JP2005235908A - 窒化物半導体積層基板及びGaN系化合物半導体装置 - Google Patents

窒化物半導体積層基板及びGaN系化合物半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005235908A
JP2005235908A JP2004041215A JP2004041215A JP2005235908A JP 2005235908 A JP2005235908 A JP 2005235908A JP 2004041215 A JP2004041215 A JP 2004041215A JP 2004041215 A JP2004041215 A JP 2004041215A JP 2005235908 A JP2005235908 A JP 2005235908A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
nitride semiconductor
algan
aln
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004041215A
Other languages
English (en)
Inventor
Hikari Hirano
光 平野
Satoshi Kamiyama
智 上山
Hiroshi Amano
浩 天野
Isamu Akasaki
勇 赤崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP2004041215A priority Critical patent/JP2005235908A/ja
Publication of JP2005235908A publication Critical patent/JP2005235908A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Led Devices (AREA)
  • Light Receiving Elements (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】上部に形成される窒化物半導体層を含む機能素子に対する構造的制約を緩和できる、低貫通転位のAlGaN或いはAlNを用いた窒化物半導体積層基板を提供する。
【解決手段】基板1上に、直接或いはAlNまたはAlGaNを主とする1または複数の窒化物半導体層11を介して形成されたAlNまたはAlGaNを主とする第1半導体層12を備えてなり、その上部に窒化物半導体層を含む機能素子20を形成するための窒化物半導体積層基板10であって、第1半導体層12は、AlNまたはAlGaNの基板1の表面と平行な横方向への結晶成長を促進させるアルカリ金属元素または2属元素の中から選択される微量の横方向成長促進物質を添加して形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、受光素子や発光素子等の機能素子を上部に形成するための窒化物半導体積層基板、及び、当該窒化物半導体積層基板を用いたGaN系化合物半導体装置に関する。
GaN系化合物半導体(一般式:AlGaIn1−x−yN)は直接遷移型のエネルギバンド構造を有し、そのバンドギャップエネルギが室温で1.9eV〜6.2eVに及ぶワイドバンドギャップであるため、紫外域から可視光域をカバーする発光ダイオード、レーザダイオード、及び、紫外線センサ等の受光素子として広範な応用が可能である。一般的に、検出対象とする波長範囲の光に対して感度を有する材料であれば受光素子として利用することができる。例えば、炭化水素が燃焼した場合に紫外域に現れる発光を選択的に検出することが要求される紫外線受光素子(火炎センサ)の場合には、紫外域に感度を有する材料として、AlGaN等のGaN系化合物半導体が用いられる。ここで、受光領域のデバイス構造としては、PN接合型やPIN接合型のフォトダイオード構造、ショットキーダイオード構造、フォトトランジスタ構造等が考えられる。しかし、火炎センサに応用する場合、受光素子の性能として幾つかの要求を満たさなければならない。
先ず、室内光や太陽光等の外乱光と区別して火炎光のみを選択的に受光するために、外乱光スペクトルの短波長端をカットオフ波長(感度域の長波長端)として設定すべく、受光領域を形成するAlGa1−xNのバンドギャップエネルギ、つまり、AlN組成比x(AlNモル分率ともいう)を調整しなければいけない。しかし、欠陥準位や三元混晶による組成ずれによりバンドギャップ内に準位が形成され、これがカットオフ波長の長波長側でも感度を生じさせ、当該波長に対して光吸収が行われることで感度差が小さくなり、つまり、選択性が低下する。特に、AlN組成比が大きくなる程に顕著となり、火炎センサとしての応用において、特に重要な課題となる。
また、受光素子に照射される火炎光が微弱である場合には、発生するキャリアの数と、膜中の欠陥準位にトラップされるキャリアの数とが競合するような関係になり、光照射に対する応答速度が非常に遅くなる場合がある。更に、トラップ準位からのキャリアの放出が温度に対して非常に敏感であるため、温度上昇に伴って急激にキャリアの放出が行われて暗電流が増加する場合がある。暗電流が大きいと、微弱な火炎光を吸収して発生した光電流が暗電流に埋もれてしまうため、この暗電流を非常に低いレベルにまで低減することが必要となる。
従って、紫外域の微弱な照射光を高温条件下で測定する必要がある火炎センサにとっては、受光領域のAlGaNのAlN組成比を所定のカットオフ波長となるように設定するとともに、当該AlN組成比に対して、結晶品質が良好であり、キャリアをトラップする再結合中心となり得る貫通転位等の少ない半導体層をデバイス層(受光層)として得ることが必須の要件となる。
従来、デバイス層中の貫通転位密度をできるだけ低いレベルに低減するために、サファイア等の平坦性の高い基板上に、数10nmの厚さで低温堆積されたバッファ層(例えば、約1050℃以下の基板表面温度で成長)を設け、その上に受光領域を含むデバイス層を形成して受光素子を作製する方法がある。ここで、低温堆積されたバッファ層を設ける理由は、サファイア基板の結晶成長面の格子間隔(約0.275nm)と、受光領域のAlGaNの格子間隔(約0.31〜約0.32nm)との間の格子不整合を緩和し、格子不整合により発生し得る受光領域中の貫通転位を少なくさせることにある。
また、サファイア基板とデバイス層との間に単層のバッファ層ではなく、複数のバッファ層を設ける方法もある(例えば、下記の非特許文献1に開示されている)。例えば、サファイア基板上に、AlNからなる低温堆積バッファ層と、GaNからなる結晶改善層と、AlNからなる低温堆積中間層という多層の窒化物半導体基板層(下地構造)を設け、その上にデバイス層を設けることで、単層のバッファ層を設けた場合以上に、基板と受光領域との間の格子不整合を緩和することが可能となる。これは、低温堆積中間層を介しても、低温堆積中間層上に成長させるAlGaN層がGaNからなる結晶改善層の結晶品質を引き継いで成長する性質があり、しかも、低温堆積中間層によって、GaNとAlGaNとの間の格子不整合によって、AlGaN層が臨界膜厚(弾性限界)を超えるとクラックが生じるという問題を解決できるためである。
