JP2005235911A - GaN系化合物半導体受光素子 - Google Patents

GaN系化合物半導体受光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】
ヘテロELO技術を応用した窒化物半導体基板層上に形成することで、火炎センサとして使用可能な高性能なGaN系化合物半導体受光素子を提供する。
【解決手段】
基板1上にAlN低温堆積バッファ層11と、GaNの第1半導体層12と、第1半導体層12表面を部分的に被覆するマスクパターン層13と、マスクパターン層13のエッジ部分に沿った傾斜面を有する山形状に形成されたGaNを主とするシード結晶層14と、シード結晶層14上に直接に形成されたAlGaNを主とする第2半導体層15とを有する下地半導体層10と、下地半導体層10上に形成されたPIN接合型フォトダイオード構造を有するAlGaNを主とする受光層20とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、紫外線センサ等に応用可能なGaN系化合物半導体受光素子に関する。
GaN系化合物半導体(一般式:AlGaIn1−x−yN)は直接遷移型のエネルギバンド構造を有し、そのバンドギャップエネルギが室温で1.9eV〜6.2eVに及ぶワイドバンドギャップであるため、紫外域から可視光域をカバーする発光ダイオード、レーザダイオード、及び、紫外線センサ等の受光素子として広範な応用が可能である。一般的に、検出対象とする波長範囲の光に対して感度を有する材料であれば受光素子として利用することができる。例えば、炭化水素が燃焼した場合に紫外域に現れる発光を選択的に検出することが要求される紫外線受光素子(火炎センサ)の場合には、紫外域に感度を有する材料として、AlGaN等のGaN系化合物半導体が用いられる。ここで、受光領域のデバイス構造としては、PN接合型やPIN接合型のフォトダイオード構造、ショットキーダイオード構造、フォトトランジスタ構造等が考えられる。しかし、火炎センサに応用する場合、受光素子の性能として幾つかの要求を満たさなければならない。
先ず、室内光や太陽光等の外乱光と区別して火炎光のみを選択的に受光するために、外乱光スペクトルの短波長端をカットオフ波長(感度域の長波長端)として設定すべく、受光領域を形成するAlGa1−xNのバンドギャップエネルギ、つまり、AlN組成比x(AlNモル分率ともいう)を調整しなければいけない。しかし、欠陥準位や三元混晶による組成ずれによりバンドギャップ内に準位が形成され、これがカットオフ波長の長波長側でも感度を生じさせ、当該波長に対して光吸収が行われることで感度差が小さくなり、つまり、選択性が低下する。特に、AlN組成比が大きくなる程に顕著となり、火炎センサとしての応用において、特に重要な課題となる。
また、受光素子に照射される火炎光が微弱である場合には、発生するキャリアの数と、膜中の欠陥準位にトラップされるキャリアの数とが競合するような関係になり、光照射に対する応答速度が非常に遅くなる場合がある。更に、トラップ準位からのキャリアの放出が温度に対して非常に敏感であるため、温度上昇に伴って急激にキャリアの放出が行われて暗電流が増加する場合がある。暗電流が大きいと、微弱な火炎光を吸収して発生した光電流が暗電流に埋もれてしまうため、この暗電流を非常に低いレベルにまで低減することが必要となる。
従って、紫外域の微弱な照射光を高温条件下で測定する必要がある火炎センサにとっては、受光領域のAlGaNのAlN組成比を所定のカットオフ波長となるように設定するとともに、当該AlN組成比に対して、結晶品質が良好であり、キャリアをトラップする再結合中心となり得る貫通転位等の少ない半導体層をデバイス層(受光層)として得ることが必須の要件となる。
従来、デバイス層中の貫通転位密度をできるだけ低いレベルに低減するために、サファイア等の平坦性の高い基板上に、数10nmの厚さで低温堆積されたバッファ層(例えば、約1050℃以下の基板表面温度で成長)を設け、その上に受光領域を含むデバイス層を形成して受光素子を作製する方法がある。ここで、低温堆積されたバッファ層を設ける理由は、サファイア基板の結晶成長面の格子間隔(約0.275nm)と、受光領域のAlGaNの格子間隔(約0.31〜約0.32nm)との間の格子不整合を緩和し、格子不整合により発生し得る受光領域中の貫通転位を少なくさせることにある。
また、サファイア基板とデバイス層との間に単層のバッファ層ではなく、複数のバッファ層を設ける方法もある。例えば、サファイア基板上に、AlNからなる低温堆積バッファ層と、GaNからなる結晶改善層と、AlNからなる低温堆積中間層という多層の窒化物半導体基板層(下地構造)を設け、その上にデバイス層を設けることで、単層のバッファ層を設けた場合以上に、基板と受光領域との間の格子不整合を緩和することが可能となる。
しかし、後者の多層の窒化物半導体基板層の場合でも、AlN組成比が20%以上では、貫通転位密度が10cm−2オーダーとなり、火炎センサとして使用するには、貫通転位が十分に低いレベルとはなっていなかった。
そこで、かかるデバイス層の下地構造となる窒化物半導体基板層を更に低貫通転位密度に形成することで、デバイス層の性能を向上させ、火炎センサとしての使用に耐え得る受光素子の実現が期待される。
このような低貫通転位密度の窒化物半導体基板層の作製技術として、ヘテロELO(epitaxial lateral overgrowth)技術が注目されている。ヘテロELOは、従来のELOを高いAlN組成比のAlGaNの低貫通転位化へ応用するために開発されたもので、ヘテロELO窒化物半導体基板層を紫外線LEDに応用した研究発表が、例えば、下記の非特許文献1に開示されている。
