JP2005239751A

JP2005239751A - 帯電防止性溶剤系ドライラミネート用接着剤およびこの接着剤によりラミネートされた複合プラスチックフィルム

Info

Publication number: JP2005239751A
Application number: JP2004047472A
Authority: JP
Inventors: Kanji Hayashi; 寛治林
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 2004-02-24
Filing date: 2004-02-24
Publication date: 2005-09-08

Abstract

【技術課題】接着強度を低下させない帯電防止性能を有するプラスチックフィルムドライラミネート用接着剤及びこの接着剤でラミネートされた複合プラスチックフィルムを提供する。
【解決手段】溶剤系ポリウレタン樹脂の架橋硬化剤として、脂肪族イソシアネート系硬化剤を用い、帯電防止剤には、脂肪酸ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート塩とポリオキシエチレンアルキルエーテルとの混合物を用いて接着剤を調製し、この接着剤を用いてプラスチックフィルムをドライラミネートする。

Description

本願発明は、ラミネート加工技術において、フィルム表面の摩擦帯電の抑止性に優れ、かつ、ラミネート強度、ヒートシール強度、耐熱水性に優れた帯電防止性溶剤系ドライラミネート用接着剤およびこの接着剤によりラミネートされた複合プラスチックフィルムに関するものである。

従来のドライラミネート用接着剤によるラミネートフィルムは、フィルム表面の帯電防止にはラミネート基材フィルムに帯電防止剤を練り込み混入したものを使用するのが一般的手段であるが、このような練り込み方式のフィルムにあっては、帯電防止剤がブリードすると云う問題がある。そこで、練り込み以外の方法でフィルムに帯電防止性能を付与する方法として、次のものが公知である。
特開２００２−０５９５１８号この特許文献１に掲載のフィルムは、静電気による埃付着の少ない、帯電防止性に優れた化粧板積層用樹脂フィルム、およびその樹脂フィルムを積層した化粧板に関し、接着樹脂層４として共重合ポリエステルフィルムを、基材樹脂層６としてポリブチレンテレフタレートフィルムを用い、選択的に印刷層５を形成し、さらに透明な表面樹脂層７を、選択的に下から順次積層し、これらの各樹脂層を接着させる接着剤３や基板に化粧フィルムを接着する際に用いる接着剤の中に帯電防止剤を１〜１０％含有させたことを特徴とするものである。しかし、このフィルムの場合、ブリードの問題はなくなるが、帯電防止剤を含有させたことにより、接着剤の接着強度が低下すると云う問題がある。

本発明は、帯電防止剤を含有させた接着剤において、接着強度の強化を図るのが目的である。

接着剤に帯電防止性能を持たせることにより、ラミネートフィルム表面に静電気発生を抑止する機能を発現させる研究を行い、鋭意研究の結果、接着剤の接着性能を低下させることなく、課題の帯電防止性能を具備したラミネート用接着剤を完成するに至った。この完成された本願発明の構成は次のとおりである。
請求項１に記載の帯電防止性溶剤系ドライラミネート用接着剤において、溶剤系ポリウレタン樹脂に帯電防止剤を添加したことを特徴とするものである。

更に、請求項２に記載の発明においては、請求項１に記載の溶剤系ポリウレタン樹脂の架橋硬化剤として、脂肪族イソシアネート系硬化剤が用いられることを特徴とするものである。

更に、請求項３に記載の発明においては、請求項１に記載の発明において、帯電防止剤は脂肪酸ジメチルエチルアンモニゥムエトサルフェート塩とポリオキシエチレンアルキルエーテルとの混合物であることを特徴とするものである。

更に、請求項４に記載の発明においては、請求項１に記載のポリウレタン樹脂の有機溶剤溶液と請求項２に記載の脂肪族イソシアネート系硬化剤の有機溶剤溶液とから成ることを特徴とするものである。

更に、請求項５に記載の発明においては、複合プラスチックフィルムにおいて、請求項１〜４に記載のいずれか１項に記載された帯電防止性溶剤系ドライラミネート用接着剤を用いてラミネートされることを特徴とするものである。