M. Iwaya,他,"Reduction of Etch Pit Density in Organometallic Vapor PhaseEpitaxy−Grown GaN on Sapphire by Insertion of a Low−Temperature−Deposited Buffer Layer between High−Temperature−Grown GaN",Japanese Journal of Applied Physics, Vol.37 pp.L316−L318,1998年3月
しかしながら、非特許文献1に開示された多層の窒化物半導体基板層の場合、例えば、AlGaNを主とする受光素子を構成するデバイス層をその上部に形成する場合、窒化物半導体基板層内にGaN層からなる結晶改善層を有するため、基板側から光を入射させると、AlGaNよりバンドギャップエネルギの小さいGaN層内で検出対象波長の入射光が吸収されてしまうため、入射光は上部からの入射に制限される。
また、デバイス層(例えば、受光層)が上部入射に制限されるとすれば、如何なる具体的な構造とすれば、低貫通転位密度の下地構造上に火炎センサとしての使用に耐え得るデバイス層が実現できるかを解決しなければいけない。
例えば、デバイス層の受光構造として、PN接合型やPIN接合型のフォトダイオード構造を想定した場合に、p型AlGaN層とn型AlGaN層の何れを上側にするにせよ、上側のAlGaN層とのオーミック電極として検出対象波長の光を透過する材料を選ぶか、部分的に開口部を設けたメッシュ状の電極パターンとする等の工夫が必要となり、受光感度を低下させる要因、製造コスト高騰の要因となる。更に、上側にp型AlGaN層を配置する場合は、AlN組成比が大きいとp型活性化が困難となり、十分な低抵抗層が得られないため、AlN組成を20%以下に制限する必要が生じ、このため、AlN組成比の大きいp型AlGaN層とは別に、電極とオーミック接触するためのAlN組成を20%以下のp型AlGaNコンタクト層を設ける必要がある。しかし、p型AlGaNコンタクト層において、検出対象波長の入射光の吸収が起こるため、当該p型AlGaNコンタクト層の膜厚を薄くしなければならないが、膜厚が薄いとp型AlGaNコンタクト層の寄生抵抗が大きくなり、メッシュ状電極の場合の受光用の開口を大きくできないという問題が生じ、更に、受光感度を低下させる要因となる。また、上側にn型AlGaN層を配置する場合は、n型AlGaN層よりp型AlGaN層を先に形成する必要があるが、p型AlGaN層の成長時にp型不純物を供給する原料ガスのメモリ効果(配管内壁に残留した残留不純物による影響)が、n型不純物より大きいため、製造工程上、上側にn型AlGaN層を配置するのは好ましくないという問題もある。同様の問題は発光素子においても妥当する。
そこで、非特許文献1に開示された多層の窒化物半導体基板層において、GaN層からなる結晶改善層を、デバイス層を構成するAlGaNよりAlN組成比の大きいAlGaN或いはAlNを用いて形成することで、上記問題が、理論上は一応解消される。しかし、一般に、GaNは上方(基板面に垂直な方向)と横方向(基板面に平行な方向)に結晶成長する傾向があるのに対し、AlGaN或いはAlNは上方への結晶成長が優勢であるため、結晶改善層を所定の膜厚以上で成長させて、その成長過程において横方向への転位の結合を図って低転位化するには、GaNを用いた方が有利と考えられる。そこで、低貫通転位のAlGaN或いはAlNを用いた窒化物半導体基板層を得るのは一般に困難と考えられていた。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記問題点を解消し、上部に形成される窒化物半導体層を含む機能素子に対する構造的制約を緩和できる、低貫通転位のAlGaN或いはAlNを用いた窒化物半導体積層基板、及び、それを用いたGaN系化合物半導体装置を提供することにある。
この目的を達成するための本発明に係る窒化物半導体積層基板の第一の特徴構成は、基板上に、直接或いはAlNまたはAlGaNを主とする1または複数の窒化物半導体層を介して形成されたAlNまたはAlGaNを主とする第1半導体層を備えてなり、その上部に窒化物半導体層を含む機能素子を形成するための窒化物半導体積層基板であって、前記第1半導体層は、AlNまたはAlGaNの前記基板の表面と平行な横方向への結晶成長を促進させる横方向成長促進物質を添加して形成される点にある。
上記第一の特徴構成によれば、窒化物半導体積層基板内にGaN層が存在しないため、窒化物半導体積層基板内にGaN層が存在することに起因する上述の問題点が解消されるとともに、AlNまたはAlGaNを主とする第1半導体層内において横方向成長が促進され、それに伴い転位の結合が促進され、第1半導体層表面に現れる貫通転位を低減できる。この結果、窒化物半導体積層基板の上部に形成される機能素子を構成する窒化物半導体層の結晶品質が向上し、当該機能素子の高性能化が図れる。
同第二の特徴構成は、上記第一の特徴構成に加えて、前記第1半導体層は、前記横方向成長促進物質として、微量のアルカリ金属元素または2属元素の中から選択される物質を添加して形成される点にある。
同第三の特徴構成は、上記第一または第二の特徴構成に加えて、前記横方向成長促進物質は、Li、Ca、Mg、Naの内の少なくとも1つの元素を含む点にある。
上記第二または第三の特徴構成によれば、微量のアルカリ金属元素または2属元素の中から選択される物質、例えば、Li、Ca、Mg、Na等が、横方向成長促進物質として機能し、上記第一の特徴構成の作用及び効果を奏する。
同第四の特徴構成は、上記何れかの特徴構成に加えて、単結晶基板と、前記単結晶基板上に、300℃〜800℃の温度範囲内の低温成長により形成されたAlNまたはAlGaNを主とする低温堆積バッファ層と、前記低温堆積バッファ層上に形成された前記第1半導体層とを備えてなる点にある。
上記第四の特徴構成によれば、低温堆積バッファ層によって、基板と第1半導体層間の格子不整合が緩和されるので、第1半導体層におけるクラック等の発生を防止できる。この結果、厚膜の第1半導体層を形成できるため、その結晶成長過程で転位の結合が図れる、効果的に低転位化が図れる。
同第五の特徴構成は、上記第四の特徴構成に加えて、前記第1半導体層上に、300℃〜800℃の温度範囲の低温成長によるAlNまたはAlGaNを主とする第2の低温堆積バッファ層を有する点にある。上記第五の特徴構成によれば、第1半導体層と第2の低温堆積バッファ層上に形成される窒化物半導体層との間の格子不整合を緩和できる。
同第六の特徴構成は、上記第四または第五の特徴構成に加えて、前記第1半導体層の成長温度が1280℃以上である点にある。上記第六の特徴構成によれば、第1半導体層として低転位のものが得られる。
同第七の特徴構成は、上記何れかの特徴構成に加えて、前記第1半導体層の膜厚が、500nm以上である点にある。上記第七の特徴構成によれば、第1半導体層内で転位の結合頻度が、膜厚に比例して増加するため、第1半導体層表面に現れる貫通転位が減少して、高品位の低貫通転位密度の窒化物半導体積層基板が得られる。
