JP2005243536A - 非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】正極活物質のタップ密度を減少させずに、非水電解質二次電池のサイクル寿命特性とその正極活物質の熱安定性の両方を最大限に向上させる。
【解決手段】LiとNiとを含む複合酸化物の粒子からなり、前記複合酸化物は、さらに元素M1および元素M2を含んでおり、元素M1は、Cr、Mn、FeおよびCoよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、元素M2は、13族に属する元素(B、Al、Ga、In、Tl)およびMg、Ca、Ba、Sr、Yよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、元素M1は、前記粒子中に均一に分布しており、元素M2は、前記粒子の内部よりも表層部に多く分布している非水電解質二次電池用正極活物質。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法に関する。
近年、民生用電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源を担う小型・軽量で、高エネルギー密度を有する二次電池への要望も高まっている。このような観点から、非水電解質二次電池、特に、高電圧・高エネルギー密度を有するリチウム二次電池への期待は大きく、その開発が急がれている。
近年、リチウム含有複合酸化物を正極活物質として含み、炭素材料を負極材料として含む電池が、高エネルギー密度のリチウム二次電池として注目を集めている。リチウム含有複合酸化物としてはLiCoO2が実用化されている。さらなる高容量を目指して、LiNiO2を実用化する試みも盛んであるが、LiNiO2は熱安定性が低いという問題を有しており、その実現には困難が多い。
これらの正極活物質は、充放電を行うことにより、膨張と収縮を繰り返す。この際、正極活物質には格子歪や結晶構造の破壊および粒子の割れが発生し、放電容量は低下する。そこで、これを防ぐために、ニッケルの一部を他の元素で置換することにより、結晶格子の安定化を図り、サイクル寿命特性を改善する努力がなされている。
リチウム化合物と、酸化コバルトと、添加元素の化合物とを、混合し、焼成することで、ニッケルの一部を添加元素と置換した正極活物質が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの提案によれば、ある程度まではサイクル寿命特性を向上することができる。添加元素には、Coなどのサイクル寿命特性を向上させる効果を有する元素と、Alなどの正極活物質の熱安定性を向上させる効果を有する元素が採用されている。
特開平5−242891号公報 特開平8−213015号公報
しかしながら、上記のような従来の方法では、固相同士の反応であるため、添加元素が正極活物質の表層部に偏析する傾向がある。熱安定性を向上させる効果を有する元素が表層部に偏析すると、熱安定性の向上効果が小さくなり、所望の電池特性が得られない。そこで、共沈法により、予め添加元素を含むニッケル化合物を調製し、このニッケル化合物とリチウム化合物を焼成することも考えられる。しかし、共沈法により、Alなどを含むニッケル化合物を調製すると、そのタップ密度が著しく小さくなってしまう。その結果、正極活物質のタップ密度も小さくなり、電池の容量が小さくなるという問題がある。
本発明は、上記課題を鑑みたものであり、正極活物質のタップ密度を減少させずに、非水電解質二次電池のサイクル寿命特性とその正極活物質の熱安定性の両方を最大限に向上させることを目的とする。
本発明は、LiとNiとを含む複合酸化物の粒子からなり、前記複合酸化物は、さらに元素M1および元素M2を含んでおり、元素M1は、Cr、Mn、FeおよびCoよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、元素M2は、13族に属する元素(B、Al、G
a、In、Tl)およびMg、Ca、Ba、Sr、Yよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、元素M1は、前記粒子中に均一に分布しており、元素M2は、前記粒子の内部よりも表層部に多く分布している非水電解質二次電池用正極活物質に関する。
ここで、完全に均一に元素M1が前記粒子中に分布している必要はない。粒子の内部における元素M1の分布と、粒子の表層部における元素M1の分布とが実質的に同程度であればよい。一方、元素M2は、活物質のタップ密度の減少を防ぐ観点から、前記粒子の表層部に多く分布している必要がある。具体的には、前記粒子の表層部(粒子半径をrとするとき、表面から0.3r以内の領域)には、中心部(粒子半径をrとするとき、中心から0.3r以内の領域)の1.2倍以上の濃度で元素M2が分布していることが好ましい。
なお、粒子半径rには、活物質を構成する粒子全体の平均粒径の1/2の値を用いる。ここで、平均粒径は、電子顕微鏡観察による計数法により測定したFeret径を用いた。
また、粒子の表面から0.3r以内および中心から0.3r以内の領域における元素濃度は、例えば以下の方法で測定可能である。
まず、活物質をペレット状に成形し、ペレットの表面から0.3rの深さまでの領域をスパッタリングして、その領域に含まれる元素の組成を決定する。その後、スパッタリングを続け、ペレットの表面から0.7rの深さから1rの深さまでの領域に含まれる元素の組成を決定する。こうして得られた組成から、所定元素の濃度もしくは濃度比を算出することができる。元素の組成は、二次イオン質量分析(SIMS)、飛行時間型質量分析(TOF−SIMS)、X線光電子分析(ESCA)、オージェ分光分析、X線マイクロ分析(EPMA)などにより決定することができる。
