JP2005241410A - 超音波振動子およびその音響整合層の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】非鉛系圧電体を用いた環境にやさしい超音波振動子および超音波流量計を提供することを目的とする。
【解決手段】超音波振動子1を非鉛系の圧電体2で構成するとともに、有機ガラスとセラミック多孔体との2層構成からなる高効率の音響整合層3を備えたもので、環境にやさしい超音波振動子を実現し、しかも精度を高めることも出来るものである。
【選択図】図1
【解決手段】超音波振動子1を非鉛系の圧電体2で構成するとともに、有機ガラスとセラミック多孔体との2層構成からなる高効率の音響整合層3を備えたもので、環境にやさしい超音波振動子を実現し、しかも精度を高めることも出来るものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、超音波流量計などに用いられる超音波振動子およびその製造方法に関するものである。
従来、この種の超音波振動子は、図6に示すような構成であった。すなわち、超音波振動子101は、正方柱状の圧電体102と、この圧電体102の一方の正方面上に設けられた音響整合層103とから構成されていた。
圧電体102は、PZT系、PCM系のようなチタン酸ジルコン酸酸化鉛などの3成分系の圧電定数の大きな強誘電体が用いられ、また、音響整合層103は、ガラスバルーンや、プラスチックバルーンなどの空隙の多い材料と気泡などとをエポキシ樹脂などで固めて使用している(例えば、特許文献1参照)。
そして、この圧電体102の上下面には焼付け銀からなる電極104,105が設けられている。
特開平11−215594号公報
しかしながら、このような構成の従来の超音波振動子101では、圧電体102として鉛を含有する強誘電体で構成していたので、鉛による環境汚染という課題があった。
また、音響整合層103にはエポキシ系材料を用いているので、高温高湿雰囲気などにおいては膨潤するなどの課題も有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、環境にやさしく、しかも、信頼性の高い超音波振動子を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく本発明の超音波振動子は、非鉛系圧電体と、気体中の音速よりも遅い音速を有する充填材を内包した多孔体からなる音響整合層とを具備したものである。
このように非鉛系圧電体を使用しているため、超音波振動子を廃棄する際に環境に悪影響を及ぼすことが無く、また、高効率な音響整合層としたので、非鉛系材料からなる圧電体を用いても、従来と同程度あるいはそれ以上の超音波出力が得られる。
本発明は、非鉛圧電体を用いているため、環境にやさしい超音波振動子を提供することができるとともに、信頼性の向上も図れるものである。
第1の発明の超音波振動子は、非鉛系圧電体と、気体中の音速よりも遅い音速を有する充填材を内包した多孔体からなる音響整合層とを具備したもので、音響整合層として高効率なものとなり、非鉛系圧電体を用いても従来と同程度あるいはそれ以上の超音波出力が得られ、環境にやさしい超音波振動子を提供できる。
非鉛系圧電体としては、ペロブスカイト系圧電体、タングステンブロンズ系圧電体、ビスマス層状圧電体系の少なくとも1つの材料を含む構成とした。
ペロブスカイト系圧電体の場合、これをチタバリ系、ビスマスナトリム系の強誘電体で構成した。これにより、比較的圧電定数を大きくとることができ、非鉛系圧電体による超音波振動子においても、これまでと同等あるいはそれ以上の高感度特性を実現し、環境にやさしい超音波振動子とすることができる。
多孔体からなる音響整合層としてはセラミックで形成することが考えられる。こうすれば、これまでのエポキシ系の音響整合層に比べ、高温高湿中においても、膨潤しにくいため、信頼性の高い、環境にやさしい超音波振動子を提供できる。そして空孔率の制御が容易で、安定した特性の音響整合層とするために、セラミックは、アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライトから選ばれる少なくとも1つを含む材料と結合材としての低融点ガラスとで形成することが望ましい。
