JP3955030B2 - 電磁式燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁式燃料噴射弁に関し、特に、前端に弁座を有する弁ハウジング内に前記弁座に着座する方向にばね付勢される弁体が収容される弁作動部と、前記弁座から離座させる側に前記弁体を駆動する電磁力を発揮し得るコイル組立体が前記弁ハウジングに連設されるソレノイドハウジング内に収容されるソレノイド部と、前記コイル組立体のコイルに連なる受電側接続端子を臨ませる受電用カプラを一体に有して少なくとも前記ソレノイドハウジングの一部を埋封せしめる合成樹脂製の樹脂成形部とを備える電磁式燃料噴射弁に関する。
このような電磁式燃料噴射弁において、作動音の発生を抑制するために、燃料噴射弁全体をゴム製の防音カバーで覆うようにしたもの(特許文献1参照。)や、ソレノイドハウジングの一部を覆う防振体がカプラを有する被覆部でさらに覆われるようにしたもの(特許文献2参照。)が既に知られている。
特開昭62−195452号公報 特開昭63−41658号公報
上記特許文献1で開示されるように、噴射弁全体を防音カバーで覆うようにしたものでは、燃料噴射弁全体の大型化につながり、たとえば自動二輪車等で電磁式燃料噴射弁の配置スペースが制限されている場合には適用困難である。また上記特許文献2で開示されたものでは、防振体および被覆部の二層構造とされるのであるが、カプラは電気接続部の信頼性向上のために強度を比較的高くしておく必要があり、ガラス繊維を含む合成樹脂で樹脂成形部が形成されるのが一般的である。しかるに樹脂成形部中のガラス繊維は、音を伝達し易いものであり、防振体および樹脂成形部の二層構造でソレノイドハウジングの一部を覆っているにもかかわらず、作動音の抑制効果が低いものとなっている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、電気接続部の信頼性を得るのに充分な強度を確保しつつ作動音の発生を効果的に抑制し、しかもコンパクト化を可能とした電磁式燃料噴射弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、前端に弁座を有する弁ハウジング内に前記弁座に着座する方向にばね付勢される弁体が収容される弁作動部と、前記弁座から離座させる側に前記弁体を駆動する電磁力を発揮し得るコイル組立体が前記弁ハウジングに連設されるソレノイドハウジング内に収容されるソレノイド部と、前記コイル組立体のコイルに連なる受電側接続端子を臨ませる受電用カプラを一体に有して少なくとも前記ソレノイドハウジングの一部を埋封せしめる合成樹脂製の樹脂成形部とを備える電磁式燃料噴射弁において、前記樹脂成形部は、少なくとも前記ソレノイドハウジングの一部を覆うとともに前記受電用カプラの骨格をなすカプラ主部を構成する第1樹脂成形層と、第1樹脂成形層よりも曲げ強さの小さな材料で形成されるとともに前記受電用カプラの中間部から先端側は第1樹脂成形層が露出するようにして第1樹脂成形層を覆う第2樹脂成形層とが二層成形されて成り、前記受電用カプラの中間部で前記第1樹脂成形層には、前記第2樹脂成形層を係合せしめる少なくとも1つの無端状に連なる係合溝が形成されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、受電用カプラに着脱可能に接続される給電用カプラに弾発的に接触する突部が前記受電用カプラの一部を構成する部分で第2樹脂成形層に形成され、前記給電用カプラに係脱可能に係合する係合突起が、前記係合溝を前記突部との間に挟むようにして前記受電用カプラの一部を構成する部分で第1樹脂成形層に形成されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、ガラス繊維が混入された液晶ポリマーにより前記第1樹脂成形層が形成されることを特徴とする。
