JP2005244051A - 巻線型インダクタの製造方法 - Google Patents

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序人 大島
Kenichi Saito
健一 斉藤
Takaaki Oi
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Abstract

【課題】 コア全体にわたってコイルを巻回でき、コアの抜け落ちやコイルのばらけが生じない巻線型インダクタの製造方法を提供する。
【解決手段】 絶縁被膜金属線1の絶縁被膜を所定の間隔を置いて除去し、金属線の表面を露出させる。露出した金属線の表面にはんだ被膜21を形成する。そして、コア5より外径が小さい一対の支持治具35a,35bにてコア5を両端から保持した後、コア5に絶縁被膜金属線1を巻回してコイルを形成する。このとき、絶縁被膜金属線1の巻き始めを一方の支持治具35a上から開始するとともに、絶縁被膜金属線1の巻き終わりを他方の支持治具35b上で終了させる。次に、絶縁被膜金属線1が巻回されたコア5をはんだ被膜21の融点以上に加熱し、隣接して巻回されているはんだ被膜21部分を互いに接着してショートリングを形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、巻線型インダクタの製造方法、特に、インダクタやインピーダンス素子などの巻線型インダクタの製造方法に関する。
従来より、巻線型インダクタとして、例えば特許文献1や特許文献2に記載のものが知られている。そして、このような巻線型インダクタを製造する方法として、特許文献1には以下の方法が記載されている。
図10に示すように、自動巻線装置のチャック61にコア55の一端を挟持した後、コア55の一端に絶縁被膜金属線51を適宜な手段で係止する。絶縁被膜金属線51は、絶縁被膜を除去することにより金属線の表面が露出している端子部52が所定の間隔で形成されている。端子部52を係止したコア55は、チャック61が回転駆動されることにより、コア55の外周面に絶縁被膜金属線51が巻回される。このとき、絶縁被膜金属線51は、隣接する部分同士が当接するように密に巻回される。そして、図11に示すように、絶縁被膜金属線51がコア55の他端に達した位置で絶縁被膜金属線51を切断することにより、コア55の他端に絶縁被膜を除去して金属線表面が露出している端子部52が位置し、巻線型インダクタが得られる。
しかしながら、このような製造方法によって得られた巻線型インダクタは、チャック61にコア55の一端を挟持して絶縁被膜金属線51を巻回するためコア55の掴み代が必要であり、その分だけ巻回数が少なくなるという問題があった。また、コア55に巻回されている絶縁被膜金属線51の隣接する部分同士が接着していないため、絶縁被膜金属線51がばらけ易いという問題があった。このため、振動などの外力が加わると、絶縁被膜金属線51がばらけ、インダクタンスが変動したり、印刷基板への面実装不良が生じたりする等の不具合があった。さらに、絶縁被膜金属線51からなるコイルとコア55が固着していないため、コイルからコア55が抜けるという心配があった。
一方、特許文献3には、コイルの端末をコイルの内径よりも内側に入れ、コイルの端末部分のみをリング状に導通させてショートリングを形成した巻線型インダクタが記載されている。この巻線型インダクタは、コア全体にわたってコイルが巻回されるため、コアの長さに対して巻回数を最大にすることができる。しかも、コイル端末部分のショートリングによって、コアの抜け落ちを防止することができる。しかしながら、この巻線型インダクタを製造する場合、前述の特許文献1に記載されてる製造方法、すなわち、コアの一端をチャックで挟持してコイルを巻回するという方法を採用することはできない。
特開2002−203722号公報 特開平9−326317号公報 特開2002−367828号公報
そこで、本発明の目的は、コア全体にわたってコイルを巻回でき、コアの抜け落ちやコイルのばらけが生じない巻線型インダクタの製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係る巻線型インダクタの製造方法は、
(a)コアを用意する工程と、
(b)絶縁被膜金属線を用意する工程と、
(c)コアより外径が小さい一対の支持治具にてコアを両端から保持した後、コアに絶縁被膜金属線を巻回してコイルを形成する工程とを備え、
