JP2005237382A - 新規ポリペプチド - Google Patents

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Abstract

【課題】2型糖尿病治療剤、特にインスリン抵抗性改善剤のスクリーニングツール及びスクリーニング方法、並びに前記スクリーニングツール及びスクリーニング方法に有用な新規ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、プロモーター、及び形質転換体を提供する。
【解決手段】前記ポリペプチドは、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有する新規ポリペプチドである。
【選択図】なし

Description

本発明は、2型糖尿病治療剤(特にインスリン抵抗性改善剤)のスクリーニングに有用な新規ポリペプチド並びに2型糖尿病治療剤(特にインスリン抵抗性改善剤)スクリーニングツール及びスクリーニング方法に関する。
近年の運動不足、あるいは、高脂肪食の多い食生活などといった生活スタイルの欧米化により、糖尿病と診断されうる人は年々増加している。これらの糖尿病患者の90%以上は、インスリン分泌の低下、あるいは、インスリン抵抗性の増大によるインスリン作用不足を特徴とする2型糖尿病である。
健常人においては、食事を摂取して血糖値が上昇すると、膵臓からのインスリン分泌が速やかに上昇し、そのインスリン濃度に反応して、肝臓での糖放出低下作用、並びに骨格筋及び脂肪組織での糖取り込み量の増加作用が生じ、血糖値が低下して正常ラインに戻る。しかし、インスリン抵抗性を起こしている2型糖尿病患者では、組織におけるインスリンの感受性が低下しているため、インスリンに応答した筋肉及び脂肪組織で糖取り込みの上昇、又は肝臓での糖放出の低下が充分ではなく、食後高血糖又は空腹時高血糖といった異常な血糖値の変動を示すようになる。糖尿病は発症しても長い間、自覚症状がなく進行し、重篤な糖尿病では糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、又は神経障害などの合併症を併発することから、糖尿病は進行の早い時期から予防又は治療することが非常に重要である。
インスリン抵抗性を改善する糖尿病治療薬として、肝臓での糖放出抑制作用の増強を主作用とするビグアナイド剤や、肝臓、脂肪、及び/又は骨格筋でのインスリン抵抗性の軽減を主作用とするチアゾリジン誘導体が現在臨床で使われている。しかし、合併症や副作用などの問題で慎重な投与が要求されており、インスリン抵抗性改善薬として、副作用のない、より効果の強い薬剤が求められているのが現状である(非特許文献1)。
2型糖尿病では糖代謝へのインスリン作用低下が普遍的に認められ、これが体全体の糖代謝異常にきわめて大きく関わっている。従って、2型糖尿病の病態の解明、更には治療薬の開発には、インスリンによる糖輸送促進機構の解明が必要である(非特許文献2)。逆に考えれば、糖輸送機構を阻害する因子が糖尿病に関連する可能性は非常に高い。
また、インスリンとインスリン様成長因子I(IGF-I)は、同一ファミリーに属するペプチドホルモンであり、それらの構造と機能には類似性が数多く認められる。更に、インスリン受容体及びIGF-I受容体は、いずれもチロシンキナーゼ型受容体ファミリーに属する相同性の高い分子であり、それぞれ固有のリガンドが、他の受容体に交差親和性を有する(非特許文献3)。インスリンやIGF-Iが受容体と結合することによりシグナル伝達が進み、細胞外液中の糖を取り込むことにより血糖低下作用を示すことが知られている(非特許文献4)。IGF-Iは、単独では血中での安定性が悪く、血中では90%以上がインスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP)と複合体を形成して安定性を保っており、IGF-Iの組織移行性や作用調節の観点からも、IGFBPの存在が重要な意味を持っていると考えられている(非特許文献5)。糖尿病とIGFBPとの関連性は数多く報告されており、例えば、1/2型糖尿病患者の血中のIGFBP-3及びIGFBP-5はともに減少していること(非特許文献6)、1型糖尿病患者尿中には18kDaのIGFBP-3N末分解産物が増加していること(非特許文献7)、ストレプトゾトシン(膵臓β細胞を特異的に破壊するので、動物に投与することにより、実験的に糖尿病を発症させることができる)を投与した糖尿病ラットの腎子宮体でIGFBP-3がIGFBP-5と共に発現してくること(非特許文献8)、糖尿病性腎症を示す2型糖尿病患者尿中のIGFBP-3分解活性と、糖尿病性腎症で尿中に漏出が見られるアルブミン量とは、正の相関をすること(非特許文献9)、1型糖尿病の原因多型は、IGFBP-2及びIGFBP-5遺伝子近傍に存在すること(非特許文献10)こと、並びに、IGFBP-3がプロテアーゼにより分解されると、IGF-Iとの親和性は低下し、分解されたN末断片はインスリンとの親和性が向上すること(非特許文献11及び非特許文献12)が知られている。
以上より、IGFBPの分解を抑制することも有効な糖尿病治療(インスリン抵抗性改善)法を提供することができるものと考えられている。
一方、ヒトADAM8は、推定アミノ酸配列が知られており、メタロプロテアーゼであること、並びに、腫瘍及び血小板凝集との関係が示唆されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献13、非特許文献14、及び非特許文献15)が、糖尿病との関連は、示唆されていない。
河盛隆造ら,「糖尿病 2001 からだの科学 増刊」,日本評論社,2001年,p.86-108 岡,「最新医学」,2002年,p.41-46 宮園ら,サイトカイン・増殖因子,羊土社,104-109,1998 門脇ら,メディカル用語ライブラリー 糖尿病,羊土社,52-53,1995 山中ら,ホルモンと臨床,29-38,1998 J.Endocrinol.,159,297-306,1998 Clinical Endocrinology,51,587-596,1999 Am.J.Kidney.diseases,1000-1010,1998 J.Clin.Endo.Metab.,85,1163-1169,2000 Science,272,1811-1813,1996 Yamanaka Y.ら,J.Biol.Chem.,272,30729-30734,1997 Peter V.ら,J.Clin.Endocrinol.Metab.,83,1392-1395,1998 SWISSPROT P78325 AD08 HUMAN(1997.11.1) インターネットURL:http://kr.expasy.org/cgi-bin/niceprot.pl?P78325 NCBI D26579 1 Homo sapiens mRNA (1999.2.6) インターネットURL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=nucleotide&list_uids=1864004&dopt=GenBank Genomics 1997 Apr 1 41, 56 CD156(human ADAM8) WO01/09189 WO01/53486
本発明者らは、新規なインスリン抵抗性改善剤を取得するスクリーニング系を提供するために鋭意検討した結果、糖尿病モデルマウスで発現が増大している遺伝子を見い出し、前記遺伝子(マウスMD8遺伝子)、ヒトオルソログ遺伝子(ヒトMD8遺伝子)、及びヒトMD8遺伝子プロモーターを取得した。そして、マウスMD8又はヒトMD8を脂肪細胞で過剰発現させるとインスリンによる糖取り込みを阻害すること、及び、ヒトMD8は、分解することによりインスリン抵抗性が増すと考えられているIGFBPを分解する活性を有する新規なプロテアーゼであることを見出した。以上の知見に基づき、MD8及びそのプロモーターは新規な糖尿病治療剤(特にインスリン抵抗性改善剤)をスクリーニングするために有用なツールとなることを明らかにし、新規な糖尿病治療剤(特にインスリン抵抗性改善剤)スクリーニングツール、新規スクリーニング法、及び新規な糖尿病治療用医薬組成物の製造方法を提供し、本発明を完成した。
本発明は、
[1](1)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチド、(3)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列を含み、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチド、あるいは、(4)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列との相同性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチドである、糖尿病治療剤スクリーニングツール;
[2](1)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、[1]に記載の糖尿病治療剤スクリーニングツール;
[3][1]又は[2]に記載のポリペプチドを発現している細胞である、糖尿病治療剤スクリーニングツール;
[4]細胞が形質転換体である、[3]に記載の糖尿病治療剤スクリーニングツール;
[5](1)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチド、(2)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の中のいずれかの1〜10個の部位において、塩基が置換、欠失、及び/又は挿入されている塩基配列を含み、しかも、[1]又は[2]に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド、(3)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の少なくとも一部の塩基配列を含み、しかも、[1]又は[2]に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド、あるいは、(4)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、しかも、[1]又は[2]に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチドである、糖尿病治療剤スクリーニングツール;
[6]ポリヌクレオチドが、配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列を含み、しかも、[1]又は[2]に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有する、[5]に記載の糖尿病治療剤スクリーニングツール;
[7][5]又は[6]に記載のポリヌクレオチドを含む細胞である、糖尿病治療剤スクリーニングツール;
[8]細胞が形質転換体である、[7]に記載の糖尿病治療剤スクリーニングツール;
[9]糖尿病治療剤がインスリン抵抗性改善剤である、[1]〜[8]に記載のスクリーニングツール;
[10][1]又は[2]に記載のポリペプチドを発現している細胞と、試験物質とを接触させる工程、及びインスリン刺激による糖取り込み量を分析する工程を含む、[1]又は[2]に記載のポリペプチドの阻害剤か否かを分析する方法;
[11][10]に記載の方法による分析工程、及び阻害剤を選択する工程を含む、[1]又は[2]に記載のポリペプチドの阻害剤をスクリーニングする方法;
[12][10]に記載の方法による分析工程、及び阻害剤を選択する工程を含む、糖尿病治療剤をスクリーニングする方法;
[13](1)[7]又は[8]に記載の細胞と、試験物質とを接触させる工程、及び(2)プロモーター活性を分析する工程を含む、試験物質が[5]又は[6]に記載のポリヌクレオチドのプロモーター活性を阻害するか否かを分析する方法;
[14][13]に記載の方法による分析工程、及びプロモーター活性を阻害する物質を選択する工程を含む、[1]又は[2]に記載のポリペプチドの発現を抑制する物質をスクリーニングする方法;
[15][13]に記載の方法による分析工程、及びプロモーター活性を阻害する物質を選択する工程を含む、糖尿病治療剤をスクリーニングする方法;
[16][10]又は[13]に記載の方法による分析工程、及び製剤化工程を含む、糖尿病治療用医薬組成物の製造方法;
