JP2005233252A - 無段変速機制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン停止かつニュートラル状態に移行するとき、CVT−ECU14がトルクコンバータ2のロックアップクラッチ及び前後進クラッチ3を解放した後、CVT4の変速比を車速によって変更される目標変速比に変更するとともに、フィードバック制御回路の制御パラメータを変更し、積分項をリセットする。同時に、CVT−ECU14は、プライマリプーリ18の目標回転数の変化量に基づいてイナーシャトルクを算出し、算出したイナーシャトルクにより油圧PDを変更することにより、ベルト20の必要なクランプ圧力を確保する。
【選択図】図1
Description
上記の電動オイルポンプは、従来、機械式オイルポンプが供給するほどの大きな油圧を供給することができなかったため、電動オイルポンプが供給する油圧だけでは必要油圧が確保できず、変速などのCVT制御が行えないため、制御で必要とされる油圧が小さくてすむ車両停止中のみ電動オイルポンプを駆動し、それ以外の走行領域ではエンジンを始動し、機械式オイルポンプにより油圧を供給する必要があった。このような問題があったため、CVTを備えたパワートレーンシステムでは、車両停止時のみエンジンを停止するエコラン制御を行っていた。
また、従来のエコランシステムにおいても、アクセルオフの減速状態にあるときにエンジンを停止させるなど、車両走行時までエコラン領域を拡大しても、CVTのクラッチ解放や無段変速部の変速制御が可能となった。
すなわち、本発明に係る無段変速機制御装置(1)は、
車両が走行中である場合であってもエンジンを停止することが可能であり、走行中にエンジンを停止する場合には、エンジンと無段変速機との間に設けられた係合手段を解放する車両システムにおける無段変速機制御装置であって、
エンジン停止かつ車両が停止状態にある場合には、上記無段変速機の変速比を高変速比である第1の変速比に制御し、エンジン停止かつ車両が走行状態にある場合には、前記第1の変速比よりも低い第2の変速比に制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
上記制御手段は、上記第2の変速比を車速によって変更することを特徴とする。
上記制御手段は、エンジンが停止している場合に変速比を制御するときには、エンジンが駆動している場合に変速比を制御するときとは、変速制御のパラメータを異ならせることを特徴とする。
上記制御手段は、エンジンが停止している場合に変速比を制御するときには、エンジンが駆動している場合に変速比を制御するときに比べて、変速の応答性を下げることを特徴とする。
上記制御手段は、エンジンが停止している場合に変速比を制御するときには、所定時間内に変速可能な変速量に制限を設けることを特徴とする。
上記制御手段は、エンジンが停止している場合に変速比を制御するときには、エンジンが駆動している場合に変速比を制御するときに比べて、変速制御の目標値をなめらかに変化させることを特徴とする。
上記制御手段は、エンジンが駆動している状態と停止している状態とで変速制御を切り換える場合に、変速制御で行われるフィードバック制御における積分項をクリアすることを特徴とする。
上記制御手段は、エンジンが駆動している状態と停止している状態とで変速制御を切り換える場合に、切り換え前後の変速比の変化スピードに応じて、上記無段変速機のプーリのクランプ力を変更することを特徴とする。
上記プーリのクランプ力が、プーリを駆動するオイルポンプで実現可能なクランプ力を超えないように制限を設けることを特徴とする。
エンジン停止かつ車両が停止状態にある場合からエンジンを始動するときには、エンジンが始動して上記係合手段が係合を完了するまでの間、上記制御手段が、無段変速機のエンジン側回転数がアイドル回転数に近くなるように変速比を制御することを特徴とする。
図1は本発明の無段変速機制御装置を適用するハイブリッド車両の全体システムを示す図であり、このハイブリッド車両はエンジン1がフロント駆動輪を駆動し、モータ/ジェネレータ7がリア駆動輪を駆動する。すなわち、エンジン1はトルクコンバータ2、前後進クラッチ3、無段変速機(以下、CVTという)4、ギア5を介してフロント駆動輪6を駆動し、モータ/ジェネレータ7は直接リア駆動輪8を駆動する。
油圧制御装置9は電磁切換弁やリニアソレノイドバルブ等を備えており、それらのソレノイドを制御し、油路を切り換えたり、油圧を制御することにより、CVT4の変速比の切り換えやクラッチの係合・解放を行う。
上記の回生モードでは、モータ/ジェネレータ7を強制的に回転させるトルクが制動トルクとなり、いわゆるエンジンブレーキを効かせることができる。この場合、出力軸とエンジン1の間のトルクの伝達を遮断することにより、エンジンを連れまわすことがなく、したがって、動力の損失を最小限に抑えて効率よくエネルギ回生を行うことができる。
また、セカンダリプーリ19のセカンダリプーリ油室にはセカンダリプーリ19が挟む変速用ベルト20をクランプするためのセカンダリプーリ圧PDが供給されている。