同第八の特徴構成は、上記第一乃至第三の何れかの特徴構成に加えて、単結晶基板と、前記単結晶基板上に、1050℃以上の高温で500nm以上の膜厚に成長させた少なくとも1層のAlN層と、前記AlN層上に形成された前記第1半導体層とを備えてなる点にある。
上記第八の特徴構成において、上記第一の特徴構成における基板と第1半導体層間に、AlNまたはAlGaNを主とする1または複数の窒化物半導体層が存在する場合の当該窒化物半導体層に、1050℃以上の高温で500nm以上の膜厚に成長させた少なくとも1層のAlN層が相当する。上記第八の特徴構成によれば、かかる厚膜の高温堆積バッファ層としてのAlN層上に、第1半導体層を設けることで、第1半導体層での横方向成長でAlN層上に現れた貫通転位が、そのまま上方に進行するのではなく、横方向に結合して減少する低転位化効果が期待される。
同第九の特徴構成は、上記何れかの特徴構成に加えて、前記第1半導体層は、AlN組成比が50%以上のAlGaNを主とする窒化物半導体層である点にある。
上記第九の特徴構成によれば、窒化物半導体積層基板内に存在する窒化物半導体のバンドギャップエネルギがAlN組成比が50%のAlGaNのバンドギャップエネルギ(約4.75eV)以上であるので、例えば、上部に形成される機能素子が受光素子である場合、約260nmより長波長の光を吸収しないため、約260nm以上の検出対象波長の光を基板側から入射させることができ、上面入射の場合に生じるデバイス層構造上の問題を解決して、高性能の紫外線受光素子として使用可能な受光素子を実現できる。
この目的を達成するための本発明に係るGaN系化合物半導体装置の第一の特徴構成は、上記何れかの特徴構成の窒化物半導体積層基板上に、GaN系化合物半導体からなる前記機能素子を構成するデバイス層を備えてなる点にある。
上記GaN系化合物半導体装置の第二の特徴構成は、上記第一の特徴構成に加えて、前記機能素子が受光素子であって、前記デバイス層内にAlGaNを主とする受光領域を備えてなる点にある。
上記GaN系化合物半導体装置の第三の特徴構成は、上記第二の特徴構成に加えて、前記受光領域のバンドギャップエネルギが3.6eV以上である点にある。
上記GaN系化合物半導体装置の第四の特徴構成は、上記第二または第三の特徴構成に加えて、前記受光領域に、前記窒化物半導体積層基板を通して受光対象波長域の光が入射する点にある。
上記GaN系化合物半導体装置の第五の特徴構成は、上記第一の特徴構成に加えて、前記機能素子が発光素子であって、前記デバイス層内にAlGaNを主とする活性層を備えてなる点にある。
上記GaN系化合物半導体装置の第六の特徴構成は、上記第五の特徴構成に加えて、前記活性層で発光した光が、前記窒化物半導体積層基板を通して出射する点にある。
上記GaN系化合物半導体装置の第一乃至第六の特徴構成によれば、高品質の窒化物半導体積層基板上に、高性能の機能素子、受光素子、発光素子を実現できる。
特に、上記受光素子は、バンドギャップエネルギが3.6eV以上のAlGaNを主とする受光領域を備えることにより、3.6eV以上のエネルギを有する光が吸収されることで、波長約344nm(3.6eV)以下の波長の紫外線を上記受光領域によって選択的に検出することができる。
更に、バンドギャップエネルギが4.1eV、4.3eV、或は、4.6eV以上のAlGaNを主とする受光領域を備えるとすれば、上記受光領域において夫々4.1eV、4.3eV、或は、4.6eV以上のエネルギを有する光が吸収されることで、波長約300nm(4.1eV)以下、約290nm(4.3eV)以下、或は、約280nm(4.6eV)以下の波長の紫外線を上記受光領域によって検出することができる。
ここで、バンドギャップエネルギが4.1eV以上のAlGaNを主とする受光領域を備えるとすれば、波長約300nmを超える波長の光、即ち、各種照明機器などからの室内光に対しては上記受光領域が感度を有さないので、波長約300nm以下の紫外線を含む例えば火炎光に対して選択的に感度を有する紫外線受光素子(火炎センサ)を得ることができる。
また、バンドギャップエネルギが4.3eV以上のAlGaNを主とする受光領域を備えるとすれば、4.3eV以上(波長約290nm以下)のエネルギを有する光が吸収されることで、紫外線受光素子に照射される光に太陽光等の外乱光が含まれていたとしても、波長約290nm以下ではそれらの外乱光の光強度が非常に小さくなり、波長約290nm以下の紫外線を含む例えば火炎光に対して選択的に感度を有する、太陽光等の外乱光の影響を極めて受けにくい紫外線受光素子(火炎センサ)を得ることができる。
更に、バンドギャップエネルギが4.6eV以上のAlGaNを主とする受光領域を備えるとすれば、4.6eV以上(波長約280nm以下)のエネルギを有する光が吸収されることで、紫外線受光素子に照射される光に太陽光等の外乱光が含まれていたとしても、各種照明機器などからの室内光および太陽光(自然光)に対しては上記受光領域が感度を有さないので、波長約280nm以下の紫外線を含む例えば火炎光に対して選択的に感度を有する、室内光や太陽光等の外乱光の影響を受けない紫外線受光素子(火炎センサ)を得ることができる。
また、上記発光素子は、活性層のAlGaNのAlN組成比を適当に選択することで、光エネルギが3.4eVから6.2eVの発光を得ることができる。
特に、窒化物半導体積層基板を通過して光の入射または出射を行う受光素子や発光素子の場合、窒化物半導体積層基板を通過する光の吸収波長域の長波長端を、AlN組成比が大きいほど短波長化できるので、AlN組成比を20%以上(波長約315〜330nm以下)或いは40%以上(波長約280nm以下)に設定できれば、それだけ受光波長域及び発光波長域の設定自由度が広くなる。更に、上面からの光の出入りを回避できるため、デバイス層上部にAlN組成比の低いAlGaN層或いはGaN層を設けてp型電極とのオーミック接触を完全に図れるとともに、透明電極やメッシュ上の電極を採用する必要がなく製造コストを抑制し、素子の高性能化が図れる。
この目的を達成するための本発明に係る窒化物半導体形成方法の特徴構成は、上部に窒化物半導体層を含む機能素子を形成するための窒化物半導体積層基板内のAlN層またはAlGaN層をエピタキシャル成長させる窒化物半導体形成方法であって、前記AlN層または前記AlGaN層の結晶成長時に、微量のアルカリ金属元素または2属元素の中から選択される物質を添加する点にある。
上記特徴構成の窒化物半導体形成方法によれば、窒化物半導体積層基板内のAlN層またはAlGaN層において横方向成長が促進され、それに伴い転位の結合が促進され、AlN層またはAlGaN層表面に現れる貫通転位を低減できる。この結果、窒化物半導体積層基板の上部に形成される機能素子を構成する窒化物半導体層の結晶品質が向上し、当該機能素子の高性能化が図れる。
本発明に係る窒化物半導体積層基板及びGaN系化合物半導体装置(以下、適宜「本発明基板」及び「本発明装置」という。)の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
〈第1実施形態〉
