JP2004266047A - 高周波用チョークコイル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】直接ボンディングパッドに接続して、コイルの高周波特性を向上させるとともに、省スペース化を図り、また、被膜を剥がす手間を無くし、コイルに残存した被膜による不良品を無くし、被膜から発生するガスを低減させる。
【解決手段】電波吸収体よりなるコア3と、コア3の外周面3a上に所定の間隔を開けて線材2としての金線2aが略螺旋状に巻回形成された導体巻線4とで構成され、導体巻線4が所定の巻形状に形成される一方の端部4aと、一方の端部4aよりも大径な所定の巻形状に形成される他方の端部4bとを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】電波吸収体よりなるコア3と、コア3の外周面3a上に所定の間隔を開けて線材2としての金線2aが略螺旋状に巻回形成された導体巻線4とで構成され、導体巻線4が所定の巻形状に形成される一方の端部4aと、一方の端部4aよりも大径な所定の巻形状に形成される他方の端部4bとを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波アンプ,ドライバにおいて、FET,バイアスなどに用いられ、例えば、10Gb/sから40Gb/sの高周波帯で使用可能な高周波用チョークコイル及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コイルは、各種電子機器、通信機器などに多用されており、近年は小型あるいは薄型のコイルがますます要求されており、しかも、回路の高周波化やデジタル化に伴ってノイズ対策部品としての高周波用コイルもますます重要になって来ている。
【0003】
従来、コイルには様々な種類、形状のものがあるが、その中の一つとして下記特許文献1に開示され、図7に示すように、耐ハンダ溶食性を有する絶縁被覆が施された絶縁電線105を巻回して形成したものがあった。この絶縁電線105は、銅または銅合金からなる導体101の外周に鉄または鉄ニッケル合金メッキ層102とハンダ濡れ性の良い金属メッキ層103とハンダ付け可能な絶縁被覆104とを順次設けたものであった。
【0004】
この絶縁電線105の金属メッキ層103は銅、ニッケル、銅ニッケル合金、金合金、銀、または銀合金のいずれかのメッキ層からなる。また、絶縁電線105の絶縁被覆104は、ポリウレタン塗料、ポリエステル塗料またはポリエステルイミド塗料を塗布焼付けした絶縁被覆から構成されていた。
【0005】
また、従来のコイルの製造方法は、所定形状に加工された治工具にポリウレタン銅線を密接巻きし、接着剤等でポリウレタン銅線がほどけないように固めて治工具から取り外した後に、液体状の電波吸収体を所定形状に巻回形成されたポリウレタン銅線に充填して固めていた。さらに、ポリウレタン銅線の端末は、ポリウレタン被覆をSnPbハンダ等で溶融して溶かした後に金メッキを施していた。また、銅線に予め金メッキを施した後にポリウレタン被覆を行ったものもあった。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−121237号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のコイルは、その製造過程において、ポリウレタン被覆を剥がすためにハンダや溶剤を使用していたため手間が多くかかっていた。また、完全に被覆を剥がしきれないものが発生して不良品が発生していた。さらに、ポリウレタンを使用していたためにポリウレタンから塩素等のハロゲン系の腐食性ガスが発生しマイグレーション等が発生することがあった。
【0008】
また、上記の他にも、セラミック基板上の金パターンや表面が金電極の電気部品に接続する方法として、ハンダ付けや導電性接着剤を用いる手法があったが、接着面積が小さいMMIC等のベアチップ上のボンディングパッドには接続することができなかった。そのため、中継端子等を介して接続しなければならないという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解消するために、直接ボンディングパッドに接続して、コイルの高周波特性を向上させ、省スペース化を図ることを第1の目的としている。また、その製造過程において、被膜を剥がす手間を無くし、完全に被膜を剥がしきれないことによるコイルの不良品を無くし、ガスの発生を低減させることを第2の目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
次に、上記課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の高周波用チョークコイルによれば、電波吸収体よりなるコア3と、該コアの外周面3a上に所定の間隔を開けて金線2aが略螺旋状に巻回形成された導体巻線4とを有し、
前記導体巻線4が所定の巻形状に形成される一方の端部4aと、
該一方の端部4aよりも大径な所定の巻形状に形成される他方の端部4bと、
を有することを特徴とする高周波用チョークコイル。
【0011】
このような高周波用チョークコイルによれば、導体巻線4の両端の一方の端部4a(小径部)が小径に形成され、他方の端部4bが大径(大径部)に形成されることによって、インダクタンス値等の電気特性を向上させることが可能となる。また、導体巻線4を形成する金線2a,2a間に隙間を開けることによって、チョークコイル1に高電流を流した際に導通を起こすことを防ぐことが可能となる。
【0012】
さらに、コア3に電波吸収体を用いることによって高周波用チョークコイル1としての高周波特性を得ることが可能となる。
【0013】