前記複合酸化物に含まれるLi、Ni、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1は、1%以上25%以下であり、前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2は、0.01%以上5%以下であることが好ましい。割合R2は、割合R1以下であることが好ましい。
前記粒子の平均粒子径は、1μm以上20μm以下であることが好ましい。
前記粒子の比表面積は、0.1m2/g以上1.2m2/g以下であることが好ましい。
本発明は、また、
(1)Cr、Mn、FeおよびCoよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素M1とNiとを含み、元素M1とNiとが均一に分布している化合物Xを調製する工程A、
(2)13族に属する元素(B、Al、Ga、In、Tl)およびMg、Ca、Ba、Sr、Yよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素M2を含む化合物Yと、化合物Xと、リチウム化合物とを、混合し、得られた混合物を加熱することにより、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物Zを得る工程B、
(3)複合酸化物Zと13族に属する元素(B、Al、Ga、In、Tl)およびMg、Ca、Ba、Sr、Yよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素M2を含む化合物Yとを混合し、得られた混合物を加熱することにより、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物を得る工程C、を有する非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法に関する。
前記方法において、前記混合物に含まれるLi、Ni、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1は、0.5%以上25%以下であり、前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2は、0.01%以上5%以下であることが好ましい。また、割合R
2は、割合R1以下であることが好ましい。
前記工程Bは、前記混合物を650℃以上1050℃以下で加熱する工程からなることが好ましい。
また、前記工程Cは、前記混合物を500℃以上850℃以下で加熱する工程からなることが好ましい。
前記リチウム化合物の平均粒子径は、2〜15μmであることが好ましい。
化合物Xの平均粒子径は、1〜20μmであることが好ましい。
化合物Yの平均粒子径は、1〜15μmであることが好ましい。
複合酸化物Zの平均粒子径は、1〜20μmであることが好ましい。
工程Aは、特に、元素M1をNiと共沈することにより、化合物XとしてM1含有水酸化ニッケルを調製する工程であり、工程Bは、化合物Yと、M1含有ニッケル水酸化物と、リチウム化合物とを、混合し、得られた混合物を加熱することにより、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物を得る工程である。また、工程Cは、複合酸化物Zと化合物Yとを混合し、得られた混合物を加熱することにより、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物を得ることが好ましい。
工程Aで元素M1をNiと共沈してM1含有ニッケル水酸化物を得る場合、M1含有ニッケル水酸化物中には、元素M1とNiとが均一に分布している。また、工程Bで、このようなM1含有ニッケル水酸化物を化合物Xに用いて、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物を得る場合、あるいは、工程Cで、LiとNiとM1とを含む複合酸化物を用いて、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物を得る場合、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物の粒子において、元素M2は内部よりも表層部に多く分布する。
本発明によれば、正極活物質のタップ密度を減少させずに、非水電解質二次電池のサイクル寿命特性とその正極活物質の熱安定性の両方を最大限に向上させることができる。
まず、本発明の正極活物質の製造方法について説明する。
(1)工程A
工程Aでは、Cr、Mn、FeおよびCoよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素M1とNiとを含み、元素M1とNiとが均一に分布している化合物Xを調製する。化合物Xには、例えばM1を含む水酸化ニッケル、M1を含む酸化ニッケル、M1を含む炭酸ニッケルなどが適する。
化合物Xの調製方法は、特に限定されないが、Ni塩とM1の塩とを溶解させた水溶液にアルカリ水溶液を注いで水酸化物を沈殿させる共沈法が好ましい。そこで、次に共沈法について説明する。
共沈法では以下の原材料を用いることができる。
まず、Ni塩には、硫酸ニッケル、硝酸ニッケルなどを用いることができる。これらは