[17]配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチド;
[18]配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
[19][17]又は[18]に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
[20][19]に記載のポリヌクレオチドを発現可能に含むベクター;
[21][19]に記載のポリヌクレオチドを含む形質転換体;
[22](1)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチド、(2)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の中のいずれかの1〜10個の部位において、塩基が置換、欠失、及び/又は挿入されている塩基配列を含み、しかも、[1]又は[2]に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド、(3)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の少なくとも一部の塩基配列を含み、しかも、[1]又は[2]に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド、あるいは、(4)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、しかも、[1]又は[2]に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド;
[23]配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列を含み、しかも、[1]又は[2]に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有する、[22]に記載のポリヌクレオチド;
[24][22]又は[23]に記載のポリヌクレオチドを含む形質転換体;
[25][21]に記載の形質転換体を培養する工程を含む、[17]又は[18]に記載のポリペプチドの製造方法;並びに
[26][19]に記載のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプローブ
に関する。
本発明には、[1]若しくは[2]に記載のポリペプチド、[3]、[4]、[7]、若しくは[8]に記載の細胞、又は[5]若しくは[6]に記載のポリヌクレオチドの糖尿病治療剤スクリーニングのための使用も含まれる。「糖尿病治療剤」としては、インスリン抵抗性改善剤が好ましく、「糖尿病治療剤」又は「糖尿病治療用医薬組成物」は、糖尿病である患者の治療のために使用する薬剤又は医薬組成物と、糖尿病傾向にある対象に予防的に使用する薬剤若しくは医薬組成物との両方を含む。
本発明のスクリーニングツール又はスクリーニング方法によれば、糖尿病治療剤、特にインスリン抵抗性改善剤をスクリーニングすることができる。
本発明の新規ポリペプチドは、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有することから、本発明のスクリーニングツール又はスクリーニング方法に用いることができる。
また、本発明のポリヌクレオチド、ベクター、及び形質転換体は、本発明のポリペプチドを製造するのに有用である。
また、本発明のプロモーターも、本発明のスクリーニングツール又はスクリーニング方法に用いることができる。本発明のポリヌクレオチド又はプロモーターを含む本発明の形質転換体は、本発明のスクリーニングツール又はスクリーニング方法に用いることができる。
更に、本発明のプローブは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現量を調べるために用いることができ、その発現量の増加を指標として糖尿病の診断をすることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
遺伝子組換え技術は、公知の方法(例えば、"Molecular Cloning-A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1989、WO01/34785号パンフレット)に従って実施することができる。
1.本発明のスクリーニングツール
本発明の糖尿病治療剤、特にはインスリン抵抗性改善剤スクリーニングツールには、ポリペプチド型スクリーニングツール、細胞型スクリーニングツール、及びプロモーター型スクリーニングツールとが含まれる。
(1)ポリペプチド型スクリーニングツール
本発明のポリペプチド型スクリーニングツールとして用いることのできるポリペプチドとしては、例えば、
(i)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(ii)(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチド、あるいは、(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列を含み、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する);あるいは、
(iii)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列との相同性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)
を挙げることができる。
以下、本発明のポリペプチド型スクリーニングツールとして用いることのできるこれらの各種ポリペプチドを、総称して、スクリーニングツール用ポリペプチドと称する。
本発明のスクリーニングツール用ポリペプチドである「配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」(以下、MD8タンパク質と称することがある)及び「配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」(以下、mMD8タンパク質と称することがある)は、それぞれ、824個のアミノ酸残基からなるヒト由来の新規ポリペプチド及び825個のアミノ酸残基からなるマウス由来のポリペプチドである。前記MD8タンパク質及びmMD8タンパク質は、いずれも、亜鉛配位コンセンサス配列(HExxH:配列番号15)を有するメタロプロテアーゼである。
配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるこれらのポリペプチドは、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有する。
本明細書において「インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有する」とは、対象となるポリペプチドを発現させた脂肪細胞及び発現させていない脂肪細胞を、それぞれ、インスリン刺激し、それぞれの細胞の糖取り込み量を比較すると、ポリペプチドを発現させた脂肪細胞の糖取り込み量が減少することを意味する。インスリン刺激した際の糖取り込み量の比較は、例えば、実施例4〜7に記載の方法に従って確認することができる。糖取り込み量の減少の程度としては、20%以上低下することが好ましく、50%以上低下することがより好ましく、80%以上低下することが更に好ましい。
本発明のポリペプチド型スクリーニングツールとして用いることのできる機能的等価改変体として、(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列の1又は複数の箇所において、全体として1〜10個(更に好ましくは1〜7個、特に好ましくは1〜5個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチド、あるいは、(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列を含み、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチドが好ましい。
また、配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列を含み、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチドとして、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドのN末端及び/又はC末端に、適当なマーカー配列等を付加したポリペプチド(すなわち、融合ポリペプチド)も、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有する限り、含まれる。
前記マーカー配列としては、例えば、ポリペプチドの発現の確認、細胞内局在の確認、あるいは、精製等を容易に行なうための配列を用いることができ、例えば、FLAGエピトープ、ヘキサ−ヒスチジン・タグ、ヘマグルチニン・タグ、又はmycエピトープなどを挙げることができる。
本発明のポリペプチド型スクリーニングツールとして用いることのできる相同ポリペプチドは、配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列に関して、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなることができる。
なお、本明細書における前記「相同性」とは、BLAST(Basic local alignment search tool; Altschul, S. F. ら, J. Mol. Biol., 215, 403-410, 1990)により得られた値を意味し、アミノ酸配列の相同性は、BLAST検索アルゴリズムを用いて決定することができる。具体的には、BLASTパッケージ(sgi32bit版, バージョン2.0.12; NCBIより入手)のbl2seqプログラム(Tatiana A. Tatusova及びThomas L. Madden, FEMS Microbiol. Lett., 174, 247-250, 1999)を用い、デフォルトパラメーターに従って算出することができる。ペアワイズ・アラインメント・パラメーターとして、プログラム名「blastp」を使用し、Gap挿入Cost値を「0」で、Gap伸長Cost値を「0」で、Query配列のフィルターとして「SEG」を、Matrixとして「BLOSUM62」をそれぞれ使用する。
本発明には、「配列番号2又は配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの部分断片であって、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチド」も含まれる。
(2)細胞型スクリーニングツール
本発明の細胞型スクリーニングツールとして用いることのできる細胞(以下、スクリーニングツール用細胞と称する)は、細胞型スクリーニングツールとして用いる際に前記スクリーニングツール用ポリペプチドを発現している限り、特に限定されるものではなく、人為的に前記ポリペプチドを発現させた形質転換細胞であることもできるし、スクリーニングツール用ポリペプチドを発現することが知られている天然の細胞又はその細胞株であることもできるが、スクリーニングツール用ポリペプチドで形質転換することにより得られた形質転換細胞が好ましい。特に好ましい細胞型スクリーニングツールとして、例えば、
(i)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを発現している形質転換細胞;
(ii)機能的等価改変体を発現している形質転換細胞;及び
(iii)相同タンパク質を発現している形質転換細胞
を挙げることができる。
(3)プロモーター型スクリーニングツール
