JP2005240805A - 燃料噴射ノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】作動能力や信頼性を犠牲にすることなく有害排出物の排出量を少なく抑えることができるノズル・ヘッドを有する燃料噴射ノズルを提供すること。
【解決手段】ノズル・ボディ2と、ノズル・ボディ2に結合されたノズル・ヘッド3とを有し、ノズル・ボディ2の内部に配置されたノズル・ニードル7を有し、ノズル・ニードルの端部はバルブ・シート8と協働して、開位置ではノズル・ニードル7がバルブ・シート8のところで燃料通路を開放し、閉位置ではその通路を閉鎖するように働き、バルブ・シート8からノズル・ボディ3の中を延びる、ある流れ直径の縦穴32を有し、又、縦穴32から始まり、燃料を燃焼機関の燃焼室20の中へそれを通って導入することができる少なくとも1つのノズル孔31を有する、内燃機関、特に大型ディーゼル・エンジン用の燃料噴射ノズルを提案する。縦穴32の長さLと縦穴32の流れ直径の比は少なくとも17、好ましくは少なくとも20、特に好ましくは22より大きい。
【選択図】図1
【解決手段】ノズル・ボディ2と、ノズル・ボディ2に結合されたノズル・ヘッド3とを有し、ノズル・ボディ2の内部に配置されたノズル・ニードル7を有し、ノズル・ニードルの端部はバルブ・シート8と協働して、開位置ではノズル・ニードル7がバルブ・シート8のところで燃料通路を開放し、閉位置ではその通路を閉鎖するように働き、バルブ・シート8からノズル・ボディ3の中を延びる、ある流れ直径の縦穴32を有し、又、縦穴32から始まり、燃料を燃焼機関の燃焼室20の中へそれを通って導入することができる少なくとも1つのノズル孔31を有する、内燃機関、特に大型ディーゼル・エンジン用の燃料噴射ノズルを提案する。縦穴32の長さLと縦穴32の流れ直径の比は少なくとも17、好ましくは少なくとも20、特に好ましくは22より大きい。
【選択図】図1
Description
本発明は、独立請求項のプリアンブルに記載の燃焼機関の燃料噴射ノズルに関し、詳細には大型ディーゼル・エンジンの燃料噴射ノズルに関する。
大型ディーゼル・エンジンは、例えば2ストローク方式で作動し、船舶や発電用定置設備の駆動装置として使用される。この種のディーゼル・エンジンでは、通常、ノズル・ボディとノズル・ヘッドとを有する燃料噴射ノズルが用いられる。通常、ノズル・ヘッドには、燃料を燃焼室に噴射するための複数のノズル孔が開いている。噴射行程を開始し終了するためにノズル孔への流路を開閉するようにバルブ・シートと協動する可動ノズル・ニードルが燃料噴射ノズル中に設けられている。
熱的、機械的、化学的な高複合負荷を受けるので、通常、ノズル・ヘッドは損耗しやすく割れやすい部分である。機械的負荷は、中でも、1000バール以上に達する高い噴射圧力に関係する。熱的負荷は、燃焼室内の高い温度、及び燃焼温度と新鮮な吸入掃気空気との間の非常に大きな温度変動によって引き起こされ、化学的負荷は主に高温腐食に起因する。
これらの理由、特に熱的負荷上の理由で、バルブ・シートは、ノズル孔が燃焼による熱を過度に受けるのを避けるために、通常ある程度ノズル孔から離して配置される。
バルブ・シートとノズル孔の間の距離は、以下の問題に関連する。燃料噴射の停止時には、ノズル・ニードルがバルブ・シートに押し込まれて、バルブ・シートの下流、言い換えるとバルブ・シートとノズル孔の間に存在する燃料にもはや供給圧力が掛からなくなる。ノズル・ヘッドに残ったこの燃料が、まずいことに霧化してノズル孔を通って燃焼室に入ることがあり、そこでほんの僅かだけ燃焼するか或いは全く燃焼しない。これにより、排出ガスが更に汚染され、とくに排煙が生じることになり、又、或る種の状況下では、燃焼室及び排気ガスを流す構成部品の全ての部分に未燃焼燃料を堆積させることになる。