この非特許文献1には、サファイア基板上に第1の低温AlNバッファ層を形成し、その上に第1のGaN層をエピタキシャル成長させ、その上にSiOのストライプ状のマスクパターンを形成し、該マスクパターンの開口部から第2のGaN層を断面山形になるように選択的に成長させシード結晶層を形成し、更に、シード結晶層上に第2の低温AlNバッファ層を形成し、その上にAlGaN層を表面が平坦になるように成長させて窒化物半導体基板層を形成とした例が開示されている。このヘテロELO窒化物半導体基板の場合、AlN組成比が22%のAlGaN層の貫通転位密度として10cm−2が得られている。また、第2の低温AlNバッファ層を採用したことで、AlGaN層にクラックが発生していない。
S. Kamiyama,他,"UV Light−Emitting Diode Fabricated on Hetero−ELO−Grown Al0.22Ga0.78N with Low Dislocation Density",physica status solidi(a) 192, No.2,296−300,2002年
しかしながら、非特許文献1に開示されたヘテロELO窒化物半導体基板層の場合、AlGaNを主とする受光素子を構成するデバイス層をその上部に形成する場合、窒化物半導体基板層内にGaN層を有するため、基板側から光を入射させると、AlGaNよりバンドギャップエネルギの小さいGaN層内で検出対象波長の入射光が吸収されてしまうため、入射光は上部からの入射に制限される。
また、デバイス層(受光層)が上部入射に制限されるとすれば、如何なる具体的な構造とすれば、低貫通転位密度の下地構造上に火炎センサとしての使用に耐え得るデバイス層が実現できるかを解決しなければいけない。
更に、非特許文献1に開示されたヘテロELO窒化物半導体基板層は、2層の低温バッファ層、2層のGaN層、SiOのストライプ状のマスクパターン等を備え、その構造及び作製方法は複雑である。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記問題点を解消し、ヘテロELO技術を応用した窒化物半導体基板層上に形成することで、火炎センサとして使用可能な受光素子を提供することにある。
この目的を達成するための本発明に係るGaN系化合物半導体受光素子の第一の特徴構成は、基板上に300℃〜800℃の温度範囲内の低温成長により形成されたAlNまたはAlGaNを主とするバッファ層と、前記バッファ層の上に形成されたGaNまたはAlGaNを主とする第1半導体層と、前記第1半導体層の上に形成された前記第1半導体層表面を部分的に被覆するマスクパターン層と、前記マスクパターン層によって被覆されずに露出している前記第1半導体層の露出表面と前記マスクパターン層上に、前記第1半導体層表面と平行な方向に前記マスクパターン層から前記露出表面中央に向けて離間するほど厚くなるように、前記マスクパターン層のエッジ部分に沿った傾斜面を有する山形状に形成されたGaNまたはAlGaNを主とするシード結晶層と、前記シード結晶層の上に直接に表面が平坦に形成されたAlGaNを主とする第2半導体層とを有する下地半導体層と、前記下地半導体層上に形成されたPIN接合型フォトダイオード構造を有するAlGaNを主とする受光層と、を備えてなり、前記受光層が、前記下地半導体層側にp型AlGaN層を有し、上部のn型AlGaN層側から入射光を受光する点にある。
同第二の特徴構成は、基板上に300℃〜800℃の温度範囲内の低温成長により形成されたAlNまたはAlGaNを主とするバッファ層と、前記バッファ層の上に形成されたGaNまたはAlGaNを主とする第1半導体層と、前記第1半導体層の上に形成された前記第1半導体層表面を部分的に被覆するマスクパターン層と、前記マスクパターン層によって被覆されずに露出している前記第1半導体層の露出表面と前記マスクパターン層上に、前記第1半導体層表面と平行な方向に前記マスクパターン層から前記露出表面中央に向けて離間するほど厚くなるように、前記マスクパターン層のエッジ部分に沿った傾斜面を有する山形状に形成されたGaNまたはAlGaNを主とするシード結晶層と、前記シード結晶層の上に直接に表面が平坦に形成されたAlGaNを主とする第2半導体層とを有する下地半導体層と、前記下地半導体層上に形成されたPIN接合型フォトダイオード構造を有するAlGaNを主とする受光層と、を備えてなり、前記受光層が、前記下地半導体層側にn型AlGaN層を有し、上部のp型AlGaN層側から入射光を受光する点にある。
上記第一または第二の特徴構成によれば、ヘテロELO技術を応用して作製された下地半導体層上に、PIN接合型フォトダイオード構造を有するAlGaNを主とする受光層を設けたことにより、低貫通転位密度の下地半導体層上に、高品位の受光層が得られ、火炎センサとして使用し得る受光素子を実現することができる。
従来技術で参照したヘテロELO窒化物半導体基板層と、本特徴構成の下地半導体層相違点は、シード結晶層上に低温バッファ層を有していない点で、その分、製造工程の簡略化が図れる。シード結晶層を山形状に形成し、その上に直接に第2半導体層を形成しても、クラックの無い低貫通転位密度の下地半導体層が得られることを見出し、これを受光素子として応用するものである。
受光層として、PIN接合型フォトダイオード構造を採用することで、受光層のp型AlGaN層またはn型AlGaN層を、下地半導体層のAlGaNを主とする第2半導体層上に直接形成することができる。