充填材は、酸化ケイ素、酸化チタン、ジルコニア、アルミナから選ばれる少なくとも1つを含む材料からなる有機ガラスで形成した。この構成により、高温高湿中でも安定した特性の音響整合層が得られ、安定した特性を発揮することとなる。
そして前記した超音波振動子を、流体が流れる流路の上流側と下流側にそれぞれ配置し、これら超音波振動子間の超音波伝搬時間で流体の流速およびまたは流量を計測することができる。
音響整合層の一つの製造方法は、可燃性ボールにセラミック粉体を被覆し、成形後、前記可燃性ボールを焼き飛ばし、焼結して形成するもの、スラリー状のセラミック粉体に界面活性剤を混合して気泡を導入し、成形乾燥後、前記界面活性剤を焼き飛ばし、焼結して形成するものが考えられる。
また、充填材の充填には、セラミック多孔体の内面を予め酸あるいはアルカリで洗浄した後、溶液状の充填材を充填し、乾燥して形成する方法が考えられる。さらに、振動を加えながら溶液状の充填材を充填してもよい。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、超音波振動子1を示し、非鉛系の直方体の圧電体2の上面には音響整合層3を設けたものである。圧電体2の高さ、幅、長さはそれぞれT、W、Lで示している。また、圧電体2の上面、下面には焼き付け銀からなる電極4および5を形成した。
図1は、超音波振動子1を示し、非鉛系の直方体の圧電体2の上面には音響整合層3を設けたものである。圧電体2の高さ、幅、長さはそれぞれT、W、Lで示している。また、圧電体2の上面、下面には焼き付け銀からなる電極4および5を形成した。
図2に示すように、前記音響整合層3は、多孔体6の気孔部分の内部に音速の遅い充填材を充填するとともに、この多孔体6の上面にも音速の遅い充填材だけから成る第2の層7を設けて構成したものである。即ち、音響整合層を2層構成とした。
この構成により、振動を発生する圧電体2と、発生した振動を伝えるべき外部の気体との整合性は、2段階でとることが出来るようになり、設計の自由度が大きく改善されるとともに、音響整合層3の特性も大幅に向上させることができた。
また、音響整合層3の表面平滑性は緻密な音速の遅い充填材から成る第2の層7で構成してあるところから、多孔体6だけの場合に比べ、内部の振動が効率よく外部の気体中に伝達されるようになる。因みに、音響感度特性が表面の平滑性により、約15[%]程度改善された。
図3に超音波感度特性の周波数依存性を評価した結果を示す。なお、超音波感度は単一の超音波振動子を用い、矩形波で超音波振動子を駆動するとともに、一定の距離離れた超音波反射板に超音波を放射し、その反射板で反射してくる超音波を同一の振動子で受信するという自己送受信方式で評価した。この時、駆動周波数を変化させ、最も受信感度の大きかった周波数を共振周波数Fpとし、そのときの受信感度を最大感度Vpとした。図3の横軸は駆動周波数を示し、縦軸は自己送受信による受信感度を示す。なお、前記共振周波数Fpおよび最大感度Vpは図中に示した。
実線8は本実施の形態1による非鉛系の圧電体と2層構成の音響整合層3からなる超音波振動子の特性を示す。破線9は従来の鉛系圧電体と2層構成の本発明に用いた音響整合層からなる超音波振動子の特性を示す。
これからも理解できるように、従来の超音波振動子に比べ10〜20倍もの超音波感度特性が得られた。なお、点線10は基準となる従来の鉛系の圧電体と従来のエポキシ系の単層の音響整合層とからなる従来の超音波振動子の特性を示す。
このように、本本実施の形態1の超音波振動子は、鉛系の圧電体と単層のエポキシ系の音響整合層からなる従来の基準となる超音波振動子に比べ、感度が若干向上するとう結果が得られた。これは、図2に示したように、多孔体6の気孔部分の内部に音速の遅い充填材を充填するとともに、多孔体6の上面にも音速の遅い充填材だけから成る第2の層7を設けた、所謂、2層構成からなる音響整合層3としたことにより実現することができ、非鉛系圧電体2を用いても、従来程度、あるいはそれ以上の超音波感度特性が得られ、実用上充分な感度特性が得られることがわかった。