従って、本発明の目的は、この現況技術に基づいて、作動能力や信頼性を犠牲にすることなく有害排出物の排出量を少なく抑えることができるノズル・ヘッドを有する燃料噴射ノズルを提供することである。
この目的を満足する本発明の主題は、独立請求項の記述により特徴付けられる。
即ち、本発明によれば、ノズル・ボディと、ノズル・ボディに結合されたノズル・ヘッドとを有し、ノズル・ボディの内部に配置されたノズル・ニードルを有し、ノズル・ニードルの端部はバルブ・シートと協働して、開位置ではノズル・ニードルがバルブ・シートのところで燃料通路を開放し、閉位置ではその通路を閉鎖するように働き、バルブ・シートからノズル・ボディの中を延びる、ある流れ直径の縦穴を有し、又、縦穴から始まり、燃料を燃焼機関の燃焼室の中へそれを通って導入することができる少なくとも1つのノズル孔を有する、内燃機関、特に大型ディーゼル・エンジン用の燃料噴射ノズルが提案される。縦穴の長さと流れ直径の比は、少なくとも17、好ましくは少なくとも20、特に好ましくは22より大きい値である。
燃料噴射ノズル及びノズル・ヘッドのこの設計によって、バルブ・シートとノズル孔の間の空間(盲穴)が、公知のノズル・ヘッドに比べて大幅に縮小される。ノズル・ヘッドの縦穴の長さと流れ直径の比をかなり大きくすることにより、この容積を50%又はそれ以上減らすことができる。その結果、噴射行程の終了後、かなり少量の燃料しかノズル・ヘッド中に存在しなくなり、そのため、この燃料によって生じる悪影響、特に有害な排出物が大幅に減少する。
好ましい実施例によれば、全てのノズル孔が一緒になって燃料の総流れ直径をもたらし、縦穴の流れ直径は、全てのノズル孔の流れ直径の大きくても2倍、好ましくは小さくても0.5倍から大きくても1.5倍である。
縦穴は、ノズル孔の領域に拡張部分を有することが望ましい。この局部的な拡張部分は2つの利点をもたらす。ある所定の数のノズル孔に対して、縦穴中へのノズル孔の各開口間の間隔をより大きく選ぶことができ、それによって、内圧によって生じるノズル・ヘッド母材中の機械的応力のピーク値を減少させることができる。更に、局部的な拡張部分によって、縦穴からノズル孔へ燃料の流れが偏向し易くなり、それによって、ノズル孔へ流入時の流体摩擦損失が減少する。
縦穴の縦軸に関して非対称な拡張部分を形成することが有利であり得る。製造技術の点から、この方が実現しやすい。更に、ノズル孔が設けられた領域のノズル・ヘッドの壁厚を、ノズル孔がない領域より薄くすることができる。それによって、ノズル孔が過度に長くならないという利点がもたらされ、従って、燃料噴流が過度に強く集束するのを避けることができる。
その代わりに、又はそれに加えて、有利な非対称性を、縦穴をノズル・ヘッドの縦軸に対し傾けて延ばすことによって得ることもできる。
各ノズル孔は、90°より大きい角度で縦穴に接続されることが好ましい。即ち、組込み状態では、ノズル孔は縦穴から斜め下方に延びる。そうすることにより、燃料流れが簡単に向きを変えられるようになり、従って流体摩擦損失が減少するようになる。
摩擦損失を減少させるための更なる有利な対策は、縦穴とノズル孔の間の移行領域にどの場合もまるみを持たせることである。
流体工学の観点から、ノズル・ニードルが開位置でのバルブ・シートのところの通路が、少なくとも縦穴の流れ断面積と同じ面積であれば、有利であることが分かっている。
通常、ノズル・ヘッドは損耗しやすい部品なので、ノズル・ヘッドがノズル・ボディに取り外し可能に結合されている、燃料噴射ノズルの設計が好ましい。
本発明による燃料噴射ノズルは、ディーゼル原動機、とりわけ2ストローク大型ディーゼル・エンジンに特に適している。
本発明の更なる有利な対策及び好ましい実施例は、従属請求項から得られる。
本発明を、図面と実施例を援用してより詳細に以下に説明する。図面の一部は、断面図である。
