JP2005234319A - 光結合器及び光結合器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コア部1、クラッド部2からなり、光信号の伝搬方向に対してコア幅が縮小するように形成されたテーパ導波路4aを備える光結合器において、コア部を組成する元素のうちの少なくとも一つの元素の濃度を低減し、実質的にテーパ導波路4a先端のコア断面積を縮小することにより、スポットサイズを拡大して光ファイバとの結合損失の低減を図る。
【選択図】 図1
Description
ここで、比屈折率差Δ=(コア部の屈折率―クラッド部の屈折率)/クラッド部の屈折率、で求められる。
また、PLCを用いた高機能分散補償器では、きわめて小さい曲率半径が必要となり、そのため高ΔPLCデバイスが必要とされる。
そこで、PLCデバイスの入出力端のスポットサイズを拡大することにより、PLCデバイスと光ファイバのスポットサイズの不整合を是正するスポットサイズ変換器が提案されている。
しかし、この方法でスポットサイズ変換機を製造する場合には、コア部の屈折率だけを、光信号の伝搬方向に対して、漸減しなければならない。そのため、局部的なレーザ光を、光信号の伝搬方向に対して、移動速度やその強度を変えながら照射することが必要であり、製造工程が大幅に増大するといった問題を生じる。
図4に示すように、光ファイバとの結合損失はスポットサイズ変換器のコア先端幅wに影響するため、結合損失の最小となるコア先端幅wの値は、比屈折率差Δが大きくなるほど小さくなる傾向がある。例えば、比屈折率差Δが1.5%の場合には、コア幅wを約0.9μm、5%の場合には、コア幅wを約0.5μmまで狭くしないと光ファイバとの結合損失は最低値にならない。
したがって、1.5%以上の高い比屈折率差Δに対しては、光ファイバとの結合損失を十分に低減させることはできなかった。
このような構成にすると、コア部に組成元素の濃度を低減させた低屈折率領域を設けることにより、実質的にコア断面積を小さくして、スポットサイズを大きくすることが可能となる。これにより、高比屈折率差の光結合機の導波路と光ファイバとのスポットサイズの不整合を是正して、光ファイバとの結合損失を減少させることができる。
具体的には、従来、コア幅を1.5μm以下に加工することは困難であったが、コア部に低屈折率領域を設けることにより、実質的にコア幅を1.5μm以下にすることが可能となる。
また、本発明の光結合器は、テーパ導波路を採用することにより、コア断面積を減少させて、スポットサイズを拡大するとともに、コア部に低屈折率領域を設けることにより、実質的にコア断面積を小さくさせて、さらにスポットサイズを拡大することができるため、従来のテーパ導波路を使用した光結合器の、光ファイバとの結合損失を、さらに小さくすることができる有利な効果がある。
このような構成にすると、光信号の伝搬方向で、比屈折率差が一定であり、コア部の屈折率を変化させる製造工程が不要であるため、コア部に均一な熱処理を施すだけで、低屈折率領域を設けることができ、スポットサイズを拡大することができる。したがって、従来、提案されていた光信号の伝搬方向で、コア部の屈折率を低減するために、局部的なレーザ光を、光信号の伝搬方向に対して、移動速度やその強度を変えながら照射する工程を必要とする光結合器の発明と比較して、有利な効果がある。
このような構成にすると、コア部はケイ素、酸素、窒素、水素を少なくとも組成元素として含むことになり、コア部の低減された組成元素は窒素または水素を含むことになる。
このような方法とすると、コア部のクラッド部と接する界面から、所定の幅だけ、コアの屈折率より低い屈折率領域を設けることができる。したがって、実質的にコア断面積を縮小することができるため、スポットサイズを拡大して、結合損失を減少させることが可能となる。
本発明の光結合器の製造方法は、コアの組成元素の濃度を低減させる工程を有することに特徴があり、例えば、コア部の添加共存物質ドーパントをクラッド部に拡散させることによって、比屈折率差を低減させる工程を含む光結合器の製造方法とは本質的に相違する。
また、このような方法にすると、コアの屈折率より低い屈折率領域を、コア部に設けることができる。したがって、実質的にコア断面積を小さくすることができるため、従来のテーパ導波路を使用した光結合器の、光ファイバとの結合損失を、さらに小さくすることができる有利な効果がある。
このような方法とすると、結合状態を疎に変化させる工程によっても、屈折率領域を設けることができる。したがって、実質的にコア断面積を縮小することができるため、スポットサイズを拡大して、結合損失を減少させることが可能となる。