従って、従来の鉛系圧電体で構成される超音波振動子を、非鉛系超音波振動子に置き換えることが出来、実用的な非鉛系の環境にやさしい超音波振動子を実現できる。
この種の目的に用いる多孔体はセラミックで構成するのが最良である。即ち、音響整合層に要求される特性を容易に実現できるためである。例えば、音響整合層としては、密度が小さく、音速が小さいことが要求される。セラミックの場合、気孔率を簡単に大きくとることができ、密度を小さく、且つ、音速を小さくすることができ、なおかつ、強度を比較的大きくすることが容易にできる。
なお、セラミック材料としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライトから選ばれる少なくとも1つの材料から選ばれる材料が適している。これらの材料と低融点ガラスとを用いることにより、さらに、アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライトなどのセラミック構成材を、十分細かく粉砕しておくことにより、上記要求を満たすセラミック多孔体を構成することができる。
この場合に、低融点ガラスを用いているので、低温度で焼成することができ、気孔率が大きく、且つ、焼結が殆ど進むことのない、即ち体積変化の少ない低密度のセラミック多孔体を構成することができる。
このため、体積変化が小さいため成形性に優れた音響整合層を形成することができる。この場合には、セラミック多孔体の空孔は連通孔として形成されているので、音速の遅い低密度の充填材料を空孔内部に充分に浸透させることができ、充填することができる。
この種の充填材料として、有機ガラスが適している。有機ガラスは、酸化ケイ素、酸化チタン、ジルコニア、アルミナなどから選ばれる少なくとも一つの材料で構成される。上記の有機ガラスは、溶液状態から簡単に形成することができるので、溶液状態で多孔体中に含浸しておき、固形化することにより、多孔体内部に容易に形成することができる。
即ち、図2で示したように、多孔体6の内部および表面に連続して有機ガラスを形成することができるので、簡単に2層構成の音響整合層3が実現できる。また多孔体内部と表面とに連続して形成されるので、多孔体と有機ガラスとの固着性は非常に優れたものとなった。
セラミック多孔体の空孔部分には有機ガラスからなる充填材が充填されているので、高温高湿中に放置しておいても、多孔体の空孔内部に結露することも無く特性の安定した、信頼性の高い環境にやさしい超音波振動子を構成することが出来る。
また、音響整合層を無機材料からなるセラミック多孔体で構成したので、従来の音響整合層を構成するエポキシなどにくらべ、軟化点を比較的大きくすることができ、温度特性にも安定した超音波振動子を実現することができた。
(実施の形態2)
非鉛系圧電体としては、ペロブスカイト系圧電体、タングステンブロンズ系圧電体、ビスマス層状圧電体系などの圧電体を用いて本発明の超音波振動子を構成することができる。
非鉛系圧電体としては、ペロブスカイト系圧電体、タングステンブロンズ系圧電体、ビスマス層状圧電体系などの圧電体を用いて本発明の超音波振動子を構成することができる。
例えば、ペロブスカイト系圧電体を用いると、比較的大きな機械結合係数を有するチタバリ系や、比較的大きな圧電定数を有するニオブ酸カリ系や、比較的大きな機械結合係数と比較的大きな圧電定数とを兼ね備えたバリウム・ナトリム・チタン酸系など豊富な材料から適したものを選択することができる。特に、縦振動を利用する超音波振動子としては、機械結合係数の比較的大きなチタバリ系、バリウム・ナトリム・チタン酸系の非鉛圧電体が適している。
また、例えば、タングステンブロンズ系圧電体を用いると、比較的大きなキュリー温度を有するBNBN(バリウム・ナトリウム・ビスマス・ニオブ)系の圧電体(通常バナナと総称される)を選択することができ、高温で動作することが出来る超音波振動子を実現できる。
また、ビスマス層状圧電体系を用いると、さらにキュリー温度の大きなNCBT(ビスマス正方晶)系の圧電体を選択することができ、より高温動作可能な超音波振動子を実現することができる。
(実施の形態3)