また、金線2aで導体巻線4を構成することによって、チョークコイル1を電気部品やセラミック基板上の金パターンに直接ボンディングすることが可能となる。これによって中継端子が不要となるため、省スペース化が可能となり、高周波特性の向上も可能となる。
【0014】
そして、線材2が金線2aであり絶縁被膜を用いていないため、チョークコイル1を製造する際、絶縁被膜を剥がす手間を省くことが可能となる。つまり、容易にチョークコイル1を製造することが可能となる。
さらに、これまで絶縁被膜を完全に剥がしきれないことで発生していた不良品のチョークコイルを無くすことが可能となる。つまり、歩留まりよくチョークコイル1を得ることが可能となる。
また、絶縁被膜から発生していた塩素等のハロゲン系の腐食性ガスによるマイグレーション等を抑制することが可能となる。
【0015】
また、この発明の高周波用チョークコイルの製造方法によれば、小径の一方の端部から大径の他方の端部にかけて外径が拡大する形状の治具5を用い、線材2と治具用線材20とを、前記一方の端部から他方の端部に向けて、前記治具5の外周面に二重螺旋を描くように、前記各線材2,20を互い違いに巻回させて二重巻線11を形成する第1の工程と、
前記二重巻線11が形成された後、該二重巻線11から前記治具5を取り外す第2の工程と、
前記二重巻線11の中空部分にコア3を装填する第3の工程と、
前記二重巻線11から前記治具用線材20のみを取り外す第4の工程と、
からなることを特徴とする。
【0016】
このような製造方法によれば、コイル製造用の治具5を用いて線材2と治具用線材20を巻回させていくため、チョークコイル1に必要な所定の隙間を治具用線材20によって決めることが可能となる。また、両線材2,20は治具5の小径となる一端側から大径の他端側に向けて外周面に巻回していくので、線材2の巻き付け操作が容易である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明による高周波用チョークコイルの実施の形態を示す斜視図、図2は高周波用チョークコイルに充填されるコアを示す斜視図、図3は高周波用チョークコイルの製造方法を示す工程図、図4は高周波用チョークコイルの製造方法を示す側断面図である。
【0018】
本発明の高周波用チョークコイル1は、図1に示すように、コア3と導体巻線4によって構成されている。
【0019】
まず、コア3について説明する。本実施の形態では、コア3は、固体状の電波吸収体を採用しおり、略円錐形状に形成されている。このコア3の両端のうち一端側が小径に形成され、他端側が大径に形成されている。なお、この電波吸収体は、カーボン,フェライトなどの磁性材料によって構成されている。また、本実施の形態では、図1及び図2に示すように、コア3は、後述する巻回形成された導体巻線4の内部に充填されている。
【0020】
次に、導体巻線4について説明する。導体巻線4は、線材2を巻回形成して構成されている。なお、この線材2は、直径が10μm程度の金線2aとされる。この導体巻線4は、上記したコア3の外形状に対応した形状とされ、略円錐螺旋状に形成されている。図1に示すように、導体巻線4は、小径に形成される一方の端部としての小径部4aと、大径に形成される他方の端部としての大径部4bを備え、これら小径部4aと大径部4bとの間を形成する中途部4cは、金線2a同士が密着せず、所定の間隔を開けて略螺旋状に巻回形成されている。そして、導体巻線4はコア3の外周面3aに略螺旋状に巻回されるようになり、このコア3と略一体な構造となる。
なお、導体巻線4を構成する線材2は、金,銀,銅,ニッケルやこれらの合金などの金属素材よりなるが、高周波用途であることから、好ましくは金を素材とした構成とされる。また、本実施の形態で用いられる金線2aを含むこの線材2は、金属素材のみで構成され、従来のような絶縁被覆層などは存在しない。
【0021】
また、本実施の形態では、この導体巻線4は、軸線方向の長さが2.5mmとされ、小径部4aの直径(外径)が0.2mmとされ、大径部4bの直径(外径)が1.0mmとされる。
【0022】
この実施の形態によれば、導体巻線4の両端のうち一方の端部4a(小径部)が小径に形成され、他方の端部4b(大径部)が大径に形成されることによって、インダクタンス値等の電気特性を向上させることができる。
【0023】
また、導体巻線4を形成する際、巻回されている金線2a,2a間に隙間を開けることによって、絶縁体を用いなくても導通を起こすことを防ぐことが可能となる。つまり、チョークコイル1を構成する部品点数を減らし、単純な構造とすることができる。
【0024】
また、導体巻線4の内部にコア3を充填させることで、高周波用チョークコイル1としての高周波特性を得ることができる。
【0025】
さらに、導体巻線4を金線2aとすることによって、チョークコイル1を電気部品やセラミック基板上の金パターンに直接ボンディングすることが可能となる。つまり、中継端子が不要となり、省スペース化が可能となる。さらに、高周波特性の向上も可能となる。
【0026】
また、本実施の形態では線材2が金線2aであり絶縁被膜を用いていないため、チョークコイル1を製造する際、絶縁被膜を剥がす手間を省くことが可能となる。従って、容易にチョークコイル1を製造することができる。
さらに、絶縁被膜を完全に剥がし切れないことで発生していた不良品のチョークコイル1を無くすことが可能となる。つまり、歩留まりよくチョークコイル1を得ることができる。
また、絶縁被膜から発生していた塩素等のハロゲン系の腐食性ガスによるマイグレーション等を抑制することが可能となる。
【0027】