本発明のプロモーター型スクリーニングツールとして用いることのできるポリヌクレオチド(以下、本発明のプロモーターと称する)としては、(1)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチド、(2)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の中のいずれかの1〜10個の部位において、塩基が置換、欠失、及び/又は挿入されている塩基配列を含み、しかも、スクリーニングツール用ポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド、(3)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の少なくとも一部の塩基配列を含み、しかも、スクリーニングツール用ポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド、あるいは、(4)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、しかも、スクリーニングツール用ポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチドである限り、特に限定されるものではないが、例えば、
(i)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ii)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含み、しかも、スクリーニングツール用ポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド;
(iii)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の中のいずれかの1〜10個の部位において、塩基(好ましくは全体として1〜10塩基、より好ましくは1〜5塩基、更に好ましくは1〜3塩基)が置換、欠失、及び/又は挿入されている塩基配列を含み、しかも、スクリーニングツール用ポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド
が好ましく、後述の本発明のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチドがより好ましい。
なお、本明細書において「ストリンジェントな条件下」とは、非特異的な結合が起こらない条件を意味し、具体的には、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する0.1×SSC(Saline-sodium citrate buffer)溶液を使用し、温度が65℃である条件を意味する。
また、本発明のプロモーター型スクリーニングツールとして用いることのできる細胞(以下、本発明のプロモーター発現細胞と称する)としては、本発明のプロモーターを含み、プロモーター活性を発現する細胞である限り、特に限定されるものではないが、本発明のプロモーターで形質転換された細胞がより好ましい。
「プロモーター活性」とは、下流の遺伝子のメッセンジャーRNAの転写量を制御する活性を意味し、「スクリーニングツール用ポリペプチド(または、本発明のポリペプチド)のプロモーター活性を有する」とは、実施例12に記載の方法でスクリーニングツール用ポリペプチド(または、本発明のポリペプチド)のプロモーター活性を確認できることを意味する。
本発明のプロモーターを用い、試験物質が本発明のプロモーターの活性を阻害するか否かを分析することにより、本発明のスクリーニングツール用ポリペプチド又は本発明のポリペプチドの発現を抑制する物質をスクリーニングすることができる。本発明のスクリーニングツール用ポリペプチド又は本発明のポリペプチドは、インスリンによる糖取り込みを阻害する。従って、前記プロモーターの活性を阻害、すなわち、前記ポリペプチドの発現を抑制する物質は、インスリンによる糖取り込み阻害(すなわちインスリン抵抗性)を改善し、糖尿病治療剤(特にインスリン抵抗性改善剤)の有効成分として有用である。従って、本発明のプロモーター型スクリーニングツールを、糖尿病治療剤(特にインスリン抵抗性改善剤)のスクリーニングツールとして使用することもできる。
2.本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチド
本発明のポリペプチドには、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチドが含まれる。
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである限り、特に限定されるものではなく、特に、「配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」をコードするポリヌクレオチド、より具体的には、配列番号1で表される塩基配列の1番目〜2472番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドが好ましい。なお、本明細書における用語「ポリヌクレオチド」には、DNA及びRNAの両方が含まれる。
3.本発明のポリペプチド型若しくは細胞型スクリーニングツール、ポリペプチド、及びポリヌクレオチドの製造方法
本発明のポリヌクレオチド、及びスクリーニングツール用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(以下、スクリーニングツール用ポリヌクレオチドと称する)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(a)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用
いた方法、(b)常法の遺伝子工学的手法(すなわち、cDNAライブラリーで形質転換した形質転換株から、所望のcDNAを含む形質転換株を選択する方法)を用いる方法、又は(c)化学合成法などを挙げることができる。以下、各製造方法について、順次、説明する。
PCRを用いた方法[前記製造方法(a)]では、例えば、以下の手順により、本発明のポリヌクレオチド又はスクリーニングツール用ポリヌクレオチドを製造することができる。
すなわち、本発明のポリペプチド又はスクリーニングツール用ポリペプチドを産生する能力を有する細胞(例えば、ヒト又はマウス細胞)又は組織からmRNAを抽出する。次いで、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列に基づいて、前記ポリペプチドに相当するmRNAの全長を挟むことのできる2個1組のプライマーセット、あるいは、その一部のmRNA領域を挟むことのできる2個1組のプライマーセットを作成する。反応条件(例えば、変性温度又は変性剤添加条件など)を適切に調整して、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を行なうことにより、本発明のポリペプチド又はスクリーニングツール用ポリペプチドをコードする全長cDNA又はその一部を得ることができる。
また、前記ポリペプチドを産生する能力を有する細胞(例えば、ヒト又はマウス細胞)又は組織から調製したmRNAから、逆転写酵素を用いて作製したcDNA、あるいは、市販のヒト又はマウス細胞又は組織由来のcDNAを鋳型として、PCRを実施することによっても、前記ポリペプチドをコードする全長cDNA又はその一部を得ることができる。
なお、得られたこれらの全長cDNA又はその一部は、適当な発現ベクターに組み込むことにより、宿主細胞で発現させ、前記ポリペプチドを製造することができる。
常法の遺伝子工学的手法を用いる方法[前記製造方法(b)]では、例えば、以下の手順により、本発明のポリヌクレオチド又はスクリーニングツール用ポリヌクレオチドを製造することができる。
まず、前記のPCRを用いた方法で調製したmRNAを鋳型として、逆転写酵素を用いて1本鎖cDNAを合成した後、この1本鎖cDNAから2本鎖cDNAを合成する。 次に、前記2本鎖cDNAを含む組換えプラスミドを作製した後、大腸菌(例えば、DH5α株、HB101株、又はJM109株)に導入して形質転換させ、例えば、テトラサイクリン、アンピシリン、又はカナマイシンに対する薬剤耐性を指標として、組換体を選択する。
このようにして得られる形質転換株から、目的のcDNAを有する形質転換株を選択する方法としては、例えば、(1)合成オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションを用いるスクリーニング法、又は(2)PCRにより作製したプローブとのハイブリダイゼーションを用いるスクリーニング法を採用することができる。
得られた目的の形質転換株より本発明のポリヌクレオチド又はスクリーニングツール用ポリヌクレオチドを採取する方法は、公知の方法に従って実施することができる。例えば、細胞よりプラスミドDNAに相当する画分を分離し、得られたプラスミドDNAからcDNA領域を切り出すことにより行なうことができる。
化学合成法を用いた方法[前記製造方法(c)]では、例えば、化学合成法によって製造したDNA断片を結合することによって、本発明のポリヌクレオチド又はスクリーニングツール用ポリヌクレオチドを製造することができる。各DNAは、DNA合成機[例えば、Oligo 1000M DNA Synthesizer(Beckman社製)、又は394 DNA/RNA Synthesizer(Applied Biosystems社製)など]を用いて合成することができる。
当業者であれば、天然型に存在する塩基配列の一部を他の塩基への置換や塩基の欠失及び/又は付加などの改変により、天然型のインスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対する阻害活性と同等の阻害活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを調製することが可能である。天然型と同等の阻害活性を有する機能的等価改変体や相同ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、例えば、制限酵素及び/又はDNAエキソヌクレアーゼによる欠失導入、部位特異的変異誘発法による変異導入[Nucleic Acid Res. 10, 6487 (1982)]、合成変異DNAの直接導入などの方法[Maniatis, T. et al. (1989) : “Molecular Cloning - A Laboratory Manual 2nd Edt.” Cold Spring Harbor Laboratory, NY]によって製造することができる。
これまで述べた種々の方法により得られるDNAの配列決定は、例えば、マキサム−ギルバートの化学修飾法(Maxam, A. M. 及びGilbert, W., "Methods in Enzymology", 65, 499-559, 1980)やジデオキシヌクレオチド鎖終結法(Messing, J. 及びVieira, J., Gene, 19, 269-276, 1982)等により行なうことができる。
単離された本発明のポリヌクレオチド又はスクリーニングツール用ポリヌクレオチドを、適当なベクターDNAに再び組込むことにより、宿主細胞(真核生物及び原核生物の各宿主細胞を含む)を形質転換させることができる。また、これらのベクターに適当なプロモーター及び形質発現にかかわる配列を導入することにより、それぞれの宿主細胞においてポリヌクレオチドを発現させることが可能である。
例えば、真核生物の宿主細胞には、脊椎動物、昆虫、及び酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物細胞としては、例えば、サルの細胞であるCOS細胞(Gluzman, Y., Cell, 23, 175-182, 1981)、チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO)のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株(Urlaub, G. 及びChasin, L. A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4216-4220, 1980)、ヒト胎児腎臓由来HEK293細胞、及び前記HEK293細胞にエプスタイン・バーウイルス
のEBNA-1遺伝子を導入した293-EBNA細胞(Invitrogen社)等を挙げることができる。
脊椎動物細胞の発現ベクターとしては、通常発現しようとするポリヌクレオチドの上流
に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写終結配