このような方法にすると、熱処理による組成元素の濃度変化の影響は、コア部のみに及び、クラッド部に熱処理による影響は、及ばない。
一方、コア部の添加共存物質ドーパントをクラッド部に拡散させて、コア部とクラッド部の屈折率を変化させる工程を含む光結合器の製造方法では、コア部とクラッド部の屈折率の両方が変化する。したがって、本発明による光結合器の製造方法は、所定目標値の比屈折率差Δの光結合器を製造するのが容易になる有利な効果がある。
これにより、従来、コア幅を1.5μm以下に加工することは困難であったが、コア部に低屈折率領域を設けることにより、実質的にコア幅を1.5μm以下にすることが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態に係る光結合器のコア部の平面図(a)、A−A断面図(b)、A−A断面の屈折率分布図(c)及びB−B断面の屈折率分布図(d)を示している。
図(a)に示すように、コア部1は、ファイバ結合部である光導波路端面に向かってコア幅が縮小されている。コア幅が縮小されることにより、光の閉じ込めは徐々に弱くなり、スポットサイズが徐々に拡大され、その結果、光ファイバとの結合損失が低減される。また、図(b)に示すように、テーパ導波路4aは、基板5上に載設されたコア部1とクラッド部2、及びその間の低屈折率領域3とによって形成されている。
好適には、低屈折率領域3はコア部1の両側面であって、かつ、面の全面にわたって設けるのがよい。片面側より両面側に低屈折率領域3を有する方がコア幅をより狭くすることができ、また、面の一部より全面に低屈折率領域3を形成した方が、コア断面積をさらに減少させることができるからである。
また、図1(d)に示すように、B−B断面におけるコア部1の屈折率は、テーパ導波路4aの前後を通して一定である。ここで、クラッド部2の屈折率が一定ならば、比屈折率差Δは、光信号の伝搬方向に対して、一定である。本発明は、実質的にコア断面積を縮小することによってスポットサイズを拡大し、光ファイバとの結合損失の低減を図ることに特徴があるから、比屈折率差Δが一定であってもよい。
したがって、光信号の伝搬方向に対してコア部の比屈折率差Δを低減させてスポットサイズを拡大させる光結合器とは相違する。
なお、コア同径部4bのコア部にも、テーパ導波路4aと同様に低屈折率領域を設ける方が、設計や製造工程において容易である。
さらに、低屈折率領域3の屈折率nは、コア部の屈折率をn1、クラッド部の屈折率をn2とすると、n<n1が条件であるが、好適にはn2≦n<n1とするのがよい。nをn1未満にすることによりコア幅を縮小するのと同じような効果が得られるからであり、また、nをn2未満にすると光の閉じ込めが強くなるためコア幅を縮小する効果が低下するからである。
次に、具体的な実施例を用いて本発明の実施形態に係る光結合器及びその製造方法を説明する。
図2は、本実施例の光結合器の平面図(a)、A−A断面図(b)及びA−A断面における窒素(N)または水素(H)の原子濃度を表す図(c)である。
シリコン基板上に、下クラッド層として二酸化シリコン(SiO2)膜を15μm、コア層として酸窒化シリコン(SiON)膜をt1=4.3μmの厚さで成膜した。成膜には、化学気層堆積(CVD)法を用いた。
次に、コア層上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ及びリアクティブイオンエッチング(RIE)により、コアパターンを形成した。このとき、テーパ導波路以外の領域のコア幅は4.6μmとし、テーパ導波路端面でのコア幅w1=1.5μmまでテーパ状に縮小するように設計し、パターニングした。
熱処理後、成分分析した結果、SiON膜の表面から0.3μmの深さの窒素(N)原子と水素(H)原子は拡散され、これらの原子の低濃度化が明らかになった。具体的には、コア部の窒素(N)及び水素(H)濃度は、熱処理前にはそれぞれ約1.7×1021個/cm3、約1.5×1020個/cm3でほぼ均一であったものが、低屈折率領域ではそれぞれ1.0×1020個/cm3以下、1.0×1019個/cm3以下に低減され、また、コア表面に近い部分ほど、より低減されていた。
なお、コア表面から0.3μm以下の深い部分でのこれらの濃度は、熱処理前後でほとんど変化なく均一だった。
また、ここで熱処理時の雰囲気ガスとして酸素ガスを用いたのは、酸化作用のあるガスを用いることでコア内部の添加物の拡散を強めるためである。なお、同一条件で熱処理の雰囲気ガスとして窒素ガスやヘリウムガスにした場合には、窒素原子はほとんど低減せず、低屈折率領域は形成されなかった。
以上の熱処理により、低屈折率領域を形成後、上クラッドとしてホウ素酸化物(B2O3)と燐酸化物(P2O5)を添加したSiO2(BPSG)膜をCVD法により15μm成膜して、光結合器を完成した。