図1に、第1実施形態に係る本発明基板10の断面構造を示す。図1に示すように、本発明基板10は、先ず、(0001)サファイア基板1上に、300℃〜800℃の温度範囲内、例えば500℃の低温でAlNの第1低温堆積バッファ層11が、トリメチルアルミニウム(Al源)、アンモニア(窒素源)などの各原料ガスを使用したMOCVD法(有機金属化合物気相成長法)を用いて厚さ20nmで形成される。次に、約1280℃以上の高温、例えば1300℃でAlNの第1半導体層12が、上記各原料ガスを使用したMOCVD法を用いて、厚さ500nm以上、例えば1μmの厚さで第1低温堆積バッファ層11上に形成される。ここで、第1半導体層12のAlNは単結晶としてエピタキシャル成長する。引き続き、MOCVD法で、第1低温堆積バッファ層11と同じ条件で、AlNの第2低温堆積バッファ層(第2の低温堆積バッファ層)13が厚さ20nmで第1半導体層12上に形成され、本発明基板10が作製される。
ここで、第1低温堆積バッファ層11、第1半導体層12、第2低温堆積バッファ層13の何れかをAlGaN層として形成する場合は、上記原料ガスにトリメチルガリウム(Ga源)が追加される。
第1半導体層12のMOCVD法による結晶成長時は、上記各原料ガスを反応室内に供給するとともに、Li、Ca、Mg、Na等のアルカリ金属元素または2属元素の中から選択される物質を微量添加する。かかる物質として、Li、Ca、Mg、Na等の元素を含む化合物を用いる。
尚、本発明基板10によれば、第1低温堆積バッファ層11によって、サファイア基板1と第1半導体層12の格子不整合による第1半導体層12内のクラックの発生が回避され、しかも、第1半導体層12の結晶成長時に横方向成長(c軸と垂直な方向)がLi、Ca、Mg、Na等の微量の添加により促進されるため、第1半導体層12内の転位が横方向に結合して消滅するので、第1半導体層12の表面上に現れる貫通転位が低減される。更に、第2低温堆積バッファ層13によって、第1半導体層12と本発明基板10上に形成されるデバイス層の窒化物半導体層との間の格子不整合を緩和するとともに、第1半導体層12で改善された結晶品質を上部のデバイス層に引き継ぐことができる。このように、本発明基板10によれば、改善された結晶品質を上部のデバイス層に対して提供できるので、その上部の機能素子を構成するAlGaN層の結晶品質を良好なものとでき、機能素子の高性能化が図れ、例えば、高量子効率の発光素子、低暗電流、高感度の受光素子が得られる。
〈第2実施形態〉
次に、第1実施形態の本発明基板10上に、機能素子として受光素子を構成するデバイス層20を形成してなる本発明装置2について説明する。以下、第2実施形態でデバイス層20に形成される受光素子構造として、PIN接合型フォトダイオードを示す。
図2に示すように、上記要領で形成された本発明基板10上に、n型AlGaN層21、i型AlGaN層22、p型AlGaN超格子層23、及び、p型AlGaN層24を順次積層してデバイス層20を形成する。
n型AlGaN層21は、トリメチルアルミニウム(Al源)、トリメチルガリウム(Ga源)、アンモニア(窒素源)などの各原料ガスを使用し、n型不純物の原料ガスとして、SiH(モノシラン)ガスを流しながら、Si(シリコン)を注入(ドープ)したn型AlGaN層21を成長させる。ここで、n型AlGaN層21のAlN組成比は、i型AlGaN層22のAlN組成比以上とし、本実施形態では、両層ともに40%とする。また、n型AlGaN層21の膜厚は500nm〜2000nmの範囲とし、例えば、1000nmとする。引き続き、i型AlGaN層22が、MOCVD法を用いて膜厚約100nm〜200nmの範囲で、例えば、200nmで形成される。
次に、i型AlGaN層22の上に、p型AlGaN超格子層23を形成する。p型AlGaN超格子層23は、膜厚2nmのp型GaN層(井戸層)と膜厚3nmのAlN層(バリア層)を順次積層したもの(膜厚5nm)を20層繰り返し積層した多重量子井戸として形成される。この結果、p型AlGaN超格子層23は、AlN組成比が実行的に40%となるp型AlGaN層と等価な膜厚100nmの半導体層となる。p型AlGaN超格子層23のp型GaN層とAlN層は、Al、Ga、Nの原料として上記の各原料ガスを使用し、MOCVD法を用いて作成される。p型GaN層のp型不純物のドーピングは、GaN層の成長時にp型不純物の原料ガスとして、CpMg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)ガスを流しながら、Mg(マグネシウム)を注入(ドープ)する。ここで、p型AlGaN超格子層23のAlN組成比は、i型AlGaN層22のAlN組成比と同じとし、本実施形態では、両層ともに40%とする。尚、p型AlGaN超格子層23のAlN組成比は、p型GaN層とAlN層の膜厚比を調整することで変更できる。尚、p型AlGaN超格子層23は、超格子構造(多重量子井戸構造)を用いて形成することで、バルクp型AlGaN中に生成される欠陥によるバンドギャップ内のトラップ準位によって、受光感度域より長波長側、280nm〜360nm程度の波長範囲に感度が発生し、キャリアが拡散するのを抑制して、受光感度の選択性向上に寄与する。
引き続き、MOCVD法を用い、Al、Ga、Nの原料として上記の各原料ガスを使用し、p型不純物の原料ガスとして、CpMgガスを流しながら、Mgを注入したp型AlGaN層24を膜厚約20nmで成長させる。ここで、p型AlGaN層24は、後述するp型電極26とのオーミック接触を確実にし、十分なp型活性化を行って低抵抗化するために、AlN組成比を20%以下としたコンタクト層であり、AlN組成比が0%のp型GaN層であっても構わない。
上記要領で、デバイス層20が積層形成された後、n型AlGaN層21が部分的に露出するようにデバイス層20をエッチング除去し、その露出部位にn型電極25が形成され、p型AlGaN層24上にはp型電極26が形成される。ここで、p型電極26及びn型電極25は、夫々の極性に応じてAl、Au、Pd、Ni、Ti等の公知の材料を公知の方法で作製すればよい。例えば、p型電極26として、第1層にPd(パラジウム)、第2層にAu(金)を夫々10nmずつ蒸着し所定の平面形状にパターニングする。また、p型電極26またはn型電極25として、ZrB2を電極材料として用いてもよい。尚、検出対象波長の光は基板側から入射させるので、p型電極26は、特に透明電極材料を使用する必要や、メッシュ状に光透過窓を加工する必要がない。
図2に示した本発明装置2に対して外部から光が照射された場合、その光は基板1側から、本発明基板10とn型AlGaN層21とを透過して受光領域であるi型AlGaN層22に入射して吸収され、光キャリアが発生する。p型電極26及びn型電極25の間には所定の逆バイアス電界が印加されており、発生された光キャリアは光電流として外部に出力される。
デバイス層20を構成する各AlxGa1-xN層(0≦x≦1)のバンドギャップエネルギはAlN組成比xを変えることで調整され、AlN組成比xとバンドギャップエネルギとは図3に示すような関係で示される。図3から読み取れるように、AlN組成比xを変えることで、AlxGa1-xNのバンドギャップエネルギを3.42eVから6.2eVにまで調整することができる。従って、i型AlGaN層22で吸収可能な光の波長範囲(感度域)の長波長端は約360nm〜約200nmの間で調整可能である。