第一の特徴構成の場合は、下地半導体層側にp型AlGaNのコンタクト層が配置するが、当該p型AlGaN層のAlN組成比は20%以下に抑えて十分なp型活性化を確保して低抵抗化を図る必要がある。そこで、第2半導体層のAlGaNのAlN組成比として20%程度が可能であるため、両層の格子間隔に大きな差が発生せず、p型AlGaN層の膜厚をある程度確保することが可能となり低抵抗化が図れて高性能な受光素子が得られる。第一の特徴構成の場合は、上部の入射側にn型AlGaN層を配置することになるが、n型AlGaN層は、入射光の吸収を抑えるため、AlN組成比をi型AlGaN層より大きくするのが好ましいが、AlN組成比が大きくても十分にn型化(低抵抗化)するので、光電流の取り出しにおいて寄生抵抗の影響を少なくできる。
第二の特徴構成の場合は、下地半導体層側にn型AlGaN層が配置するが、当該n型AlGaN層のAlN組成比は、i型AlGaN層と同じであればよい。i型AlGaN層のAlN組成比は、検出対象光の波長域に依存して決定されるが、AlN組成比を35%〜40%程度に設定すると、バンドギャップエネルギが4.4eV以上となり、検出波長域の長波長端が約280nmとなり、火炎光に対して外来光となる太陽光に感度を有しない火炎センサが実現できる。この場合、n型AlGaN層のAlN組成比も35%〜40%程度となるが、下地半導体層の第2半導体層のAlGaNのAlN組成比として20%程度が可能であるため、両層のAlN組成比の差はせいぜい20%であり、両層の格子間隔の差に起因するn型AlGaN層の臨界膜厚として200nm程度を確保できるので、n型AlGaN層の低抵抗化が図れて高性能な受光素子が得られる。第二の特徴構成の場合は、上部の入射側にp型AlGaN層を配置することになるが、p型AlGaN層の最上層にAlN組成比20%以下のp型AlGaNコンタクト層を設け、p型電極とのオーミック接触を確保し、且つ、p型AlGaNコンタクト層の膜厚を最小限に薄くして当該コンタクト層での入射光の吸収を防止することで、火炎センサとして使用し得る受光素子が実現できる。
同第三の特徴構成は、上記第一または第二の特徴構成に加えて、前記受光層が、p型AlGaN層とi型AlGaN層の間に、超格子構造によりAlN組成比が前記i型AlGaN層と同じ或いはより大きくなるように形成されたp型AlGaN超格子層を有する点にある。
上記第三の特徴構成によれば、受光素子として更に高感度化が図れる。第一の特徴構成に適用する場合、i型AlGaN層のAlN組成比を35%〜40%程度に設定すると、i型AlGaN層に隣接するp型AlGaN層をバルク結晶で形成すると、AlN組成比20%以下のp型AlGaNのコンタクト層との間で格子不整合が生じるが、これを超格子構造で実現すると応力緩和がなされ、格子不整合による性能劣化を防止できる。i型AlGaN層の下層側でのキャリアの拡散を防止できる。
また、第二の特徴構成に適用する場合、i型AlGaN層のAlN組成比を35%〜40%程度に設定すると、i型AlGaN層に隣接するp型AlGaN層をバルク結晶で形成すると、AlN組成比として35〜40%のものを十分にp型活性化させる必要が生じる。ここで、バルクp型AlGaNの場合、AlN組成比が高くなるとp型活性化が困難になる傾向があるが、超格子構造であれば、等価的に35〜40%のAlN組成比のp型AlGaNが実現可能である。これにより、入射光の吸収、キャリアの拡散を防止できる。
同第四の特徴構成は、GaN系化合物半導体層上に、PIN接合型フォトダイオード構造を有するAlGaNを主とする受光層を備えてなるGaN系化合物半導体受光素子であって、前記受光層が、p型AlGaN層とi型AlGaN層の間に、超格子構造によりAlN組成比が前記i型AlGaN層のAlN組成比以上となるように形成されたp型AlGaN超格子層を有する点にある。
上記第四の特徴構成によれば、GaN系化合物半導体層として第一または第二の特徴構成と同等の低貫通転位密度のものを使用すれば、上記第三の特徴構成と同様に受光素子として高感度化が図れる。
同第五の特徴構成は、上記何れかの特徴構成に加えて、前記受光層が、p型AlGaN層とi型AlGaN層の間に、超格子構造により前記p型AlGaN層より大きいAlN組成比となるように形成されたp型AlGaN超格子層を有する点にある。
上記第五の特徴構成によれば、p型AlGaN層を、AlN組成比20%以下のp型AlGaNのコンタクト層とi型AlGaN層のAlN組成比と同じか、より大きいAlN組成比のp型AlGaN層の2層に分離して構成する場合に、後者のp型AlGaN層をバルク結晶で形成するのに比べて、応力緩和やキャリア拡散を抑制できる高性能、高品質なp型AlGaN層が得られる。
同第六の特徴構成は、上記第三乃至第五の特徴構成に加えて、前記p型AlGaN超格子層は、i型AlN層とp型GaN層を夫々所定の膜厚で交互に積層してなる多重量子井戸構造を有する点にある。
上記第六の特徴構成によれば、i型AlN層とp型GaN層を夫々所定の膜厚を調整することで、所定のAlN組成比のp型AlGaN層を得ることができる。ここで、GaN層に対してp型化を施しているので、十分なp型活性化が実現できる。
同第七の特徴構成は、上記何れかの特徴構成に加えて、前記受光層のi型AlGaN層のバンドギャップエネルギが3.6eV以上である点にある。
上記第七の特徴構成によれば、バンドギャップエネルギが3.6eV以上のAlGaNを主とする受光領域を備えることにより、3.6eV以上のエネルギを有する光が吸収されることで、波長約344nm(3.6eV)以下の紫外線を選択的に検出することができる。
更に、バンドギャップエネルギが4.1eV、4.3eV、或は、4.6eV以上のAlGaNを主とする受光領域を備えるとすれば、上記受光領域において夫々4.1eV、4.3eV、或は、4.6eV以上のエネルギを有する光が吸収されることで、波長約300nm(4.1eV)以下、約290nm(4.3eV)以下、或は、約280nm(4.6eV)以下の波長の紫外線を上記受光領域によって検出することができる。
