JP2005232449A - 重合体およびそれを用いた高分子発光素子 - Google Patents

重合体およびそれを用いた高分子発光素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2005232449A
JP2005232449A JP2005013728A JP2005013728A JP2005232449A JP 2005232449 A JP2005232449 A JP 2005232449A JP 2005013728 A JP2005013728 A JP 2005013728A JP 2005013728 A JP2005013728 A JP 2005013728A JP 2005232449 A JP2005232449 A JP 2005232449A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polymer
copolymer
potential
light emitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005013728A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoyuki Suzuki
智之 鈴木
Masanobu Noguchi
公信 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2005013728A priority Critical patent/JP2005232449A/ja
Publication of JP2005232449A publication Critical patent/JP2005232449A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

【課題】 酸化電位の低い重合体、還元電位の高い重合体を提供する。
【解決手段】 フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基および2価の芳香族アミン基からなる群から選ばれる1種以上の繰り返し単位を有する重合体であって、該重合体の少なくとも一方の末端基部分の酸化電位が該重合体から当該末端基を除いた部分の酸化電位よりも低く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする重合体。

【選択図】 なし

Description

本発明は、重合体およびそれを用いた高分子発光素子(以下高分子LEDということがある。)に関する。
高分子量の発光材料として、繰り返し単位として、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基、フルオレンジイル基等を有する重合体が検討されている。(例えば、特許文献1〜7参照)
特開2004-002703 特開2003-206335 特開2003-292587 米国公開第2003/0143429明細書 国際公開第99/54385号パンフレット 国際公開第01/49769号パンフレット 米国特許第5777070号明細書
重合体を発光素子用の発光材料として用いたとき、高特性で発光するためには、重合体の正の電荷(正孔)および負の電荷(電子)の注入性が良いことが必要である。電荷の注入性はさまざまの要因で決定されるが、重合体の酸化電位が低くなればその最高被占分子軌道(HOMO)が高くなり正孔の注入性が向上することが期待される。また、重合体の還元電位が高くなれば最低空分子軌道(LUMO)が低くなり電子の注入性が向上することが期待される。上記公知の重合体では特性が未だ十分とはいえず、酸化電位がより低い重合体、還元電位がより高い重合体が望まれていた。
本発明の目的は、酸化電位の低い重合体、還元電位の高い重合体を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、重合体の主鎖の末端に特定の末端基を有せしめることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、以下の〔1〕〜〔7〕の重合体を提供するものである。
〔1〕フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基および2価の芳香族アミン基からなる群から選ばれる1種以上の繰り返し単位を有する重合体であって、該重合体の少なくとも一方の末端基部分の酸化電位が該重合体から当該末端基を除いた部分の酸化電位よりも低く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする重合体。
〔2〕繰り返し単位として、フルオレンジイル基2種類以上を有する共重合体であって、該共重合体の少なくとも一方の末端基部分の酸化電位が、該共重合体から当該末端基を除いた部分の酸化電位よりも低く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108である共重合体。
〔3〕フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基および2価の芳香族アミン基からなる群から選ばれる1種以上の繰り返し単位を有する重合体であって、該重合体の少なくとも一方の末端基部分の還元電位が該重合体から当該末端基を除いた部分の還元電位よりも高く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする重合体。
〔4〕繰り返し単位として、フルオレンジイル基2種類以上を有する共重合体であって、該共重合体の少なくとも一方の末端基部分の還元電位が、該共重合体から当該末端基を除いた部分の還元電位よりも高く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108である共重合体。
〔5〕フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基および2価の芳香族アミン基からなる群から選ばれる1種以上の繰り返し単位を有する重合体であって、該重合体の一方の末端基部分の酸化電位が該重合体から両末端基を除いた部分の酸化電位よりも低く、他方の末端基部分の還元電位が該重合体から両末端基を除いた部分の還元電位よりも高く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする重合体。
〔6〕繰り返し単位として、フルオレンジイル基2種類以上を有する共重合体であって、該重合体の一方の末端基部分の酸化電位が該重合体から両末端基を除いた部分の酸化電位よりも低く、他方の末端基部分の還元電位が該重合体から両末端基を除いた部分の還元電位よりも高く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108である共重合体。
〔7〕繰り返し単位として、フルオレンジイル基1種類からなる重合体であって、該重合体の主鎖の末端の少なくとも一方に、末端基としてアリールエテニルアリール基を有し、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108である重合体。
本発明の重合体は、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基、2価の芳香族アミン基およびフルオレンジイル基からなる群から選ばれる繰り返し単位を有する重合体であって、酸化電位が低い、還元電位が高い等特性に優れる。
本発明の重合体は、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基、2価の芳香族アミン基およびフルオレンジイル基からなる群から選ばれる1種以上の繰り返し単位を有する。繰り返し単位の種類が少ないほど重合が簡便になるため、5種類以下であることが好ましく、3種類以下であることがより好ましく、2種類以下であることがさらに好ましい。
本発明の重合体がフルオレンジイル基のみからなる場合、トルエンやキシレン等の溶媒に対する溶解性の観点から、2種以上の繰り返し単位を有することが好ましい。また、重合の簡便さを考慮すると、繰り返し単位の種類は2〜5種類であることが好ましく、2〜3種類であることがより好ましく、2種類であることがさらに好ましい。
本発明の重合体が2種類の繰り返し単位を有する場合、その両方とも2価の複素環基である場合、その両方ともがフルオレンジイル基である場合、一方がフルオレンジイル基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合、一方がフルオレンジイル基でもう一方が2価の複素環基である場合、一方がフェニレン基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合、一方がナフタレンジイル基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合、一方がアントラセンジイル基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合、一方がスチルベンジイル基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合および一方が2価の複素環基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合があげられる。共重合体の溶解性や蛍光強度、合成の簡便さ等の観点から、その両方とも2価の複素環基である場合、その両方ともがフルオレンジイル基である場合、一方がフェニレン基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合、一方がナフタレンジイル基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合、一方がアントラセンジイル基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合、一方がスチルベンジイル基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合および一方が2価の複素環基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合が好ましく、その両方とも2価の複素環基である場合および一方が2価の複素環基でもう一方が2価の芳香族アミン基である場合がより好ましい。
ここに、フェニレン基としては、下記構造で表される置換または無置換のベンゼンのRのうち2個を除いてえられる2価の残基が挙げられる。

Figure 2005232449
上記フェニレン基におけるRとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基等が挙げられる。上図において一つの基中に複数のRを有しているが、これらは同一であっても相異なってもよい。
ここで、アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、その炭素数は通常1〜20程度であり、その例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、i-ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基などが挙げられる。
アルコキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、その炭素数は通常1〜20程度であり、その例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、 i-プロピルオキシ基、ブトキシ基、 i-ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソアミルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げられる。
アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、その炭素数は通常1〜20程度であり、その例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基などが挙げられる。
アルキルシリル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、その炭素数は通常1〜60程度であり、その例としては、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、i−プロピルシリル基、ブチルシリル基、i−ブチルシリル基、t−ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、シクロヘキシルシリル基、ヘプチルシリル基、オクチルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、ノニルシリル基、デシルシリル基、3,7−ジメチルオクチルシリル基、ラウリルシリル基、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基などが挙げられる。
アルキルアミノ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、モノアルキルアミノ基でもジアルキルアミノ基でもよく、その炭素数は通常1〜40程度であり、その例として、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、 i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子があげられる。
ナフタレンジイル基としては、下記構造で表される置換または無置換のナフタレンのRのうち2個を除いてえられる2価の残基が挙げられる。

Figure 2005232449
ここで、上記ナフタレンジイル基におけるRとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基等が挙げられる。上図において一つの基中に複数のRを有しているが、これらは同一であっても相異なってもよい。
アントラセンジイル基としては、下記構造で表される置換または無置換のアントラセンのRのうち2個を除いてえられる2価の残基が挙げられる。



Figure 2005232449
ここで、上記アントラセンジイル基におけるRとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基等が挙げられる。上図において一つの基中に複数のRを有しているが、これらは同一であっても相異なってもよい。
スチルベンジイル基としては、下記構造で表される置換または無置換のスチルベン類のRのうち2個を除いてえられる2価の残基が挙げられる。