さらに請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーにより前記第2樹脂成形層が形成されることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、樹脂成形部は、第1樹脂成形層および第2樹脂成形層から成る二層構造であり、曲げ強度の比較的高い合成樹脂で第1樹脂成形層が形成されるので、コイル組立体のコイルおよび受電側接続端子の接続部を第1樹脂成形層で覆うとともに受電用カプラの骨格をなすカプラ主部を第1樹脂成形層で形成するようにして電気接続部の信頼性を確保し得る強度を樹脂成形部に持たせることができ、しかも第1樹脂成形層を覆う第2樹脂成形層が曲げ強度の比較的低い合成樹脂によって形成されることにより、作動音の発生を効果的に抑制することが可能となり、また燃料噴射弁全体を防音カバーで覆うものに比べると、電磁式燃料噴射弁全体をコンパクト化することができる。しかも受電用カプラの中間部までを二層成形することで、受電用カプラに必要とされる強度を第1樹脂成形層で得ながら、第2樹脂成形層によって受電用カプラからの作動音の発生を効果的に低減することができる。さらに受電用カプラの中間部では、第2樹脂成形層が第1樹脂成形層の係合溝に係合するので、二層成形完了後の第2樹脂成形層の収縮を抑制し、二層の密着性を高めて製品品質を向上せしめることができる。
また請求項2記載の発明によれば、曲げ強度の比較的低い第2樹脂成形層に形成された突部を給電用カプラに弾発接触させることで耐振動性を高め、共鳴音を低減することが可能となり、給電用カプラを係合せしめる係合突起を、曲げ強度の比較的高い第1樹脂成形層に形成することにより、給電用カプラの着脱の繰り返しに耐える充分な耐久性を確保することができる。
請求項3記載の発明によれば、ガラス繊維が混入された液晶ポリマーは、作動音の伝達を比較的抑える機能を有するものであり、高剛性でもあるので、電気接続部の信頼性を確保するための強度をより高めることができるとともに、作動音の発生をより効果的に抑制することが可能となる
さらに請求項4記載の発明によれば、ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーは、優れた弾性を有するものであり、作動音の発生を効果的に抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図3は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は電磁式燃料噴射弁の縦断面図、図2はガラス繊維が混入した液晶ポリマーおよび熱可塑性ポリエステルエラストマーの曲げ強さおよび作動音圧ピークの関係を示す図、図3は図1の3−3線断面図である。
先ず図1において、図示しないエンジンに燃料を噴射するための電磁式燃料噴射弁は、前端に弁座13を有する弁ハウジング8内に前記弁座13に着座する方向にばね付勢される弁体20が収容される弁作動部5と、前記弁座13から離座させる側に前記弁体20を駆動する電磁力を発揮し得るコイル組立体24が前記弁ハウジング8に連設されるソレノイドハウジング25内に収容されるソレノイド部6と、前記コイル組立体24のコイル30に連なる受電側接続端子38…を臨ませる受電用カプラ40を一体に有して少なくとも前記コイル組立体24および前記ソレノイドハウジング25を埋封せしめた合成樹脂製の樹脂成形部7とを備える。
弁ハウジング8は、磁性金属により形成される磁性円筒体9と、該磁性円筒体9の前端に液密に結合される弁座部材10とで構成される。弁座部材10は、その後端部を磁性円筒体9の前端部に嵌合した状態で、磁性円筒体9に溶接されるものであり、この弁座部材10には、その前端面に開口する燃料出口孔12と、該燃料出口孔12の内端に連なるテーパ状の弁座13と、該弁座13の後端大径部に連なるガイド孔14とが同軸に設けられる。また弁座部材10の前端には、燃料出口孔12に通じる複数の燃料噴孔15…を有する鋼板製のインジェクタプレート16が液密に全周溶接される。
弁ハウジング8内の後部には、ソレノイド部6の一部を構成する可動コア18が摺動可能に嵌合されており、該可動コア18に一体に連なる弁軸19の前端に、前記弁座13に着座して燃料出口孔12を閉鎖し得る弁体20が一体に形成される。可動コア18、弁軸19および弁体20には、弁ハウジング8内に通じる通孔21が前端を閉じた有底状にして同軸に形成される。