列等を有するものを使用することができ、更に必要により、複製起点を有していることができる。前記発現ベクターの例としては、例えば、SV40の初期プロモーターを有するpSV2dhfr(Subramani, S. ら, Mol. Cell. Biol., 1, 854-864, 1981)、ヒトの延長因子プロモーターを有するpEF-BOS(Mizushima, S. 及びNagata, S., Nucleic Acids Res., 18, 5322, 1990)、サイトメガロウイルスプロモーターを有するpCEP4(Invitrogen社)等を挙げることができる。
宿主細胞としてCOS細胞を用いる場合には、発現ベクターとして、SV40複製起点を有し、COS細胞において自律増殖が可能であり、更に、転写プロモーター、転写終結シグナル、及びRNAスプライス部位を備えたものを用いることができ、例えば、pME18S(Maruyama, K. 及びTakebe, Y., Med. Immunol., 20, 27-32, 1990)、pEF-BOS(Mizushima, S. 及びNagata, S., Nucleic Acids Res., 18, 5322, 1990)、又はpCDM8(Seed, B., Nature, 329, 840-842, 1987)等を挙げることができる。
前記発現ベクターは、例えば、市販のトランスフェクション試薬(例えば、FuGENETM 6 Transfection Reagent; Roche Diagnostics社製)を用いた方法により、COS細胞に取り込ませることができる。
また、宿主細胞としてCHO細胞を用いる場合には、本発明のポリヌクレオチド又はスクリーニングツール用ポリヌクレオチドを含む発現ベクターと共に、G418耐性マーカーとして機能するneo遺伝子を発現することのできるベクター、例えば、pRSVneo(Sambrook, J. ら, "Molecular Cloning-A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1989)又はpSV2-neo(Southern, P. J. 及びBerg, P., J. Mol. Appl. Genet., 1, 327-341, 1982)等をコ・トランスフェクトし、G418耐性のコロニーを選択することにより、本発明のポリペプチド又はスクリーニングツール用ポリペプチドを安定に産生する形質転換細胞を得ることができる。
また、宿主細胞として293-EBNA細胞を用いる場合には、発現ベクターとして、エプスタイン・バーウイルスの複製起点を有し、293-EBNA細胞で自己増殖が可能なpCEP4(Invitrogen社)などを用いることができる。
形質転換体は、常法に従って培養することができ、前記培養により、細胞膜に貫通した状態で、本発明のポリペプチド又はスクリーニングツール用ポリペプチドが生産される。前記培養に用いることのできる培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される各種の培地を適宜選択することができる。例えば、COS細胞の場合には、例えば、RPMI-1640培地又はダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)等の培地に、必要に応じて牛胎仔血清(FBS)等の血清成分を添加した培地を使用することができる。また、293-EBNA細胞の場合には、牛胎仔血清(FBS)等の血清成分を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)等の培地にG418を加えた培地を使用することができる。
本発明の形質転換体を培養することにより生産される本発明のポリペプチド又はスクリーニングツール用ポリペプチドは、前記ポリペプチドの物理的性質や生化学的性質等を利用した各種の公知の分離操作法により、分離精製することができる。具体的には、前記ポリペプチドを含む細胞又は細胞膜画分を、例えば、通常のタンパク質沈殿剤による処理、限外濾過、各種液体クロマトグラフィー[例えば、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換体クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等]、若しくは透析法、又はこれらの組合せ等により、前記ポリペプチドを精製することができる。
本発明のポリペプチド又はスクリーニングツール用ポリペプチドは、マーカー配列とインフレームで融合して発現させることにより、前記ポリペプチドの発現の確認、又は精製等が容易になる。前記マーカー配列としては、例えば、FLAGエピトープ、ヘキサ−ヒスチジン・タグ、ヘマグルチニン・タグ、又はmycエピトープなどを挙げることができる。また、マーカー配列と前記ポリペプチドとの間に、プロテアーゼ(例えば、エンテロキナーゼ、ファクターXa、又はトロンビンなど)が認識する特異的なアミノ酸配列を挿入することにより、マーカー配列部分をこれらのプロテアーゼにより切断除去することが可能である。
4.本発明のプロモーター及びプロモーター発現細胞製造法
本発明のプロモーターは、実施例11に記載の方法で製造する以外に、下記の方法で製造することもできる。
(1)PCR法を用いた製造
実施例11に記載のように、プライマーとヒトゲノムDNAとを用いてPCRを行い、配列番号20の塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列を含むDNAを製造することができる。一般に、アレル変異体の存在は良く知られている。本方法でDNAを製造した場合に、配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の中のいずれかの部位において、塩基が置換、欠失、及び/又は挿入されている塩基配列を含み、本発明のスクリーニングツール用ポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチドが得られる場合もあるが、これも前述のとおり本発明のプロモーターに含まれる。
(2)DNA合成を用いた製造
配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列及びその相補鎖を、何本かに分割して化学合成法によって製造し、これらのDNA断片を結合することによっても製造することができる。各DNA断片は、DNA合成機を用いて合成することができる。
製造したポリヌクレオチドが本発明のスクリーニングツール用ポリペプチド(または本発明のポリペプチド)のプロモーター活性を有するか否かは、例えば、実施例12に記載の方法で確認することができる。
当業者であれば、天然型に存在するプロモーター配列の塩基配列の一部を他の塩基への置換や塩基の欠失及び/又は付加などの改変により、天然型のプロモーターと同等のプロモーター活性を有するポリヌクレオチドを調製することが可能である。このように天然型の塩基配列において塩基が置換、欠失、及び/又は付加した塩基配列を有し、天然型のプロモーターと同等のプロモーター活性を有するポリヌクレオチドもまた前述のとおり、本発明のプロモーターに含まれ、塩基の改変は、例えば、制限酵素及び/又はDNAエキソヌクレアーゼによる欠失導入、部位特異的変異誘発法による変異導入、変異プライマーを用いたPCR法によるプロモーター配列の改変、あるいは、合成変異DNAの直接導入などの方法により行うことができる。
本発明のプロモーター発現細胞は、目的に応じ適宜選択した宿主細胞に、本発明のプロモーターを組み込むことにより製造できる。目的に応じ適宜選択したベクターに、本発明のプロモーターを組み込むことにより製造するのが好ましく、例えば、プロモーター活性を阻害するか否かを分析する系の構築を目的とする場合は、実施例11及び12に記載したように、ルシフェラーゼ等のレポーター遺伝子を組み込んだベクターに本発明のプロモーターを組み込んで製造することが好ましい。例えば、本発明のプロモーター活性を調節する物質のスクリーニング系構築を目的とする場合は、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、又はラットなど)由来の細胞を用いることが好ましく、ヒト由来の細胞を用いることがより好ましい。
5.本発明の分析方法及びスクリーニング方法
(1)スクリーニングツール用ポリペプチド又はスクリーニングツール用細胞を用いる方法
スクリーニングツール用ポリペプチドが有する、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対する阻害活性を利用し、試験物質が、前記ポリペプチドの活性を阻害するか否かの分析及び阻害剤のスクリーニングができる。前記ポリペプチドの阻害剤は、糖尿病(好ましくは2型糖尿病、特にインスリン抵抗性)の治療又は予防剤の有効成分として有用であるので、糖尿病(好ましくは2型糖尿病、特にインスリン抵抗性)の治療剤のスクリーニングも可能である。
本発明による、スクリーニングツール用ポリペプチドの阻害剤であるか否かを分析する方法では、スクリーニングツール用ポリペプチドを発現している細胞と試験物質とを接触させる工程、及びインスリン刺激による糖取り込み量を分析する工程を含む。また、スクリーニングツール用ポリペプチドの阻害剤又は糖尿病治療剤のスクリーニング方法では、前記分析工程及び阻害剤を選択する工程を含む。
具体的には、スクリーニングツール用ポリペプチドを発現している細胞としては、例えば、脂肪細胞、あるいは、脂肪細胞以外の細胞(例えば、3T3-L1細胞)を脂肪細胞に分化させた細胞を用いることができ、実施例7で使用した、3T3-L1細胞を分化させ、脂肪細胞に配列番号2又は配列番号14に記載のポリペプチドを発現した細胞を用いることが好ましい(江崎ら、医学の歩み、503-506、1998)。
また、糖取り込み量の分析(検出又は測定)は、常法により実施することができ、その分析方法としては、例えば、実施例7に記載の方法を用いることが好ましい。より具体的には、スクリーニングツール用ポリペプチドを発現している細胞に試験物質を接触させた場合の糖取り込み量と、接触させなかった場合の糖取り込み量とをそれぞれ測定し、試験物質を接触させた場合の糖取り込み量が、接触させなかった場合と比較して増加する試験物質は、前記ポリペプチドの阻害剤であり、糖尿病(好ましくは2型糖尿病、特にインスリン抵抗性)の治療又は予防剤の有効成分として有用であると判断することができる。
本発明のスクリーニング方法でスクリーニングツール用ポリペプチドの阻害剤として選択する場合には、糖取り込み量の増加程度が20%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
(2)本発明のプロモーター型スクリーニングツールを用いる方法
本発明の分析方法は、本発明のプロモーター発現細胞(好ましくは、本発明のプロモーターを含む発現ベクターで形質転換された細胞)と、試験物質とを接触させる工程、及びプロモーター活性を分析(検出又は測定)する工程を含む、試験物質が本発明のプロモーター活性を阻害するか否かを分析する方法を含む。
プロモーター活性を分析する方法としては、実施例12に記載した配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列を含むレポーター遺伝子プラスミドを用いる方法が簡便である。レポーター遺伝子とは、通常の手段(例えば、酵素活性の測定等、当業者に既知の定量法)によって定量することができるタンパク質をコードする遺伝子を指し、例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、又はアルカリフォスファターゼの各遺伝子がよく用いられているが、これらに限定されない。レポーター遺伝子プラスミドを構築する基となるベクターに関しては制限はなく、市販のプラスミドベクター、例えば、pGV-B2(東洋インキ社)又はpSEAP2-Basic(Clontech社)などを用いることができる。これらのベクターのレポーター遺伝子の上流に前記配列を順方向に挿入したレポーター遺伝子プラスミドを構築し、このプラスミドで形質転換した細胞において発現されるレポータータンパク質の量をそれぞれに適した方法で測定することにより前記配列のプロモーター活性の有無及び/又は強度を知ることができ、また、前記形質転換細胞の培養液に試験物質を添加することにより、試験物質の前記プロモーター活性に及ぼす作用を分析することができる。
また、本発明には、前記分析工程、及びプロモーター活性を阻害する物質を選択する工程を含む、本発明のスクリーニングツール用ポリペプチド(好ましくは本発明のポリペプチド)の発現を抑制する物質をスクリーニングする方法、又は糖尿病治療剤(特にインスリン抵抗性改善剤)をスクリーニングする方法も含まれる。