本発明を理解するために、本発明による燃料噴射ノズルの実施例の本質的部分を参照番号1を付けた縦断面図として図1に示す。図を明瞭にするために、公知の種類の燃料噴射ノズルの、それ自体周知である要素は図示されていない。図1では、例えば船舶動力用の2ストローク大型ディーゼル・エンジンのシリンダ・ヘッド10に組み込まれた燃料噴射ノズルを示す。図によれば、燃料噴射ノズル1の下端は、組込み状態では、ディーゼル・エンジンのシリンダの燃焼室20中に延出している。
「上、下」などの相対位置の記述は、常に図面中の表示に関するものであり、例示的なものであり限定的なものではないことを理解されたい。
燃料噴射ノズル1は、ノズル・ボディ2と、ノズル・ボディ2に結合されているノズル・ヘッド3の実施例とを含む。ここで説明する実施例では、この結合は、その下端で燃料噴射ノズル1の縦軸Aに向かって先細になる保持スリーブ4によって行われている。この縦軸Aは同時に、ノズル・ヘッド3の縦軸Aである。保持スリーブ4は、スリーブ・ナット5及び例えば半円形ワッシャである可撓性エレメント45によってノズル・ボディ2に取り付けられている。ノズル・ヘッド3は、保持スリーブ4の先細部中に支持されている。
ノズル・ヘッド3は縦穴32と、その下端の領域に少なくとも1個、通常例えば5個のノズル孔31とを有し、ノズル孔31は縦穴32を始点とし、ノズル孔31を通して燃料を燃焼室20中に流出させることができる。
図2は、ノズル・ヘッド3の下側部分を示しており、5個のノズル孔31が配列されているのが認められる。ノズル孔31は、縦穴32から燃焼室20に向かって下方に傾いて延びる。即ち、各ノズル孔31は、90°より大きい角度α(図1)で縦穴32に開口している。
ノズル・ボディ2の内部に、燃料供給ライン12が開口している圧力室6が設けられている。圧力室6は、バルブ・シート8によって軸方向に仕切られている。ノズル・ニードル7が更に、ノズル・ボディ2の内部に配置され、実質的に縦軸Aの方向に延び、バルブ・シート8と協働する。図1に示す閉位置では、ノズル・ニードル7の下側先端が、バルブ・シートに押し込まれて、圧力室6から隣接する下流の縦穴32に入る通路が塞がれている。ノズル・ニードル7は、図示されていない圧力スプリングによって、それ自体は公知の方法でばね力を加えられ、バルブ・シート8に向かって付勢されている。ノズル・ニードル7の開位置では、ノズル・ニードル7がバルブ・シート8の外へ持ち上げられて、ノズル・ニードル7の下端とバルブ・シート8との間に通路が開き、燃料がそこを通って圧力室6から縦穴32へ流入することができる。
図1に示すように、縦穴32の長さLは、バルブ・シート8の、閉位置でノズル・ニードル7が接する表面の、図に示す底端と縦穴32の底端、即ち燃焼室の端部との間の距離を意味する。
通常、バルブ・シート8とノズル孔31の間の空間を盲穴と呼ぶ。
ここで説明する実施例における縦穴32は、縦軸Aの方向に延びる実質的に円筒形の穴として設計されている。縦穴32の直径Dによって流れ直径(flow diameter)が決まり、従って、流れ断面積が決まる。流れ断面積とは、燃料を流すのに使われる縦穴32中の断面積を意味する。縦穴が円筒形ではなく、例えば円錐型で直径が変化するように設計された場合には、「縦穴の流れ断面積又は流れ直径」という表現は、その最小の流れ断面又は流れ直径を意味する。
各ノズル孔31は、どの場合も円筒形の穴として、同じように設計される。どの場合もノズル孔の直径b(図2)によって、各ノズル孔31の流れ断面積が決まる。各ノズル孔31の直径bは、ノズル孔ごとに異なってもよいし、ノズル孔31の一部又は全部が同じでもよい。個々のノズル孔31によって決まるそれぞれの流れ断面積の合計がノズル孔の総流れ断面積になる。従って、全ての、この場合は5個のノズル孔の流れ断面積の合計が、ノズル孔31の総流れ断面積になり、即ち、燃料が縦穴32から流れ出て燃焼室20に入るのに使われる総流れ断面積になる。ノズル孔31の総流れ直径についても同様なことが云える。