なお、本実施の形態では、導体巻線4の形状を略円錐形としたが、図5(a)に示すように、導体巻線4の一方の端部4aが小径に形成され、他方の端部4bが大径に形成されて、中途部4cが、一方の端部4aから他方の端部4bにかけて段階的に外径が大きくなる複数の略円柱形状に巻回形成されたものが組み合わされ、略階段状に形成されている形状としてもよい。これにより、上記と同様の効果が得られる。
【0028】
また、図5(b)に示すように、中途部4cが、略円錐形状に巻回形成されているものと、略円柱形状に巻回形成されているものとを組み合わせた構成としてもよい。これによっても、上記と同様の効果が得られる。
【0029】
さらに、図5(c)に示すように、中途部4cが、一方の端部4aから他方の端部4bにかけて角筒形状と角錘形状を組み合せた形状となるような構成としてもよい。これによっても、上記と同様の効果が得られる。
また、中途部4cが角錐形状になるように巻回形成されていてもよい。これによっても、上記と同様の効果が得られる。
【0030】
さらに、本実施の形態では、図2に示すように、コア3は略円錐形状とし、導体巻線4の内部に充填されている構成としたが、図6に示すように、コア3が導体巻線4の両端部のうち小径部4a側にのみ配置されている構成としてもよい。この種のコイル1では電波吸収体としての機能は小径部側に配置した方がより効果的に発揮されるので、このような構成でも要求される高周波特性を十分に達成し得る場合がある。また、このようにすれば、導体巻線4の内部の全体に充填する場合に比べてチョークコイル1の軽量化が可能となる。
【0031】
また、本実施の形態では、コア3は、固体状の電波吸収体を採用しているが、製造時にて液体状の電波吸収体を用い、その後電波吸収体を固化させてコア3とする構成としてもよい。これにより、コア3を導体巻線4の形状に関係なく導体巻線4の内部に充填することが可能となる。従って、予めコア3を導体巻線4の形状にあわせて形成する手間を省くことができる。
【0032】
次に、本発明の高周波用チョークコイルの製造方法について説明する。この製造方法により得られる高周波用チョークコイルによれば、絶縁被膜を用いずに、高電流(100mA〜400mA)を流しても導通などを起こすことのないチョークコイル1を製造することができる。
【0033】
なお、図3に示すように、この製造方法にはコイル製造用の治具5が使用されている。この治具5は、支持棒6と巻付部7と保持部8とで略構成されている。支持棒6は、略円柱状に形成されている。この支持棒6の両端は略円形の端面となっている。
この支持棒6は、例えば回転機構などに連結され、治具5を、中心軸線Xを回転軸として左右いずれかへ回転することができる。また、治具5を軸線方向Yに移動可能な機構へ連結し、同方向へ移動することができる。
さらに、支持棒6の一方の端面には、軸線方向Yに延出して、徐々に小径となっていく略円錐形状の巻付部7が設けられている。なお、この巻付部7は、導体巻線4の内部の形状と同等の形状となる。
また、巻付部7の小径側となる端面には先端面9が形成されている。さらに、先端面9上には保持部8が設けられている。
保持部8は、略円柱状に形成されている二本の引掛棒10,10によって構成されている。この引掛棒10,10は、先端面9上に軸線方向Yと同方向を向くとともに先端面9の周縁近傍のそれぞれ対向する位置に突設されている。
【0034】
また、導体巻線4を構成する線材2に所定の隙間を開けるために使用する治具用線材20は、図4に示すように、線材本体21の外周面上に樹脂層22が被覆されている。さらに、この樹脂層22の外周面上には接着層23が被覆されている構成となっている。なお、本実施の形態では、線材本体21には銅線を使用しており、樹脂層22はポリウレタンによって構成され、接着層23は接着剤によって構成されている。
【0035】
この高周波用チョークコイルの製造方法は、4つの工程によって略構成されている。
【0036】
(1)第1の工程
この工程では、線材2と治具用線材20とをコイル製造用の治具5に巻回させる。具体的には、図3(a)に示すように、線材2と治具用線材20を保持部8の二本の引掛棒10,10に並べて挿通させる。そして、治具5を中心軸線Xを回転軸として左右いずれかへ回転させる。この両線材(本実施の形態では金線2aとされる線材2と治具用線材20を意味する。以下同じ。)は、巻付部7の小径側から巻き始められ、巻付部7の外周面に沿って巻回され、大径側まで巻回される。そのとき線材2と治具用線材20は、巻付部7の外周面上で二重螺旋を描く様に巻回させ、二重巻線11が形成される。
【0037】
なお、本実施の形態では、接着層23が被覆されている治具用線材20が使用されている。そのため第1の工程において、両線材2,20は、この接着層23によって仮固定され、位置・形状を保持している状態となる。
【0038】
また、形成された二重巻線11にアルコールや熱を加える後処理によって、両線材2,20のこの仮固定をさらに確実に行うことができる。または、接着層23はそのままでは接着機能がないが、二重巻線11を形成した後にかかる後処理をすることにより、接着機能が発揮されて二重巻線11の形状が保持されるようにしてもよい。
【0039】
(2)第2の工程
この工程では、形成された二重巻線11を治具5から取り外す。具体的には、二重巻線11を所定位置に保持しつつ、図3(b)に示すように、治具5を軸線方向Yにおいて先端側と反対方向へ後退させて二重巻線11を治具5から取り外す。
【0040】
(3)第3の工程
この工程では、治具5から取り外された二重巻線11の内部にコア3を装填する。具体的には、図3(c)に示すように、二重巻線11の内形状に略一致する略円錐形に形成された固体状のコア3を二重巻線11の大径となる端部側から装填する。
【0041】
(4)第4の工程
この工程では、二重巻線11から治具用線材20のみを取り外す。これにより、図3(d)に示すように、線材2のみで構成され、所定の隙間を開けて略螺旋状に巻回されている導体巻線4が形成される。