ソレノイド部6は、前記可動コア18と、該可動コア18に対向する円筒状の固定コア22と、可動コア18を固定コア22から離反させる側に付勢するばね力を発揮する戻しばね23と、戻しばね23のばね力に抗して可動コア18を固定コア22側に吸引する電磁力を発揮することを可能としつつ弁ハウジング8の後部および固定コア22を囲繞するように配置されるコイル組立体24と、弁ハウジング8に前端部が連設されるようにしてコイル組立体24を囲むソレノイドハウジング25とを備える。
弁ハウジング8における磁性円筒体9の後端は、ステンレス鋼等の非磁性金属により形成される非磁性円筒体26を介して前記固定コア22の前端に同軸に結合されるものであり、磁性円筒体9の後端は非磁性円筒体26の前端に突き合わせ溶接され、非磁性円筒体26の後端は、固定コア22の前端部を非磁性円筒体26に嵌合せしめた状態で固定コア22に溶接される。
固定コア22には円筒状のリテーナ27が嵌合されるとともにかしめにより固定されており、前記戻しばね23は、リテーナ27および可動コア18間に介装される。また可動コア18の後端部内周には、可動コア18が固定コア22に直接接触することを回避すべく、非磁性材から成るリング状のストッパ28が可動コア18の後端面から固定コア22側にわずかに突出するようにして、嵌合、固定される。さらにコイル組立体24は、弁ハウジング8の後部、非磁性円筒体26および固定コア22を囲繞するボビン29にコイル30が巻装されて成るものである。
ソレノイドハウジング25は、コイル組立体24の弁作動部5側端部に対向する環状の端壁31aを一端に有してコイル組立体24を囲繞する円筒状にして磁性金属により形成される磁性枠31と、前記固定コア22の後端部から半径方向外方に張出してコイル組立体24の弁作動部5とは反対側の端部に対向するフランジ部22aとから成るものであり、フランジ部22aは磁性枠31の他端部に磁気的に結合される。しかも磁性枠31における端壁31aの内周には、前記弁ハウジング8における磁性円筒体9を嵌合せしめる嵌合筒部31bが同軸に設けられており、ソレノイドハウジング25は、その嵌合筒部31bに弁ハウジング8を嵌合せしめることで弁ハウジング8に連設される。
固定コア22の後端には、円筒状である入口筒33が一体にかつ同軸に連設されており、その入口筒33の後部に燃料フィルタ34が装着される。しかも入口筒33、リテーナ23および固定コア22には、可動コア18の通孔21に通じる燃料通路35が同軸に設けられる。
樹脂成形部7は、ソレノイドハウジング25およびコイル組立体24だけでなく、ソレノイドハウジング25およびコイル組立体24間の間隙を満たしつつ、弁ハウジング8の一部および入口筒33の大部分を埋封せしめるように形成されるものであり、ソレノイドハウジング25の磁性枠31には、コイル組立体24のボビン29に一体に形成される腕部29aをソレノイドハウジング25外に配置するための切欠き部36が設けられる。
前記樹脂成形部7には、前記コイル組立体24におけるコイル30の両端に連なる受電側接続端子38…を臨ませる筒壁39を有する受電用カプラ40が一体に設けられるものであり、前記受電側接続端子38…の基端は前記腕部28aに埋設されており、前記コイル30のコイル端30a…が受電側接続端子38…に溶接される。
ところで、樹脂成形部7は、少なくともソレノイドハウジング25の一部を覆うとともに前記受電用カプラ40の骨格をなすカプラ主部40aを構成する第1樹脂成形層7aと、前記受電用カプラ40の中間部から先端側は第1樹脂成形層7aが露出するようにして第1樹脂成形層7aを覆う第2樹脂成形層7bとが二層成形されて成るものであり、この実施例では、ソレノイドハウジング25の全部、弁ハウジング8の後部および入口筒33の一部が第1樹脂成形層7aで覆われるとともに受電用カプラ40のカプラ主部40aが第1樹脂成形層7aで形成される。
しかも第1樹脂成形層7aは曲げ強度の比較的大きな材料で形成されるのに対して、第2樹脂成形層7bは、第1樹脂成形層7aよりも曲げ強さの小さな材料で形成されるものであり、第1樹脂成形層7aは、たとえばガラス繊維が混入された液晶ポリマーによって形成され、第2樹脂成形層7bは、ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマー、たとえば商品名ハイトレル(米国デュポン社)によって形成される。