非鉛系圧電体として、ペロブスカイト系のチタバリ系およびビスマス・ナトリム・チタン酸系(BNT系)の圧電体で構成した超音波振動子の感度特性を以下に示す。
非鉛系圧電体として、ペロブスカイト系のチタバリ系およびビスマス・ナトリム・チタン酸系(BNT系)の圧電体で構成した超音波振動子の感度特性を以下に示す。
感度比較は、図3で示した従来の超音波振動子の感度を1.0とする相対比較で示す。
・チタバリ系----感度:0.9〜1.2 (従来比)
・BNT系------感度:0.9〜1.5 (従来比)
特に、チタバリ系は、比誘電率も比較的大きいので、低インピーダンスに構成することが出来、実用上雑音の少ない扱い易い環境にやさしい超音波振動子を実現できる。
・BNT系------感度:0.9〜1.5 (従来比)
特に、チタバリ系は、比誘電率も比較的大きいので、低インピーダンスに構成することが出来、実用上雑音の少ない扱い易い環境にやさしい超音波振動子を実現できる。
このように、非鉛系の圧電体を用いても、従来の超音波振動子と同等、あるいはそれ以上の感度を有する環境にやさしい超音波振動子を提供することができる。
(実施の形態4)
図4は超音波流量計11を示す。一対の超音波振動子12,13(図1の超音波振動子1と同じ構成)は、流体の流れる流路14の上流側および下流側に斜めに対向して設けた。
図4は超音波流量計11を示す。一対の超音波振動子12,13(図1の超音波振動子1と同じ構成)は、流体の流れる流路14の上流側および下流側に斜めに対向して設けた。
実線の矢印15は流体の流れる方向を、破線の両矢印16は超音波の伝搬する方向をそれぞれ示す。角度θは、流体の流れる方向15と、超音波の伝搬する方向16との交叉角を示す。
このような構成の超音波流量計の計測原理を簡単に説明する。流路14を流れる流体の流速をVf、超音波の伝搬速度をVsとし、超音波振動子間の距離をLdとすると、上流側の超音波振動子12から下流側の超音波振動子13への超音波の伝搬時間計測結果をTudとすると、
Tud={Ld/[Vs+Vf×cos(θ)]}
となる。
Tud={Ld/[Vs+Vf×cos(θ)]}
となる。
同様にして、下流側の超音波振動子13から上流側の超音波振動子12への超音波の伝播時間測結果をTduとすると、以下のようになる。
Tdu={Ld/[Vs−Vf×cos(θ)]}
これらより、
Tud = Ld/[Vs+Vf×cos(θ)]
Tdu = Ld/[Vs−Vf×cos(θ)]
従って、
Vs+Vf×cos(θ) =Ld/Tud
Vs−Vf×cos(θ) =Ld/Tdu
これらより、上の式から下の式の両辺を引き算すると、超音波の音速Vsの項を消去することができ、以下のようになる。
2×Vf×cos(θ)=Ld×[{1/Tud}−{1/Tdu}]
この結果より、超音波振動子間の距離Ldおよび交差角(θ)は、それぞれ既知であるので、簡単に計算することができる。このようにして流体の流速Vfが得られる。この流速Vfに流路14の断面積Srを乗じて流量Qmを演算する。
Tdu={Ld/[Vs−Vf×cos(θ)]}
これらより、
Tud = Ld/[Vs+Vf×cos(θ)]
Tdu = Ld/[Vs−Vf×cos(θ)]
従って、
Vs+Vf×cos(θ) =Ld/Tud
Vs−Vf×cos(θ) =Ld/Tdu
これらより、上の式から下の式の両辺を引き算すると、超音波の音速Vsの項を消去することができ、以下のようになる。
2×Vf×cos(θ)=Ld×[{1/Tud}−{1/Tdu}]
この結果より、超音波振動子間の距離Ldおよび交差角(θ)は、それぞれ既知であるので、簡単に計算することができる。このようにして流体の流速Vfが得られる。この流速Vfに流路14の断面積Srを乗じて流量Qmを演算する。
また、同様に上の式と下の式の両辺を足し算すると、流体の流速の項が消去されれて、以下のようになる。
2×Vs=Ld×[{1/Tud}+{1/Tdu}]
この結果より、超音波振動子間の距離Ldは予め解っているので、流体の音速Vsが得られたことになり、これより流体の温度も算出することもできる。
2×Vs=Ld×[{1/Tud}+{1/Tdu}]