本発明によれば、燃料噴射ノズル1又はノズル・ヘッド3は、縦穴32の長さLとその流れ直径の比が少なくとも17、好ましくは少なくとも20、特に好ましくは22より大きな値になるように設計される。
こうすることにより、盲穴、即ちバルブ・シート8の下流でノズル孔31の上流の容積が、公知の実施例に比べて例えば50%減少する。その結果、盲穴が著しく小さくなるので、ノズル・ニードル7が再びバルブ・シート8に密封式に押し込まれて噴射工程が終了した後にバルブ・シートの下流に存在する燃料が、かなり少なくなる。その結果、噴射工程が終了した後に、盲穴からの燃料によって燃焼室内及び排気排出用構成部品内で生じる有害な排出物がかなり大幅に減少する。
縦穴32の長さLと流れ直径の比を、引合いに出された、少なくとも17、好ましくは20、特に好ましくは22より大きな値にすると、流体力学的特性を顕著に劣化させず、またノズル・ヘッド3両端間の圧力低下を過度に大きくせずに、盲穴の容積をうまく減らすことができる。
具体的な実施例では、縦穴の長さLは、例えば直径が約2.1mmの場合は約48.1mm、直径が約2.9mmの場合は約70.7mmになる。
この実施例では、ノズル・ヘッド3は、好ましくは、縦穴32の流れ直径がノズル孔31の総流れ直径のせいぜい2倍であるように設計される。実際には、縦穴32の流れ直径は、ノズル孔31の総流れ直径の小さくても0.5倍から大きくても1.5倍が良いことが分かっている。
作動状態では、燃料噴射ノズル1は以下のように作動する。燃料は供給ライン12を通って圧力室6に送られる。噴射を開始するには、燃料用コモンレール畜圧室(common rail pressure store)と圧力室6の間の接続を例えばバルブによって開くか、或いは、燃料をインジェクション・ポンプによって圧力室6に送る。燃料はそこでノズル・ニードル7に荷重を掛け、図示されていない圧力ばねの初期荷重に逆らってノズル・ニードル7をバルブ・シート8の外へ持ち上げ、それにより、ノズル・ヘッド3の中への通路を開く。燃料は縦穴32の中を流れ、ノズル孔31を通って燃焼室20の中へ噴射される。噴射を終了するには、燃料の供給を止めるか、又はコモンレール畜圧室との接続を閉じることによって、圧力室6内の圧力を減少させ、その結果、圧力ばねがノズル・ニードル7を再びバルブ・シートに押し込み、燃料の通路を閉じる。盲穴の体積を大幅に減少させることにより、バルブ・シートのところで通路を閉じた後に燃焼室20の中に滴る燃料が著しく減少する。
縦穴32の直径Dを小さくする、即ち盲穴の容積を減少させると縦穴32の流れ断面積がかなり減少することになり、それが燃料と穴の壁との間の摩擦を増加させる。これは、ノズル・ヘッド3によって生じる圧力降下又は圧力損出が大きくなることに相当する。摩擦によって、本発明によるノズル・ヘッドで生じる圧力降下は、優に50〜100バールになる。コモンレール原理によって作動する最新式大型ディーゼル・エンジンでは、摩擦によって生じるこの圧力降下は、コモンレール畜圧室の燃料圧力をそれに応じて増加することにより簡単に埋め合わせることができる。従って、特に、低回転速度においても、燃料がノズル孔31を通って実際に噴射されるのに、例えば500〜700バールの十分な圧力が依然として存在し、それにより燃焼室20の中への問題のない噴射が保証される。
それに代わって、又はそれに加えて、流れ断面積の低減、即ち盲穴の容積の低減によって増加する流れ抵抗を少なくとも部分的に補償する他の対策を講じることもできる。