単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、特に硫酸が好ましい。
1の塩には、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などを用いることができる。例えば、Crの塩としては、硫酸クロム、硝酸クロム、などを用いることができる。また、Mnの塩としては硫酸マンガン、硝酸マンガンなどを用いることができる。またFeの塩としては、硫酸鉄、硝酸鉄、酢酸鉄、塩化鉄、硫化鉄などを用いることができる。また、Coの塩としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルトなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
Ni塩とM1の塩とを溶解させた水溶液におけるNi塩の濃度は、例えば1.0〜1.96mol/Lであり、M1の塩の濃度は、例えば0.04〜1.0mol/Lである。
また、前記溶液に注ぐアルカリ水溶液のアルカリ濃度は、例えば10〜50質量%である。アルカリ水溶液に溶解させるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどを用いることができる。
Ni塩とM1の塩とを溶解させた水溶液およびアルカリ水溶液の温度は、いずれも特に限定されないが、例えば20℃〜60℃である。
Ni塩とM1の塩とを溶解させた水溶液に、その水溶液のpHがNiとM1が共沈するpH(一般的にはpH8以上)に制御されるように、アルカリ水溶液を連続的に滴下すると、ニッケルとM1の共沈物である水酸化物が得られる。この水酸化物を、濾過、水洗、乾燥すると、化合物Xとしての水酸化物が得られる。
(2)工程B、工程C
工程Bでは、まず、化合物Xと、リチウム化合物とを、混合する。その混合物を加熱させてLi、Ni、M1を含む複合酸化物Zを得る。工程Cでは、複合酸化物Zと化合物Yとを混合し、加熱することで、Li、Ni、M1、M2とを含む複合酸化物を得る。その際、Li、Ni、M1、M2とを含む複合酸化物に含まれるLi、Ni、M1、M2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1は、0.5%以上25%以下、さらには5%以上15%以下とし、前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2は、0.01%以上5%以下、さらには0.02%以上2.5%以下とすることがより好ましい。
前記合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1が、0.5%未満では、電池のサイクル寿命特性がほとんど向上せず、25%をこえると、正極活物質の容量が不充分になる。また、前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2が、0.01%未満では、正極活物質の熱安定性がほとんど向上せず、5%をこえると、正極活物質の容量が不充分になる。
また、割合R2は、割合R1以下であることが好ましい。割合R2が、割合R1をこえると、放電容量の低下が大きくなる。
元素M2を含む化合物Yには、例えばM2の水酸化物、M2の酸化物、M2の炭酸塩、M2の硝酸塩などが適する。例えば、Bを含む化合物としては、酸化ホウ素、ホウ酸、三フッ化ホウ素などを用いることができる。Alを含む化合物としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどを用いることができる。また、Gaを含む化合物としては、酸化ガリウムを用いることができる。また、Inを含む化合物としては、酸化インジウム、硝酸インジウム、フッ化インジウム、硫酸インジウム、塩化インジウムなどを用いることができる。また、Tlを含む化合物としては、硝酸タリウム、フッ化タリウム、酢酸タリウムなどを用いることができる
。また、Mgを含む化合物としては、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、硫化マグネシウムなどを用いることができる。Caを含む化合物としては、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどを用いることができる。また、Baを含む化合物としては、水酸化バリウム、酸化バリウムなどを用いることができる。また、Srを含む化合物としては、水酸化ストロンチウム、酸化ストロンチウムなどを用いることができる。また、Yを含む化合物としては、水酸化イットリウム、酸化イットリウムなどを用いることができる。
リチウム化合物には、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酸化リチウムなどを用いることができる。なかでも炭酸リチウムおよび水酸化リチウムが、環境面とコスト面で最も有利である。
前記リチウム化合物の平均粒子径は、2〜15μm、さらには4〜10μmであることが好ましい。リチウム化合物の平均粒子径が2μm未満では、得られるLiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物の密度が低下し、電池容量が低くなる。一方、リチウム化合物の平均粒子径が15μmをこえると、粒子が大きすぎて、化合物X、Yとの反応性が低下したり、反応が不均一に進行したりする。