【0042】
以上の工程を順次行わせることにより、略円錐形状のコア3の外周面3a上に線材2のみが所定の隙間を開けて略螺旋状に巻回形成されている高周波用チョークコイル1が製造される。
【0043】
この実施の形態によれば、コイル製造用の治具5を用いて線材2と治具用線材20を並列に巻回させていくため、治具用線材20によって導体巻線4に形成される所定の隙間を決めることが可能となり、また、二重巻線11から治具用線材20のみを取り外すという簡単な作業で一定の隙間を開けて略螺旋形状に巻回形成された導体巻線4を得ることが可能となる。
【0044】
さらに、両線材2,20は治具5の小径となる一端側から大径の他端側に向けて外周面に巻回していくので、線材2の巻き付け操作が容易である。
【0045】
なお、上述した実施の形態では、第1の工程において、治具5を回転させる機構を用いて両線材2,20を巻付部7に巻回させる工程としたが、治具5はそのまま定置され、線材2,20側が治具5の外周を旋回する機構を用いて、両線材2,20を巻付部7に巻回させる構成とした工程としてもよい。これによっても、上記と同様の効果が得られる。
【0046】
また、上述した実施の形態では、第3の工程において、固体状のコア3を二重巻線11内に充填しているが、二重巻線11の小径部4a側に蓋をして大径部4b側から液体状の電波吸収体を流し込み、二重巻線11内に充填させ、その後、この液体状の電波吸収体を固化させたものをコア3としてもよい。これにより、コア3を導体巻線4の形状にあわせて予め所定形状に形成させる手間を省くことが可能となる。
【0047】
さらに、導体巻線4の小径部4a側にのみコア3を設ける構成とした場合、第3の工程において、二重巻線11の内部にシートを円錐台形にした支持部材を入れて、これを支えとして治具用線材20を取り外す工程としてもよい。これにより、線材2が支持部材に支持されることで、螺旋形状を崩すことなく二重巻線11から治具用線材20を取り外すことが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による高周波用チョークコイルによれば、導体巻線の両端のうち一方の端部(小径部)が小径に形成され、他方の端部(大径部)が大径に形成されることによって、インダクタンス値等の電気特性を向上させることができる。
【0049】
また、導体巻線を形成する際、巻回されることによって隣り合う金線同士の間に隙間を開けることによって、絶縁体を用いなくても導通を起こさないチョークコイルを得ることができる。また、これにより、チョークコイルを構成する部品点数を減らし、単純な構造とすることができる。
【0050】
さらに、コアに電波吸収体を用いることによって、高周波用チョークコイルとしての高周波特性を得ることができる。
【0051】
また、金線で導体巻線を構成することによって、チョークコイルを電気部品やセラミック基板上の金パターンに直接ボンディングすることができる。また、これにより、従来必要であった中継端子が不要となり、省スペース化を図ることができ、高周波特性を向上させることができる。
【0052】
さらに、線材が金線であり絶縁被膜を用いていないため、チョークコイルを製造する際、絶縁被膜を剥がす手間を省くことができる。従って、容易にチョークコイルを製造することができる。
また、絶縁被膜を完全に剥がしきれないことで発生していた不良品のチョークコイルを無くすことができる。つまり、歩留まりよくチョークコイルを得ることができる。
さらに、これまで絶縁被膜から発生していた塩素等のハロゲン系の腐食性ガスによるマイグレーション等を抑制することができる。
【0053】
また、本発明による高周波用チョークコイルの製造方法によれば、コイル製造用の治具を用いて線材と治具用線材を並列に巻回させていくため、治具用線材によって導体巻線に形成される所定の隙間を決めることができ、さらに、二重巻線から治具用線材のみを取り外すという簡単な作業で一定の隙間を開けて略螺旋形状に巻回形成された導体巻線を得ることができる。
【0054】
さらに、両線材は治具の小径となる一端側から大径の他端側に向けて外周面に巻回していくので、線材の巻き付け操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波用チョークコイルの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の高周波用チョークコイルを構成するコアの一実施の形態を示す斜視図である。
【図3】本発明の高周波用チョークコイルの製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の高周波用チョークコイルを構成する一実施の形態を示す断面図である。
【図5】(a)本発明の高周波用チョークコイルを構成する導体巻線の他の実施の形態を示す斜視図である。
(b)本発明の高周波用チョークコイルを構成する導体巻線の他の実施の形態を示す斜視図である。
(c)本発明の高周波用チョークコイルを構成する導体巻線の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】本発明の高周波用チョークコイルを構成するコアの他の実施の形態を示す斜視図である。
【図7】従来のコイルのを構成する絶縁電線の一実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
2…線材
2a…線材としての金線
3…コア
3a…外周面
4…導体巻線
4a…一方の端部(小径部)
4b…他方の端部(大径部)
4c…中途部
5…治具
11…二重巻線
20…治具用線材
23…接着層