また、本発明装置2において火炎の光を検出する場合には、図4の発光スペクトルに示すような火炎の発光を吸収できるだけのバンドギャップエネルギを有する受光領域を形成すればよい。尚、図4に示す火炎の発光スペクトルは、ガス(炭化水素)を燃焼させた際に発生する火炎のスペクトルである。また、太陽光のスペクトルと、各種照明機器からの光による室内光のスペクトルも同時に示す。
以下は、i型AlGaN層22のバンドギャップエネルギとAlN組成比の関係について説明する。他のp型AlGaN超格子層23とn型AlGaN層21のAlN組成比は、i型AlGaN層22のAlN組成比との相対的な関係で決定される。本発明装置2に波長選択性を持たせるためには、i型AlGaN層22におけるAlN組成比を調整して、そのバンドギャップエネルギを所望の値に設定することが行われる。例えば、波長約344nm以下の波長域に比較的大きい強度で現れる火炎の光を選択的に受光することのできる火炎センサを作製したい場合には、i型AlGaN層22のバンドギャップエネルギが3.6eV以上となるようにAlN組成比x=0.05(5%)、或いはそれ以上とすればよい。或いは、約300nm以上の波長域に含まれる、各種照明機器からの光(室内光)を受光せずに、検出対象波長範囲にある火炎の光を受光するような火炎センサを作製したい場合には、i型AlGaN層22のバンドギャップエネルギが4.1eV以上となるようにAlN組成比x=0.25(25%)、或いはそれ以上とすればよい。また、約280nm以上の波長域に含まれる、太陽光からの光を受光せずに、検出対象波長範囲にある火炎の光のみを受光するような火炎センサを作製したい場合には、i型AlGaN層22のバンドギャップエネルギが4.4eV以上となるようにAlN組成比x=0.35(35%)、或いはそれ以上とすればよい。本実施形態では、AlN組成比を40%としている。
更に、弱い光強度であれば太陽光などの外乱光がi型AlGaN層22において吸収されても構わない場合には、受光領域のバンドギャップエネルギが4.3eV以上(波長約290nm以下)となるようにAlN組成比x=0.31(31%)、或いはそれ以上とすればよい。波長約290nm以下では図4に示すようにそれらの外乱光の光強度が非常に小さくなり、他方で火炎の光は大きいので、結果として火炎の光が存在することを検出することができる。
更に、本発明装置2がエンジン内部などの閉鎖空間に設置され、そこで燃焼される燃料の発光を検出したい場合には、上述した室内光や太陽光が存在しないため、それらを排除するような大きいバンドギャップエネルギを設定する必要はない。そのため、検出対象波長範囲にある火炎の光の中でも特に炭化水素を含む化合物(エンジンで燃焼される燃料)を燃焼させた場合に観測されるOHラジカルの発光に起因する発光ピーク(波長約310nm(310nm±10nm):4.0eV)の光(波長310nm以上344nm以下の火炎の光)を選択的に受光することのできる受光素子を作製した場合には、i型AlGaN層22のバンドギャップエネルギが3.6eV以上4.0eV以下となるように、AlN組成比xを0.05(5%)以上0.23(23%)以下とすればよい。
尚、上述したAlN組成比xとバンドギャップエネルギとの関係は理論値に基づいて説明したものであり、AlN組成比xが同じになるように成膜を行ったとしても実際に得られるAlGaN層のバンドギャップエネルギが異なる可能性もある。例えば、三元混晶化合物であるAlGaNの場合には、二元化合物であるGaNが生成され易く、その結果、バンドギャップエネルギが低エネルギ側(長波長側)にシフトする傾向にある。従って、理論値通りのバンドギャップエネルギを得たい場合には、AlN組成比を予め大きく設定した上で成膜することが行われることもある。
〈第3実施形態〉
図5に、第3実施形態に係る本発明基板30の断面構造を示す。図5に示すように、本発明基板30は、先ず、(0001)サファイア基板1上に、約1050℃以上、好ましくは、約1200℃以上、より好ましくは、約1280℃以上の高温、例えば1300℃の高温でAlN層31が、第1実施形態と同様の各原料ガスを使用したMOCVD法を用いて厚さ500nm以上、例えば1μmの厚さで形成される。次に、約1050℃〜1250℃の温度範囲内でAlNの第1半導体層32が、上記各原料ガスを使用したMOCVD法を用いて、約500nm〜1μmの厚さでAlN層31上に形成され、本発明基板10が作製される。ここで、AlN層31及び第1半導体層32のAlNは単結晶としてエピタキシャル成長する。
ここで、AlN層31及び第1半導体層32の何れかをAlGaN層として形成する場合は、上記原料ガスにトリメチルガリウム(Ga源)が追加される。
第1半導体層32のMOCVD法による結晶成長時は、第1実施形態と同様に、上記各原料ガスを反応室内に供給するとともに、Li、Ca、Mg、Na等のアルカリ金属元素または2属元素の中から選択される物質を微量添加する。かかる物質として、Li、Ca、Mg、Na等の元素を含む化合物を用いる。尚、Ca、MgはP型ドーパントとして、そのまま使用できる。
尚、本発明基板30によれば、第1半導体層32の結晶成長時に横方向成長(c軸と垂直な方向)がLi、Ca、Mg、Na等の微量の添加により促進されるため、第1半導体層12内の転位が横方向に結合して消滅するので、AlN層31の表面に現れた貫通転位が、そのまま上方に進行するのではなく、横方向に結合して低減される。従って、第1半導体層32の表面では貫通転位の低減が図れる。このように、本発明基板30によれば、改善された結晶品質を上部のデバイス層に対して提供できるので、その上部の機能素子を構成するAlGaN層の結晶品質を良好なものとでき、機能素子の高性能化が図れ、例えば、高量子効率の発光素子、低暗電流、高感度の受光素子が得られる。
〈第4実施形態〉
次に、第1実施形態の本発明基板10上に、機能素子として発光素子を構成するデバイス層40を形成してなる本発明装置3について説明する。以下、第4実施形態でデバイス層40に形成される発光素子構造として、発光ダイオードを示す。
図6に示すように、上記要領で形成された本発明基板10上に、n型AlGaNからなる第1クラッド層41、多重量子井戸構造のi型GaN/i型AlGaNからなる多重量子井戸活性層42、p型AlGaNからなるブロッキング層43、p型AlGaNからなる第2クラッド層44、及び、p型GaNからなるコンタクト層45を順次積層してデバイス層40を形成する。
第1クラッド層41は、上記各原料ガスを使用し、n型不純物の原料ガスとして、SiHガスを流しながら、MOCVD法を用いてSiを注入したn型AlGaN層を成長させて形成する。ここで、n型AlGaNのAlN組成比は20%とする。
多重量子井戸活性層42は、例えば、膜厚3nmのGaN層(井戸層)と膜厚9nmのAlGaN層(バリア層)を順次積層したもの(膜厚12nm)を例えば5層繰り返し積層して形成される。AlGaN層(バリア層)のAlN組成比は例えば10%とする。
次に、多重量子井戸活性層42の上に、p型AlGaNからなるブロッキング層43を膜厚20nmで、p型AlGaNからなる第2クラッド層44を例えば200nm〜400nmの膜厚で、及び、p型GaNからなるコンタクト層45を50nmの膜厚で順次積層するが、p型AlGaNまたはGaN層は、Al、Ga、Nの原料として上記の各原料ガスを使用し、MOCVD法を用いて作成される。p型AlGaNまたはGaN層のp型不純物のドーピングは、p型不純物の原料ガスとして、CpMgガスを流しながら、Mgを注入する。ここで、ブロッキング層43及び第2クラッド層44のAlN組成比は、本実施形態では、夫々40%と20%とする。