本発明は以上のとおり、ポリエステル系ポリウレタン樹脂であって、高Ｔｇポリウレタン樹脂と低Ｔｇポリウレタン樹脂の混合組成物溶液に帯電防止剤混合溶液を添加してプラスチックフィルムのラミネート用接着剤としたことにより、接着強度を十分に確保しながら帯電防止性能を有する接着剤を提供できる。また、この接着剤で混合されたプラスチックフィルムは、ラミネート強度が高く、各種包装分野、印刷物分野等において有効となる。また、本発明に係る接着剤は、水系、有機系を問わない溶剤対応性がある。

本発明の溶剤系ドライラミネート用接着剤の構成とその使用例を詳細に説明する。
請求項１に記載のポリウレタン樹脂の酢酸エチル溶液に予め、請求項３に記載の帯電防止剤の酢酸エチル溶液を添加したものを成分Ａとする。このＡ液に添加する請求項２に記載のイソシアネート系硬化剤の酢酸エチル溶液を成分Ｂとする。上記Ａ液とＢ液とを所定の比率にて配合したものを塗布液に調製する。本塗布液をプラスチックフィルム基材に塗布し、塗布面を乾燥後、シーラント基材に圧着し、ラミネートする。
その後、硬化促進のため、温度４０℃にて２４時間程度熟成槽に保管してラミネートフィルムを作成する。

本ラミネートフィルムの基材は、ＰＥＴ、ＯＰＰ、Ｎｙｌ、シリカ蒸着ＰＥＴなどであり、シーラント基材はＣＰＰ、ＰＥなどである。上記ラミネート基材とシーラント基材の組み合わせは、いずれの組み合わせにおいても良好なラミネート強度、シール強度を示した。耐水性、耐熱水性についても良好であった。

本接着剤の特徴である帯電防止性能は、本ラミネートフィルムの両表面での摩擦帯電圧は０．０〜０．２ｋｖで、極めて優れた性能を示した。

本発明の請求項１に記載のポリウレタン樹脂は、ポリエステル系ポリウレタン樹脂であり、高Ｔｇポリウレタン樹脂と低Ｔｇポリウレタン樹脂の混合組成物である。この混合比率は、固形分重量比率で高Ｔｇポリウレタン樹脂：低Ｔｇポリウレタン樹脂＝１：２〜１：５の範囲である。

高Ｔｇの温度は０〜４０℃の範囲であり、低Ｔｇの温度は−３０〜０℃の範囲である。

請求項３に記載の帯電防止剤である脂肪酸ジメチルエチルアンモニゥムエトサルフェートとポリオキシエチレンアルキルエーテルの混合物の混合比率は固形分重量比率で１０：１〜１２：１である。

以下、請求項１〜３に記載の試料を用いた実施例を詳述する。
実施例１に使用する試料：
１．高Ｔｇポリエステル系ポリウレタン樹脂酢酸エチル溶液（固形分３０％）
２．低Ｔｇポリエステル系ポリウレタン樹脂酢酸エチル溶液（固形分３０％）
３．脂肪族イソシアネート系硬化剤酢酸エチル溶液（固形分５０％）
４．脂肪酸ジメチルエチルアンモニゥムエトサルフェート（固形分１００％）
５．ポリオキシエチレンアルキルエーテル（固形分１００％）
６．溶剤：酢酸エチル

上記１〜６の試料を用いて本溶剤系接着剤を調製した。
ａ．上記試料４に上記試料５を混合比１０：１で混合して、試料６の酢酸エチル溶剤で３０％酢酸エチル溶液に調製した。
ｂ．上記試料１の高Ｔｇポリウレタン樹脂の３０％酢酸エチル溶液と試料２の低Ｔｇポリウレタン樹脂の３０％酢酸エチル溶液とを重量比１：２．５の混合溶液を調製した。
ｃ．本ポリウレタン樹脂の３０％酢酸エチル溶液に帯電防止剤の３０％混合酢酸エチル溶液を固形分量比１０：１の混合比で添加、調製した。

