JP2005240731A - 電磁式燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイル組立体のコイルに連なる接続端子を臨ませるカプラを一体に有して少なくともソレノイドハウジングの一部を埋封せしめる合成樹脂製の被覆部を備える電磁式燃料噴射弁において、電気接続部の信頼性を得るのに充分な強度を確保しつつ作動音の発生を効果的に抑制し、しかもコンパクト化を可能とする。
【解決手段】被覆部7は、少なくともソレノイドハウジング25の一部を覆うとともにカプラ40の少なくとも一部を構成するようにしてガラス繊維が混入された合成樹脂によって形成される内側成形層7aと、内側成形層7aを覆うようにしてガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーによって形成される外側成形層7bとから成る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電磁式燃料噴射弁に関し、特に、前端に弁座を有する弁ハウジング内に前記弁座に着座する方向にばね付勢される弁体が収容される弁部と、前記弁座から離座させる側に前記弁体を駆動する電磁力を発揮し得るコイル組立体が前記弁ハウジングに連設されるソレノイドハウジング内に収容されるソレノイド部と、前記コイル組立体のコイルに連なる接続端子を臨ませるカプラを一体に有して少なくとも前記ソレノイドハウジングの一部を埋封せしめる合成樹脂製の被覆部とを備える電磁式燃料噴射弁に関する。
このような電磁式燃料噴射弁において、作動音の発生を抑制するために、燃料噴射弁全体をゴム製の防音カバーで覆うようにしたもの(特許文献1参照。)や、ソレノイドハウジングの一部を覆う防振体がカプラを有する被覆部でさらに覆われるようにしたもの(特許文献2参照。)が既に知られている。
特開昭62−195452号公報 特開昭63−41658号公報
上記特許文献1で開示されるように、噴射弁全体を防音カバーで覆うようにしたものでは、燃料噴射弁全体の大型化につながり、たとえば自動二輪車等で電磁式燃料噴射弁の配置スペースが制限されている場合には適用困難である。また上記特許文献2で開示されたものでは、防振体および被覆部の2層構造とされるのであるが、カプラは電気接続部の信頼性向上のために強度を比較的高くしておく必要があり、ガラス繊維を含む合成樹脂で被覆部が形成されるのが一般的である。しかるに被覆部中のガラス繊維は、音を伝達し易いものであり、防振体および被覆部の2層構造でソレノイドハウジングの一部を覆っているにもかかわらず、作動音の抑制効果が低いものとなっている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、電気接続部の信頼性を得るのに充分な強度を確保しつつ作動音の発生を効果的に抑制し、しかもコンパクト化を可能とした電磁式燃料噴射弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、前端に弁座を有する弁ハウジング内に前記弁座に着座する方向にばね付勢される弁体が収容される弁部と、前記弁座から離座させる側に前記弁体を駆動する電磁力を発揮し得るコイル組立体が前記弁ハウジングに連設されるソレノイドハウジング内に収容されるソレノイド部と、前記コイル組立体のコイルに連なる接続端子を臨ませるカプラを一体に有して少なくとも前記ソレノイドハウジングの一部を埋封せしめる合成樹脂製の被覆部とを備える電磁式燃料噴射弁において、前記被覆部は、少なくとも前記ソレノイドハウジングの一部を覆うとともに前記カプラの少なくとも一部を構成するようにしてガラス繊維が混入された合成樹脂によって形成される内側成形層と、内側成形層を覆うようにしてガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーによって形成される外側成形層とから成ることを特徴とする。 また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、ガラス繊維が混入された液晶ポリマーにより前記内側成形層が形成されることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、被覆部は、内側成形層および外側成形層から成る2層構造であり、ガラス繊維が混入された合成樹脂で内側成形層が形成されるので、コイル組立体のコイルおよび接続端子の接続部を内側成形層で覆うとともにカプラの少なくとも一部を内側成形層で形成するようにして電気接続部の信頼性を確保し得る強度を被覆部に持たせることができ、しかも内側成形層を覆う外側成形層が、ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーによって形成されるので、熱可塑性ポリエステルエラストマーの優れた柔軟性によって作動音の発生を効果的に抑制することが可能となる。しかも燃料噴射弁全体を防音カバーで覆うものに比べると、電磁式燃料噴射弁全体をコンパクト化することができる。