この結果より、超音波振動子間の距離Ldは予め解っているので、流体の音速Vsが得られたことになり、これより流体の温度も算出することもできる。
このようにして、環境にやさしい非鉛系圧電体を用いた超音波流量計を構成することができた。
(実施の形態5)
セラミック多孔体の製造方法について説明する。アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライトなどの無機材料と低融点ガラスとを充分細かく粉砕する。粒径は、10μm以下になるように準備する。
セラミック多孔体の製造方法について説明する。アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライトなどの無機材料と低融点ガラスとを充分細かく粉砕する。粒径は、10μm以下になるように準備する。
より望ましくは、1μm以下とする。この粉砕された粉体にバインダーとしてのポリビニルアルコールなどと混合し、スラリーを形成する。
次に、アクリルなどの樹脂ボールに、このスラリーを霧状にして吹きつけ貼付し、乾燥する。吹きつけ貼付された粉体は、数μm程度の厚さが望ましい。
樹脂ボールの直径は10〜50μm程度が良い。霧状のスラリーを吹き付けられ貼付、乾燥した樹脂ボールを、所定の形状に圧縮成形し、焼成する。この焼成においては、酸素を充分に与えることにより、樹脂ボールが炭化し、二酸化炭素として成形体から放出される。
この時、樹脂ボールは成形体の表面から順次、二酸化炭素として抜けてゆき、後には連通孔としての空孔が残る。酸素の供給量が十分であれば、炭化物として成形体内部に残存することもなくなる。このようにして形成された多くの空孔を有するセラミック多孔体が得られる。
このようにして作成したセラミック多孔体の空孔分布を図5に示す。図5は、横軸に空孔径を、縦軸に相対比を示す。17は空孔分布を示す曲線を、破線18は用いた樹脂ボールの粒径分布を示す。
図より、空孔分布17は、樹脂ボールの粒径分布18に比べかなりブロードな分布を示している。これは、樹脂ボールの抜け殻が合体したり、あるいは接触している抜け殻が界面を通してつながっているためと考えられる。このように、形成された空孔は50〜100μmの間に大部分が分布していることがわかる。また、複数個の空孔が合体し、連通孔が形成されたと結果とも考えることができる。
このようにしてセラミック多孔体を製造することにより、連通孔としての多孔体を構成することができ、有機ガラスを空孔内部に導入するのに適した構成となっていると考えられる。
以上説明したように、この製造法によれば、樹脂ボールの分量を制御することにより、簡単に空孔率を制御することができ、所定の空孔率、あるいは密度を有するセラミック多孔体を容易に作製することができる。
(実施の形態6)
セラミック多孔体の他の製造方法について、説明する。アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライトなどの無機材料と低融点ガラスとを充分細かく粉砕する。粒径は10μm以下になるように準備する。より望ましくは、1μm以下とする。この粉砕された粉体に界面活性剤を混合し、スラリーを形成する。
セラミック多孔体の他の製造方法について、説明する。アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライトなどの無機材料と低融点ガラスとを充分細かく粉砕する。粒径は10μm以下になるように準備する。より望ましくは、1μm以下とする。この粉砕された粉体に界面活性剤を混合し、スラリーを形成する。
次に、このスラリーに気体を導入し、スラリーを発泡させ、多数個の気泡を導入する。この状態にし、放置乾燥後、低融点ガラスの融点温度で焼成し、固形化し、セラミック多孔体を形成する。この時、皮膜状の界面活性剤は、焼成時の酸素と反応し、成形体の表面から順次、焼損して抜けてゆき、後には連通孔としての多くの空孔が残る。
酸素の供給量を充分にしておけば、界面活性剤が炭化物として成形体内部に残存することはない。この場合、実施の形態5で示した、樹脂ボールの代わりに界面活性剤を用いているので、焼成する場合に酸素の供給量が比較的少なくて済み、効率的である。