前記スクリーニング法で選択するプロモーター活性を阻害する物質としては、後述の実施例12に記載の方法で、20%以上阻害する物質が好ましく、50%以上阻害する物質がより好ましく、80%以上阻害する物質が更に好ましい。
本発明のスクリーニング方法にかけることのできる試験物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケミカルファイルに登録されている種々の公知化合物(ペプチド又は抗体若しくはその断片を含む)、市販されている種々の化合物、コンビナトリアル・ケミストリー技術(Terrett, N. K. ら, Tetrahedron, 51, 8135-8137, 1995)や通常の合成技術によって得られた化合物群、ファージ・ディスプレイ法(Felici, F. ら, J. Mol. Biol., 222, 301-310, 1991)などを応用して作成されたランダム・ポリペプチド群、微生物の培養上清、植物又は海洋生物由来の天然成分、あるいは、動物組織抽出物などを用いることができる。また、本発明のスクリーニング法により選択された化合物(ペプチド又は抗体若しくはその断片を含む)を化学的又は生物学的に構造修飾した化合物を用いることもできる。
6.本発明の糖尿病治療用医薬組成物の製造法
本発明の糖尿病治療用医薬組成物(治療用及び予防用医薬組成物を含む)の製造方法は、前述の、(i)(a)本発明のスクリーニングツール用細胞を用いる阻害剤分析工程、あるいは、(b)本発明のプロモーター型スクリーニングツールを用いるプロモーター活性分析工程、及び(ii)製剤化工程を含む。
本発明の糖尿病治療用医薬組成物の製造方法には、糖尿病治療用医薬組成物の品質規格の確認試験において、本発明の分析方法により、インスリン刺激による糖取り込み阻害活性、または、プロモーター活性を阻害するか否かを分析する工程、及び製剤化工程を含む、糖尿病治療用医薬組成物の製造方法も含まれる。
また、本発明には、本発明のスクリーニング方法により選択される、インスリン刺激による糖取り込み阻害活性、または、プロモーター活性を阻害する物質を有効成分とする糖尿病治療用医薬組成物が包含される。そして、前述の本発明の分析工程を含む本発明のスクリーニング方法で得られた物質を製剤化することを含む、糖尿病治療用医薬組成物の製造方法も、本発明の糖尿病治療用医薬組成物の製造方法に含まれる。
配列番号20で表される塩基配列の少なくとも一部分を含むDNAは、プロモーター活性を有するか否かを問わず、本発明のプロモーターとこれに結合可能なタンパク質(例えば、転写因子)との結合を拮抗阻害することができる。このため、前記DNAが、本発明のプロモーターの活性を促進するタンパク質の結合部位に相当する場合には、このDNAを投与することによりプロモーター活性を阻害することができる。拮抗阻害に用いるDNAは、通常少なくとも6塩基以上、好ましくは10塩基以上の鎖長を有する。
本発明の医薬組成物は、有効成分のタイプに応じて、それらの製剤化に通常用いられる担体、賦形剤、及び/又はその他の添加剤を用いて調製することができる。
投与としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、又は経口用液剤などによる経口投与、あるいは、静注若しくは筋注などの注射剤、坐剤、経皮投与剤、又は経粘膜投与剤などによる非経口投与を挙げることができる。特に胃で消化されるペプチドにあっては、静注等の非経口投与又は消化を受けない製剤化手段、例えば、WO95/28963号パンフレットに記載の製剤化手段を適用するのが好ましい。
経口投与のための固体組成物においては、1又はそれ以上の活性物質と、少なくとも一つの不活性な希釈剤、例えば、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどと混合することができる。前記組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えば、滑沢剤、崩壊剤、安定化剤、又は溶解若しくは溶解補助剤などを含有することができる。錠剤又は丸剤は、必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質などのフィルムで被覆することができる。
経口のための液体組成物は、例えば、乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、又はエリキシル剤を含むことができ、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば、精製水又はエタノールを含むことができる。前記組成物は、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えば、湿潤剤、懸濁剤、甘味剤、芳香剤、又は防腐剤を含有することができる。
非経口のための注射剤としては、無菌の水性若しくは非水性の溶液剤、懸濁剤、又は乳濁剤を含むことができる。水溶性の溶液剤又は懸濁剤には、希釈剤として、例えば、注射用蒸留水又は生理用食塩水などを含むことができる。非水溶性の溶液剤又は懸濁剤の希釈剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、アルコール類(例えば、エタノール)、又はポリソルベート80等を含むことができる。前記組成物は、更に湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解若しくは溶解補助剤、又は防腐剤などを含むことができる。前記組成物は、例えば、バクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合、又は照射によって無菌化することができる。また、無菌の固体組成物を製造し、使用の際に、無菌水又はその他の無菌用注射用媒体に溶解し、使用することもできる。
投与量は、前記スクリーニング法により選択された有効成分の活性の強さ、症状、投与対象の年齢、又は性別等を考慮して適宜決定することができる。
例えば、経口投与の場合、その投与量は、通常、成人(体重60kgとして)において、1日につき約0.01〜1000mg、好ましくは0.01〜100mgである。また、非経口投与の場合、注
射剤の形では、1日につき0.01〜1000mg、好ましくは0.01〜100mgである。
7.本発明のプローブ
本発明には、本発明のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプローブも含まれる。
「ストリンジェントな条件下」とは、前述の条件を意味する。
本発明のプローブは、本発明のポリペプチド(特には、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドの発現量を調べるために用いることができ、その発現量(好ましくは脂肪組織における発現量)の増加を指標として糖尿病の診断をすることができる。
従って、本発明には、本発明のプローブを用いる糖尿病の検出方法が含まれる。本発明の検出方法では、本発明のプローブと試験試料とを接触させ、本発明のポリペプチド(特には、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド)をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA又はそれ由来のcDNA)と前記プローブとの結合体を、公知の分析方法(例えば、ノザンブロッティング)で分析することにより、糖尿病であるか否かを検出することができる。また、本発明のプローブは、ジーンチップに適用し、発現量を分析することもできる。前記結合体の量、すなわち、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの量が、健常人に比べて増加している場合には、糖尿病であると判定することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、特に断りのない限り、公知の方法(Sambrook, J. ら, "Molecular Cloning-A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1989等)の遺伝子操作実験マニュアルに従って実施した。
《実施例1:ヒトMD8遺伝子のクローニングと発現プラスミドの構築》
(1)ヒトMD8 cDNAのクローニング
GenBankアクセッション番号X13335の遺伝子のヒトオルソログ遺伝子を取得するために、まず、ヒト胎盤cDNA(Marathon-ReadyTM cDNA;クロンテック社)を鋳型とし、配列番号6で表される塩基配列からなるオリゴDNAと、配列番号7で表される塩基配列からなるオリゴDNAとをプライマーとし、LAtaqDNAポリメラーゼ(LAtaqDNAポリメラーゼ;宝酒造社)を用いて、94℃2分間の反応後、98℃20秒間及び68℃2分30秒間のサイクルを40回行なうポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施し、アガロース電気泳動にて約2.5kbpのDNA断片を分離及び抽出し、鋳型溶液Aとした。
続いて、鋳型溶液Aを鋳型とし、配列番号8で表される塩基配列(配列番号1で表される塩基配列の1番から18番の配列に、制限酵素XbaI認識配列が付加された配列)からなるオリゴDNAと、配列番号9で表される塩基配列(配列番号1で表される塩基配列の1918番から1938番の配列の相補配列に、制限酵素BamHI認識配列が付加された配列)からなるオリゴDNAとをプライマーとし、DNAポリメラーゼ(Pyrobest DNA polymerase;宝酒造社)を用いて、94℃2分間の後、98℃20秒間、60℃30秒間、及び72℃2分30秒間のサイクルを15回、続いて72℃7分間の反応からなるPCRを実施し、約2.0kbpのDNA断片Aを生成した。
同様にして、鋳型溶液Aを鋳型とし、配列番号10で表される塩基配列(配列番号1で表される塩基配列の1795番から1824番の配列)からなるオリゴDNAと、配列番号11で表される塩基配列(配列番号1で表される塩基配列の2443番から2472番の配列の相補配列に、制限酵素BamHI認識配列が付加された配列)からなるオリゴDNAとをプライマーとし、DNAポリメラーゼ(Pyrobest DNA polymerase;宝酒造社)を用いて、94℃2分間の後、98℃20秒間、60℃30秒間、及び72℃1分間のサイクルを15回、続いて72℃7分間の反応からなるPCRを実施し、約0.7kbpのDNA断片Bを生成した。
これらのDNA断片A及びBをそれぞれ、プラスミドpZErO2.1(Invitrogen社)のEcoRV部位にサブクローンし(それぞれ、pZErO-MD8A及びpZErO-MD8Bと命名)、ジデオキシターミネーター法によりDNAシークエンサー(ABI3700 DNA Sequencer; Applied Biosystems社)で塩基配列を解析することにより、配列番号1で表される塩基配列からなるORFを取得した
。その結果、GenBank及びSwissProtにおける登録配列には、配列番号1で表される塩基配列、及びその塩基配列から予測される配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一なものは存在せず、新規であることが判明した。なお、配列番号1で表される塩基配列と1塩基異なり、配列番号2で表されるアミノ酸配列と1アミノ酸が異なる、公知の塩基配列及びアミノ酸配列として、それぞれ、GenBankのアクセッション番号D26579の塩基配列及びSwissProtのアクセッション番号BAA05626のアミノ酸配列が存在し、「ADAM8」と命名されているが、ADAM8と糖尿病との関連は全く知られていない。
以下、前記ORFでコードされるタンパク質(すなわち、配列番号2で表されるアミノ酸配列の1番から824番の配列からなるポリペプチド)を「ヒトMD8」と称する。
(2)ヒトMD8全長タンパク質(MD8)の発現プラスミドの構築
実施例1(1)で取得したプラスミドpZErO-MD8Aを制限酵素XbaI及びBstYIで切断することにより生じた約1.8kbpのDNA断片と、制限酵素BstYI及びBamHIで切断することにより生じた約0.6kbpのDNA断片とを、プラスミドpCEPdE2-FLAG(WO01/34785号パンフレット,実施例7-1)のXbaI部位及びBamHI部位間に挿入し、MD8タンパク質のC末に配列番号12で示すFLAGタグの付加したタンパク質MD8-FLAGを発現するためのプラスミドpCEPdE2-MD8-FLAGを完成した。