同第八の特徴構成は、上記第一乃至第六の特徴構成に加えて、前記受光層のi型AlGaN層のバンドギャップエネルギが4.1eV以上である点にある。
上記第八の特徴構成によれば、バンドギャップエネルギが4.1eV以上のAlGaNを主とする受光領域を備えることにより、4.1eV以上のエネルギを有する光が吸収されることで、波長約300nmを超える波長の光、即ち、各種照明機器などからの室内光に対しては感度を有さないので、波長約300nm(4.1eV)以下の紫外線を含む例えば火炎光に対して選択的に感度を有する火炎センサとして使用可能な受光素子が得られる。
また、バンドギャップエネルギが4.3eV以上のAlGaNを主とする受光領域を備えるとすれば、4.3eV以上(波長約290nm以下)のエネルギを有する光が吸収されることで、紫外線受光素子に照射される光に太陽光等の外乱光が含まれていたとしても、波長約290nm以下ではそれらの外乱光の光強度が非常に小さくなり、波長約290nm以下の紫外線を含む例えば火炎光に対して選択的に感度を有する、太陽光等の外乱光の影響を極めて受けにくい紫外線受光素子(火炎センサ)を得ることができる。
同第九の特徴構成は、上記第一乃至第六の特徴構成に加えて、前記受光層のi型AlGaN層のバンドギャップエネルギが4.4eV以上である点にある。
上記第九の特徴構成によれば、バンドギャップエネルギが4.4eV以上のAlGaNを主とする受光領域を備えることにより、4.4eV以上のエネルギを有する光が吸収されることで、波長約280nmを超える波長の光、即ち、各種照明機器などからの室内光及び太陽光(自然光)に対しては感度を有さないので、波長約280nm(4.4eV)以下の紫外線を含む例えば火炎光に対して選択的に感度を有する火炎センサとして使用可能な受光素子が得られる。
本発明に係るGaN系化合物半導体受光素子(以下、適宜「本発明素子」という。)の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
〈第1実施形態〉
図1に第1実施形態に係る本発明素子2の断面構造を示す。本発明素子2は、基板1上に、下地半導体層10と受光層20とを順次積層して形成される。
図1及び図2に示すように、下地半導体層10は、先ず、(0001)サファイア基板1上に、300℃〜800℃の温度範囲内、例えば500℃の低温でAlNの低温堆積緩衝層(バッファ層)11と、約1000℃でGaNの第1半導体層12が、トリメチルアルミニウム(Al源)、トリメチルガリウム(Ga源)、アンモニア(窒素源)などの各原料ガスを使用したMOCVD法(有機金属化合物気相成長法)を用いて順次形成される(図2(A))。ここで、一旦、MOCVD装置から作製途中の本発明素子2を取り出し、第1半導体層12の表面を部分的に被覆する例えば、マスク幅及び開口幅が夫々5μmの周期的ストライプ状のSiOからなるマスクパターン層13を結晶方位〈11/20〉(/2は上線付きの2を意味する)に沿って形成する(図2(B))。引き続き、MOCVD法で、マスクパターン層13の開口部からGaNの選択成長(ELO成長)を約1000℃で行い、マスクパターン層13のエッジ部分に沿った、即ち、ストライプの長手方向と平行に延伸する傾斜面を有する垂直断面形状が山形状のシード結晶層14が形成される(図2(C))。引き続き、MOCVD法で、シード結晶層14上に、直接、AlGaNの第2半導体層15が約1000℃で形成される(図2(D))。本実施形態では、第2半導体層15のAlN組成比は、直接その上層に形成される受光層20の最下層に当たるp型AlGaN層21のAlN組成比と同じ20%とし、格子不整合を防いでいる。
図1に示すように、上記要領で形成された下地半導体層10上に、p型AlGaN層21、p型AlGaN超格子層22、i型AlGaN層23、及び、n型AlGaN層24を順次積層して受光層20を形成する。
p型AlGaN層21は、MOCVD法を用い、Al、Ga、Nの原料として上記の各原料ガスを使用し、p型不純物の原料ガスとして、CpMg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)ガスを流しながら、Mg(マグネシウム)を注入(ドープ)したp型AlGaN層21を成長させる。ここで、p型AlGaN層21は、後述するp型電極25とのオーミック接触を確実にし、十分なp型活性化を行って低抵抗化するために、AlN組成比を20%以下とする。尚、p型AlGaN層21と下地半導体層10の第2半導体層15のAlN組成比を共に20%とすることで、両層間の格子不整合をなくし、p型AlGaN層21の膜厚を厚く(約1μm)成長させることができ、p型AlGaN層21の横方向の寄生抵抗成分を低減することができる。
p型AlGaN超格子層22は、膜厚2nmのp型GaN層(井戸層)と膜厚3nmのAlN層(バリア層)を順次積層したもの(膜厚5nm)を20層繰り返し積層した多重量子井戸として形成される。この結果、p型AlGaN超格子層22は、AlN組成比が実行的に40%となるp型AlGaN層と等価な膜厚100nmの半導体層となる。p型AlGaN超格子層22のp型GaN層とAlN層は、夫々MOCVD法を用いて作成され、p型GaN層のp型不純物のドーピングは、p型AlGaN層21と同じ要領で行われる。ここで、p型AlGaN超格子層22のAlN組成比は、i型AlGaN層23のAlN組成比以上とし、本実施形態では、両層ともに40%とする。尚、p型AlGaN超格子層22のAlN組成比は、p型GaN層とAlN層の膜厚比を調整することで変更できる。引き続き、i型AlGaN層23が、MOCVD法を用いて膜厚約100nm〜200nmで形成される。