即ち、例えば、ノズル孔31の断面を大きくしてもよい。更に、縦穴32とノズル孔31の間の移行領域を、どの場合もまるみを持たせるように設計することが有利であり、まるみを持たせれば持たせるほど、縦穴32を出てノズル孔31に入る燃料が流れやすくなり、従って、流れ抵抗の低減を達成することができる。
極めて有利な別の対策を、図3及び4に示される本発明によるノズル・ヘッドの第2の実施例に示す。同一の部品、又は機能の点で同等な部品はそれぞれ、図で同じ参照番号が付けられている。
図3は第2の実施例の断面図であり、図4はノズル・ヘッド3の下部の拡大図である。図3及び図4に示すように、この実施例の縦穴32は、ノズル孔31の領域に拡張部分321を有する。図2に示すのと同様な5個のノズル孔31が、第2の実施例でも設けられている。
拡張部分321により、縦穴32から出てノズル孔31に入る燃料が容易に流れることができ、即ち、拡張部分321のより大きい断面から出てノズル孔に入る流れの向きをより簡単に変えられるので、流れ抵抗を最小限に抑えることができる。従って、ノズル孔31に流入するときの流体摩擦が低減される。
さらに、拡張部分は追加の利点を有する。所定の直径で、開口領域で所定のまるみを有する所定の数のノズル孔31に対し、縦穴32の中への各ノズル孔31の開口間の間隔を大きくすることができる。この間隔を大きくすると、ノズル・ヘッドの母材内の機械的応力のピーク値が減少するという利点がある。
図4に特に認められるように、拡張部分321を縦軸Aに関して非対称に形成することが、更なる有利な対策になる。縦穴32の縦軸は、この実施例でもノズル・ヘッド3の縦軸A、即ち燃料噴射ノズル1の縦軸と同一である。拡張部分321の縦軸Cは、縦軸Aに平行に、ただし縦軸Aからずれて延びており、その結果、拡張部分321は縦穴32に関して非対称、又は偏心した位置にある。
この対策は、縦穴32の比較的小さな直径Dによって決まる、厚目のノズル・ヘッド3の壁の厚さを、燃焼室20に面している側、即ちノズル孔31が設けられている側で拡張部分321によって減少することができるという利点を有する。厚目の壁厚は機械的負荷の点からは十分に利点になり得るが、どの場合もノズル孔31をより長くすることになる。これは、ノズル孔が長過ぎると中を流れる燃料噴流が強く集束されて、噴霧プロセスに悪影響を及ぼし得るので、欠点となり得る。これを、拡張部分321によって避けることができる。というのは、ノズル・ヘッド3の、燃焼室20に面する側の壁厚が薄くなり、従ってノズル孔31の長さが短くなるからである。更に、拡張部分321を非対称に設計すると、製造がより簡単になる。
図5に示す本発明によるノズル・ヘッドの第3の実施例を用いても、同様な効果を得ることができる。この実施例では、縦穴32は、ノズル・ヘッドの縦軸に対して傾いて延びている。図5に示すように、ここで符号A´を付けた縦穴32の縦軸は、ノズル・ヘッド3の軸Aに対し零ではない角度βで延びている。
当然、具体的な3つの実施例に関して説明した対策は、互いに組み合わせることもできる。
更に、本発明による燃料噴射ノズル1に関し、ノズル・ニードルが開位置のとき、バルブ・シート8のところでの通路が、少なくとも縦穴32の流れ断面積と同じ大きさであれば有利である。これは、ノズル・ニードル7が開位置のとき、ノズル・ニードルとバルブ・シート8との間の流れ断面積が、縦穴32の流れ断面積と同じ大きさであるか又はそれより大きいことを意味する。縦穴32の流れ断面積はノズル孔31全ての総流れ断面積より大きいので、ノズル・ニードル7が開位置のときは、圧力室6から下流のどこでも流れ断面積は増加しない。即ち、流れ断面積の増加があれば生じたはずの燃料の流速の低下が起こり得ないことを意味する。これは、燃料噴射ノズルにおいて有利に働く。というのは流れ断面積が広がっていくことによる運動エネルギーの回収(ディフューザ効果)は効率が悪いからである。