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波アンプ,ドライバにおいて、FET,バイアスなどに用いられ、例えば、10Gb/sから40Gb/sの高周波帯で使用可能な高周波用チョークコイル及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コイルは、各種電子機器、通信機器などに多用されており、近年は小型あるいは薄型のコイルがますます要求されており、しかも、回路の高周波化やデジタル化に伴ってノイズ対策部品としての高周波用コイルもますます重要になって来ている。
【0003】
従来、コイルには様々な種類、形状のものがあるが、その中の一つとして下記特許文献1に開示され、図7に示すように、耐ハンダ溶食性を有する絶縁被覆が施された絶縁電線105を巻回して形成したものがあった。この絶縁電線105は、銅または銅合金からなる導体101の外周に鉄または鉄ニッケル合金メッキ層102とハンダ濡れ性の良い金属メッキ層103とハンダ付け可能な絶縁被覆104とを順次設けたものであった。
【0004】
この絶縁電線105の金属メッキ層103は銅、ニッケル、銅ニッケル合金、金合金、銀、または銀合金のいずれかのメッキ層からなる。また、絶縁電線105の絶縁被覆104は、ポリウレタン塗料、ポリエステル塗料またはポリエステルイミド塗料を塗布焼付けした絶縁被覆から構成されていた。
【0005】
また、従来のコイルの製造方法は、所定形状に加工された治工具にポリウレタン銅線を密接巻きし、接着剤等でポリウレタン銅線がほどけないように固めて治工具から取り外した後に、液体状の電波吸収体を所定形状に巻回形成されたポリウレタン銅線に充填して固めていた。さらに、ポリウレタン銅線の端末は、ポリウレタン被覆をSnPbハンダ等で溶融して溶かした後に金メッキを施していた。また、銅線に予め金メッキを施した後にポリウレタン被覆を行ったものもあった。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−121237号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のコイルは、その製造過程において、ポリウレタン被覆を剥がすためにハンダや溶剤を使用していたため手間が多くかかっていた。また、完全に被覆を剥がしきれないものが発生して不良品が発生していた。さらに、ポリウレタンを使用していたためにポリウレタンから塩素等のハロゲン系の腐食性ガスが発生しマイグレーション等が発生することがあった。
【0008】
また、上記の他にも、セラミック基板上の金パターンや表面が金電極の電気部品に接続する方法として、ハンダ付けや導電性接着剤を用いる手法があったが、接着面積が小さいMMIC等のベアチップ上のボンディングパッドには接続することができなかった。そのため、中継端子等を介して接続しなければならないという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解消するために、直接ボンディングパッドに接続して、コイルの高周波特性を向上させ、省スペース化を図ることを第1の目的としている。また、その製造過程において、被膜を剥がす手間を無くし、完全に被膜を剥がしきれないことによるコイルの不良品を無くし、ガスの発生を低減させることを第2の目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
次に、上記課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の高周波用チョークコイルによれば、電波吸収体よりなるコア3と、該コアの外周面3a上に所定の間隔を開けて金線2aが略螺旋状に巻回形成された導体巻線4とを有し、
前記導体巻線4が所定の巻形状に形成される一方の端部4aと、
該一方の端部4aよりも大径な所定の巻形状に形成される他方の端部4bと、
を有することを特徴とする高周波用チョークコイル。
【0011】
このような高周波用チョークコイルによれば、導体巻線4の両端の一方の端部4a(小径部)が小径に形成され、他方の端部4bが大径(大径部)に形成されることによって、インダクタンス値等の電気特性を向上させることが可能となる。また、導体巻線4を形成する金線2a,2a間に隙間を開けることによって、チョークコイル1に高電流を流した際に導通を起こすことを防ぐことが可能となる。
【0012】
さらに、コア3に電波吸収体を用いることによって高周波用チョークコイル1としての高周波特性を得ることが可能となる。
【0013】
また、金線2aで導体巻線4を構成することによって、チョークコイル1を電気部品やセラミック基板上の金パターンに直接ボンディングすることが可能となる。これによって中継端子が不要となるため、省スペース化が可能となり、高周波特性の向上も可能となる。
【0014】
そして、線材2が金線2aであり絶縁被膜を用いていないため、チョークコイル1を製造する際、絶縁被膜を剥がす手間を省くことが可能となる。つまり、容易にチョークコイル1を製造することが可能となる。
さらに、これまで絶縁被膜を完全に剥がしきれないことで発生していた不良品のチョークコイルを無くすことが可能となる。つまり、歩留まりよくチョークコイル1を得ることが可能となる。
また、絶縁被膜から発生していた塩素等のハロゲン系の腐食性ガスによるマイグレーション等を抑制することが可能となる。
【0015】
また、この発明の高周波用チョークコイルの製造方法によれば、小径の一方の端部から大径の他方の端部にかけて外径が拡大する形状の治具5を用い、線材2と治具用線材20とを、前記一方の端部から他方の端部に向けて、前記治具5の外周面に二重螺旋を描くように、前記各線材2,20を互い違いに巻回させて二重巻線11を形成する第1の工程と、
前記二重巻線11が形成された後、該二重巻線11から前記治具5を取り外す第2の工程と、