また請求項2記載の発明によれば、液晶ポリマーは、作動音の伝達を比較的抑える機能を有するものであり、高剛性でもあるので、電気接続部の信頼性を確保するための強度をより高めることができるとともに、作動音の発生をより効果的に抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
先ず図1において、図示しないエンジンに燃料を噴射するための電磁式燃料噴射弁は、前端に弁座13を有する弁ハウジング8内に前記弁座13に着座する方向にばね付勢される弁体20が収容される弁部5と、前記弁座13から離座させる側に前記弁体20を駆動する電磁力を発揮し得るコイル組立体24が前記弁ハウジング8に連設されるソレノイドハウジング25内に収容されるソレノイド部6と、前記コイル組立体24のコイル30に連なる接続端子38…を臨ませるカプラ40を一体に有して少なくとも前記コイル組立体24および前記ソレノイドハウジング25を埋封せしめた合成樹脂製の被覆部7とを備える。
弁ハウジング8は、磁性金属により形成される磁性円筒体9と、該磁性円筒体9の前端に液密に結合される弁座部材10とで構成される。弁座部材10は、その後端部を磁性円筒体9の前端部に嵌合した状態で、磁性円筒体9に溶接されるものであり、この弁座部材10には、その前端面に開口する燃料出口孔12と、該燃料出口孔12の内端に連なるテーパ状の弁座13と、該弁座13の後端大径部に連なるガイド孔14とが同軸に設けられる。また弁座部材10の前端には、燃料出口孔12に通じる複数の燃料噴孔15…を有する鋼板製のインジェクタプレート16が液密に全周溶接される。
弁ハウジング8内の後部には、ソレノイド部6の一部を構成する可動コア18が摺動可能に嵌合されており、該可動コア18に一体に連なる弁軸19の前端に、前記弁座13に着座して燃料出口孔12を閉鎖し得る弁体20が一体に形成される。可動コア18、弁軸19および弁体20には、弁ハウジング8内に通じる通孔21が前端を閉じた有底状にして同軸に形成される。
ソレノイド部6は、前記可動コア18と、該可動コア18に対向する円筒状の固定コア22と、可動コア18を固定コア22から離反させる側に付勢するばね力を発揮する戻しばね23と、戻しばね23のばね力に抗して可動コア18を固定コア22側に吸引する電磁力を発揮することを可能としつつ弁ハウジング8の後部および固定コア22を囲繞するように配置されるコイル組立体24と、弁ハウジング8に前端部が連設されるようにしてコイル組立体24を囲むソレノイドハウジング25とを備える。
弁ハウジング8における磁性円筒体9の後端は、ステンレス鋼等の非磁性金属により形成される非磁性円筒体26を介して前記固定コア22の前端に同軸に結合されるものであり、磁性円筒体9の後端は非磁性円筒体26の前端に突き合わせ溶接され、非磁性円筒体26の後端は、固定コア22の前端部を非磁性円筒体26に嵌合せしめた状態で固定コア22に溶接される。
固定コア22には円筒状のリテーナ27が同軸に圧入されており、前記戻しばね23は、リテーナ27および可動コア18間に介装される。また可動コア18の後端部内周には、可動コア18が固定コア22に直接接触することを回避すべく、非磁性材から成るリング状のストッパ28が可動コア18の後端面から固定コア22側にわずかに突出するようにして、嵌合、固定される。さらにコイル組立体24は、弁ハウジング8の後部、非磁性円筒体26および固定コア22を囲繞するボビン29にコイル30が巻装されて成るものである。
ソレノイドハウジング25は、コイル組立体24の弁部5側端部に対向する環状の端壁31aを一端に有してコイル組立体24を囲繞する円筒状にして磁性金属により形成される磁性枠31と、前記固定コア22の後端部から半径方向外方に張出してコイル組立体24の弁部5とは反対側の端部に対向するフランジ部22aとから成るものであり、フランジ部22aは磁性枠31の他端部に磁気的に結合される。しかも磁性枠31における端壁31aの内周には、前記弁ハウジング8における磁性円筒体9を嵌合せしめる嵌合筒部31bが同軸に設けられており、ソレノイドハウジング25は、その嵌合筒部31bに弁ハウジング8を嵌合せしめることで弁ハウジング8に連設される。
固定コア22の後端には、円筒状である入口筒33が一体にかつ同軸に連設されており、その入口筒33の後部に燃料フィルタ34が装着される。しかも入口筒33、リテーナ23および固定コア22には、可動コア18の通孔21に通じる燃料通路35が同軸に設けられる。
被覆部7は、ソレノイドハウジング25およびコイル組立体24だけでなく、ソレノイドハウジング25およびコイル組立体24間の間隙を満たしつつ、弁ハウジング8の一部および入口筒33の大部分を埋封せしめるように形成されるものであり、ソレノイドハウジング25の磁性枠31には、コイル組立体24のボビン29に一体に形成される腕部29aをソレノイドハウジング25外に配置するための切欠き部36が設けられる。
前記被覆部7には、前記コイル組立体24におけるコイル30の両端に連なる接続端子38…を臨ませるカプラ40が一体に設けられるものであり、前記接続端子38の基端は前記腕部28aに埋設されており、前記コイル30のコイル端30a…が接続端子38…に溶接される。