以上、低屈折率領域を形成することで、コアは実質的にテーパ導波路以外の領域で4μm、テーパ導波路先端の幅w2=0.9μm、厚さt2=4μmとなった。また、コアが露出していないコア底面は低屈折率化されなかった。
本実施例の効果として、従来のテーパ導波路構造、すなわちΔ1.5%でコア先端幅が1.5μmのものでは光ファイバとの結合損失は、0.8dB/ヶ所であったが、本実施例によると0.4dB/ヶ所にまで低減された。これは、コア先端幅及びコア厚の縮小によりコア断面積が縮小し、スポットサイズを拡大することができたことによるものである。
次に、別の実施例を図2にもとづいて説明する。
コアの屈折率を1.526(比屈折率差Δ=5%)、低屈折率化前のコア厚t1=1.5μm、テーパ導波路以外の領域のコア幅を4μm、テーパ導波路端面のコア幅をw1=1.5μmとした。コアパターニング後、酸素ガス雰囲気中での熱処理により窒素原子および水素元素濃度を所定の深さだけ低減する工程を行ったのは実施例1の場合と同一であるが、処理温度を1150℃、処理時間を1時間とした。
これにより、低濃度領域の深さはΔt=0.5μm、Δw=0.5μmとなり、熱処理後の実質的なコア厚t2=1.0μm、コア幅w2=0.5μmとなった。
なお、上記の構成、材料、製造方法等は一例に過ぎない。例えば、コア底面部に低屈折率領域を設けてもよい。また、加熱温度、加熱時間等も実施例に限られないことは当然である。
例えば、コアパターン形成後、低屈折率化のための熱処理を行う前に、低屈折率化させない領域をマスクして、コア内部の元素の拡散を防止することにより低屈折率領域を設けないようすることができる。マスク材としては、例えば、窒化シリコン膜を使用することができる。また、低屈折率化したい領域は、フォトリソグラフィおよびウェットエッチング等を施すことにより部分的にマスク材を除去することができる。エッチングとしては、例えば、燐酸等を使用することができる。
低屈折率化のための熱処理をした後、マスク材を全面除去して、上クラッドを成膜することによって光結合器を完成させることができる。
また、本発明は光信号の伝搬方向でコア部の屈折率を変化させずに、比較的容易な、コア部に均一な熱処理を施すだけで低屈折率領域を設けて、スポットサイズを拡大することができる。
さらに、熱処理による組成元素の濃度変化の影響がコア部のみにおよび、クラッド部に熱処理による影響が及ばないため、所定目標値の比屈折率差Δの光結合器を製造するのが容易になる。
2 クラッド部
3 低屈折率領域
4a テーパ導波路
4b コア同径部
5 基板
Claims (6)
- コア部及びクラッド部からなり、光信号の伝搬方向に対してコア断面積が縮小するように形成されたテーパ導波路を備える光結合器であって、
前記コア部は、前記クラッド部と接する界面の少なくとも一部に、前記コア部を組成する元素のうちの少なくとも一つの元素の濃度を低減して形成した低屈折率領域を有することを特徴とする光結合器。 - 前記テーパ導波路は、
光信号の伝搬方向における前記コア部と前記クラッドの比屈折率差が、一定である請求項1記載の光結合器。 - 前記コア部の組成元素が、ケイ素、酸素、窒素、水素を少なくとも含み、
前記低屈折率領域におけるコア部の濃度の低減された組成元素が、窒素または水素を含むものである請求項1又は2記載の光結合器。 - 前記コア部及び前記クラッド部からなり、光信号の伝搬方向に対して、前記コア部の幅が縮小するように形成されたテーパ導波路を備える光結合器の製造方法において、
前記コア部の前記クラッド部と接する界面の少なくとも一部において、前記コア部の表面から、所定の幅だけコア部の組成元素の少なくとも一つの濃度を低減させる工程を含むことを特徴とする光結合器の製造方法。 - 前記コア部の組成元素の少なくとも一つの濃度を低減させる低屈折率領域を形成する工程が、
前記コア部の前記クラッド部と接する界面の少なくとも一部において、前記コア部の表面から、所定の幅だけコア部の組成元素の少なくとも一つの元素の結合状態を、熱エネルギーを加えることにより、疎に変化させる工程を含む請求項4記載の光結合器の製造方法。 - 前記コア部の組成元素の少なくとも一つの濃度を低減させる低屈折率領域を形成する工程が、
コアパターン形成後、上クラッドを形成する前に、酸化ガス雰囲気中で熱処理することを含む請求項4記載の光結合器の製造方法。
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2004
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