本発明による燃料噴射ノズルのノズル・ヘッドの製造は、それ自体は公知のあらゆる加工方法を用いて行うことができる。縦穴32、ノズル孔31、まるみ部分、及び必要なら拡張部分321の加工は、中ぐり及び/又は電気化学的加工方法、例えば電解加工によって行うことができる。
1 燃料噴射ノズル
2 ノズル・ボディ
3 ノズル・ヘッド
4 保持スリーブ
5 スリーブ・ナット
6 圧力室
7 ノズル・ニードル
8 バルブ・シート
10 シリンダ・ヘッド
12 燃料供給ライン
20 燃焼室
31 ノズル孔
32 縦穴
45 可撓性エレメント
321 拡張部分
2 ノズル・ボディ
3 ノズル・ヘッド
4 保持スリーブ
5 スリーブ・ナット
6 圧力室
7 ノズル・ニードル
8 バルブ・シート
10 シリンダ・ヘッド
12 燃料供給ライン
20 燃焼室
31 ノズル孔
32 縦穴
45 可撓性エレメント
321 拡張部分
Claims (10)
- ノズル・ボディ(2)と、前記ノズル・ボディ(2)に結合されたノズル・ヘッド(3)とを有し、
前記ノズル・ボディ(2)の内部に配置されたノズル・ニードル(7)を有し、前記ノズル・ニードルの端部はバルブ・シート(8)と協働して、開位置では前記ノズル・ニードル(7)が前記バルブ・シート(8)のところで燃料通路を開放し、閉位置では前記通路を閉鎖するように働き、
前記バルブ・シート(8)から前記ノズル・ヘッド(3)の中を延びる、ある流れ直径の縦穴(32)を有し、又
前記縦穴(32)から始まり、燃料を燃焼機関の燃焼室(20)の中へそれを通って導入することができる少なくとも1つのノズル孔(31)を有する
内燃機関、特に大型ディーゼル・エンジン用の燃料噴射ノズルであって、
前記縦穴(32)の長さ(L)と前記縦穴(32)の前記流れ直径の比が少なくとも17、好ましくは少なくとも20、特に好ましくは22より大きいことを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 全てのノズル孔が一緒になって燃料の総流れ直径をもたらし、前記縦穴(32)の流れ直径が、前記ノズル孔(31)全ての総流れ直径の大きくても2倍、好ましくは小さくても0.5倍から大きくても1.5倍である、請求項1に記載の燃料噴射ノズル。
- 前記縦穴(32)が前記ノズル孔(31)の領域に拡張部分(321)を有する、請求項1又は2に記載の燃料噴射ノズル。
- 前記拡張部分(321)が前記縦穴(32)の縦軸に関して非対称に形成される、請求項3に記載の燃料噴射ノズル。
- 前記縦穴(32)が前記ノズル・ヘッド(3)の縦軸(A)に対して傾いて延びる、請求項3に記載の燃料噴射ノズル。
- 各ノズル孔(31)が90°を超える角度(α)で前記縦穴(32)の中へ開口する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の燃料噴射ノズル。
- 前記縦穴(32)と前記ノズル孔(31)の間の移行領域がいずれもまるめられている、請求項1から6までのいずれか一項に記載の燃料噴射ノズル。
- 前記ノズル・ニードルが開位置のとき、前記バルブ・シート(8)のところでの前記通路が、少なくとも前記縦穴(32)の流れ断面積と同じ大きさの面積を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の燃料噴射ノズル。
- 前記ノズル・ヘッド(3)が、前記ノズル・ボディ(2)に取り外し可能に結合されている、請求項1から8までのいずれか一項に記載の燃料噴射ノズル。
- 請求項1から9までのいずれか一項に記載の燃料噴射ノズル(1)を有するディーゼル・エンジン、特に2ストローク大型ディーゼル・エンジン。
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