ガラス繊維がたとえば35%混入した液晶ポリマーで樹脂成形部7全体を形成した場合の曲げ強さと、樹脂成形部7から生じる作動音圧ピークとの関係は、図2の点Aで示すようになるものであり、液晶ポリマーは、作動音の伝達を比較的抑える機能を有するとともに高剛性でもある。それに対し、ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーで樹脂成形部7全体を形成した場合には、熱可塑性ポリエステルエラストマーの優れた柔軟性によって作動音の発生を効果的に抑制することができるものであり、図2の点Bで示すように、曲げ強さが液晶ポリマーに比べて低くなるものの作動音圧ピークを低く抑えることができる。
ところで、前記受電用カプラ40の中間部から先端側で第1樹脂成形層7aは第2樹脂成形層7bによって覆われることはなく外部に露出されており、また弁ハウジング8の後部に対応する部分で第1樹脂成形層7aの一部は第2樹脂成形層7bによって覆われることはなく外部に露出されており、前記受電用カプラ40の中間部および弁ハウジング8の後部に対応する部分での第1および第2樹脂成形層7a,7bの境界部において、第1樹脂成形層7aには、第2樹脂成形層7bを係合せしめる少なくとも1つずつ、この実施例では1つずつの無端状に連なる係合溝41,42が、たとえば略U字状の横断面形状を有するようにしてそれぞれ形成される。
図3を併せて参照して、受電用カプラ40には、前記筒壁39を挿入せしめる凹部45を有する合成樹脂製の給電用カプラ46を着脱可能に接続することが可能である。この給電用カプラ46は、前記受電用カプラ40の筒壁39内に挿入可能な挿入部47を有しており、前記受電側接続端子38…を挿入させるようにして挿入部47に設けられる一対の接続孔48…に、前記受電側接続端子38…との電気的な接続を可能とした給電側接続端子49…がそれぞれ配設され、給電側接続端子49…に連なる導線50が給電用カプラ46から延出される。
しかも受電用カプラ40における前記筒壁39の外面の複数箇所には、前記凹部45の内面に弾発的に接触する突部51…が突設されるものであり、この実施例では筒壁39の外面に凹部45の内面に弾発的に接触する3個の突部51…が突設され、それらの突部51…は受電用カプラ40の一部を構成する部分で第2樹脂成形層7bに形成される。
また前記筒壁39の側壁の一部は平板状の壁部39aで構成されており、この壁部39aには、筒壁39から側方に突出する一対のガイド壁52,52が面一に連なるようにして一体に連設され、給電用カプラ46には、前記筒壁39を挿入せしめる凹部45の内面に開口する一対のガイド凹部53,53が、前記ガイド壁52,52を挿脱可能に嵌合することを可能として設けられ、これらのガイド壁52…も第1樹脂成形層7aに形成される。
また前記筒壁39の側壁のうち前記ソレノイドハウジング25側の側壁の外面には、前記給電用カプラ46に設けられた係合爪54を係脱可能に係合せしめる係合突起55が、前記係合溝41を前記突部51…との間に挟むようにして突設されるものであり、前記係合突起55は、受電用カプラ40の一部を構成する部分で第1樹脂成形層7aに形成される。
次にこの第1実施例の作用について説明すると、樹脂成形部7は、少なくともソレノイドハウジング25の一部を覆うとともに受電用カプラ40の骨格をなすカプラ主部40aを構成する第1樹脂成形層7aと、第1樹脂成形層7aよりも曲げ強さの小さな材料で形成されるとともに受電用カプラ40の中間部から先端側は第1樹脂成形層7aが露出するようにして第1樹脂成形層7aを覆う第2樹脂成形層7bとが二層成形されて成るものである。