上記要領で、デバイス層40が積層形成された後、n型AlGaN第1クラッド層41が部分的に露出するようにデバイス層40をエッチング除去し、その露出部位にn型電極46が形成され、p型GaNコンタクト層45上にはp型電極47が形成される。ここで、p型電極47及びn型電極46は、第2実施形態と同様に夫々の極性に応じてAl、Au、Pd、Ni、Ti等の公知の材料を公知の方法で作製すればよい。
p型電極47及びn型電極46間に電圧を印加して電流を流すことにより、多重量子井戸活性層42に電子及び正孔が注入され、そのバンドギャップに対応する波長の発光が得られる。本実施形態では、本発明基板10に当該波長の光を吸収するGaN層が存在しないため、発光した光を基板側から放射させることができるので、p型電極47は、特に透明電極材料を使用する必要や、メッシュ状に光透過窓を加工する必要がない。
〈1〉上記第1及び第3実施形態において、本発明に係る窒化物半導体積層基板10,30を例示したが、窒化物半導体積層基板の構造として、上記各実施形態以外のものを使用しても構わない。窒化物半導体積層基板内に、AlNまたはAlGaN層が存在する場合に、上記各実施形態で示したように横方向成長を促進させることで、同様の効果が期待される。
〈2〉上記第3実施形態において、本発明に係る窒化物半導体積層基板30を例示したが、ここで、AlN層31は、同じ成長温度、同じ組成の単一層で構成されるが、2層以上で構成しても構わない。例えば、下層をAlN層として上層を第1半導体層32と同じAlN組成比のAlGaN層としても構わない。
〈3〉上記第2及び第4実施形態では、第1実施形態の窒化物半導体積層基板10を用いたが、第3実施形態の窒化物半導体積層基板30、或いは、AlNまたはAlGaN層に対して横方向成長を促進させた他の構造の窒化物半導体積層基板を用いても構わない。
〈4〉上記第2及び第4実施形態では、デバイス層20,40内のp型AlGaN層の成長に係るp型不純物としてMgを用いたが、p型AlGaN層のAlN組成比が20%以上の場合においても十分なp型活性化を得ようとすれば、p型不純物としてMgに代えてBe(ベリリウム)を用いるのも好ましい実施形態である。この場合、Beのドーパントとして、例えば、CpBe(ビスシクロペンタジエニルベリリウム)、或いは、(R−Cp)Beガス[ビス(R−シクロペンタジエニル)ベリリウム]ガス(Rは1〜4価のアルキル基)を用いるのが好ましい。
〈5〉上記第2実施形態では、受光素子を構成するデバイス層20として、PIN接合型フォトダイオード構造を採用し、i型AlGaN層22に隣接するp型AlGaN層として超格子構造によりp型AlGaN超格子層23として形成したが、i型AlGaN層22のAlN組成比が小さい場合等において、超格子構造を採用せず、バルク単結晶で形成しても構わない。
更に、p型AlGaN層を、実効的なAlN組成比が40%のp型AlGaN超格子層23と、AlN組成比が20%以下のp型AlGaN層24の2段に分離して構成したが、p型不純物或いはp型活性化法を適当に選択することで、i型AlGaN層22と同じAlN組成比の1層で構成されるp型AlGaN層を形成しても構わない。
〈6〉上記第2実施形態では、受光素子として、PIN接合型フォトダイオードで構成されるものを例示したが、受光素子は、PIN接合型フォトダイオード以外に、i型AlGaN層22のないPN接合型フォトダイオード、ショットキー型フォトダイオードであってもよい。更に、受光機構として、フォトダイオード構造以外に、フォトコンダクタ構造、フォトトランジスタ構造を採用してもよい。
〈7〉上記第4実施形態では、発光素子としてのデバイス層40の構造として、発光ダイオードの素子構造で構成されたものを例示したが、デバイス層40は、これに限定されるものではない。発光機構として、発光ダイオード構造以外に、半導体レーザ構造を採用してもよい。
〈8〉上記各実施形態では、基板1として、(0001)サファイア基板を用いたが、基板1はこれに限定されるものではなく、他の面方位のサファイア基板、或いは、SiC、Si、ZrB等の他の単結晶基板を用いてもよい。但し、基板1が受光波長或いは発行波長の光に対して透明でない場合は、基板1側からの入射或いは出射を可能とするために、基板1を裏面側から部分的にエッチングして入射窓(出射窓)を開口する。
〈9〉上記各実施形態において例示した、各層の膜厚、成長温度、使用原料、材料は、あくまでも一例であり、本発明の技術思想の範囲内において適宜変更可能である。また、各半導体層は、MOCVD法を用いたが、一部または全部を他の成膜方法を用いて形成しても構わない。例えば、デバイス層20或いはデバイス層20の内のi型AlGaN層22等をMBE(分子線エピタキシ)法を用いて形成しても構わない。
本発明に係る窒化物半導体積層基板の一実施形態の概略構成を示す素子断面図 本発明に係るGaN系化合物半導体装置(受光素子)の一実施形態の概略構成を示す素子断面図 AlGaNのバンドギャップエネルギを示すグラフ 火炎の光、太陽光、および室内光のスペクトルを示すグラフ 本発明に係る窒化物半導体積層基板の別実施形態の概略構成を示す素子断面図 本発明に係るGaN系化合物半導体装置(発光素子)の一実施形態の概略構成を示す素子断面図
符号の説明
1 基板
2 本発明に係るGaN系化合物半導体装置(受光素子)
3 本発明に係るGaN系化合物半導体装置(発光素子)
10 本発明に係る窒化物半導体積層基板
11 第1低温堆積バッファ層
12 第1半導体層
13 第2低温堆積バッファ層
20 デバイス層
21 n型AlGaN層
22 i型AlGaN層
23 p型AlGaN超格子層
24 p型AlGaN層
25 n型電極
26 p型電極
30 本発明に係る窒化物半導体積層基板
31 高温堆積AlN層
32 第1半導体層
40 デバイス層
41 第1クラッド層(n型AlGaN層)
42 多重量子井戸活性層(i型GaN/i型AlGaN)
43 ブロッキング層(p型AlGaN)
44 第2クラッド層(p型AlGaN層)
45 コンタクト層(p型GaN層)
46 n型電極
47 p型電極

Claims (16)

  1. 基板上に、直接或いはAlNまたはAlGaNを主とする1または複数の窒化物半導体層を介して形成されたAlNまたはAlGaNを主とする第1半導体層を備えてなり、その上部に窒化物半導体層を含む機能素子を形成するための窒化物半導体積層基板であって、
    前記第1半導体層は、AlNまたはAlGaNの前記基板の表面と平行な横方向への結晶成長を促進させる横方向成長促進物質を添加して形成されることを特徴とする窒化物半導体基板。
  2. 前記第1半導体層は、前記横方向成長促進物質として、微量のアルカリ金属元素または2属元素の中から選択される物質を添加して形成されることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体積層基板。
  3. 前記横方向成長促進物質は、Li、Ca、Mg、Naの内の少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体基板。