また、樹脂ボールを用いないので、低コスト化を実現できる。加えて、樹脂ボールを使用しないので、省資源となり環境にやさしい製造法となる。しかも、比較的低温で、焼成可能なので、成形体に比べ、体積変化の少ない焼成体を得ることができ、やや複雑な形状であっても、成形・焼成することができ、量産性にお優れた製造法となる。
このようにして形成された空孔がセラミック多孔体となり、その空孔分布は、図5に示した結果と同様な特性が得られた。この結果、連通孔でつながった空孔が得られる。このようにしてセラミック多孔体を製造することにより、連通孔としての多孔体を構成することができ、有機ガラスを空孔内部に容易に導入することができる構成が得られる。
(実施の形態7)
有機ガラスのセラミック多孔体への導入方法について説明する。酸化ケイ素、酸化チタン、ジルコニア、アルミナなどの有機ガラス材料を準備する。この材料をメチルあるいはエチルアルコールなどの溶媒で希釈し、適当な触媒と混合する。
有機ガラスのセラミック多孔体への導入方法について説明する。酸化ケイ素、酸化チタン、ジルコニア、アルミナなどの有機ガラス材料を準備する。この材料をメチルあるいはエチルアルコールなどの溶媒で希釈し、適当な触媒と混合する。
次に多孔体セラミックを酸あるいはアルカリ溶液でエッチング処理する。このエッチング処理によりセラミック多孔体の内部、即ち空孔内部の表面が一部エッチングされ、活性化される。
この活性化処理された状態のところに、溶媒で希釈した有機ガラスを浸透させ、セラミック多孔体の空孔内で反応させて、有機ガラスを空孔内部に形成し、含浸させ、音響整合層とした。また一部は、セラミック多孔体の表面にも連続して形成されるようにした。
このようにして作成することにより、内部および表面に有機ガラスが連続的に形成された2層構成のセラミック多孔体音響整合層となる。この音響整合層を、音響的に最適な板厚となるようセラミック多孔体部分および有機ガラス部分を研磨したところ、有機ガラスとセラミック多孔体との接着強度が著しく向上したことがわかった。
即ち、有機ガラスが形成されていないセラミック多孔体では、研磨中に一部が欠けたりしていたが、あるいは一部が欠けた場合、セラミック多孔体の一部と有機ガラスの一部とはバラバラに分断されることがあったが、有機ガラスとセラミック多孔体との接着強度が向上してからは、セラミック多孔体が研磨中に欠けることは非常に少なくなった。
また、表面の有機ガラスの部分もセラミック多孔体に充分な強度で固着していることがわかった。即ち、有機ガラスがセラミック多孔体から剥離することが無くなった。これは有機ガラスがセラミック多孔体内部から連続的に表面まで形成されているため思われる。このように、接着強度が大きくなり、音響整合層としての加工性は非常に向上した。このため、環境にやさしい非鉛系超音波振動子を簡単に構成することができる。
(実施の形態8)
有機ガラスのセラミック多孔体への導入方法について説明する。セラミック多孔体に溶媒に希釈された酸化ケイ素、酸化チタン、ジルコニア、アルミナなどの有機ガラスを浸漬導入する際に、超音波振動などで溶液を遥動させることにより、導入された有機ガラスの特性、密度が安定し、一様になることがわかった。
有機ガラスのセラミック多孔体への導入方法について説明する。セラミック多孔体に溶媒に希釈された酸化ケイ素、酸化チタン、ジルコニア、アルミナなどの有機ガラスを浸漬導入する際に、超音波振動などで溶液を遥動させることにより、導入された有機ガラスの特性、密度が安定し、一様になることがわかった。
即ち、事前に計測したセラミックの空孔率、嵩密度と、有機ガラス導入後の重量、嵩密度とから導入した有機ガラスの密度を推定すると、溶液に振動を与え遥動させた場合、導入した有機ガラスの密度推定値は、0.3±0.03g/ccであったが、溶液を遥動しなかった場合は、0.3±0.08g/ccとなった。これらは溶液を遥動した結果、溶液中の有機ガラスが一様に希釈されるとともに、反応の一様性も向上したためと考えられる。
また、有機ガラスの多孔体内部での密度勾配も非常に小さくなったためとも考えられる。即ち、遥動を与えないで有機ガラスを導入すると、多孔体の表面近くでは、有機ガラスの密度が大きく、多孔体の内部になるほど密度が低下することがあったが、遥動を与えながら有機ガラスを形成することにより多孔体内部にわって一様な密度の有機ガラスを形成することができた。