(3)MD8細胞外タンパク質(MD8S)の発現プラスミドの構築
実施例1(1)で取得したプラスミドpZErO-MD8Aを制限酵素XbaI及びBamHIで切断し、生じた約2.0kbpのDNA断片を、プラスミドpCEPdE2-FLAGのXbaI部位及びBamHI部位間に挿入し、MD8タンパク質の細胞外領域(以下、MD8Sと称する)に相当する配列番号2で表されるアミノ酸配列の1番から646番の配列のC末に配列番号12で示すFLAGタグの付加したタンパク質MD8S-FLAGを発現するためのプラスミドpCEPdE2-MD8S-FLAGを完成した。
《実施例2:MD8Sタンパク質及びMD8タンパク質の動物細胞株での発現》
MD8Sタンパク質を発現させるため、実施例1(3)で作製した発現プラスミドpCEPdE2-MD8S-FLAGを、トランスフェクション試薬(FuGENETM6 Transfection Reagent;Boeringer Mannheim社)を用いて、添付指示書に従い、HEK293-EBNA細胞(Invitrogen社)に導入し
た。プラスミド導入後、2日間培養して得た培養上清中に目的タンパク質(すなわち、タンパク質MD8S-FLAG)が存在することを、C末端に付加したFLAGタグに対する抗体(マウス抗FLAGモノクローナル抗体M2;Sigma社)を用いたウエスタンブロッティングで確認した。
より具体的には、前記培養上清をSDS/4%〜20%アクリルアミドゲル(第一化学薬品社)を用いて電気泳動した後、ブロッティング装置を用いてポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜に転写した。転写後のPVDF膜に、ブロッキング試薬(ブロックエース;大日本製薬社)を添加してブロッキングした後、マウス抗FLAGモノクローナル抗体M2と、西洋わさびパーオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスIgGポリクローナル抗体(Zymed社又はTAGO社)とを順次反応させた。あるいは、ブロッキング後、ビオチン化M2抗体(Sigma社)と、西洋わさびパーオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Amersham社)とを順次反応させた。反応後、ECLウエスタンブロッティング検出システム(アマシャムファルマシア社)を用いて目的タンパク質の発現を確認した。発現されたタンパク質は2本のバンドとして検出され、一方の分子量は約90kDaであり、アミノ酸配列から算出される値と同一であり、もう一方の分子量は約67kDaであり、前者よりも約23kDa小さかった。
また、MD8タンパク質についても、実施例1(2)で得られた発現プラスミドpCEPdE2-MD8-FLAGを用い、前記MD8Sタンパク質と同様に発現させた。但し、MD8タンパク質は膜貫通領域を保持しているため、プラスミド導入後2日後の細胞画分を、MD8Sタンパク質と同様にウエスタンブロッティングし、100kDaのバンドを検出することにより、発現を確認した。
《実施例3:マウスMD8遺伝子のクローニング》
参考例で示した、糖尿病モデルで発現が増大していることを確認した遺伝子を取得するために、マウス11日胚及び17日胚cDNA(Marathon-Ready cDNA;クロンテック社)を鋳型とし、配列番号16で表される塩基配列からなるDNAを5’プライマーとし、配列番号17で表される塩基配列からなるDNAを3’プライマーとし、LAtaqDNAポリメラーゼ(宝酒造社)を用いて、94℃2分間の反応後、98℃10秒間、60℃30秒間、及び68℃2分30秒間のサイクルを40回行なうポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施した。アガロース電気泳動にて、それぞれ、約3.6kbp及び約2.5kbpの生成DNA断片を分離及び抽出し、ジデオキシターミネーター法によりDNAシークエンサー(ABI3700 DNA Sequencer; Applied Biosystems社)で塩基配列を解析することにより、配列番号13で表される塩基配列からなるORFを決定した。
その結果、11日胚より生成した約3.6kbp断片には、17日胚より生成した約2.5kbp断片及びX13335に存在しない約1.0kbpの挿入があったことを除き、11日胚及び17日胚から生成したDNA断片の配列は一致し、X13335とは3箇所(推定アミノ酸配列は、2箇所)で異なることが判明した。17日胚より生成した約2.5kbpのDNA断片をpCR2.1(Invitrogen社)にサブクローニングし、pCR-mMD8Lとした。
《実施例4:MD8発現アデノウイルスベクターの構築とアデノウイルス液の調製》
(1)マウスMD8発現アデノウイルスベクターの構築とアデノウイルス液の調製
pCR-mMD8Lを鋳型とし、配列番号18で表される配列からなるDNAを5’プライマーとし、配列番号19で表される配列からなるDNAを3’プライマーとし、DNAポリメラーゼ(Pyrobest DNA polymerase;宝酒造社)を用いて、94℃2分間の後、98℃20秒間、55℃30秒間、及び72℃3分間のサイクルを15回繰返し、続いて72℃7分間の反応からなるPCRを実施した。生成した約2.5kbpのDNA断片を、プラスミドpZErO2.1(Invitrogen社)のEcoRV部位にサブクローンし、pZErO-mMD8Lとした。このプラスミドを制限酵素XbaIで切断し、生成した約2.5kbpのDNA断片を、予め制限酵素XbaI処理し、アルカリホスファターゼ(BAPC75;宝酒造社)にて脱リン酸化したpAdTrack-CMVベクター(He T. C.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 95, 2509-2514, 1998)に挿入し、連結した。その中で、mMD8のORFがCMVプロモーターに対して順方向のクローンを選択し、pAdTrack-CMV-mMD8とした。以下、公知のプロトコール["A Practical Guide for using the AdEasy System" ( HYPERLINK "http://www.coloncancer.org/adeasy.htm" http://www.coloncancer.org/adeasy/protocol2.htm)]に従い、mMD8を発現する高力価アデノウイルス(以下、mMD8ウイルス)液の調製を行なった。コントロールのアデノウイルス(以下、コントロールウイルス)液は、pAdTrack-CMV-mMD8の代わりに、pAdTrack-CMVを用いて、調製した。
(2)ヒトMD8発現アデノウイルスベクターの構築とアデノウイルス液の調製
実施例1(2)で得たpCEPdE2-MD8-FLAGを鋳型とし、配列番号23で表される配列からなるDNAを5’プライマーとし、配列番号24で表される配列からなるDNAを3’プライマーとし、DNAポリメラーゼ(Pyrobest DNA polymerase;宝酒造社)を用いて、95℃2分間の後、98℃20秒間、55℃30秒間、及び72℃3分間のサイクルを15回繰返し、続いて72℃7分間の反応からなるPCRを実施した。生成した約2.5kbpのDNA断片を、プラスミドpZErO2.1(Invitrogen社)のEcoRV部位にサブクローンし、pZErO-MD8-FLAGとした。このプラスミドを
制限酵素BglIIで切断し、生成した約2.5kbpのDNA断片を、予め制限酵素BglII処理し、アルカリホスファターゼ(BAPC75;宝酒造社)にて脱リン酸化したpAdTrack-CMVベクター(He T. C.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 95, 2509-2514, 1998)に挿入し、連結した。その中で、MD8-FLAG遺伝子がCMVプロモーターに対して順方向のクローンを選択し、pAdTrack-CMV-MD8-FLAGとした。以下、実施例4(1)と同様の方法で、ヒトMD8を発現する高力価アデノウイルス(以下、MD8ウイルス)液の調製を行なった。
《実施例5:3T3-L1の脂肪細胞への分化》
マウス3T3-L1細胞(ATCC番号:CL-173)の脂肪細胞への分化法は、基本的に、公知の方法(江崎ら、医学のあゆみ、503-506、1998)に従った。なお、3T3-L1細胞は、白色脂肪細胞のモデル細胞としてよく使われるマウス由来の培養細胞株である。
3T3-L1細胞を24穴コラーゲンコートプレート(旭テクノグラス社)に1穴当たり50000個になるように捲き、ほぼコンフレントとなった後に、0.5mmol/L 3-イソブチル-1-メチルキサンチン、0.25μmol/Lデキサメタゾン、及び10μg/mLインスリンを添加した10%ウシ胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に培地を変更し、脂肪細胞への分化を開始した。更に2日後、培地を1μg/mLインスリンのみを添加した10%ウシ胎児血清を含むDMEMに変更し、その後、2日おきに培地を入れ替え、分化誘導を開始した。
《実施例6:アデノウイルスベクターの感染》
(1)mMD8ウイルス感染細胞の調整
実施例4(1)で調製したmMD8ウイルス液は、24穴プレート1穴当たりウイルスが2.2×109個となるように培地で100μLに希釈し、培養培地を除いた分化誘導開始後4日の3T3-L1細胞に添加し、感染を開始した。その後、20分おきにプレートを振とうし、60分目に振とうした後、培地400μLを追加し、培養を続けた。感染効率は、調製したアデノウイルスに組み込まれているグリーン蛍光タンパク質(GFP)により発する蛍光を蛍光顕微鏡で目視観察し、すべての細胞のうち蛍光を発する細胞の割合として計算した。以下の実施例で示す糖取り込み実験を行なうため、24穴プレートに培養した3T3-L1細胞を2群に分けて、実施例4(1)で調製したmMD8ウイルス又はコントロールウイルスを感染させた。
(2)MD8ウイルス感染細胞の調整
実施例4(2)で調製したMD8ウイルス液も、24穴プレート1穴当たりウイルスが2.9×109個となるように希釈したこと以外は、上記と同様に処理し、実施例4(2)で調製したMD8ウイルス又はコントロールウイルスを感染させた3T3-L1細胞群を調整した。
《実施例7:脂肪細胞の糖取り込み量の測定》
実施例6でアデノウイルスに感染させた3T3-L1細胞を、2日間そのまま培養し、感染と脂肪細胞への分化を同時に進行させた。分化誘導後7日目の夜に、血清を加えていないDMEMで2回各ウェルを洗浄し、無血清DMEM500μLに培地を交換し、一昼夜おいた。実験当日、各ウェルを、KRPバッファー(136mmol/L塩化ナトリウム、4.7mmol/L塩化カリウム、1.25mmol/L塩化カルシウム、1.25mmol/L硫酸マグネシウム、及び5mmol/Lリン酸水素二ナトリウム)で2回洗浄し、インスリン1μmol/Lを含んだKRPバッファーで20分間インキュベートした。コントロールとしてインスリンを含まないKRPバッファーでも同様に操作した。
そこに最終濃度として0.2mmol/L 2-デオキシグルコース(和光純薬社)及び5.55kBqの2-デオキシ-D-(U-14C)グルコース(アマシャム社)を添加し、10分間インキュベートし、糖取り込みを追跡した。氷冷KRPバッファーで3回洗浄した後、0.2%SDS溶液150μLで細胞を溶解し、バイアルにてアクアゾル-2(パッカード社)とよく混和し、液体シンチレーションカウンター(パッカード社)で細胞内に取り込んだ放射体を測定した。
実施例6(1)で調整した細胞を用いた結果を図1に示す。コントロールウイルスを感染させた脂肪細胞では、インスリン刺激により約3.4倍の糖取り込み量を示したのに対し、mMD8ウイルスを感染させた画分では、インスリン刺激により2.4倍程度の糖取り込みしか示さなかったことから、mMD8は糖取り込みに対して阻害的に作用していると考えられる。なお、この実験の際のウイルスの感染効率は50%前後であった。
実施例6(2)で調整した細胞を用いた結果を、図2に示す。コントロールウイルスを感染させた脂肪細胞では、インスリン刺激により無刺激時と比較して約4.0倍の糖取り込み量を示したのに対し、MD8ウイルスを感染させた画分では、インスリン刺激により無刺激時に対して2.0倍程度の糖取り込みしか示さなかったことから、MD8もmMD8と同様に糖取り込みに対して阻害的に作用していると考えられる。なお、この実験の際のウイルスの感染効率は70%前後であった。