Figure 2005232449
ここで、上記スチルベンジイル基の例におけるRとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基等が挙げられる。上図において一つの基中に複数のRを有しているが、これらは同一であっても相異なってもよい。
フルオレンジイル基としては、下記構造のRのうちいずれか2個を除いた2価の残基があげられる。

Figure 2005232449
〔ここに、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、1価の複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基を表し、複数のRを有しているが、これらは同一であっても相異なってもよい。Zは、水素原子、アルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、複数のZを有しているが、これらは同一であっても相異なってもよい。〕
フルオレンジイル基の中では、下記構造
Figure 2005232449
〔ここにRおよびZは上記と同じ意味を表す。〕
が好ましい。
1価の複素環基としては、後述の複素環化合物からRを1個取り除いて得られる1価の残基を表す。
本発明の重合体における、2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、その炭素数は、通常4〜60程度、好ましくは4〜20である。なお2価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、けい素、セレン、リン、ホウ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。
2価の複素環基の母体となる複素環化合物としては、ヘテロ原子を含みフルオレン構造を有する化合物、ヘテロ原子を含む5員環複素環化合物、ヘテロ原子を含む6員環複素環化合物、ヘテロ原子を含む5員環または6員環複素環を有する縮合複素環化合物、ヘテロ原子を含む5員環複素環化合物でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている化合物、ヘテロ原子を含む5員環複素環化合物でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している化合物などがあげられる。ヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄、けい素、セレン、リン、ホウ素があげられ、窒素、酸素、硫黄が好ましい。ヘテロ原子を含む6員環複素環化合物の中では、ヘテロ原子が窒素であるものが好ましい。
ヘテロ原子を含みフルオレン構造を有する化合物としては、下記があげられる。
下記のRのうち2個を除いてえられる2価の残基が該化合物に対応する2価の複素環基である。
Figure 2005232449

Figure 2005232449
ヘテロ原子を含む5員環複素環化合物としては、例えば、下記があげられる。
下記のRのうち2個を除いてえられる2価の残基が該化合物に対応する2価の複素環基である。

Figure 2005232449
ヘテロ原子を含む6員環複素環化合物としては、例えば、下記の化合物があげられる。
下記のRのうち2個を除いてえられる2価の残基が該化合物に対応する2価の複素環基である。

Figure 2005232449

ヘテロ原子を含む5員環または6員環複素環を有する縮合複素環化合物としては、例えば、下記の化合物があげられる。下記のRのうち2個を除いてえられる2価の残基が該化合物に対応する2価の複素環基である。

Figure 2005232449


Figure 2005232449
ヘテロ原子を含む5員環複素環化合物でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている化合物としては、例えば下記の化合物があげられる。
下記のRのうち2個を除いてえられる2価の残基が該化合物に対応する2価の複素環基である。

Figure 2005232449
ヘテロ原子を含む5員環複素環化合物でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している化合物としては、例えば下記の化合物があげられる。
下記のRのうち2個を除いてえられる2価の残基が該化合物に対応する2価の複素環基である。

Figure 2005232449
ここで、上記複素環化合物の例におけるRとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基等が挙げられる。上図において一つの基中に複数のRを有しているが、これらは同一であっても相異なってもよい。
本発明の重合体における、2価の芳香族アミン基とは、芳香族アミンの芳香環から2個の水素原子を除いた残りの原子団をいい、2価の芳香族アミン基としては、例えば、式(1)で示される基が挙げられる。
Figure 2005232449


〔式中、Ar1、Ar2及びAr3は、それぞれ独立にフェニレン基、ビフェニレン基、スチルベンジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基を示し、Ar4及びAr5は、それぞれ独立にフェニル基、ビフェニル基、スチルベニル基、ナフチル基またはアントラセニル基を示す。pは0〜3の整数を示す。Ar3及びAr5がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい〕
ここで、フェニル基としては、前述の置換または無置換のベンゼンからRを1個除いた1価の残基があげられ、ナフチル基としては、前述の置換または無置換ナフタレンからRを1個除いた1価の残基があげられ、アントラセニル基としては前述の置換または無置換のアントラセンからRを1個除いた1価の残基があげられ、スチルベニル基としては前述の置換または無置換のスチルベン類からRを1個除いた1価の残基があげられる。
重合体の溶解性の観点から、フェニル基のなかでは、Rの少なくとも1つが水素原子以外であることが好ましく、水素原子以外の置換基が1〜3つであることがより好ましく、フェニル基が結合している繰り返し単位との結合からみてパラ位に置換基が結合していること、もしくはフェニル基が結合している繰り返し単位との結合からみてパラ位および2つのオルト位に置換基が結合していることがさらに好ましい。
2価の芳香族アミン基としては、下記の構造が例示される。

Figure 2005232449
ここで、上記2価の芳香族アミン基におけるRとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基等が挙げられる。
なお、本発明の重合体は、蛍光特性や電荷注入特性を損なわない範囲で、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基、フルオレンジイル基および2価の芳香族アミン基からなる群から選ばれる繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。具体的な繰り返し単位としては下記の構造が例示される。
Figure 2005232449
[上記構造中のRとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基等があげられる。上図において一つの基中に複数のRを有しているが、これらは同一であっても相異なってもよい。]
本発明の重合体は、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基、2価の芳香族アミン基およびフルオレンジイル基からなる群から選ばれる繰り返し単位を有する重合体であって、該重合体はその主鎖末端の少なくとも一方に特定の末端基を有する。
本発明〔1〕および〔2〕の重合体は、末端基部分の酸化電位が、該重合体から当該末端基を除いた部分の酸化電位よりも低いものである。
これにより、該重合体の酸化電位は低いものとなり、該重合体は、正の電荷(正孔)の注入性が高いものとなる。
また、本発明〔3〕および〔4〕の重合体は、末端基部分の還元電位が、該重合体から当該末端基を除いた部分の還元電位よりも高いものである。
これにより、該重合体の還元電位は高いものとなり、該重合体は、負の電荷(電子)の注入性が高いものとなる。
また、本発明〔5〕および〔6〕の重合体はその主鎖両末端に特定の末端基を有し、一方の末端基部分の酸化電位が該重合体から両末端基を除いた部分の酸化電位よりも低く、他方の末端基部分の還元電位が該重合体から両末端基を除いた部分の還元電位よりも高いものである。これにより、該重合体の酸化電位は低いものとなり、還元電位は高いものとなり、該重合体は、正の電荷(正孔)の注入性が高く、負の電荷(電子)の注入性が高いものとなる。
本発明の重合体が有する特定の末端基としては、芳香族末端基(芳香環を含む末端基)が好ましい。
本発明において末端基部分の酸化電位とは、末端基部分に対応するモノマーの酸化電位または末端基部分に対応するホモポリマーの酸化電位をいう。
本発明において末端基部分の還元電位とは、末端基部分に対応するモノマーの還元電位または末端基部分に対応するホモポリマーの還元電位をいう。
末端基部分に対応するモノマーとは、末端基の、主鎖と結合している結合手に水素原子が結合しているかまたは、結合手に、置換基として、水素原子が結合している場合と比べて、酸化電位、還元電位の変化が50mV以下となるような置換基が結合しているものがあげられる。このような置換基としては、ハロゲン原子、−B(OH)2、炭素数が3〜8のアルキル基等があげられる。
末端基部分に対応するホモポリマーとは、末端基の、主鎖と結合している結合手と他の任意の1箇所の部位に重合脱離基を有してなる、2個の重合脱離基がついた化合物を後述の山本重合法やSuzuki反応を用いる重合法を用いて重合して得られるポリマーをいう。例えば、末端基が
Figure 2005232449