前記二重巻線11の中空部分にコア3を装填する第3の工程と、
前記二重巻線11から前記治具用線材20のみを取り外す第4の工程と、
からなることを特徴とする。
【0016】
このような製造方法によれば、コイル製造用の治具5を用いて線材2と治具用線材20を巻回させていくため、チョークコイル1に必要な所定の隙間を治具用線材20によって決めることが可能となる。また、両線材2,20は治具5の小径となる一端側から大径の他端側に向けて外周面に巻回していくので、線材2の巻き付け操作が容易である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明による高周波用チョークコイルの実施の形態を示す斜視図、図2は高周波用チョークコイルに充填されるコアを示す斜視図、図3は高周波用チョークコイルの製造方法を示す工程図、図4は高周波用チョークコイルの製造方法を示す側断面図である。
【0018】
本発明の高周波用チョークコイル1は、図1に示すように、コア3と導体巻線4によって構成されている。
【0019】
まず、コア3について説明する。本実施の形態では、コア3は、固体状の電波吸収体を採用しおり、略円錐形状に形成されている。このコア3の両端のうち一端側が小径に形成され、他端側が大径に形成されている。なお、この電波吸収体は、カーボン,フェライトなどの磁性材料によって構成されている。また、本実施の形態では、図1及び図2に示すように、コア3は、後述する巻回形成された導体巻線4の内部に充填されている。
【0020】
次に、導体巻線4について説明する。導体巻線4は、線材2を巻回形成して構成されている。なお、この線材2は、直径が10μm程度の金線2aとされる。この導体巻線4は、上記したコア3の外形状に対応した形状とされ、略円錐螺旋状に形成されている。図1に示すように、導体巻線4は、小径に形成される一方の端部としての小径部4aと、大径に形成される他方の端部としての大径部4bを備え、これら小径部4aと大径部4bとの間を形成する中途部4cは、金線2a同士が密着せず、所定の間隔を開けて略螺旋状に巻回形成されている。そして、導体巻線4はコア3の外周面3aに略螺旋状に巻回されるようになり、このコア3と略一体な構造となる。
なお、導体巻線4を構成する線材2は、金,銀,銅,ニッケルやこれらの合金などの金属素材よりなるが、高周波用途であることから、好ましくは金を素材とした構成とされる。また、本実施の形態で用いられる金線2aを含むこの線材2は、金属素材のみで構成され、従来のような絶縁被覆層などは存在しない。
【0021】
また、本実施の形態では、この導体巻線4は、軸線方向の長さが2.5mmとされ、小径部4aの直径(外径)が0.2mmとされ、大径部4bの直径(外径)が1.0mmとされる。
【0022】
この実施の形態によれば、導体巻線4の両端のうち一方の端部4a(小径部)が小径に形成され、他方の端部4b(大径部)が大径に形成されることによって、インダクタンス値等の電気特性を向上させることができる。
【0023】
また、導体巻線4を形成する際、巻回されている金線2a,2a間に隙間を開けることによって、絶縁体を用いなくても導通を起こすことを防ぐことが可能となる。つまり、チョークコイル1を構成する部品点数を減らし、単純な構造とすることができる。
【0024】
また、導体巻線4の内部にコア3を充填させることで、高周波用チョークコイル1としての高周波特性を得ることができる。
【0025】
さらに、導体巻線4を金線2aとすることによって、チョークコイル1を電気部品やセラミック基板上の金パターンに直接ボンディングすることが可能となる。つまり、中継端子が不要となり、省スペース化が可能となる。さらに、高周波特性の向上も可能となる。
【0026】
また、本実施の形態では線材2が金線2aであり絶縁被膜を用いていないため、チョークコイル1を製造する際、絶縁被膜を剥がす手間を省くことが可能となる。従って、容易にチョークコイル1を製造することができる。
さらに、絶縁被膜を完全に剥がし切れないことで発生していた不良品のチョークコイル1を無くすことが可能となる。つまり、歩留まりよくチョークコイル1を得ることができる。
また、絶縁被膜から発生していた塩素等のハロゲン系の腐食性ガスによるマイグレーション等を抑制することが可能となる。
【0027】
なお、本実施の形態では、導体巻線4の形状を略円錐形としたが、図5(a)に示すように、導体巻線4の一方の端部4aが小径に形成され、他方の端部4bが大径に形成されて、中途部4cが、一方の端部4aから他方の端部4bにかけて段階的に外径が大きくなる複数の略円柱形状に巻回形成されたものが組み合わされ、略階段状に形成されている形状としてもよい。これにより、上記と同様の効果が得られる。
【0028】
また、図5(b)に示すように、中途部4cが、略円錐形状に巻回形成されているものと、略円柱形状に巻回形成されているものとを組み合わせた構成としてもよい。これによっても、上記と同様の効果が得られる。
【0029】
さらに、図5(c)に示すように、中途部4cが、一方の端部4aから他方の端部4bにかけて角筒形状と角錘形状を組み合せた形状となるような構成としてもよい。これによっても、上記と同様の効果が得られる。
また、中途部4cが角錐形状になるように巻回形成されていてもよい。これによっても、上記と同様の効果が得られる。
【0030】
さらに、本実施の形態では、図2に示すように、コア3は略円錐形状とし、導体巻線4の内部に充填されている構成としたが、図6に示すように、コア3が導体巻線4の両端部のうち小径部4a側にのみ配置されている構成としてもよい。この種のコイル1では電波吸収体としての機能は小径部側に配置した方がより効果的に発揮されるので、このような構成でも要求される高周波特性を十分に達成し得る場合がある。また、このようにすれば、導体巻線4の内部の全体に充填する場合に比べてチョークコイル1の軽量化が可能となる。