上記の式(1)は、フィードバック制御の基本的な式であるが、この実施例のように、マイコンを用いて制御演算を行うディジタル演算装置の場合は、演算が連続的に行われず、演算周期ΔT毎に演算が行われるため、フィードバック制御式を次の式(2)のように変換して使用するのが一般的である。
γ=Nin/Nout
したがって、制御量は上記の式(2)の関係より、目標回転数Nintgt及び実回転数Ninrealを用いて次のように表すこともできる。
CVT−ECU14はタイマなどにより定時間ごとに図7−1〜図7−3のフローチャートに示すプログラムを実行し、この処理の実行がスタートすると、まず、CVT−ECU14は、クラッチ制御モードが「0:制御非実行」か否かを判定する(ステップ101)。クラッチ制御モードが「0:制御非実行」でない場合には、ステップ104に移る。
すなわち、図6の遷移条件表の[1]に示すように、エンジン制御モードが「1:運転中」から「2:停止要求」に遷移したときに、EV走行モードフラグがオンとなっており、モータ/ジェネレータ7のみの駆動に切り替わると判断した場合、あるいは回生走行モードフラグがオンとなっている場合には、クラッチの解放制御に移行し、クラッチ制御モードを「0:制御非実行」から「1:解放準備中」に移行する。
すなわち、図6の遷移条件表の[6]に示すように、エンジン制御モードが「1:運転中」または「4:始動要求」に変更されていた場合、あるいは、EV走行モード要求、回生走行モード要求でなく、車速が所定値未満で、かつブレーキオンの場合は、クラッチ制御モードを「1:解放準備中」から「0:制御非実行」に移行する。また、クラッチレバーがニュートラルあるいはPレンジである場合にも、制御不能であるので、クラッチ制御モードを「1:解放準備中」から「0:制御非実行」に移行する。
すなわち、図6の遷移条件表の[2]に示すように、ロックアップクラッチの解放が確定し、エンジン1の回転数とCVT4の入力軸回転数の偏差が小さい状態が所定時間継続し、エンジン制御モードが「2:停止要求」であり、かつ、走行モードがEV走行モードまたは回生走行モードの条件が成立する場合に、CVT−ECU14はクラッチ制御モードを「1:解放準備中」から「2:解放制御中」に移行する。
ここで、エンジン制御モード遷移禁止を行うのは、前後進クラッチ3のクラッチ油圧PC1を漸減している間にエンジン制御モードが遷移してしまうと、クラッチを再結合させるなどの処理が必要になり、車両挙動にも影響を及ぼし、制御がビジーになってしまうため、安定した制御を保つためであり、前後進クラッチ3の解放を開始したら、CVT−ECU14はHV−ECU12に対してエンジン制御モード遷移禁止を要求する。
なお、ステップ123において、電動オイルポンプが何らかの理由で停止していると判定された場合には、エンジンの始動を先に実施し、CVT−ECU14は、エンジン回転数が所定回転以上の状態になっており、機械式オイルポンプ10が安定した油圧を供給できる状態になったことを判断してから、クラッチ制御モードを「3:解放」から「4:係合制御中」に移行する。
ENG−ECU13は、ENGモードへの移行時に、エンジンの始動を行うが、エンジン1の回転数をCVT4の実入力軸回転数に追従させてしまうと、CVT4の入力軸回転数の振動などによりエンジン回転数まで振動してしまう恐れがあるため、アクセル操作量に基づいて推定したエンジントルクと車速から算出した要求出力に基づいて、クラッチ係合制御時の無段変速機目標プライマリプーリ回転数を算出し、この無段変速機目標プライマリプーリ回転数とエンジン回転数との回転比が1.0となるようにエンジン回転数を制御する。また、CVT−ECU141は、上記の無段変速機目標プライマリプーリ回転数にプライマリプーリ回転数が追従するようにCVT4の変速制御を行う。
走行中エンジン停止時のクラッチ解放による変速では通常の変速と異なり、変速のスピードを落としてドライバに違和感を与えないようにする必要がある。このため、CVT−ECU14はフィードバック演算式(3)のフィードバックゲインを通常時とは異なる設定、例えば、比例ゲインKpや微分時間TDを小さくしたり、積分時間TIを大きくすることにより、変速スピードを落とし、ドライバに与える違和感を少なくする。
フィードバック制御の積分項は偏差(=目標回転数−実回転数)を0にするために、偏差を積分して出力値に反映するものであるが、目標回転数切り換え前の偏差の影響により積分項が積算された状態にある場合、変速の追従性が悪化したり、オーバーシュートしてしまうなどの問題が発生する。このため、CVT−ECU14は、目標回転数の切り換えを実施する際に、式(3)のフィードバック演算を行う演算部の積分項(第2項)の値を図11(c)に示すように、いったんゼロクリアしてしまうことにより、変速の追従性を改善する。
目標回転数の切り換え時は、変速比が連続的に変化し、結果として、CVT入力軸18のプーリ回転数が連続的に増減する。この回転の変化によりCVTの無段変速部にイナーシャトルクが発生し、上記したように、CVT4の入力軸18のプーリ回転数が減少方向に変化する場合には、必要なクランプ圧力が確保できず、一方、CVT4の入力軸18のプーリ回転数が増加方向に変化する場合には、ベルトに不要な負荷がかかってしまうので、CVT−ECU14は、図12(c)に示すように、目標回転数Nintgtの変化量に基づいてイナーシャトルクを算出し、算出したイナーシャトルクによって油圧PDを変更することにより、必要なクランプ圧力を確保するとともに、不要な負荷がかかるのを防止する。