したがってコイル組立体24のコイル30および受電側接続端子38…の接続部を第1樹脂成形層7aで覆うとともに受電用カプラ40の骨格をなすカプラ主部40aを第1樹脂成形層7aで形成するようにして電気接続部の信頼性を確保し得る強度を樹脂成形部7に持たせることができる。また第1樹脂成形層7aを覆う第2樹脂成形層7bが曲げ強度の比較的低い合成樹脂によって形成されることにより、作動音の発生を効果的に抑制することが可能となり、また燃料噴射弁全体を防音カバーで覆うものに比べると、電磁式燃料噴射弁全体をコンパクト化することができる。しかも受電用カプラ40の中間部までを二層成形することで、受電用カプラ40に必要とされる強度を第1樹脂成形層7aで得ながら、第2樹脂成形層7bによって受電用カプラ40からの作動音の発生を効果的に低減することができる。
しかも第1樹脂成形層7aは、ガラス繊維が混入された液晶ポリマーにより形成されるものであり、ガラス繊維が混入された液晶ポリマーは、作動音の伝達を比較的抑える機能を有し、高剛性でもあるので、電気接続部の信頼性を確保するための強度をより高めることができるとともに、作動音の発生をより効果的に抑制することが可能となる。
また第2樹脂成形層7bは、ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーにより形成されるものであり、ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーは、優れた弾性を有するので、作動音の発生を効果的に抑制することが可能となる。
また受電用カプラ40の中間部で第1樹脂成形層7aには、第2樹脂成形層7bを係合せしめる無端状に連なる係合溝41が形成されるので、二層成形完了後の第2樹脂成形層7bの収縮を抑制し、二層の密着性を高めて製品品質を向上せしめることができる。特に、この実施例では、弁ハウジング8の後部に対応する部分でも第1樹脂成形層7aに、第2樹脂成形層7bを係合せしめる無端状の係合溝42が形成されるので、より製品品質を向上せしめることができる。
受電側接続端子38…を臨ませる筒壁39を有する受電用カプラ40には、筒壁39を挿入せしめる凹部45を有する給電用カプラ46が着脱可能に接続され、受電側接続端子38…との電気的な接続を可能とした給電側接続端子49…が給電用カプラ46に設けられるのであるが、筒壁39の外面の複数箇所には、凹部45の内面に弾発的に接触する突部51…が突設されている。
したがって前記筒壁39が凹部45内で振動することはなく、受電用カプラ40および給電用カプラ46の振動を抑えて作動音の発生を抑制することができ、作動音の発生を抑制するための専用の部材は不要であり、部品点数の増大を回避してコスト低減を図ることができる。
しかも前記突部51…が、受電用カプラ40の一部を構成する部分で第2樹脂成形層7bに形成されるので、耐振動性をより高め、共鳴音をより低減することが可能となる。
また筒壁39の側壁の一部を構成する平板状の壁部39aに、筒壁39から側方に突出する一対のガイド壁52,52が前記壁部39aに面一に連なるようにして一体に連設され、給電用カプラ46には、前記筒壁39を挿入せしめる凹部45の内面に開口する一対のガイド凹部53,53が、前記ガイド壁52,52を挿脱可能に嵌合することを可能として設けられるので、筒壁39を凹部45内でガイドするための形状を単純化し、受電用カプラ40および給電用カプラ46を成形する金型の形状を単純化し、製造コストの低減に寄与することができる。
さらに筒壁39の側壁のうちソレノイドハウジング25側の側壁の外面には、前記給電用カプラ46の係合爪54を係脱可能に係合せしめる係合突起55が突設されるので、電磁式燃料噴射弁の外側方向への給電用カプラ46の張出しを抑制することが可能であり、特に、搭載スペースに制限のある自動二輪車等への適用に有効である。また給電用カプラ46の受電用カプラ40への係合部を保護するための保護壁が不要となり、給電用カプラ46の形状をより単純化して、給電用カプラ46を成形する金型の形状単純化によって製造コストをより一層低減することができる。
しかも係合突起55が、受電用カプラ40の中間部に設けられている係合溝41を前記突部51…との間に挟むようにして、前記受電用カプラ40の一部を構成する部分で第1樹脂成形層7aに形成されるので、給電用カプラ46を係合せしめる係合突起55を、曲げ強度の比較的高い第1樹脂成形層7aに形成することにより、給電用カプラ46の着脱の繰り返しに耐える充分な耐久性を確保することができる。