【0031】
また、本実施の形態では、コア3は、固体状の電波吸収体を採用しているが、製造時にて液体状の電波吸収体を用い、その後電波吸収体を固化させてコア3とする構成としてもよい。これにより、コア3を導体巻線4の形状に関係なく導体巻線4の内部に充填することが可能となる。従って、予めコア3を導体巻線4の形状にあわせて形成する手間を省くことができる。
【0032】
次に、本発明の高周波用チョークコイルの製造方法について説明する。この製造方法により得られる高周波用チョークコイルによれば、絶縁被膜を用いずに、高電流(100mA〜400mA)を流しても導通などを起こすことのないチョークコイル1を製造することができる。
【0033】
なお、図3に示すように、この製造方法にはコイル製造用の治具5が使用されている。この治具5は、支持棒6と巻付部7と保持部8とで略構成されている。支持棒6は、略円柱状に形成されている。この支持棒6の両端は略円形の端面となっている。
この支持棒6は、例えば回転機構などに連結され、治具5を、中心軸線Xを回転軸として左右いずれかへ回転することができる。また、治具5を軸線方向Yに移動可能な機構へ連結し、同方向へ移動することができる。
さらに、支持棒6の一方の端面には、軸線方向Yに延出して、徐々に小径となっていく略円錐形状の巻付部7が設けられている。なお、この巻付部7は、導体巻線4の内部の形状と同等の形状となる。
また、巻付部7の小径側となる端面には先端面9が形成されている。さらに、先端面9上には保持部8が設けられている。
保持部8は、略円柱状に形成されている二本の引掛棒10,10によって構成されている。この引掛棒10,10は、先端面9上に軸線方向Yと同方向を向くとともに先端面9の周縁近傍のそれぞれ対向する位置に突設されている。
【0034】
また、導体巻線4を構成する線材2に所定の隙間を開けるために使用する治具用線材20は、図4に示すように、線材本体21の外周面上に樹脂層22が被覆されている。さらに、この樹脂層22の外周面上には接着層23が被覆されている構成となっている。なお、本実施の形態では、線材本体21には銅線を使用しており、樹脂層22はポリウレタンによって構成され、接着層23は接着剤によって構成されている。
【0035】
この高周波用チョークコイルの製造方法は、4つの工程によって略構成されている。
【0036】
(1)第1の工程
この工程では、線材2と治具用線材20とをコイル製造用の治具5に巻回させる。具体的には、図3(a)に示すように、線材2と治具用線材20を保持部8の二本の引掛棒10,10に並べて挿通させる。そして、治具5を中心軸線Xを回転軸として左右いずれかへ回転させる。この両線材(本実施の形態では金線2aとされる線材2と治具用線材20を意味する。以下同じ。)は、巻付部7の小径側から巻き始められ、巻付部7の外周面に沿って巻回され、大径側まで巻回される。そのとき線材2と治具用線材20は、巻付部7の外周面上で二重螺旋を描く様に巻回させ、二重巻線11が形成される。
【0037】
なお、本実施の形態では、接着層23が被覆されている治具用線材20が使用されている。そのため第1の工程において、両線材2,20は、この接着層23によって仮固定され、位置・形状を保持している状態となる。
【0038】
また、形成された二重巻線11にアルコールや熱を加える後処理によって、両線材2,20のこの仮固定をさらに確実に行うことができる。または、接着層23はそのままでは接着機能がないが、二重巻線11を形成した後にかかる後処理をすることにより、接着機能が発揮されて二重巻線11の形状が保持されるようにしてもよい。
【0039】
(2)第2の工程
この工程では、形成された二重巻線11を治具5から取り外す。具体的には、二重巻線11を所定位置に保持しつつ、図3(b)に示すように、治具5を軸線方向Yにおいて先端側と反対方向へ後退させて二重巻線11を治具5から取り外す。
【0040】
(3)第3の工程
この工程では、治具5から取り外された二重巻線11の内部にコア3を装填する。具体的には、図3(c)に示すように、二重巻線11の内形状に略一致する略円錐形に形成された固体状のコア3を二重巻線11の大径となる端部側から装填する。
【0041】
(4)第4の工程
この工程では、二重巻線11から治具用線材20のみを取り外す。これにより、図3(d)に示すように、線材2のみで構成され、所定の隙間を開けて略螺旋状に巻回されている導体巻線4が形成される。
【0042】
以上の工程を順次行わせることにより、略円錐形状のコア3の外周面3a上に線材2のみが所定の隙間を開けて略螺旋状に巻回形成されている高周波用チョークコイル1が製造される。
【0043】
この実施の形態によれば、コイル製造用の治具5を用いて線材2と治具用線材20を並列に巻回させていくため、治具用線材20によって導体巻線4に形成される所定の隙間を決めることが可能となり、また、二重巻線11から治具用線材20のみを取り外すという簡単な作業で一定の隙間を開けて略螺旋形状に巻回形成された導体巻線4を得ることが可能となる。
【0044】
さらに、両線材2,20は治具5の小径となる一端側から大径の他端側に向けて外周面に巻回していくので、線材2の巻き付け操作が容易である。
【0045】
なお、上述した実施の形態では、第1の工程において、治具5を回転させる機構を用いて両線材2,20を巻付部7に巻回させる工程としたが、治具5はそのまま定置され、線材2,20側が治具5の外周を旋回する機構を用いて、両線材2,20を巻付部7に巻回させる構成とした工程としてもよい。これによっても、上記と同様の効果が得られる。
【0046】