の場合において、該末端基部分に対応するホモポリマーとは、主鎖と結合している部位とR1’〜R4’のうちの任意の1箇所の部位に重合脱離基をつけ、2個の重合脱離基がついた化合物を重合することによって得られたホモポリマーをいう。
末端基部分に対応するホモポリマーが、溶解性が不十分で、電位測定が困難な場合には、ホモポリマーの溶解性を高めるために、末端に結合させた化合物にさらに置換基を1個つけた化合物を重合したポリマーを末端基部分に対応するホモポリマーとすることができる。
この場合、置換基の種類としては、置換基をつけることによる酸化電位および還元電位の変化が50mV以下である基であり、その例として炭素数が3〜10のアルキル基があげられる。また、置換位置はどこでもよい。例えば、末端基が以下の構造の場合、

Figure 2005232449

主鎖と結合している部位とR1’〜R4’のうちの任意の1箇所の部位に重合脱離基をつけ、重合脱離基が結合していないR1’〜R4’のうちの任意の1箇所の部位に炭素数が3〜10のアルキル基を結合させ、2個の重合脱離基と1個の溶解性を高める置換基がついた化合物を重合することによって得られたホモポリマーも末端基に対応するホモポリマーとすることができる。
『重合体から末端基を除いた部分』の酸化電位、還元電位は、本発明の重合体に対応する、特定の末端基を有しない重合体の酸化電位、還元電位を測定することにより求めることができる。この特定の末端基を有しない重合体は末端基部分に対応する単量体を用いない以外は、本発明の重合体と同じ方法で製造できる。
本発明の重合体、末端基部分に対応するホモポリマー、重合体から末端基を除いた部分の酸化電位および還元電位は、一般的にサイクリックボルタンメトリー装置を用いて測定することができる。すなわち、電極表面に重合体の薄膜を作成し、電解質を加えた溶媒中に電極、対極、参照電極を入れる。正の電位をかけてゆき電流が流れ始めた電位を酸化電位、負の電位をかけてゆき電流が流れ始めた電位を還元電位と定義する。電極の種類、溶媒、電解質等の組み合わせによって標準電極電位が異なるため、酸化電位もしくは還元電位を比較するためには、同じ組み合わせの電極、溶媒、電解質を用いて測定しなければならない。
末端基部分に対応するモノマーの酸化電位および還元電位は、サイクリックボルタンメトリー装置を用いて測定することができる。重合体の場合とは測定方法が異なり、電解質を加えた溶媒中にモノマーを溶解させ、溶媒中に電極、対極、参照電極を入れる。正の電位をかけてゆき電流が流れ始めた電位を酸化電位、負の電位をかけてゆき電流が流れ始めた電位を還元電位と定義する。電極の種類、溶媒、電解質等の組み合わせによって標準電極電位が異なるため、酸化電位もしくは還元電位を比較するためには、同じ組み合わせの電極、溶媒、電解質を用いて測定しなければならない。
サイクリックボルタンメトリー装置を用いて酸化電位および還元電位を測定する場合、本発明の重合体においては末端基部分の酸化(還元)電位と該重合体から末端基を除いた部分の酸化(還元)電位は、通常は、100mV以上異なる。すなわち、本発明の重合体においては、末端基部分の酸化電位は該重合体から末端基を除いた部分の酸化電位に比べ、通常100mV以上低く、好ましくは200mV以上、より好ましくは300mV以上低い。また、末端基部分の還元電位は該重合体から末端基を除いた部分の酸化電位に比べ、通常100mV以上高く、好ましくは200mV以上、より好ましくは300mV以上高い。
末端基のなかで、該末端基部分の酸化電位が、重合体から末端基を除いた部分の酸化電位より低いものとしては、該部分の構造にもよるが、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、アリールエテニルアリール基、縮合環化合物基、1価の複素環基、1価の芳香族アミン基などがあげられ、1価の複素環基、1価の芳香族アミン基、アリールエテニルアリール基、アルキルアミノ基が置換したフェニル基が好ましく、1価の芳香族アミン基がより好ましい。
フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基としては、前述の構造が例示される。1価の複素環基としては、前述の複素環化合物から置換基Rを1個除いた構造が例示される。
アリールエテニルアリール基としては、下式(2)があげられる。
Figure 2005232449
(2)

〔ここで、R’は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基を表し、R’はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Ar6は、アリーレン基または2価の複素環基を表し、Ar7は、アリール基、1価の複素環基または1価の芳香族アミン基を表す。〕
アリールエテニルアリール基の具体的構造としては、下記構造が例示される。

Figure 2005232449
縮合環化合物基としては、下記化合物からRを1個除いた1価の残基が例示される。

Figure 2005232449
ここで、前記アリールエテニルアリール基の例および縮合環化合物の例におけるRとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基等が挙げられる。上図において一つの基中に複数のRを有しているが、これらは同一であっても相異なってもよい。
1価の芳香族アミン基とは、芳香族アミンの芳香環から1個の水素原子除いた残りの原子団をいう。1価の芳香族アミン基としては、例えば、式(2’)で示される基が挙げられる。
Figure 2005232449


〔式中、Ar6及びAr7は、それぞれ独立にフェニレン基、ビフェニレン基、スチルベンジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基を示し、Ar8、Ar9及びAr10は、それぞれ独立にフェニル基、ビフェニル基、スチルベニル基、ナフチル基またはアントラセニル基を示す。qは0〜4の整数を示す。Ar7及びAr10がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい〕
1価の芳香族アミン基の具体例としては、下記の構造が例示される。
Figure 2005232449
ここで、上記1価の芳香族アミン基の例におけるRとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基等が挙げられる。上図において一つの基中に複数のRを有しているが、これらは同一であっても相異なってもよい。
重合体の繰り返し単位に2価の芳香族アミン基が含まれていない場合は、末端を1価の芳香族アミン基で置換すれば、一般的に重合体の酸化電位を低くすることができる。また、重合体の繰り返し単位に2価の芳香族アミン基が含まれている場合でも、2価の芳香族アミン基に含まれる窒素原子数よりも多くの窒素原子を含む1価の芳香族アミン基で末端を置換すれば、一般的に重合体の酸化電位を低くすることができる。
末端基のなかで、末端基部分の還元電位が、重合体から末端基を除いた部分の重合体の還元電位よりも高いものとしては、該部分の構造にもよるが、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、アリールエテニルアリール基、縮合環化合物基、1価の複素環基、1価の芳香族アミン基などがあげられる。これらの末端基の中で、1価の複素環基、アリールエテニルアリール基が好ましく、ヘテロ原子として窒素もしくは硫黄を含む1価の複素環基がより好ましい。
ヘテロ原子として窒素もしくは硫黄を含む1価の複素環基の具体例としては、下記構造の複素環化合物から置換基Rを1個除いた構造が例示される。
Figure 2005232449
重合体の繰り返し単位に、2価の複素環基を含まない場合、末端を1価の複素環基で置換することにより重合体の還元電位を高くすることができる。
本発明の重合体は、電荷注入性(正孔注入性、電子注入性)を高める末端基を有するが、電荷注入性を高める末端基以外の末端が含まれていてもよい。注入性を高める観点から、電荷注入性を高める末端基以外の末端は全末端の30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、実質的に存在しないことが最も好ましい。
電荷注入性を高める末端基を有する本発明の重合体は、このような末端基を有しない重合体に比べ、酸化電位を、通常100mV、好ましくは200mV,さらに好ましくは300mV低くすることができる。また、還元電位については、これを、通常100mV、好ましくは200mV,さらに好ましくは300mV高くすることができる。
本発明の重合体は、重量平均分子量が通常はポリスチレン換算で103〜108であり、成膜性の点から好ましくは5×103〜2×106であり、より好ましくは1×104〜5×105、さらに好ましくは1×104〜2×105である。
本発明の重合体に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。重合体の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
重合体の酸化電位、還元電位を制御するためには、従来、通常は重合体の繰り返し単位構造を変えることにより行われていた。
しかしながら、蛍光強度や溶解性などの特性と、低酸化電位、高い還元電位という特性等を併せ持つ繰り返し単位構造を作ることは非常に困難であった。
本発明においては、重合体の繰り返し単位構造を変えることなく、重合体に特定の条件を満たす末端基を結合させることによりその酸化電位、還元電位を簡便に制御することができる。
本発明の重合体は、繰り返し単位に対応する単量体を重合させて末端に脱離基を有する重合体を得、該重合体と、末端基に対応する単量体を反応させる方法、繰り返し単位に対応する単量体を末端基に対応する単量体の共存下に重合させる方法などにより製造することができる。
本発明の重合体は、例えば、一般式(3)、(4)並びに一般式(5)および/または(6)で示される単量体を反応させることにより製造することができる。
1−Ar11−Y2 (3)
3−Ar12−Y4 (4)
5−E1 (5)
6−E2 (6)
〔式中、Ar11およびAr12はそれぞれ独立にフェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基、2価の芳香族アミン基またはフルオレンジイル基を表す。E1およびE2はそれぞれ末端基を表す。Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6はそれぞれ独立に、脱離基を表す。但し、E1およびE2は互いに相異なる。〕
脱離基としては、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、または−B(OR112(ここで、R11は水素原子またはアルキル基である)で示される基があげられる。
ここに、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、よう素原子があげられ、塩素原子、臭素原子が好ましく、臭素原子が最も好ましい。 アルキルスルホニルオキシ基は、フッ素原子で置換されていてもよく、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等があげられる。 アリールスルホニルオキシ基は、アルキル基で置換されていてもよく、フェニルスルホニルオキシ基、トリスルホニルオキシ基等があげられる。
−B(OR112で示される基において、R11は、水素原子またはアルキル基である。アルキル基としては、炭素数は、通常1〜20程度であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などが挙げられる。また、アルキル基どうしは、つながって環を形成していてもよい。
−B(OR112で示される基として、具体的には、
Figure 2005232449