また、化合物Xの平均粒子径は、1〜20μm、さらには4〜10μmであることが好ましい。化合物Xの平均粒子径が1μm未満では、得られるLiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物の密度が低下し、電池容量が低くなる。一方、化合物Xの平均粒子径が20μmをこえると、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物の粒子径が大きくなりすぎ、それを用いた電池の高負荷特性が低下する。
また、化合物Yの平均粒子径は、1〜15μm、さらには1〜10μmであることが好ましい。化合物Yの平均粒子径が1μm未満でも、15μmをこえても、化合物Xおよびリチウム化合物との均一な混合状態が得られず、比較的不均一な活物質が生成する。
また、複合酸化物Zの平均粒子径は、1〜20μm、さらには4〜10μmであることが好ましい。化合物Xの平均粒子径が1μm未満では、得られるLiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物の密度が低下し、電池容量が低くなる。一方、化合物Xの平均粒子径が20μmをこえると、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物の粒子径が大きくなりすぎ、それを用いた電池の高負荷特性が低下する。1〜10μmであることが好ましい。
次いで、得られた混合物を加熱することにより、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物を調製する。
工程Bでは、前記混合物を650℃以上1050℃で加熱することが好ましい。加熱温度が650℃未満では、LiとNiとM1とを含む複合酸化物の結晶性が低くなり、それを用いた電池に充分な放電容量が得られない。一方、加熱温度が1050℃をこえると、LiとNiとM1とを含む複合酸化物の比表面積が低くなり、それを用いた電池の高負荷特性が低くなる。
工程Cでは、前記混合物を500℃以上850℃で加熱することが好ましい。加熱温度が500℃未満では、LiとNiとM1とを含む複合酸化物と化合物Yとの反応性が乏しくなり、正極活物質の熱安定向上の効果が得られない。一方、加熱温度が850℃をこえると、化合物Yとの反応性が過剰となり、粒子中心部のM2濃度が大きくなるため、活物質のタップ密度が低くなり、その結果として、電池の容量が低くなる。
以上のような方法によれば、LiとNiとを含む複合酸化物の粒子からなり、元素M1
および元素M2を含んでおり、M1は、前記粒子中に均一に分布しており、M2は、前記粒子の内部よりも表層部に多く分布している正極活物質を得ることができる。
本発明の正極活物質の平均粒子径は、1〜20μm、さらには4〜10μmであることが好ましい。正極活物質の平均粒子径が1μm未満では、活物質の密度が低いため、それを用いた電池の容量が低くなり、20μmをこえると、電池の高負荷特性が低下する。
また、本発明の正極活物質の比表面積は、0.1m2/g〜1.2m2/gであることが好ましい。正極活物質の比表面積が0.1m2/g未満では、それを用いた電池の高負荷特性が低くなり、1.2m2/gをこえると、非水電解質と正極活物質との接触面積が大きくなることから、正極でのガス発生量が多くなる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、以下の実施例では角型電池を作製したが、電池の形状はこれに限られない。本発明は、コイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型または扁平型の電池や、電気自動車等に用いる大型電池にも適用できる。
(実施例1)
正極活物質に含まれるLi、Ni、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1および前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2として、表1に示す値を有する正極活物質を調製し、これを用いて実施例の電池A1〜A6および比較例の電池B1〜B4を作製した。ここでは、M1としてCo、M2としてAlを採用した。
Figure 2005243536
(i)正極の作製
電池A1〜A6に用いる正極活物質は、以下に述べる共沈法を採用して調製した。
工程A
硫酸ニッケルおよび硫酸コバルとを溶解させた金属塩水溶液を調製した。前記金属塩水溶液における硫酸ニッケルの濃度は1mol/Lとし、硫酸コバルトの濃度は表1に従って適宜調整した。攪拌下にある前記金属塩水溶液を50℃に維持し、その中に、水酸化ナトリウムを30質量%含む水溶液をpH12になるように滴下して、コバルト含有水酸化ニッケル水和物を沈殿させた。コバルト含有水酸化ニッケル水和物の沈殿を濾過して水洗し、80℃空気中で乾燥させ、コバルト含有水酸化ニッケルを得た。
工程B
得られたコバルト含有水酸化ニッケルと、水酸化リチウムとを、Li:(Ni+Co)のモル比で1:1として混合した。この混合物を、酸素雰囲気中で電気炉内で800℃まで2時間で昇温させ、800℃で10時間焼成することにより、正極活物質を合成した。
工程C
次いで、工程Bで得られた正極活物質と、水酸化アルミニウムとを、表1に従って、所定のモル比で混合した。この混合物をロータリーキルンに入れ、空気雰囲気中で750℃で10時間加熱することにより、正極活物質を合成した。
電池B1〜B4に用いる正極活物質は、共沈法を採用せずに調製した。