n型AlGaN層24は、Al、Ga、Nの原料として上記の各原料ガスを使用し、n型不純物の原料ガスとして、SiH(モノシラン)ガスを流しながら、Si(シリコン)を注入(ドープ)したn型AlGaN層24を成長させる。ここで、n型AlGaN層24は、n型AlGaN層24の上部から入射する検出対象波長の入射光を受光領域のi型AlGaN層23まで吸収されずに到達させるために、i型AlGaN層23のAlN組成比より大きなAlN組成比に設定される。n型AlGaNの場合は、p型AlGaNと異なり、AlN組成比が80%程度でも十分な低抵抗化が図れるため、本実施形態では、n型AlGaN層24のAlN組成比を70%とする。
p型AlGaN超格子層22を、超格子構造(多重量子井戸構造)を用いて形成することで、バルクp型AlGaN中に生成される欠陥によるバンドギャップ内のトラップ準位によって、受光感度域より長波長側、280nm〜360nm程度の波長範囲に感度が発生し、キャリアが拡散するのを抑制し、更に、バルクp型AlGaNとp型AlGaN層21との間の格子不整合による応力が緩和される。
上記要領で、受光層20が積層形成された後、p型AlGaN層21が部分的に露出するように受光層20をエッチング除去し、その露出部位にp型電極25が形成され、n型AlGaN層24上にはn型電極26が形成される。尚、p型電極25及びn型電極26は、それぞれp型AlGaN層21及びn型AlGaN層24との間の電気的な特性がオーミックなものとなるオーミック電極である。ここで、p型電極25及びn型電極26は、夫々の極性に応じてAl、Au、Pd、Ni、Ti等の公知の材料を公知の方法で作製すればよい。例えば、p型電極25として、第1層にPd(パラジウム)、第2層にAu(金)を夫々10nmずつ蒸着し所定の平面形状にパターニングする。また、p型電極25またはn型電極26として、ZrB2を電極材料として用いてもよい。尚、n型電極26は、n型電極26を通して入射光を受光層20へ導く必要があるため、光を透過させるために、メッシュ状または受光領域へ光を透過させる他の形状または素材で形成される。
尚、上記下地半導体層10の目的は、受光層20の結晶品質を良好なものとすることである。サファイア基板1の結晶成長表面における格子間隔と、受光層20を構成するAlxGa1-xN(0≦x≦1)の格子定数との間には大きな差が存在するが、下地半導体層10によってその格子不整合を緩和し、AlGaN層を成長させる際に加わる格子不整合による応力を小さくすることができる。その結果、受光層20のAlGaN層の結晶品質を良好にすることができる。
具体的には、低温堆積緩衝層11によって第1半導体層12中の貫通転位を減少させるとともに、第1半導体層12表面に達して貫通転位の一部を、マスクパターン層13でブロックするとともに、ELO成長によるシード結晶層14によって更に上方に向って成長する転位の一部が横方向に結合して消滅する。本実施形態では、シード結晶層14上のAlN低温堆積緩衝層(バッファ層)を省略しているが、AlGa1−xN(x≦0.25)の第2半導体層15の表面での貫通転位密度は、従来技術で例示したものと同等の10cm−2が得られ、下地半導体層10の作製工程の簡素化が図れる。この結果、受光層20における受光特性の高性能化が図れる。
図1に示した本発明素子2に対して外部から光が照射された場合、その光はメッシュ状のn型電極26とn型AlGaN層24とを透過して受光領域であるi型AlGaN層23に入射して吸収され、光キャリアが発生する。p型電極25及びn型電極26の間には所定の逆バイアス電界が印加されており、発生された光キャリアは光電流として外部に出力される。
受光層20を構成する各AlxGa1-xN層(0≦x≦1)のバンドギャップエネルギはAlN組成比xを変えることで調整され、AlN組成比xとバンドギャップエネルギとは図3に示すような関係で示される。図3から読み取れるように、AlN組成比xを変えることで、AlxGa1-xNのバンドギャップエネルギを3.42eVから6.2eVにまで調整することができる。従って、i型AlGaN層23で吸収可能な光の波長範囲(感度域)の長波長端は約360nm〜約200nmの間で調整可能である。
また、本発明素子2において火炎の光を検出する場合には、図4の発光スペクトルに示すような火炎の発光を吸収できるだけのバンドギャップエネルギを有する受光領域を形成すればよい。尚、図4に示す火炎の発光スペクトルは、ガス(炭化水素)を燃焼させた際に発生する火炎のスペクトルである。また、太陽光のスペクトルと、各種照明機器からの光による室内光のスペクトルも同時に示す。
以下は、i型AlGaN層23のバンドギャップエネルギとAlN組成比の関係について説明する。他のp型AlGaN超格子層22とn型AlGaN層24のAlN組成比は、i型AlGaN層23のAlN組成比との相対的な関係で決定される。本発明素子2に波長選択性を持たせるためには、i型AlGaN層23におけるAlN組成比を調整して、そのバンドギャップエネルギを所望の値に設定することが行われる。例えば、波長約344nm以下の波長域に比較的大きい強度で現れる火炎の光を選択的に受光することのできる火炎センサを作製したい場合には、i型AlGaN層23のバンドギャップエネルギが3.6eV以上となるようにAlN組成比x=0.05(5%)、或いはそれ以上とすればよい。或いは、約300nm以上の波長域に含まれる、各種照明機器からの光(室内光)を受光せずに、検出対象波長範囲にある火炎の光を受光するような火炎センサを作製したい場合には、i型AlGaN層23のバンドギャップエネルギが4.1eV以上となるようにAlN組成比x=0.25(25%)、或いはそれ以上とすればよい。また、約280nm以上の波長域に含まれる、太陽光からの光を受光せずに、検出対象波長範囲にある火炎の光のみを受光するような火炎センサを作製したい場合には、i型AlGaN層23のバンドギャップエネルギが4.4eV以上となるようにAlN組成比x=0.35(35%)、或いはそれ以上とすればよい。本実施形態では、AlN組成比を40%としている。