また、上述した実施の形態では、第3の工程において、固体状のコア3を二重巻線11内に充填しているが、二重巻線11の小径部4a側に蓋をして大径部4b側から液体状の電波吸収体を流し込み、二重巻線11内に充填させ、その後、この液体状の電波吸収体を固化させたものをコア3としてもよい。これにより、コア3を導体巻線4の形状にあわせて予め所定形状に形成させる手間を省くことが可能となる。
【0047】
さらに、導体巻線4の小径部4a側にのみコア3を設ける構成とした場合、第3の工程において、二重巻線11の内部にシートを円錐台形にした支持部材を入れて、これを支えとして治具用線材20を取り外す工程としてもよい。これにより、線材2が支持部材に支持されることで、螺旋形状を崩すことなく二重巻線11から治具用線材20を取り外すことが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による高周波用チョークコイルによれば、導体巻線の両端のうち一方の端部(小径部)が小径に形成され、他方の端部(大径部)が大径に形成されることによって、インダクタンス値等の電気特性を向上させることができる。
【0049】
また、導体巻線を形成する際、巻回されることによって隣り合う金線同士の間に隙間を開けることによって、絶縁体を用いなくても導通を起こさないチョークコイルを得ることができる。また、これにより、チョークコイルを構成する部品点数を減らし、単純な構造とすることができる。
【0050】
さらに、コアに電波吸収体を用いることによって、高周波用チョークコイルとしての高周波特性を得ることができる。
【0051】
また、金線で導体巻線を構成することによって、チョークコイルを電気部品やセラミック基板上の金パターンに直接ボンディングすることができる。また、これにより、従来必要であった中継端子が不要となり、省スペース化を図ることができ、高周波特性を向上させることができる。
【0052】
さらに、線材が金線であり絶縁被膜を用いていないため、チョークコイルを製造する際、絶縁被膜を剥がす手間を省くことができる。従って、容易にチョークコイルを製造することができる。
また、絶縁被膜を完全に剥がしきれないことで発生していた不良品のチョークコイルを無くすことができる。つまり、歩留まりよくチョークコイルを得ることができる。
さらに、これまで絶縁被膜から発生していた塩素等のハロゲン系の腐食性ガスによるマイグレーション等を抑制することができる。
【0053】
また、本発明による高周波用チョークコイルの製造方法によれば、コイル製造用の治具を用いて線材と治具用線材を並列に巻回させていくため、治具用線材によって導体巻線に形成される所定の隙間を決めることができ、さらに、二重巻線から治具用線材のみを取り外すという簡単な作業で一定の隙間を開けて略螺旋形状に巻回形成された導体巻線を得ることができる。
【0054】
さらに、両線材は治具の小径となる一端側から大径の他端側に向けて外周面に巻回していくので、線材の巻き付け操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波用チョークコイルの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の高周波用チョークコイルを構成するコアの一実施の形態を示す斜視図である。
【図3】本発明の高周波用チョークコイルの製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の高周波用チョークコイルを構成する一実施の形態を示す断面図である。
【図5】(a)本発明の高周波用チョークコイルを構成する導体巻線の他の実施の形態を示す斜視図である。
(b)本発明の高周波用チョークコイルを構成する導体巻線の他の実施の形態を示す斜視図である。
(c)本発明の高周波用チョークコイルを構成する導体巻線の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】本発明の高周波用チョークコイルを構成するコアの他の実施の形態を示す斜視図である。
【図7】従来のコイルのを構成する絶縁電線の一実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
2…線材
2a…線材としての金線
3…コア
3a…外周面
4…導体巻線
4a…一方の端部(小径部)
4b…他方の端部(大径部)
4c…中途部
5…治具
11…二重巻線
20…治具用線材
23…接着層
Claims (2)
- 電波吸収体よりなるコア(3)と、該コアの外周面(3a)上に所定の間隔を開けて金線(2a)が略螺旋状に巻回形成された導体巻線(4)とを有し、
前記導体巻線が所定の巻形状に形成される一方の端部(4a)と、
該一方の端部よりも大径な所定の巻形状に形成される他方の端部(4b)と、
を有することを特徴とする高周波用チョークコイル。 - 小径の一方の端部から大径の他方の端部にかけて外径が拡大する形状の治具(5)を用い、線材(2)と治具用線材(20)とを、前記一方の端部から他方の端部に向けて、前記治具の外周面に二重螺旋を描くように、前記各線材を互い違いに巻回させて二重巻線(11)を形成する第1の工程と、
前記二重巻線が形成された後、該二重巻線から前記治具を取り外す第2の工程と、
前記二重巻線の中空部分にコアを装填する第3の工程と、
前記二重巻線から前記治具用線材のみを取り外す第4の工程と、
からなることを特徴とする高周波用チョークコイルの製造方法。
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- 2003-02-28 JP JP2003053828A patent/JP2004266047A/ja active Pending
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