本発明の第2実施例として、図4に示すように、受電用カプラ40の中間部で第1樹脂成形層7aに、横断面形状を略V字形として無端状に連なる係合溝57が、第2樹脂成形層7bを係合せしめるようにして設けられていてもよく、本発明の第3実施例として、図5で示すように、受電用カプラ40の中間部で第1樹脂成形層7aに、無端状に連なる係合溝58が、第2樹脂成形層7bをくさび状に係合せしめるようにして設けられていてもよい。
また本発明のさらに他の実施例として、第1樹脂成形層7aのうち第2樹脂成形層7bで覆われる部分の外面にしぼ加工を施したり、前記外面を波形の凹凸を形成したりして、第1および第2樹脂成形層7a,7bの密着性を高めるようにしてもよい。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
第1実施例の電磁式燃料噴射弁の縦断面図である。 ガラス繊維が混入した液晶ポリマーおよび熱可塑性ポリエステルエラストマーの曲げ強さおよび作動音圧ピークの関係を示す図である。 図1の3−3線断面図である。 第2実施例の電磁式燃料噴射弁の縦断面図である。 第3実施例の電磁式燃料噴射弁の縦断面図である。
符号の説明
5・・・弁作動部
6・・・ソレノイド部
7・・・樹脂成形部
7a・・・第1樹脂成形層
7b・・・第2樹脂成形層
8・・・弁ハウジング
13・・・弁座
20・・・弁体
24・・・コイル組立体
25・・・ソレノイドハウジング
30・・・コイル
38・・・受電側接続端子
40・・・受電用カプラ
40a・・・カプラ主部
41,57,58・・・係合溝
46・・・給電用カプラ
51・・・突部
55・・・係合突起

Claims (4)

  1. 前端に弁座(13)を有する弁ハウジング(8)内に前記弁座(13)に着座する方向にばね付勢される弁体(20)が収容される弁作動部(5)と、前記弁座(13)から離座させる側に前記弁体(20)を駆動する電磁力を発揮し得るコイル組立体(24)が前記弁ハウジング(8)に連設されるソレノイドハウジング(25)内に収容されるソレノイド部(6)と、前記コイル組立体(24)のコイル(30)に連なる受電側接続端子(38)を臨ませる受電用カプラ(40)を一体に有して少なくとも前記ソレノイドハウジング(25)の一部を埋封せしめる合成樹脂製の樹脂成形部(7)とを備える電磁式燃料噴射弁において、前記樹脂成形部(7)は、少なくとも前記ソレノイドハウジング(25)の一部を覆うとともに前記受電用カプラ(40)の骨格をなすカプラ主部(40a)を構成する第1樹脂成形層(7a)と、第1樹脂成形層(7a)よりも曲げ強さの小さな材料で形成されるとともに前記受電用カプラ(40)の中間部から先端側は第1樹脂成形層(7a)が露出するようにして第1樹脂成形層(7a)を覆う第2樹脂成形層(7b)とが二層成形されて成り、前記受電用カプラ(40)の中間部で前記第1樹脂成形層(7a)には、前記第2樹脂成形層(7b)を係合せしめる少なくとも1つの無端状に連なる係合溝(41,57,58)が形成されることを特徴とする電磁式燃料噴射弁。
  2. 受電用カプラ(40)に着脱可能に接続される給電用カプラ(46)に弾発的に接触する突部(51)が前記受電用カプラ(40)の一部を構成する部分で第2樹脂成形層(7b)に形成され、前記給電用カプラ(46)に係脱可能に係合する係合突起(55)が、前記係合溝(41,57,58)を前記突部(51)との間に挟むようにして前記受電用カプラ(40)の一部を構成する部分で第1樹脂成形層(7a)に形成されることを特徴とする請求項1記載の電磁式燃料噴射弁。
  3. ガラス繊維が混入された液晶ポリマーにより前記第1樹脂成形層(7a)が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の電磁式燃料噴射弁。
  4. ガラス繊維の混入を排除した熱可塑性ポリエステルエラストマーにより前記第2樹脂成形層(7b)が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電磁式燃料噴射弁。
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