  4. 単結晶基板と、前記単結晶基板上に、300℃〜800℃の温度範囲内の低温成長により形成されたAlNまたはAlGaNを主とする低温堆積バッファ層と、前記低温堆積バッファ層上に形成された前記第1半導体層とを備えてなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の窒化物半導体積層基板。
  5. 前記第1半導体層上に、300℃〜800℃の温度範囲の低温成長によるAlNまたはAlGaNを主とする第2の低温堆積バッファ層を有することを特徴とする請求項4に記載の窒化物半導体積層基板。
  6. 前記第1半導体層の成長温度が1280℃以上であることを特徴とする請求項4または5に記載の窒化物半導体積層基板。
  7. 前記第1半導体層の膜厚が、500nm以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の窒化物半導体積層基板。
  8. 単結晶基板と、前記単結晶基板上に、1050℃以上の高温で500nm以上の膜厚に成長させた少なくとも1層のAlN層と、前記AlN層上に形成された前記第1半導体層とを備えてなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の窒化物半導体積層基板。
  9. 前記第1半導体層は、AlN組成比が50%以上のAlGaNを主とする窒化物半導体層であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の窒化物半導体積層基板。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載の窒化物半導体積層基板上に、GaN系化合物半導体からなる前記機能素子を構成するデバイス層を備えてなるGaN系化合物半導体装置。
  11. 前記機能素子が受光素子であって、前記デバイス層内にAlGaNを主とする受光領域を備えてなる請求項10に記載のGaN系化合物半導体装置。
  12. 前記受光領域のバンドギャップエネルギが3.6eV以上であることを特徴とする請求項11に記載のGaN系化合物半導体装置。
  13. 前記受光領域に、前記窒化物半導体積層基板を通して受光対象波長域の光が入射することを特徴とする請求項11または12に記載の受光素子。
  14. 前記機能素子が発光素子であって、前記デバイス層内にAlGaNを主とする活性層を備えてなる請求項10に記載のGaN系化合物半導体装置。
  15. 前記活性層で発光した光が、前記窒化物半導体積層基板を通して出射することを特徴とする請求項13に記載の発光素子。
  16. 上部に窒化物半導体層を含む機能素子を形成するための窒化物半導体積層基板内のAlN層またはAlGaN層をエピタキシャル成長させる窒化物半導体形成方法であって、
    前記AlN層または前記AlGaN層の結晶成長時に、微量のアルカリ金属元素または2属元素の中から選択される物質を添加することを特徴とする窒化物半導体形成方法。
JP2004041215A 2004-02-18 2004-02-18 窒化物半導体積層基板及びGaN系化合物半導体装置 Pending JP2005235908A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004041215A JP2005235908A (ja) 2004-02-18 2004-02-18 窒化物半導体積層基板及びGaN系化合物半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004041215A JP2005235908A (ja) 2004-02-18 2004-02-18 窒化物半導体積層基板及びGaN系化合物半導体装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005235908A true JP2005235908A (ja) 2005-09-02

Family

ID=35018562

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004041215A Pending JP2005235908A (ja) 2004-02-18 2004-02-18 窒化物半導体積層基板及びGaN系化合物半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005235908A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007227494A (ja) * 2006-02-22 2007-09-06 Ngk Insulators Ltd 発光素子形成用の積層構造体、発光素子、および発光素子の製造方法
JP2010109326A (ja) * 2008-09-30 2010-05-13 Ngk Insulators Ltd 受光素子および受光素子の作製方法
JP2010225710A (ja) * 2009-03-23 2010-10-07 Sumitomo Electric Device Innovations Inc 半導体装置の製造方法
WO2011108738A1 (ja) 2010-03-01 2011-09-09 Dowaエレクトロニクス株式会社 半導体素子およびその製造方法
JP2013502728A (ja) * 2009-08-21 2013-01-24 ソラア インコーポレーテッド デバイスのためのガリウム及び窒素含有超薄型エピタキシャル構造のための高速成長方法及び構造
WO2013047361A1 (ja) * 2011-09-26 2013-04-04 シャープ株式会社 窒化物半導体層を成長させるためのバッファ層構造を有する基板の製造方法
US9236530B2 (en) 2011-04-01 2016-01-12 Soraa, Inc. Miscut bulk substrates
JP2016189469A (ja) * 2011-05-25 2016-11-04 エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ 基板上にナノ構造を形成させる方法及びその使用
US9646827B1 (en) 2011-08-23 2017-05-09 Soraa, Inc. Method for smoothing surface of a substrate containing gallium and nitrogen
JP2018022909A (ja) * 2009-09-30 2018-02-08 オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングOsram Opto Semiconductors GmbH 層構造の製造方法
CN112687771A (zh) * 2020-12-25 2021-04-20 至芯半导体(杭州)有限公司 一种制备AlN薄层的方法
CN112802929A (zh) * 2021-02-05 2021-05-14 华灿光电(浙江)有限公司 发光二极管的外延片及其制备方法