更に、弱い光強度であれば太陽光などの外乱光がi型AlGaN層23において吸収されても構わない場合には、受光領域のバンドギャップエネルギが4.3eV以上(波長約290nm以下)となるようにAlN組成比x=0.31(31%)、或いはそれ以上とすればよい。波長約290nm以下では図4に示すようにそれらの外乱光の光強度が非常に小さくなり、他方で火炎の光は大きいので、結果として火炎の光が存在することを検出することができる。
更に、本発明素子2がエンジン内部などの閉鎖空間に設置され、そこで燃焼される燃料の発光を検出したい場合には、上述した室内光や太陽光が存在しないため、それらを排除するような大きいバンドギャップエネルギを設定する必要はない。そのため、検出対象波長範囲にある火炎の光の中でも特に炭化水素を含む化合物(エンジンで燃焼される燃料)を燃焼させた場合に観測されるOHラジカルの発光に起因する発光ピーク(波長約310nm(310nm±10nm):4.0eV)の光(波長310nm以上344nm以下の火炎の光)を選択的に受光することのできる受光素子を作製した場合には、i型AlGaN層23のバンドギャップエネルギが3.6eV以上4.0eV以下となるように、AlN組成比xを0.05(5%)以上0.23(23%)以下とすればよい。
尚、上述したAlN組成比xとバンドギャップエネルギとの関係は理論値に基づいて説明したものであり、AlN組成比xが同じになるように成膜を行ったとしても実際に得られるAlGaN層のバンドギャップエネルギが異なる可能性もある。例えば、三元混晶化合物であるAlGaNの場合には、二元化合物であるGaNが生成され易く、その結果、バンドギャップエネルギが低エネルギ側(長波長側)にシフトする傾向にある。従って、理論値通りのバンドギャップエネルギを得たい場合には、AlN組成比を予め大きく設定した上で成膜することが行われることもある。
〈第2実施形態〉
図5に第2実施形態に係る本発明素子3の断面構造を示す。本発明素子3は、基板1上に、下地半導体層10と受光層30とを順次積層して形成される。下地半導体層10は基本的に、第1実施形態と同じであるので、重複する説明は割愛するが、第2実施形態では、第2半導体層15(15a,15b)のAlN組成比は25%(15a)と40%(15b)の2層構造としている。上部の第2半導体層15bのAlN組成比は、直接その上層に形成される受光層30の最下層に当たるn型AlGaN層31のAlN組成比と同じ40%とし、著しい格子不整合を防いでいる。
図5に示すように、第1実施形態と同じ要領で形成された下地半導体層10上に、n型AlGaN超格子層31a、n型AlGaN層31b、i型AlGaN層32、p型AlGaN超格子層33、及び、p型AlGaN層34を順次積層して受光層30を形成する。従って、n型AlGaN層31は下地半導体層10側に超格子層31aを備えて構成される。これは、下地半導体層10の第2半導体層15(15a,15b)のAlN組成比が25%(15a)と40%(15b)で15%の差があるため、その上部に積層するn型AlGaN層31の膜厚を確保するためである。従って、第2半導体層15(15a,15b)のAlN組成比の差が小さければ、格子不整合が緩和されるため、超格子層31aは不要となる。
n型AlGaN超格子層31aは、膜厚6nmのn型GaN層(井戸層)と膜厚4nmのAlN層(バリア層)を順次積層したもの(膜厚10nm)を20層繰り返し積層した多重量子井戸として形成される。この結果、n型AlGaN超格子層31aは、AlN組成比が実質的に40%となるn型AlGaN層と等価な膜厚200nmの半導体層となる。n型AlGaN超格子層31aのn型GaN層とAlN層は、夫々MOCVD法を用いて作成され、n型GaN層のn型不純物のドーピングは、以下のn型AlGaN層31bと同じ要領で行われる。
n型AlGaN層31bは、Al、Ga、Nの原料として上記の各原料ガスを使用し、n型不純物の原料ガスとして、SiHガスを流しながら、Siを注入したn型AlGaN層31を成長させる。ここで、n型AlGaN層31のAlN組成比は、i型AlGaN層32のAlN組成比以上とし、本実施形態では、両層ともに40%とする。引き続き、i型AlGaN層32が、MOCVD法を用いて膜厚約100nm〜200nmで形成される。
次に、i型AlGaN層32の上に、p型AlGaN超格子層33を形成する。p型AlGaN超格子層33は、膜厚2nmのp型GaN層(井戸層)と膜厚3nmのAlN層(バリア層)を順次積層したもの(膜厚5nm)を20層繰り返し積層した多重量子井戸として形成される。この結果、p型AlGaN超格子層33は、AlN組成比が実行的に40%となるp型AlGaN層と等価な膜厚100nmの半導体層となる。p型AlGaN超格子層33のp型GaN層とAlN層は、夫々MOCVD法を用いて作成され、p型GaN層のp型不純物のドーピングは、第1実施形態のp型AlGaN層21と同じ要領で行われる。ここで、p型AlGaN超格子層33のAlN組成比は、i型AlGaN層32のAlN組成比以上とし、本実施形態では、両層ともに40%とする。尚、p型AlGaN超格子層33のAlN組成比は、p型GaN層とAlN層の膜厚比を調整することで変更できる。尚、p型AlGaN超格子層33の膜厚は入射光の吸収を抑制するためにも薄い方が好ましい。また、p型AlGaN超格子層33は第1実施形態のp型AlGaN超格子層22と同様の効果(キャリア拡散防止)を有する。