なお、イナーシャトルクとは、回転体の回転を減速もしくは停止させようとした場合に、回転体のイナーシャ(慣性)によって回りつづけさせようとして回転体に働くトルクのことであり、回転数の変化量によって算出でき、イナーシャトルクTin、イナーシャ(慣性モーメント)Iin、回転数Ninとしたとき、次の式によりイナーシャトルクTinを求めることができる。
Tin=Iin*dNin/dt
Nintgt=γtgt*Nout
により演算して求める(ステップ140)。なお、上記のように、目標回転数Nintgtで制御を行っている場合には、この演算は不要である。
そして、CVT−ECU14は、この目標回転数Nintgtを用いてフィードバック演算式(3)によりDUTY値を求めた(ステップ141)後、このDUTY値が0より大きいか否かを判定する(ステップ142)。DUTY≧0%の時、CVT−ECU14はDUTYソレノイドDS1にDUTY値を出力し(ステップ143)、DUTY<0%の時、DUTYソレノイドDS2にDUTY値を出力して(ステップ143)、プログラムを終了する。
2 トルクコンバータ
3 前後進クラッチ
4 CVT
5 ギヤ
6 フロント駆動輪
7 モータ/ジェネレータ
8 リア駆動輪
9 油圧制御装置
10 機械式オイルポンプ
11 電動オイルポンプ
12 HV−ECU
13 ENG−ECU
14 CVT−ECU
15 MG−ECU
16 インバータ
17 バッテリ
18 プライマリプーリ
19 セカンダリプーリ
20 ベルト
DS1、DS2 DUTYソレノイド
V1、V2 油圧バルブ
Claims (10)
- 車両が走行中である場合であってもエンジンを停止することが可能であり、走行中にエンジンを停止する場合には、エンジンと無段変速機との間に設けられた係合手段を解放する車両システムにおける無段変速機制御装置であって、
エンジン停止かつ車両が停止状態にある場合には、上記無段変速機の変速比を高変速比である第1の変速比に制御し、エンジン停止かつ車両が走行状態にある場合には、前記第1の変速比よりも低い第2の変速比に制御する制御手段を備えたことを特徴とする無段変速機制御装置。 - 請求項1に記載された無段変速機制御装置において、
上記制御手段は、上記第2の変速比を車速によって変更することを特徴とする無段変速機制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載された無段変速機制御装置において、
上記制御手段は、エンジンが停止している場合に変速比を制御するときには、エンジンが駆動している場合に変速比を制御するときとは、変速制御のパラメータを異ならせることを特徴とする無段変速機制御装置。 - 請求項3に記載された無段変速機制御装置において、
上記制御手段は、エンジンが停止している場合に変速比を制御するときには、エンジンが駆動している場合に変速比を制御するときに比べて、変速の応答性を下げることを特徴とする無段変速機制御装置。 - 請求項3に記載された無段変速機制御装置において、
上記制御手段は、エンジンが停止している場合に変速比を制御するときには、所定時間内に変速可能な変速量に制限を設けることを特徴とする無段変速機制御装置。 - 請求項3に記載された無段変速機制御装置において、
上記制御手段は、エンジンが停止している場合に変速比を制御するときには、エンジンが駆動している場合に変速比を制御するときに比べて、変速制御の目標値をなめらかに変化させることを特徴とする無段変速機制御装置。 - 請求項3に記載された無段変速機制御装置において、
上記制御手段は、エンジンが駆動している状態と停止している状態とで変速制御を切り換える場合に、変速制御で行われるフィードバック制御における積分項をクリアすることを特徴とする無段変速機制御装置。 - 請求項3に記載された無段変速機制御装置において、
上記制御手段は、エンジンが駆動している状態と停止している状態とで変速制御を切り換える場合に、切り換え前後の変速比の変化スピードに応じて、上記無段変速機のプーリのクランプ力を変更することを特徴とする無段変速機制御装置。 - 請求項8に記載された無段変速機制御装置において、
上記プーリのクランプ力が、プーリを駆動するオイルポンプで実現可能なクランプ力を超えないように制限を設けることを特徴とする無段変速機制御装置。 - 請求項1に記載された無段変速機制御装置において、
エンジン停止かつ車両が停止状態にある場合からエンジンを始動するときには、エンジンが始動して上記係合手段が係合を完了するまでの間、上記制御手段が、無段変速機のエンジン側回転数がアイドル回転数に近くなるように変速比を制御することを特徴とする無段変速機制御装置。
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