《実施例8:MD8Sタンパク質によるIGFBP分解活性の確認》
(1)精製MD8S酵素溶液の調製
実施例1(3)で作製した発現プラスミドpCEPdE2-MD8S-FLAGを、トランスフェクション試薬(FuGENETM6 Transfection Reagent;Boeringer Mannheim社)を用いて、添付指示書に従い、HEK293-EBNA細胞(Invitrogen社)に導入した。発現プラスミド導入から16時間後に培地を無血清培地に置換した後、更に2日間培養を継続し、培養上清を回収した。
培養液上清からのMD8Sタンパク質の精製は、C末端にFLAGタグが付加していることを利用して、アフィニィティ精製した。すなわち、培養上清をM2-アガロース(Sigma社)カラムにアプライし、20mmol/Lトリス-HCl(pH7.4)/150mmol/L塩化ナトリウム(以下、TBSと称する)で洗浄した後、TBSで100μg/mLの濃度に調整したFLAGペプチド(シグマ社)で溶出及び分画し、MD8S酵素液とした。
(2)MD8Sタンパク質によるIGFBP分解活性の確認
実施例8(1)で得られたMD8S酵素液と、市販のIGFBP-3又はIGFBP-5(upstate biotechnology社)とを、50mmol/L塩化ナトリウム、2mmol/L塩化カルシウム、20μg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、及び0.1%CHAPSを含んだ50mmol/Lトリス-HCl(pH7.4)バッファー中で37℃で1夜反応させた。なお、反応液中のMD8Sタンパク質及びIGFBP-3(又はIGFBP-5)の濃度は、それぞれ1.5μg/mL及び10μg/mLであった。
この反応液の一部を用いて、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を実施した後、PVDF膜に転写し、ブロッキングした。IGFBP-3については、1次抗体として抗IGFBP-3ポリクローナル抗体(R&D System社)を、2次抗体としてパーオキシダーゼ標識ウサギ抗ヤギIgGポリクローナル抗体(ZYMED社)を用いて検出した。IGFBP-5については、1次抗体として抗IGFBP-5ポリクローナル抗体(upstate biotechnology社)を、2次抗体としてパーオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgGポリクローナル抗体(MBL社)を用いて検出した。
IGFBP-3及びIGFBP-5は、それぞれ約45kDa及び30kDaに検出されるが、いずれの場合も、MD8S酵素液を加えることで、IGFBP-3の場合には25kDaの新たなバンドが、IGFBP-5の場合には12〜25kDaの範囲に複数の新たなバンドが検出された。これらの実験結果より、MD8Sタンパク質は、IGFBP-3及びIGFBP-5を分解する活性を有することが解った。
《実施例9:MD8Sによる組換えIGFBP-5分解活性の確認》
(1)組換えIGFBP-5の調製
ヒト胎盤cDNA(Marathon-ReadyTMcDNA;クロンテック社)を鋳型とし、配列番号25で表される塩基配列(GenBankアクセッション番号M62782で示されるIGFBP-5のORFの塩基配列の5’端に、制限酵素XbaI認識配列が付加された配列)からなるオリゴDNAと、配列番号26で表される塩基配列(GenBankアクセッション番号M62782で示されるIGFBP-5のORFの塩基配列の3’端に、制限酵素BamHI認識配列が付加された配列)からなるオリゴDNAとをプライマーとし、LAtaqDNAポリメラーゼ(LAtaqDNAポリメラーゼ;宝酒造社)を用いて、94℃2分間の反応後、98℃10秒間、60℃20秒間、及び72℃1分間のサイクルを40回、続いて72℃7分間の反応からなるPCRを実施した。生成した約0.8kbpのDNA断片をプラスミドpCRII(Invitrogen社)にサブクローンし、ジデオキシターミネーター法によりDNAシークエンサー(ABI3700 DNA Sequencer;Applied Biosystems社)で塩基配列を解析し、プラスミドpCRII-IGFBP5とした。このプラスミドpCRII-IGFBP5を制限酵素XbaI及びBamHIで切断し、生じた約0.8kbpのDNA断片を、プラスミドpCEPdE2-FLAGのXbaI部位及びBamHI部位間に挿入し、IGFBP-5全長タンパク質(272アミノ酸:SWISS PROTアクセッション番号P24593)のC末に配列番号12で示すFLAGタグの付加したタンパク質IGFBP-5-FLAGを発現するためのプラスミドpCEPdE2-IGFBP5-FLAGを完成した。
発現プラスミドpCEPdE2-MD8S-FLAGの代わりに、前記プラスミドpCEPdE2-IGFBP5-FLAGを用いること以外は、実施例8(1)の操作を繰り返すことにより、組換えIGFBP-5を調製した。
(2)MD8Sによる組換えIGFBP-5分解活性の確認
実施例8(1)で得られたMD8S酵素液と、実施例9(1)で得られた組換えIGFBP-5とを、50mmol/L塩化ナトリウム、2mmol/L塩化カルシウム、20μg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、及び0.1%CHAPSを含んだ50mmol/Lトリス-HCl(pH7.4)バッファー中で37℃で1夜反応させた。なお、反応液中のMD8Sタンパク質及び組換えIGFBP-5の濃度は、それぞれ1.5μg/mL及び10μg/mLであった。
この反応液の一部を用いて、SDS-PAGEを実施した後、PVDF膜に転写し、ブロッキングした。1次抗体としてビオチン化M2抗体(Sigma社)を、2次抗体として西洋わさびパーオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Amersham社)を、順次反応させ、ECLウエスタンブロッティング検出システム(アマシャムファルマシア社)を用いて組換えIGFBP-5を検出した。
MD8S酵素液を含まないコントロールでは検出された組換えIGFBP-5が、MD8S酵素液を加えることで消失することが確認された。この実験結果からも、MD8Sタンパク質がIGFBP-5を分解する活性を有することが確認された。
《実施例10:MD8S阻害剤のスクリーニング》
実施例9(2)で実施したウエスタンブロッティングを用いた反応系を用いることで、MD8Sタンパク質のIGFBP-5分解活性を阻害する物質のスクリーニングが可能である。本実施例では、MD8S酵素液と組換えIGFBP-5との反応系に、同時にヒドロキサム酸骨格を持つ種々の化合物を試験化合物として添加すること以外は、実施例9(2)の操作を繰り返すことにより、試験化合物のIGFBP-5分解活性阻害強度を測定した。
阻害活性強度(IC50)の算出には、ウエスタンブロッティングの結果フィルムの画像をスキャナー(ES-2200;エプソン社)を用いて画像処理することにより、試験化合物各濃度においての阻害活性度を調べた。
IGFBP-5分解活性を阻害する物質をスクリーニングする基準は、阻害活性強度(IC50)において、10μmol/L以下とした。本スクリーニング系により、
Nα-[(3-カルボキシ-4-メチルチオ-2-プロポキシメチル)ブチリル]-N,O-ジメチルチロシンアミド(WO93/09090号パンフレット;以下、化合物Aと称する)を選択することができた。阻害活性強度(IC50)は化合物Aでは3.3μmol/Lを示した。
なお、化合物Aは、WO93/09090号パンフレットの実施例5に記載の製造方法により合成することができる。
スクリーニングの一例として、試験化合物として化合物Aを用いた場合の結果を図3に示す。
図3において、レーン1は、組換えIGFBP-5のみをインキュベートした場合の結果であり、レーン2は、組換えIGFBP-5及びMD8S酵素液をインキュベートした場合の結果である。レーン3からレーン7は、化合物A存在下で組換えIGFBP-5及びMD8S酵素液をインキュベートした場合の結果であり、各レーンにおける化合物Aの濃度は、それぞれ、10μmol/L、1μmol/L、100nmol/L、10nmol/L、及び1nmol/Lである。なお、矢印はIGFBP-5の位置を示す。
《実施例11:ヒトMD8遺伝子ORF5’上流域塩基配列のクローニング》
ヒトゲノム(Genomic DNA;クロンテック社)を鋳型にし、配列番号21又は配列番号22で示される塩基配列からなる各オリゴDNAをプライマー、並びにDNAポリメラーゼ(Pyrobest DNA polymeraseTM;宝酒造社)を用い、97℃3分の後、97℃30秒、60℃30秒、72℃2分のサイクルを40回、続いて72℃7分の条件でPCRを行った。こうして生成した配列番号20の塩基配列からなる約2kbp断片をクローニングベクター(pCR4Blunt-TOPO;Invitrogen社)にサブクローニングした。ここで得られたサブクローンをBamHI及びHindIII処理を行い、配列番号20で表される塩基配列の34番目〜2014番目の塩基配列からなる断片を、BglII及びHindIII処理したルシフェラーゼアッセイシステム用ベクター(PicaGene Vector 2 ベーシックベクター;東洋インキ社)にクローニングし、pGV-B2-ADAM8pro2kを得た。
《実施例12:ヒトMD8プロモーター領域DNA配列の解析》
実施例11で得られたプラスミドpGV-B2-ADAM8pro2kをトランスフェクション試薬(FuGene-6;日本ロッシュ社)を用い、10%牛胎児血清、100μg/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び250μg/mL G418(ナカライテスク社)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養していたHEK293-EBNA細胞(Invitrogen社)に導入し、通常の培養条件で36時間又は48時間培養後のルシフェラーゼ活性を、市販の測定キット(PicaGene発色キット;東洋インキ社)を用いて測定した。この際、測定値は同時導入したβ-gal発現プラスミド(pCH110;アマシャムファルマシアバイオテック社)より発現したβ-galの活性値で補正した。β-gal活性の測定は市販の測定キット(Galacto-Light Plusキット;ロシュ社)を用いた。その結果、もとのプラスミドであるpGV-B2では認められないルシフェラーゼ活性の明らかな上昇が観察された(図4)。このことは上記DNA断片中にプロモーター活性が存在することを示している。
《参考例1:正常マウス及び糖尿病モデルマウスにおけるMD8遺伝子発現量の測定》
ジーンチップを用いた予備的な実験で、糖尿病モデルマウスで発現量が増大した遺伝子を調べたところ、GenBankアクセッション番号X13335の遺伝子の発現が増大しているとの結果が得られた。そこで、本当に、糖尿病モデルマウスで発現量が増大しているか否かを確認するために、以下の実験を行なった。
本参考例では、2種類の糖尿病モデルマウスKKAy/Ta(Iwatsukaら, Endocrinol. Japon., 17, 23-35, 1970)及びC57BL/KsJ-db/db(Kakuら, Diabetologia, 32, 636-643, 1989)の副睾丸脂肪におけるGenBankアクセッション番号X13335のmRNA発現量を、シークエンス検出器(ABI PRISM-7700 Sequence Detector; Applied Biosystems社)を用いたリアルタイムPCR法により測定し、正常個体C57BL/6J及びC57BL/KsJ-+m/+mのそれと比較した。
(1)マウスの組織の摘出
日本クレアより、オスのC57BL/6J、KKAy/Ta、C57BL/KsJ-+m/+m、及びC57BL/KsJ-db/dbマウスを各8匹購入した。
C57BL/6Jマウスは、普通食で12週令になるまで集団飼育した。KKAy/Taマウスは、高カロリー食(CMF; Oriental Yeast Co., Ltd.)で12週令になるまで単独飼育した。C57BL/KsJ-+m/+mマウス及びC57BL/KsJ-db/dbマウスは、普通食で12週令になるまで集団飼育した。