引き続き、MOCVD法を用い、Al、Ga、Nの原料として上記の各原料ガスを使用し、p型不純物の原料ガスとして、CpMgガスを流しながら、Mgを注入したp型AlGaN層34を成長させる。ここで、p型AlGaN層34は、後述するp型電極36とのオーミック接触を確実にし、十分なp型活性化を行って低抵抗化するために、AlN組成比を20%以下とする。但し、p型AlGaN超格子層33と同様に、入射光の吸収を低減するために膜厚は約20nmとする。
上記要領で、受光層30が積層形成された後、n型AlGaN層31が部分的に露出するように受光層30をエッチング除去し、その露出部位にn型電極35が形成され、p型AlGaN層34上にはp型電極36が形成される。ここで、p型電極36及びn型電極35は、第1実施形態と同様に夫々の極性に応じてAl、Au、Pd、Ni、Ti等の公知の材料を公知の方法で作製すればよい。尚、p型電極36は、第1実施形態のn型電極26と同様に、p型電極36を通して入射光を受光層30へ導く必要があるため、光を透過させるために、メッシュ状または受光領域へ光を透過させる他の形状または素材で形成される。ところで、p型電極36とオーミック接触するp型AlGaN層34は、第1実施形態のn型AlGaN層24と比べて低抵抗化が困難で膜厚も薄いため、メッシュ間隔を第1実施形態のn型電極26と比較して狭くする必要がある。
本発明素子3の動作原理、及び、火炎センサへ適用した場合の感度域とi型AlGaN層32のAlN組成比の関係は、第1実施形態の本発明素子2と同様であるので、重複する説明は割愛する。
以下に、別の実施形態につき説明する。
〈1〉上記各実施形態では、p型AlGaN層21,34及びp型AlGaN超格子層22,33の成長に係るp型不純物としてMgを用いたが、p型AlGaN層のAlN組成比が20%以上の場合においても十分なp型活性化を得ようとすれば、p型不純物としてMgに代えてBe(ベリリウム)を用いるのも好ましい実施形態である。
この場合、各p型AlGaN層は、MOCVD法を用いて、Al、Ga、Nの原料として上記実施形態と同様に、トリメチルアルミニウム(Al源)、トリメチルガリウム(Ga源)、アンモニア(窒素源)等の各原料ガスを使用し、p型不純物の原料ガスとして、CpBe(ビスシクロペンタジエニルベリリウム)ガスを流しながら、Beを注入したp型AlGaN層を成長させる。
更に、p型不純物の原料ガスとして、(R−Cp)Beガス[ビス(R−シクロペンタジエニル)ベリリウム]ガス(Rは1〜4価のアルキル基)を用いるのも更に好ましい。特に、Rが2〜4価のアルキル基の(R−Cp)Beガスを用いるのがより好ましい。当該原料ガスを用いることにより、有機金属化合物気相成長法を用いてp型、n型及びi型半導体を所定の順序で段階的に形成するにあたり、各型に対応する不純物原料を結晶成長させる反応室内に配管を通して供給する場合に、各半導体層の成長を切り換えるときに、不純物原料の供給も切り換えるが、同じ配管を使用する場合に、配管内壁に残留した残留不純物による影響(メモリ効果)が無視できずに各半導体層間の界面近傍において所期の不純物濃度が達成できないという問題に対して、改善効果を発揮するからである。つまり、当該原料ガスの分子サイズが、CpBeより大きく、分極による分子間力が弱まるため、配管内壁への残留が少なくなるため、上記メモリ効果を抑制することができ、より効果的にp型活性化が促進される。
〈2〉上記実施形態では、受光層20,30は、夫々PIN構造で構成され、i型AlGaN層23,32に隣接するp型AlGaN層として超格子構造によりp型AlGaN超格子層22,33として形成したが、i型AlGaN層23,32のAlN組成比が小さい場合等において、超格子構造を採用せず、バルク単結晶で形成しても構わない。
〈3〉上記各実施形態では、受光層20,30は、夫々PIN構造で構成され、i型AlGaN層23,32に隣接するp型AlGaN層として超格子構造によりp型AlGaN超格子層22,33として形成したが、p型AlGaN超格子層22,33を採用する効果は、下地半導体層10の構造に拘わらず発揮される。従って、p型AlGaN超格子層を備えたPIN構造の受光層20,30に対して、上記各実施形態の下地半導体層10とは別の構造を用いても構わない。
〈4〉上記各実施形態では、基板1として、(0001)サファイア基板を用いたが、基板1はこれに限定されるものではなく、他の面方位のサファイア基板、或いは、SiC、Si、ZrB等の他の単結晶基板を用いても同様の効果は得られる。
〈5〉上記各実施形態の下地半導体層10では、第1半導体層12とシード結晶層14はGaNであったが、AlGaNでも構わない。但し、AlN組成比を大きくすると多結晶の析出が顕著となるので、AlN組成比はあまり大きくできない。特に、第2実施形態で、第2半導体層15のAlN組成比を1段で大きくする場合は、シード結晶層14をその中間的なAlN組成比(例えば20%以下)のAlGaNとするのも好ましい。
また、低温堆積緩衝層11もAlNではなくAlGaNであっても構わない。更に、マスクパターン層13はSiOの他、SiN等であってもよく、その形状もストライプ状に限定されるものではなく、例えば、格子状パターンであっても構わない。
〈6〉上記各実施形態において例示した、各層の膜厚、成長温度、使用原料、材料は、あくまでも一例であり、本発明の技術思想の範囲内において適宜変更可能である。また、各半導体層は、MOCVD法を用いたが、一部または全部を他の成膜方法を用いて形成しても構わない。例えば、受光層20,30或いは受光層20,30の内のi型AlGaN層23,32をMBE(分子線エピタキシ)法を用いて形成しても構わない。