が挙げられ、
Figure 2005232449

が好ましい。
一般式(5)および(6)で表される単量体の仕込み量の合計は、一般式(3)および(4)で表される単量体の仕込み量の合計に対して、一般的には0.1〜10モル%であり、0.2〜5モル%が好ましく、0.5〜3モル%がより好ましい。
本発明の重合体の製造方法としては、例えば上述した該当する単量体を用いてSuzuki反応により重合する方法(ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(共立出版、高分子機能材料シリーズ第2巻、高分子の合成と反応(2)、432−3頁)、山本重合法により重合する方法(プログレッシブ ポリマー サイエンス(Prog.Polym.Sci.),第17巻,1153−1205頁,1992年)、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法(丸善、実験化学講座第4版、28巻、339−340頁)などが例示される。
Suzuki反応を用いる場合について説明する。この場合、例えば、Y1およびY2がそれぞれ独立に−B(OR112(ここで、R11は水素原子またはアルキル基である)で示される基であり、Y3およびY4がそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基であり、Y5が−B(OR112(ここで、R11は水素原子またはアルキル基である)で示される基であり、Y6がハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基である単量体を用い、これらの単量体をPd(0)触媒の存在下反応させることにより製造できる。
なおこの場合、反応に供する、2個の脱離基を有する2種以上の単量体のうち、少なくとも1種が−B(OR112(ここで、R11は水素原子またはアルキル基である)を2個有する単量体であり、少なくとも1種が、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基を2個有する単量体であることを要する反応は、通常、式(3)、(4)で表される単量体を1〜100時間程度反応させた後、その後系内に単量体(5)を添加して0.5〜50時間程度反応させ、その後、単量体(6)を系内に添加して0.5〜50時間程度反応させる。
Pd(0)触媒として、例えばパラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類などを用い、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム等の無機塩基、トリエチルアミン等の有機塩基、フッ化セシウムなどの無機塩をモノマーに対して当量以上、好ましくは1〜10当量加えて反応させる。無機塩を水溶液として、2相系で反応させてもよい。溶媒としては、 N、N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどが例示される。溶媒にもよるが50〜160℃程度の温度が好適に用いられる。溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。反応時間は1時間から200時間程度である。
山本重合法を用いる場合について説明する。この場合、例えば、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6がそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基である単量体を用い、これらの単量体をNi(0)錯体の存在下反応させることにより製造することができる。 反応は、通常は、単量体(3)〜(6)全てを混合して実施する。
Ni(0)錯体(ゼロ価ニッケル錯体)を用いる上記反応において、ニッケル錯体としては、ゼロ価ニッケルをそのまま使う方法と、ニッケル塩を還元剤の存在下で反応させ、系内でゼロ価ニッケルを生成させ、反応させる方法がある。 ゼロ価ニッケル錯体としては、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケルなどが例示され、中でも、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)が、汎用性で安価という観点で好ましい。 また、中性配位子を添加することが、収率向上の観点から好ましい。 ここに、中性配位子とは、アニオンやカチオンを有していない配位子であり、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N−テトラメチルエチレンジアミン等の含窒素配位子;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェノキシホスフィン等の第三ホスフィン配位子などが例示され、汎用性、安価の点で含窒素配位子が好ましく、2,2’−ビピリジルが高反応性、高収率の点で特に好ましい。 特に、重合体の収率向上の点から、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を含む系に中性配位子として2,2’−ビピリジルを加えた系が好ましい。系内でゼロ価ニッケルを反応させる方法においては、ニッケル塩として塩化ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。還元剤としては、亜鉛,水素化ナトリウム,ヒドラジンおよびその誘導体、リチウムアルミニウムハイドライドなどが上げられ、必要に応じて添加物として、よう化アンモニウム、よう化リチウム、よう化カリウム等が用いられる。 重合溶媒としては、重合を阻害しないものであれば特に限定されないが、1種類以上の芳香族炭化水素系溶媒および/またはエーテル系溶媒を含むものが好ましい。 ここに芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ブチルベンゼン、ナフタリン、テトラリン、等が挙げられ、トルエン、キシレン、テトラリン、テトラメチルベンゼンが好ましい。 また、エーテル系溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等が挙げられ、高分子化合物に対する良溶媒である、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが好ましい。溶媒の中では、テトラヒドロフランが最も好ましい。 また、重合性、溶解性を改良する観点から、溶媒としては、重合反応を阻害しないものであれば、芳香族炭化水素系溶媒および/またはエーテル系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒およびエーテル系溶媒以外の溶媒との混合溶媒を用いてもよい
反応操作等は、例えば、特開2000−44544号公報に記載の方法に準じて行うことができる。 山本重合法においては、例えば、重合反応は、通常アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下、テトラヒドロフラン溶媒中、60℃の温度で、ゼロ価のニッケル錯体、中性配位子の存在下行われる。重合時間は、通常0.5〜100時間程度であるが、製造コストの点から、10時間以内が好ましい。重合温度は、通常0〜200℃程度であるが、高収率、低加熱費の点から、20〜100℃が好ましい。
また、中性配位子を使用する場合には、その使用量としては、反応収率とコストの点からゼロ価のニッケル錯体1モルに対して、0.5〜10モル程度が好ましく、0.8〜1.5モルがより好ましく、0.9〜1.1モルがさらに好ましい。
ゼロ価のニッケル錯体の使用量は、重合反応を阻害しない程度ならば、特には限定されないが、使用量が過少だと分子量が低い傾向にあり、使用量が過大であると後処理が繁雑になる傾向がある。そのため、モノマー1モルに対して、0.1〜10モルが好ましく、1〜5モルがより好ましく、2〜3.5モルがさらに好ましい。
本発明の重合体を高分子LEDの発光材料として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちに重合することが好ましく、また合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
本発明の高分子組成物は、固体状態で蛍光を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜108である高分子化合物と、前記本発明の重合体を含む。該高分子化合物は、溶媒への溶解性、蛍光強度、寿命や輝度などの素子にした時の特性などを向上させるものであれば特に限定されず、具体的には、特開2001−247861号、特開2001−507511号、特開2001−504533号、特開2001−278958号、特開2001−261796号、特開2001−226469号、特許第3161058などに記載の重合体があげられるがこれらには限定されない。重合体の種類としてはポリフルオレン系重合体、ポリアリーレン系重合体、ポリアリーレンビニレン系重合体、ポリスチルベン系重合体、ポリスチルベンビニレン系重合体、ポリピリジンジイル系重合体、アルコキシポリチオフェン系重合体などがあげられるがこれらには限定されない。これらの中で、ポリフルオレン系重合体、ポリアリーレン系重合体、ポリアリーレンビニレン系重合体、ポリスチルベン系重合体、ポリスチルベンビニレン系重合体が好ましい。混合の割合は、溶媒への溶解性、蛍光強度、寿命や輝度などの素子にした時の特性などを向上させるような割合ならば何でもよいが、本発明の重合体の割合が高分子組成物全体に対して、通常、5〜95重量%の範囲であり、40〜95重量%の範囲が好ましく、50〜80重量%の範囲がより好ましく、65〜75重量%の範囲がさらに好ましい。また、本発明の重合体以外の高分子化合物の割合を高分子組成物全体に対して50〜80重量%の範囲としたものも好ましく、65〜75重量%の範囲としたものがさらに好ましい。
また本発明の高分子組成物として、本発明の重合体を2種以上含むものがあげられる。その配合割合は特に限定されないが、組成物中に最も多く含まれる重合体の割合を高分子組成物全体に対して50〜80重量%の範囲としたものも好ましく、65〜75重量%の範囲としたものがさらに好ましい。
本発明の高分子LEDが有する発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
発光層の形成方法としては、例えば、溶液からの成膜による方法が例示される。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
印刷法等で用いる溶液(インク組成物)としては、少なくとも1種類の本発明の高分子化合物が含有されていればよく、また本発明の高分子化合物以外に正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、溶媒、安定剤などの添加剤を含んでいてもよい。
該インク組成物中における本発明の高分子化合物の割合は、溶媒を除いた組成物の全重量に対して通常は20wt%〜100wt%であり、好ましくは40wt%〜100wt%である。
またインク組成物中に溶媒が含まれる場合の溶媒の割合は、組成物の全重量に対して1wt%〜99.9wt%であり、好ましくは60wt%〜99.5wt%であり、さらに好ましく80wt%〜99.0wt%である。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、本発明の重合体を溶解または均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコールおよびその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、または複数組み合わせて用いることができる。上記溶媒のうち、ベンゼン環を少なくとも1個以上含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を1種類以上含むことが好ましい。
溶媒の種類としては、有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトンが好ましく、キシレン、アニソール、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシルのうち少なくとも1種類を含むことがより好ましい。
溶液中の溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上であることが好ましく、2〜3種類であることがより好ましく、2種類であることがさらに好ましい。
溶液中に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、1種類の溶媒は沸点が200℃以上の溶媒であり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、2種類の溶媒ともに、60℃において1wt%以上の高分子化合物が溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において1wt%以上の高分子化合物が溶解することが好ましい。
本発明の溶液の粘度は、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において5〜20mPa・sの範囲であることが好ましく、7〜20mPa・sの範囲であることがより好ましい。
本発明の溶液を用いて作製できる薄膜としては、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜が例示される。
本発明の発光性薄膜は、素子の輝度や発光電圧等の観点から、発光の量子収率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
本発明の導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましい。薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物などをドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。表面抵抗が100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□であることがさらに好ましい。
本発明の有機半導体薄膜は、電子移動度または正孔移動度のいずれか大きいほうが、10-5cm2/V/秒以上であることが好ましい。より好ましくは、10-3cm2/V/秒以上であり、さらに好ましくは、10-1cm2/V/秒以上である。
SiO2などの絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に該有機半導体薄膜を形成し、Auなどでソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
本発明の高分子LEDは陽極および陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が、本発明の重合体または高分子組成物を含むことを特徴とする。 本発明の高分子LEDには、少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して導電性高分子を含む層を設けた高分子発光素子、少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して平均膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子発光素子も含まれる。
また、本発明の高分子LEDとしては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
本発明の高分子LEDの構造としては、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
ここで、発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。 発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄い絶縁層を挿入してもよい。 積層する層の順番や数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。 例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5S/cm以上103以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5S/cm以上102以下がより好ましく、10-5S/cm以上101以下がさらに好ましい。
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5S/cm以上103S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5S/cm以上102S/cm以下がより好ましく、10-5S/cm以上101S/cm以下がさらに好ましい。 通常は該導電性高分子の電気伝導度を10-5S/cm以上103以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。 電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
発光層は、本発明の重合体または高分子組成物を含むが、発光層に前記重合体以外の発光材料を混合して使用してもよい。また、本発明の高分子LEDにおいては、上記高分子蛍光体以外の発光材料を含む発光層が、前記重合体を含む発光層と積層されていてもよい。 該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンまたはその誘導体、ペリレンまたはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンまたはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンまたはその誘導体などを用いることができる。 具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールまたはその誘導体、ポリシランまたはその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)またはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)またはその誘導体などが例示される。
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾールまたはその誘導体、ポリシランまたはその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)またはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)またはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールまたはその誘導体、ポリシランまたはその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
ポリビニルカルバゾールまたはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。
ポリシランまたはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサンまたはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有するものが例示される。
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
本発明の重合体はインクジェット法により成膜できることを特徴としている。インクジェット法とは、重合体を溶媒に溶解させインクジェット装置等で吐出する方法である。溶液を作製する際に、添加剤やドーパントを含んでいてもよい。色の塗り分けが可能な点や材料のロスが少なく有効に活用できる点が長所である。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンまたはその誘導体、ベンゾキノンまたはその誘導体、ナフトキノンまたはその誘導体、アントラキノンまたはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンまたはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンまたはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンまたはその誘導体、ポリキノキサリンまたはその誘導体、ポリフルオレンまたはその誘導体等が例示される。
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンまたはその誘導体、アントラキノンまたはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンまたはその誘導体、ポリキノキサリンまたはその誘導体、ポリフルオレンまたはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液または溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料および/または高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液または溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)またはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)またはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリシロキサンなどが例示される。
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
通常は、陽極および陰極からなる電極の少なくとも一方が透明または半透明であり、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。 陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。 また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。 陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
本発明の高分子発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト等として用いることができる。
本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
また、本発明の重合体は、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜用材料として用いることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、数平均分子量および重量平均分子量については、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(島津製作所製:LC−10Avp)によりポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を求めた。測定する重合体は、約0.5wt%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、0.6mL/minの流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)を用いた。
また、酸化電位および還元電位の測定にはサイクリックボルタンメトリー(ビー・エー・エス製:ALS600)を用い、0.1wt%テトラブチルアンモニウム−t−フルオロボレートを含むアセトニトリル溶媒中で測定を行なった。酸化電位の測定は、参照電極に銀/塩化銀電極、作用極に白金電極、対極に白金電極を用い、溶媒を窒素で1分間バブリングした後に測定を行なった。一方、還元電位の測定は、参照電極に銀/銀イオン電極、作用極にグラッシーカーボン電極、対極に白金電極を用い、窒素で置換したグローブボックス中で測定を行なった。また、電位の掃引速度は共に50mV/sで測定した。
実施例1
<共重合体1の合成>
2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(0.30g、0.54mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジイソペンチルフルオレン(0.063g、0.14mmol)、N−(4−ブロモフェニル)−N、N−ジフェニルアミン(0.011g、0.069mmol)および2,2’−ビピリジル(0.29g、1.9mmol)を脱水したテトラヒドロフラン20mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}(0.52g、1.9mol)加え、60℃まで昇温し、8時間反応させた。反応後、この溶液を冷却した後、25%アンモニア水10ml/メタノール120ml/イオン交換水50ml混合溶液中にそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を、ろ過することにより回収した。この沈殿をエタノールで洗浄した後、2時間減圧乾燥した。次に、この沈殿をトルエン30mLに溶解し、1N塩酸30mLを加えて1時間攪拌し、水層の除去して有機層に4%アンモニア水30mLを加え、1時間攪拌した後に水層を除去した。有機層はメタノール200mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、トルエン30mLに溶解させた。その後、アルミナカラム(アルミナ量20g)を通して精製を行い、回収したトルエン溶液をメタノール250mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させた。得られた共重合体1の収量は0.15gであった。共重合体1のポリスチレン換算数平均分子量は、1.2x104であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は2.6x104であった。
実施例2
<酸化電位の測定>
共重合体1をクロロホルムに溶解させ、0.2wt%の溶液を作製した。その溶液0.05mLを白金電極上に塗布し、クロロホルムを飛ばして共重合体1の薄膜を作製した。前記の方法で共重合体1の酸化電位を測定したところ940mVであった。
合成例1
<N−4−s−ブチルフェニル−N、N−ジフェニルアミンホモポリマーの合成>
N、N、N−トリフェニルアミンホモポリマーは溶解性が悪く、酸化電位および還元電位が測定できないため、置換基としてs−ブチル基を1個つけたN−4−s−ブチルフェニル−N、N−ジフェニルアミンホモポリマーを重合して、酸化電位の測定を行なった。
N−4−s−ブチルフェニル−N、N−ジ−4−ブロモフェニルフェニル 2.1g(4.5mmol)と2,2’―ビピリジル1.9g(12mmol)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)120gを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を3.5g(13mmol)を加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。反応後、この溶液を冷却した後、25%アンモニア水30ml/エタノール150ml/イオン交換水150ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を減圧乾燥した後、クロロホルムに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した。次に、このクロロホルム溶液をメタノール中に注ぎ込むことにより、再沈精製した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を減圧乾燥して、N−4−s−ブチルフェニル−N、N−ジフェニルアミンホモポリマー0.44gを得た。N−4−s−ブチルフェニル−N、N−ジフェニルアミンホモポリマーのポリスチレン換算数平均分子量は、6.7x103であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は4.2x104であった。
測定例1
<酸化電位の測定>
N−4−s−ブチルフェニル−N、N−ジフェニルアミンホモポリマーをクロロホルムに溶解させ、0.2wt%の溶液を作製した。その溶液0.05mLを白金電極上に塗布し、クロロホルムを飛ばしてN−4−s−ブチルフェニル−N、N−ジフェニルアミンホモポリマーの薄膜を作製した。前記の方法でN−4−s−ブチルフェニル−N、N−ジフェニルアミンホモポリマーの酸化電位を測定したところ680mVであった。
実施例3
<共重合体2の合成>
2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(0.30g、0.54mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジイソペンチルフルオレン(0.063g、0.14mmol)、2−ブロモピリジン(0.011g、0.069mmol)および2,2’−ビピリジル(0.29g、1.9mmol)を脱水したテトラヒドロフラン20mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}(0.52g、1.9mol)加え、60℃まで昇温し、8時間反応させた。反応後、この溶液を冷却した後、25%アンモニア水10ml/メタノール120ml/イオン交換水50ml混合溶液中にそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を、ろ過することにより回収した。この沈殿をエタノールで洗浄した後、2時間減圧乾燥した。次に、この沈殿をトルエン30mLに溶解し、1N塩酸30mLを加えて1時間攪拌し、水層の除去して有機層に4%アンモニア水30mLを加え、1時間攪拌した後に水層を除去した。有機層はメタノール200mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、トルエン30mLに溶解させた。その後、アルミナカラム(アルミナ量20g)を通して精製を行い、回収したトルエン溶液をメタノール250mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させた。得られた共重合体2の収量は0.17gであった。共重合体2のポリスチレン換算数平均分子量は、1.8x104であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は4.1x104であった。
測定例2
<還元電位の測定>
2−ブロモピリジンを0.1wt%テトラブチルアンモニウム−t−フルオロボレートを含むアセトニトリルに溶解させ、前記の方法で還元電位を測定したところ−2175mVであった。
実施例4
<還元電位の測定>
共重合体2をクロロホルムに溶解させ、0.2wt%の溶液を作製した。その溶液0.05mLをグラッシーカーボン電極上に塗布し、クロロホルムを飛ばして共重合体2の薄膜を作製した。前記の方法で共重合体2の還元電位を測定したところ−2230mVであった。
実施例5
<共重合体3の合成>
2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(0.30g、0.54mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジイソペンチルフルオレン(0.063g、0.14mmol)、4−ブロモ−N、N−ジメチルアニリン(0.014g、0.069mmol)および2,2’−ビピリジル(0.29g、1.9mmol)を脱水したテトラヒドロフラン20mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}(0.52g、1.9mol)加え、60℃まで昇温し、8時間反応させた。反応後、この溶液を冷却した後、25%アンモニア水10ml/メタノール120ml/イオン交換水50ml混合溶液中にそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を、ろ過することにより回収した。この沈殿をエタノールで洗浄した後、2時間減圧乾燥した。次に、この沈殿をトルエン30mLに溶解し、1N塩酸30mLを加えて1時間攪拌し、水層の除去して有機層に4%アンモニア水30mLを加え、1時間攪拌した後に水層を除去した。有機層はメタノール200mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、トルエン30mLに溶解させた。その後、アルミナカラム(アルミナ量20g)を通して精製を行い、回収したトルエン溶液をメタノール250mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させた。得られた共重合体3の収量は0.14gであった。共重合体3のポリスチレン換算数平均分子量は、1.6x104であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は3.7x104であった。
実施例6
<酸化電位の測定>
共重合体3をクロロホルムに溶解させ、0.2wt%の溶液を作製した。その溶液0.05mLを白金電極上に塗布し、クロロホルムを飛ばして共重合体3の薄膜を作製した。前記の方法で共重合体3の酸化電位を測定したところ935mVであった。
測定例3
<酸化電位の測定>
4−ブロモ−N、N−ジメチルアニリンを0.1wt%テトラブチルアンモニウム−t−フルオロボレートを含むアセトニトリルに溶解させ、前記の方法で酸化電位を測定したところ678mVであった。
比較例1
<共重合体4の合成>
2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(26.32g、0.0480mol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジイソペンチルフルオレン(5.6g、0.0121mol)および2,2’−ビピリジル(22g、0.141mol)を脱水したテトラヒドロフラン1600mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}(40.01g、0.145mol)加え、60℃まで昇温し、8時間反応させた。反応後、この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水200mL/メタノール1200mL/イオン交換水1200mL混合溶液中に滴下して30分間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して風乾した。その後、トルエン1100mLに溶解させてからろ過を行い、ろ液をメタノール3300mLに滴下して30分間攪拌した。析出した沈殿をろ過し、メタノール1000mLで洗浄した後、5時間減圧乾燥した。得られた共重合体4の収量は20.47gであった。
該共重合体4のポリスチレン換算の平均分子量は、Mn=6.0×104、Mw=1.5×105であった。
比較例2
<酸化電位の測定>
共重合体4をクロロホルムに溶解させ、0.2wt%の溶液を作製した。その溶液0.05mLを白金電極上に塗布し、クロロホルムを飛ばして共重合体4の薄膜を作製した。前記の方法で共重合体4の酸化電位を測定したところ1330mVであった。
比較例3
<還元電位の測定>
共重合体4をクロロホルムに溶解させ、0.2wt%の溶液を作製した。その溶液0.05mLをグラッシーカーボン電極上に塗布し、クロロホルムを飛ばして共重合体4の薄膜を作製した。前記の方法で共重合体4の還元電位を測定したところ−2522mVであった。
末端に酸化電位が低い化合物をつけることにより、下表のとおり酸化電位が低くなり、正孔の注入性が向上した。
Figure 2005232449
末端に還元電位が高い化合物をつけることにより、下表2のとおり還元電位が高くなり、電子の注入性が向上した。
Figure 2005232449
実施例7
<重合体1の合成>
化合物A 1.2g(2mmol)と4−ブロモーベンジルブロミドと亜リン酸トリエチルとを反応して得られたホスホン酸エステルと4−(2−ピリジル)ベンズアルデヒドとを反応して得られた4−ブロモ−4’−(2−ピリジル)スチルベン0.17g(0.5mmol)と2,2’―ビピリジル0.87g(5.6mmol)とを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)80gを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を1.54g(5.6mmol)を加え、室温で10分間攪拌した後、引き続き、室温で30時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、この溶液に、メタノール100ml/イオン交換水100ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。このトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、このトルエン溶液を1規定塩酸で洗浄し、静置、分液した後、トルエン相を回収、このトルエン溶液を、約3%アンモニア水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン相を回収、次に、このトルエン溶液を水洗し、静置、分液した後、トルエン相を回収した。次に、このトルエン溶液を、メタノール中にそそぎ込み、再沈生成した。
次に、生成した沈殿を回収し、この沈殿を減圧乾燥し、得られた重合体1の収量は0.26gを得た。重合体1のポリスチレン換算重量平均分子量は、1.4x104であり、数平均分子量は、9.6x103であった。