(d)コアに絶縁被膜金属線を巻回する際、絶縁被膜金属線の巻き始めを一方の支持治具上から開始するとともに、絶縁被膜金属線の巻き終わりを他方の支持治具上で終了させること、
を特徴とする。
以上の方法により、コイルの端末はコイルの内径よりも内側に入り、コアの抜け落ちを防止する。また、コア全体にわたってコイルが巻回されるため、コアの長さに対して巻回数を最大にすることができる。
また、本発明に係る巻線型インダクタの製造方法は、絶縁被膜金属線を用意する工程が、絶縁被膜金属線の絶縁被膜を所定の間隔を置いて除去し、金属線の表面を露出させる工程を含むことを特徴とする。そして、コアに絶縁被膜金属線を巻回してコイルを形成した後、コイルの端末にコイルの軸方向の圧力を加え、コイルの端末の隣接する部分同士の隙間をなくす。次に、絶縁被膜金属線が巻回されたコア端部をはんだ浴にディップし、露出した金属線の表面にはんだ被膜を付与してショートリングを形成する。
以上の方法により、はんだ浴にディップして、露出した金属線の表面にはんだ被膜を形成して端子部とするので、絶縁被膜金属線の端子部の隣接部分同士が接着してショートリングとなり、絶縁被膜金属線が端部からばらける心配がない。
また、本発明に係る巻線型インダクタの製造方法は、絶縁被膜金属線を用意する工程が、絶縁被膜金属線の絶縁被膜を所定の間隔を置いて除去し、金属線の表面を露出させる工程と、露出した金属線の表面にはんだ被膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。そして、コアに絶縁被膜金属線を巻回してコイルを形成した後、コイルの端末にコイルの軸方向の圧力を加え、コイルの端末の隣接する部分同士の隙間をなくす。次に、絶縁被膜金属線が巻回されたコアをはんだ被膜の融点以上に加熱し、隣接して巻回されているはんだ被膜部分を互いに接着してショートリングを形成する。あるいは、コアに巻回された絶縁被膜金属線のはんだ被膜部分をスポット溶接したり、レーザ加熱したりすることにより、隣接して巻回されているはんだ被膜部分を互いに接着してショートリングを形成する。
以上の方法により、絶縁被膜金属線の端子部の隣接部分同士が接着してショートリングとなるので、絶縁被膜金属線が端部からばらける心配がない。
本発明によれば、コイルの端末はコイルの内径よりも内側に入り、コアの抜け落ちを防止することができる。また、コア全体にわたってコイルが巻回されるため、コアの長さに対して巻回数を最大にすることができる。さらに、絶縁被膜金属線の端子部の隣接部分同士が接着してショートリングとなり、絶縁被膜金属線が端部からばらける心配がない。この結果、コア全体にわたってコイルを巻回でき、コアの抜け落ちやコイルのばらけが生じない巻線型インダクタを製造することができる。
以下に、本発明に係る巻線型インダクタの製造方法の実施例について、添付の図面を参照して説明する。
[第1実施例、図1〜図5]
図1(a)に示すように、絶縁被膜金属線1は、0.3mmの径を有する金属線に絶縁被膜として約0.018mmの厚さのポリアミドイミド樹脂を塗布して焼き付けたものである。金属線には、良導体である銅や銀等が使用される。また、絶縁被膜には、耐熱性が高く、かつ、後工程でのはんだディップに耐え得る材料が好ましい。具体的には、ポリアミドイミド樹脂の他に、ポリエステル樹脂やポリエステルイミド樹脂なども使用可能である。
次に、図1(b)に示すように、絶縁被膜を所定の間隔を置いてダイヤモンドカッタなどの手段で機械的に除去することにより、金属線の表面が露出している端子部1aを所定の間隔で形成する。本第1実施例では、77.2mmの間隔を置いて、27mmの長さの端子部1aを繰り返して形成したが、巻線型インダクタのサイズが異なれば、それに応じて端子部1aの長さや間隔が異なることは言うまでもない。
次に、図1(c)に示すように、この絶縁被膜金属線1を、Sn−Ag3.0−Cu0.5の低融点はんだの溶融浴槽(約240℃)に約3秒間ディップし、端子部1aの露出した金属線の表面に、はんだ被膜21を約50μm付与する。なお、他の組成の低融点はんだやSn−Pbはんだも使用可能である。
次に、図2に示すように、外径が約2.49mmで、長さが約4.5mmの円柱コア5を用意する。コア5の材料としては、Ni−Cu−Zn系フェライトやセラミックスなどが使用される。そして、自動巻線装置の一対の支持治具35a,35bにてコア5の両端を挟持する。支持治具35a,35bの径はコア5の径より小さく、その差は絶縁被膜金属線1の径の2倍以下の所定の値とする。支持治具35a,35bの径とコア5の径との差が小さ過ぎると、コア抜け防止の効果がなくなる。逆に、大き過ぎると、両者の境界部分に大きな段差ができ、絶縁被膜金属線1を巻回する作業が困難になるからである。