濃度1mol/Lの硫酸コバルト水溶液を調製した。攪拌下にある前記硫酸ニッケル水溶液を50℃に維持し、その中に、水酸化ナトリウムを30質量%含む水溶液をpH12になるように滴下して、水酸化ニッケル水和物を沈殿させた。水酸化ニッケル水和物の沈殿を濾過して水洗し、空気中で80℃で乾燥させ、水酸化ニッケルを得た。
得られた水酸化ニッケルと、水酸化コバルトと、水酸化リチウムと、水酸化リチウムとを、表1に従って、所定のモル比で混合した。Li:(Ni+Co)は、モル比で1:1とした。この混合物を、酸素雰囲気で電気炉内で800℃まで2時間で昇温し、800℃で10時間焼成することにより、正極活物質を合成した。
次いで、得られた正極活物質と、水酸化アルミニウムとを、表1に従って、所定のモル比で混合した。この混合物をロータリーキルンに入れ、空気雰囲気中で750℃で10時間加熱することにより、正極活物質を合成した。
電池A3および電池B2に用いる正極活物質中のCoおよびAlの分布状態を、二次イオン質量分析(SIMS)、飛行時間型質量分析(TOF−SIMS)、X線光電子分析(ESCA)、オージェ分光分析およびX線マイクロ分析(EPMA)により調べた。
[正極活物質粒子断面の分析]
測定用の試料は、各活物質を、エポキシ樹脂と混合し、硬化させたのち、硬化物を切断、研磨して調製した。この試料を、上記分析法で面分析して、粒子の表層部と中心部の元素分布および濃度分布を測定した。
[正極活物質粒子表面からの深さ方向の分析]
粒子表面からの深さ方向の分析には、スパッタリングを採用した。また、特に粒子表面の分析は、TOF−SIMS測定を中心に行った。
その結果、電池A3に用いる正極活物質中では、活物質粒子の表層部(粒子半径をrとするとき、表面から0.3r以内の領域)に、中心部(粒子半径をrとするとき、中心から0.3r以内の領域)の約2倍の濃度でAlが分布していることがわかった。一方、Coは、活物質粒子中に均質に分布していた。
また、電池B2に用いる正極活物質中では、活物質粒子の表層部(粒子半径をrとするとき、表面から0.3r以内の領域)に、中心部(粒子半径をrとするとき、中心から0.3r以内の領域)の約2倍の濃度でAl、約1.5倍の濃度でCoが分布していることがわかった。すなわち、AlとCoの両者が、活物質粒子の表層部に偏在していた。
100質量部の所定の正極活物質に、導電材として3質量部のアセチレンブラックと、結着剤として7質量部のポリ四フッ化エチレンと、カルボキシメチルセルロースを1質量%含む水溶液100質量部とを加え、撹拌・混合し、ペースト状の正極合剤を得た。この正極合剤を、集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後、圧延し、所定寸法に裁断して、正極を得た。
(ii)負極の作製
平均粒子径が約20μmになるように粉砕・分級した100質量部の鱗片状黒鉛に、結着剤としてスチレン/ブタジエンゴムを3質量部と、カルボキシメチルセルロースを1質量%含む水溶液100質量部とを加え、撹拌・混合し、ペースト状の負極合剤を得た。この負極合剤を、集電体となる厚さ15μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥後、圧延し、所定寸法に裁断して、負極を得た。
(iii)電池の組み立て
所定の正極と、上記負極を用いて、角型非水電解質二次電池(厚み6mm、幅34mm、高さ50mm)を組み立てた。図1に、本実施例で作製した角型電池の一部を切り欠いた斜視図を示す。
上記電池は以下のようにして組み立てた。まず、所定の正極と上記負極とを、厚さ25μmの微多孔性ポリエチレン樹脂製セパレータを介して巻回して、極板群1を構成した。正極と負極には、それぞれアルミニウム製正極リード2およびニッケル製負極リード3を溶接した。極板群1の上部にポリエチレン樹脂製の絶縁リング(図示しない)を装着し、アルミニウム製電池ケース4内に収容した。正極リード2の他端は、アルミニウム製封口板5にスポット溶接した。また、負極リード3の他端は、封口板5の中心部にあるニッケル製負極端子6の下部にスポット溶接した。電池ケース4の開口端部と封口板5の周縁部とをレーザ溶接してから、封口板に設けてある注入口から所定量の非水電解液を注液した。最後に注入口をアルミニウム製の封栓7で塞ぎ、レーザー溶接で密封して電池を完成させた。
非水電解質には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:3の混合溶媒に、1.0mol/Lの濃度でLiPF6を溶解したものを用いた。
(iv)電池の評価
[放電容量]
環境温度20℃で、各電池の充放電サイクルを繰り返した。前記充放電サイクルにおいて、充電は、最大電流値600mAで、充電終止電位4.2Vの定電流放電を行い、電位が4.2Vに到達してからは2時間の定電圧充電を行った。また、放電は、電流値600mAで、放電終止電位2.5Vの定電流放電を行った。1サイクル目の正極活物質1gあたりの放電容量を測定し、その平均値を表1に示す。
また、Coの割合R1と1サイクル目の放電容量との関係を図2に示す。図2に示されるように、電池A1〜A6は、Coの割合の増加に伴う容量低下が小さいが、電池B1〜B4は、容量低下が大きくなっている。このような結果は、電池B1〜B4では、Coが正極活物質の表層部に偏在しており、また、未反応のCo化合物が残存しやすいことに基づくものと考えられる。
[容量維持率]
上記充放電サイクルにおいて、100サイクル目の放電容量の、1サイクル目の放電容量に対する割合を、容量維持率として百分率(%)で求めた結果を表1に示す。
また、割合R1と100サイクル目の容量維持率との関係を図3に示す。