Figure 2005232449
化合物A
実施例8
<還元電位の測定>
重合体1をクロロホルムに溶解させ、0.2wt%の溶液を作製した。その溶液0.05mLをグラッシーカーボン電極上に塗布し、クロロホルムを飛ばして重合体1の薄膜を作製した。前記の方法で重合体1の還元電位を測定したところ−2170mVであった。
比較例4
<重合体2の合成>
化合物A(0.40g、0.67mmol)および2,2’−ビピリジル(0.18g、1.1mmol)を脱水したテトラヒドロフラン20mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}(0.31g、1.1mol)加え、60℃まで昇温し、8時間反応させた。25%アンモニア水10ml/メタノール120ml/イオン交換水50ml混合溶液中にそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を、ろ過することにより回収した。この沈殿をエタノールで洗浄した後、2時間減圧乾燥した。次に、この沈殿をトルエン30mLに溶解し、1N塩酸30mLを加えて1時間攪拌し、水層の除去して有機層に4%アンモニア水30mLを加え、1時間攪拌した後に水層を除去した。有機層はメタノール200mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、トルエン30mLに溶解させた。その後、アルミナカラム(アルミナ量20g)を通して精製を行い、回収したトルエン溶液をメタノール250mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させた。得られた重合体2の収量は0.12gであった。重合体2のポリスチレン換算の平均分子量は、Mn=1.3×105、Mw=2.8×105であった。
比較例5
<還元電位の測定>
重合体2をクロロホルムに溶解させ、0.2wt%の溶液を作製した。その溶液0.05mLをグラッシーカーボン電極上に塗布し、クロロホルムを飛ばして重合体2の薄膜を作製した。前記の方法で重合体2の還元電位を測定したところ−2540mVであった。
測定例4
<還元電位の測定>
4−ブロモ−4’−(2−ピリジル)スチルベンを0.1wt%テトラブチルアンモニウム−t−フルオロボレートを含むアセトニトリルに溶解させ、前記の方法で還元電位を測定したところ−2050mVであった。
末端に還元電位が高い化合物をつけることにより、下表3のとおり還元電位が−2540mVから−2170mVに高くなり、電子の注入性が向上した。
Figure 2005232449
実施例9
<重合体3の合成>
9,9−ジオクチルー2,7−ジブロモフルオレン0.82gと1−(4−ブロモフェニル)−2−(1−ピレニル)エチレン0.2gと2,2‘−ビピリジル0.55gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内をアルゴンガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(THF)(脱水溶媒)40mlを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を0.96g加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で7時間反応した。なお、反応は、アルゴンガス雰囲気中で行った。反応後、この溶液を冷却した後、25%アンモニア水10ml/メタノール100ml/イオン交換水100ml混合溶液中にそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を、ろ過することにより回収し、減圧乾燥した。次に、この沈殿をクロロホルムに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液をメタノール中に注ぎ込み、再沈することにより生成した沈殿を回収した。この沈殿を減圧乾燥して、0.30gの重合体3を得た。
重合体3のポリスチレン換算数平均分子量は、7.6x103であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は1.1x104であった。
実施例10
<還元電位の測定>
重合体3をクロロホルムに溶解させ、0.2wt%の溶液を作製した。その溶液0.05mLをグラッシーカーボン電極上に塗布し、クロロホルムを飛ばして重合体3の薄膜を作製した。前記の方法で重合体3の還元電位を測定したところ−2000mVであった。
比較例6
<重合体4の合成>
窒素雰囲気下にて9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ビス(エチレンボロネート)(0.96g、1.8mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(0.95g、1.7mmol)をトルエン(15.6g)に溶解させ、これにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(6.0mg、0.0052mmol)を加え、室温にて10分間攪拌した。つづいてテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド20%水溶液を(6ml)を加え昇温し、2時間加熱還流した。そしてブロモベンゼン(0.42g、2.7mmol)を加え1時間、フェニルボロン酸(0.33g、2.2mmol)を加え更に5時間加熱還流した。加熱完了後室温まで冷却し、メタノール330mlに滴下し、析出した沈殿を濾別した。得られた沈殿は、メタノールで洗浄し、減圧乾燥を行い、固形物を得た。
この固形物の他に、全く同様の操作を2回行い、合計3個の固形物を得た。これらの固形物3個をトルエン200gに溶解させて混合し、アルミナカラムで通液後、1N塩酸250mlを加えて2時間攪拌した後、水層を除去し、つづいて有機層に3%アンモニア水250mlを加えて1時間攪拌後に水層を除去した。さらに有機層にイオン交換水200mlを加えて30分攪拌後に水層を除去した。
有機層にメタノール600mlを加えて1時間攪拌し、析出した沈殿を濾別した。得られた沈殿は、メタノールで洗浄し、減圧乾燥を行い、重合体4を得た。
得られた重合体4の収量は1.73gであった。
重合体4のポリスチレン換算数平均分子量は、5.3x104であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は1.6x105であった。
比較例7
<還元電位の測定>
重合体4をクロロホルムに溶解させ、0.2wt%の溶液を作製した。その溶液0.05mLをグラッシーカーボン電極上に塗布し、クロロホルムを飛ばして重合体4の薄膜を作製した。前記の方法で重合体4の還元電位を測定したところ−2526mVであった。
末端にアリールエテニルアリール基をつけることにより、下表4のとおり還元電位が高くなり、電子の注入性が向上した。
Figure 2005232449