ところで、被覆部7は、少なくともソレノイドハウジング25の一部を覆うとともに前記カプラ40の少なくとも一部を構成する内側成形層7aと、内側成形層7aを覆う外側成形層7bとから成るものであり、この実施例では、ソレノイドハウジング25の全部、弁ハウジング8の後部および入口筒33の一部が内側成形層7aで覆われるとともにカプラ40の一部が内側成形層7aで形成される。
しかも内側成形層7aは、ガラス繊維が混入された合成樹脂たとえば液晶ポリマーによって形成されるのに対し、外側成形層7bは、ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマー、たとえば商品名ハイトレル(米国デュポン社)によって形成される。
ところで、ガラス繊維がたとえば35%混入した液晶ポリマーで被覆部7全体を形成した場合の曲げ強さと、被覆部7から生じる作動音圧ピークとの関係は、図2の点Aで示すようになるものであり、液晶ポリマーは、作動音の伝達を比較的抑える機能を有するとともに高剛性でもある。それに対し、ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーで被覆部7全体を形成した場合には、熱可塑性ポリエステルエラストマーの優れた柔軟性によって作動音の発生を効果的に抑制することができるものであり、図2の点Bで示すように、曲げ強さが液晶ポリマーに比べて低くなるものの作動音圧ピークを低く抑えることができる。
次にこの実施例の作用について説明すると、被覆部7は、少なくともソレノイドハウジング25の一部を覆うとともにカプラ40の少なくとも一部を構成するようにしてガラス繊維が混入された合成樹脂によって形成される内側成形層7aと、内側成形層7aを覆うようにしてガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーによって形成される外側成形層7bとから成るので、コイル組立体24のコイル30および接続端子38の接続部を内側成形層7aで覆うとともにカプラ40の少なくとも一部を内側成形層7aで形成するようにして電気接続部の信頼性を確保し得る強度を被覆部7aに持たせることができる。
また内側成形層7aを覆う外側成形層7bが、ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーによって形成されるので、熱可塑性ポリエステルエラストマーの優れた柔軟性によって作動音の発生を効果的に抑制することが可能となる。
しかも燃料噴射弁全体を防音カバーで覆うものに比べると、電磁式燃料噴射弁全体をコンパクト化することができる。
また内側成形層7aは、ガラス繊維が混入された液晶ポリマーによって形成されるものであり、液晶ポリマーは、作動音の伝達を比較的抑える機能を有するとともに高剛性でもあるので、電気接続部の信頼性を確保するための強度をより高めることができるとともに、作動音の発生をより効果的に抑制することが可能となる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
電磁式噴射弁の縦断面図である。 ガラス繊維が混入した液晶ポリマーおよび熱可塑性ポリエステルエラストマーの曲げ強さおよび作動音圧ピークの関係を示す図である。
符号の説明
5・・・弁部
6・・・ソレノイド部
7・・・被覆部
7a・・・内側成形層
7b・・・外側成形層
8・・・弁ハウジング
13・・・弁座
20・・・弁体
24・・・コイル組立体
25・・・ソレノイドハウジング
30・・・コイル
38・・・接続端子
40・・・カプラ

Claims (2)

  1. 前端に弁座(13)を有する弁ハウジング(8)内に前記弁座(13)に着座する方向にばね付勢される弁体(20)が収容される弁部(5)と、前記弁座(13)から離座させる側に前記弁体(20)を駆動する電磁力を発揮し得るコイル組立体(24)が前記弁ハウジング(8)に連設されるソレノイドハウジング(25)内に収容されるソレノイド部(6)と、前記コイル組立体(24)のコイル(30)に連なる接続端子(38)を臨ませるカプラ(40)を一体に有して少なくとも前記ソレノイドハウジング(25)の一部を埋封せしめる合成樹脂製の被覆部(7)とを備える電磁式燃料噴射弁において、前記被覆部(7)は、少なくとも前記ソレノイドハウジング(25)の一部を覆うとともに前記カプラ(40)の少なくとも一部を構成するようにしてガラス繊維が混入された合成樹脂によって形成される内側成形層(7a)と、内側成形層(7a)を覆うようにしてガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーによって形成される外側成形層(7b)とから成ることを特徴とする電磁式燃料噴射弁。
  2. ガラス繊維が混入された液晶ポリマーにより前記内側成形層(7a)が形成されることを特徴とする請求項1記載の電磁式燃料噴射弁。
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