
カップリング処理にチタネート系カップリング剤を用い、他は実施例1と同様にして抵抗体ペースト作製し、抵抗体を形成した。
カップリング処理にチタネート系カップリング剤を用い、他は実施例1と同様にして抵抗体ペースト作製し、抵抗体を形成した。
<実施例3>
カップリング処理にアルミニウム系カップリング剤を用い、他は実施例1と同様にして抵抗体ペースト作製し、抵抗体を形成した。
カップリング処理にアルミニウム系カップリング剤を用い、他は実施例1と同様にして抵抗体ペースト作製し、抵抗体を形成した。
<比較例>
カップリング処理を行っていないCaRuO3用い、他は実施例1と同様にして抵抗体ペースト作製し、抵抗体を形成した。
カップリング処理を行っていないCaRuO3用い、他は実施例1と同様にして抵抗体ペースト作製し、抵抗体を形成した。
<評価>
形成した抵抗体について、抵抗値、及びそのばらつき(C.V値)を測定した。測定に際して、試料数は24個とした。また、X線回折測定用の試料として、アルミナ基板上に抵抗体膜を形成した試料を別に用意し、X線回折測定を行い、抵抗体に含まれる導電材相の同定を行った。結果を表1に示す。
形成した抵抗体について、抵抗値、及びそのばらつき(C.V値)を測定した。測定に際して、試料数は24個とした。また、X線回折測定用の試料として、アルミナ基板上に抵抗体膜を形成した試料を別に用意し、X線回折測定を行い、抵抗体に含まれる導電材相の同定を行った。結果を表1に示す。
表1に示したように、カップリング処理したCaRuO3粉末を用いた場合(各実施例)、X線回折においてRuO2のピークは認められず、CaRuO3の状態が維持されていることがわかる。これに対して、カップリング処理を行っていない比較例では、CaRuO3のほとんど全量がRuO2に分解してしまっている。この違いは、抵抗値やC.V.値にも表れており、各実施例では1MΩ以上の高い抵抗値が得られ、C.V.値も小さいが、比較例では抵抗値が一桁小さく、C.V.値も大きい。
Claims (14)
- ルテニウム複合酸化物を含み、当該ルテニウム複合酸化物の表面がカップリング剤により被覆されていることを特徴とする抵抗体用導電材。
- 前記カップリング剤は、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の抵抗体用導電材。
- 前記ルテニウム複合酸化物がCaRuO3、BaRuO3、SrRuO3、Bi2Ru2O7から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2記載の抵抗体用導電材。
- さらに、抵抗調整用のルテニウム酸化物を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の抵抗体用導電材。
- 前記ルテニウム酸化物がRuO2であることを特徴とする請求項4記載の抵抗体用導電材。
- 抵抗体用導電材を含む無機物成分を含有する抵抗体ペーストであって、
前記抵抗体用導電材は、ルテニウム複合酸化物を含み、当該ルテニウム複合酸化物の表面がカップリング剤により被覆されていることを特徴とする抵抗体ペースト。 - 前記カップリング剤は、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6記載の抵抗体ペースト。
- 前記ルテニウム複合酸化物がCaRuO3、BaRuO3、SrRuO3、Bi2Ru2O7から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6又は7記載の抵抗体ペースト。
- 前記抵抗体用導電材として、さらに抵抗調整用のルテニウム酸化物を含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項記載の抵抗体ペースト。
- 前記ルテニウム酸化物がRuO2であることを特徴とする請求項9記載の抵抗体ペースト。
- 前記無機物成分として、前記抵抗体用導電材、ガラス組成物、及び金属酸化物を含むことを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項記載の抵抗体ペースト。
- 前記無機物成分において、抵抗体用導電材の割合が15〜50重量%、ガラス組成物の割合が50〜90重量%、金属酸化物の割合が0〜20重量%であることを特徴とする請求項11記載の抵抗体ペースト。
- 表面がカップリング剤により被覆されてなるルテニウム複合酸化物を抵抗体用導電材として含む抵抗体ペーストが基板上に印刷され、焼成されてなる抵抗体。
- 抵抗値が1kΩ/□以上であることを特徴とする請求項13記載の抵抗体。
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- 2004-02-27 JP JP2004055265A patent/JP2005244114A/ja not_active Withdrawn
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