Claims (17)

  1. フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基および2価の芳香族アミン基からなる群から選ばれる1種以上の繰り返し単位を有する重合体であって、該重合体の少なくとも一方の末端基部分の酸化電位が該重合体から当該末端基を除いた部分の酸化電位よりも低く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする重合体。
  2. 繰り返し単位として、フルオレンジイル基2種類以上を有する共重合体であって、該共重合体の少なくとも一方の末端基部分の酸化電位が、該共重合体から当該末端基を除いた部分の酸化電位よりも低く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする共重合体。
  3. フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基および2価の芳香族アミン基からなる群から選ばれる1種以上の繰り返し単位を有する重合体であって、該重合体の少なくとも一方の末端基部分の還元電位が該重合体から当該末端基を除いた部分の還元電位よりも高く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする重合体。
  4. 繰り返し単位として、フルオレンジイル基2種類以上を有する共重合体であって、該共重合体の少なくとも一方の末端基部分の還元電位が、該共重合体から当該末端基を除いた部分の還元電位よりも高く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする共重合体。
  5. フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、スチルベンジイル基、2価の複素環基および2価の芳香族アミン基からなる群から選ばれる1種以上の繰り返し単位を有する重合体であって、該重合体の一方の末端基部分の酸化電位が該重合体から両末端基を除いた部分の酸化電位よりも低く、他方の末端基部分の還元電位が該重合体から両末端基を除いた部分の還元電位よりも高く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする重合体。
  6. 繰り返し単位として、フルオレンジイル基2種類以上を有する共重合体であって、該重合体の一方の末端基部分の酸化電位が該共重合体から両末端基を除いた部分の酸化電位よりも低く、他方の末端基部分の還元電位が該共重合体から両末端基を除いた部分の還元電位よりも高く、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする共重合体。
  7. 繰り返し単位として、フルオレンジイル基1種類からなる重合体であって、該重合体の主鎖の末端の少なくとも一方に、末端基としてアリールエテニルアリール基を有し、固体状態で蛍光を発し、かつポリスチレン換算の重量平均分子量が103〜108であることを特徴とする重合体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の重合体と、ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜108であり、固体状態で蛍光を発する高分子化合物とからなることを特徴とする高分子組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の重合体2種類以上からなる高分子組成物。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の高分子化合物、または請求項8もしくは9に記載の高分子組成物を含有することを特徴とする溶液。
  11. 粘度が25℃において5〜20mPa・sであることを特徴とする請求項10に記載の記載の溶液。
  12. 陽極および陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が、請求項1〜7のいずれかに記載の重合体または請求項8もしくは9記載の高分子組成物を用いて作製した薄膜。
  13. 陽極および陰極からなる電極間に、発光層を有し、該発光層が、請求項1〜7のいずれかに記載の重合体または請求項8もしくは9記載の高分子組成物を含むことを特徴とする高分子発光素子。
  14. 請求項13に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とする面状光源。
  15. 請求項13に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするセグメント表示装置。
  16. 請求項13に記載の高分子発光素子を含むことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
  17. 請求項13に記載の高分子発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。