本発明に係るGaN系化合物半導体受光素子の第1実施形態の概略構成を示す素子断面図 本発明に係るGaN系化合物半導体受光素子の下地半導体層の作製過程を示す素子断面図 AlGaNのバンドギャップエネルギを示すグラフ 火炎の光、太陽光、および室内光のスペクトルを示すグラフ 本発明に係るGaN系化合物半導体受光素子の第2実施形態の概略構成を示す素子断面図
符号の説明
1 基板
2,3 本発明に係るGaN系化合物半導体受光素子
10 下地半導体層
11 低温堆積緩衝層(AlNまたはAlGaNのバッファ層)
12 第1半導体層(GaNまたはAlGaN)
13 マスクパターン層
14 シード結晶層(GaNまたはAlGaN)
15 第2半導体層(AlGaN)
20,30 受光層
21,34 p型AlGaN層
22,33 p型AlGaN超格子層
23,32 i型AlGaN層
24,31 n型AlGaN層
25,36 p型電極
26,35 n型電極

Claims (9)

  1. 基板上に300℃〜800℃の温度範囲内の低温成長により形成されたAlNまたはAlGaNを主とするバッファ層と、前記バッファ層の上に形成されたGaNまたはAlGaNを主とする第1半導体層と、前記第1半導体層の上に形成された前記第1半導体層表面を部分的に被覆するマスクパターン層と、前記マスクパターン層によって被覆されずに露出している前記第1半導体層の露出表面と前記マスクパターン層上に、前記第1半導体層表面と平行な方向に前記マスクパターン層から前記露出表面中央に向けて離間するほど厚くなるように、前記マスクパターン層のエッジ部分に沿った傾斜面を有する山形状に形成されたGaNまたはAlGaNを主とするシード結晶層と、前記シード結晶層の上に直接に表面が平坦に形成されたAlGaNを主とする第2半導体層とを有する下地半導体層と、
    前記下地半導体層上に形成されたPIN接合型フォトダイオード構造を有するAlGaNを主とする受光層と、を備えてなり、
    前記受光層が、前記下地半導体層側にp型AlGaN層を有し、上部のn型AlGaN層側から入射光を受光することを特徴とするGaN系化合物半導体受光素子。
  2. 基板上に300℃〜800℃の温度範囲内の低温成長により形成されたAlNまたはAlGaNを主とするバッファ層と、前記バッファ層の上に形成されたGaNまたはAlGaNを主とする第1半導体層と、前記第1半導体層の上に形成された前記第1半導体層表面を部分的に被覆するマスクパターン層と、前記マスクパターン層によって被覆されずに露出している前記第1半導体層の露出表面と前記マスクパターン層上に、前記第1半導体層表面と平行な方向に前記マスクパターン層から前記露出表面中央に向けて離間するほど厚くなるように、前記マスクパターン層のエッジ部分に沿った傾斜面を有する山形状に形成されたGaNまたはAlGaNを主とするシード結晶層と、前記シード結晶層の上に直接に表面が平坦に形成されたAlGaNを主とする第2半導体層とを有する下地半導体層と、
    前記下地半導体層上に形成されたPIN接合型フォトダイオード構造を有するAlGaNを主とする受光層と、を備えてなり、
    前記受光層が、前記下地半導体層側にn型AlGaN層を有し、上部のp型AlGaN層側から入射光を受光することを特徴とするGaN系化合物半導体受光素子。
  3. 前記受光層が、p型AlGaN層とi型AlGaN層の間に、超格子構造によりAlN組成比が前記i型AlGaN層と同じ或いはより大きくなるように形成されたp型AlGaN超格子層を有することを特徴とする請求項1または2に記載のGaN系化合物半導体受光素子。
  4. GaN系化合物半導体層上に、PIN接合型フォトダイオード構造を有するAlGaNを主とする受光層を備えてなるGaN系化合物半導体受光素子であって、
    前記受光層が、p型AlGaN層とi型AlGaN層の間に、超格子構造によりAlN組成比が前記i型AlGaN層のAlN組成比以上となるように形成されたp型AlGaN超格子層を有することを特徴とするGaN系化合物半導体受光素子。
  5. 前記受光層が、p型AlGaN層とi型AlGaN層の間に、超格子構造により前記p型AlGaN層より大きいAlN組成比となるように形成されたp型AlGaN超格子層を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のGaN系化合物半導体受光素子。
  6. 前記p型AlGaN超格子層は、i型AlN層とp型GaN層を夫々所定の膜厚で交互に積層してなる多重量子井戸構造を有することを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載のGaN系化合物半導体受光素子。
  7. 前記受光層のi型AlGaN層のバンドギャップエネルギが3.6eV以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のGaN系化合物半導体受光素子。
  8. 前記受光層のi型AlGaN層のバンドギャップエネルギが4.1eV以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のGaN系化合物半導体受光素子。
  9. 前記受光層のi型AlGaN層のバンドギャップエネルギが4.4eV以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のGaN系化合物半導体受光素子。
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