KKAy/Taマウス及びC57BL/KsJ-db/dbマウスが、正常マウスと比較して高血糖及び高体重になっていることを確認した(KKAy/Taマウス:血糖値447.1±4.2mg/dL、体重45.9±0.6g;C57BL/KsJ-db/dbマウス:血糖値423.7±14.1mg/dL、体重48.6±0.5g)。これらの4種類のマウスをジエチルエーテルで麻酔し、副睾丸脂肪を摘出した。摘出直後に液体窒素で凍結し、-80℃で保存した。
(2)全RNAの抽出
参考例1(1)で得られた組織を、凍結プレス破砕装置(CRYO-PRESS CP-100;マイクロテック・ニチオン社)を用いて破砕した。RNA抽出用試薬(ISOGEN;ニッポンジーン社製)を加え、ホモジェナイザー(ULTRA-TURRAX T-8; IKA LABORTECHNIK社)を用いてホモジェネートした。これらのサンプルから前記RNA抽出用試薬(ISOGEN)のプロトコールに従ってRNAの抽出を行なった。これをDNアーゼ(ニッポンジーン社)で処理し、混入しているDNAを分解した。その後、フェノール/クロロホルム処理及びエタノール沈殿を行なった。吸光度計(U-2000;日立製作所社)で260nm及び280nmの吸光度を測定し、RNAの濃度を求め、10ng/μLになるように水で希釈し、-20℃で保存した。
(3)プライマー及びTaqManTMプローブの作製
逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)に用いるTaqManTMプローブ、5’−プライマー、及び3’−プライマーは、GenBankデータベースにアクセッション番号X13335として登録されている遺伝子の配列を元に、解析ソフト(Primer Express; Applied Biosystems社)を用いて適切な位置を検索し、設定した。具体的には、配列番号3で表される塩基配列からなるDNA及び配列番号4で表される塩基配列からなるDNAを、それぞれ、5’−プライマー及び3’−プライマーとし、配列番号5で表される塩基配列からなるDNAをTaqManTMプローブとした。
なお、5’−プライマー及び3’−プライマーの合成はGENSET社に依頼した。また、TaqManTMプローブについては、5’末端を蛍光色素FAM(6-carboxy-fluorescein)で、3’末端を蛍光色素TAMRA(6-carboxy-tetramethyl-rhodamine)でラベルしたものをApplied Biosystems社に作製依頼した。
(4)mRNA発現量の測定
シークエンス検出器(ABI PRISMTM 7700 Sequence Detector; Applied Biosystems社)を用いて、副睾丸脂肪由来の全RNAに含まれる前記プライマーで増幅されるmRNA、すなわちX13335と考えられるmRNAの発現レベルを求めた。この検出系は、RT-PCRの各ステップにおけるDNA鎖増幅量を、蛍光シグナルを検出することで経時的にモニタリングすることができ、一定の蛍光強度を超えるPCRサイクル数をもとに、mRNAの発現量を定量化するものである。
RT-PCR溶液は、市販のキット(TaqMan EZ RT-PCR Core Reagents; Applied Biosystems社)を用いてプロトコールに従って調製した。RT-PCRは、55℃で50分間、60℃で10分間、及び95℃で2分間からなるRT反応の後、95℃で15秒間及び58℃で1.5分間からなるPCR反応を40サイクル行なった。KKAy/Taマウスの副睾丸脂肪から調製した全RNAを、チューブ当り4ng、20ng、100ng、及び500ngの量ずつ入れ、サンプルと同時にRT-PCRを行ない、標準直線を求めた。遺伝子の発現量は、同サンプル中に含まれる18S rRNA量で補正した。
その結果、正常個体であるC57BL/6Jマウスと比較して糖尿病モデルのKKAy/Taマウスでは、X13335と考えられるmRNAの発現が約10倍に、また、正常のコントロールマウスであるC57BL/KsJ-m+/m+マウスと比較して糖尿病モデルのC57BL/KsJ-db/dbマウスでは約11倍に発現量が増大していた。
これらの実験結果より、X13335遺伝子は糖尿病モデルで発現が増大していると考えられる。
本発明のスクリーニングツール又はスクリーニング方法によれば、糖尿病治療剤、特にインスリン抵抗性改善剤をスクリーニングすることができる。
本発明の新規ポリペプチドは、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有することから、本発明のスクリーニングツール又はスクリーニング方法に用いることができる。
また、本発明のポリヌクレオチド、ベクター、及び形質転換体は、本発明のポリペプチドを製造するのに有用である。
また、本発明のプロモーターも、本発明のスクリーニングツール又はスクリーニング方法に用いることができる。本発明のポリヌクレオチド又はプロモーターを含む本発明の形質転換体は、本発明のスクリーニングツール又はスクリーニング方法に用いることができる。
更に、本発明のプローブは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現量を調べるために用いることができ、その発現量の増加を指標として糖尿病の診断をすることができる。
以下の配列表の数字見出し<223>には、「Artificial Sequence」の説明を記載する。具体的には、配列表の配列番号8、9、11、18、19、及び22〜26の配列で表される各塩基配列は、人工的に合成したプライマー配列である。
配列表の配列番号12の配列で表されるアミノ酸配列は、FLAGタグのアミノ酸配列である。
配列表の配列番号15の配列で表されるアミノ酸配列において、記号「Xaa」は、任意のアミノ酸を意味する。
配列表の配列番号20の配列で表されるアミノ酸配列は、ヒトMD8遺伝子のプロモーター配列を含む配列である。
mMD8ウイルス又はコントロールウイルスを感染させた分化脂肪細胞における、インスリン刺激による糖取り込み量を示すグラフである。 MD8ウイルス又はコントロールウイルスを感染させた分化脂肪細胞における、インスリン刺激による糖取り込み量を示すグラフである。 実施例10で得られた、MD8Sタンパク質の組換えIGFBP-3及びIGFBP-5分解活性が、化合物Aによって阻害されたことを示す電気泳動の結果を示す図面である。 MD8プロモーター領域を用いたルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。

Claims (18)

  1. (1)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチド、あるいは、(3)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列を含み、インスリン刺激による脂肪細胞の糖取り込みに対して阻害活性を有するポリペプチドである、糖尿病治療剤スクリーニングツール。
  2. (1)配列番号2で表されるアミノ酸配列又は配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項1に記載の糖尿病治療剤スクリーニングツール。
  3. 請求項1又は2に記載のポリペプチドを発現している細胞である、糖尿病治療剤スクリーニングツール。
  4. 細胞が形質転換体である、請求項3に記載の糖尿病治療剤スクリーニングツール。
  5. (1)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチド、(2)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の中のいずれかの1〜10個の部位において、塩基が置換、欠失、及び/又は挿入されている塩基配列を含み、しかも、請求項1又は2に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド、(3)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の少なくとも一部の塩基配列を含み、しかも、請求項1又は2に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド、あるいは、(4)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、しかも、請求項1又は2に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチドである、糖尿病治療剤スクリーニングツール。
  6. ポリヌクレオチドが、配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列を含み、しかも、請求項1又は2に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有する、請求項5に記載の糖尿病治療剤スクリーニングツール。
  7. 請求項5又は6に記載のポリヌクレオチドを含む細胞である、糖尿病治療剤スクリーニングツール。
  8. 細胞が形質転換体である、請求項7に記載の糖尿病治療剤スクリーニングツール。
  9. 糖尿病治療剤がインスリン抵抗性改善剤である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のスクリーニングツール。
  10. 請求項1又は2に記載のポリペプチドを発現している細胞と、試験物質とを接触させる工程、及びインスリン刺激による糖取り込み量を分析する工程を含む、請求項1又は2に記載のポリペプチドの阻害剤か否かを分析する方法。
  11. 請求項10に記載の方法による分析工程、及び阻害剤を選択する工程を含む、請求項1又は2に記載のポリペプチドの阻害剤をスクリーニングする方法。
  12. 請求項10に記載の方法による分析工程、及び阻害剤を選択する工程を含む、糖尿病治療剤をスクリーニングする方法。
  13. (1)請求項7又は8に記載の細胞と、試験物質とを接触させる工程、及び(2)プロモーター活性を分析する工程を含む、試験物質が請求項5又は6に記載のポリヌクレオチドのプロモーター活性を阻害するか否かを分析する方法。
  14. 請求項13に記載の方法による分析工程、及びプロモーター活性を阻害する物質を選択する工程を含む、請求項1又は2に記載のポリペプチドの発現を抑制する物質をスクリーニングする方法。
  15. 請求項13に記載の方法による分析工程、及びプロモーター活性を阻害する物質を選択する工程を含む、糖尿病治療剤をスクリーニングする方法。
  16. (1)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチド、(2)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の中のいずれかの1〜10個の部位において、塩基が置換、欠失、及び/又は挿入されている塩基配列を含み、しかも、請求項1又は2に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド、(3)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列の少なくとも一部の塩基配列を含み、しかも、請求項1又は2に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド、あるいは、(4)配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、しかも、請求項1又は2に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有するポリヌクレオチド。
  17. 配列番号20で表される塩基配列における34番目〜2014番目の塩基配列を含み、しかも、請求項1又は2に記載のポリペプチドのプロモーター活性を有する、請求項16に記載のポリヌクレオチド。
  18. 請求項16又は17に記載のポリヌクレオチドを含む形質転換体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE112008000835B4 (de) * 2007-03-30 2011-02-24 Kyocera Corp. Plattenelement, rotierendes Werkzeug, das das Plattenelement verwendet, und Schneidverfahren, das das rotierende Werkzeug verwendet

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