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007227494A (ja) * 2006-02-22 2007-09-06 Ngk Insulators Ltd 発光素子形成用の積層構造体、発光素子、および発光素子の製造方法
JP2010109326A (ja) * 2008-09-30 2010-05-13 Ngk Insulators Ltd 受光素子および受光素子の作製方法
JP2010225710A (ja) * 2009-03-23 2010-10-07 Sumitomo Electric Device Innovations Inc 半導体装置の製造方法
JP2013502728A (ja) * 2009-08-21 2013-01-24 ソラア インコーポレーテッド デバイスのためのガリウム及び窒素含有超薄型エピタキシャル構造のための高速成長方法及び構造
JP2018022909A (ja) * 2009-09-30 2018-02-08 オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングOsram Opto Semiconductors GmbH 層構造の製造方法
JP2011205082A (ja) * 2010-03-01 2011-10-13 Dowa Electronics Materials Co Ltd 半導体素子およびその製造方法
US8735938B2 (en) 2010-03-01 2014-05-27 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Semiconductor device and method of producing the same
WO2011108738A1 (ja) 2010-03-01 2011-09-09 Dowaエレクトロニクス株式会社 半導体素子およびその製造方法
US9236530B2 (en) 2011-04-01 2016-01-12 Soraa, Inc. Miscut bulk substrates
JP2016189469A (ja) * 2011-05-25 2016-11-04 エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ 基板上にナノ構造を形成させる方法及びその使用
US9646827B1 (en) 2011-08-23 2017-05-09 Soraa, Inc. Method for smoothing surface of a substrate containing gallium and nitrogen
WO2013047361A1 (ja) * 2011-09-26 2013-04-04 シャープ株式会社 窒化物半導体層を成長させるためのバッファ層構造を有する基板の製造方法
JP2013069983A (ja) * 2011-09-26 2013-04-18 Sharp Corp 窒化物半導体層を成長させるためのバッファ層構造を有する基板の製造方法
CN112687771A (zh) * 2020-12-25 2021-04-20 至芯半导体(杭州)有限公司 一种制备AlN薄层的方法
CN112687771B (zh) * 2020-12-25 2022-04-22 至芯半导体(杭州)有限公司 一种制备AlN薄层的方法
CN112802929A (zh) * 2021-02-05 2021-05-14 华灿光电(浙江)有限公司 发光二极管的外延片及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Razeghi Short-wavelength solar-blind detectors-status, prospects, and markets
Omnès et al. Wide bandgap UV photodetectors: A short review of devices and applications
CN107863413B (zh) 一种AlGaN基日盲紫外雪崩异质结光电晶体管探测器及其制备方法
Xie et al. Ultra-low dark current AlGaN-based solar-blind metal–semiconductor–metal photodetectors for high-temperature applications
KR101639779B1 (ko) 반도체 광 검출 소자
CN109494275B (zh) 一种AlGaN基日盲紫外光电晶体管探测器及其制作方法
US6265727B1 (en) Solar blind photodiode having an active region with a larger bandgap than one or both if its surrounding doped regions
US6137123A (en) High gain GaN/AlGaN heterojunction phototransistor
JP2005235908A (ja) 窒化物半導体積層基板及びGaN系化合物半導体装置
CN109285914B (zh) 一种AlGaN基紫外异质结光电晶体管探测器及其制备方法
JP2010109326A (ja) 受光素子および受光素子の作製方法
KR101199187B1 (ko) 발광 다이오드 및 그 제조방법
CN107195709B (zh) 一种三族氮化物基异质结光电晶体管
JP2006128527A (ja) GaN系化合物半導体の製造方法
Jani et al. Design, growth, fabrication and characterization of high-band gap InGaN/GaN solar cells
CN210349846U (zh) 一种吸收、倍增层分离结构的ⅲ族氮化物半导体雪崩光电探测器
Mosca et al. Multilayer (Al, Ga) N structures for solar-blind detection
JP5363055B2 (ja) 受光素子および受光素子の作製方法
JP2007123587A (ja) 受光素子
JP2005235910A (ja) GaN系化合物半導体受光素子
JP2005235911A (ja) GaN系化合物半導体受光素子
KR102473352B1 (ko) 광 검출 소자
JP2005235912A (ja) GaN系化合物半導体受光素子
JP2006245163A (ja) 窒化物半導体光電変換素子及びその製造方法
Cicek et al. Comparison of ultraviolet APDs grown on free-standing GaN and sapphire substrates

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070117

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070601

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090303

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090630