この後、支持治具35aのコア5側の一端に絶縁被膜金属線1の端子部1aを適宜な手段で係止する。支持治具35a,35bが回転駆動することにより、絶縁被膜金属線1の巻き始めを支持治具35a上から開始する。絶縁被膜金属線1は、支持治具35a上からコア5上に移動し、コア5の外周面に巻回される。本第1実施例では、絶縁被膜金属線1を、隣接する部分同士が当接するように密に巻回しているが、隣接する部分同士が離間するように疎に巻回してもよい。
そして、図3に示すように、絶縁被膜金属線1がコア5の他端から支持治具35b上に移動した位置で絶縁被膜金属線1を切断する。つまり、絶縁被膜金属線1の巻き終わりを他方の支持治具35b上で終了させる。これにより、コア5の他端に端子部1aが位置する。この結果、はんだ被膜21が形成されている端子部1aをコア5の両端部に略均等に位置させることができる。この後、コイル状の絶縁被膜金属線1の両端子部1aにコイルの軸方向の圧力を加え、端子部1aの隣接する部分同士の隙間をなくして密着させてリング状にする(図4および図5参照)。
この巻線型インダクタを、高耐熱性のパレット治具上に互いに接触しないようにして整列配置する。次に、パレット治具ごとにオーブンに入れ、約230℃で約10分間加熱する。これにより、端子部1aの低融点はんだ被膜21が溶融して、端子部1aの隣接部分同士が接着してショートリングとなり、外部電極とされる。
この後、巻線型インダクタを冷却してパレット治具から取り出し、必要に応じてマガジン詰めやテーピングに個装する。
以上の製造方法によって得られた巻線型インダクタは、コイル状の絶縁被膜金属線1の端末がコイルの内径よりも内側に入ってコア5の両端面に臨むので、コア5の抜け落ちを防止することができる。また、コア5全体にわたって絶縁被膜金属線1が巻回されるため、コア5の長さに対して巻回数を最大にすることができる。さらに、絶縁被膜金属線1の端子部1aの隣接部分同士が接着してショートリングとなり、振動などの外力が加わっても、絶縁被膜金属線1が端部からばらける心配がなく、インダクタンスが安定する。この結果、コア5全体にわたって絶縁被膜金属線1を巻回でき、コア5の抜け落ちやコイルのばらけが生じない巻線型インダクタを製造することができる。
なお、本第1実施例では、絶縁被膜金属線1が巻回されたコア5をはんだ被膜21の融点以上に加熱し、隣接して巻回されているはんだ被膜21部分を互いに接着してショートリングを形成しているが、コア5に巻回された絶縁被膜金属線1のはんだ被膜21部分をスポット溶接したり、レーザ加熱したりすることにより、隣接して巻回されているはんだ被膜21部分を互いに接着してショートリングを形成してもよい。
[第2実施例、図6〜図9]
図6(a)に示すように、絶縁被膜金属線1は、0.3mmの径を有する金属線に絶縁被膜として約0.018mmの厚さのポリアミドイミド樹脂を塗布して焼き付けたものである。金属線には、良導体である銅や銀等が使用される。
次に、図6(b)に示すように、絶縁被膜を所定の間隔を置いてダイヤモンドカッタなどの手段で機械的に除去することにより、金属線の表面が露出している端子部1aを所定の間隔で形成する。
次に、図7に示すように、外径が約2.49mmで、長さが約4.5mmの円柱コア5を用意する。コア5の材料としては、Ni−Cu−Zn系フェライトやセラミックスなどが使用される。そして、自動巻線装置の一対の支持治具35a,35bにてコア5の両端を挟持する。支持治具35a,35bの径はコア5の径より小さく、その差は絶縁被膜金属線1の径の2倍以下の所定の値とする。
この後、支持治具35aのコア5側の一端に絶縁被膜金属線1の端子部1aを適宜な手段で係止する。支持治具35a,35bが回転駆動することにより、絶縁被膜金属線1の巻き始めを支持治具35a上から開始する。絶縁被膜金属線1は、支持治具35a上からコア5上に移動し、コア5の外周面に巻回される。本第2実施例では、絶縁被膜金属線1を、隣接する部分同士が当接するように密に巻回しているが、隣接する部分同士が離間するように疎に巻回してもよい。
そして、図8に示すように、絶縁被膜金属線1がコア5の他端から支持治具35b上に移動した位置で絶縁被膜金属線1を切断する。つまり、絶縁被膜金属線1の巻き終わりを他方の支持治具35b上で終了させる。これにより、コア5の他端に端子部1aが位置する。この結果、はんだ被膜21が形成されている端子部1aをコア5の両端部に略均等に位置させることができる。この後、コイル状の絶縁被膜金属線1の両端子部1aにコイルの軸方向の圧力を加え、端子部1aの隣接する部分同士の隙間をなくして密着させてリング状にする。