図3に示されるように、電池A1〜A6および電池B1〜B4は、共に正極活物質に含まれるCoの割合の増加に伴い、容量維持率が向上している。このような結果は、Coにより、正極活物質の結晶構造が安定化されていることに基づくものと考えられる。また、電池A1〜A6の方が、電池B1〜B4よりも良好な結果を示していることから、電池A1〜A6では、正極活物質内にCoが均一に存在しているため、Coの添加効果が効率よく得られていることがわかる。
[発熱温度]
上記充放電サイクルにおいて、3サイクル充放電終了後に、環境温度20℃で、最大電流値600mA、終止電圧4.4Vで定電流充電を行い、4.4Vに到達してからは2時間の定電圧充電を行った。充電終了後、電池を分解し、正極より正極合剤を取り出し、そのうちの2mgをSUS PANに入れ、熱安定性の指標を与えるDSC測定を行った。測定は、RIGAKU Thermo Plus(理学電機製)を用い、室温から400℃まで10℃/分で空気雰囲気で行った。測定で観測された第1発熱温度を表1に示す。
また、割合R1と第1発熱温度との関係を図4に示す。図4に示されるように、電池A1〜A6および電池B1〜B4は、共に正極活物質に含まれるCoの割合の増加に伴い、熱安定性が向上している。このような結果は、Coにより、充電状態の正極活物質の結晶構造が安定化されていることに基づくものと考えられる。また、電池A1〜A6の方が、電池B1〜B4よりも良好な結果を示していることから、電池A1〜A6では、正極活物質内にCoが均一に存在しているため、Coの添加効果が少量で効率よく得られていることがわかる。
(実施例2)
正極活物質に含まれるLi、Ni、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1および前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2として、表2に示す値を有する正極活物質を調製し、これを用いて実施例の電池A7〜A12および比較例の電池B5〜B8を作製した。ここでは、M1としてCo、M2としてAlを採用した。
Figure 2005243536
(i)正極の作製
電池A7〜A12に用いる正極活物質は、Coの割合R1を5%に固定し、Alの割合R2を変化させたこと以外、実施例1と同様に合成した。
電池B5〜B8に用いる正極活物質は、以下に述べる共沈法を採用して調製した。硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸アルミニウムを溶解させた金属塩水溶液を調製した。前記金属塩水溶液における硫酸ニッケルの濃度は1mol/Lとし、硫酸コバルトおよび硫酸アルミニウムの濃度は表2に従って適宜調整した。攪拌下にある前記金属塩水溶液を50℃に維持し、その中に、水酸化ナトリウムを30質量%含む水溶液をpH12になるように滴下して、コバルト/アルミニウム含有水酸化ニッケル水和物を沈殿させた。このコバルト/アルミニウム含有水酸化ニッケル水和物の沈殿を濾過して水洗し、空気中で80℃で乾燥させ、コバルト/アルミニウム含有水酸化ニッケルを得た。得られたコバルト/アルミニウム含有水酸化ニッケルを用い、水酸化アルミニウムを用いなかったこと以外、実施例1と同様に正極活物質を合成した。
電池A9および電池B6に用いる正極活物質中のAlおよびCoの分布状態を、実施例1と同様にして、二次イオン質量分析(SIMS)、飛行時間型質量分析(TOF−SIMS)、X線光電子分析(ESCA)、オージェ分光分析およびX線マイクロ分析(EPMA)により調べた。
その結果、電池A9に用いる正極活物質中では、活物質粒子の表層部(粒子半径をrとするとき、表面から0.3r以内の領域)に、中心部(粒子半径をrとするとき、中心から0.3r以内の領域)の約3倍の濃度でAlが分布していることがわかった。一方、Coは、活物質粒子中に均質に分布していた。
また、電池B6に用いる正極活物質中では、CoとAlの両者が、活物質粒子中に均質に分布していた。すなわち、電池B6に用いる正極活物質中には、Alが活物質粒子の内部により多く取り込まれていた。
所定の正極を用いて、実施例1と同様の角型非水電解質二次電池を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
また、Alの割合R2と1サイクル目の放電容量との関係を図5に示す。
また、Alの割合R2と100サイクル目の容量維持率との関係を図6に示す。
また、Alの割合R2と第1発熱温度との関係を図7に示す。
また、Alの割合R2とタップ密度との関係を図8に示す。
図5に示されるように、電池A7〜A12よりも電池B5〜B8の方が、正極活物質に含まれるAlの割合の増加に伴う容量減少が大きいことがわかる。このような結果は、電池B5〜B8の正極活物質は、Ni、CoおよびAlを同時に共沈させて調製されているため、調製時に取り込んだ硫酸イオンが合成後の活物質に残り、容量低下を引き起こしたことを示している。
また、図6、7に示されるように、電池A7〜A12および電池B5〜B8は、共に正極活物質に含まれるAlの割合の増加に伴い、容量維持率と熱安定性が向上している。
また、図8に示されるように、電池A7〜A12では、正極活物質に含まれるAlの割合を増加させても、タップ密度がほとんど変化していないのに対し、電池B5〜B8では、正極活物質に含まれるAlの割合の増加に伴うタップ密度の減少が大きい。このような結果は、電池B5〜B8の正極活物質には、硫酸イオンが取り込まれ、粒子が膨張したこ
とに基づくものと考えられる。