JP2005013728A 2004-01-21 2005-01-21 重合体およびそれを用いた高分子発光素子 Pending JP2005232449A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005013728A JP2005232449A (ja) 2004-01-21 2005-01-21 重合体およびそれを用いた高分子発光素子

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004012919 2004-01-21
JP2004012920 2004-01-21
JP2004012918 2004-01-21
JP2005013728A JP2005232449A (ja) 2004-01-21 2005-01-21 重合体およびそれを用いた高分子発光素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005232449A true JP2005232449A (ja) 2005-09-02

Family

ID=35015720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005013728A Pending JP2005232449A (ja) 2004-01-21 2005-01-21 重合体およびそれを用いた高分子発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005232449A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006129860A1 (ja) * 2005-06-01 2006-12-07 Sumitomo Chemical Company, Limited 高分子組成物および高分子発光素子
US8802245B2 (en) 2005-06-01 2014-08-12 Sumitomo Chemical Company, Limited Polymer composition and polymer light emitting device

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001520289A (ja) * 1997-10-23 2001-10-30 ザ ダウ ケミカル カンパニー 共役ポリマーの製造方法
JP2001527102A (ja) * 1997-12-19 2001-12-25 アベシア・リミテッド 化合物、組成物及び使用
JP2003503519A (ja) * 1999-06-18 2003-01-28 アベシア・リミテッド ポリマーフラクションの分離方法
JP2003147347A (ja) * 2001-07-19 2003-05-21 Sumitomo Chem Co Ltd 高分子蛍光体およびそれを用いた高分子発光素子
JP2003531186A (ja) * 2000-04-26 2003-10-21 ソニー インターナショナル (ヨーロッパ) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 末端がキャップされたポリフルオレン及び薄膜、並びにそれらに基づくデバイス
JP2004500468A (ja) * 2000-03-10 2004-01-08 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド コポリマー
JP2004002654A (ja) * 2001-12-19 2004-01-08 Sumitomo Chem Co Ltd 共重合体、高分子組成物および高分子発光素子
JP2004532348A (ja) * 2001-06-22 2004-10-21 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド 置換されたトリフェニルアミン繰返し単位を含有するポリマー
JP2005060571A (ja) * 2003-08-14 2005-03-10 Sony Chem Corp エレクトロルミネスセンスポリマー、有機el素子及びディスプレイ装置
JP2005523369A (ja) * 2002-04-19 2005-08-04 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー エレクトロルミネセンス材料ならびに製造方法および使用方法
JP2006520409A (ja) * 2003-02-12 2006-09-07 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ カルバゾール化合物及び有機電界発光デバイスにおけるこのような化合物の使用
JP2007516319A (ja) * 2003-11-10 2007-06-21 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド ジベンゾシロールポリマー及びその製造方法

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001520289A (ja) * 1997-10-23 2001-10-30 ザ ダウ ケミカル カンパニー 共役ポリマーの製造方法
JP2001527102A (ja) * 1997-12-19 2001-12-25 アベシア・リミテッド 化合物、組成物及び使用
JP2003503519A (ja) * 1999-06-18 2003-01-28 アベシア・リミテッド ポリマーフラクションの分離方法
JP2004500468A (ja) * 2000-03-10 2004-01-08 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド コポリマー
JP2003531186A (ja) * 2000-04-26 2003-10-21 ソニー インターナショナル (ヨーロッパ) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 末端がキャップされたポリフルオレン及び薄膜、並びにそれらに基づくデバイス
JP2004532348A (ja) * 2001-06-22 2004-10-21 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド 置換されたトリフェニルアミン繰返し単位を含有するポリマー
JP2003147347A (ja) * 2001-07-19 2003-05-21 Sumitomo Chem Co Ltd 高分子蛍光体およびそれを用いた高分子発光素子
JP2004002654A (ja) * 2001-12-19 2004-01-08 Sumitomo Chem Co Ltd 共重合体、高分子組成物および高分子発光素子
JP2005523369A (ja) * 2002-04-19 2005-08-04 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー エレクトロルミネセンス材料ならびに製造方法および使用方法
JP2006520409A (ja) * 2003-02-12 2006-09-07 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ カルバゾール化合物及び有機電界発光デバイスにおけるこのような化合物の使用
JP2005060571A (ja) * 2003-08-14 2005-03-10 Sony Chem Corp エレクトロルミネスセンスポリマー、有機el素子及びディスプレイ装置
JP2007516319A (ja) * 2003-11-10 2007-06-21 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド ジベンゾシロールポリマー及びその製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006129860A1 (ja) * 2005-06-01 2006-12-07 Sumitomo Chemical Company, Limited 高分子組成物および高分子発光素子
GB2441462A (en) * 2005-06-01 2008-03-05 Sumitomo Chemical Co Polymer composition and polymeric luminescent element
GB2441462B (en) * 2005-06-01 2011-05-11 Sumitomo Chemical Co Polymer composition and polymer light emitting device
US8802245B2 (en) 2005-06-01 2014-08-12 Sumitomo Chemical Company, Limited Polymer composition and polymer light emitting device
US9523007B2 (en) 2005-06-01 2016-12-20 Sumitomo Chemical Company, Limited Polymer composition and polymer light emitting device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5076433B2 (ja) 共重合体およびそれを用いた高分子発光素子
JP4736471B2 (ja) 高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子
JP5144938B2 (ja) 高分子発光素子、高分子化合物、組成物、液状組成物及び導電性薄膜
JP4862916B2 (ja) 共重合体およびそれを用いた高分子発光素子
JP5148843B2 (ja) 高沸点組成物及びそれを用いた高分子発光素子
JP5092225B2 (ja) 溶液組成物およびそれを用いた高分子発光素子
JP5274754B2 (ja) 高分子材料及び高分子発光素子
JP5162868B2 (ja) 高分子発光素子及び有機トランジスタ並びにそれらに有用な組成物
WO2007081058A1 (ja) 高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子
JP5317313B2 (ja) フルオレン重合体及びそれを用いた高分子発光素子
JP2008056910A (ja) 高分子化合物及びそれを用いた高分子発光素子
JP4952032B2 (ja) 高分子発光素子及び有機トランジスタ並びにそれらに有用な組成物
JP5317314B2 (ja) 高分子化合物及びそれを用いた高分子発光素子
JP4904805B2 (ja) 高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子
JP4956918B2 (ja) 高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子
WO2005070995A1 (ja) 重合体およびそれを用いた高分子発光素子
JP4614735B2 (ja) 高分子材料及びそれを用いた高分子発光素子
JP2005232449A (ja) 重合体およびそれを用いた高分子発光素子
JP2005008723A (ja) 共重合体、高分子組成物および高分子発光素子
JP2009132882A (ja) 高分子化合物及びそれを用いた高分子発光素子
JP5317315B2 (ja) 高分子化合物とそれを用いた高分子発光素子
JP2007224282A (ja) 高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子
JP5217361B2 (ja) 高分子化合物及びそれを用いた高分子発光素子
JP5245325B2 (ja) 高分子化合物及びそれを用いた高分子発光素子
JP4456963B2 (ja) 共重合体及びそれを用いた高分子発光素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071220

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080131

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080514

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100309

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100810