このように、溶液を遥動しながら有機ガラスを導入することにより、一様な特性を有する音響整合層を形成することができた。
以上のように、本発明に係る超音波振動子は非鉛系の圧電体で構成しているので、環境にやさしい超音波振動子を実現することが可能となる。また、超音波流量計などの用途の適用して場合にも、環境にやさしい超音波流量計を実現することができる。
1、12、13 超音波振動子
2 圧電体
3 音響整合層
6 多孔体
11 超音波流量計
14 流路
2 圧電体
3 音響整合層
6 多孔体
11 超音波流量計
14 流路
Claims (12)
- 非鉛系圧電体と、気体中の音速よりも遅い音速を有する充填材を内包した多孔体からなる音響整合層とを具備した超音波振動子。
- 非鉛系圧電体をペロブスカイト系圧電体、タングステンブロンズ系圧電体、ビスマス層状圧電体系の少なくとも1つの材料を含む構成とした請求項1記載の超音波振動子。
- 非鉛系圧電体がペロブスカイト系圧電体で構成されたもので、このペロブスカイト系圧電体をチタバリ系、ビスマスナトリム系の強誘電体で構成した請求項2記載の超音波振動子。
- 多孔体をセラミックで形成した請求項1記載の超音波振動子。
- アルミナ、シリカ、ジルコニア、コーディエライトから選ばれる少なくとも1つを含む材料と結合材としての低融点ガラスとでセラミックを形成した請求項4記載の超音波振動子。
- 充填材を有機ガラスで形成した請求項1記載の超音波振動子。
- 有機ガラスを酸化ケイ素、酸化チタン、ジルコニア、アルミナから選ばれる少なくとも1つを含む材料で形成した請求項6記載の超音波振動子。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載の超音波振動子を流体が流れる流路の上流側と下流側にそれぞれ配置し、これら超音波振動子間の超音波伝搬時間で流体の流速およびまたは流量を計測するようにした超音波式流れ計測装置。
- 可燃性ボールにセラミック粉体を被覆し、成形後、前記可燃性ボールを焼き飛ばし、焼結して形成することを特徴とする超音波振動子における音響整合層の製造方法。
- スラリー状のセラミック粉体に界面活性剤を混合して気泡を導入し、成形乾燥後、前記界面活性剤を焼き飛ばし、焼結して形成することを特徴とする超音波振動子における音響整合層の製造方法。
- セラミック多孔体の内面を予め酸あるいはアルカリで洗浄した後、溶液状の充填材を充填し、乾燥して形成することを特徴とする超音波振動子における音響整合層の製造方法。
- 振動を加えながら溶液状の充填材を充填することを特徴とする請求項11記載の超音波振動子における音響整合層の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2004051076A JP2005241410A (ja) | 2004-02-26 | 2004-02-26 | 超音波振動子およびその音響整合層の製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008193291A (ja) * | 2007-02-02 | 2008-08-21 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 乾燥ゲルを含む音響整合層とその製造方法 |
JP2009218748A (ja) * | 2008-03-07 | 2009-09-24 | Panasonic Corp | 音響整合体、超音波送受波器および超音波流量計 |
WO2023190097A1 (ja) * | 2022-03-28 | 2023-10-05 | テイカ株式会社 | セラミックス系音響整合層材料、その製造方法、およびその用途 |
-
2004
- 2004-02-26 JP JP2004051076A patent/JP2005241410A/ja active Pending
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