次に、絶縁被膜金属線1が巻回されたコア5を、図9に示すように、Sn−Ag3.0−Cu0.5の低融点はんだの溶融浴(約240℃)40に約3秒間ディップし、端子部1aの露出した金属線の表面に、はんだ被膜(厚さが約50μm)を付与する。これにより、端子部1aに低融点はんだの外部電極が形成される。同様にして、反対側の端子部1aの露出した金属線の表面にも、はんだ被膜が付与されて外部電極が形成される。なお、他の組成の低融点はんだやSn−Pbはんだも使用可能である。この後、必要に応じてマガジン詰めやテーピングに個装する。
以上の製造方法によって得られた巻線型インダクタは、前記第1実施例と同様の作用効果を奏する。
[他の実施例]
本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。コアの横断面形状は、円形、楕円形、矩形など任意である。また、絶縁被膜金属線の横断面形状も円形、楕円形、矩形など任意である。
本発明に係る巻線型インダクタの製造方法の第1実施例に使用される絶縁被膜金属線の加工方法を示す説明図。 本発明に係る巻線型インダクタの製造方法の第1実施例を示す概略図。 図2に続く製造方法を示す概略図。 図3に続く製造方法を示す概略図。 図4に示した巻線型インダクタの平面図。 本発明に係る巻線型インダクタの製造方法の第2実施例に使用される絶縁被膜金属線の加工方法を示す説明図。 本発明に係る巻線型インダクタの製造方法の第2実施例を示す概略図。 図7に続く製造方法を示す概略図。 図8に続く製造方法を示す概略図。 従来の巻線型インダクタの製造方法を示す概略図。 図10に続く製造方法を示す概略図。
符号の説明
1…絶縁被膜金属線
1a…端子部
5…コア
21…はんだ被膜
35a,35b…支持治具
40…低融点はんだ浴

Claims (8)

  1. コアを用意する工程と、
    絶縁被膜金属線を用意する工程と、
    前記コアより外径が小さい一対の支持治具にて前記コアを両端から保持した後、前記コアに前記絶縁被膜金属線を巻回してコイルを形成する工程とを備え、
    前記コアに前記絶縁被膜金属線を巻回する際、絶縁被膜金属線の巻き始めを一方の支持治具上から開始するとともに、絶縁被膜金属線の巻き終わりを他方の支持治具上で終了させること、
    を特徴とする巻線型インダクタの製造方法。
  2. 前記コアに前記絶縁被膜金属線を巻回してコイルを形成した後、前記コイルの端末にコイルの軸方向の圧力を加え、コイルの端末の隣接する部分同士の隙間をなくすことを特徴とする請求項1に記載の巻線型インダクタの製造方法。
  3. 前記絶縁被膜金属線を用意する工程は、絶縁被膜金属線の絶縁被膜を所定の間隔を置いて除去し、金属線の表面を露出させる工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻線型インダクタの製造方法。
  4. 前記絶縁被膜金属線が巻回されたコア端部をはんだ浴にディップし、前記露出した金属線の表面にはんだ被膜を付与してショートリングを形成する工程を備えたことを特徴とする請求項3に記載の巻線型インダクタの製造方法。
  5. 前記絶縁被膜金属線を用意する工程は、絶縁被膜金属線の絶縁被膜を所定の間隔を置いて除去し、金属線の表面を露出させる工程と、前記露出した金属線の表面にはんだ被膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻線型インダクタの製造方法。
  6. 前記絶縁被膜金属線が巻回されたコアを前記はんだ被膜の融点以上に加熱し、隣接して巻回されているはんだ被膜部分を互いに接着してショートリングを形成する工程を備えたことを特徴とする請求項5に記載の巻線型インダクタの製造方法。
  7. 前記コアに巻回された絶縁被膜金属線のはんだ被膜部分をスポット溶接し、隣接して巻回されているはんだ被膜部分を互いに接着してショートリングを形成する工程を備えたことを特徴とする請求項5に記載の巻線型インダクタの製造方法。
  8. 前記コアに巻回された絶縁被膜金属線のはんだ被膜部分をレーザ加熱し、隣接して巻回されているはんだ被膜部分を互いに接着してショートリングを形成する工程を備えたことを特徴とする請求項5に記載の巻線型インダクタの製造方法。
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