(実施例3)
正極活物質に含まれるLi、Ni、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1および前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2として、表3に示す値を有する正極活物質を調製し、これを用いて実施例の電池A13〜A21および比較例の電池B9〜B17を作製した。ここでは、M1としてCoを採用し、M2としてB、Ga、In、Tl、Mg、Ca、Ba、Sr、Yを採用した。
Figure 2005243536
(i)正極の作製
電池A13〜A21に用いる正極活物質は、Coの割合R1を5%に固定し、工程Cにおいて、水酸化アルミニウムの代わりに酸化ホウ素、酸化ガリウム、酸化インジウム、酢酸タリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウムまたは水酸化イットリウムを用いるとともに、B、Ga、In、Tl、Mg、Ca、Ba、SrまたはYの割合R2を1.5%に固定したこと以外、実施例の電池A1と同様に合成した。
電池B9〜B17に用いる正極活物質は、Coの割合R1を5%に固定し、水酸化アルミニウムの代わりに、酸化ホウ素、酸化ガリウム、酸化インジウム、酢酸タリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウムまたは水酸化イットリウムを用いるとともに、B、Ga、In、Tl、Mg、Ca、Ba、SrまたはYの割合R2を1.5%に固定したこと以外、比較例の電池B1と同様に合成した。
所定の正極を用いて、実施例1と同様の角型非水電解質二次電池を作製し、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
表3に示すように、実施例1と同様に、電池A13〜A21の方が、電池B9〜B17よりも、容量が大きく、容量維持率が高く、熱安定性も優れている。このような結果は、電池B9〜B17では、Coが正極活物質の表層部に偏在しており、また、未反応のCo化合物が残存しやすいのに対し、電池A13〜B21では、Coが正極活物質に均一に分布していることに基づくものと考えられる。
また、B、Ga、In、Tl、Mg、Ca、Ba、SrおよびYのいずれを用いても、同様の傾向が見られることがわかる。
(実施例4)
正極活物質に含まれるLi、Ni、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1および前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2として、表4に示す値を有する正極活物質を調製し、これを用いて実施例の電池A22〜A24および比較例の電池B18〜B20を作製した。ここでは、M1としてCr、MnまたはFeを採用し、M2としてAlを採用した。
Figure 2005243536
電池A22〜A24に用いる正極活物質は、工程Aにおいて、硫酸コバルトの代わり硫酸クロム、硫酸マンガンまたは硫酸鉄を用いたこと以外、実施例の電池A3と同様に合成した。
電池B18〜B20に用いる正極活物質は、水酸化コバルトの代わりに硫酸クロム、硫酸マンガンまたは硫酸鉄を用いたこと以外、比較例の電池B2と同様に合成した。
所定の正極を用いて、実施例1と同様の角型非水電解質二次電池を作製し、実施例1と同様に評価した結果を表4に示す。
表4に示すように、実施例1と同様に、電池A22〜A24の方が、電池B18〜B20よりも、容量が大きく、容量維持率が高く、熱安定性も優れている。このような結果は、電池B18〜B20では、Cr、MnまたはFeが正極活物質の表層部に偏在しており、また、未反応のCrまたはMn化合物が残存しやすいのに対し、電池A22〜A24では、Cr、MnまたはFeが正極活物質に均一に分布していることに基づくものと考えられる。
また、Co、Cr、MnまたはFeのいずれを用いても、同様の傾向が見られることがわかる。
(実施例5)
正極活物質に含まれるLi、Ni、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の
割合R1および前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2として、表5に示す値を有する正極活物質を調製し、これを用いて実施例の電池A25〜A26および比較例の電池B21〜B22を作製した。ここでは、M1としてCo、M2としてAlを採用した。
Figure 2005243536
電池A25に用いる正極活物質は、工程Aにおいて、Co含有水酸化ニッケルの代わりに、Co含有酸化ニッケルを用いたこと以外、実施例の電池A3と同様に合成した。
また、電池A26に用いる正極活物質は、Co含有水酸化ニッケルの代わりに、Coを均一に固溶させた炭酸ニッケルを用いたこと以外、実施例の電池A3と同様に合成した。
電池B21に用いる正極活物質は、水酸化ニッケルの代わりに、酸化ニッケルを用いたこと以外、比較例の電池B2と同様に合成した。
また、電池B22に用いる正極活物質は、水酸化ニッケルの代わりに、炭酸ニッケルを用いたこと以外、比較例の電池B2と同様に合成した。
所定の正極を用いて、実施例1と同様の角型非水電解質二次電池を作製し、実施例1と同様に評価した結果を表5に示す。
表5に示すように、実施例1と同様に、電池A25〜A26の方が、電池B20〜B21よりも、容量が大きく、容量維持率が高く、熱安定性も優れている。