本ポリウレタン樹脂酢酸エチル溶液に帯電防止剤酢酸エチル溶液を上記比率で添加した調整液成分Ａ液と硬化剤成分Ｂ液にて本接着剤の配合調製をした。
１．成分Ａ液１０Ｋｇ
２．成分Ｂ液１Ｋｇ
計１１Ｋｇ（本配合液の固形分％は約３１％）

本接着剤を用いて、ドライラミネーターにて各種フィルムの貼り合わせ加工を行った接着剤塗布基材としては、表１を選び、各々のコロナ放電処理面およびシリカ蒸着面に本接着剤を塗布した。塗工版として彫刻グラビア版（１００線）を用いて塗工し、乾燥後の塗布量は、３．２〜３．５／ｍ２を得た。

シーラントフィルムとしては、表２を選び、各々のコロナ放電処理面を接着剤塗布面に圧着し、貼り合わせた後、４０℃の恒温槽にて２４時間保管熟成した。

実施例２で配合調整した接着剤を用い、表１のフィルムを基材に表２のフィルムをシーラントとして実施例３の加工条件で貼り合わせ、４０℃の熟成室にて４日間保管し、接着剤を硬化させ、以下の積層フィルム（ラミネートフィルム）を得た。
１．（表側）ＯＰＰ２０μ／接着剤／ＬＬＤＰＥ４０μ（裏側）
２．（表側）ＰＥＴ１２μ／接着剤／ＬＬＤＰＥ４０μ（裏側）
３．（表側）Ｏ−ＮＹＬＯＮ１５μ／接着剤／ＬＬＤＰＥ４０μ（裏側）
４．（表側）シリカ蒸着ＰＥＴ１２μ／接着剤／ＬＬＤＰＥ４０μ（裏側）
５．（表側）ＰＥＴ１２μ／接着剤／ＣＰＰ６０μ（裏側）
６．（表側）Ｏ−ＮＹＬＯＮ１５μ／接着剤／ＣＰＰ６０μ（裏側）
以上のラミネートフィルムについてラミネート強度、ヒートシール強度、摩擦帯電圧などの性能を測定した。その結果を表３に示す。

なお、ラミネート強度測定の測定は、１５ｍｍ幅にカットした試料片の端部より基材とシーラントフィルムをＴ字状に剥離し、オートグラフを用い、引っ張り速度（３００ｍｍ／分）で剥離した時の強度を測定した。

ヒートシール強度測定
試料の積層フィルムのシーラントフィルム面同士を向かい合わせ（１５０℃、１Ｋｇｆ／ｃｍ²、１秒）の条件でヒートシールした。ヒートシール部分を１５ｍｍ幅にカットし、試料片をＴ字状にオートグラフにセットし、引っ張り速度（３００ｍｍ／分）で剥離した時の強度を測定した。その結果を表４に示す。

熟成後の積層フィルムの摩擦帯電圧を表５に示す。

熟成後の積層フィルムの表面固有抵抗値を表６に示す。

実施例４で使用したラミネートフィルムで８ｃｍ×１０ｃｍの袋を作り、８０ｇの水を充填シールし、サンプルとした。ボイル試験として、９０℃の熱湯中で１時間加熱し、水冷後乾燥し、変化を観察した。この結果を表７に示す。

Claims

溶剤系ポリウレタン樹脂に帯電防止剤を添加した帯電防止性溶剤系ドライラミネート用接着剤。
請求項１に記載の溶剤系ポリウレタン樹脂の架橋硬化剤として、脂肪族イソシアネート系硬化剤が用いられていることを特徴とする帯電防止性溶剤系ドライラミネート用接着剤。
請求項１に記載の帯電防止剤は、脂肪酸ジメチルエチルアンモニゥムエトサルフェート塩とポリオキシエチレンアルキルエーテルとの混合物であることを特徴とする帯電防止性溶剤系ドライラミネート用接着剤。
請求項１に記載のポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液と請求項２に記載のポリイソシアネート有機溶媒溶液とから成る帯電防止性溶剤系ドライラミネート用接着剤。
請求項１〜４に記載のいずれか１項に記載された帯電防止性溶剤系ドライラミネート用接着剤を用いてラミネートされた複合プラスチックフィルム。