このような結果は、電池B21〜B22では、Coが正極活物質の表層部に偏在しており、また、未反応のCo化合物が残存しやすいのに対し、電池A25〜A26では、Coが正極活物質に均一に分布していることに基づくものと考えられる。
また、Co含有炭酸ニッケルやCo含有酸化ニッケルを、Co含有水酸化ニッケルの代わりに用いても、実施例1と同様の傾向が見られることがわかる。
本発明による非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法による非水電解質二次電池は、サイクル寿命特性に優れた民生用電子機器用電源として有用である。
本発明の角型電池の一部を切り欠いた斜視図 実施例1にかかる正極活物質中のCoの割合R1と1サイクル目の放電容量との関係図 実施例1にかかる正極活物質中のCoの割合R1と100サイクル目の容量維持率との関係図 実施例1にかかる正極活物質中のCoの割合R1と発熱温度との関係図 実施例2にかかる正極活物質中のAlの割合R2と1サイクル目の放電容量との関係図 実施例2にかかる正極活物質中のAlの割合R2と100サイクル目の容量維持率との関係図 実施例2にかかる正極活物質中のAlの割合R2と第1発熱温度との関係図 実施例2にかかる正極活物質中のAlの割合R2とタップ密度との関係図
符号の説明
1 極板群
2 正極リード
3 負極リード
4 電池ケース
5 封口板
6 負極端子
7 封栓

Claims (10)

  1. LiとNiとを含む複合酸化物の粒子からなり、前記複合酸化物は、さらに元素M1および元素M2を含んでおり、元素M1は、Cr、Mn、FeおよびCoよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、元素M2は、13族に属する元素(B、Al、Ga、In、Tl)およびMg、Ca、Ba、Sr、Yよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、元素M1は、前記粒子中に均一に分布しており、元素M2は、前記粒子の内部よりも表層部に多く分布している非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 前記複合酸化物に含まれるLi、Ni、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1が、0.5%以上25%以下であり、前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2が、0.01%以上5%以下である請求項1記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 割合R2が、割合R1以下である請求項2記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  4. 前記粒子の半径をrとするとき、粒子表面から0.3r以内の領域には、粒子中心から0.3r以内の領域の1.2倍以上の濃度で元素M2が分布している請求項1記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  5. 前記粒子の平均粒子径が、1μm以上20μm以下であり、比表面積が、0.1m2/g以上1.2m2/g以下である請求項1記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  6. (1)Cr、Mn、FeおよびCoよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素M1とNiとを含み、元素M1とNiとが均一に分布している化合物Xを調製する工程A、
    (2)化合物Xと、リチウム化合物とを、混合し、得られた混合物を加熱することにより、LiとNiとM1を含む複合酸化物Zを得る工程B、得られた複合酸化物Zと13族に属する元素(B、Al、Ga、In、Tl)およびMg、Ca、Ba、Sr、Yよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素M2を含む化合物Yとを混合し、得られた混合物を加熱することにより、LiとNiとM1とM2とを含む複合酸化物を得る工程C、を有する非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 前記混合物に含まれるLi、Ni、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1が、0.1%以上25%以下であり、前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2が、0.01%以上5%以下である請求項6記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 割合R2が、割合R1以下である請求項7記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 前記工程Bが、前記混合物を650℃以上1050℃以下で加熱する工程からなる請求項6記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 前記工程Cが、前記混合物を500℃以上850℃以下で加熱する工程からなる請求項6記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
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